JP4186604B2 - トロイダル型無段変速機 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明に係るトロイダル型無段変速機は、自動車用の自動変速機を構成する変速ユニットとして、或はポンプ等の各種産業機械の運転速度を調節する為の変速機として利用する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用自動変速装置として、図4〜7に示す様なトロイダル型無段変速機を使用する事が研究され、一部で実施されており、例えば特許文献1、非特許文献1に記載される等により、従来から広く知られている。このトロイダル型無段変速機は、ダブルキャビティ型と呼ばれるもので、入力軸1の両端部周囲に1対の入力側ディスク2、2を、ボールスプライン3、3を介して支持している。従ってこれら両入力側ディスク2、2は、互いに同心に、且つ、同期した回転を自在に支持されている。又、上記入力軸1の中間部周囲に出力歯車4を、この入力軸1に対する相対回転を自在として支持している。そして、この出力歯車4の中心部に設けた円筒部の両端部に出力側ディスク5、5を、それぞれスプライン係合させている。従ってこれら両出力側ディスク5、5は、上記出力歯車4と共に、同期して回転する。
【0003】
又、上記各入力側ディスク2、2と上記各出力側ディスク5、5との間には、それぞれ複数個ずつ(通常2〜3個ずつ)のパワーローラ6、6を挟持している。これら各パワーローラ6、6はそれぞれ、特許請求の範囲に記載した支持部材であるトラニオン7、7の内側面に、支持軸8、8及び複数の転がり軸受を介して、回転自在に支持されている。上記各トラニオン7、7は、それぞれの長さ方向(図4、6の上下方向、図5の表裏方向)両端部に、これら各トラニオン7、7毎に互いに同心に設けられた枢軸9、9を中心として揺動変位自在である。これら各トラニオン7、7を傾斜させる動作は、油圧式のアクチュエータ10、10により、これら各トラニオン7、7を上記枢軸9、9の軸方向に変位させる事で行なうが、総てのトラニオン7、7の傾斜角度は、油圧式及び機械式に互いに同期させる。
【0004】
即ち、前記入力軸1と出力歯車4との間の変速比を変えるべく、上記各トラニオン7、7の傾斜角度を変える場合には、上記各アクチュエータ10、10により上記各トラニオン7、7を、それぞれ逆方向に、例えば、図6の右側のパワーローラ6を同図の下側に、同図の左側のパワーローラ6を同図の上側に、それぞれ変位させる。この結果、これら各パワーローラ6、6の周面と上記各入力側ディスク2、2及び各出力側ディスク5、5の内側面との転がり接触部に作用する、接線方向の力の向きが変化(転がり接触部にサイドスリップが発生)する。そして、この力の向きの変化に伴って上記各トラニオン7、7が、支持板11、11に枢支された枢軸9、9を中心として、互いに逆方向に揺動(傾斜)する。この結果、上記各パワーローラ6、6の周面と上記入力側、出力側各ディスク2、5の内側面との当接位置が変化し、上記入力軸1と出力歯車4との間の回転変速比が変化する。
【0005】
上記各アクチュエータ10、10への圧油の給排状態は、これら各アクチュエータ10、10の数に関係なく1個の変速比制御弁12により行ない、何れか1個のトラニオン7の動きをこの変速比制御弁12にフィードバックする様にしている。この変速比制御弁12は、ステッピングモータ13により軸方向(図4の表裏方向、図6、7の左右方向)に変位させられるスリーブ14と、このスリーブ14の内径側に軸方向の変位自在に嵌装されたスプール15とを有する。又、上記各トラニオン7、7と上記各アクチュエータ10、10のピストン16、16とを連結するロッド17、17のうち、何れか1個のトラニオン7に付属のロッド17の端部にプリセスカム18を固定しており、このプリセスカム18とリンク部材19とを介して、上記ロッド17の動き、即ち、軸方向の変位量と回転方向との変位量との合成値を上記スプール15に伝達する、フィードバック機構を構成している。又、上記各トラニオン7、7同士の間には同期ケーブル20を掛け渡して、油圧系の故障時にも、これら各トラニオン7、7の傾斜角度を、機械的に同期させられる様にしている。
【0006】
変速状態を切り換える際には、上記ステッピングモータ13により上記スリーブ14を、得ようとする変速比に見合う所定位置にまで変位させて、上記変速比制御弁12の所定方向の流路を開く。この結果、上記各アクチュエータ10、10に圧油が、所定方向に送り込まれて、これら各アクチュエータ10、10が上記各トラニオン7、7を所定方向に変位させる。即ち、上記圧油の送り込みに伴ってこれら各トラニオン7、7が、前記各枢軸9、9の軸方向に変位しつつ、これら各枢軸9、9を中心に揺動する。そして、上記何れか1個のトラニオン7の動き(軸方向及び揺動変位)が、上記ロッド17の端部に固定したプリセスカム18とリンク部材19とを介して上記スプール15に伝達され、このスプール15を軸方向に変位させる。この結果、上記トラニオン7が所定量変位した状態で、上記変速比制御弁12の流路が閉じられ、上記各アクチュエータ10、10への圧油の給排が停止される。
【0007】
この際の上記トラニオン7及び上記プリセスカム18のカム面21の変位に基づく上記変速比制御弁12の動きは、次の通りである。先ず、上記変速比制御弁12の流路が開かれる事に伴って上記トラニオン7が軸方向に変位すると、前述した様に、パワーローラ6の周面と入力側ディスク2及び出力側ディスク5の内側面との当接部に発生するサイドスリップにより、上記トラニオン7が上記各枢軸9、9を中心とする揺動変位を開始する。又、上記トラニオン7の軸方向変位に伴って上記カム面21の変位が、上記リンク部材19を介して上記スプール15に伝わり、このスプール15が軸方向に変位して、上記変速比制御弁12の切り換え状態を変更する。具体的には、上記アクチュエータ10により上記トラニオン7を中立位置に戻す方向に、上記変速比制御弁12が切り換わる。
【0008】
従って上記トラニオン7は、軸方向に変位した直後から、中立位置に向け、逆方向に変位し始める。但し、上記トラニオン7は、中立位置からの変位が存在する限り、上記各枢軸9、9を中心とする揺動を継続する。この結果、上記プリセスカム18のカム面21の円周方向に関する変位が、上記リンク部材19を介して上記スプール15に伝わり、このスプール15が軸方向に変位する。そして、上記トラニオン7の傾斜角度が、得ようとする変速比に見合う所定角度に達した状態で、このトラニオン7が中立位置に復帰すると同時に、上記変速比制御弁12が閉じられて、上記アクチュエータ10への圧油の給排が停止される。この結果上記トラニオン7の傾斜角度が、前記ステッピングモータ13により前記スリーブ14を軸方向に変位させた量に見合う角度になる。
【0009】
上述の様なトロイダル型無段変速機の運転時には、エンジン等の動力源に繋がる駆動軸22により一方(図4、5の左方)の入力側ディスク2を、図示の様なローディングカム式の、或は油圧式の押圧装置23を介して回転駆動する。この結果、前記入力軸1の両端部に支持された1対の入力側ディスク2、2が、互いに近づく方向に押圧されつつ同期して回転する。そして、この回転が、上記各パワーローラ6、6を介して上記各出力側ディスク5、5に伝わり、前記出力歯車4から取り出される。
【0010】
上記入力軸1と出力歯車4との回転速度を変える場合で、先ず入力軸1と出力歯車4との間で減速を行なう場合には、上記変速比制御弁12を図7に示した中立位置から、同図の右側(或は左側)の状態に切り換える。そして、上記各アクチュエータ10、10に設けた1対の油圧室24a、24bのうち、一方の油圧室24a(或は24b)内に、油溜(オイルパン)25から吸引され加圧された状態で給油ポンプ26の吐出口から吐出される作動油(トラクションオイル)を、上記変速比制御弁12を介して送り込む。同時に、上記1対の油圧室24a、24bのうち、他方の油圧室24b(或は24a)から吐出された作動油を、上記変速比制御弁12を介して、上記油溜25に戻す。この様な上記各アクチュエータ10、10への圧油の給排により、上記各トラニオン7、7を上記各枢軸9、9の軸方向に移動させ、これら各トラニオン7、7を図5に示す位置に揺動させる。そして、上各パワーローラ6、6の周面をこの図5に示す様に、上記各入力側ディスク2、2の内側面の中心寄り部分と上記各出力側ディスク5、5の内側面の外周寄り部分とにそれぞれ当接させる。
【0011】
反対に、増速を行なう場合には、上記変速比制御弁12を、図7に示した中立位置から、同図の左側(或は右側)の状態に切り換える。そして、作動油を上記各アクチュエータ10、10の油圧室24a、24bに対し、上述の場合とは逆側に給排して、上記各トラニオン7、7を図5と反対方向に揺動させ、上記各パワーローラ6、6の周面を、この図5に示した状態とは逆に、上記各入力側ディスク2、2の内側面の外周寄り部分と上記各出力側ディスク5、5の内側面の中心寄り部分とに、それぞれ当接する様に、上記各トラニオン7、7を傾斜させる。これら各トラニオン7、7の傾斜角度を中間にすれば、入力軸1と出力歯車4との間で、中間の変速比(速度比)を得られる。
【0012】
尚、上記変速比制御弁12を構成するスプール15は、ばね27により、前記リンク部材19の一端に向け押圧して、この一端と上記スプール15の端部とを当接させたままとしている。又、このリンク部材19の他端と前記プリセスカム18のカム面21とは、上記ばね27の弾力に基づき、当接したままとなる。この為、このカム面21の変位は、直ちに上記スプール15に伝達される。
【0013】
更に、上述の様に構成され作用するトロイダル型無段変速機を実際の自動車用の無段変速機に組み込む場合、遊星歯車機構等の歯車式の差動ユニットと組み合わせて無段変速装置を構成する事が、例えば特許文献2に記載されて従来から知られている。この特許文献2に記載された無段変速装置は、所謂ギヤード・ニュートラルと呼ばれ、入力軸を一方向に回転させたまま、出力軸の回転状態を、停止状態を挟んで正転、逆転に切り換えられるもので、トロイダル型無段変速機と遊星歯車式変速機とを組み合わせて成る。
【0014】
【特許文献1】
特開2001−317601号公報
【特許文献2】
特開2000−220719号公報
【非特許文献1】
青山元男、「レッドバッチシリーズ/245/スーパー図解/クルマの最新メカが分かる本」、株式会社三推社/株式会社講談社、2001年12月20日、第92〜93頁
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
リンク部材19の他端とプリセスカム18のカム面21とは、ばね27の弾力に基づいて弾性的に当接している。このばね27の弾力は、走行時やエンジンの振動によって当接部ががたつかない程度の小さな値であり、当接部に作用する面圧は小さいものであるが、長期間に亙る使用によって、この当接部が摩耗する可能性がある。特に、上記振動により、微小とは言えフレッチング摩耗が発生する可能性がある。上記当接部の摩耗は、上記リンク部材19を介して変速比制御弁12を構成するスプール15の軸方向変位に繋がり、トロイダル型無段変速機の変速比制御がずれる原因となる。
【0016】
この様にして生じる変速比制御のずれに就いて、例えば上記当接部が0.1mm摩耗した場合に就いて考えてみる。上記カム面21のカムリードは、上記リンク部材19のリンク比にもよるが、一般的には30〜50mm/360度程度である。仮に30mmとした場合、0.1mmの摩耗は、上記プリセスカム18が1.2度回動(傾転)した場合に於ける、上記カム面21の軸方向変位量に相当する。トロイダル型無段変速機のパワーローラの傾転角度の範囲は60度程度であるから、上記1.2度なる値は2%に相当し、無視できない値である。特に、特許文献2に記載された様な、ギヤード・ニュートラルと呼ばれる無段変速装置の場合、入力軸を回転させたまま出力軸を停止させる際に、トロイダル型無段変速機の変速比を厳密に規制する必要がある。従って、上述の様な摩耗に基づく変速比設定のずれは好ましくない。
【0017】
上記当接部の摩耗に拘らず、上記トロイダル型無段変速機の変速比を厳密に規制する為には、学習制御により摩耗分を補正する制御を行なう事が考えられる。但し、この様な制御を行なうと、制御の為のプログラムが複雑になる他、摩耗を検知する為のセンサが必要になる等、コストが嵩む原因となる。しかも、上記当接部が摩耗した場合には、当接部の摩擦係数が高くなり、この当接部の摺動に対する抵抗が大きくなって、変速動作が円滑に行なわれなくなる可能性がある。
【0018】
これらの事を考慮した場合、上記当接部を構成するプリセスカム18のカム面21や前記リンク部材19の端部に、浸炭窒化処理等、表面を硬化させる為の熱処理を施したり、又は、上記プリセスカム18やリンク部材19を、含油メタル等の滑り易い材料、或は焼結金属等の摩耗しにくい材料により造る事が考えられる。但し、これらの対策は、何れもコスト上昇の原因となるだけでなく、トロイダル型無段変速機の使用期間が非常に長期に亙る場合、必ずしも十分な効果を得られない可能性がある。
本発明のトロイダル型無段変速機は、以上の様な事情に鑑みて発明したものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明のトロイダル型無段変速機は、前述した従来から知られているトロイダル型無段変速機と同様に、入力側ディスク及び出力側ディスクと、複数の支持部材と、複数のパワーローラと、複数のアクチュエータと、変速比制御弁と、フィードバック機構とを備える。
このうちの入力側ディスク及び出力側ディスクは、それぞれが断面円弧形の凹面である互いの内側面同士を対向させた状態で、互いに同心に、且つ互いに独立した回転自在に支持されている。
又、上記各支持部材は、上記入力側ディスク及び出力側ディスクの中心軸に対し捻れの位置にある枢軸を中心として揺動する。
又、上記各パワーローラは、上記各支持部材に支持された状態で上記入力側ディスク及び出力側ディスク同士の間に挟持されたもので、その周面を球状凸面としている。
又、上記各アクチュエータは、上記各支持部材を上記枢軸の軸方向に変位させる為の、油圧式のものである。
又、上記変速比制御弁は、上記各アクチュエータにそれぞれ1対ずつ設けた油圧室と、油溜及びこの油溜内の油を加圧して吐出する給油ポンプの吐出口との連通状態を切り換えて、上記各アクチュエータへの油圧の給排を制御するものである。
更に、上記フィードバック機構は、上記各支持部材の変位に応じて、上記変速比制御弁の弁構成部材を変位させるものである。
そして、上記フィードバック機構は、上記各支持部材のうちの何れかの支持部材を支持した枢軸と同心に結合され、この枢軸と共に軸方向及び回転方向に変位するプリセスカムと、このプリセスカムのカム面の変位を上記弁構成部材に伝達してこの弁構成部材を軸方向に変位させるリンク部材とを備えたものである。
【0020】
特に、本発明のトロイダル型無段変速機に於いては、上記変速比制御弁の一部に、上記カム面と上記リンク部材の端部との当接部に向けて開口する吐出口を設けている。
そして、上記変速比制御弁を通じて上記油溜に戻される油のうちの少なくとも一部を、上記吐出口から上記当接部に向け吐出させ、この当接部の潤滑に供する。
【0021】
【作用】
上述の様に構成する本発明のトロイダル型無段変速機の場合には、プリセスカムのカム面とリンク部材の端部との当接部に対し、効果的に油を送り込める。この為、これらカム面とリンク部材の端部との間に、常に十分な油膜が介在する状態となり、これらカム面とリンク部材の端部とが摩耗しにくくなる。
この結果、これらカム面又はリンク部材の端部の摩耗に基づいて変速比がずれたり、或は変速比制御が不安定になる事を防止できる。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1〜3は、本発明の実施の形態の1例を示している。尚、本発明の特徴は、変速比制御弁12aを通じて油溜(オイルパン)に戻される作動油(トラクションオイル)の一部を、プリセスカム18のカム面21とリンク部材19aを構成する第一リンクの腕44の先端部との当接部に供給する為の機構にある。その他の部分の構成及び作用は、前述の図4〜7に示した構造を含め、従来から知られているトロイダル型無段変速機と同様であるから、同等部分に関する図示並びに説明は省略若しくは簡略にし、以下、本発明の特徴部分及び前述した従来構造と異なる部分を中心に説明する。
【0023】
制御器からの指令に応じて上記変速比制御弁12aの連通状態を切り換える為のステッピングモータ(図示省略)は、図1の右方に、この変速比制御弁12aと平行に配置されている。そして、互いに平行に配列された、上記ステッピングモータの出力ロッドと上記変速比制御弁12aのスリーブ14aとを、レバー29を介して、変位の伝達自在に結合している。この為に本例の場合には、このレバー29の中間部を、図1の表裏方向に配置した揺動支持軸(図示省略)により、揺動自在に支持している。そして、上記レバー29の一端部(図1よりも右方に存在する端部)に上記出力ロッドの先端部を係合させると共に、上記レバー29の他端部(図1の左端部)に形成した切り欠き30に、円管状に形成された上記スリーブ14aの基端(図1の上端)開口端部を横切る状態で設けたピン31を係合させている。この構成により、上記ステッピングモータの出力ロッドの軸方向(図1の上下方向)の動きを、上記レバー29を介して上記スリーブ14aに伝達し、このスリーブ14aを軸方向(図1の上下方向)に変位駆動自在としている。
【0024】
上記スリーブ14aは、バルブボディー32に形成したバルブ孔33内に、軸方向(図1の上下方向)の変位自在に、且つ、油密に挿入している。そして、上記スリーブ14aの内径側に、円杆状のスプール15aを、やはり軸方向(図1の上下方向)の変位自在に、且つ、油密に挿入している。上記バルブボディー32には、給油ポート34と、第一、第二の給排ポート35、36とを、それぞれの端部を上記バルブ孔33の内周面に開口させる状態で設けている。又、このバルブ孔33の両端は開口しており、上記スリーブ14aの基端部がこのバルブ孔33の一端(図1の上端)開口から、上記スプール15aの基端部(図1の下端部)が上記バルブ孔33の他端(図1の下端)開口から、それぞれ突出している。
【0025】
上記各ポート34〜36のうちの給油ポート34は、油圧源である給油ポンプ26(図7参照)の吐出口に通じている。又、上記第一、第二の給排ポート35、36のうちの第一の給排ポート35は、アクチュエータ10に設けた1対の油圧室24a、24b(図7参照)のうち、エンジンから駆動輪への動力伝達時に比較的高圧となる、高圧側の油圧室24aに通じさせている。これに対して、上記第二の給排ポート36は、低圧側の油圧室24bに通じさせている。
【0026】
又、上記スリーブ14aには4種類のポート37a、37b、38、39、51を、軸方向に互いに離隔させて設けている。このうちの軸方向両端部に位置するドレンポート37a、37bは、上記アクチュエータ10の作動時に上記1対の油圧室24a、24bのうちの何れかの油圧室24a(又は24b)から排出された作動油を、前記油溜に戻す為に設けている。又、軸方向中間部で上記第一の給排ポート35に整合する位置に設けた高圧側ポート38は、上記高圧側の油圧室24aへの作動油の給排を行なう為に設けている。又、軸方向中間部で上記第二の給排ポート36に整合する位置に設けた低圧側ポート39は、上記低圧側の油圧室24bへの作動油の給排を行なう為に設けている。更に、軸方向中央部で上記給油ポート34に整合する位置には、中央ポート51を設けている。
【0027】
又、前記スプール15aの軸方向中間部には、低圧側、高圧側、1対の小径部40、41を、互いに軸方向に離隔させた状態で設けている。このうち、上記第一の給排ポート35に整合する位置に設けた高圧側小径部40は、上記高圧側の油圧室24aへの作動油の給排を行なう為に設けている。更に、低圧側小径部41は、上記低圧側の油圧室24bへの作動油の給排を行なう為に設けている。即ち、上記スリーブ14aと上記スプール15aとの、軸方向に関する相対変位に基づき、次の▲1▼〜▲3▼の何れかの状態に切り換え自在としている。
▲1▼ 上記第一、第二の給排ポート35、36を、上記高圧側、低圧側両ポート38、39及び上記各ドレンポート37a、37bの何れにも通じさせない状態(図1に示した状態)。
▲2▼ 図1に示した状態よりも上記スリーブ14aを上記スプール15aに対して上に、相対変位させる事により、上記高圧側ポート38及び中央ポート51を介して前記給油ポート34と上記第一の給排ポート35とを通じさせる。これと同時に、上記低圧側ポート39を介して上記第二の給排ポート36と前記ドレンポート37bとを通じさせる状態。
▲3▼ 図1に示した状態よりも上記スリーブ14aを上記スプール15aに対して下に、相対変位させる事により、上記高圧側ポート38を介して前記第一の給排ポート35と前記ドレンポート37aとを通じさせる。これと同時に、上記低圧側ポート39及び中央ポート51を介して上記給油ポート34と上記第二の給排ポート36とを通じさせる状態。
【0028】
更に、上記スプール15aの両端部には、それぞれドレン排出通路42a、42bを設けている。これら各ドレン排出通路42a、42bの上流端は、それぞれ上記各ドレンポート37a、37bに通じており、下流端は、それぞれ上記スプール15aの軸方向端面に開口している。更に本例の場合には、上記ドレンポート37b、前記低圧側小径部41、上記低圧側ポート39とを介して上記第二の給排ポート36に通じる、上記ドレン排出通路42bの中間部に、吐出口43を設けている。そして、この吐出口43を通じて作動油を、次述するプリセスカム18のカム面21と、リンク部材19aを構成する第一のリンク腕44の先端部との当接部に送り込む様にしている。尚、図示の例では、上記吐出口43の加工作業を容易にする為、上記当接部と反対側(図1の右側)にも同様の孔を形成しているが、この当接部への作動油の供給量を多くする為には、この当接部の側(図1の左側)にのみ、上記吐出口43を設ける事が好ましい。
【0029】
上記リンク部材19aは、図3に示す様に、1本の揺動軸45の中間部外周面で軸方向に離隔した2個所位置に、それぞれ第一、第二のリンク腕44、46の基端部を結合固定している。これら両リンク腕44、46のうち、上記スプール15aの軸方向端部に係合させる、第二のリンク腕46の先端部外周面は、上記揺動軸45の中心軸に対して平行な部分円筒面としている。一方、上記スプール15aの基端部には、図2に示す様な切り欠き47を形成している。この切り欠き47の幅W47は、上記第二のリンク腕46の先端部の厚さT46(図3)とほぼ一致(W47≒T46)させている。従って、この第二のリンク腕46の先端部を上記切り欠き47に係合させた状態では、上記スプール15aの回転阻止が図られると同時に、前記ドレン排出通路42bの下流端開口が塞がれる。従って、前記低圧側の油圧室24bから排出される作動油は、上記吐出口43から上記スプール15aの径方向外方に吐出される事になる。
【0030】
これに対して、前記プリセスカム18のカム面21に突き当てる為の上記第一のリンク腕44の先端部には、球状部48を形成している。図示の例では、この球状部48の曲率中心を、上記第一のリンク腕44の中心軸上に配置している。又、この第一のリンク腕44の中心軸と上記揺動軸45の中心軸とを交差させている(交差していれば、必ずしも直交させなくても良い)。
【0031】
上述の様なリンク部材19aは、上記揺動軸45の両端部を、各アクチュエータ10、10(図6〜7参照)を内蔵したバルブボディー32の一部等の固定の部分に枢支する。この状態で、図1に示す様に、上記第一のリンク腕44の先端部外周面を上記カム面21に突き当て、上記第二のリンク腕46の先端部外周面を上記スプール15aの軸方向端部に係合させる。この場合に、上記第一のリンク腕44の先端に設けた球状部48の外周面と上記カム面21とは点接触する。従って、上記揺動軸45の中心軸の方向と上記カム面21の方向とを規制する必要はない。尚、上記スプール15aの外周面に係止した止め輪49と、上記バルブボディー32の側面で前記バルブ孔33の端部開口を囲む部分に突き当てた座板50との間にはばね27を設けて、上記スプール15aに、上記バルブ孔33から抜け出る方向の弾力を付与している。上記カム面21と上記球状部48の外周面とは、この弾力に基づいて当接する。
【0032】
前記吐出口43は、これらカム面21と球状部48の外周面の当接部に向けて開口している。そして、変速比変更の為、或は前記各アクチュエータ10、10に動力伝達に伴う荷重が加わる事に伴って、上記低圧側の油圧室24bから作動油が排出される度に、この作動油が上記当接部に向け吐出される。又、前記バルブ孔33と前記スリーブ14aとの嵌合部、このスリーブ14aと上記スプール15aとの嵌合部には、これらスリーブ14a及びスプール15aの軸方向移動を可能にする為に、半径方向に微小な隙間が存在する。そして、この隙間を通じて漏出した作動油の一部が、上記吐出口43から上記当接部に向け吐出する。従って、この当接部に、常に十分な油膜が介在する状態となり、上記カム面21と上記球状部48の外周面とが摩耗しにくくなる。尚、上記吐出口43の開口面積及び開口形状は、この吐出口43から吐出される作動油が上記当接部に効果的に達する様に、適宜定める。例えば、吐出口43とこの当接部との距離が大きい場合には、この吐出口43の面積を小さくして、上記作動油を勢い良く吐出させる。
この結果、これらカム面21と球状部48の外周面との摩耗に基づいて変速比がずれたり、或は変速比制御が不安定になる事を防止できる。
【0033】
尚、図示の例では、低圧側の油圧室24bから排出される作動油のみを上記カム面21と球状部48の外周面の当接部に向けて吐出する様にしている。これに対して、高圧側の油圧室24aから排出される作動油も、上記当接部に向け吐出する様にすれば、この当接部の潤滑を一層良好にできる。この為には、図1でスプール15aの先端部(上端部)に設けたドレン排出通路42aの下流端開口部を栓等により塞ぐと共に、このドレン排出通路42aを、吐出口43を設けたドレン排出通路42bに通じさせる。
更に、図示の例では、3層構造の変速比制御弁12aに関して本発明を実施しているが、本発明は、2層構造の変速比制御弁で実施する事もできる。要は、油溜に戻る作動油の少なくとも一部を、リンク部材の端部とプリセスカムのカム面との当接部に供給する様に構成すれば良い。
【0034】
【発明の効果】
本発明は、以上に述べた通り構成され作用するので、リンク部材の端部とプリセスカムのカム面との当接部の摩耗を抑えて、長期間に亙って良好な性能を維持できるトロイダル型無段変速機を実現できる。そして、例えば、ギヤード・ニュートラルと呼ばれる無段変速装置の実現に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の1例を示す、トロイダル型無段変速機の部分底面図。
【図2】変速比制御弁を構成するスプールの端部斜視図。
【図3】フィードバック機構を構成するリンク部材の斜視図。
【図4】本発明の対象となるトロイダル型無段変速機の1例を示す断面図。
【図5】図4のA−A断面図。
【図6】図4のB−B断面図。
【図7】変速比を制御する為の機構を示す模式図。
【符号の説明】
1 入力軸
2 入力側ディスク
3 ボールスプライン
4 出力歯車
5 出力側ディスク
6 パワーローラ
7 トラニオン
8 支持軸
9 枢軸
10 アクチュエータ
11 支持板
12、12a 変速比制御弁
13 ステッピングモータ
14、14a スリーブ
15、15a スプール
16 ピストン
17 ロッド
18 プリセスカム
19、19a リンク部材
20 同期ケーブル
21 カム面
22 駆動軸
23 押圧装置
24a、24b 油圧室
25 油溜
26 給油ポンプ
27 ばね
29 レバー
30 切り欠き
31 ピン
32 バルブボディー
33 バルブ孔
34 給油ポート
35 第一の給排ポート
36 第二の給排ポート
37a、37b ドレンポート
38 高圧側ポート
39 低圧側ポート
40 高圧側小径部
41 低圧側小径部
42a、42b ドレン排出通路
43 吐出口
44 第一のリンク腕
45 揺動軸
46 第二のリンク腕
47 切り欠き
48 球状部
49 止め輪
50 座板
51 中央ポート
Claims (2)
- それぞれが断面円弧形の凹面である互いの内側面同士を対向させた状態で、互いに同心に、且つ互いに独立した回転自在に支持された入力側ディスク及び出力側ディスクと、これら入力側ディスク及び出力側ディスクの中心軸に対し捻れの位置にある枢軸を中心として揺動する複数の支持部材と、これら各支持部材に支持された状態で上記入力側ディスク及び出力側ディスク同士の間に挟持された、その周面を球状凸面とした複数のパワーローラと、上記各支持部材を上記枢軸の軸方向に変位させる為の油圧式の複数のアクチュエータと、これら各アクチュエータにそれぞれ1対ずつ設けた油圧室と油溜及びこの油溜内の油を加圧して吐出する給油ポンプの吐出口との連通状態を切り換えて上記アクチュエータへの油圧の給排を制御する変速比制御弁と、上記各支持部材の変位に応じてこの変速比制御弁の弁構成部材を変位させるフィードバック機構とを備え、このフィードバック機構は、上記各支持部材のうちの何れかの支持部材を支持した枢軸と同心に結合され、この枢軸と共に軸方向及び回転方向に変位するプリセスカムと、このプリセスカムのカム面の変位を上記弁構成部材に伝達してこの弁構成部材を軸方向に変位させるリンク部材とを備えたものであるトロイダル型無段変速機に於いて、上記変速比制御弁の一部に、上記カム面と上記リンク部材の端部との当接部に向けて開口する吐出口を設け、上記変速比制御弁を通じて上記油溜に戻される油のうちの少なくとも一部を、上記吐出口から上記当接部に向け吐出させ、この当接部の潤滑に供する事を特徴とするトロイダル型無段変速機。
- 変速比制御弁を通じて上記油溜に戻される油が、各アクチュエータに設けた1対の油圧室のうちで変速比変更に伴って容積が減少する側の油圧室から排出される油である、請求項1に記載したトロイダル型無段変速機。
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