JP4187291B2 - モータ駆動制御装置およびその制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、複数の相巻線を有するモータたとえば直流ブラシレスモータを駆動制御するモータ駆動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複数の相巻線を有するモータたとえば直流ブラシレスモータを駆動するモータ駆動制御装置は、一般に図10に示すスイッチング回路を備える。
Mは直流ブラシレスモータで、中性点Cを中心に星形結線された3つの相巻線Lu,Lv,Lwを有する。各相巻線はステータに装着され、各相巻線に電流が流れることにより生じる磁界とロータの永久磁石が作る磁界との相互作用により、ロータが回転する。
【0003】
一対のスイッチング素子を電流の上流側と下流側の関係に直列接続してなるU相用,V相用,W相用の3つの直列回路が用意され、これら直列回路が端子P,Q間に接続される。そして、端子P,Q間に直流電圧Ed が印加される。
【0004】
U相用の直列回路は、上流側スイッチング素子であるトランジスタTu+、下流側スイッチング素子であるトランジスタTu-より成る。V相用の直列回路は、上流側スイッチング素子であるトランジスタTV+、下流側スイッチング素子であるトランジスタTV-より成る。W相用の直列回路は、上流側スイッチング素子であるトランジスタTw+、下流側スイッチング素子であるトランジスタTw-より成る。なお、各トランジスタのコレクタ・エミッタ間にフライホイールダイオードが接続される。
【0005】
トランジスタTu+,Tu-の相互接続点(出力端子)Ou、トランジスタTV+,TV-の相互接続点(出力端子)Ov、トランジスタTw+,Tw-の相互接続点(出力端子)Owに、モータMの相巻線Lu,Lv,Lwがそれぞれ接続される。
【0006】
このようなスイッチング回路の駆動制御方式として、電気学会論文誌B(60-B103 ) 105巻10号76頁−81頁に記載されているようなPWM方式がある。これを図11に示す。
【0007】
すなわち、互いに位相角が 180度異なる平衡三相正弦波変調信号(モータ回転速度に比例する周波数;例えば数十 Hz )eu,ev,ewが用意され、それと三角波信号(周波数16KHz 以上のキャリア信号)ebとがコンパレータでそれぞれ電圧比較されることにより、駆動信号Eu,Ev,Ewが作成される。そして、これら駆動信号Eu,Ev,Ewに応じて各直列回路の上流側トランジスタと下流側トランジスタが交互にオン,オフ駆動される。この上流側トランジスタと下流側トランジスタのオン,オフ比率に応じて定まるレベルの電圧(三相線間電圧)Vuv,Vvw,Vwuが出力端子Ou,Ov,Owの相互間に生じ、その線間電圧Vuv,Vvw,Vwuの平均値(正弦波状電圧)が相巻線Lu,Lv,Lwに印加される。これにより、相巻線Lu,Lv,Lwに正弦波状の電流が流れ、モータMが駆動される。
【0008】
一方、変調信号は必ずしも正弦波である必要はなく、図12に示すように、正弦波信号eu,ev,ewに所定の波形整形を加えた形の変調信号ex,ey,ezを用いるPWM方式が上記の電気学会論文誌Bに記載されている。
【0009】
すなわち、変調信号ex,ey,ezは、基準となる正弦波信号eu,ev,ewの周期(= 2π)の1/3(= 2π/3)に相当する期間がスイッチング休止期間として負側の一定レベルに固定される波形を有する。この変調信号を用いることにより、スイッチング回路における各トランジスタの損失を減少させ、かつ各トランジスタの過熱を軽減するようにしている。
【0010】
なお、正弦波信号eu,ev,ewから変調信号ex,ey,ezを作る様子を図13、図14、図15に示している。
正弦波信号eu,ev,ewの負側の包絡線を結んだ形の波形整形用信号(図14)epが用意され、その波形整形用信号epの電圧が正弦波信号eu,ev,ewの電圧に重畳されることにより、変調信号ex,ey,ezが得られる。この変調信号ex,ey,ezの負側の包絡線(ピークレベル)は、上記論文によれば、三角波信号ebの負側のピークレベルに一致する。
【0011】
コンパレータにおける変調信号ezと三角波信号ebとの電圧比較の様子を図16に示し、この電圧比較により得られる駆動信号Ewの一部(タイミング19〜30)を時間軸を拡大して図17に示している。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上記のPWM方式において、実回路上は、スイッチング回路の上流側トランジスタと下流側トランジスタが交互にオン,オフ駆動される際に、両トランジスタが同時にオン期間を保有する事態(端子P,Q間が両トランジスタを通して短絡する事態)を避ける必要があることから、上流側トランジスタのオン,オフ切換点と下流側トランジスタのオン,オフ切換点との間に所定の時間差いわゆるデッドタイムDtが確保される。つまり、上流側トランジスタがオンからオフに切換わり、その後、下流側トランジスタがオフからオンに切換わる。さらに、下流側トランジスタがオンからオフに切換わり、その後、上流側トランジスタがオフからオンに切換わる。
【0013】
また、上記論文では、変調信号ex,ey,ezの負側の包絡線(ピークレベル)が三角波信号ebの負側のピークレベルに一致すると述べているが、変調信号ex,ey,ezと三角波信号(キャリア信号)ebの電圧比較をアナログ式のコンパレータで行なう場合は、困難である。つまり、適正な低レベルL期間を有する駆動信号Eu,Ev,Ewを得るためには、少なくともコンパレータの入力オフセット電圧分だけ、変調信号ex,ey,ezの負側のピークレベルを三角波信号ebの負側のピークレベルより下げる必要がある。これを図16に示している。
【0014】
一方、図17に示すように、駆動信号Ewの高レベルHの期間と低レベルLの期間の比率は、変調信号ezのレベル変化に応じて変化する。そして、この駆動信号Ewの期間比率の変化に伴い、上流側トランジスタTw+のオン期間と下流側トランジスタTw-のオン期間の比率も変化していく。
【0015】
ただし、デッドタイムDtが固定であるため、駆動信号Ewの高低期間比率に対し、上下トランジスタのオン期間比率は必ずしも一致しない。駆動信号Ewの高低期間比率と上下トランジスタのオン期間比率のずれは、駆動信号Ewの高低期間比率が大きいほど増大する。
【0016】
このように、駆動信号の高低期間比率と上下トランジスタのオン期間比率のずれが存在し、しかも変調信号の負側のピークレベルが三角波信号の負側のピークレベルを下回る状況の下では、相巻線Lu,Lv,Lwに印加される三相線間電圧Vuv,Vvw,Vwuの平均値(正弦波状電圧)に歪みが生じてしまう。この歪みは、モータMの振動および騒音が増大する原因となる。
【0017】
この発明は上記の事情を考慮したもので、その目的とするところは、モータの各相巻線に印加される電圧の歪みを極力小さくすることができ、これによりモータの振動および騒音の低減が図れる信頼性にすぐれたモータ駆動制御装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
第1の発明(請求項1)のモータ駆動制御装置は、直流ブラシレスモータを駆動制御するモータ駆動制御装置において、一対のスイッチング素子が電流の上流側と下流側の関係に直列接続された直列回路を複数有し、これら直流回路の各スイッチング素子の相互接続点が前記モータの各相巻線に接続されるスイッチング回路と、このスイッチング回路の各直列回路に直流電圧を印加する電源手段と、互いに位相角が異なる複数の変調信号を発する変調信号発生手段と、この変調信号発生手段から発せられる各変調信号と三角波信号とをそれぞれ電圧比較して前記各直列回路に対する複数の駆動信号を作成する駆動信号作成手段と、この駆動信号発生手段で作成される各駆動信号に応じて前記各直列回路の上流側スイッチング素子と下流側スイッチング素子を交互にオン,オフ駆動するとともに、その上流側スイッチング素子のオン,オフ切換点と下流側スイッチング素子のオン,オフ切換点との間に所定の時間差を確保する駆動手段と、を備えたモータ駆動制御装置において、前記変調信号発生手段は、正弦波信号の1周期(=2π)の1/3未満(ただし0でない)に相当する期間がスイッチング休止期間として負側の一定レベルに固定され、該スイッチング休止期間を挟む立上り部と立下り部が時間軸方向に拡がり、波形の勾配は、当初急な角度を有し、あるタイミングで緩やかな角度を有し、かつ正側のピークレベル付近の波形が正側に大きく突出した状態となる変調信号を発することを特徴する。
【0019】
第2の発明(請求項2)のモータ駆動制御装置は、直流ブラシレスモータを駆動制御するモータ駆動制御装置において、一対のスイッチング素子が電流の上流側と下流側の関係に直列接続された直列回路を複数有し、これら直流回路の各スイッチング素子の相互接続点が前記モータの各相巻線に接続されるスイッチング回路と、このスイッチング回路の各直列回路に直流電圧を印加する電源手段と、前記モータの回転位置を検出し、回転位置に対応した信号を発する検出手段と、互いに位相角が異なる複数の変調信号を前記検出手段の回転位置に応じたタイミングで発する変調信号発生手段と、この変調信号発生手段から発せられる各変調信号と三角波信号とをそれぞれ電圧比較して前記各直列回路に対する複数の駆動信号を作成する駆動信号作成手段と、この駆動信号発生手段で作成される各駆動信号に応じて前記各直列回路の上流側スイッチング素子と下流側スイッチング素子を交互にオン,オフ駆動するとともに、その上流側スイッチング素子のオン,オフ切換点と下流側スイッチング素子のオン,オフ切換点との間に所定の時間差を確保する駆動手段と、を備えたモータ駆動制御装置において、前記変調信号発生手段は、正弦波信号の1周期(=2π)の1/3未満(ただし0でない)に相当する期間がスイッチング休止期間として負側の一定レベルに固定され、該スイッチング休止期間を挟む立上り部と立下り部が時間軸方向に拡がり、波形の勾配は、当初急な角度を有し、あるタイミングで緩やかな角度を有し、かつ正側のピークレベル付近の波形が正側に大きく突出した状態となる変調信号を発することを特徴する。
【0020】
第3の発明(請求項3)のモータ駆動制御装置の制御方法は、一対のスイッチング素子が電流の上流側と下流側の関係に直列接続された直列回路を複数有し、これら直流回路の各スイッチング素子の相互接続点がモータの各相巻線に接続されるスイッチング回路と、このスイッチング回路の各直列回路に直流電圧を印加する電源手段と、前記モータの回転位置を検出し、回転位置に対応した信号を発する検出手段と、互いに位相角が異なる複数の変調信号を前記検出手段の回転位置に応じたタイミングで発する変調信号発生手段と、この変調信号発生手段から発せられる各変調信号と三角波信号とをそれぞれ電圧比較して前記各直列回路に対する複数の駆動信号を作成する駆動信号作成手段と、この駆動信号発生手段で作成される各駆動信号に応じて前記各直列回路の上流側スイッチング素子と下流側スイッチング素子を交互にオン,オフ駆動するとともに、その上流側スイッチング素子のオン,オフ切換点と下流側スイッチング素子のオン,オフ切換点との間に所定の時間差を確保する駆動手段と、を備えた直流ブラシレスモータ駆動制御装置において、前記変調信号発生手段は、正弦波信号の1周期(=2π)の1/3未満(ただし0でない)に相当する期間がスイッチング休止期間として負側の一定レベルに固定され、該スイッチング休止期間を挟む立上り部と立下り部が時間軸方向に拡がり、波形の勾配は、当初急な角度を有し、あるタイミングで緩やかな角度を有し、かつ正側のピークレベル付近の波形が正側に大きく突出した状態となる変調信号を発することを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施例について図面を参照して説明する。
図1に示すように、直流電圧を発する主電源1にインバータ2が接続される。インバータ2は、図10に示したのと同じスイッチング回路を有し、モータMの相巻線Lu,Lv,Lwに対する駆動用電圧(三相線間電圧)Vuv,Vvw,Vwuを出力する。スイッチング回路およびモータMの構成については前述したので省略する。
【0022】
モータMにロータ位置検出部(検出手段)3が設けられる。このロータ位置検出部3は、モータMの回転位置(ロータ位置)を検出するもので、ロータの回転位置に対応した信号を発する。この信号が波形読出部4に供給される。
【0023】
波形読出部4は、ロータ位置検出部3から供給されるロータの回転位置に対応する信号から波形パターンデータのアドレスを得る。この値は、アドレス指定指令として波形記憶部5に供給される。
【0024】
波形記憶部5は、後述する変調信号ex,ey,ezの波形パターンをディジタルデータとして予め記憶しており、そのディジタルデータを波形読出部4の値に応じて逐次にアドレス指定して読出す。読出されるディジタルデータは変調信号発生部6に供給される。変調信号発生部6は、ディジタルデータおよび後述の作動増幅器12からの速度制御信号に応じた波形の変調信号を作成する。この変調信号は波形増幅部7で増幅される。
【0025】
これら波形読出部4、波形記憶部5、変調信号発生部6、および波形増幅部7により、平衡三相正弦波信号の周期(=2π)の1/3未満に相当する期間がスイッチング休止期間として負側の一定レベルに固定される波形を有し且つ互いに位相角が
180度異なる変調信号ex,ey,ezをロータ位置検出部3の回転位置に応じたタイミングで発する変調信号発生手段が構成される。
【0026】
また、ロータ位置検出部3の出力が速度検出部11に供給される。速度検出部11は、ロータ位置検出部3の出力からモータMの速度を検出し、その検出速度に対応する電圧レベルの信号を出力する。この出力は差動増幅器12の反転入力端(−)に入力される。差動増幅器12の非反転入力端(+)には、速度指令部13の出力が入力される。速度指令部13は、設定される速度に対応する電圧レベルの信号を出力する。
【0027】
差動増幅器12は、両入力電圧の差を増幅して出力する。この出力は速度制御信号として上記変調信号発生部6に供給される。
変調信号ex,ey,ezとその基準になる正弦波信号との関係を図2、図3、図4に示している。
【0028】
平衡三相正弦波信号eu,ev,ewの負側の包絡線のうち、ピークレベルを中心とする所定期間(=2π/3未満のスイッチング休止期間)の包絡線を一部含む形の波形整形用信号epが用意される。この波形整形用信号epの電圧が正弦波信号eu,ev,ewの電圧に重畳されることにより、正弦波信号eu, ev,ewの周期(=2π)の1/3未満(=2π/3未満)に相当する期間がスイッチング休止期間として負側の一定レベルに固定される変調信号ex,ey,ezが得られる。
【0029】
この変調信号ex,ey,ezの波形は、2π/3未満のスイッチング休止期間が確保されるのに伴い、そのスイッチング休止期間を挟む立上り部Aとそれに連なる立上り部Bの波形が点線で示す従来波形(図15)に比べて時間軸方向に拡がり、立上り部Aにおいては従来波形より急な角度、立上り部Bにおいては従来波形より緩めの角度を持ち、かつ正側のピークレベル付近の波形が従来波形よりも正側に大きく突出した状態となる。
【0030】
コンパレータ8における変調信号ezと三角波信号ebとの電圧比較の様子を図5に示し、この電圧比較により得られる駆動信号Ewの一部(変調信号ezの立上り部A,Bに対応する期間;タイミング19〜30)を時間軸を拡大して図6に示している。
【0031】
変調信号ex,ey,ezの立上り部Aの角度は、図3に示す波形整形用信号の立上り部Aの角度に応じて決定されるもので、波形整形用信号の立上り部Aの角度が図の状態よりも急になると(鉛直に近づくと)、変調信号ex,ey, ezの立上り部Aの角度も急になる。この場合の変調信号ezの波形を図7および図8に示している。
【0032】
こうして得られる変調信号ex,ey,ezはそれぞれアナログ式のコンパレータ(駆動信号作成手段)8の非反転入力端(+)に入力される。コンパレータ8の反転入力端(−)には、三角波信号発生部9から発せられる三角波信号(周波数16KHz 以上のキャリア信号)ebが入力される。
【0033】
コンパレータ8は、変調信号ex,ey,ezと三角波信号ebとを電圧比較することにより、図6や図8に示す駆動信号Eu,Ev,Ewを出力する。この駆動信号Eu,Ev,Ewは駆動回路10に供給される。
【0034】
なお、適正な低レベルL期間を有する駆動信号Eu,Ev,Ewを得るために、少なくともコンパレータ8の入力オフセット電圧分だけ、変調信号ex,ey,ezの負側のピークレベルを三角波信号ebの負側のピークレベルよりも下げるようなレベル調整が予めなされる。
【0035】
駆動回路10は、駆動信号Eu,Ev,Ewに基づいてスイッチング回路における各直列回路の上流側トランジスタと下流側トランジスタを交互にオン,オフ駆動する。この上流側トランジスタと下流側トランジスタのオン,オフ比率に応じて定まるレベルの線間電圧Vuv,Vvw,Vwuが生じ、その線間電圧Vuv,Vvw,Vwuの平均値(正弦波状電圧)が相巻線Lu,Lv,Lwに印加される。これにより、モータMが駆動される。
【0036】
また、駆動回路10は、デッドタイム設定部を有しており、上流側トランジスタのオン,オフ切換点と下流側トランジスタのオン,オフ切換点との間に一定の時間差いわゆるデッドタイムDtを確保する。デッドタイムDtは、スイッチング回路の上流側トランジスタと下流側トランジスタが交互にオン,オフ駆動される際に、両トランジスタが同時にオン期間を保有する事態(端子P,Q間が両トランジスタを通して短絡する事態)を避けるためのものである。このデッドタイムDtが確保される様子を図9に示す。
【0037】
すなわち、上流側トランジスタTw+がオンからオフに切換わると、それからデッドタイムDtをおいた後、下流側トランジスタTw-がオフからオンに切換わる。下流側トランジスタTw-がオンからオフに切換わると、それからデッドタイムDtをおいた後、上流側トランジスタTw+がオフからオンに切換わる。
【0038】
ところで、図6および図8に示しているように、駆動信号Ewは、周期は一定のまま、高レベルHの期間と低レベルLの期間の比率が変調信号ezのレベルに応じて変化する。そして、この駆動信号Ewの期間比率の変化に伴い、上流側トランジスタTw+のオン期間と下流側トランジスタTw-のオン期間の比率も変化していく。
【0039】
ただし、デッドタイムDtが固定であるため、駆動信号Ewの高低期間比率に対し、上下トランジスタTw+,Tw-のオン期間比率は必ずしも一致しない。駆動信号Ewの高低期間比率と上下トランジスタのオン期間比率のずれは、駆動信号Ewの高低期間比率が大きいほど増大する。
【0040】
たとえば、駆動信号Ewの高レベルH期間が50μsec 、低レベルL期間が50μsec の場合、その高低期間比率は1:1である。このとき、上流側トランジスタTw+のオン期間は(50−Dt)μsec 、下流側トランジスタTw-のオン期間は (50−Dt)μsec であり、上下トランジスタのオン期間比率は駆動信号Ewの高低期間比率と同じ1:1となる。
【0041】
駆動信号Ewの高レベルH期間が10μsec 、低レベルL期間40μsec になると、高低期間比率は1:4に変わる。このとき、上流側トランジスタTw+のオン期間は(10−Dt)μsec 、下流側トランジスタTw-のオン期間は(40−Dt) μsec となり、上下トランジスタのオン期間比率は駆動信号Ewの高低期間比率と異なる値(10−Dt):(40−Dt)となる。仮に、Dt= 3μsec であれば、高低期間比率は(10− 3):(40−3 )=7:37、ほぼ1:5となる。
【0042】
駆動信号の高低期間比率と上下トランジスタのオン期間比率のずれが存在し、しかもコンパレータ8の入力オフセット電圧分だけ変調信号の負側のピークレベルを三角波信号の負側のピークレベルより下げるレベル調整がなされる状況の下では、相巻線Lu,Lv,Lwに印加される線間電圧Vuv,Vvw,Vwuの平均値(正弦波状電圧)に歪みが生じてしまう。この歪みは、モータMの振動および騒音が増大する原因となる。
【0043】
ここで、駆動信号の高低期間比率について考慮すると、図6および図8に示しているように、変調信号ezの立上り部Bの波形が緩やかな角度を有していて、変調信号ezのレベルと三角波信号ebの正側のピークレベルとの差が極力縮小された状態にあり、ひいては変調信号ezと三角波信号ebの交差する点が三角波信号ebの負側のピークレベルからなるべく離れることから、駆動信号Ewの高低期間比率としてはその増大が極力抑制される。
【0044】
目視では判り難いが、図6および図8における駆動信号Ewの一番左側の高レベルHの時間幅は、従来の図17における駆動信号Ewの一番左側の高レベルHの時間幅よりも長い。つまり、駆動信号Ewの高低期間比率の増大は、本実施例の方が従来よりも抑制された状態にある。
【0045】
このように、駆動信号Eu,Ev,Ewの高低期間比率の増大を極力抑えることにより、たとえデッドタイムDtが存在しても、駆動信号Eu,Ev,Ewの高低期間比率と上下トランジスタのオン期間比率のずれが少なくなり、相巻線 Lu,Lv,Lwに印加される線間電圧Vuv,Vvw,Vwuの平均値(正弦波状電圧)の歪みを極力小さくすることができる。したがって、モータMの振動および騒音を低減することができ、信頼性の向上が図れる。
なお、この発明は上記実施例に限定されるものではなく、要旨を変えない範囲で種々変形実施可能である。
【0046】
【発明の効果】
以上述べたようにこの発明によれば、駆動信号の高低期間比率の増大を極力抑え、これにより駆動信号の高低期間比率と上下トランジスタのオン期間比率のずれを少なくする構成としたので、モータの各相巻線に印加される電圧の歪みを極力小さくすることができ、これによりモータの振動および騒音の低減が図れる信頼性にすぐれたモータ駆動制御装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の構成を示すブロック図。
【図2】同実施例の変調信号の基準となる正弦波信号の波形図。
【図3】同実施例の変調信号の作成に係る波形整形用信号の波形図。
【図4】同実施例の変調信号の波形図。
【図5】同実施例の変調信号と三角波信号との電圧比較を示す図。
【図6】図5の電圧比較により得られる駆動信号の一部を時間軸を拡大して示す図。
【図7】同実施例の変調信号の変形例を三角波信号との電圧比較を含めて示す図。
【図8】図7の電圧比較により得られる駆動信号の一部を時間軸を拡大して示す図。
【図9】同実施例におけるデッドタイムを説明するためのタイムチャート。
【図10】同実施例および従来装置におけるスイッチング回路の構成を示す図。
【図11】従来のPWM方式を説明するためのタイムチャート。
【図12】従来の他のPWM方式を説明するためのタイムチャート。
【図13】従来の変調信号の基準となる正弦波信号の波形図。
【図14】従来の変調信号の作成に係る波形整形用信号の波形図。
【図15】従来の変調信号の波形図。
【図16】従来の変調信号と三角波信号との電圧比較を示す図。
【図17】図16の電圧比較により得られる駆動信号の一部を時間軸を拡大して示す図。
【符号の説明】
2…インバータ
3…ロータ位置検出部
4…波形読出部
5…波形記憶部
6…変調信号発生部
8…コンパレータ
10…駆動回路
Claims (3)
- 直流ブラシレスモータを駆動制御するモータ駆動制御装置において、
一対のスイッチング素子が電流の上流側と下流側の関係に直列接続された直列回路を複数有し、これら直流回路の各スイッチング素子の相互接続点が前記モータの各相巻線に接続されるスイッチング回路と、
このスイッチング回路の各直列回路に直流電圧を印加する電源手段と、
互いに位相角が異なる複数の変調信号を発する変調信号発生手段と、
この変調信号発生手段から発せられる各変調信号と三角波信号とをそれぞれ電圧比較して前記各直列回路に対する複数の駆動信号を作成する駆動信号作成手段と、
この駆動信号発生手段で作成される各駆動信号に応じて前記各直列回路の上流側スイッチング素子と下流側スイッチング素子を交互にオン,オフ駆動するとともに、その上流側スイッチング素子のオン,オフ切換点と下流側スイッチング素子のオン,オフ切換点との間に所定の時間差を確保する駆動手段と、を備えたモータ駆動制御装置において、
前記変調信号発生手段は、正弦波信号の1周期(=2π)の1/3未満(ただし0でない)に相当する期間がスイッチング休止期間として負側の一定レベルに固定され、該スイッチング休止期間を挟む立上り部と立下り部が時間軸方向に拡がり、波形の勾配は、当初急な角度を有し、あるタイミングで緩やかな角度を有し、かつ正側のピークレベル付近の波形が正側に大きく突出した状態となる変調信号を発することを特徴するモータ駆動制御装置。 - 直流ブラシレスモータを駆動制御するモータ駆動制御装置において、
一対のスイッチング素子が電流の上流側と下流側の関係に直列接続された直列回路を複数有し、これら直流回路の各スイッチング素子の相互接続点が前記モータの各相巻線に接続されるスイッチング回路と、
このスイッチング回路の各直列回路に直流電圧を印加する電源手段と、
前記モータの回転位置を検出し、回転位置に対応した信号を発する検出手段と、
互いに位相角が異なる複数の変調信号を前記検出手段の回転位置に応じたタイミングで発する変調信号発生手段と、
この変調信号発生手段から発せられる各変調信号と三角波信号とをそれぞれ電圧比較して前記各直列回路に対する複数の駆動信号を作成する駆動信号作成手段と、
この駆動信号発生手段で作成される各駆動信号に応じて前記各直列回路の上流側スイッチング素子と下流側スイッチング素子を交互にオン,オフ駆動するとともに、その上流側スイッチング素子のオン,オフ切換点と下流側スイッチング素子のオン,オフ切換点との間に所定の時間差を確保する駆動手段と、を備えたモータ駆動制御装置において、
前記変調信号発生手段は、正弦波信号の1周期(=2π)の1/3未満(ただし0でない)に相当する期間がスイッチング休止期間として負側の一定レベルに固定され、該スイッチング休止期間を挟む立上り部と立下り部が時間軸方向に拡がり、波形の勾配は、当初急な角度を有し、あるタイミングで緩やかな角度を有し、かつ正側のピークレベル付近の波形が正側に大きく突出した状態となる変調信号を発することを特徴するモータ駆動制御装置。 - 一対のスイッチング素子が電流の上流側と下流側の関係に直列接続された直列回路を複数有し、これら直流回路の各スイッチング素子の相互接続点がモータの各相巻線に接続されるスイッチング回路と、
このスイッチング回路の各直列回路に直流電圧を印加する電源手段と、
前記モータの回転位置を検出し、回転位置に対応した信号を発する検出手段と、
互いに位相角が異なる複数の変調信号を前記検出手段の回転位置に応じたタイミングで発する変調信号発生手段と、
この変調信号発生手段から発せられる各変調信号と三角波信号とをそれぞれ電圧比較して前記各直列回路に対する複数の駆動信号を作成する駆動信号作成手段と、
この駆動信号発生手段で作成される各駆動信号に応じて前記各直列回路の上流側スイッチング素子と下流側スイッチング素子を交互にオン,オフ駆動するとともに、その上流側スイッチング素子のオン,オフ切換点と下流側スイッチング素子のオン,オフ切換点との間に所定の時間差を確保する駆動手段と、を備えた直流ブラシレスモータ駆動制御装置において、
前記変調信号発生手段は、正弦波信号の1周期(=2π)の1/3未満(ただし0でない)に相当する期間がスイッチング休止期間として負側の一定レベルに固定され、該スイッチング休止期間を挟む立上り部と立下り部が時間軸方向に拡がり、波形の勾配は、当初急な角度を有し、あるタイミングで緩やかな角度を有し、かつ正側のピークレベル付近の波形が正側に大きく突出した状態となる変調信号を発することを特徴とする制御方法。
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