JP4185343B2 - ガス状汚染物質の除去方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、クリーンルーム内に設置された半導体製造装置内の局所空間における汚染性ガスの除去材およびそれを用いたガス状汚染物質の除去方法に関する。半導体製造装置としては、例えば、レジスト塗布装置、露光装置、現像装置などが挙げられる。またキャリアボックス、クリーンボックス、ストッカ、搬送空間、インターフェイス等に好適に用いることができる。またクリーンルームやクリーンルーム内の局所空間(ミニエンバイロメント・マイクロエンバイロメント)に本発明のガス状汚染物質の除去方法を適用することもできる。
【0002】
【従来の技術】
半導体を製造するクリーンルームの空気清浄は、従来はHEPAフィルタ(高性能フィルタ)により空気中の微細な粒子状汚染物質を除去することが主であったが、半導体製品の高集積化が進むに連れてガス状汚染物質を除去することが重要であることが判ってきた。例えば人体からも発生するアンモニアは露光装置に影響が大きく、化学増幅型のレジストのパターン形成を阻害したり、レンズを曇らせたりするため線幅の微細化が進むに連れ更に高度に除去することが求められるようになっている。また有機性ガスはクリーンルームの構成材料である高分子部品(可塑材、離型材、酸化防止剤等)から脱ガスするため、室内のガスを循環して使用するクリーンルームでは有機性ガス濃度は徐々に外気より高くなってしまう。これら有機性ガスもウェハ基材や基板を汚染して製品の生産性(歩留り)を低下させることが確認されている。
【0003】
ガス状汚染物質には、(1)NOx 、SOx 、HFなどの酸性ガス、(2)NH 、アミンなどの塩基性ガス、(3)有機性ガス(炭化水素)があり、それらを除去するためにケミカルフィルタが使用されている。
【0004】
一般にケミカルフィルタはクリーンルームの外気導入口に配置され大気中のガス状汚染物質がクリーンルーム内に進入することが防止される。またクリーンルームの天井面に設置されているファンフィルターユニットにケミカルフィルタを設置して循環空気中のガス状汚染物質が除去される。
【0005】
ガス状汚染物質の吸着量が一定量以上になればケミカルフィルタは通常1年に1回程度の頻度で交換しなければならないが、ケミカルフィルタは高価である。特に有機性ガスは活性炭の物理吸着により除去されているが、活性炭の有機性ガスに対する吸着容量は限られており使用量を多くするか交換頻度を多くする必要があり維持管理費が非常に高くなる。また一般に酸性ガス用ケミカルフィルタはアルカリ性物質を添着した活性炭や陰イオン交換繊維が用いられ、塩基性ガス用ケミカルフィルタは酸性物質を添着した活性炭や陽イオン交換繊維が使用されている。有機性ガスと比較すると酸性ガスや塩基性ガスは化学的に除去されるため吸着容量は大きいが、イオン交換繊維や薬品を添着した活性炭は再生処理することが困難であり、廃棄処理する場合には更に費用が発生してしまう。
【0006】
今後半導体の集積度をますます緻密化し集積回路の最小線幅をサブミクロンで形成するに際して、更にガス状汚染物質の高度清浄化が必要になると予測されている。そこで製品の製造コストのアップを避けるために局所清浄化(ミニエンバイロメント、マイクロエンバイロメント)の検討が進められている。ただし局所清浄化においては、高分子材料の使用が多くなるので、これらの材料からの有機性ガスの発生が問題となる。
【0007】
そこで半導体製造装置自体にケミカルフィルタを設置することにより、効率的でより確実にガス状汚染物質の除去が可能となる。ただし製造装置にケミカルフィルタを設置する場合はユーザーのクリーンルームの管理状況によってケミカルフィルタの寿命が大きく影響されることが問題となる。すなわち、クリーンルームの管理が十分されている場合はクリーン度の高い室内空気を導入し、製造装置のケミカルフィルタで更にガス状汚染物質を高度に除去することにより超清浄空気とすることが可能である。しかしながら、クリーンルームの管理が不十分である場合は室内空気の汚染度が高く、製造装置のケミカルフィルタの負担が大きくなり頻繁に交換しなければ製品の生産性に悪影響を与える可能性がある。そこで高価なケミカルフィルタを有効的に使用するためには製造装置にケミカルフィルタの寿命を検出するための手段等の対策を別途実施しなければ高い生産性を維持しながら経済的に装置を稼動することができない。
【0008】
クリーンルームの有機性ガス等を除去する方法として光触媒を適用する方法が検討されている。クリーンルーム等の局所空間における有機性ガスによる汚染を防止する方法として、局所空間の一部を光触媒で構成して光を照射する方法が提案されており、例えば、クリーンルームの壁面や半導体製造装置の側面に光触媒を設置して蛍光灯から照射される光を利用する方法が記載されている(特許文献1参照)。またデバイス製造装置が収納された環境チャンバ内に酸化チタンを備えた不純物除去フィルタを設置して、光触媒作用によって不純物を除去する環境制御装置が提案されている(特許文献2参照)。
【0009】
上述のような光触媒を用いてガス状汚染物質を除去するに際しては光触媒反応は処理速度が遅いことが問題となる。そこで光触媒と活性炭やゼオライト等の吸着材を併用することが検討されている。例えば、クリーンルームまたは該クリーンルーム内の局所空間の気体を清浄するに際して、気体を除塵フィルタによる処理と、吸着材による処理と、光触媒による処理を実施して気体中の微粒子およびガス状の有害成分を除去するクリーンルームにおける気体清浄方法が提案されており、ここでは吸着材として活性炭やイオン交換繊維が例示されている(特許文献3参照)。
【特許文献1】
特開平9−168722号公報
【特許文献2】
特開平11−111593号公報
【特許文献3】
特開平10−296042号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
半導体の高集積化を進める中で、半導体製造装置にガス状汚染物質を除去する機能が必須となっている。例えば、露光装置はアンモニアやアミン類の塩基性ガス及び有機性ガスのガス状汚染物質に対して敏感であり、線幅を更に微細化するためにはこれらのガスを1ppb以下に低減することが必要になるとされている。
【0011】
また安定した品質の製品を得るためにクリーンルームとは別に装置内に空調手段を有しており厳しく温度や湿度をコントロールされている。これらの空調コスト低減するために装置内でガスを循環して利用しているが、装置内の高分子部品から有機性ガスが脱ガスするため循環空気の有機性ガス濃度はどんどん高くなる可能性がある。
【0012】
またレジスト塗布・現像装置においても前記露光装置同様にガス状汚染物質が除去されているが、現像工程において使用する薬液より装置内でアンモニアや有機性ガスが発生するため、これらガス状有害成分がクリーンルーム内にリークされないように対策することが求められている。
【0013】
特に汚染性物質としてはアンモニア以外に有機性ガスの処理対策が今後より求められると予測されている。アンモニアや酸性ガスは前述のようなケミカルフィルタを用いることにより対応は可能であるが、有機性ガスに関しては現状有効な除去手段がなく活性炭の物理吸着により主に除去されている。有機性ガスは高分子材料であるプラスチック等からも発生するためクリーンルーム内のあらゆるところから発生する。例えば、塗料や塗床材、シート、パネル、電源ケーブル、シーリング剤、パッキンから有機性ガスのオフガスがあることが確認されている。これら有機性ガスを効果的に除去する方法が求められている。
【0014】
本発明は、かかる事情の下になされたものであり、半導体製造装置の局所空間においてアンモニアや有機性ガス等のガス状汚染物質を半永久的に除去し、維持管理が容易で経済的な半導体製造装置の汚染性ガス除去材およびこの汚染性ガス除去材を用いたガス状汚染物質の除去方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題は次の発明によって達成される。
(1) 少なくとも塩基性ガス吸着能力と光触媒作用とを有する、チタン及びケイ素の二元系複合酸化物、チタン及びジルコニウムの二元系複合酸化物、並びにチタン、ケイ素及びジルコニウムの三元系複合酸化物の少なくとも一つのチタン系複合酸化物を含有してなる汚染性ガス除去材を半導体製造装置内に設置してガス状汚染物質を除去するにあたり、該汚染性ガス除去材を加熱・再生することにより繰り返し使用することを特徴とするガス状汚染物質の除去方法。
(2) 汚染性ガス除去材の加熱・再生を、半導体製造装置の雰囲気ガス空調用冷凍機の高温冷媒との熱交換により加熱した空気を用いて行う上記(1)のガス状汚染物質の除去方法。
【0016】
本発明の「ガス状汚染物質」とは、(1)NOx 、SOx 、HFなどの酸性ガス、(2)NH 、アミンなどの塩基性ガス、(3)塗料の溶剤やプラスチック等の高分子材料などから発生する有機性ガス(炭化水素)を意味する。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の汚染性ガス除去材は、半導体製造装置に設置してガス状汚染物質を除去するものであり、少なくとも塩基性ガス吸着能力と光触媒作用とを有していることを特徴としている。
【0018】
本発明の汚染性ガス除去材は塩基性ガスに対して高い吸着容量を有しており低濃度ガスを高効率で除去することが可能であり、かつ有機性ガスを光触媒作用により除去することができるため、メンテナンスが容易であり半導体製造装置を連続的に安定した条件で稼動し維持管理費を低減することができる。
【0019】
塩基性ガスとしては、アンモニアやトリメチルアミン等のアミン類が挙げられ、特にアンモニアは人体からも発生するため、外気よりクリーンルーム内の方が高いケースもある。またクリーンルームから発生することが予測される有機性ガスとしては、トルエン、キシレン、アセトン、トリメチルベンゼン、酢酸エチル、酢酸エトキシエチル、シクロベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の溶剤、フタル酸ジオクチル、リン酸トリブチル、アジピン酸ジオクチル等の可塑剤、ブチルヒドロキシトルエン等の酸化防止剤、環状シロキサン等のシーリング剤等がクリーンルームの構成材料から発生する。またレジストの溶剤、表面改質剤、現像液、剥離液のプロセス薬品から酢酸ブチル、メトキシプロパノール、乳酸エチル、ヘキサメチルジシラザン、酢酸メトキシプロピル、酢酸エトキシエチル、トリメチルアンモニウムハイドライド、モノエタノールアミン、N−メチルピロリドン等が半導体生産装置から発生すると考えられる。
【0020】
前述のようにアンモニアは半導体製造装置においては、化学反応を起こしてウエハ製造プロセスを阻害したり酸性物質と反応して粒子状汚染物質を形成したりするため確実に除去する必要がある。アンモニアは光触媒で処理することも可能であるが、光触媒は反応速度が遅く高い処理効率を得ることが難しいことが問題となる。例えばクリーンルーム内ではアンモニアは数10〜数百ppb程度存在しているが、今度微細化が進めば半導体製造装置内の処理室では1ppb以下に低減することが必要となると想定されている。そこで本発明に開示するような汚染性ガス除去材が塩基性ガス吸着能力を有することにより、高効率でアンモニアを除去することができる。
【0021】
一方、有機性ガスはクリーンルーム内に数百から数千ppb存在すると考えられている。従来、有機性ガスは活性炭を用いて吸着除去されているがアンモニアと比較すると濃度が高いため活性炭を多量に使用しないと継続的に処理することができない。吸着材量の増加は圧力損失の上昇や装置の大型化を招くため好ましくない。そこで、これら有機性ガスが光触媒を用いて処理することによりコンパクトな処理部で継続的に処理することが可能となる。有機性ガスはウエハ生産に直ぐに阻害するではなく長い時間をかけて製造装置のレンズ等の処理部やウエハに付着して悪影響が出ると考えられている。そこで有機性ガスに関しては即効性は必要なく、半導体製造装置内に設置した汚染性ガス除去材の光触媒作用によって徐々に酸化分解することにより閉鎖空間の有機性ガス濃度を確実に低減させることができる。
【0022】
このように汚染性ガス除去材が少なくとも塩基性ガス吸着能力と光触媒作用とを有することにより半導体製造装置内の必要なクリーン度を維持することが可能となる。また更には汚染性ガス除去材を加熱・再生処理することにより塩基性ガス吸着能力が回復すると同時に、光触媒についた付着物等が脱離されるため半永久的に処理性能を維持することが可能となる。
【0023】
本発明の汚染性ガス除去材は、少なくとも塩基性ガス吸着能力と光触媒作用とを有しており、例えば、以下に示すようなそれぞれの機能を有した素材を混ぜ合わせて製作することができる。
【0024】
アンモニアは低分子量で物理吸着されにくいため高い比表面積を有した活性炭やゼオライト等の一般的な吸着材により吸着除去することが難しいことが知られている。塩基性ガスの吸着能力を付与する方法として、例えば活性炭に硫酸、リン酸、クエン酸等の酸を添着する方法が知られているが、これら薬品はガス状汚染物質の発生原因となるため微細化を進める次世代の半導体製造には使用しない方が好ましい。そこで塩基性ガスの吸着能力を付与するため酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化ケイ素、シリカ−アルミナ等の固体酸性物質を汚染性ガス除去材に含有せしめることが好ましい。また酸性白土や活性白土等の無機粘土鉱物も固体酸性物質として使用することができる。これらは単独でも、あるいは2種以上混合して使用してもよい。アンモニアやアミン類の塩基性ガスはこれら固体酸性物質の酸点に選択的に吸着される。またこれら固体酸性物質に吸着した塩基性ガスは加熱することにより脱離して性能を回復させることができる。そこで定期的に加熱再生処理を施すことにより半永久的に汚染性ガス除去材を使用することができる。
【0025】
一方、汚染性ガス除去材に光触媒機能を付与するためには酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化タングステン、酸化鉄やチタン酸ストロンチウム等の光半導性物質を含有せしめればよい。特にアナターゼ型酸化チタンは光触媒性能が高く安価で化学的に安定であるため好ましい。これら光半導性物質にバンドギャップ以上のエネルギーを有した光を照射することにより光触媒作用が発現する。高い光触媒作用を得るためには光照射面積とガス接触面積のどちらも大きくする必要があり、汚染性ガス除去材はシートを複数重ねた層状形状とするかハニカム形状とすることが好ましい。
【0026】
上記のように、光触媒作用を有する素材としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化タングステン、酸化鉄、チタン酸ストロンチウム等などの一般に光触媒として知られている化合物を用いることができる。なかでも、アナターゼ型酸化チタンが好適に用いられる。これらは単独でも、あるいは2種以上混合して使用してもよいし、また白金、銀など光触媒作用を向上させるために一般に用いられているものと組み合わせて使用することもできる。
【0027】
上記のような塩基性ガス吸着能力を有する素材と光触媒作用を有する素材とを混合することにより、塩基性ガス吸着能力と光触媒作用とを有する汚染性ガス除去材を得ることができる。この場合の好ましい配合例は、例えば、前記塩基性ガス吸着能力を有する素材、好ましくは固体酸性物質が20〜60質量%であり、光触媒作用を有する素材(光半導性物質)が80〜40質量%である(合計100質量%)。このような組成物をハニカム状等の所定の形状に加工することにより本発明の汚染性ガス除去材を得ることができる。
【0028】
また、酸性ガスの処理能力を付与するために活性炭やゼオライト等の物理吸着材も汚染性ガス除去材に合わせて添加しても良い。また物理吸着材に炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のアルカリを添着したものも使用することができる。これにより、例えば、酸性ガス除去性能も付与することができる。
【0029】
上記のような酸性ガスの吸着能力を有する素材としては、活性炭、ゼオライトなどを用いることができる。これらは単独でも、あるいは2種以上混合して使用することもできる。この酸性ガス吸着能力を有する素材の配合量は、塩基性ガス吸着能力を有する素材と光触媒作用を有する素材との混合物100質量部に対し0〜50質量部である。
【0030】
本発明の汚染性ガス除去材は、塩基性ガス吸着能力を有する素材と光触媒作用を有する素材とを混合して、あるいはさらに酸性ガス吸着能力を有する素材を混合して製造することもできる。
【0031】
汚染性ガス除去材の形状はペレット状、ハニカム状、コルゲート状、シート状、プリーツ状等の形態で使用することができるが、接触面積が大きく圧力損失が低いハニカム形状とすることが好ましい。上記形状に加工する方法としては成形、ウォッシュコート、含浸、吹き付け、梳き込み等の公知の方法により上記形状に加工することができる。
【0032】
また、本発明の汚染性ガス除去材は、チタン及びケイ素の二元系複合酸化物、チタン及びジルコニウムの二元系複合酸化物、並びにチタン、ケイ素及びジルコニウムの三元系複合酸化物の少なくとも一つのチタン系複合酸化物を用い、これを所定の形状に加工することにより製造することができる。
【0033】
上記チタン系の複合酸化物は強い固体酸性を有しているため塩基性ガスの吸着能力が非常に高く、かつ優れた光触媒性能も有しており本発明に好適な素材である。ひとつの素材で両方の機能を持っているため、どちらかの機能を阻害することなく作用することができる。例えば、光触媒性能を高めるために半導性物質の添加量を多くすると光触媒性能は向上するが、塩基性ガス吸着性能は低下するというようなトレードオフの関係になることを避けることができる。
【0034】
したがって、本発明の汚染性ガス除去材のなかでも、チタン及びケイ素の二元系複合酸化物、チタン及びジルコニウムの二元系複合酸化物、並びにチタン、ケイ素及びジルコニウムの三元系複合酸化物の少なくとも一つのチタン系複合酸化物を用いて製造した汚染性ガス除去材が好適に用いられる。
【0035】
汚染性ガス除去材の塩基性ガスや酸性ガスの吸着を促進するために、これらガスの吸着剤として一般に知られている吸着剤、例えば、活性炭、アルミナ、ゼオライトなどを上記チタン系複合酸化物と組み合わせて使用してもよい。これら吸着剤の使用量は、特に制限はないが、通常、チタン系複合酸化物100質量部に対し0〜50質量部である。
【0036】
上記の様なチタン系複合酸化物は一般に知られており(例えば、特許第2089581号公報参照)、その製造に当たっては、従来から公知の方法によって製造することができる。例えば、チタンとケイ素からなる二元系複合酸化物を調製する方法としては、下記▲1▼〜▲3▼のような方法が挙げられる。
▲1▼四塩化チタンをシリカゾルと共に混合し、アンモニアを添加して沈殿を生成せしめ、この沈殿を洗浄、乾燥後に焼威する方法。
▲2▼四塩化チタンに珪酸ナトリウム水溶液(水ガラス)を添加して沈殿(共沈物)を生成させ、これを洗浄、乾燥後に焼成する方法。
▲8▼四塩化チタンの水一アルコール溶液にテトラエチルシリケートを添加して加水分解により沈殿を生成させ、これを洗浄、乾燥後に焼成する方法。
【0037】
上記各方法において、共沈物を300〜650℃で1〜10時間焼成することによって容易にチタンおよびケイ素からなる二元系複合酸化物を得ることができる。また同様にして、チタン源およびケイ素源、あるいはジルコニウム源のモル比を適宜調整することにより、二元系もしくは三元系の各複合酸化物を得ることができる。チタン源としては、塩化チタン、硫酸チタン、蓚酸チタンやテトライソプロビルチタネート等のチタン化合物が挙げられる。ケイ素源としては、コロイド状シリカ、水ガラス、四塩化ケイ素やテトラエチルシリケート等のケイ素化合物が挙げられる。またジルコニウム源としては、塩化ジルコニウム、硫酸ジルコニウムや酢酸ジルコニウム等のジルコニウム化合物が挙げられる。このようなチタン系複合酸化物はチタンの含有率が20〜95モル%のものであることが好ましく、より好ましくは50〜85モル%であることが良い。チタンの含有率が20モル%未満あるいは95モル%を超えると、固体酸性が低下するため好ましくない。このようにして得られたチタン系複合酸化物は100m/g以上の高い比表面積を有しており、かつ耐熱性も優れているので加熱再生により吸着材を繰り返し使用しても優れた塩基性ガス吸着能力と光触媒作用とを維持することができる。
【0038】
なお、本発明の汚染性ガス除去材は、例えば、2層に分割して、前層を塩基性ガス吸着能力の高い固体酸性物質を主成分として構成し、また後層を光触媒作用を有する光半導性物質を主成分として構成して、前層で主として塩基性ガスを、また後層で主として有機性ガスを除去するようにしてもよい。
【0039】
次に本発明の汚染性ガス除去材を用いた半導体製造装置におけるガス状汚染物質の除去方法を以下に説明する。
【0040】
本発明が適用される半導体製造装置としては半導体ウェハの表面にレジスト膜を形成するレジスト塗布装置(コータ)、半導体ウェハの表面に塗布されたレジスト膜に所定の回路パターンを光照射により転写する露光装置(ステッパー)、および露光後の半導体ウェハの表面に現像液を塗布して現像処理を行う現像装置(デベロッパ)等が挙げられる。
【0041】
これら装置においては微細構造化が進むに連れ微量汚染ガスの存在が問題となり、装置内にも汚染性ガスを除去するためにケミカルフィルタが設置されている。しかし従来のケミカルフィルタでは汚染性ガス成分の吸着容量に限界があり、装置内に大量のケミカルフィルタを設置するか、頻繁に装置を停止してケミカルフィルタを交換しなければ高度のクリーン度を維持することができなかった。
【0042】
上記汚染性ガス除去材の設置場所としてはクリーンルーム内のガスを装置に吸引する室内ガス取り込み口に設置したり、空調したガスを装置内で循環して使用するガス循環経路内に設置することにより半導体製造装置処理室内のガスを高いクリーン度で維持することができる。また半導体製造装置によっては処理時に汚染性ガスを発生する場合があるが、上記汚染性ガス除去材を処理室出口に設置することにより、クリーンルーム内にガス状汚染性物質が拡散するのを防止することもできる。
【0043】
本発明の汚染性ガス除去材の光触媒作用によって、従来吸着によってしか処理することができなかった有機性ガスを光触媒により二酸化炭素と水に完全酸化して浄化することができる。これにより活性炭のように頻繁に交換する必要がなく半永久的に有機性ガスを処理することができる。光照射に電気エネルギーは必要となるがクリーンルーム内の数ppbの汚染性ガス除去を目的としており大きな消費電力は必要ない。光源として低圧水銀ランプ、ブラックライト、殺菌灯、ケミカルランプや蛍光灯等を用いて汚染性ガス除去材に光を照射して光触媒反応により汚染性ガスの処理を行う。また半導体製造装置が露光装置である場合は露光部の光源(高圧水銀ランプ等)の光が照射される場所に汚染性ガス除去材を設置して処理することも可能である。
【0044】
光触媒は有機性ガスだけでなくアンモニア等の無機性ガスに対しても作用するが、窒素化合物や硫黄化合物等を含有する無機性ガスは光触媒により酸化されて無機酸を生成することが問題となる。これら無機酸は光触媒表面に蓄積してガスとの接触を阻害し性能低下を招いてしまう。例えばアンモニアは光触媒により酸化されて一部硝酸となることが考えられる。また生成した硝酸とアンモニアが反応して粒子状の汚染物質である硝酸アンモニウムを容易に生成してしまう。クリーンルームや半導体製造装置に光触媒を適用することは既に検討されているが、上記反応生成物による性能低下が起こるため定期的に取り出して水洗等を実施するなどの対策が従来は必要であった。一方、本発明の汚染性ガス除去材はアンモニアを主に吸着により除去するものであり、前述のような光触媒反応による無機酸の生成を抑制することができる。
【0045】
また本発明に汚染性ガス除去材を用いるガス状汚染物質の除去方法において、該汚染性ガス除去材を加熱再生することにより繰り返し使用することができる。汚染性ガス除去材の塩基性ガス吸着能力は使用すると共に徐々に低下してくるが、定期的に加熱処理することで吸着した塩基性ガスは脱離されるため再生される。これにより汚染性ガス除去材の塩基性ガス吸着能力は性能回復するため従来のケミカルフィルタのように頻繁に交換する必要がなく経済性や維持管理性に優れている。
【0046】
汚染性ガス除去材を多塔式もしくは回転ロータ式とすることにより、塩基性ガス吸着能力を定期的に加熱再生しながら半導体製造装置を停止することなく連続的に稼動することができる。多塔式は塩基性ガス吸着能力を有した汚染性ガス除去材を充填した反応塔を2塔以上配列してタイマーと連動させて自動弁により定期的にラインを切り替えて吸着と再生を交互に繰り返す。また回転ロータ式は汚染性ガス除去材を充填した円盤状のロータを回転し吸着ゾーン、加熱ゾーン、冷却ゾーンを順次通過させて吸着と再生を連続的に実施することができる。再生ファンを半導体製造装置に設置してクリーンルーム内の室内空気を吸引して、電気ヒータ等を用いてガス温を所定の温度にまで加熱して汚染性ガス除去材に通ガスし吸着していたガス等を脱離させて汚染性ガス除去材を再生する。
【0047】
汚染性ガス除去材の再生温度としては60〜250℃であり、より好ましくは100〜200℃である。汚染性ガス除去材の加熱再生手段としては電気ヒータを用いて空気または吸着材を加熱することができる。再生温度が60℃以下である場合は汚染性ガス除去材を十分再生することができない。硝酸や硝酸アンモニウムの付着がある場合は200℃以上で再生することが好ましい。また再生温度が250℃を超える場合はガスを加熱するための熱エネルギーが多量に必要となるため好ましくない。汚染性ガス除去材に吸着していた汚染性ガスは加熱処理により脱離してくるが、処理するガス状汚染物質はppbオーダーの極低濃度であるため脱離ガス濃度が低い場合はそのまま屋外に排出させてもよい。加熱再生の昇温スピードを遅くすることにより脱離濃度を低く調整することができる。脱離してくるガス状汚染物質濃度が濃くなると予測される場合は、白金系触媒等を用いて触媒燃焼により無害化処理してもよい。
【0048】
尚、塩基性ガス吸着処理と光触媒処理を同時に実施する際は多塔式、回転ロータ式のいずれの場合も吸着工程時に汚染性ガス除去材に光を照射する構成とすればよい。これにより塩基性ガスの吸着と光触媒による有機性ガスの除去を同時に実施することができる。
【0049】
このようにして汚染性ガス除去材により塩基性ガスや有機性ガス等のガス状汚染物質を除去してから、半導体装置に付設している空調手段により温度及び湿度を制御したガスが半導体製造装置の処理室に導入される。更にガス状汚染性物質に加えて微粒子状汚染性物質を除去するために半導体製造装置の処理室の手前に除塵フィルターを設置してもよい。除塵フィルターは汚染性ガス除去材と空調手段の中間あるいは空調手段の後段に設置することができる。除塵フィルターとしては中性能除塵フィルター、HEPA フィルター、ULPAフィルター、静電フィルター等を使用することができる。
【0050】
また本発明の半導体製造装置のガス状汚染物質の除去方法において上記汚染性ガス除去材を加熱再生するに際して、前述のように半導体製造装置内に設置されている空調手段における高温冷媒の廃熱を利用することが更に好ましい。圧縮式の高温冷媒の廃熱を利用して熱交換器により空気を加熱し、この加熱された空気を用いて汚染性ガス除去材を加熱再生することができる。また前記高温冷媒の廃熱を利用すると共に、補助電気ヒータを用いて再生空気を加熱しても良い。
【0051】
以下、図面に基づいて本発明を更に詳細に説明する。図1はクリーンルーム内に設置されている半導体製造装置の露光装置を例として説明するが、レジスト塗布装置や現像装置等のデバイス製造装置に対しても同様に本発明のガス状汚染物質の除去方法を適用することができる。
【0052】
図1の半導体製造装置においてウエハ3はステージ10に上に載せられて搬送部11により半導体製造装置1の処理室2に搬入され、露光処理された後に搬送部11によって装置外に搬出されると同時に次のウエハ処理室に導入される。
【0053】
図に示すように半導体製造装置内はクリーンルームと同様に半密閉空間を形成しておりガス状汚染物質の除去や空調制御されている。クリーンルーム内の空気は室内ガス取り込み口9から送風ファン7によって半導体製造装置1内に入り汚染性ガス除去材4に導入される。紫外線ランプ5により光が照射され汚染性ガス除去材4は光触媒作用を発現する。汚染性ガス除去材4により塩基性ガスや有機性ガス等のガス状汚染物質が除去される。ガス状汚染物質が除去されたガスは空調部6に導入され、センサーにより温度湿度がモニターされて所定のガス温度になるように加温または減温され、湿度に関しても加湿もしくは除湿処理される。このようにしてガス制御処理されたガスは中性能除塵フィルタ8を介して処理室2に導入される。処理室2のガスは循環ファン12により系内にリターンされ再使用される。
【0054】
空調部6に内蔵されている冷凍機の高温冷媒を再生用ガス加熱部13に配置されているヒートパイプ14に通して廃熱を利用して汚染性ガス除去材4を再生する構造となっている。また図には示していないが加熱再生により脱離するガスは室外にパージされる。
【0055】
図2は汚染性ガス除去材4を回転ロータ式で設置した場合の詳細な構造例を示している。汚染性ガス除去材は円盤状の回転ロータ15に充填されている。回転ロータ15は反応ゾーン、加熱再生ゾーン、冷却ゾーンの3つのゾーンに分割されており、回転用モーター21の駆動によりローター回転軸20が駆動することにより回転する。これにより逐次ゾーンが切り替えられ連続的に反応と再生サイクルが繰り返される。反応ゾーン17より流入した処理ガスは汚染性ガス除去材の塩基性ガス吸着能力と光触媒作用によりアンモニアや有機性ガス等のガス状汚染物質が除去されてからガス空調部6にて温度湿度がコントロールされ処理室に送風される。図2では紫外線ランプは回転ロータ15の両面から光を照射して光触媒反応を促進させている。
【0056】
一方、再生ファン16により室内から吸引された再生用空気は再生用ガス加熱部13にて所定の温度に加熱され加熱再生ゾーン18で汚染性ガス除去材を再生する。再生用空気を加熱するに際して再生用ガス加熱部13のヒートパイプ14に空調部の圧縮冷凍機の高温冷媒の余剰熱が利用されている。図では補助ヒーター22を設置することによりガス温度を更に高くできる構造となっている。加熱再生により汚染性ガス除去材から脱離するガスはパージライン19より室外に排出される。図には記載していないが加熱再生された汚染ガス除去材は冷却ゾーンで通ガスにより冷却されてから反応ゾーンに移行する。
【0057】
【実施例】
以下実施例により本発明を説明するが本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
塩基性ガス吸着能力を有する活性白土100質量部(比表面積200m/g)と光触媒作用を有している酸化チタン(アナターゼ型、比表面積250m/g)100質量部を適当量の水に添加してニーダーで十分に混練して、均一な混合物を押し出し成形しハニカム形状とした。このようにして得られたハニカムを乾燥後に500℃で2時間空気雰囲気にて焼成して汚染性ガス除去材Aを得た(目開き2.1mm、肉厚0.4mm)。
実施例2
チタンおよびケイ素からなる二元系複合酸化物を次の方法により調製した。シリカゾル(日産化学(株)製、NSC−30)24kgに濃度25%のアンモニア水280Lと水400Lとを添加して溶液(a)を得た。次に硫酸チタニルの硫酸水溶液153L(TiO濃度:250g/L、全硫酸濃度:1100g/L)を水300Lで希釈して溶液(b)を得た。次に、溶液(a)を攪拌しながら徐々に溶液(b)に滴下して共沈ゲルを生成し、15時間静置した。得られたゲルをろ過、水洗後200℃で10時間乾燥し、550℃で6時間焼成してチタンおよびケイ素からなる二元系複合酸化物を得た。この二元系複合酸化物はTi/Si(モル比)=80/20、比表面積160m/gであった。
【0058】
このようにして得られた粉体は塩基性ガス吸着能力と光触媒作用とを有しており、この粉体を以下実施例1と同様にして押し出し成形し乾燥焼成して汚染性ガス除去材Bを得た。
比較例1
実施例1において酸化チタンの代わりに粉末活性炭(水蒸気賦活炭、比表面積1000m/g)を使用した以外は実施例1と同様にしてハニカム状に押し出し成形した。成形物を乾燥後に400℃で2時間窒素雰囲気にて焼成して汚染性ガス除去材aを得た。
比較例2
アルミナ−シリカ繊維90部、ガラス繊維10部、パルプ10部およびポリビニルアルコール5部を水に分散させた後に抄造して、得られた抄紙を段ボール加工機によって150℃で処理してコルゲート状担体を得た。実施例1で用いた酸化チタン100部、シリカゾル(固形分20%)30部、酢酸15部および水100部を湿式粉砕してスラリーを得て前述のコルゲート状担体に含浸して取り出しエアブローした後に、120℃の熱風で通風乾燥して400℃で2時間空気雰囲気で焼成して有機物を除去することにより表面に酸化チタンがコートされた汚染性ガス除去材bを得た。単位容積当たりの酸化チタン量は50g/Lであった。
試験例1
図3に示す試験装置を用いて汚染性ガス除去材の性能を確認した。試験容器23の容積は1mであり汚染性ガス除去材4、紫外線ランプ5および送風ファン7より構成されている反応器25が設置されている。汚染性ガス除去材4は縦150mm、横150mm、厚さ30mmのサイズであり、紫外線ランプ5はブラックライト6Wを2本設置し送風ファン7の風量は5m/hrとした。ガス状汚染物質としては半導体製造装置において対象として塩基性ガスのアンモニアと有機性ガスの酢酸エチルとを選定し、2成分共存系とした。試験容器内の初期ガス濃度がアンモニアが10ppmで酢酸エチルが100ppmとなるように濃度加速(約1000倍)して試験を実施した。
【0059】
実施例及び比較例で得られた汚染性ガス除去材を反応器25に設置し試験容器23を密閉してから、前記ガス濃度になるようにガスサンプリング口24より各ガスを注入した。反応器を稼働して経時的な密閉容器内のガス濃度の減衰を測定した。アンモニア及び酢酸エチルの残存率を測定した結果をそれぞれ図4及び図5に示した。
【0060】
新品性能においてはいずれもアンモニア、酢酸エチルに対して良好な性能を有していることが判る。実施例の汚染性ガス除去材は塩基性ガス吸着能力により速い速度でアンモニアを除去できている。一方、酢酸エチルは光触媒作用により除去されているため除去速度は遅いが確実に高い除去効率を達成することができている。
試験例2
繰り返し使用による影響を確認するために試験例1の操作を10回繰り返して汚染性ガス除去材の耐久性を調べた。10回目の試験におけるアンモニア及び酢酸エチルの残存率測定結果をそれぞれ図6及び図7に示した。
【0061】
繰り返し試験を実施することによりいずれも初期性能より除去速度が低下していることが判る。アンモニア性能においては比較例2の汚染性ガス除去材bの性能低下が大きい。汚染性ガス除去材bは一般に光触媒フィルターとして使用しされているものとほぼ同等の仕様であるが塩基性ガス吸着能力が不足していると考えられる。
【0062】
酢酸エチルに関しては、試験例1で良好な性能を有していた比較例1の汚染性ガス除去材aの性能低下が見られた。これは活性炭が吸着破過したことによると考えられる。また光触媒性能を有している実施例や比較例2に関しても除去速度の低下が確認された。光触媒は有機性ガスを完全酸化分解できるため半永久的に効果を持続できると思われているが、本用途では共存するアンモニアの影響(吸着や酸化生成物)によると推定される。
試験例3
実施例1の汚染性ガス除去材Aについて試験例2の繰り返し試験を実施した後に反応器から取り出して加熱再生を行った。再生温度は80℃、150℃、250℃として各2時間空気雰囲気中で実施した。各温度で再生処理したものを試験例1と同様にして性能試験を実施した結果を図8及び図9に示した。
【0063】
実施例1の汚染性ガス除去材Aは加熱再生処理を施すことによって性能が回復することが判る。半導体製造装置の空調部の廃熱を利用して汚染性ガス除去材を加熱処理することが燃料コストを低減するために好ましいが80℃の低温再生でも性能回復効果が得られることが判る。250℃で処理することによりほぼ新品に近い性能が得られることが確認された。
【0064】
【発明の効果】
本発明の汚染性ガス除去材は、ケミカルフィルタのように頻繁に交換することなく、塩基性ガスや有機性ガスを半永久的に処理することができるため半導体製造装置の維持管理費が低減されメンテナンスが容易となる。またクリーンルームの管理状態に影響されないで半導体製造装置を安定して運転することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の汚染性ガス除去材を半導体製造装置内に適用した一実施態様を示す半導体製造装置の構成図である。
【図2】 吸着−脱離操作によりガス状汚染物質を連続的に除去する本発明の一実施態様を示した構成説明図である。
【図3】 汚染性ガス除去材の性能試験装置の構成説明図である。
【図4】 新品の汚染性ガス除去材を使用したときの経過時間とアンモニア残存率との関係を示すグラフである。
【図5】 新品の汚染性ガス除去材を使用したときの経過時間と酢酸エチル残存率との関係を示すグラフである。
【図6】 10回繰り返し使用後の汚染性ガス除去材を使用したときの経過時間とアンモニア残存率との関係を示すグラフである。
【図7】 10回繰り返し使用後の汚染性ガス除去材を使用したときの経過時間と酢酸エチル残存率との関係を示すグラフである。
【図8】 加熱再生した汚染性ガス除去材を使用したときの経過時間とアンモニア残存率との関係を示すグラフである。
【図9】 加熱再生した汚染性ガス除去材を使用したときの経過時間と酢酸エチル残存率との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 半導体製造装置
2 ウエハ処理室
3 ウエハ
4 汚染性ガス除去材
5 紫外線ランプ
6 ガス空調部
7 送風ファン
8 中性能除塵フィルタ
9 室内ガス取込口
10 ステージ
11 搬送部
12 循環ファン
13 再生用ガス加熱部
14 ヒートパイプ
15 回転ロータ
16 再生ファン
17 反応ゾーン
18 加熱再生ゾーン
19 パージライン
20 ロータ回転軸
21 回転用モーター
22 補助ヒーター
23 試験容器
24 ガスサンプリング口
25 反応器

Claims (2)

  1. 少なくとも塩基性ガス吸着能力と光触媒作用とを有する、チタン及びケイ素の二元系複合酸化物、チタン及びジルコニウムの二元系複合酸化物、並びにチタン、ケイ素及びジルコニウムの三元系複合酸化物の少なくとも一つのチタン系複合酸化物を含有してなる汚染性ガス除去材を半導体製造装置内に設置してガス状汚染物質を除去するにあたり、該汚染性ガス除去材を加熱・再生することにより繰り返し使用することを特徴とするガス状汚染物質の除去方法。
  2. 汚染性ガス除去材の加熱・再生を、半導体製造装置の雰囲気ガス空調用冷凍機の高温冷媒との熱交換により加熱した空気を用いて行う請求項1記載のガス状汚染物質の除去方法。
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