JP4188494B2 - ゴムクローラ及びゴムクローラ走行装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴムクローラ及びゴムクローラ走行装置に係り、コンバイン,ハーベスタ等の圃場を走行する農機に使用するものである。
【0002】
【従来の技術】
圃場を走行して刈取り、脱こくおよび袋詰めの一連作業を行う自脱形コンバインにおいては、ゴムクローラ走行装置、特に、前部駆動形のゴムクローラ走行装置が採用されている。
すなわち、図8に示している自脱形コンバイン1は、駆動輪(スプロケットホイール)2と遊動輪(アイドラー)3とを前後に備え、両輪2,3間に複数、図では1〜4の転輪4をトラックフレームに備え、これらにゴムクローラ5が巻掛けられて走行装置6を構成しており、アイドラー3は矢示Xの如くテンション調整自在とされている。
【0003】
ゴムクローラ5は、図3〜図5に示すものが一般に採用されていた。図3のゴムクローラ5は、ゴム材料によって無端帯状に形成されたクローラ本体7の接地面側に横一文字状の走行ラグ8を隆起して備え、該走行ラグ8をクローラ本体7に帯長手方向に間隔を有して埋設した芯金9上に配列したものである。
図4のゴムクローラ5は、芯金9の左右端部上に位置する左右の走行ラグ8とこのラグ間に排土部10を形成し、芯金9上の横一文字状の走行ラグ8とを帯長手方向に配列したものである。
【0004】
図5のゴムクローラ5は接地部が矢示Yの如く回走するとき、左右の走行ラグ8を斜め方向に配列してクローラ本体7の帯幅中央部に排土部10を形成したものであり、図3〜5において、符号11は駆動輪2が係脱する係合孔を示している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
図8で例示したコンバイン1によって刈取り、脱こく、袋詰めの一連作業を行うとき、圃場が軟弱であるときがある。
このように軟弱圃場で作業を行うとき、走行装置6は機体重量を支持して機体を進行させるものであるから、図6で示すように走行装置6が圃場に沈下Hすることがある。
このように走行装置6が沈下すると直下の泥が側方に押出されて盛土Qとなり、この盛土Qが発生すると稲株Sの途中Tから刈取ることとなり、これでは切株高さが高く残るとともに、刈取った稲の搬送、脱こくに支障をきたし、盛土Qに刈り刃が突込むと刈り刃の切味の劣化が早ることになる。
【0006】
特に、図3に示したゴムクローラ5では直下の泥の逃げ場がないことから、沈下すると盛土Qの高さが顕著であった。
また、図4に示したゴムクローラ5では、排土部10を介して泥の逃げ場があるけれども、該排土部10を介して前方に押出された泥が次の走行ラグ8によって総めて側方に押し出すとともに、係合孔11の泥詰まりが生じて駆動輪2による確実な駆動力を損なうという課題もなった。
図5に示すゴムクローラ5によれば、排土部10が帯幅中央部において一直線上につながっているため、係合孔11に泥詰まりが生じて駆動輪2による確実な駆動力を損なうだけでなく、矢示Zで示すように、走行ラグ8で蹴り出した土を側方に逃げ出す(押出す)傾向となり、盛土Qが高くなるという課題があった。
【0007】
そこで本発明は、クローラ本体の接地面側に隆起された走行ラグの配列を工夫することにより、軟弱地走行に際しての盛土を抑制するとともに、駆動輪の係合孔への確実な係脱ができるようにしたことを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ゴム材料によって無端帯状に形成されたクローラ本体7と、前記クローラ本体7の接地面側において帯長手方向に間隔を有して配された複数の走行ラグ8と、前記走行ラグ8間に設けられ走行装置6の駆動輪2に駆動されるための係合孔11と、を有し、前記走行ラグ8は前記クローラ本体7の帯幅方向両側に対として振り分けられて設けられ、振り分けられた対の前記走行ラグ8の帯幅方向内方の端間には排土部10が形成されており、帯長手方向に隣り合う前記排土部10が前記係合孔11に対して帯幅方向に千鳥状であって前記係合孔11に対して帯幅方向に位相がずらされていることを特徴とするものである。
【0009】
このように帯長手方向で隣接(隣り合う)する排土部(開口部)10は帯長手方向で一直線上でなく帯幅方向で位相がずらされて左右千鳥状に配列されていることにより、走行ラグ8による牽引力は充分で駆動力を確保できるし、該走行ラグ8を横一文字状とすることにより大きな牽引力を約束するのであり、軟弱地を走行するとき、クローラ本体7が沈下したとしても両側での盛土Qが低くすることができる。
対の前記走行ラグ8は、それぞれ帯幅方向の端から帯長手方向の同じ側に傾斜して帯幅方向の内方に伸びるように形成してもよい。
【0010】
走行ラグ8を傾斜させ排土部10に向かって集土することによって、軟弱地を走行してクローラ本体7が沈下したとしても両側での盛土Qは確実に低くなるのである。
また、本発明に係るゴムクローラ走行装置では、駆動輪2と遊動輪3とを前後に備え、該両輪2,3間に複数個の転輪4を備え、駆動輪2、遊動輪3および転輪4に前記ゴムクローラ5が巻掛けられる。
このように構成したことによって、泥が側方へ押出されてた盛土Qは第1転輪4直下でそのほとんどが発生することから、この泥土の前部又は一部を次に接地しようとする走行ラグ8の排土部10から前方に排出することとなって、両側の盛土Qをほとんど発生することがなく有利となる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、図3〜図8を参照して既述した構成と共通する部分(部材)には共通符号を付している。
図1は本発明に係るゴムクローラ5の第1実施の形態の一部を平面的に示しており、ゴム材料で無端帯状に形成されたクローラ本体7には、その接地面側に断面台形状とされた横一文字状の走行ラグ8が帯長手方向の間隔を有して隆起して備えられており、該走行ラグ8を帯幅方向の左右で振分けることによって排土部10が形成されている。
【0012】
なお、排土部(開口部)10は、走行ラグ8の長手方向の中途を接地頂面から切欠を形成することによっても構成でき、走行ラグ8を左右で振分けるとは、この切欠によって振分けることも含む意味であり、このとき、切欠の深さは走行ラグ8の高さの全高でなくとも良い。
帯長手方向で隣接(隣り合う)する排土部10は帯長手方向で一致しないように帯幅方向で位相をずらして左右千鳥状に配列されているとともに、クローラ本体7の帯幅中央部位に開設した係合孔(駆動孔)11に対しても帯幅方向に位相がずらされている。
【0013】
すなわち、図5に示した従来例では帯長手方向で一直線上(連続して)に排土部10を有することから、この排土部10を介して排出された泥土には走行ラグ8の牽引力がロスされるのに対し、本実施形態の排出部10は幅方向に位相ずれしていることから、走行ラグ8間で泥土を保持して牽引力のロスを防止して駆動力を確保しているのである。
また、図5を示した従来例では排土部10と係合孔11の位置が一致していることから、係合孔11の泥詰まりが発生し易く、これ故、駆動輪2における爪の係脱が不確実となるのに対し、本実施の形態では排土部10とは係合孔11が位相をずらされていることにより、従来例(図5)よりも係合孔11への泥詰まりは少なくなって、ここに、駆動輪2における詰めの係脱が確実となるだけでなく、爪の摩耗も少なくなるのである。
【0014】
図1に示した第1実施の形態では排土部10の幅Aは接地面間が最大幅でラグ根元(付根)は狭くされており、また、符号Bで示す芯金埋設幅において左右の走行ラグ8が左右対を組として左右千鳥状として芯金9上に重ね合されている。
図2は本発明に係るゴムクローラ5の第2実施形態を接地面から見た底面図であり、クローラ5がY方向に回走するとき、左右の振り分けられた走行ラグ8における泥土は、該ラグ8の長手方向に沿ってX方向に集土、すなわち、排土部10に集まるように配列されており、ここに、左右の走行ラグ8は角度θを有した斜めラグとされた点が前述した第1の実施の形態とは異なり、その他の構成、作用は共通するので共通部分は共通符号を付している。
【0015】
この第2実施の形態によれば、泥土は側方に押出されること少なく、排土部10に向かって集土されることから、軟弱地走行に際して図6で示した盛土Qが発生しないか発生しても低いものとするものである。
なお、図2においては、左右の走行ラグ8は、そのラグ長さを長短異なるものとして例示しているが、同じ長さのものであっても構わない。
図7は前述した第1・2の実施の形態に係るゴムクローラ5を駆動輪2と遊動輪3および複数個(図では4列)の転輪4に巻掛けた本発明に係る走行装置6を示している。
【0016】
軟弱地を走行する場合、走行装置6が沈下して泥土が側方へ押出され盛土Qが発生するのは第1転輪(駆動輪2に最も近い転輪をいう)4の直下がほとんどである。
そこで、走行ラグ8に排土部10を形成することにより、第1転輪4に働く機体の重量で直下の泥土を次に接地しようとしている走行ラグ8の排土部10から符号Uで示すごとく進行方向前方へ排出して、沈下時の盛土Qの発生を防止又は抑制しているのである。
【0017】
このように、盛土Qの発生を防止又は抑制していることから、コンバイン等で刈取り脱こく作業を実施する場合でも、切株の高さを低くして、刈穂の長さを長くすることができることから刈穂の搬送、脱こく作業が円滑かつ確実になるし、刈刃の早期損傷が防止できたのである。
なお、本発明に係るゴムクローラ及び走行装置は、コンバイン以外のハーベスタ等に採用できること勿論である。
【0018】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、軟弱地を走行して沈下しても盛土の発生がないか少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るゴムクローラの第1実施形態を示す一部の底面図である。
【図2】 本発明に係るゴムクローラの第2実施形態を示す一部の底面図である。
【図3】 従来例の1のゴムクローラの一部を示す底面図である。
【図4】 従来例の2のゴムクローラの一部を示す底面図である。
【図5】 従来例の3のゴムクローラの一部を示す底面図である。
【図6】 ゴムクローラの沈下状態を示す断面図である。
【図7】 本発明に係る前部駆動形ゴムクローラ走行装置の側面図である。
【図8】 前部駆動形ゴムクローラ走行装置を有するコンバインの側面図である。
【符号の説明】
2 駆動輪
3 遊動輪
4 転輪
5 ゴムクローラ
6 ゴムクローラ走行装置(走行装置)
7 クローラ本体
8 走行ラグ
9 芯金
10 排土部(開口部)
11 係合孔(駆動孔)
Claims (3)
- ゴム材料によって無端帯状に形成されたクローラ本体(7)と、
前記クローラ本体(7)の接地面側において帯長手方向に間隔を有して配された複数の走行ラグ(8)と、
前記走行ラグ(8)間に設けられ走行装置(6)の駆動輪(2)に駆動されるための係合孔(11)と、を有し、
前記走行ラグ(8)は前記クローラ本体(7)の帯幅方向両側に対として振り分けられて設けられ、
振り分けられた対の前記走行ラグ(8)の帯幅方向内方の端間には排土部(10)が形成されており、
帯長手方向に隣り合う前記排土部(10)が前記係合孔(11)に対して帯幅方向に千鳥状であって前記係合孔(11)に対して帯幅方向に位相がずらされている
ことを特徴とするゴムクローラ。 - 対の前記走行ラグ(8)は、それぞれ帯幅方向の端から帯長手方向の同じ側に傾斜して帯幅方向の内方に伸びている
請求項1に記載のゴムクローラ。 - 駆動輪(2)と遊動輪(3)とを前後に備え、
該両輪(2)(3)間に複数個の転輪(4)を備え、
駆動輪(2)、遊動輪(3)および転輪(4)に請求項1又は請求項2に記載のゴムクローラ(5)が巻掛けられた
ことを特徴とするゴムクローラ走行装置。
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JP12252799A JP4188494B2 (ja) | 1999-04-28 | 1999-04-28 | ゴムクローラ及びゴムクローラ走行装置 |
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Cited By (1)
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-
1999
- 1999-04-28 JP JP12252799A patent/JP4188494B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2012070609A1 (ja) | 2010-11-25 | 2012-05-31 | 株式会社ブリヂストン | ゴムクローラ |
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