JP4186408B2 - 飲料供給回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、飲料ディスペンサ,もしくはカップ式飲料自動販売機において、販売指令に基づきシロップタンクから抽出した濃縮シロップに冷水,ないし炭酸水の希釈水を混合してカップに供給する飲料供給回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
まず、炭酸飲料(弱炭酸飲料,強炭酸飲料)の飲料ディスペンサを例に、従来における飲料供給回路を図5に示す。図において、飲料ディスペンサ1は、その本体キャビネットの前面下部にベンドステージ1a、キャビネットの内部には冷凍機ユニット2,冷却水槽3を装備しており、ベンドステージ1aの上方にはシロップ系の各種飲料と個々に対応する複数の飲料注出ノズル(シロップと希釈水を混合して吐出すパウトノズルであり、その詳細構造は図3に示す)4が集中的に配備されている。また、キャビネット1aの前面に配した操作パネル5には各種シロップ飲料の販売に対応した選択ボタン6を備えている。
【0003】
また、機内には前記の飲料ノズル4に通じるシロップ回路7、および希釈水回路を構成する冷水回路8,炭酸水回路9を備えている。ここで、濃縮シロップを収容したシロップコンテナ10から引出したシロップ回路7には、冷却水槽3の水中に浸漬した冷却コイル11を経由してシロップバルブ(電磁バルブ)12が接続されている。また、冷却水回路8には水道に接続した水ポンプ13,冷却水槽3に浸漬した冷却コイル14,強炭酸水に冷水を混ぜるブレンドレギュレータ15,および希釈水バルブ(電磁バルブ)16が接続されている。さらに、炭酸水回路9は炭酸水を製造するカーボネータ17から引き出してブレンドレギュレータ15,ないし希釈水バルブ16(強炭酸飲料回路)との間に配管されている。なお、18は各シロップタンク10,およびカーボネータ17に炭酸ガスを加圧供給する炭酸ガスボンベ、19はベンドステージ1aにセットしたカップである。
【0004】
次に、本発明と同一出願人より特願平2000−14639号として先に提案した自動混合方式の飲料供給システムを例に、前記シロップバルブ12,希釈水バルブ16,およびバルブの制御系統を図6に、またその飲料販売動作を図7で説明する。図6において、シロップバルブ12および希釈水バルブ16は、電磁弁20に流量計(ギヤ形の容量式流量計)21を組合せた構成になる。また、前記バルブの制御部22は図示のようにCPU,入力部,出力部,メモリ,および通信制御部からなり、飲料販売時に利用者がベンドステージにカップ19をセットし、操作パネルで飲料の種類,および好みに合わせて飲料濃度の増,減を選択してボタンを押すと、その選択信号が販売指令ととも主制御部(マスタ)23から制御部22に与えられ、次に記すようなルーチンを実行する。
【0005】
すなわち、カップ19に供給する仕上がり飲料の総量(カップサイズにより異なる)をX、販売飲料の種類毎に設定したシロップと希釈水の混合比率を1:Y(この混合比率(例えば1:5,1:8)は飲料の種類別にあらかじめ定めてコントローラ25のメモリに格納されている)、および客が好みに合わせて指定したシロップ濃度の比率補正値をZ(「濃いめ」を選択した場合にはZの値がマイナス値、「薄め」を選択した場合にはプラス値となる)として、制御部22のCPUが飲料の総量Xに対するシロップ吐出量X1 =X/(1+Y+Z)、および希釈水吐出量X2 =X(Y+Z)/(1+Y+Z)を演算により求める。続いて、制御部22の出力部からシロップバルブ12,希釈水バルブ16へ同時にON指令を与え、各バルブを開いて飲料供給を開始するとともに、シロップ回路7,希釈水回路8の各流量計21で検出したシロップ流量,希釈水流量を制御部22に取り込み、次のようなステップを経てシロップバルブ12,希釈水バルブ16を開閉制御する。
【0006】
すなわち、希釈水回路8は飲料供給動作の開始から終了まで希釈水バルブ16を開いたままで希釈水を継続的にするのに対して、シロップ回路7はシロップバルブ12を間欠的に開閉してシロップを小分けに供給する。ここで、シロップ回路7の流量計21で検出したシロップ流量のカウント値があらかじめ設定した1回分の小分けシロップ吐出量Wに達するごとにシロップバルブ12を一旦OFF(閉)し、この動作を次に記す希釈水吐出量のカウントサイクルに合わせてV回繰り返す。一方、希釈水回路8では前記した小分けシロップ吐出量Wに対応した混合比率の希釈水吐出量W*(Y+Z)を流量計21でカウントする毎に、その検出信号でシロップバルブ12を再度ON(開)させるとともに、そのカウント値をリセットしてこれをV回繰り返る。そして、最後にシロップバルブ12を再度ONにして、飲料供給開始からのシロップ流量積算値V×Wと飲料の吐出総量Xに対応するシロップ吐出量X1 との差である残り端数分の量X/(1+Y+Z)−VWを供給した後に シロップバルブ12をOFFにしてシロップの供給を完了する。また、希釈水回路8ではシロップ吐出量の端数分の量X(Y+Z)/(1+Y+Z)−VW(Y+Z)をカウントした後に希釈水バルブ16を閉じて希釈水の供給を完了して1回の飲料販売動作を終了するとともに、制御部22ではカウント値を全てリセットして次回の販売に備えて待機状態に復帰する。
【0007】
これにより、図7のタイムチャートで表すように飲料供給開始から時間の経過とともに希釈水の継続な供給と並行してシロップが小分けに間欠的に供給され、販売動作の終了時点では所定のシロップ/希釈水比率に混合された総量Xの飲料が飲料注出ノズル4を通じてカップ19に吐出し供給される。なお、図7でT1 は前記のようにシロップバルブ12を間欠的に開閉制御するバルブ制御の基本サイクル、T2 はサイクルT1 におけるシロップバルブ12のON動作タイム(シロップの吐出し時間)、T3 はシロップバルブ12のOFF動作タイム(シロップの吐出停止時間)を表している。また、飲料注出ノズル4では、シロップバルブ12,希釈水バルブ16を通じて供給されたシロップと希釈水(炭酸水)がノズル内部の通路(ディフューザ)を通過する際に混ざり合ってカップ19に吐き出される。
【0008】
なお、前記は飲料ディスペンサについて述べたが、カップ式飲料自動販売機の飲料供給システムも基本的には飲料ディスペンサと同様な回路構成であり、販売時に客がコインを投入して所望の飲料選択ボタンを押すと、ベンドステージにカップが自動的に搬出されるとともに、そのカップに相応した定量のシロップ飲料が飲料注出ノズルを通じてたカップに吐出し供給される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記した従来の飲料回路では、カップ19に供給された仕上がり飲料のシロップと希釈水とがカップ内の全域で均一に混ざり合わない問題が発生する。
すなわち、販売時にカップに供給したシロップ飲料は、仕上がり状態でカップ内の上下の各層における飲料の濃さ(糖度)を表すブリックス (Brix) ができるだけ均一で、飲料メーカーで規定したブリックスの規格値(カップ内の上層,下層の2点で測定した飲料のブリックス値)を確保することが求められる。一方、濃縮シロップはその種類によって固有の濃度, 粘性を有しており、特に粘性の高い濃縮シロップは希釈水と別々にカップに供給するとカップ内で十分に混ざり合わず、シロップ味の濃い層と味の薄い層とが分離して混在するようになる。
【0010】
かかる点、前記した従来の自動希釈混合方式では、図7のタイムチャートで表すように間欠的に開閉するシロップバルブ12のON動と次のサイクルのON動作との間にOFF動作タイムT3 が存在し、特にシロップ/希釈水の混合比率が低い飲料では各サイクルT1 にOFF動作タイムT3 の占める割合が大きくなる。これに対して希釈水バルブ16は販売動作中に継続的に開いて希釈水を飲料注出ノズル4に供給する。このために、シロップバルブ12と希釈水バルブ16が同時に開いているときは、シロップと希釈水が飲料注出ノズル4を通過する際に混ざり合ってカップ19に吐出し供給されるが、シロップバルブ12が閉じている間は希釈水のみが飲料注出ノズル4を通じてカップに供給されるために、カップ内の飲料はブリックスの高い層と低い層とが交互に混在して飲料の味にムラが生じ、良質な飲料を提供することができない。
【0011】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、先記した自動希釈混合方式の飲料供給回路をベースに、前記課題を解決して供給開始から終了までシロップと希釈水を出来るだけ平均に混ぜ合わせてカップに供給し、仕上がり状態で味ムラのない良質な飲料を販売できるように改良した飲料供給回路を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明によれば、販売指令に基づきシロップコンテナから抽出した濃縮シロップと冷水,ないし炭酸水の希釈水とを所定の混合比率でカップに吐出し供給する飲料供給回路で、ベンドステージに配した飲料注出ノズルに接続したシロップ回路,希釈水回路に流量計と組合せたシロップバルブ,希釈水バルブを接続し、飲料の仕上がり総量,シロップ/希釈水混合比率の入力を基に制御部でシロップ吐出量,希釈水吐出量を演算決定した上でシロップバルブ,希釈水バルブを開いて飲料供給を開始するとともに、前記流量計で検出したシロップ,希釈水流量の情報を基に、希釈水バルブは販売開始から終了まで継続的に開放しつつ、シロップバルブを間欠的に開閉制御し、飲料注出ノズルを通じて所定の比率に混合した定量の飲料をカップに供給するようにしたものにおいて、
前記バルブと飲料混合ノズルとの間の配管路に、シロップの種類に応じてその吐出流速を調整する流速調整器を接続し、販売動作中にシロップと希釈水とが同時に供給される時間の割合ができるだけ長くなるように調整してシロップと希釈水が均一に混ざり合った状態でカップに供給されるする(請求項1)。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図4に示す実施例に基づいて説明する。なお、実施例の図中で図5,図6に対応する部分には同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
すなわち、図示実施例においては、図1に示すごとくシロップ回路7,希釈水回路8に対してシロップバルブ12,希釈水バルブ16と飲料注出バルブ4との間の管路に流速調整器24が追加接続されている。この流速調整器24は、例えば図2示すような手動で操作する可変絞り弁が採用され、オペレータが操作し易いように飲料ディスペンサでの前面扉の内側に配置されている。なお、図示例では流速調整器24をシロップ回路7と希釈水回路8の双方に設けているが、シロップ回路7にのみ設けて実施することもできる。
【0015】
ここで、図示例の流速調整器24は、弁ケース24aに嵌合した円柱状の弁体24bに太穴通路24cと細穴通路24dが十文字状に形成してあり、この弁体23bに把手が取付けてある。かかる構成で、シロップ流速を早く設定するには(b) 図のようにシロップ回路7の管路と弁体の太い通路24cの向きが一致するようにセットし、流速を遅く設定するには(c) 図のように弁体24bの向きを変えて細い流路24dが管路の向きに合わせるようにし、販売飲料のシロップ種類毎にその調節位置がマニュアルで定めてある。なお、流速調整器24は図示構造のものに限定されるものではなく、例えば調整ねじで操作するニードル弁を使用することもできる。
【0016】
また、図3は飲料注出ノズルの詳細な構造を表す図であり、先記したシロップ回路7,希釈水回路8の配管を接続する管継手を上面に備えたノズル本体4aと、ノズル本体の下部外周にOリング4cを介して被着結合したスパウトノズル4bと、ノズル本体の内部に組み込んだディフューザ4dの組立体から構成され、シロップはディフューザ4dの先端に開口した噴射穴を通じてスパウトノズル4bの内方へ放射状に噴出し、希釈水はディフューザ4dの外周面とノズル本体4aとの間の狭い隙間を通過して減圧させながらスパウトノズル4bの内周面を流下し、ここでシロップと混ざり合ってカップに向けて吐き出される。
【0017】
かかる構成で、飲料販売に際しては、あらかじめ機内の各飲料系統ごとに濃縮シロップの種類(シロップ固有の濃度,粘性)に合わせてシロップ回路7に接続した流速調整器24を指定位置に設定し、図4の斜線パターンで表すようにバルブ制御の基本サイクルT1 でシロップバルブ12のOFF動作タイムT3 がなるべく小さくなるように、シロップ回路7を流れるシロップの流速を調整する。なお、図中の点線は流速調整器24を装備してない従来の飲料回路によるバルブ制御パターン(図7に対応する)を表している。これにより、間欠的に開閉制御されるシロップバルブ12を通じて飲料注出ノズル4に供給されるシロップの吐出間隔(OFF動作タイムT2 )が短くなり、販売時における飲料の供給開始から終了までの大半でシロップと希釈水とが所定の混合比率を保ちながら並行して吐き出され、飲料注出ノズル4で混ざり合ってカップ19に供給される。なお、図1のように流速調整器24を希釈水回路8にも設けた場合には、この流速調整器を調整して希釈水の供給流速を早める方向に調整することで、相対的にシロップの吐出し間隔(OFF動作タイムT3 )が短縮される。
【0018】
したがって、カップ19に供給された飲料は、カップ内の上中下各層のブリックスが略均一になって味ムラのない良質な飲料に仕上がる。また、カップに飲料を吐出し供給する際に、シロップの吐出し速度は早いとカップ内で炭酸水(希釈水)が過剰に泡立ってカップから溢れ出ることがあるが、流速調整器24でシロップの吐出流速を低めに絞ることにより、カップに注ぐ飲料の勢いが弱まって過剰な泡立ちを抑えることができる。
【0019】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、飲料注出ノズルに接続したシロップ回路,希釈水回路に流量計と組合せたシロップバルブ,希釈水バルブを接続し、飲料の仕上がり総量,シロップ/希釈水混合比率の入力を基に制御部でシロップ吐出量,希釈水吐出量を演算決定した上でシロップバルブ,希釈水バルブを開いて飲料供給を開始するとともに、前記流量計で検出したシロップ,希釈水流量の情報を基に、希釈水バルブは販売開始から終了まで継続的に開放するとともに、シロップバルブを間欠的に開閉制御し、飲料注出ノズルを通じて所定の比率に混合した定量の飲料をカップに供給するようにしつつ、前記バルブと飲料混合ノズルとの間の配管路にシロップの種類に合わせてその流速を調整する流速調整器を接続し、該流速調整により間欠的に供給されるシロップの間隔を短縮する方向に調整することにより、飲料の供給開始から終了までの大半でシロップと希釈水とが並行して飲料注出ノズルで混ざり合いながらカップに供給される。これにより、シロップと希釈水が所定の混合比率を保ちつつ、しかもカップ内に供給したはその上中下各層のブリックスが均一化されて味ムラのない良質な飲料に仕上がる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による飲料供給回路の系統図
【図2】図1における流速調整器の構成図であり、(a) はシロップ回路の配管に接続した状態の正面図、(b),(c) はそれぞれシロップ流速を高,低に設定した状態図
【図3】図1における飲料注出ノズルの詳細構造図
【図4】図1による飲料供給動作のタイムチャートを表す図
【図5】従来の飲料回路を装備した飲料ディスペンサの飲料系統図
【図6】図5におけるシロップバルブ,希釈水バルブの制御系統図
【図7】図5による飲料供給動作のタイムチャートを表す図
【符号の説明】
1a ベンドステージ
4 飲料注出ノズル
7 シロップ回路
8 希釈水回路
10 シロップコンテナ
12 シロップバルブ
16 希釈水バルブ
19 カップ
21 流量計
22 制御部
25 流速調整器
Claims (1)
- 販売指令に基づきシロップコンテナから抽出した濃縮シロップと冷水,ないし炭酸水の希釈水とを所定の混合比率でカップに吐出し供給する飲料供給回路であり、ベンドステージに配した飲料注出ノズルに接続したシロップ回路,希釈水回路に流量計と組合せたシロップバルブ,希釈水バルブを接続し、飲料の仕上がり総量,シロップ/希釈水混合比率の入力を基に制御部でシロップ吐出量,希釈水吐出量を演算決定した上でシロップバルブ,希釈水バルブを開いて飲料供給を開始するとともに、前記流量計で検出したシロップ,希釈水流量の情報を基に、希釈水バルブは販売開始から終了まで継続的に開放しつつ、シロップバルブを間欠的に開閉制御し、飲料注出ノズルを通じて所定の比率に混合した定量の飲料をカップに供給するようにしたものにおいて、前記バルブと飲料混合ノズルとの間の配管路に、販売飲料のシロップ種類に応じてシロップの吐出流速を調節する流速調整器を接続したことを特徴とする飲料供給回路。
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