JP4187944B2 - 車載用経路案内方法及び車載用経路案内装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、有料道路を効率的に利用する経路探索機能を有する車載用経路案内方法及び車載用経路案内装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
目的地までの経路探索を行う車載用ナビゲーションシステム、つまりナビゲーション装置は、近年、種々の車両などに搭載されており、また、これらのナビゲーション装置は種々報告されている。例えば、特開平2−17409号公報には、ユーザが指定した料金によって経路選択が行われる経路選択方式が開示されている。この方式によれば、ユーザが経済的に利用不可能な経路を選択することがないので、利用者自身の経済的条件を満たす最短経路を選択することができる。また、特開平9−218050号公報においても、ユーザの指定料金で通行できる最適経路を探索するナビゲーション装置が開示されている。この技術によれば、目的地までの最適経路に有料道路が含まれているときには、ユーザが利用料金の上限値を指定することによって、一般道路と有料道路とを含めて最も経済的な経路を探索することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の車載用経路案内方法は以上のように構成されているので、最短経路あるいは経済的経路の経路計算を行う場合に、有料道路を優先として経路探索を行っている方法が一般的である。つまり、このような従来の経路探索方法は、有料道路を優先的に利用するように経路が求められるような機能となっているため、経済的な面も含めて効率的に有料道路を利用することができない。また、特開平9−218050号公報のように、指定された料金内で経路を求める方法も報告されているが、この方法は料金を一定値以内にするだけであって、必ずしも選択された経路が距離的及び経済的に効率的な経路とは言えない場合もある。
【0004】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、支払金額を経路計算のコストに反映させ、さらに、支払い方法を考慮することによって、効率的な経路が求められるような車載用経路案内方法及び車載用経路案内装置を得ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る車載用経路案内方法は、出発地から目的地までの経路探索を行う車載用経路案内方法において、経路探索は、出発地から目的地までの利用距離と利用料金とに基づいて作成される経路コストを経路選択の指標として行い、更に、利用料金の支払い方法を選択して行うものである。
【0006】
この発明に係る車載用経路案内方法は、経路コストは、利用距離と、利用料金に重み付け係数を乗算して距離の単位に換算した値とを加算したものである。
【0007】
この発明に係る車載用経路案内方法は、重み付け係数は可変できるものである。
【0008】
この発明に係る車載用経路案内方法は、有料道路の属性により利用料金を推定し、推定された利用料金に基づいて経路コストを算出するものである。
【0009】
この発明に係る車載用経路案内方法は、予め指定した金額を越さない範囲の利用料金に基づいて算出された経路コストにより、経路の選択を行うものである。
【0010】
この発明に係る車載用経路案内方法は、通過済みの料金所を記憶して利用料金の計算を行い、経路コストを算出するものである。
【0012】
この発明に係る車載用経路案内方法は、高速道路用プリペイドカードを利用して経路探索を行うものである。
【0013】
この発明に係る車載用経路案内方法は、任意の設定により、自動料金収受システムの利用可能な料金所における利用料金の支払いを経路コストに反映させたり、反映させなかったりするものである。
【0014】
この発明に係る車載用経路案内装置は、経路コストを経路選択の指標として経路探索を行う経路探索手段を備え、経路探索手段は、更に、利用料金の支払い方法を選択して経路探索を行うものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図2はこの発明の実施の形態1による車載用経路案内方法を実現させるためのナビゲーション装置の機能ブロック図である。図2において、21は位置情報を検出する位置検出部であり、地磁気センサ,車速センサ又はGPS受信機などから構成され各種センサの情報が選択的に検出される。22は乗員が所望の入力操作を行う操作部であり、キースイッチやライトペンなどの入力器具によって構成されている。23はナビゲーション装置の各部の制御を行うマイクロコンピュータで構成された制御部である。つまり、この制御部23は、CPU26とメモリ25と入力回路24と出力回路27とを接続してマイクロコンピュータを構成している。28は各種の表示を行う表示部であって、制御部23によって表示信号に変換された各種のデータに基づいて表示を行うものである。29は道路地図データなどを記憶したデータ記憶部であり、例えば、コンパクトディスク(CD)に記憶した道路地図データなどを読み出すものであり、外部記憶装置として動作するものである。
【0016】
次に動作について説明する。
予め、乗員が操作部22よって出発地、目的地などを入力すると、制御部23の入力回路24によってこれらの入力情報が取り込まれてメモリ25に記憶される。そして、制御部23は、データ記憶部29から所望の地域の道路地図データなどを読み出し、道路地図データ上に出発地、目的地などを記録する。車両の走行中において、制御部23は、GPS受信機などの位置検出部21から刻々と位置情報を入力し、CPU26よって道路地図データ上の現在位置を演算して出力回路27より表示部28へ送信する。これによって、表示部28は道路地図データ上に現在位置を表示させる。
【0017】
図1はこの発明の実施の形態1による車載用経路案内方法の説明図である。図1において、1は車両の現在位置と方向を検出する現在位置検出手段、2は目的地を設定するための目的地設定手段、3は経路探索を行うときの支払い条件を設定する探索条件設定手段、4は料金計算ができないときに支払い料金の推定を行う料金推定手段、5は道路を選択するための指標となる経路コストが最も低くなる最適な推奨経路を探索する経路探索手段、6は支払料金の計算を行う料金計算手段、7は乗員に経路情報を提示する提示手段、8は道路データに関する情報を記憶する道路データ格納手段、9は有料道路の料金情報を格納する料金データ格納手段である。尚、現在位置検出手段1は、地磁気センサ、GPS、ジャイロなど如何なる方式であっても差し支えない。
【0018】
次に、これらの各手段の機能を詳細に説明する。
現在位置検出手段1は、一定時間間隔毎に、例えば、1秒毎に車両の現在位置と車両の向いている方向の検出を行う。目的地設定手段2は、乗員が目的地を設定するための操作機器であって、目的地が入力されるとその情報を経路探索手段5ヘ伝える機能を有する。探索条件設定手段3は、乗員が経路探索を行う際の支払い区分や支払い条件を設定する手段であり、例えば、高速道路用プリペイドカードを利用できる道路を「利用する」または「利用しない」と設定したり、自動料金収受システムの存在する道路を「利用する」または「利用しない」と設定したり、クレジットカードや高速道路用プリペイドカードが利用できる道路を「利用する」または「利用しない」と設定したりすることが可能であり、設定された条件を経路探索手段5ヘ伝達する機能を備えている。料金推定手段4は、経路探索手段5が道路データ格納手段8より取出した料金所情報及び料金所に進入する道路リンク情報を受け取り、支払料金を推定する機能を備えている。
【0019】
経路探索手段5は、現在位置検出手段1が検出した現在位置に最も近い道路を出発地道路とし、目的地設定手段2が設定した目的地に最も近い道路を目的地道路として、道路データが取り込まれていない場合は道路データ格納手段8より道路データを取り込み、この道路データに基づいて出発地道路から目的地道路までの走行距離を経路コストとし、この経路コストが最も低くなる最適な推奨経路を探索する機能を備えている。また、経路探索手段5は、料金計算手段6及び料金推定手段5により経路走行に必要な料金を求め、料金を経路コストに反映させて推奨経路を探索することも可能である。
【0020】
料金計算手段6は、経路探索手段5が道路データ格納手段8より取り出した料金所情報を受け取り、更に料金データ格納手段9に格納する料金情報を用いて支払料金を求める機能を備えている。提示手段7は、現在位置検出手段1からの車両現在位置情報と、車両の向いている方向と、道路データ格納手段8からの道路データと、経路探索手段5により探索された推奨経路とを乗員に提示する機能を備えている。例えば、CRT(Cathode Ray Tube)とその表示制御回路とからなり、道路地図の拡大表示、縮小表示、地図に重ね合わせた経路の表示、目的地を入力するための地図の選択表示、目的地の表示、車両現在位置の表示、車両の方向表示などを行う機能を備えている。
【0021】
道路データ格納手段8は、道路データ及び道路データに関する情報を記憶する手段であり、詳細は後述するが、図4に示す道路データのような各種の道路情報が記憶されている。例えば、図4において、「●」印が交差点又は有料道路との接続点である料金所を示す。これらの料金所については、料金所情報として、料金所名と対距離制による料金支払か、均一の料金支払いかといった料金支払い方式の情報を提示している。また、「●」印を結ぶ路線は各交差点又は料金所間の道路を示す道路リンクであり、これらの道路リンクには道路リンク情報として、道路種別、リンク距離、及び有料道路については、自動料金収受システム・高速道路用プリペイドカード・クレジットカードなどの料金の支払い可能方式の情報を提示している。
【0022】
道路種別とは、例えば、都市間高速、都市高速、一般有料道、国道、県道、地方道などの道路リンクの種別を示すものである。また、リンク距離とは道路リンクの距離であり、例えばm(メートル)単位による道路区間の道なりの距離を示すものである。さらに、料金の支払い可能方式とは、道路種別が都市間高速又は都市高速又は一般有料道の有料道路のみについて課金する料金の支払い方式であって、現金による支払い以外の、例えば、高速道路用プリペイドカードによる支払いが可能とか、自動料金収受システムによる支払いが可能とか、クレジットカードによる支払いが可能といった情報を提示するものである。
【0023】
料金データ格納手段9は、有料道路に関する料金情報を格納する手段であり、詳細は後述するが、図7の都市間高速料金表(対距離料金制)や、図8の都市高速・一般有料道路料金表(均一料金制)に示すようなデータがデータベースに入っている。例えば、図7における料金表は、都市間高速などの対距離制の料金形態である道路の料金データであり、縦軸の項目は各入口料金所名を示し、横軸の項目は各出口料金所名を示している。したがって、入口料金所名と出口料金所名を指定することによって該当区間の料金を求めることができる二次元の表である。また、図8における料金表は、都市高速や一般有料道の均一料金制の料金形態である道路の料金データであり、各料金所毎の料金を求めることが可能な表である。尚、道路データ格納手段8に格納させる道路データや道路データに関する情報や、料金データ格納手段9に格納させる有料道路に関する料金情報などは、インターネットを通して外部から入力することもできる。
【0024】
次に動作について説明する。
図3はこの発明の車載用経路案内方法の動作の流れを示すフローチャートである。したがって、図1の車載用経路案内方法を、図3のフローチャートを用いて説明する。先ず、目的地設定手段2によって乗員の希望する目的地を設定する(ステップST1)。次に、探索条件設定手段3によって探索条件を設定する(ステップST2)。ここで、探索条件としては、例えば、「高速道路用プリペイドカードが利用できる道路を利用する/しない」又は、「自動料金収受システムが整備されている道路を利用する/しない」あるいは、「クレジットカードが利用できる道路を利用する/しない」などの選択を乗員が任意に設定する。
【0025】
次に、現在位置検出手段1より車両の現在位置を取り込み(ステップST3)、さらに、経路探索手段5によって、道路データ格納手段8から道路データを取り込み、現在位置に最も近い道路リンクを検索して出発地道路とし(ステップST4)、目的地に最も近い道路リンクを目的地道路とし(ステップST5)、ステップST2で設定した探索条件に基づいて、出発地道路から目的地道路までの最適経路を、経路探索のループにより探索する(ステップST6)。
【0026】
例えば、図4に示す道路データ格納手段8より取り込んだ道路データにおいて、目的地Gまでの目的地道路が道路リンク402であり、出発地Sを起点とする出発地道路が道路リンク401であり、探索条件として「高速道路用プリペイドカードが利用できる道路を利用する」、及び「自動料金収受システムが整備されている道路を利用する」が設定されているとする。ここで、道路リンクのコスト=道路リンクの道路距離、として単純に経路を求める場合は、経路コストが最も小さくなる経路として、道路リンク401、403、404、402という経路が探索される。
【0027】
また、例えば、図4の道路データにおいて、目的地道路が道路リンク402であり、出発地道路が道路リンク401であり、探索条件として「高速道路用プリペイドカードが利用できる道路を利用しない」、及び「自動料金収受システムが整備されている道路を利用しない」が設定されており、道路リンクのコスト=道路リンクの道路距離、として単純に経路を求める場合は、経路コストが最も小さくなる経路として、道路リンク401、411、413、406、407、402という経路が探索される。
【0028】
次に、ステップST6以降の、経路探索のループ内の処理について説明する。つまり、前述のような探索条件に基づいて、道路リンクのコストの総和が最も小さい道路リンクを選択し、該当する道路リンクに接続する道路リンクを更に展開するというように道路リンクを展開する(ステップST7)。そして、ステップST7で展開した道路リンクが目的地道路であるか否かを判定し(ステップST8)、目的地道路が存在していれば(ステップST8,Yes)、探索を終了して、得られた目的地道路までの経路を提示手段7に提示する(ステップST14)。
【0029】
一方、ステップST8の判定において、目的地道路が存在していなければ(ステップST8,No)、展開した道路リンクの前方に料金所が存在するか否かを判定し(ステップST9)、料金所が存在しなければ(ステップST9,No)、料金計算を行うことなく、最適な道路リンクのコストを経路コストとして計算する(ステップST13)。また、ステップST9で料金所が存在する場合は(ステップST9,Yes)、該当す料金所情報と道路リンクデータを料金計算手段6へ伝え、料金計算処理を実施する(ステップST10)。そして、料金計算処理によって料金の取得に成功したか否かを判定し(ステップST11)、料金の取得に成功していれば(ステップST11,Yes)、取得した料金を考慮して道路リンクのコストを経路コストとして計算し(ステップST13)、ステップST7に戻って、また次の道路リンクに展開してゆく。
【0030】
一方、ステップST11において、新設道路のために料金表が設定されていないなどの理由で、料金計算処理による料金の取得に成功しない場合には(ステップST11,No)、料金所情報と道路リンクデータを料金推定手段4へ伝え、料金推定処理を実施して支払料金を推定してから(ステップST12)、推定した料金を考慮して道路リンクのコストを経路コストとして計算する(ステップST13)。このようにして、ステップST7に戻って繰り返し道路リンクを展開し、目的地道路へ到達するまで処理を実施し、その都度、目的地道路が存在すれば(ステップST8,Yes)、該当する探索を終了して得られた目的地道路までの経路を提示手段7に提示する(ステップST14)。
【0031】
次に、図3のステップST10で行う料金計算処理について説明する。図5は、図1の料金計算手段6が行う料金計算処理の動作の流れを示すフローチャートであり、この図を用いて料金計算処理の動作を説明する。先ず、料金計算手段6は料金所名を取得し(ステップST21)、さらに、料金支払い方式が対距離料金制か均一料金制かなどの支払い方式の情報を取得する(ステツプST22)。つまり、料金支払い方式が対距離料金制であるか否かを判定し(ステップST23)、対距離料金制でない場合は(ステップST23,No)、均一料金制の料金表から料金所名に対応する均一料金を取得する(ステツプST26)。
【0032】
図8は都市高速・一般有料道路における均一料金制の料金表であり、単位は円で表されている。つまり、ステップST26において、図8に示すような都市高速・一般有料道路の均一料金制の料金表から、料金所名に対応する料金を取得する。例えば「F料金所」の支払料金として700円の料金が取得される。
【0033】
一方、ステップST23の判定において、該当する料金所が対距離料金制である場合は(ステップST23,Yes)、探索された道路リンクを出発地道路へ向かってさかのぼり、入口となる料金所を入口料金所番号として求める(ステップST24)。そして、該当する入口となる料金所があるか否かを判定する(ステップST25)。ここで、入口となる料金所が求められない場合、つまり、該当する入口となる料金所がない場合は(ステップST25,No)、一般道路などであるために料金の支払いを不要として料金0円とする(ステップST27)。
【0034】
また、ステップST25の判定で入口となる料金所が求められる場合は(ステップST25、Yes)、該当する入口となる料金所の料金所名と、ステップST21で取得した料金所名とに基づいて、図7に示すような対距離料金制の料金表から料金を取得する(ステップST28)。図7は、対距離料金制の都市間高速料金表であり、単位は円で表されている。すなわち、ステップST28で、図7に示すような対距離料金制の料金表から入口の料金所名と出口の料金所名の組合せで所定の料金を取得する。例えば、入口が「A料金所」で出口が「B料金所」である場合は、支払料金400円を取得する。
【0035】
このようにして、ステップST26の処理によって均一料金制の料金が取得されたか、又はステップST28の処理によって対距離料金制の料金が取得できたか否かを判定し(ステップST29)、正常に料金取得ができた場合は(ST29,Yes)、料金取得が成功したものとして経路探索手段5へ取得した料金を渡す(ステップST30)。一方、計画道路などであって未だ料金設定されていないために料金が取得できない場合は(ST29,No)、料金取得に失敗した旨の情報を経路探索手段5に返す(ステップST31)。すると、図3のステップST12において料金推定処理が行われる。ここで、ステップST26又はステップST28にて料金が取得できなかった場合とは、図8又は図7の料金表に該当する料金所名が存在しなかったことを意味するものである。
【0036】
次に、図3のステップST12で行う料金推定処理について説明する。図6は図1の料金推定手段4が行う料金推定処理の動作の流れを示すフローチャートであり、この図を用いて料金推定処理の動作を説明する。先ず、料金推定手段4が、都市高速か都市間高速か一般有料かなどの道路種別を取得し(ステップST41)、取得した道路種別が都市高速であれば(ステップST42,Yes)、都市高速の相場金額を求め(ステップST48)、取得した道路種別が一般有料道であれば(ステップST43,Yes)、一般有料道の相場金額を求め(ステップST49)、取得した道路種別が都市間高速であれば(ステップST44,Yes)、有料道路距離(L)の算出を行い(ステップST46)、これらの何れでもない無料の一般道路であれば(ステップST44,No)、料金=0の算出を行う(ステップST45)。
【0037】
すなわち、取得した道路種別が都市高速である場合は(ステップST42,Yes)、都市高速の相場金額を求め(ステップST48)、この相場金額を経路探索手段5に渡し(ステップST50)、以降、図3のステップST13で説明したように経路コストを計算する。
【0038】
図9は道路種別毎の相場金額表であり、この表の相場金額は道路種別毎のおよその相場金額が示されている。したがって、ステップST48において、図9に示す相場金額表に基づいて該当する道路種別の相場金額を得る。例えば、ステップST48で、図9に示すように都市高速の相場金額として700円を取得し、ステップST50において、この相場金額700円を経路探索手段に渡す。
【0039】
また、取得した道路種別が一般有料道である場合は(ステップST43,Yes)、一般有料道路の相場金額を求め(ステップST49)、この相場金額料金を経路探索手段5に渡し(ステップST50)、以降、図3のステップST13で説明したように経路コストを計算する。例えば、ステップST48において、図9に示すように一般有料道路の相場金額として300円を取得し、ステップST50において、この相場金額300円を経路探索手段5に渡す。
【0040】
また、取得した道路種別が都市間高速である場合は(ステップST44、Yes)、探索された道路リンクを出発地道路へ向かってさかのぼり、一つ前の料金所までの有料道路距離(L)を算出する(ステップST46)。そして、都市間高速の相場金額とステップST46で求めた有料道路距離(L)を乗算して相場金額を求め(ステップST47)、この相場金額を経路探索手段5に渡し(ステップST50)、以降、図3のステップST13で説明したように経路コストを計算する。
【0041】
このときの相場金額は、道路種別毎によるおよその相場である金額を示し、例えば、図9に示す道路種別毎の相場金額表に基づいて該当する道路種別の相場金額を得る。すなわち、図9において都市間高速のキロ当たりの相場金額は50円/1Kmであり、例えば距離が9000mである場合は、相場金額は(9000m/1000m)×50円=450円となる。
【0042】
また、一般の国道や県道などの無料道路である場合は(ステップST44、No)、料金は0円とし(ステップST45)、この相場金額を経路探索手段5に渡し(ステップST50)、以降、図3のステップST13で説明したように経路コストを計算する。以上のようにして、ステップST45、又はステップST47、又はステップST48、又はステップST49で求めた料金は経路探索手段5に渡され(ステップST50)、以降は図3のステップST13で説明したように経路コストが計算される。
【0043】
次に、図3のステップST13の道路リンクコスト計算処理における経路コスト計算の動作について説明する。ここで、経路コストとは、経路選択の指標となるものであり、道路リンクの経路コストと道路リンクを展開する元となる道路リンクの経路コストとを足し合わせた経路コストを示すものとする。具体的な例として、図4の道路データで出発地Sから道路リンクを展開した場合について、道路コスト算出式を、道路リンクのコスト=道路リンクの道路距離、として経路コストを求めてみる。
【0044】
先ず、出発地道路である道路401の経路コストについては、展開の元となる道路リンクが存在しないため、道路401の経路コスト=4000mとなる。次に、出発地道路である道路401から道路411を展開した場合は、道路411の経路コスト=7500m+4000m(道路401の経路コスト)=11500mとなる。さらに、道路411から道路412を展開した場合は、道路412の経路コスト=900m+11500m(道路411の経路コスト)=12400mとなる。
【0045】
以上の説明は、道路コスト算出式を、道路リンクのコスト=道路リンクの道路距離、とした場合であるが、図3のステップST13における経路コスト計算では料金を考慮するため、道路リンクのコスト=道路リンクの距離(メートル)+料金×料金係数(メートル/円)で求める。ここで、料金係数とは、1円に相当する距離の係数であり、経路探索手段5がテーブルとして固定値を持っている。
【0046】
次に、実際の経路探索の動作について説明する。すなわち、図4に示す道路データに基づいて出発地Sから目的地Gへ通行する場合について、料金係数=10として経路探索をした場合を説明する。
先ず、出発地道路は道路401で目的地道路は道路402となり、道路401から道路402ヘ探索した場合、道路401,403,404,402を経由する経路と、道路401,403,405,406,407,402を経由する経路と、道路401,411,413,406,407,402を経由する場合の経路とが考えられる。
【0047】
上記の各経路の経路コストはそれぞれ次のようになる。道路401,403,404,402を経由する場合は、距離総和は26000mとなり、図7の料金表により料金所A−料金所C間の料金は800円であり、したがって、経路コスト=26000+800×10(料金係数)=34000(m)となる。また、道路401,403,405,406,407,402の場合、距離総和は27500mとなり、図7の料金表により料金所A−料金所B間の料金は400円となり、したがって、経路コスト=27500+400×10(料金係数)=31500(m)となる。さらに、道路401,411,413,406,407,402の場合は、距離総和は33500mとなり、この経路は有料道路を利用していないために料金は0円となり、したがって、経路コスト=33500+0×10(料金係数)=33500(m)となる。
【0048】
以上の結果から、経路コストが最も低い経路である、道路401,403,405,406,407,402が最適経路として選択される。つまり、図4の経路において、料金所408−料金所409の間は料金を支払っても有料道路を利用した方が効率がよく、料金所409−料金所410の間は料金を支払うよりも、ほぼ並行して走っている一般道路を利用した方が効率がよいと判断される経路が求められる。
【0049】
上記の実施の形態は、本発明を説明するための一例であり、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲で種々の変形が可能である。すなわち、上記の実施の形態では、道路リンクのコスト=道路距離として、料金に見合ったコストを加算することとしたが、道路の車線数や平均走行速度などの情報を道路リンク情報として格納し、道路リンクのコスト計算に反映させるようにしてもよい。また、有料道路を優先させるため、有料道路に対しては距離を短く見積り、例えば実距離の1/2として計算して有料道路を通しやすくするようにしてもよい。
【0050】
また、上記の実施の形態では、図7や図8で述べた料金表の情報を料金所名をキーとして表現したが、データ量を削減するために料金所を識別できる番号を任意に設定し、その番号を用いて料金表を構成するようにしてもよい。さらに、上記の実施の形態では相場金額として図9のように道路種別毎の金額として表示するようにしたが、地域毎に個別の相場料金表を設けてもよい。
【0051】
図10は地域毎及び道路種別毎に設けた相場金額表である。つまり、図10のように、道路種別と地域によってそれぞれ個別の相場金額表を持ち、道路の存在する地域に応じた相場金額を考慮して計算するようにしてもよい。また、上記の実施の形態では、料金係数は経路探索手段5が固定化した値を持つものとしたが、探索条件設定手段3により探索の条件として乗員が任意の値を設定し、経路探索手段5にてその設定値を用いてコストを算出するとしてもよい。
【0052】
さらには、図7や図8に示す料金表については、料金が改定される度に外部からインターネットなどで新料金データを取得して、データベースのテーブルを更新するようにしてもよい。あるいは、都市間高速道路から都内道路に入ったときに料金を徴収するような場合でも、外部からのインターネットを通じて所定の料金データが得られるようにしてもよい。また、普通車やトラックなどの車種による個別料金表を設けるようにしてもよい。
【0053】
以上のように、この実施の形態1によれば、出発地から目的地までの経路探索が可能な車載用経路案内方法において、実際に走行する利用距離だけでなく、有料道路の利用料金をも加味して経路探索を行っているので、それぞれの乗員にマッチした費用対効果が得られる最適な経路を探索することができる。つまり、有料道路における支払い金額や、現金による支払いか、カードによる支払いかといった支払い方法に応じて最適な経路を探索することができる。
【0054】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、経路探索を行うときに、出発地から目的地までの利用距離と利用料金とに基づいて作成される経路コストを経路選択の指標とし、更に、利用料金の支払い方法を選択して行うように構成したので、有料道路と一般道路の通行上の優位性を判断して経路を探索してルート計算を行うことができるので、コストパフォーマンス的に効率のよいルートを求めることができ、更に、有料道路に対する自動料金収受システム、高速道路用プリペイドカード、クレジットカードなどの利用の可否を考慮しながら、利用可能な路線を選択して効率的に経路を探索することができるという効果を奏する。
【0055】
この発明によれば、経路コストは、利用距離と、利用料金に重み付け係数を乗算して距離の単位に換算した値とを加算したものとして構成したので、支払金額をルート計算のコストに反映し、且つ、支払い方法を考慮してルート計算を行うことができるという効果を奏する。例えば、一般道路を利用しても幹線道路が整備されているような区間は一般道路を優先的に案内し、山越えのように有料道路を利用した方がより優位であるようなルートの場合は、有料道路を有効に利用するようなルート計算を行うことができるという効果を奏する。
【0056】
この発明によれば、重み付け係数を可変できるように構成したので、例えば、目的地までのルート探索において、一般道路の経路コストを有料道路より高めておき、通常は好んで有料道路を選択できるようなバランスとしておき、料金所を探索する時点で支払い料金に応じて経路コストを加算することができるので、経路コストが妥当であれば有料道路を利用し、また、一般道路が整備されている場所においては一般道路を利用するルートを選択することができ、さらに、都市高速などの定額料金道路に対しても所望の重み付け係数を掛ければ効率的なルート選択を行うことができるという効果を奏する。
【0057】
この発明によれば、有料道路の属性により利用料金を推定し、推定された利用料金に基づいて経路コストを算出するように構成したので、料金データがない場合や、料金データを使用しない場合、有料道路の属性に応じておよその料金を割り出してルート計算に反映させることができるという効果を奏する。例えば、都市間高速道路ではおよそ距離に比例して料金が決まるため、高速道路の距離に対して一定の係数を乗算して料金を想定する。また、都市高速では一般的に定額料金であることから平均的な固定料金を想定する。さらに、一般有料道路については固定料金であるケースが多いが、都市高速よりも効率的に建設されていることが多いことから、都市高速に対して低めに固定料金を想定するなど、状況に応じて利用料金の額を推定し、ルート計算に反映させることができるという効果を奏する。
【0058】
この発明によれば、予め指定した金額を越さない範囲の利用料金に基づいて算出された経路コストによって経路選択ができるように構成したので、予め、使用可能な料金を入力し、経路探索の際に料金減算を行いながら効率的に有料道路を利用するルートを求め、入力された料金以内で走行可能なルートを求めることができるという効果を奏する。
【0059】
この発明によれば、通過済みの料金所を記憶して利用料金の計算を行い、経路コストを算出するように構成したので、経路探索が、例えばサービスエリアなどの有料道路内であった場合、過去に通過した入口のインターチェンジまたはランプを記憶しておき、経路探索時の料金計算に用いることができるという効果を奏する。
【0061】
この発明によれば、高速道路用プリペイドカードを利用して経路探索を行うように構成したので、例えば料金を加味した経路探索において、高速道路用プリペイドカードの利用できる都市間高速及び都市高速を対象として、高速道路用プリペイドカードが利用できない一般有料道路については経路選択をしないように経路コストを加えることができるという効果を奏する。
【0062】
この発明によれば、任意の設定により、自動料金収受システムの利用可能な料金所における利用料金の支払いを経路コストに反映させたり、反映させなかったりするように構成したので、例えば、ユーザの設定により、自動料金収受システム対象の路線やインターチェンジに付いては通り易くしたり、通らないように経路コストを調整することができるという効果を奏する。
【0063】
この発明によれば、経路コストを経路選択の指標する経路探索手段を備え、経路探索手段は、更に、利用料金の支払い方法を選択して経路探索を行う構成としたので、有料道路と一般道路の通行上の優位性を判断して経路を探索してルート計算を行うことができるので、コストパフォーマンス的に効率のよいルートを求めることができ、更に、有料道路に対する自動料金収受システム、高速道路用プリペイドカード、クレジットカードなどの利用の可否を考慮しながら、利用可能な路線を選択して効率的に経路を探索することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態における車載用経路案内方法を実現する装置の説明図である。
【図2】 この発明の実施の形態における車載用経路案内方法を実現させるためのナビゲーション装置の機能ブロック図である。
【図3】 この発明の車載用経路案内方法の動作の流れを示すフローチャートである。
【図4】 図1の道路データ格納手段8が格納している道路データを表す図である。
【図5】 図1の料金計算手段6が行う料金計算処理の動作の流れを示すフローチャートである。
【図6】 図1の料金推定手段4が行う料金推定処理の動作の流れを示すフローチャートである。
【図7】 対距離料金制の都市間高速料金表である。
【図8】 都市高速・一般有料道路の均一料金制の料金表である。
【図9】 道路種別毎の相場金額表である。
【図10】 地域毎及び道路種別毎に設けた相場金額表である。
【符号の説明】
1 現在位置検出手段、2 目的地設定手段、3 探索条件設定手段、4 料金推定手段、5 経路探索手段、6 料金計算手段、7 提示手段、8 道路データ格納手段、9 料金データ格納手段、21 位置検出部、22 操作部、23 制御部、24 入力回路、25 メモリ、26 CPU、27 出力回路、28 表示部、29 データ記憶部。
Claims (9)
- 出発地から目的地までの経路探索を行う車載用経路案内方法において、
前記経路探索は、出発地から目的地までの利用距離と利用料金とに基づいて作成される経路コストを経路選択の指標として行い、
更に、利用料金の支払い方法を選択して行うことを特徴とする車載用経路案内方法。 - 前記経路コストは、利用距離と、利用料金に重み付け係数を乗算して距離の単位に換算した値とを加算したものであることを特徴とする請求項1記載の車載用経路案内方法。
- 前記重み付け係数は可変できることを特徴とする請求項2記載の車載用経路案内方法。
- 有料道路の属性により利用料金を推定し、推定された利用料金に基づいて経路コストを算出することを特徴とする請求項3記載の車載用経路案内方法。
- 予め指定した金額を越さない範囲の利用料金に基づいて算出された経路コストにより、経路の選択を行うことを特徴とする請求項4記載の車載用経路案内方法。
- 通過済みの料金所を記憶して利用料金の計算を行い、経路コストを算出することを特徴とする請求項4または請求項5記載の車載用経路案内方法。
- 高速道路用プリペイドカードを利用して経路探索を行うことを特徴とする請求項6記載の車載用経路案内方法。
- 任意の設定により、自動料金収受システムの利用可能な料金所における利用料金の支払いを経路コストに反映させたり、反映させなかったりすることを特徴とする請求項6記載の車載用経路案内方法。
- 出発地から目的地までの経路探索を行う車載用経路案内装置において、出発地から目的地までの利用距離と利用料金とに基づいて作成される経路コスト経路選択の指標として経路探索を行う経路探索手段を備え、
前記経路探索手段は、更に、利用料金の支払い方法を選択して経路探索を行うことを特徴とする車載用経路案内装置。
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