JP4190903B2 - 車両用ルーフモールの装着構造及び装着具 - Google Patents

車両用ルーフモールの装着構造及び装着具 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ルーフパネルに設けられた凹状のルーフ溝に嵌込まれて装着される長尺のルーフモールの装着構造と、その装着具に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の車両用ルーフモールにおいては、ルーフパネルに設けられた凹状のルーフ溝の溝幅方向の少なくとも一部を塞ぐ頭部と、その頭部の裏面側から前記ルーフ溝の溝内に向けて突出する突出部とを有している。そして、ルーフモールは、その突出部においてルーフパネルのルーフ溝に嵌込まれかつ弾性材料よりなる装着具を介して装着される構造のものが知られている。
この種の車両用ルーフモールの装着構造に用いられる装着具は、ルーフモールの長手方向端末部近傍においてルーフパネルのルーフ溝の底壁部に固着される基体部と、その基体部の両側部から立ち上がり、かつ先端部に係止爪を有する板状の両側壁体部とをそれぞれ一体に有している。
そして、ルーフ溝の底壁部に装着具がその基体部において固着された状態で両側壁体部をその根元部近傍を支点として略ハの字状に弾性拡開させながらルーフモールの突出部を押し込むことで、両側壁体部の弾発力によって係止爪をルーフモールの突出部に係合させる構造のものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−301993(第3−4頁、図1−4)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記従来の車両用ルーフモールにおいては、装着具の両側壁体部の肉厚を薄くして弾発力を小さくすると、ルーフパネルのルーフ溝にルーフモールを容易に嵌込んで装着することができる反面、ルーフパネルのルーフ溝から外れやすくなる不具合が生じる。
これとは逆に、装着具の両側壁体部の肉厚を厚くして弾発力を大きくすると、ルーフパネルのルーフ溝からルーフモールを外れ難くすることができる反面、ルーフパネルのルーフ溝に嵌込む作業が厄介となり、いわゆる二律背反の問題点があった。
【0005】
この発明の目的は、前記問題点に鑑み、ルーフパネルのルーフ溝にルーフモールを容易に嵌込んで装着することができるとともに、ルーフ溝から抜け出る方向の力が作用したときには外れにくい車両用ルーフモールの装着構造及び装着具を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1の発明に係る車両用ルーフモールの装着構造は、ルーフパネルに設けられた凹状のルーフ溝に嵌込まれかつ弾性材料よりなる装着具を介して装着される長尺のルーフモールの装着構造であって、
前記ルーフモールは、前記ルーフ溝の溝幅方向の少なくとも一部を塞ぐ頭部と、その頭部の裏面側から前記ルーフ溝の溝内に向けて突出する突出部とを有し、
前記ルーフモールの長手方向端末部近傍において、前記突出部の両側面には凹凸状の係合部が形成され、
前記装着具は、弾性材料から形成され、少なくとも前記ルーフモールの長手方向端末部近傍において前記ルーフ溝の底壁部に固着される基体部と、その基体部の幅方向両側部から互いに所定の間隔を保って立ち上がる板状の両側壁体部とをそれぞれ一体に有し、
前記両側壁体部の先端部寄り部分の相対する側面には、これら両側壁体部の長手方向に延びる係止爪がそれぞれ内方へ対向するように突設され、
前記基体部と前記両側壁体部との間の一部には、長手方向に沿う分離孔が形成され、
前記ルーフ溝の底壁部に前記装着具の基部が固着された状態で前記装着具の両側壁体部に前記ルーフモールの突出部が押し付けられることで、前記両側壁体部が幅方向の外側へ弾性変形され、前記係止爪が前記係合部に達した時前記両側壁体部が弾性復帰することによって前記係止爪が前記係合部に係合する構成にしてあり、
前記ルーフモールの長手方向端末部において、ルーフモールの前記突出部は、頭部の裏面側の一部に一体状に設けられた端末部構成体によって形成され、
さらに、下記のイとロのいずれかの構成を有する、
イ.前記端末部構成体は、長手方向で前記ルーフモールの頭部から前記端末部構成体の両側面の凹凸状の係合部までの距離寸法が先端側に向けてしだいに小さくなるように変化しており、前記距離寸法の変化は、前記ルーフモールの所定の装着状態において前記係合部が前記ルーフ溝の底壁部と平行状態を保ちかつ同係合部の延長線が前記ルーフモールの頭部と交差するように構成されている、
ロ.前記ルーフモールの装着状態において、前記両側壁体部の基体部からの高さ寸法は、前記ルーフモールの長手方向端部に向けてしだいに小さくなるように傾斜し、その傾斜 方向と平行を保って係止爪がそれぞれ突出している、
ことを特徴とする。
【0007】
したがって、ルーフパネルの凹状のルーフ溝にルーフモールを装着する場合、ルーフ溝の底壁部に予め装着具の基体部が固着される。
その後、装着具の両側壁体部にルーフモールの突部が押し付けられることで、両側壁体部が幅方向の外側へ弾性変形される。そして、両側壁体部の係止爪が突出部の係合部に達した時これら両側壁体部が弾性復帰することによって係止爪が係合部に係合する。これによって、ルーフパネルの凹状のルーフ溝にルーフモールが装着される。
前記した装着具の基体部と両側壁体部との間の一部には、長手方向に沿う分離孔が形成され、基体部と両側壁体部とは分離孔の部分において連結が断たれている
このため、装着具の両側壁体部にルーフモールの突出部が押し付けられる際、係止爪が両側壁体部と共に元の位置から互いに離反する方向に変位すると共に、両側壁体部と共に基体部側を中心として幅方向の外側に回転変位する。
言い換えると、装着具の両側壁体部は、互いに離反する方向に変形しながら弾性的に撓むとともに、基体部側を中心とする回転方向にも弾性的に撓む。そして、前記両方向の合計された撓みによって両側壁体部の撓み量が増大されるため、ルーフモールの装着の際に要する押圧力が小さくて済み作業が容易となる。
また、ルーフモールの装着状態において、ルーフモールに、ルーフ溝から上側へ抜け出る方向の外力が作用した場合、両側壁体部が互いに離反する方向に対しては前記外力の分力が小さく、両側壁体部が互いに弾性的に撓むことが防止されるとともに、両側壁体部は、前記外力が作用する方向には変形しない。このため、両側壁体部の係止爪と、ルーフモールの突出部の係合部とが安定した係合状態に保たれる。この結果、ルーフ溝からルーフモールが不測に抜け出る不具合を防止することができ、安定した装着状態を維持することができる。
また、前記端末部構成体は、長手方向で前記ルーフモールの頭部から前記端末部構成体の両側面の凹凸状の係合部までの距離寸法が先端側に向けてしだいに小さくなるように変化しており、前記距離寸法の変化は、前記ルーフモールの所定の装着状態において前記係合部が前記ルーフ溝の底壁部と平行状態を保ちかつ同係合部の延長線が前記ルーフモールの頭部と交差するように構成されている構成要件を備えることで、例えば、端末部において長手方向に沿ってルーフ溝の相対深さが徐々に小さくなる場合に、ルーフモールの長手方向の端末部をルーフモールの一般部よりもルーフ溝の底壁部に近付けた状態でルーフモールを安定して正確な位置に容易に装着できる。
また、前記ルーフモールの装着状態において、両側壁体部の基体部からの高さ寸法は、前記ルーフモールの前側端部に向けてしだいに小さくなるように傾斜し、その傾斜方向と平行を保って係止爪がそれぞれ突出されている構成要件を備えることで、端末部において長手方向に沿ってルーフ溝の相対深さが徐々に小さくなる場合でもルーフモールを正確な位置に容易に装着できる。
【0008】
また、請求項2の発明に係る車両用ルーフモールの装着構造は、請求項1に記載の車両用ルーフモールの装着構造であって、ルーフモールの長手方向端末部を除く一般部には、ルーフモールの突出部の両側部から幅方向に向けてそれぞれ延出されかつルーフ溝の溝幅を越える長さで突出する一対の弾性係止片が一体に形成される。前記ルーフモールの突出部が前記ルーフ溝内の所定位置まで押し付けられて装着されたときには、前記一対の弾性係止片がルーフ溝の側壁面に圧接して弾性変形するとともに、その弾発力で前記ルーフモールを保持する構成にしてある。
したがって、ルーフモールの長手方向端末部を除く一般部においては、突出部の一対の弾性係止片がルーフ溝の側壁面に圧接して弾性変形するとともに、その弾発力でルーフモールを保持することができる。
このため、ルーフ溝に対しルーフモールをその全長にわたって安定した装着状態に維持することができる。
【0009】
請求項3の発明に係る車両用ルーフモールの装着構造は、請求項1又は2に記載の車両用ルーフモールの装着構造であって、
末部構成体の両側面に装着具に対応する凹凸状の係合部が形成されていることを特徴とする。
したがって、ルーフモールの長手方向端末部において、そのモール本体部の材料とは別の材料によって端末部構成体を形成することが容易となる。このため、装着具と嵌合係止に適した材料を適宜に選択して端末部構成体を容易に形成することができる。例えば、端末部構成体をモール本体部よりも強度が大きくかつ滑り性の良い材料で形成した場合には、ルーフ溝に対するルーフモールの装着性(挿入性)や装着後の安定性をより一層向上できる。
【0010】
請求項4の発明に係る車両用ルーフモールの装着構造は、請求項3に記載の車両用ルーフモールの装着構造であって、端末部構成体は、頭部の裏面側の一部にインサート射出成形によって一体成形されている。
したがって、両側面に装着具に対応する凹凸状の係合部を有する端末部構成体を射出成形により容易にかつ正確に形成することができる。このため、装着具に対する嵌込みや係合を安定化することができる。
【0011】
請求項5の発明に係る車両用ルーフモールの装着構造は、請求項1又は2に記載の車両用ルーフモールの装着構造であって、
ルーフモールの頭部と突出部は押出成形によって一体に形成され、
前記突出部の両側面に凹凸状の係合部が前記頭部と平行に長手方向に連続して形成されていることを特徴とする。
【0012】
したがって、頭部と突出部とを一体に有するルーフモールを押出成形すると同時にその突出部の両側面に凹凸状の係合部を容易に形成することができる。
【0013】
請求項6の発明に係る車両用ルーフモールの装着構造は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の車両用ルーフモールの装着構造であって、
装着具の両側壁体部の係止爪は、長手方向において分離孔の長さ範囲内において形成され、
前記両側壁体部は、長手方向の両端部において基体部と連結されていることを特徴とする。
したがって、ルーフモールの突出部の凹凸状の係合部が装着具の両側壁体部の係止爪を乗り越えて係合するときには、装着具の両側壁体部は、互いに離反する方向あるいは接近する方向に平行状態を保って変形しながら弾性的に撓むとともに、基体部側を中心とする回転方向にも弾性的に撓む。
この際、係止爪は、分離孔の長さ範囲内において形成されているため、装着具の両側壁体部の互いに離反する方向あるいは接近する方向の弾性的な撓み変形は分離孔の存在によって容易となり、ルーフモールの装着性が向上する。
【0014】
請求項7の発明に係る車両用ルーフモールの装着具は、ーフパネルに設けられた凹状のルーフ溝に嵌込まれる長尺のルーフモールを装着するための車両用ルーフモールの装着具であって、
前記装着具は、弾性材料から形成され、少なくとも前記ルーフモールの長手方向端末部近傍において前記ルーフ溝の底壁部に固着される基体部と、その基体部の幅方向両側部から互いに所定の間隔を保って立ち上がる板状の両側壁体部とをそれぞれ一体に有し、
前記両側壁体部の先端部寄り部分の相対する側面には、これら両側壁体部の長手方向に延びる係止爪がそれぞれ内方へ対向するように突設され、
前記基体部と前記両側壁体部との間の一部には、長手方向に沿う分離孔が形成され、
前記係止爪は、長手方向において分離孔の長さ範囲内において形成され、
前記係止爪に対し幅方向の拡大する方向の力が作用したときには、前記係止爪が前記両側壁体部と共に元の位置から互いに離反する方向へ弾性変位すると共に、前記両側壁体部と共に前記基体部側を中心として幅方向の外側へ回転変位する構成にしてあり、
さらに、前記ルーフモールの装着状態において、前記両側壁体部の基体部からの高さ寸法は、前記ルーフモールの長手方向の端部に向けてしだいに小さくなるように傾斜し、その傾斜方向と平行を保って係止爪がそれぞれ突出していることを特徴とする。
したがって、装着具の両側壁体部にルーフモールの突出部が押し付けられる際、係止爪が両側壁体部と共に元の位置から互いに離反する方向に変位すると共に、両側壁体部と共に基体部側を中心として回転変位する。
言い換えると、装着具の両側壁体部は、互いに離反する方向に変形しながら弾性的に撓むとともに、基体部側を中心とする回転方向にも弾性的に撓む。そして、前記両方向の撓みによって両側壁体部の撓み量が増大されるため、ルーフモールの装着の際に要する押圧力が軽減され、作業が容易となる。
また、ルーフモールの装着状態において、ルーフモールに、ルーフ溝から上側へ抜け出る方向の外力が作用した場合、両側壁体部が互いに離反する方向に対しては前記外力の分力が小さく、両側壁体部が互いに弾性的に撓むことが防止されるとともに、両側壁体部は、前記外力が作用する方向には変形し難い。このため、両側壁体部の係止爪と、ルーフモールの突出部の係合部とが安定した係合状態に保たれる。この結果、ルーフ溝からルーフモールが不測に抜け出る不具合を防止することができ、安定した装着状態を維持することができる。
また、前記ルーフモールの装着状態において、両側壁体部の基体部からの高さ寸法は、前記ルーフモールの長手方向の端部に向けてしだいに小さくなるように傾斜し、その傾斜方向と平行を保って係止爪がそれぞれ突出しているため、端末部において長手方向に沿ってルーフ溝の相対深さが徐々に小さくなる場合でもルーフモールを正確な位置に容易に装着できる。
【0015】
請求項8の発明に係る車両用ルーフモールの装着具は、請求項7に記載の車両用ルーフモールの装着具であって、
装着具は、弾性力に富む硬質の合成樹脂材料の射出成形によって形成され、
係止爪は、両側壁体部の先端部寄り部分の相対する側面からそれぞれ突出され、
分離孔は、基体部の幅方向両側縁から中心線側に向けかつ平面投影において前記係止爪の先端を越える位置まで形成されていることを特徴とする。
したがって、装着具を射出成形によって容易に形成することができ、量産化によるコスト低減に効果が大きい。
また、合成樹脂製の装着具は金属製のものと異なり、錆び付きによる不具合がなく耐久性に優れる。
また、分離孔は、平面投影において係止爪の先端を越える位置まで形成されているため、装着具の両側壁体部の互いに離反する方向あるいは接近する方向の弾性的な撓み変形は分離孔の存在によって容易となり、ルーフモールの装着性が向上する。
【0016】
請求項9の発明に係る車両用ルーフモールの装着具は、請求項7に記載の車両用ルーフモールの装着具であって、
装着具は、弾性力に富むばね鋼板から形成され、
係止爪は、両側壁体部の先端部寄り部分の相対する側面からそれぞれ突出されていることを特徴とする。
したがって、金属製の装着具は合成樹脂製のものと異なり、耐熱性に優れるため、クリープ変形などが少なく安定した装着性が維持される。
また、装着具を熱硬化性接着剤によってルーフ溝の底壁部に固着する場合においても、耐熱性に優れるため、熱硬化性接着剤の選択肢が広がる。例えば、硬化温度が高い熱硬化性接着剤を用いて高温で装着具を接着した場合においても、装着具の熱による劣化が生じない。
【0017】
請求項10の発明に係る車両用ルーフモールの装着具は、請求項7〜9のいずれか一項に記載の車両用ルーフモールの装着具であって、
基体部は平板状をなし、その基体部のルーフパネルのルーフ溝の底壁部に対向する面に、前記ルーフパネルの焼付塗装時の熱で硬化可能な熱硬化性の接着剤層が設けられていることを特徴とする。
したがって、車両ボディを焼付塗装する前に、そのルーフパネルのルーフ溝の底壁部に熱硬化性の接着剤層によって装着具を仮止めしておくことにより、その後の車両ボディを焼付塗装時の熱で熱硬化性の接着剤層が硬化し、装着具が確実にかつ強固に接着(固着)される。
【0018】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
この発明の実施の形態1を図1〜図12にしたがって説明する。
図1は車両のルーフパネルを斜め上方から表した斜視図である。図2はルーフパネルのルーフ溝にルーフモールが装着された状態を示す図1のII−II線に沿う横断面図である。図3はルーフパネルのルーフ溝にルーフモールが装着された状態を示す図1のIII−III線に沿う縦断面図である。図4はルーフパネルのルーフ溝にルーフモールが装着された状態を示す図3のIV−IV線に沿う横断面図である。図5はルーフパネルのルーフ溝にルーフモールを押し込んで装着される直前の状態を示す横断面図である。図6はルーフモールと装着具とが分離された状態を裏面側から示す分解斜視図である。図7はルーフモールの裏面の所定位置で装着具にルーフモールの端末部が嵌込まれた状態を表面側から示す斜視図である。
図1と図2において、車両のルーフパネル1の両サイド部近傍は、ルーフセンターパネル2とルーフサイドパネル3とがスポット溶接等によって一体に連結されている。そして、ルーフセンターパネル2とルーフサイドパネル3の連結部には、車体の前後方向に長く延びかつ段差溝状をなす凹部4が形成され、その凹部4の深溝部には、その上方から車両用ルーフモール20が嵌込まれて装着されるルーフ溝5が形成されている。
【0019】
すなわち、この実施の形態1において、ルーフセンターパネル2の左右両側部近傍から外端縁に向けて、凹部4の上段の内側壁部6、内側段差部8、下段の内側壁部10、上側底壁部13、及び下段の第1外側壁部11がプレス加工等によってそれぞれ曲げ形成されている。
また、ルーフサイドパネル3の内側部近傍から内端縁に向けて、上段の外側壁部7、外側段差部9、下段の第2外側壁部12及び下側底壁部14がプレス加工等によってそれぞれ曲げ形成されている。そして、ルーフセンターパネル2とルーフサイドパネル3は、その上側底壁部13と下側底壁部14とが上下に重ね合わされた状態でスポット溶接等によって一体に連結されることによって、段差溝状をなす凹部4が形成されるようになっている。
また、凹部4の深溝部をなすルーフ溝5において、その下段の内側壁部10と下段の第1外側壁部11とが横断面略ハの字状をなして対向している。これによって、ルーフ溝5は、その溝底部が広く、溝開口部が狭い横断面略アリ溝状に形成されている。
【0020】
ルーフ溝5の上方から押し込むことによって嵌込まれかつ端末部分で弾性材料よりなる装着具70を介して装着される長尺のルーフモール20は、合成樹脂、ゴム、あるいはこれらの混合材料からなる長尺なモール本体部21と、そのモール本体部21の長手方向に埋設された帯状、棒状の金属材等よりなり、モール本体部21よりも伸縮が少なく、かつ剛性を有する芯材35と、を一体に備えて構成されている。
この実施の形態1において、モール本体部21は、頭部22、脚部30、幅方向に突出する膨出部41及び同一対の弾性係止片50をそれぞれ一体に備えている。また、モール本体部21は、オレフィン系熱可塑性エラストマ(TPO)等の弾性体よりなり、かつ押出成形によって長尺に一体成形されている。
【0021】
頭部22は、凹部4の幅方向の少なくとも一部を塞ぐものであり、車幅方向外側の先端部分には薄肉状の付け根部26を有する覆い部27が一体に形成されている。そして、覆い部27を含む頭部22の幅寸法は、凹部4の内側段差部8上面と外側段差部9上面との間に跨って被せられる程度の大きさに設定されている。
また、頭部22は、頭部本体部分23と、その頭部本体部分23の表面(上面)に層状に設けられかつ頭部本体部分23よりも硬度が高くかつ耐候性並びに耐摩耗性に富むオレフィン系熱可塑性エラストマ等の弾性体よりなるカバー層28を一体状に有している。
また、覆い部27においても、その覆い部本体部分27aと、その覆い部本体部分27aの表面(上面)に層状に設けられかつ覆い部本体部分27aよりも硬度が高くかつ耐候性並びに耐摩耗性に富むオレフィン系熱可塑性エラストマ等の弾性体よりなるカバー層29が、前記頭部22のカバー層28と連続して一体状に形成されている。
また、覆い部本体部分27aは、頭部本体部分23よりも軟質で弾性に富み容易に弾性変形するオレフィン系熱可塑性エラストマ等の弾性体より形成されている。
【0022】
図2に示すように、頭部22の裏面(下面)には、ルーフ溝5に向けて脚部(この発明の突出部に相当する場合がある)30が一体状に突出されている。この脚部30の内部の長手方向に沿って前記芯材35が埋設されている。
脚部30の中間部から下部に向けてしだいに肉厚が減少するように傾斜部31が脚部30の両側に形成され、その傾斜部31の下端部に連続して薄肉状の先端部32が形成されている。そして、脚部30の両側部には、その傾斜部31から先端部32の両側部にわたってルーフ溝5の両側壁面(下段の内側壁部10と下段の第1外側壁部11)に向けてそれぞれ突出する膨出部41が形成されている。
【0023】
図2に示すように、膨出部41は、脚部30の傾斜部31の上端(脚部30の両側部の略中間高さ位置)から斜め下向にそれぞれ突出された第1壁片43と、脚部30の先端部32の端縁(下縁)の両側部からそれぞれ若干斜め上向きに突出されかつ第1壁片43の先端部近傍に交差して一体状に結合された第2壁片45とを備えて構成されている。そして、脚部30の傾斜部31、第1壁片43及び第2壁片45によって囲まれた部分に、横断面形状が略三角形あるいは、略四角形をなす空洞部42が長手方向に連続してそれぞれ形成されている。
また、この実施の形態1において、第1壁片43の肉厚寸法は、第2壁片45の肉厚寸法よりも適宜に大きく設定されており、これによって第1壁片43は、第2壁片45よりも撓みにくく形成されている。さらに、第1壁片43の付け根部分は弾性変形可能な薄肉の連結部44によって脚部30の側部に一体に連結されている。
【0024】
図2に示すように、脚部30の両膨出部41の突出端近傍(この実施の形態1では第1壁片43の下端部)には、薄肉状の弾性変形部51を付け根部に有する一対の弾性係止片50が上向き傾斜状をなしてそれぞれ突出している。
これら一対の弾性係止片50は、薄肉状の弾性変形部51よりも厚肉で、弾性係止片50の突出方向(弾性変形部51から弾性係止片50の先端を結ぶ方向)に座屈しにくい略繭形状に形成されている。そして、一対の弾性係止片50の下側面には、ルーフ溝5の両側壁面(下段の内側壁部10と下段の第1外側壁部11)に圧接可能な係止部52がそれぞれ形成されている。
また、ルーフモール20の自由状態において、一対の弾性係止片50の先端の間の距離寸法はルーフ溝5の溝幅寸法(最大溝幅寸法)よりも適宜に大きく設定されている(図2において2点鎖線参照)。
【0025】
すなわち、図2に示すように、ルーフ溝5にルーフモール20が装着された状態において、弾性変形部51の弾性変形による弾発力により一対の弾性係止片50の係止部52がルーフ溝5の両側壁面(下段の内側壁部10と下段の第1外側壁部11)に弾性的に圧接して係合するようになっている。そして、一対の弾性係止片50の係止部52と、ルーフ溝5の両側壁面との係合力(摩擦力)によって、ルーフ溝5にルーフモール20が所定の装着状態に保持されるようになっている。
また、この実施の形態1において、一対の弾性係止片50及びその薄肉状の弾性変形部51は、膨出部41よりも軟質で弾性に富み小さい力で容易に弾性変形するオレフィン系熱可塑性エラストマ(TPO)等の弾性体より形成されている。
【0026】
また、この実施の形態1において、頭部22の頭部本体部分23、脚部30、及び膨出部41は、JIS・K7215によるデュロメータ硬さがHDA95〜100程度のオレフィン系熱可塑性エラストマー等の弾性体(例えば、リケンテクノス株式会社製造の商品名「レオストマー」として販売されているオレフィン系熱可塑性エラストマー)よりなる。
また、カバー層28、29は、頭部本体部分23、脚部30、及び膨出部41よりも硬度が高くかつ耐候性、耐摩耗性に富みかつJIS・K7215によるデュロメータ硬さがHDA100程度のオレフィン系熱可塑性エラストマー等の弾性体(例えば、リケンテクノス株式会社製造の商品名「アクティマー」として販売されているオレフィン系熱可塑性エラストマー)よりなる。このような、耐候性、耐摩耗性に富むオレフィン系熱可塑性エラストマーには、耐候安定剤(紫外線吸収材、光安定剤等)や滑剤(シリコーン)等が混入されている。
また、頭部22の覆い部本体部分27a、一対の弾性係止片50及び弾性変形部51は、頭部本体部分23、脚部30、及び膨出部41よりも軟質で弾性に富み、圧縮永久歪みが少なくルーフパネルの上塗り塗装面に対する摩擦力が大きいJIS・K7215によるデュロメータ硬さがHDA70程度のオレフィン系熱可塑性エラストマー等の弾性体(例えば、三井化学株式会社製造の商品名「ミラストマー」として販売されているオレフィン系熱可塑性エラストマー)よりなる。
【0027】
図3と図4に示すように、ルーフモール20の長手方向の端末部20bにおいては、同ルーフモール20の一般部20aにおける脚部30の根元部近傍30aを残して、その根元部近傍30aの先端から切除されるとともに、膨出部41、第1壁片43、第2壁片45、弾性係止片50等も切除されている。
そして、ルーフモール20の端末部20bにおいては、その頭部22の裏面に残された脚部30の根元部近傍30aを覆って突出部60を構成するとともに、その一端に端末カバー体68を一体に有する端末部構成体61が一体状に設けられている。この端末部構成体61は、モール本体部21の主要部(頭部22の頭部本体部分23、脚部30、及び膨出部41)よりも硬度が高い硬質合成樹脂材料、すなわち、強度が大で滑り性の良い硬質合成樹脂材料、例えば、JIS・K7215によるデュロメータ硬さがHDA100程度のオレフィン系熱可塑性エラストマー等の弾性体(例えば、リケンテクノス株式会社製造の商品名「アクティマー」として販売されているオレフィン系熱可塑性エラストマー)よりなる。
【0028】
また、この実施の形態1において、図4に示すように、端末部構成体61は、頭部22の裏面側の一部、すなわち、頭部22の裏面に残された脚部30の根元部近傍30a及び頭部22の端面を覆ってインサート射出成形によって一体成形されている。
そして、突出部60としての端末部構成体61の両側面には、次に詳述する装着具70に対応する凹凸状の係合部63が射出成形と同時に形成されている。
また、前述したとおりこの実施の形態1において、図3と図6に示すように、端末部構成体61の先端部には頭部22の長手方向端面を覆って意匠性の向上を図る端末カバー体68が一体に形成されている。
また、図4と図5に示すように、端末部構成体61両側面の凹凸状の係合部63には、その根元部側に凹部64、先端側に凸部65をそれぞれ長手方向に連続状をなして有している。そして、凸部65の下側面には傾斜状をなす嵌込み案内面66が形成され、同凸部65の上面(言い換えると、凹部64の下側面)には、装着具70の係止爪74に係合可能な係止面67が形成されている。
【0029】
また、この実施の形態において、図3と図6に示すように、端末部構成体61は、長手方向でルーフモール20の頭部22から同端末部構成体61の両側の凹凸状の係合部63の係止面67までの距離寸法が先端側に向けてしだいに小さくなるように変化している。
すなわち、距離寸法の変化は、図3に示すように、ルーフモール20の所定の装着状態において係合部63が、先端に向けて深さが徐々に浅くなるルーフ溝5の底壁部(上側底壁部13及下側底壁部14)と平行状態を保ちかつ係合部63の延長線Lがルーフモール20の頭部22と交差するように構成されている。なお、ルーフ溝5の深さの変化は図3に示すように底壁部が上側に向けて上がって変化する場合と、段差部8、9が下側に下がって変化する場合と、上記の両方が併合されることで変化する場合とがある。
【0030】
図3〜図5に示すように、装着具70は、ルーフモール20の少なくとも長手方向端末部近傍においてルーフ溝5の底壁部(上側底壁部13)に固着される略平板状をなす基体部72と、その基体部72の幅方向両側部から互いに所定の間隔を保って立ち上がる一対の板状の両側壁体部73とをそれぞれ一体に有している。
また、装着具70は、例えば、PA樹脂(ポリアミド樹脂)、POM樹脂(ポリアセタール樹脂)等の弾性力と滑り性に富む硬質合成樹脂材料の射出成形によって形成されている。
また、図8〜図10に示すように、装着具70の両側壁体部73は、その長手方向両端部に形成された端部厚肉部73aと、その両端部厚肉部73aの間に形成されかつ端部厚肉部73aよりも薄肉の一対の弾性壁体部73bとを一体に有している。そして、両弾性壁体部73bの先端部寄り部分の相対する側面には、その長手方向に延びる一対の係止爪74がそれぞれ内方に対向するように突出されている。
また、図10に示すように、係止爪74は、傾斜状の案内面75を上側に有し、基体部72に平行な線に対し角度θをもって先端側に向けてしだいに下向きをなす係止面76を下側に有して横断面で略三角形状に形成されている。また、係止爪74は、その長手方向において次に述べる分離孔77の長さ範囲内に形成されている。
【0031】
また、図8〜図10に示すように、装着具70の基体部72と両側壁体部73との間の一部には、長手方向に沿う分離孔77がそれぞれ形成され、基体部72と両側壁体部73とを分離している。これら各分離孔77の長さ寸法L2は、両側壁体部73の弾性壁体部73bの長さ寸法L3と略同じあるいは長く形成されている。
さらに、図9に示すように、両分離孔77は、基体部72の幅方向両側縁から中心線側に向けかつ平面投影において前記係止爪74の先端を越える位置まで形成されている。そして、両側壁体部73は、その各両端部厚肉部73aにおいて、連結部78によって基体部72と一体に連結され、各弾性壁体部73bにおいては基体部72と連結されることなく自由状態となっている。
【0032】
すなわち、この実施の形態1において、図10に示すように、両側壁体部73の弾性壁体部73bにおいてその高さ寸法をLとし、肉厚寸法をTとしたときに、「L>T」の関係となるように設定されている。
また、図9に示すように、係止爪74の長さ寸法をL1とし、分離孔77の長さ寸法をL2とし、弾性壁体部73bの長さ寸法をL3としたときに「L1<L2≧L3」の関係となるように設定されている。
これによって、両側壁体部73の弾性壁体部73bは互いに離反する方向(図5において矢印H方向)あるいは接近する方向(図5において矢印H方向と逆方向)には弾性的に撓み変形し易く、これに直交する方向(図5において矢印V方向)には弾性的に変形しないように形成されている。
そして、ルーフ溝5の底壁部に装着具70がその基体部72において固着された状態で装着具70の両側壁体部73の間にルーフモール20の突出部60が押し付けられ、かつ係止爪74に対し幅方向に拡大する方向の力が作用したときには、分離孔77の存在によって係止爪74が両側壁体部73の弾性壁体部73bと共に元の位置から互いに離反する方向(図5において矢印H方向)に変位すると共に、両弾性壁体部73bと共に基体部72側を中心とする回転方向(図5において矢印R方向)に回転変位する構成にしてある。
【0033】
また、この実施の形態1において、装着具70の基体部72の裏面(ルーフパネル1のルーフ溝5の底壁部に対向する面)には、車両ボディ(ルーフパネル1)の焼付塗装時の熱で硬化可能な熱硬化性の接着剤層81が設けられている。また、接着剤層81は、両面接着テープが好ましく、車両ボディに取り付けられるまではその接着面が剥離可能な剥離紙81a等で覆われて塵等の付着を防止することが望ましい(図8参照)。
【0034】
この実施の形態1に係る車両用ルーフモール20は上述したようにして構成される。
したがって、ルーフパネル1のルーフ溝5にルーフモール20を装着する場合、ルーフモール20の長手方向端末部においては、ルーフ溝5の底壁部に予め装着具70がその基体部72の熱硬化性の接着剤層81において固着される。すなわち、この実施の形態1においては、車両ボディを焼付塗装する前に、そのルーフパネル1のルーフ溝5の底壁部の所定位置に熱硬化性の接着剤層81によって装着具70を仮止めしておくことにより、その後の車両ボディを焼付塗装時の熱で熱硬化性の接着剤層81が硬化し、装着具70が確実にかつ強固に接着(固着)される。
【0035】
車両ボディを焼付塗装してそのルーフ溝5の底壁部に装着具70を固着した後、そのルーフ溝5の長手方向に沿ってルーフモール20が装着される。
すなわち、まず、ルーフモール20をルーフ溝5の溝上方に臨ませて、装着具70の両側壁体部73の間にルーフモール20がその突出部60としての端末部構成体61において所定量だけ押し付けられる。
これによって、図5に示すように、両側壁体部73が互いに離反する方向(図5において矢印H方向)に弾性変形されるとともに、基体部72側を中心として回転変位する。そして、両側壁体部73の係止爪74が端末部構成体61の係合部63先端側の凸部65を乗り越えて凹部64に達すると、両側壁体部73が弾性復帰し、係止爪74が係合部63に係合する。これによって、図2に示すように、ルーフパネル1の凹状のルーフ溝5にルーフモール20が装着される。
また、ルーフモール20の長手方向端末部を除く一般部においては、ルーフモール20に押圧力を加えて突出部としての脚部30の両側部に設けた膨出部41の先端部近傍の弾性変形部51を弾性変形させながら一対の弾性係止片50をルーフ溝5の溝内に押し込むことによって、一対の弾性係止片50がルーフ溝5の側壁面に圧接して弾性変形するとともに、その弾発力でルーフモール20が保持される。
【0036】
さて、この実施の形態1において、装着具70の基体部72と両側壁体部73との間の一部には、長手方向に沿う分離孔77が形成され、基体部72と両側壁体部73とは分離孔77の部分において連結されていない。
このため、装着具70の両側壁体部73にルーフモール20の突出部60が押し付けられる際、係止爪74が両側壁体部73と共に元の位置から互いに離反する方向あるいは接近する方向に変位すると共に、両側壁体部73と共に基体部72側を中心として回転変位する。
言い換えると、装着具70の両側壁体部73は、互いに離反する方向あるいは接近する方向に変形しながら弾性的に撓むとともに、基体部72側を中心とする回転方向にも弾性的に撓む。そして、両方向の撓みによって両側壁体部73の撓み量が増大されるため、ルーフモール20の装着が容易となる。
【0037】
すなわち、この実施の形態1において、基体部72と両側壁体部73との間の一部に形成された分離孔77の長さ寸法L2は、両側壁体部73の弾性壁体部73bの長さ寸法L3と略同じあるいは長く形成され、さらに、両分離孔77は、基体部72の幅方向両側縁から中心線側に向けかつ平面投影において係止爪74の先端を越える位置まで形成されている。そして、両側壁体部73は、その各両端部厚肉部73aにおいて、連結部78によって基体部72と一体に連結され、各弾性壁体部73bにおいては基体部72と連結されることなく自由状態となっている。
このため、装着具70の両側壁体部73の間にルーフモール20の突出部60が押し付けられ、かつ係止爪74に対し幅方向に拡大する方向の力が作用したときには、分離孔77の存在によって係止爪74が両側壁体部73の弾性壁体部73bと共に元の位置から互いに離反する方向(図5において矢印H方向)に変位すると共に、両弾性壁体部73bと共に基体部72側を中心とする回転方向(図5において矢印R方向)に回転変位する。これによって、両側壁体部73の弾性壁体部73bが比較的小さい押し込み力によって互いに離反する方向に弾性的に撓み変形するため、ルーフモール20の装着が容易となる。
【0038】
また、図4に示すように、ルーフモール20の装着状態において、ルーフモール20に、ルーフ溝5から抜け出る方向の矢印V方向の外力が作用した場合、両側壁体部73が互いに離反する方向の矢印H方向に対しては前記外力の分力が小さく、外力の大部分が両側壁体部73を矢印V方向へ撓ませるように作用する。
言い換えると、矢印V方向に外力が作用した場合、装着具70の両側壁体部73は互いに離反する方向に対して弾性的に撓むことが防止される一方、矢印V方向(上下方向)へは撓み変形しない。この結果、両側壁体部73の係止爪74と、ルーフモール20の突出部60の係合部63とが係合状態に保たれルーフ溝5からルーフモール20が不測に抜け出る不具合を防止することができるとともに、安定した装着状態を維持することができる。
【0039】
また、この実施の形態1において、ルーフモール20の長手方向端末部20bを除く一般部20aにおいては、図2に示すように、一対の弾性係止片50がルーフ溝5の側壁面に圧接して弾性変形するとともに、その弾発力でルーフモール20を保持することができる。このため、ルーフ溝5に対しルーフモール20をその全長にわたって安定した装着状態に維持することができる。
【0040】
この実施の形態1のルーフモール20の装着に必要な挿入力(押し込み力)と、ルーフモール20の保持力(強制的に引き離すために必要な力)とをそれぞれ5回にわたって測定した。挿入力はプッシュ・プルゲージを用い、ルーフモール20の端末部を装着具70に組み付ける際の力を測定した。また、保持力を測定するために、図11に示すような引っ張り装置90が用いられ、200mm/minにおいてルーフモール20を引っ張り測定した結果、図12に示すような測定結果が得られた。
図12に示すように、5回の平均的な挿入力が31.65Nであり、保持力が117.31Nである測定結果が得られた。
ちなみに、基体部72と両側壁体部73との間の一部に分離孔77がなく他の部分においては実施の形態1と全く同一の参考例の装着具を製作して、その参考例の装着具を用いて前記同様に測定した結果、分離孔77がない参考例の装着具においては、平均的な挿入力が56Nであり、保持力が67Nである測定結果となった。
以上のとおり、実施の形態1においては、参考例に比較して挿入力において大幅に小さく保持力において大幅に高くなるとという良好な結果が得られた。
【0041】
また、この実施の形態1において、ルーフモール20の長手方向端末部において、同ルーフモール20の突出部60は、頭部22の裏面側の一部に一体状に設けられた端末部構成体61によって形成される。そして、この端末部構成体61の両側面に装着具70に対応する凹凸状の係合部63が形成されている。
したがって、ルーフモール20の長手方向端末部において、そのモール本体部21の材料とは別の材料によって端末部構成体61を形成することが容易となる。このため、装着具70との嵌合係止に適した材料を適宜に選択して端末部構成体61を容易に形成することができる。例えば、端末部構成体61をモール本体部21よりも強度が大きくかつ滑り性の良い材料で形成した場合には、ルーフ溝5に対するルーフモール20の装着性(挿入性)や装着後の安定性をより一層向上できる。
【0042】
また、この実施の形態1において、端末部構成体61は、頭部22の裏面側の一部にインサート射出成形によって一体成形されている。
したがって、両側面に装着具70に対応する凹凸状の係合部63を有する端末部構成体61を、頭部22の裏面側の所定位置に射出成形型によって容易にかつ正確に形成することができる。このため、装着具70に対する嵌込みや係合を安定化することができる。なお、端末部構成体61を予め別途に形成しておき、これをルーフモール20の頭部22裏面側に嵌合、接着又はこれらの併用で固着することもできる。
【0043】
また、この実施の形態1において、図3と図6に示すように、端末部構成体61は、長手方向でルーフモール20の頭部22から同端末部構成体61の両側の凹凸状の係合部63までの距離寸法が先端側に向けてしだいに小さくなるように変化しており、距離寸法の変化は、ルーフモール20の所定の装着状態において係合部63がルーフ溝5の底壁部と平行状態を保ちかつ同係合部63の延長線がルーフモール20の頭部22と交差するように構成されている。
したがって、ルーフ溝5の底壁部に固着された装着具70に対し端末部構成体61両側の係合部63を嵌込んで係合させたルーフモール20の所定の装着状態においては、ルーフモール20の頭部22から端末部構成体61の両側の凹凸状の係合部63までの距離寸法が先端側に向けてしだいに小さくなるように変化する。
【0044】
(実施の形態2)
次に、この発明の実施の形態2を図13〜図15にしたがって説明する。
図13はルーフパネルのルーフ溝にルーフモールが装着された状態を示す図1のIII−III線に沿う縦断面図である。図14はルーフパネルのルーフ溝にルーフモールが装着された状態を示す図13のXIV−XIV線に沿う横断面図である。図15はルーフパネルのルーフ溝にルーフモールが装着される前の状態を示す横断面図である。
図13〜図15に示すように、この実施の形態2に係る車両用ルーフモール20において、ルーフモール20は、その一般部20aから長手方向の端末部20bにわたって押出成形によって一様な横断面に一体に形成されている。
そして、ルーフモール20の端末部以外の一般部20aにおいては、実施の形態1と略同様にして、頭部22、脚部30及び一対の弾性係止片50がそれぞれ一体に形成されている。また、脚部30の根元部近傍の両側部には両側面に凹凸状の係合部63が頭部22と平行に長手方向に連続して形成されている。
【0045】
ルーフモール20の長手方向の端末部20bにおいては、同ルーフモール20の一般部20aにおける脚部30の凹凸状の係合部63が形成される部分を残して、その係合部63よりも先端側が切除され、これにともなって一対の弾性係止片50も切除されている。
そして、図14に示すように、ルーフモール20の端末部20bにおいては、その頭部22の裏面に残された脚部30の部分を突出部60としている。
【0046】
一方、装着具70’は、ルーフ溝5の底壁部(上側底壁部13)に固着される略平板状をなす基体部72’と、その基体部72’の幅方向両側部から互いに所定の間隔を保って立ち上がる板状の一対の両側壁体部73’とをそれぞれ一体に有している。
また、図13に示すように、両側壁体部73’の高さ寸法は、ルーフ溝5の深さに対応してルーフモール20の前側端部に向けてしだいに小さくなるように傾斜しており、その両側壁体部73’の端部厚肉部73a’よりも薄肉の一対の弾性壁体部73b’の先端部寄り部分の相対する側面には、その長手方向(傾斜方向)に延びる一対の係止爪74’が前記傾斜と平行を保ってそれぞれ突出されている。
この実施の形態2のその他の部分は実施の形態1と略同様にして構成されるため、同一部分に対し同一符号を付記してその説明は省略する。
【0047】
したがって、この実施の形態2においても、実施の形態1と略同様にして、装着具70’の両側壁体部73’の間にルーフモール20の突出部60が押し付けられ、かつ係止爪74’に対し幅方向に拡大する方向の力が作用したときには、分離孔77’の存在によって係止爪74’が両側壁体部73’の弾性壁体部73b’と共に元の位置から互いに離反する方向に変位すると共に、両弾性壁体部73b’と共に基体部72’側を中心とする回転方向に回転変位する。これによって、両側壁体部73’の弾性壁体部73b’が比較的小さい押し込み力によって互いに離反する方向に弾性的に撓み変形するので、ルーフモール20の装着が容易となる。
【0048】
また、ルーフモール20の装着状態において、ルーフモール20に、ルーフ溝5から抜け出る方向の外力が作用した場合、両側壁体部73’が互いに離反する方向に対しては前記外力の分力が小さく、外力の大部分が両側壁体部73’の撓み変形し難い上方へ作用する。このため、係止爪74’と、ルーフモール20の突出部60の係合部63とが係合状態に保たれルーフ溝5からルーフモール20が不測に抜け出る不具合を防止することができるとともに、安定した装着状態を維持することができる。
また、図13に示すように、ルーフモール20の装着状態において、両側壁体部73’の高さ寸法は、ルーフモール20の前側端部に向けてしだいに小さくなるように傾斜し、その傾斜方向と平行を保って係止爪74’がそれぞれ突出されている。
【0049】
特に、この実施の形態2においては、ルーフモール20をその一般部20aから長手方向の端末部20bにわたって押出成形によって一様な横断面に一体に形成した後、ルーフモール20の長手方向の端末部20bにおいては、同ルーフモール20の一般部20aにおける脚部30の凹凸状の係合部63が形成される部分30aを残して、その係合部63先端から切除されることで、その脚部30の残された部分30aを突出部60として容易に形成することができる。このため、ルーフモール20の端末部20bにインサート射出成形等によって前記端末部構成体61を形成する手間を省くことができる。
【0050】
(実施の形態3)
この発明の実施の形態3を図16〜図18にしたがって説明する。
図16は装着具を示す斜視図である。図17はルーフパネルのルーフ溝にルーフモールが装着された状態を示す横断面図である。図18はルーフパネルのルーフ溝にルーフモールが装着される直前の状態を示す横断面図である。
図16〜図18に示すように、この実施の形態3に係る車両用ルーフモール20の装着具170は、弾性力に富むばね鋼板から形成されている。すなわち、装着具170は、一枚の弾性力に富むばね鋼板がプレスの打ち抜き、折り曲げ加工によって形成されている。そして、装着具170は、ルーフ溝5の底壁部(上側底壁部13)に熱硬化性の接着剤層81によって固着される略平板状をなす基体部172と、その基体部172の幅方向両側部から互いに所定の間隔を保って立ち上がる板状の一対の両側壁体部173とをそれぞれ一体に有している。
また、両側壁体部173の先端部寄り部分の相対する側面には、その長手方向(傾斜方向)に延びる一対の係止爪174がそれぞれ内方に対向するように突出されている。
また、装着具70の基体部172と両側壁体部173との間の一部には、係止爪174の長手方向両端部を越える長さをもつ分離孔177がそれぞれ形成されている。
また、この実施の形態3において、両側壁体部173は、その各両端部を連結部178として基体部172と一体に連結され、両連結部178の間に分離孔177が形成されている。そして、両側壁体部173の分離孔177が形成されている長さ範囲において基体部172と連結されることなく自由状態となった弾性壁体部173bが形成されている。
【0051】
また、ルーフモール20の端末部20bにおいては、その脚部30が根元部において切除され、頭部22の裏面にはホルダ体100によって保持された基板部160aを根元部に有する突出部160が突設されている。この突出部160は、その下端部略中央部から基板部160aにわたって凹状の割溝160bが形成されこれによって突出部160が弾性的に縮拡可能に形成されている。
また、突出部160の両側面には凹凸状の係合部163が形成されている。
また、ルーフモール20の一般部においては実施の形態1と同様にして構成されるため、その説明は省略する。
【0052】
したがって、この実施の形態3においても、実施の形態1と略同様にして、装着具170の両側壁体部173の間にルーフモール20の突出部160が押し付けられ、かつ係止爪174に対し幅方向に開く方向の力が作用したときには、分離孔177の存在によって係止爪174が両側壁体部173の弾性壁体部173bと共に元の位置から互いに離反する方向に変位すると共に、両弾性壁体部173bと共に基体部172側を中心とする回転方向に回転変位する。これによって、両側壁体部173の弾性壁体部173bが比較的小さい押し込み力よって互いに離反する方向に弾性的に撓み変形する。ひいてはルーフモール20の装着が容易となる。
【0053】
また、ルーフモール20の装着状態において、ルーフモール20に、ルーフ溝5から抜け出る方向の外力が作用した場合、両側壁体部173が互いに離反する方向に対しては前記外力の分力が小さく、外力の大部分が両側壁体部173の撓み変形し難い上方へ作用する。このため、係止爪174と、ルーフモール20の突出部160の係合部163とが係合状態に保たれルーフ溝5からルーフモール20が不測に抜け出る不具合を防止することができるとともに、安定した装着状態を維持することができる。
【0054】
特に、この実施の形態3において、装着具170は、弾性力に富むばね鋼板から形成されるため、合成樹脂製のものよりも、耐熱性に優れ、クリープ変形などが少なく安定した装着性が維持される。
また、装着具170を熱硬化性の接着剤層81によってルーフ溝5の底壁部に固着する場合においても、装着具170がもつ耐熱性によって、熱硬化性の接着剤層81の材料選択肢が広がる。例えば、高い熱で硬化する熱硬化性の接着剤層81を用いて高温(焼付塗装する際の高い熱)で装着具170を接着した場合においても、装着具170の熱による劣化が生じない。車両ボディを焼付塗装時の熱で熱硬化性の接着剤層81が硬化し、装着具170が確実にかつ強固に接着(固着)される。
【0055】
(実施の形態4)
この発明の実施の形態4を図19にしたがって説明する。
図19はルーフパネルのルーフ溝にルーフモールが装着された状態を示す横断面図である。図19に示すように、ルーフモール20の端末部20bにおいて、その頭部22の裏面からルーフ溝5に向けて突出される突出部260が端末部構成体261によって形成されている。
端末部構成体261、すなわち、突出部260には、その下端面の中央部から根元部近傍に向けて凹部262が形成され、その凹部262の相対する内壁面には凹凸状の係合部263がそれぞれ形成されている。
一方、ルーフ溝5の底壁部に熱硬化性の接着剤層81等の固着手段によって固着された装着具270は、基体部272と、その基体部272の上面から互いに所定の間隔を保って立ち上がる板状の両側壁体部273とをそれぞれ一体に有して構成されている。
そして、両側壁体部273の先端部寄り部分の相対する側面の互いの反対面(幅方向で外側面)に、これら両側壁体部273の長手方向に延びる係止爪274がそれぞれ突設されている。
また、基体部272と両側壁体部273との間の一部には、長手方向に沿う分離孔277が形成される。
また、ルーフモール20の一般部においては実施の形態1と同様にして構成されるため、その説明は省略する。
【0056】
したがって、この実施の形態4においては、装着具270の両側壁体部273の間にルーフモール20の突出部260が押し付けられ、かつ係止爪274に対し幅方向に縮小する方向の力が作用したときには、分離孔277の存在によって係止爪274が両側壁体部273と共に元の位置から互いに接近する方向に変位すると共に、両側壁体部273と共に基体部272側を中心とする回転方向に回転変位する。これによって、両側壁体部273が比較的小さい押し込み力よって互いに接近する方向に弾性的に撓み変形する。ひいてはルーフモール20の装着が容易となる。
【0057】
なお、この発明は、前記実施の形態1〜4に限定するものではない。
例えば、ルーフモール20の一般部20aにおいて、その頭部22の裏面に突出される脚部(突出部60)30やその脚部30の両側部から弾性変形可能に延出される一対の弾性係止片50の断面形状は適宜に設定すればよい。例えば、図20に示すように、頭部22の裏面に突出された脚部30の突出端からルーフ溝5の溝壁面に向けて一対の弾性係止片50を突出してもよい。さらに、一対の弾性係止片50の先端部にルーフ溝5の溝壁面に圧接して係合する横断面略円形あるいは楕円形の係止部52を形成してもよい。
【0058】
【発明の効果】
以上述べたように、請求項1の発明に係る車両用ルーフモールの装着構造によれば、装着具の両側壁体部は、互いに離反する方向に変形しながら弾性的に撓むとともに、基体部側を中心とする回転方向にも弾性的に撓むため、前記両方向の合計された撓みによって両側壁体部の撓み量を増大させてルーフモールの装着を容易にすることができる。
また、ルーフモールの装着状態において、ルーフモールに、ルーフ溝から抜け出る方向の外力が作用した場合、両側壁体部が互いに離反する方向に対しては前記外力の分力が小さく、両側壁体部が互いに弾性的に撓むことが防止されるとともに、両側壁体部は、前記外力が作用する方向には変形しない。このため、両側壁体部が互いに弾性的に撓むことが防止される。この結果、ルーフ溝からルーフモールが不測に抜け出る不具合を防止することができ、安定した装着状態を維持することができる。
また、ルーフモールの端末部において長手方向に沿ってルーフ溝の相対深さが徐々に小さくなる場合でもルーフモールを正確な位置に容易に装着できる。
【0059】
また、請求項2の発明に係る車両用ルーフモールの装着構造によれば、請求項1に記載の発明に加え、ルーフモールの長手方向端末部を除く一般部においては、突出部の一対の弾性係止片がルーフ溝の側壁面に圧接して弾性変形し、その弾発力でルーフモールを保持することができる。このため、ルーフパネルのルーフ溝に対し、ルーフモールをその全長にわたって安定した装着状態に維持することができ、ルーフモールの浮き上がりによる見栄えの悪化等を防止することができる。
請求項3の発明に係る車両用ルーフモールの装着構造によれば、請求項1又は2に記載の発明に加え、装着具と嵌合係止に適した材料を適宜に選択して端末部構成体を容易に形成することができるため、例えば、端末部構成体をモール本体部よりも強度が大きくかつ滑り性の良い材料で形成した場合には、ルーフ溝に対するルーフモールの装着性(挿入性)や装着後の安定性をより一層向上できる。
【0060】
請求項4の発明に係る車両用ルーフモールの装着構造によれば、請求項3に記載の発明に加え、両側面に装着具に対応する凹凸状の係合部を有する端末部構成体を射出成形により容易にかつ正確に形成することができるため、装着具に対する嵌込みや係合を安定化することができ、ルーフモールの装着性の向上を図ることができる。
【0061】
請求項5の発明に係る車両用ルーフモールの装着構造によれば、請求項1又は2に記載の発明に加え、頭部と突出部とを一体に有するルーフモールの押出成形と同時にその突出部の両側面に凹凸状の係合部を容易に形成することができるため、端末部構成体を必要とせず、ルーフモールの生産性の向上やコスト低減に効果が大きい。
請求項6の発明に係る車両用ルーフモールの装着構造によれば、請求項1〜5のいずれか一項に記載の発明に加え、係止爪は、分離孔の長さ範囲内において形成されているため、装着具の両側壁体部の互いに離反する方向あるいは接近する方向の弾性的な撓み変形は分離孔の存在によって容易となるため、ルーフモールの装着が一層容易となる。
【0062】
請求項7の発明に係る車両用ルーフモールの装着具によれば、装着具の両側壁体部は、互いに離反する方向に変形しながら弾性的に撓むとともに、基体部側を中心とする回転方向にも弾性的に撓むため、前記両方向の撓みの合計によって両側壁体部の撓み量を増大させてルーフモールの装着を容易にすることができる。
また、ルーフモールの装着状態において、ルーフモールに、ルーフ溝から抜け出る方向の外力が作用した場合、両側壁体部が互いに離反する方向に対しては前記外力の分力が小さく、両側壁体部が互いに弾性的に撓むことが防止されるとともに、両側壁体部は、前記外力が作用する方向には変形し難い。このため、両側壁体部の係止爪と、ルーフモールの突出部の係合部とが係合状態に保たれる。この結果、ルーフ溝からルーフモールが不測に抜け出る不具合を防止することができ、安定した装着状態を維持することができる。
また、ルーフモールの端末部において長手方向に沿ってルーフ溝の相対深さが徐々に小さくなる場合でもルーフモールを正確な位置に容易に装着できる。
【0063】
請求項8の発明に係る車両用ルーフモールの装着具によれば、請求項7に記載の発明に加え、装着具を射出成形によって容易に形成することができ、量産化によるコスト低減に効果が大きい。
また、合成樹脂製の装着具は金属製のものと異なり、錆び付きによる不具合がなく耐久性に優れる。
また、分離孔は、平面投影において係止爪の先端を越える位置まで形成されているため、装着具の両側壁体部の互いに離反する方向あるいは接近する方向の弾性的な撓み変形は分離孔の存在によって容易となり、ルーフモールの装着性が向上する。
請求項9の発明に係る車両用ルーフモールの装着具によれば、請求項7に記載の発明に加え、金属製の装着具は合成樹脂製のものと異なり、耐熱性に優れるため、クリープ変形などが少なく安定した装着性が維持される。
また、装着具を熱硬化性接着剤によってルーフ溝の底壁部に固着する場合においても、耐熱性に優れるため、熱硬化性接着剤の選択肢が広がる。例えば、硬化温度が高い熱硬化性接着剤を用いて高温で装着具を接着した場合においても、装着具の熱による劣化が生じない。
請求項10の発明に係る車両用ルーフモールの装着具によれば、請求項7〜9のいずれか一項に記載の発明に加え、車両ボディを焼付塗装時の熱で熱硬化性の接着剤層を硬化させて装着具を確実にかつ強固に接着(固着)することができるため、接着不良によって装着具が不測に位置ずれする不具合を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1に係る車両用ルーフモールが装着された車両のルーフパネルを斜め上方から表した斜視図である。
【図2】 同じくルーフパネルのルーフ溝にルーフモールが装着された状態を示す図1のII−II線に沿う横断面図である。
【図3】 同じくルーフパネルのルーフ溝にルーフモールが装着された状態を示す図1のIII−III線に沿う縦断面図である。
【図4】 同じくルーフパネルのルーフ溝にルーフモールが装着された状態を示す図3のIV−IV線に沿う横断面図である。
【図5】 同じくルーフパネルのルーフ溝にルーフモールを押し込んで装着される直前の状態を示す横断面図である。
【図6】 同じくルーフモールと端末部構成体とが分離された状態を裏面側から示す斜視図である。
【図7】 同じくルーフモールの裏面の所定位置に端末部構成体が一体化された状態を表面側から示す斜視図である。
【図8】 同じく装着具を示す斜視図である。
【図9】 同じく装着具を示す平面図である。
【図10】 同じく装着具を示す横断面図である。
【図11】 同じくルーフモールの保持力を測定するための引っ張り装置とルーフモールとの関係を示す説明図である。
【図12】 同じく挿入力と保持力とをそれぞれ5回にわたって測定した測定結果を示す説明図である。
【図13】 この発明の実施の形態2に係る車両用ルーフモールがルーフパネルのルーフ溝に装着された状態を示す縦断面図である。
【図14】 同じくルーフパネルのルーフ溝にルーフモールが装着された状態を示す図13のXIV−XIV線に沿う横断面図である。
図である。
【図15】 同じくルーフパネルのルーフ溝にルーフモールが装着される前の状態を示す横断面図である。
【図16】 この発明の実施の形態3に係る車両用ルーフモールの装着具を示す斜視図である。
【図17】 同じくルーフパネルのルーフ溝にルーフモールが装着された状態を示す横断面図である。
【図18】 同じくルーフパネルのルーフ溝にルーフモールが装着される直前の状態を示す横断面図である。
【図19】 この発明の実施の形態4に係る車両用ルーフモールがルーフパネルのルーフ溝に装着された状態を示す横断面図である。
【図20】 この発明の他の実施の形態に係る車両用ルーフモールの一般部を示す横断面である。
【符号の説明】
1 ルーフパネル
5 ルーフ溝
14 下側底壁部(底壁部)
20 ルーフモール
21 モール本体部
22 頭部
30 脚部(突出部)
50 弾性係止片
60 突出部
61 端末部構成体
63 係合部
64 凹部
65 凸部
70 装着具
72 基体部
73 側壁体部
74 係止爪
81 熱硬化性の接着剤層(固着手段)

Claims (10)

  1. ルーフパネルに設けられた凹状のルーフ溝に嵌込まれかつ弾性材料よりなる装着具を介して装着される長尺のルーフモールの装着構造であって、
    前記ルーフモールは、前記ルーフ溝の溝幅方向の少なくとも一部を塞ぐ頭部と、その頭部の裏面側から前記ルーフ溝の溝内に向けて突出する突出部とを有し、
    前記ルーフモールの長手方向端末部近傍において、前記突出部の両側面には凹凸状の係合部が形成され、
    前記装着具は、弾性材料から形成され、少なくとも前記ルーフモールの長手方向端末部近傍において前記ルーフ溝の底壁部に固着される基体部と、その基体部の幅方向両側部から互いに所定の間隔を保って立ち上がる板状の両側壁体部とをそれぞれ一体に有し、
    前記両側壁体部の先端部寄り部分の相対する側面には、これら両側壁体部の長手方向に延びる係止爪がそれぞれ内方へ対向するように突設され、
    前記基体部と前記両側壁体部との間の一部には、長手方向に沿う分離孔が形成され、
    前記ルーフ溝の底壁部に前記装着具の基部が固着された状態で前記装着具の両側壁体部に前記ルーフモールの突出部が押し付けられることで、前記両側壁体部が幅方向の外側へ弾性変形され、前記係止爪が前記係合部に達した時前記両側壁体部が弾性復帰することによって前記係止爪が前記係合部に係合する構成にしてあり、
    前記ルーフモールの長手方向端末部において、ルーフモールの前記突出部は、頭部の裏面側の一部に一体状に設けられた端末部構成体によって形成され、
    さらに、下記のイとロのいずれかの構成を有する、
    イ.前記端末部構成体は、長手方向で前記ルーフモールの頭部から前記端末部構成体の両側面の凹凸状の係合部までの距離寸法が先端側に向けてしだいに小さくなるように変化しており、前記距離寸法の変化は、前記ルーフモールの所定の装着状態において前記係合部が前記ルーフ溝の底壁部と平行状態を保ちかつ同係合部の延長線が前記ルーフモールの頭部と交差するように構成されている、
    ロ.前記ルーフモールの装着状態において、前記両側壁体部の基体部からの高さ寸法は、前記ルーフモールの長手方向端部に向けてしだいに小さくなるように傾斜し、その傾斜方向と平行を保って係止爪がそれぞれ突出している、
    ことを特徴とする車両用ルーフモールの装着構造。
  2. 請求項1に記載の車両用ルーフモールの装着構造であって、
    ルーフモールの長手方向端末部を除く一般部には、ルーフモールの突出部の両側部から幅方向に向けてそれぞれ延出されかつルーフ溝の溝幅を越える長さで突出する一対の弾性係止片が一体に形成され、
    前記ルーフモールの突出部が前記ルーフ溝内の所定位置まで押し付けられて装着されたときには、前記一対の弾性係止片がルーフ溝の側壁面に圧接して弾性変形するとともに、その弾発力で前記ルーフモールを保持する構成にしてあることを特徴とする車両用ルーフモールの装着構造。
  3. 請求項1又は2に記載の車両用ルーフモールの装着構造であって、
    末部構成体の両側面に装着具に対応する凹凸状の係合部が形成されていることを特徴とする車両用ルーフモールの装着構造。
  4. 請求項3に記載の車両用ルーフモールの装着構造であって、
    端末部構成体は、頭部の裏面側の一部にインサート射出成形によって一体成形されていることを特徴とする車両用ルーフモールの装着構造。
  5. 請求項1又は2に記載の車両用ルーフモールの装着構造であって、
    ルーフモールの頭部と突出部は押出成形によって一体に形成され、
    前記突出部の両側面に凹凸状の係合部が前記頭部と平行に長手方向に連続して形成されていることを特徴とする車両用ルーフモールの装着構造。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の車両用ルーフモールの装着構造であって、
    装着具の両側壁体部の係止爪は、長手方向において分離孔の長さ範囲内において形成され、
    前記両側壁体部は、長手方向の両端部において基体部と連結されていることを特徴とする車両用ルーフモールの装着構造。
  7. ーフパネルに設けられた凹状のルーフ溝に嵌込まれる長尺のルーフモールを装着するための車両用ルーフモールの装着具であって、
    前記装着具は、弾性材料から形成され、少なくとも前記ルーフモールの長手方向端末部近傍において前記ルーフ溝の底壁部に固着される基体部と、その基体部の幅方向両側部から互いに所定の間隔を保って立ち上がる板状の両側壁体部とをそれぞれ一体に有し、
    前記両側壁体部の先端部寄り部分の相対する側面には、これら両側壁体部の長手方向に延びる係止爪がそれぞれ内方へ対向するように突設され、
    前記基体部と前記両側壁体部との間の一部には、長手方向に沿う分離孔が形成され、
    前記係止爪は、長手方向において分離孔の長さ範囲内において形成され、
    前記係止爪に対し幅方向の拡大する方向の力が作用したときには、前記係止爪が前記両側壁体部と共に元の位置から互いに離反する方向へ弾性変位すると共に、前記両側壁体部と共に前記基体部側を中心として幅方向の外側へ回転変位する構成にしてあり、
    さらに、前記ルーフモールの装着状態において、前記両側壁体部の基体部からの高さ寸法は、前記ルーフモールの長手方向の端部に向けてしだいに小さくなるように傾斜し、その傾斜方向と平行を保って係止爪がそれぞれ突出していることを特徴とする車両用ルーフモールの装着具。
  8. 請求項7に記載の車両用ルーフモールの装着具であって、
    装着具は、弾性力に富む硬質の合成樹脂材料の射出成形によって形成され、
    係止爪は、両側壁体部の先端部寄り部分の相対する側面からそれぞれ突出され、
    分離孔は、基体部の幅方向両側縁から中心線側に向けかつ平面投影において前記係止爪の先端を越える位置まで形成されていることを特徴とする車両用ルーフモールの装着具。
  9. 請求項7に記載の車両用ルーフモールの装着具であって、
    装着具は、弾性力に富むばね鋼板から形成され、
    係止爪は、両側壁体部の先端部寄り部分の相対する側面からそれぞれ突出されていることを特徴とする車両用ルーフモールの装着具。
  10. 請求項7〜9のいずれか一項に記載の車両用ルーフモールの装着具であって、
    基体部は平板状をなし、その基体部のルーフパネルのルーフ溝の底壁部に対向する面に、前記ルーフパネルの焼付塗装時の熱で硬化可能な熱硬化性の接着剤層が設けられていることを特徴とする車両用ルーフモールの装着具。
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