JP4191297B2 - 自動二輪車用空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動二輪車用空気入りタイヤに関し、とくに該空気入りタイヤのハンドリング性、路面グリップ力の改善等、操縦安定性の向上を図ろうとするものである。
【０００２】
【従来の技術】
自動二輪車のフロントに適用されるタイヤはハンドリング等の操縦性が重視されるために、従来はクロス構造のベルト層を備えたものが装着されているのが普通であった。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、車両の軽量化、高性能化が進むなかで、かかるタイヤにおいては、路面の微小凹凸からくるトレッド面の突き上げとそれに起因するハンドルの微小振動、いわゆるシミーが顕在化してきており、なかでもとりわけ高周波領域でのシミーの防止が強く望まれるようになってきている。また、自動二輪車においては超高速走行での車体の安定性の確保がより重要な課題となってきているが、この点に関して従来の空気入りタイヤは、速度の上昇に応じてタイヤのクラウン部のセンターのせり出し量が大きくなり、接地形状が大きく変化することによってタイヤの接地領域が小さくなるのが避けられず、このような状況下での不具合の解消を図った自動二輪車用の空気入りタイヤは今のところ知られておらず、その開発が望まれていた。
【０００４】
本発明の目的は、自動二輪車用の空気入りタイヤについて、とくに、高周波領域でのシミーの発生を防止するとともに高速走行時の操縦の安定化を図るところにある。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明は、一対のサイドウオールとこのサイドウオール相互をつなぐトレッドとがトロイダル状に連なり、これらの各部をタイヤの赤道面に対して６０〜９０°の範囲で有機線維コードを一方向に配列したプライの両端部をビードコアの内側から外側に向かって巻き上げて補強したアッププライカーカスを少なくとも一層有し、カーカス層の外周に一本のゴムコーティングコードにより螺旋状に巻き回されてタイヤ幅方向に延在するコードプライからなるベルト層を少なくとも一層備える自動二輪車用空気入りラジアルタイヤにおいて、前記アッププライカーカスの外側に、該アッププライカーカスに沿って延在する少なくとも一層のダウンプライを配置し、このダウンプライとアッププライカーカスのターンアップ部の相互間にショアーＡ硬度で６０〜９９°の硬度を有するビードフィラーを設けたことを特徴とする自動二輪車用空気入りタイヤである。
また、本発明は、一対のサイドウオールとこのサイドウオール相互をつなぐトレッドとがトロイダル状に連なり、これらの各部をタイヤの赤道面に対して６０〜９０°の範囲で有機線維コードを一方向に配列したプライの両端部をビードコアの内側から外側に向かって巻き上げて補強したアッププライカーカスを少なくとも一層有し、カーカス層の外周に一本のゴムコーティングコードにより螺旋状に巻き回されてタイヤ幅方向に延在するコードプライからなるベルト層を少なくとも一層備える自動二輪車用空気入りラジアルタイヤにおいて、
前記アッププライカーカスの外側に、該アッププライカーカスに沿って延在する少なくとも一層のダウンプライを配置し、このダウンプライの外側にショアーＡ硬度で６０〜９９°の硬度を有するビードフィラーを設けたことを特徴とする自動二輪車用空気入りタイヤである。
【０００６】
また、本発明は上記の構成になる空気入りタイヤが少なくとも自動二輪車のフロントタイヤに適用するのが好ましい。
【０００８】
また、本発明は、上記の構成になる空気入りタイヤにおいて、ビードフィラーがダウンプライとアッププライカーカスのターンアップ部の相互間に配置されたものとする点に特徴を有する。
【０００９】
さらに、本発明は、アッププライカーカス部とターンアップ部とビードコアとによって取り囲まれる領域にはビードフィラーを有しない点に特徴を有するものである。
【００１０】
【発明の実施の形態】
スパイラルベルト構造になる空気入りタイヤは、高速走行においてもタイヤの接地形状の変化が小さく高速耐久性にも優れおり、シミーの防止や高速走行時の安定性を図ることできる利点がある反面、トレッドの曲げ剛性が低いという欠点があるために、従来のタイヤ構造においてベルト層だけをスパイラルベルトに置換しただけでは柔軟構造であるが故にハンドリングの応答性、路面グリップ力の低さ等といった操縦性の低下が避けられない。
【００１１】
本発明においては、シミーの防止や高速走行時の安定化を実現するため基本的にはスパイラルベルト構造を適用するが、硬度が６０〜９９°になるビードフィラーをアッププライカーカスのターンアップ部とダウンプライとの相互間あるいはアッププライカーカスの外側に配置したダウンプライの外側に配置するようにしたので、タイヤのサイド部の曲げ剛性が高くなり、操縦性能の低下は回避される。
【００１２】
【実施例】
以下、図面を用いて本発明をより具体的に説明する。
図１は自動二輪車用の空気入りタイヤの要部の断面を示したものであって、図中番号１はサイドウオール、２はサイドウオール１の相互をつなぐトレッド、３はビードコア、４はタイヤの枠組みを構成するアッププライカーカスであって、このカーカス４はタイヤの赤道面に対して６０〜９０°の範囲で有機線維コードを一方向に配列したプライからなり、その両端部をビードコア３の内側から外側に向かって巻き上げて補強した構造になっている。
【００１３】
また、５はカーカス４の外周において一本のゴムコーティングコードにより螺旋巻きに巻き回されてタイヤ幅方向（トレッドの幅方向）に延在するコードプライからなる一層の例で示したベルト層、６はビードフィラーであり、このビードフィラー６はショアーＡ硬度で６０〜９９°の硬度を有しアッププライカーカス４のターンアップ部のタイヤ軸方向外側に配置されている。
【００１４】
空気入りタイヤにおいてビードフィラーを有しない構造のものは、当然にサイド部の曲げ剛性が低く、横方向剛性が低くなり、また、アッププライカーカスとその部とターンアップ部に囲まれる領域にビードフィラーを配置した図２に示すような従来構造のものは、ビードフィラーを有しない構造のタイヤよりは横方向剛性は高いものの、曲げのほぼ中立軸上にビードフィラー６が配置されることになるのでサイド部の曲げ剛性を改善するにも限界がある。
【００１５】
本発明においては、負荷，横力発生時に最も大きく曲げが発生しようとする位置にビードフィラー６を設けたのでこれがタイヤを構成する複合材としての機能することとなるため曲げ剛性の改善が図られることになり、ベルト層を、シミーの発生を防止するうえで有利なスパイラルベルト化してもトレッド〜プライ間のせん断剛性は確保されることになり操縦性能が損なわれることはない。
【００１６】
図３は、本発明に従う空気入りタイヤの構成例を示した図である。
この例は、タイヤの基本構造は上掲図１に示したものと同様であるが、カーカス４の外側に一層のダウンプライ７を配置しカーカス４とダウンプライ７の相互間にビードフィラー６を配置した構成のものである。このような構成の空気入りタイヤはサイド部の曲げの中立軸に比較的近い位置に配置されるので、中間的な横方向剛性が得られる。
【００１７】
図４は、本発明に従う空気入りタイヤの他の構成例を示した図である。
この例は、タイヤの基本構造については上掲図３あるいは上掲図１と同様のものであり、カーカス４の外側に一層のダウンプライ７を配置しその外側にビードフィラー６を配置した構成のものである。この構成例はサイド部曲げの中立軸から最も遠い位置に配されるので最も高い横方向剛性が得られる。
【００１８】
本発明において適用するビードフィラーとしては、具体的にサイドに使用するゴムより硬度の高いゴムが適用できる。硬さに関してはショアーＡ硬度で６０〜９９°の範囲に規定したがその理由は、ビードフィラーの硬さがショアーＡ硬度で６０〜９９°の範囲になければハンドリングの応答性や、路面グリップ力等の改善を図るうえにおいて十分でないからであり、ビードフィラーの硬さを上記の範囲に設定することによりスパイラルベルトを有する柔軟構造の空気入りタイヤにおいても十分な操縦性能が確保されるからである。
【００１９】
サイズが１２０／７０ＺＲ１７で、タイヤの基本構造がナイロン２Ｐ＋ケブラー１ベルト、硬度９５°（ショアーＡ硬度）のビードフィラーを備えた上掲図１に示したような構造の空気入りタイヤを前輪に着した自動二輪車（HONDA CB1100XX)を使用し該タイヤの高速走行（時速２５０Km／ｈ) における車両の直進安定性、シミー性、軽快性・応答性、旋回力・グリップ力、乗り心地について上掲図２に示したような従来のタイヤ（カーカスプライの折り返し間にビードフィラーを有するもの，比較例１）と、ビードフィラーを備えないタイヤ（比較例２）を装着して走行した場合とともに調査した。
【００２０】
ビードフィラーを備えない比較例２のタイヤを装着した場合に得られた調査項目に関しての結果を全て指数表示で１００として表示した場合（値が大きくなるほど良好とする）、比較例１のタイヤにおいては高速直進安定性が１３０、シミー性が１３０、軽快性・応答性が１３０、旋回力・グリップが１２０、乗り心地が９０程度であり、本発明に従うタイヤにおいては、高速直進安定性が１４０、シミー性が１４０、軽快性・応答性が１４０、旋回力・グリップ力が１３０、乗り心地が８５であった。
【００２１】
本発明に適合するタイヤは調査の結果、上記のような値が得られたわけであるが、高速直進安定性については横・ねじり方向の変形が小さくなる傾向になり、かつ、発生した横力が低下せずウオーブル振動（高速域のフレーム・ハンドル回り全体の１０Ｈｚ以下の振動）の収まりが向上することが確認された。また、シミー性については横・ねじり方向の変形が小さくなり外乱入力時の振幅が軽減される傾向になり、軽快性・応答性に関してはとくにハンドル操作の際の車両の反応が改善され、旋回力・グリップに関しては横力の発生が大きくなりＭＣ（モータサイクル）特有の旋回中の車両の倒れ込みが軽減され旋回力が改善の方向にあることが確認された。
【００２２】
なお、乗り心地に関しては指数表示の値として８５という結果が得られ、路面の突起を乗り越える際に突き上げが他のタイヤに比較して若干シャープになるが、トレッド部がソフトなので乗り心地の絶対的なレベルは実用において十分に耐え得るものであった。
【００２３】
【発明の効果】
本発明によれば、自動二輪車用の空気入りタイヤにおいて、とくに、車両の軽量化、高性能化に伴って顕在化してきたシミーの発生を軽減できるだけでなく、操縦安定性を著しく改善するとができた。
【図面の簡単な説明】
【図１】 自動二輪車用空気入りタイヤの構成説明図である。
【図２】 従来の自動二輪車用空気入りタイヤの構成を示した図である。
【図３】 本発明に従う自動二輪車用空気入りタイヤの構成例を示した図である。
【図４】 本発明に従う自動二輪車用空気入りタイヤの他の構成例を示した図である。
【符号の説明】
１ サイドウオール
２ トレッド
３ ビードコア
４ アッププライカーカス
５ ベルト層
６ ビードフィラー
７ ダウンプライ
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動二輪車用空気入りタイヤに関し、とくに該空気入りタイヤのハンドリング性、路面グリップ力の改善等、操縦安定性の向上を図ろうとするものである。
【０００２】
【従来の技術】
自動二輪車のフロントに適用されるタイヤはハンドリング等の操縦性が重視されるために、従来はクロス構造のベルト層を備えたものが装着されているのが普通であった。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、車両の軽量化、高性能化が進むなかで、かかるタイヤにおいては、路面の微小凹凸からくるトレッド面の突き上げとそれに起因するハンドルの微小振動、いわゆるシミーが顕在化してきており、なかでもとりわけ高周波領域でのシミーの防止が強く望まれるようになってきている。また、自動二輪車においては超高速走行での車体の安定性の確保がより重要な課題となってきているが、この点に関して従来の空気入りタイヤは、速度の上昇に応じてタイヤのクラウン部のセンターのせり出し量が大きくなり、接地形状が大きく変化することによってタイヤの接地領域が小さくなるのが避けられず、このような状況下での不具合の解消を図った自動二輪車用の空気入りタイヤは今のところ知られておらず、その開発が望まれていた。
【０００４】
本発明の目的は、自動二輪車用の空気入りタイヤについて、とくに、高周波領域でのシミーの発生を防止するとともに高速走行時の操縦の安定化を図るところにある。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明は、一対のサイドウオールとこのサイドウオール相互をつなぐトレッドとがトロイダル状に連なり、これらの各部をタイヤの赤道面に対して６０〜９０°の範囲で有機線維コードを一方向に配列したプライの両端部をビードコアの内側から外側に向かって巻き上げて補強したアッププライカーカスを少なくとも一層有し、カーカス層の外周に一本のゴムコーティングコードにより螺旋状に巻き回されてタイヤ幅方向に延在するコードプライからなるベルト層を少なくとも一層備える自動二輪車用空気入りラジアルタイヤにおいて、前記アッププライカーカスの外側に、該アッププライカーカスに沿って延在する少なくとも一層のダウンプライを配置し、このダウンプライとアッププライカーカスのターンアップ部の相互間にショアーＡ硬度で６０〜９９°の硬度を有するビードフィラーを設けたことを特徴とする自動二輪車用空気入りタイヤである。
また、本発明は、一対のサイドウオールとこのサイドウオール相互をつなぐトレッドとがトロイダル状に連なり、これらの各部をタイヤの赤道面に対して６０〜９０°の範囲で有機線維コードを一方向に配列したプライの両端部をビードコアの内側から外側に向かって巻き上げて補強したアッププライカーカスを少なくとも一層有し、カーカス層の外周に一本のゴムコーティングコードにより螺旋状に巻き回されてタイヤ幅方向に延在するコードプライからなるベルト層を少なくとも一層備える自動二輪車用空気入りラジアルタイヤにおいて、
前記アッププライカーカスの外側に、該アッププライカーカスに沿って延在する少なくとも一層のダウンプライを配置し、このダウンプライの外側にショアーＡ硬度で６０〜９９°の硬度を有するビードフィラーを設けたことを特徴とする自動二輪車用空気入りタイヤである。
【０００６】
また、本発明は上記の構成になる空気入りタイヤが少なくとも自動二輪車のフロントタイヤに適用するのが好ましい。
【０００８】
また、本発明は、上記の構成になる空気入りタイヤにおいて、ビードフィラーがダウンプライとアッププライカーカスのターンアップ部の相互間に配置されたものとする点に特徴を有する。
【０００９】
さらに、本発明は、アッププライカーカス部とターンアップ部とビードコアとによって取り囲まれる領域にはビードフィラーを有しない点に特徴を有するものである。
【００１０】
【発明の実施の形態】
スパイラルベルト構造になる空気入りタイヤは、高速走行においてもタイヤの接地形状の変化が小さく高速耐久性にも優れおり、シミーの防止や高速走行時の安定性を図ることできる利点がある反面、トレッドの曲げ剛性が低いという欠点があるために、従来のタイヤ構造においてベルト層だけをスパイラルベルトに置換しただけでは柔軟構造であるが故にハンドリングの応答性、路面グリップ力の低さ等といった操縦性の低下が避けられない。
【００１１】
本発明においては、シミーの防止や高速走行時の安定化を実現するため基本的にはスパイラルベルト構造を適用するが、硬度が６０〜９９°になるビードフィラーをアッププライカーカスのターンアップ部とダウンプライとの相互間あるいはアッププライカーカスの外側に配置したダウンプライの外側に配置するようにしたので、タイヤのサイド部の曲げ剛性が高くなり、操縦性能の低下は回避される。
【００１２】
【実施例】
以下、図面を用いて本発明をより具体的に説明する。
図１は自動二輪車用の空気入りタイヤの要部の断面を示したものであって、図中番号１はサイドウオール、２はサイドウオール１の相互をつなぐトレッド、３はビードコア、４はタイヤの枠組みを構成するアッププライカーカスであって、このカーカス４はタイヤの赤道面に対して６０〜９０°の範囲で有機線維コードを一方向に配列したプライからなり、その両端部をビードコア３の内側から外側に向かって巻き上げて補強した構造になっている。
【００１３】
また、５はカーカス４の外周において一本のゴムコーティングコードにより螺旋巻きに巻き回されてタイヤ幅方向（トレッドの幅方向）に延在するコードプライからなる一層の例で示したベルト層、６はビードフィラーであり、このビードフィラー６はショアーＡ硬度で６０〜９９°の硬度を有しアッププライカーカス４のターンアップ部のタイヤ軸方向外側に配置されている。
【００１４】
空気入りタイヤにおいてビードフィラーを有しない構造のものは、当然にサイド部の曲げ剛性が低く、横方向剛性が低くなり、また、アッププライカーカスとその部とターンアップ部に囲まれる領域にビードフィラーを配置した図２に示すような従来構造のものは、ビードフィラーを有しない構造のタイヤよりは横方向剛性は高いものの、曲げのほぼ中立軸上にビードフィラー６が配置されることになるのでサイド部の曲げ剛性を改善するにも限界がある。
【００１５】
本発明においては、負荷，横力発生時に最も大きく曲げが発生しようとする位置にビードフィラー６を設けたのでこれがタイヤを構成する複合材としての機能することとなるため曲げ剛性の改善が図られることになり、ベルト層を、シミーの発生を防止するうえで有利なスパイラルベルト化してもトレッド〜プライ間のせん断剛性は確保されることになり操縦性能が損なわれることはない。
【００１６】
図３は、本発明に従う空気入りタイヤの構成例を示した図である。
この例は、タイヤの基本構造は上掲図１に示したものと同様であるが、カーカス４の外側に一層のダウンプライ７を配置しカーカス４とダウンプライ７の相互間にビードフィラー６を配置した構成のものである。このような構成の空気入りタイヤはサイド部の曲げの中立軸に比較的近い位置に配置されるので、中間的な横方向剛性が得られる。
【００１７】
図４は、本発明に従う空気入りタイヤの他の構成例を示した図である。
この例は、タイヤの基本構造については上掲図３あるいは上掲図１と同様のものであり、カーカス４の外側に一層のダウンプライ７を配置しその外側にビードフィラー６を配置した構成のものである。この構成例はサイド部曲げの中立軸から最も遠い位置に配されるので最も高い横方向剛性が得られる。
【００１８】
本発明において適用するビードフィラーとしては、具体的にサイドに使用するゴムより硬度の高いゴムが適用できる。硬さに関してはショアーＡ硬度で６０〜９９°の範囲に規定したがその理由は、ビードフィラーの硬さがショアーＡ硬度で６０〜９９°の範囲になければハンドリングの応答性や、路面グリップ力等の改善を図るうえにおいて十分でないからであり、ビードフィラーの硬さを上記の範囲に設定することによりスパイラルベルトを有する柔軟構造の空気入りタイヤにおいても十分な操縦性能が確保されるからである。
【００１９】
サイズが１２０／７０ＺＲ１７で、タイヤの基本構造がナイロン２Ｐ＋ケブラー１ベルト、硬度９５°（ショアーＡ硬度）のビードフィラーを備えた上掲図１に示したような構造の空気入りタイヤを前輪に着した自動二輪車（HONDA CB1100XX)を使用し該タイヤの高速走行（時速２５０Km／ｈ) における車両の直進安定性、シミー性、軽快性・応答性、旋回力・グリップ力、乗り心地について上掲図２に示したような従来のタイヤ（カーカスプライの折り返し間にビードフィラーを有するもの，比較例１）と、ビードフィラーを備えないタイヤ（比較例２）を装着して走行した場合とともに調査した。
【００２０】
ビードフィラーを備えない比較例２のタイヤを装着した場合に得られた調査項目に関しての結果を全て指数表示で１００として表示した場合（値が大きくなるほど良好とする）、比較例１のタイヤにおいては高速直進安定性が１３０、シミー性が１３０、軽快性・応答性が１３０、旋回力・グリップが１２０、乗り心地が９０程度であり、本発明に従うタイヤにおいては、高速直進安定性が１４０、シミー性が１４０、軽快性・応答性が１４０、旋回力・グリップ力が１３０、乗り心地が８５であった。
【００２１】
本発明に適合するタイヤは調査の結果、上記のような値が得られたわけであるが、高速直進安定性については横・ねじり方向の変形が小さくなる傾向になり、かつ、発生した横力が低下せずウオーブル振動（高速域のフレーム・ハンドル回り全体の１０Ｈｚ以下の振動）の収まりが向上することが確認された。また、シミー性については横・ねじり方向の変形が小さくなり外乱入力時の振幅が軽減される傾向になり、軽快性・応答性に関してはとくにハンドル操作の際の車両の反応が改善され、旋回力・グリップに関しては横力の発生が大きくなりＭＣ（モータサイクル）特有の旋回中の車両の倒れ込みが軽減され旋回力が改善の方向にあることが確認された。
【００２２】
なお、乗り心地に関しては指数表示の値として８５という結果が得られ、路面の突起を乗り越える際に突き上げが他のタイヤに比較して若干シャープになるが、トレッド部がソフトなので乗り心地の絶対的なレベルは実用において十分に耐え得るものであった。
【００２３】
【発明の効果】
本発明によれば、自動二輪車用の空気入りタイヤにおいて、とくに、車両の軽量化、高性能化に伴って顕在化してきたシミーの発生を軽減できるだけでなく、操縦安定性を著しく改善するとができた。
【図面の簡単な説明】
【図１】 自動二輪車用空気入りタイヤの構成説明図である。
【図２】 従来の自動二輪車用空気入りタイヤの構成を示した図である。
【図３】 本発明に従う自動二輪車用空気入りタイヤの構成例を示した図である。
【図４】 本発明に従う自動二輪車用空気入りタイヤの他の構成例を示した図である。
【符号の説明】
１ サイドウオール
２ トレッド
３ ビードコア
４ アッププライカーカス
５ ベルト層
６ ビードフィラー
７ ダウンプライ
Claims (4)
- 一対のサイドウオールとこのサイドウオール相互をつなぐトレッドとがトロイダル状に連なり、これらの各部をタイヤの赤道面に対して６０〜９０°の範囲で有機線維コードを一方向に配列したプライの両端部をビードコアの内側から外側に向かって巻き上げて補強したアッププライカーカスを少なくとも一層有し、カーカス層の外周に一本のゴムコーティングコードにより螺旋状に巻き回されてタイヤ幅方向に延在するコードプライからなるベルト層を少なくとも一層備える自動二輪車用空気入りラジアルタイヤにおいて、
前記アッププライカーカスの外側に、該アッププライカーカスに沿って延在する少なくとも一層のダウンプライを配置し、このダウンプライとアッププライカーカスのターンアップ部との相互間にショアーＡ硬度で６０〜９９°の硬度を有するビードフィラーを設けたことを特徴とする自動二輪車用空気入りタイヤ。 - 一対のサイドウオールとこのサイドウオール相互をつなぐトレッドとがトロイダル状に連なり、これらの各部をタイヤの赤道面に対して６０〜９０°の範囲で有機線維コードを一方向に配列したプライの両端部をビードコアの内側から外側に向かって巻き上げて補強したアッププライカーカスを少なくとも一層有し、カーカス層の外周に一本のゴムコーティングコードにより螺旋状に巻き回されてタイヤ幅方向に延在するコードプライからなるベルト層を少なくとも一層備える自動二輪車用空気入りラジアルタイヤにおいて、
前記アッププライカーカスの外側に、該アッププライカーカスに沿って延在する少なくとも一層のダウンプライを配置し、このダウンプライの外側にショアーＡ硬度で６０〜９９°の硬度を有するビードフィラーを設けたことを特徴とする自動二輪車用空気入りタイヤ。 - 少なくとも自動二輪車のフロントタイヤに適用されるものである、請求項１又は２に記載の空気入りタイヤ。
- アッププライカーカスとターンアップ部とビードコアとによって取り囲まれる領域にはビードフィラーを有しない、請求項１〜３の何れかに記載の空気入りタイヤ。
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| JP35483898A JP4191297B2 (ja) | 1998-12-14 | 1998-12-14 | 自動二輪車用空気入りタイヤ |
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Applications Claiming Priority (1)
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| JP35483898A JP4191297B2 (ja) | 1998-12-14 | 1998-12-14 | 自動二輪車用空気入りタイヤ |
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Family
ID=18440253
Family Applications (1)
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| JP35483898A Expired - Fee Related JP4191297B2 (ja) | 1998-11-26 | 1998-12-14 | 自動二輪車用空気入りタイヤ |
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|---|---|---|---|---|
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| JP4912668B2 (ja) * | 2005-11-10 | 2012-04-11 | 住友ゴム工業株式会社 | 自動二輪車用空気入りタイヤ |
| JP2007182098A (ja) * | 2005-12-29 | 2007-07-19 | Sumitomo Rubber Ind Ltd | 自動二輪車用タイヤ |
| KR100755381B1 (ko) * | 2006-07-06 | 2007-09-04 | 금호타이어 주식회사 | 직진 성능을 향상시킨 타이어 |
| JP6645179B2 (ja) * | 2015-12-25 | 2020-02-14 | 住友ゴム工業株式会社 | 空気入りタイヤ |
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1998
- 1998-12-14 JP JP35483898A patent/JP4191297B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JP2000177337A (ja) | 2000-06-27 |
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