JP4187495B2

JP4187495B2 - 車両改装方法

Info

Publication number: JP4187495B2
Application number: JP2002290621A
Authority: JP
Inventors: 哲堀; 恭弘松尾
Original assignee: CI Kasei Co Ltd
Current assignee: CI Kasei Co Ltd
Priority date: 2002-10-03
Filing date: 2002-10-03
Publication date: 2008-11-26
Anticipated expiration: 2022-10-03
Also published as: JP2004122958A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両改装方法に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
新幹線等の車両の内装には表面に模様印刷が施された合成樹脂製化粧シートが多用されているが、長年使用していると、タバコの煙、化粧シート自体の劣化などによる汚れが目立つようになるため、定期的に化粧シートを貼り替える必要がある。特に妻壁などの内装パネルを取り外しできない箇所においては、現場で化粧シートを貼り替えなければならない。
【０００３】
このような場合の改装方法としては、（１）既設の化粧シートの上に塗装する方法、（２）既設の化粧シートの上に同じ新しい化粧シートを貼り付ける方法、（３）内装パネルのアルミ基材から化粧シートを剥がして、同じ新しい化粧シートを貼り付ける方法などが考えられるが、（１）の塗装する方法では、化粧シートの柄を再現するのが困難であり、（２）の方法では、燃焼性試験の不燃性認定を取得することができず、（３）の方法では、内装パネルが妻壁から取り外せないので、作業性が非常に悪くなる。
【０００４】
一方、化粧シートの難燃性を向上させる手段として、難燃剤を練り混むことやアルミニウム箔などの不燃材料を積層することが行われており、化粧シートの難燃性やその他の機能を付与したアルミニウム箔積層化粧シート、例えば、アルミライナー紙と印刷模様を設けた透明保護シートを貼り合わせた耐候性化粧シート（例えば、特許文献１参照。）、アルミニウム箔の少なくとも一方に熱可塑性樹脂層を設けた成形加工性に優れた化粧シート（例えば、特許文献２参照。）などが知られている。
【０００５】
【特許文献１】
特開平９−１４１８１３号公報（第２−３頁、第１図）
【特許文献２】
特開２００１−２０５７３３号公報（第２−８頁、第１図）
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような従来の問題点を解消し、新幹線等の内装パネルのアルミニウム基材から既設の化粧シートを剥がさずに、現場で直に化粧シートを貼り付けても、燃焼テストで不燃の基準をクリアすることのできる車両改装方法を提供することを目的としてなされたものである。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の条件を満たす車両改装が果して実現可能かどうかについて鋭意研究した結果、特定の厚さの軟質アルミニウム箔の一方の面に特定の厚さの合成樹脂化粧シートを設けた複合化粧シートを用いることにより、従来は実現が困難視されていたにもかかわらず、上記の課題が見事に達成できることを見出し、本発明を完成した。
【０００８】
すなわち、本発明は、合成樹脂化粧シートを貼り付けた車両内装パネルの改装方法において、
厚さ０．１〜０．５ｍｍの軟質アルミニウム箔の一方の面に、厚さ０．０７５〜０．２５ｍｍの合成樹脂化粧シートが二液反応型ウレタン系樹脂接着剤を介して接着され、該軟質アルミニウム箔の他方の面に厚さ３０〜７０μｍのアクリル系樹脂粘着剤層を設けた複合化粧シートを、車両内装金属パネルの既設の化粧シート上に貼り付けたことを特徴とする車両改装方法であって、該複合化粧シートが日本鉄道車両技術協会の鉄道車両用材料の燃焼試験により不燃の基準を満たす。
【０００９】
本発明において用いられる軟質アルミニウム箔は、その一方の面に、化粧印刷を有する合成樹脂化粧シートが接着され、また、その他方の面には、粘着剤層を有し、該アルミ箔の厚さは０．１〜０．５ｍｍ、好ましくは０．１２〜０．２ｍｍである。厚さが０．１ｍｍ未満では、燃焼試験で不燃の基準に達することが難しく、また、０．５ｍｍを超えると、積層化粧シートの重量が大きくなり過ぎ、また、カッターやハサミで加工するのが難しくなるので好ましくない。
【００１０】
本発明において軟質アルミニウム箔の一方の面に接着される合成樹脂化粧シートは、着色合成樹脂シートの表面に柄模様が印刷され、好ましくは、さらに透明保護層が設けられ、その厚さは０．０７５〜０．２５ｍｍ、好ましくは０．１〜０．２ｍｍである。厚さが０．０７５ｍｍ未満では、隠蔽性が不足し、裏面に積層されたアルミニウム箔の影響が出るので好ましくなく、また、エンボス加工による意匠性の付与が困難になる。厚さが０．２５ｍｍを超えると、燃焼試験で不燃の基準に達することが難しい。
【００１１】
上記の合成樹脂化粧シートの表面に設ける耐汚染性の透明保護層は、アクリル樹脂やフッ素樹脂の透明保護フィルムを積層したり、硬化性樹脂を塗布して形成する。透明保護フィルムの表面には必要に応じてさらに耐汚染性のコーティング剤を塗布し、また、透明保護フィルムを積層する場合には、上記の化粧印刷層の着色シート上への形成は、化粧印刷層を裏面に設けた透明保護フィルムを着色シートの表面に積層することによっても可能である。
【００１２】
本発明において軟質アルミニウム箔の他方の面に設けられるアクリル系樹脂粘着剤層は、これにより複合化粧シートを既設の化粧シート表面に直にそのまま貼り付けることができるようにするためのものであり、通常は、アルミニウム箔に粘着剤の溶液を塗布して形成される。
【００１３】
また、上記の合成樹脂化粧シートとアルミニウム箔との接着には、二液反応型ウレタン系樹脂接着剤が使用される。この接着剤を使用することにより、薄い接着層で接合でき、不燃の基準をクリアすることができる。接着層の厚みは５〜２０μｍ、好ましくは７〜１５μｍとすることができる。
【００１４】
【作用】
本発明の複合化粧シートは、特定の厚さのアルミニウム箔を積層するとともに、合成樹脂化粧シートを特定の厚さに調整することにより、内装する壁面に貼付する化粧シートの製造及び施工上の特性を維持しつつ、既設の化粧シート上に貼付しても、燃焼試験における不燃基準をそのまま維持できるほどの低燃焼性を発揮することができるものである。
【００１５】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して本発明の複合化粧シートを用いた車両改装方法の実施の形態を説明する。図１は、本発明の複合化粧シートを用いた車両改装方法を示す模式断面図であり、図２は、改装前のパネルの模式断面図である。
【００１６】
本発明の複合化粧シートは、図１に示すように、軟質アルミニウム箔１の表面に、表面に化粧印刷４を有する合成樹脂化粧シート３が接着剤層２を介して接着され、該軟質アルミニウム箔１の裏面には厚さ３０〜７０μｍのアクリル系樹脂粘着剤層５が設けられた構成になっている。接着剤層２は二液反応型ウレタン系樹脂接着剤によって形成され、化粧印刷４は、既設の化粧シートの柄模様と同じにしても、あるいは、別の柄にしてもよい。また、化粧印刷４の表面には、通常、透明保護フィルム６が積層されている。
【００１７】
本発明の複合化粧シートの製造方法については、先ず、顔料を混入したポリ塩化ビニルやポリエステルの合成樹脂をカレンダー成形や押出成形により成形した合成樹脂化粧シート３の表面に木目模様、幾何学模様などの化粧模様を印刷し、この化粧印刷４の表面に透明保護フィルム６をラミネート等により積層する。次いで、この合成樹脂化粧シートの裏面又は軟質アルミニウム箔１の表面に塗布形成された二液反応型ウレタン系樹脂接着剤層２を介して、両者を積層する。このようにして形成された積層シートのアルミニウム箔１側の裏面に粘着剤層５を塗布形成し、その上に離型紙を貼付してロール状に巻き取る。
【００１８】
改装前の内装パネルは、図２に示すように、アルミニウム基材７の上に粘着剤層８を介して合成樹脂製化粧シート９が貼付された構造になっており、この既設の化粧シート９の上から本発明の複合化粧シートを粘着剤層５によって貼付して現場で改装が行われる。
【００１９】
【実施例】
次に、本発明の内容を実施例によって更に詳細に説明する。
【００２０】
実施例１
重合度１０００のポリ塩化ビニル１００重量部に、可塑剤（ＤＯＰ）２１重量部、エポキシ化大豆油４重量部、安定剤（Ｂａ−Ｚｎ系）４重量部及び顔料（酸化チタン）８重量部を混合した塩化ビニル樹脂組成物を用いて、カレンダー成形によって厚さ０．１２ｍｍの半硬質着色シートを製造し、この着色シートの表面にグラビア印刷で木目模様を施した。次いで、熱ラミネーターを用いて、シートの化粧印刷層の表面に厚さ３０μｍのフッ素系樹脂アクリル樹脂複合フィルムを積層するとともに、シートの裏面に塗布形成した厚さ１０μの二液反応型ウレタン樹脂系接着剤層を介して厚さ０．１５ｍｍの軟質アルミニウム箔（ＪＩＳ−ＩＮ３０）を積層した。このようにして製造した積層シートのアルミニウム箔の裏面にアクリル系樹脂粘着剤層を塗布形成し、該粘着剤層の上に離型紙を貼付してロール状に巻き取り、複合化粧シートを作成した。
一方、上記と同様にして製造した厚さが０．１５ｍｍの半硬質塩化ビニル樹脂製の化粧シートの裏面に、上記と同様にして粘着剤層を塗布形成し、これをタテ２５７ｃｍ、ヨコ１８２ｃｍ、厚さ１．２ｍｍのアルミ板に貼付した。
次いで、上記アルミ板に貼付した化粧シートの上に上記の複合化粧シートを貼付して燃焼試験用の試料を作成した。
作成した試料を用いて、日本鉄道車両技術協会の鉄道車両用材料の燃焼試験を実施したところ、不燃の基準を満たすものであった。
また、上記の複合化粧シートを用いて車両妻壁の改装を行ったところ、施工は容易であり、改装後の化粧外観は新装の外観と比較して、見分けが付かないほど全く同じであった。
【００２１】
実施例２
アルミニウム箔の厚さを０．１ｍｍとし、半硬質着色シートの厚さを０．０９ｍｍとしたこと以外は実施例１と同様にして、試料を作成し、試験を行ったところ、実施例１で実施したのと同じ燃焼試験では、不燃の基準を満たすものであり、施工性及び改装後の化粧外観においても、実施例１と同様に満足すべき結果であった。
【００２２】
実施例３
アルミニウム箔の厚さを０．２ｍｍとし、半硬質着色シートの厚さを０．１７ｍｍとしたこと以外は実施例１と同様にして、試料を作成し、試験を行ったところ、実施例１で実施したのと同じ燃焼試験では、不燃の基準を満たすものであり、施工性及び改装後の化粧外観においても、実施例１と同様に満足すべき結果であった。
【００２３】
比較例１
アルミニウム箔の厚さを０．０５ｍｍとしたこと以外は実施例１と同様にして、試料を作成し、試験を行ったところ、実施例１で実施したのと同じ燃焼試験では、不燃の基準に達しなかった。
【００２４】
比較例２
アルミニウム箔の厚さを０．０８ｍｍとし、半硬質着色シートの厚さを０．１５ｍｍとしたこと以外は実施例１と同様にして、試料を作成し、試験を行ったところ、実施例１で実施したのと同じ燃焼試験では、不燃の基準に達しなかった。
【００２５】
【発明の効果】
本発明の複合化粧シートは、汚染した化粧シートの上にそのまま貼って改装しても、不燃の基準を満たすことができるので、特に、内装パネルを取り外すことのできない妻壁などでは直貼りが可能になり、本発明により、新装同様の改装が良好な施工作業性とともに実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の車両改装用積層化粧シートの実施の形態を示す模式断面図である。
【図２】改装前の内装パネルを示す模式断面図である。
【符号の説明】
１・・・・軟質アルミニウム箔
２・・・・接着剤層
３・・・・合成樹脂化粧シート
４・・・・化粧印刷
５・・・・粘着剤層
６・・・・透明保護フィルム
７・・・・アルミニウム基材
８・・・・粘着剤層
９・・・・化粧シート

Claims

合成樹脂化粧シートを貼り付けた車両内装パネルの改装方法において、
厚さ０．１〜０．５ｍｍの軟質アルミニウム箔の一方の面に、厚さ０．０７５〜０．２５ｍｍの合成樹脂化粧シートが二液反応型ウレタン系樹脂接着剤を介して接着され、該軟質アルミニウム箔の他方の面に厚さ３０〜７０μｍのアクリル系樹脂粘着剤層を設けた複合化粧シートを、車両内装金属パネルの既設の化粧シート上に貼り付けたことを特徴とする車両改装方法であって、該複合化粧シートが日本鉄道車両技術協会の鉄道車両用材料の燃焼試験により不燃の基準を満たす。
軟質アルミニウム箔の厚さが０．１２〜０．２ｍｍであり、合成樹脂化粧シートの厚さが０．１〜０．２ｍｍであることを特徴とする請求項１に記載の車両改装方法。