JP4185177B2 - ε−フタルイミドペルオキシヘキサン酸の顆粒組成物 - Google Patents

ε−フタルイミドペルオキシヘキサン酸の顆粒組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、洗浄製剤に利用できる過酸をベースとする顆粒に関する。より詳しくは、本発明は、洗浄製剤に利用できるε−フタルイミドペルオキシヘキサン酸(PAPと称す)をベースとする顆粒に関する。この顆粒は漂白に非常に有効であり、貯蔵後にも漂白力を保持するものである。
【0002】
【従来の技術】
洗浄製剤は、加工や使用中の汚染、粉塵化や刺激現象を避けるために成分を顆粒の形に適切に製剤化することがよく知られている。特に過酸の場合に、顆粒は化学種の一体化を保護し、製剤中の他の成分との相互作用を防止することができる。過酸による漂白能は、製剤の洗剤の化学組成のみならず、これを含有する顆粒の化学組成にもよる。
【0003】
洗浄製剤の漂白剤として固体の有機過酸を含有する顆粒組成物が界面活性剤をも含む場合に性能が向上することが知られている。これは、顆粒中の界面活性剤が洗浄浴での過酸粒子の分散に好ましい結果を与え、漂白が改良されることになると解釈される(米国特許第4,126,573号参照)。しかし、界面活性剤の添加は、漂白作用を悪くする欠点を有する。
【0004】
この欠点をなくすのに、顆粒組成物に、水溶性の有機酸を添加して、界面活性剤による緩和な作用を補償することが知られている。これら2つの成分に正しいバランスをさせると全体の漂白作用を最適化する可能性がある(米国特許第4,374,035)。最適な漂白作用とは、白い衣類および着色衣類の両方でこれらを損傷させずに汚れを除去することを意味する。
【0005】
ここに、次の性質の組合せを有するPAP−ベースの顆粒が利用できる必要性がある。
−主成分(PAP)が高含量、
−顆粒そのものおよび洗浄製剤に導入した顆粒に貯蔵時に、一般に45℃までの温度で80%までの絶対湿度のような厳しい貯蔵条件でも化学的安定性が高い、
−汚れ除去中損傷を与えず、一般の各種の衣類(白色、着色を含む)に良好な漂白能を示す、
−機械耐性が良く、従って大規模での操作が容易である、
−偶発的な過熱にも適当な挙動を示し、従って運搬量に制限されず経済的かつ容易に運搬できる、
−加工性が容易であるため大規模での経済的工業生産ができる。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本出願人は、PAPベースの顆粒で特定の界面活性剤を、特定の有機のカルボン酸またはスルホン酸との組合せ、かつ任意に以下に特定する他の補助化合物との組成で利用すると、上記の性質の組合せが達せられることを意外にも見出した。
【0007】
本発明の目的物は、界面活性剤として第3級アミンのN−オキシドと有機酸としてpKaが3.5以下で、20℃の温度で1重量%で殆ど水に溶解する酸からなるε−フタルイミドペルオキシヘキサン酸をベースとする顆粒からなる。
特に、第3級アミンのN−オキシドの主鎖は、9〜28の炭素原子の直鎖または分枝状のアルキル鎖を有し、窒素に結合する他の2つの鎖は、1〜3の炭素原子のアルキルとヒドロキシアルキル、好ましくはメチルまたはエチルである。
【0008】
有機酸としては、カルボン酸またはスルホン酸が挙げられ、例えば、置換されていてもよいp−トルエンスルホン酸とフタル酸がある。好ましい有機酸は、オルトフタル酸である。
顆粒中のPAP量は、20〜80重量%、好ましくは40〜80重量%の間で変化できる。
【0009】
界面活性剤の量は、2〜20重量%、好ましくは5〜10重量%の間である。
さらに、有機酸の量は、2〜40重量%の間である。
なお、有機過酸のPAPとその漂白への利用は、ヨーロッパ特許第325,289号で知られており、参照としてここに導入する。
半極性界面活性剤の第3級アミンのN−オキシドが洗浄で分散作用を与えるが、過酸自体の貯蔵安定を低下させる受けいれがたい効果を奏する出願人の行ったテスト結果から考えると、本発明の結果はより驚くべきことといえる。第3級アミンのN−オキシドの2〜20重量%、PAPの40〜80重量%と任意に他の不溶性の結合剤を含有する顆粒は、上記したような臨界的環境にさらすと2〜3日で過酸化性の酸素をかなり失うことが分かった。また、2つの物質を純粋な状態で直接混合すると貯蔵時に化学的に安定ではなく、2つの物質は非相溶性である。
【0010】
しかし意外にも、本発明の組成物、すなわちPAP+第3級アミンのN−オキシド界面活性剤+上記の有機酸は、厳しい環境条件下でも貯蔵に対して安定であることが見出されている。
上記の非相溶性の現象は、本発明の有機酸が利用されないと、有機酸を第3級アミンのN−オキシドに対し大過剰用いても一般にさけられない。
【0011】
本発明のさらなる目的は、本発明の界面活性剤が本発明の酸と塩の形で利用できることである。実際に、第3級アミンのN−オキシドの塩は、一般に水に非常に溶け難いことが見出されている。このような塩を形成させることにより、第3級アミンのN−オキシドを溶液としてのみ入手し得、顆粒化工程で利用できないものが、PAPの顆粒形での製造に使用できる。このような塩の製造は、本発明の有機のカルボン酸またはスルホン酸を用いて行われる。
【0012】
本発明の必須成分を含む顆粒組成物の製剤には、過熱の場合の発熱を調節する添加成分を用いうる。この目的に、硫酸マグネシウム6水和物、乳酸カルシウム水和物、硫酸カルシウム2水和物、硼酸などが挙げられ、なかでも硼酸が好ましい。これらは、一般に3.5〜35重量%の量で用いられる。
添加することができ、重金属イオンによる分解の触媒作用を止める機能を有する他の任意成分は、0.005〜5重量%の量のキレート及び/又は金属イオン封鎖剤である。キノリン及びその塩、アルカリ金属のポリホスファート、ピコリン酸及びジピコリン酸、モノ又はポリホスホン酸、好ましくは、例えば、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(HEDP)を挙げることができる。
【0013】
他の任意成分は、例えば、アクリル酸のポリマーあるいはアクリル酸とマレイン酸及び/又は無水マレイン酸とのコポリマー、またはエステル及び塩のようなアクリル酸誘導体のコポリマーのような高分子タイプの結合剤であり、アクリル酸のホモポリマーが好ましく使用される。これら成分は、顆粒に優れた機械的特性を与える特性を有し、一般に、それらは総量に対して0.1〜5重量%の範囲の量で使用される。
【0014】
本発明の顆粒組成物の製品は、直接成分を混合し、および顆粒分野でよく知られている設備でのその混合物の顆粒化、バッチ又は連続工程を利用し、続いて得られた顆粒を乾燥することによって得ることができる。乾燥顆粒は、洗剤技術においてよく知られている、所望の粒度分布でそれらを分離するために、スクリーニング及び/又は粉砕に付すことができる。
【0015】
上記したように、本発明の顆粒製剤は工業的及び家庭での使用の両方のブリーチング洗浄分野において使用される。本発明の組成物は、処理に付される服の特質を未変化のまま、ブリーチング、特にいずれのタイプの服、白色及び着色の両方から染料を除去するために特に適している。
【0016】
【実施例】
以下の実施例は、本発明の目的を説明するためのみであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0017】
実施例1
10リットルの市販のグラニュレーター アイリッチ モデルR−02(Eirich Mod R-02)に、3.2%のPAC(PAP前駆体、水の存在下でのカプロラクタム及び無水フタル酸の反応生成物)を含有する0.62kgの乾燥ε−フタルイミドペルオキシヘキサン酸(PAP、力価96.8%)(PAP製造のため、イタリア特許出願MI95A002718号及びMI95A002717号参照)、0.3kgのo−フル酸、0.8kgのセチル−ジメチルアミンのN−オキシドを導入する。
【0018】
混合物を1時間均一化する。次いで、細断機(顆粒機アイリッチ モデルR−02に含まれる高速タービン)を稼働させながら2分間、デクエスト(DEQUEST :登録商標)2010(1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(HEDP)を40重量%で)2.5gを含有する水溶液0.098kgを導入する。
【0019】
顆粒化された固まりを60℃の空気で、空気流動床で乾燥する。得られた生成物をスクリーンし、0.25mm〜1.40mmの間のフラクションを集める。
所望の粒度を有する0.61kgの生成物を得る。この製造された顆粒は機械的観点から耐性が充分でなく、それらが強い操作(例えば空気作用による運搬)に付された場合に容易に砕れる。
【0020】
−安定性試験:室温にて7日後、活性酸素のロスはなかった(ヨウ素滴定)。
−漂白試験:陽性(Na2 CO3 2重量%のエリオクロム ブラック水溶液、室温にて放置)。
−室温で1か月保持した後に繰り返し行った漂白試験:陽性(上記と同様)。
【0021】
実施例2
150リットルのロエディッジ モデル FKM−150(Loedige Model FKM-150)グラニュレーターに、実施例1に記載した方法に従って製造した乾燥PAP混合物(PAC4%含有、力価:96%)17.00kgと5.65kgのo−フタル酸、2.00kgのホウ酸、2.00kgの実施例1のN−オキシドを導入した。
【0022】
混合物を1時間均一化する。次いで、固まりに、攪拌しながら、細断機を稼働させながら3分間、アキュマー(ACUMER:登録商標)1510(ポリアクリル酸PAA25重量%、分子量PM60000)を3.3g及びデクエスト(登録商標)2010を0.07kg混合することによって得られた水溶液3.37kgを導入する。
【0023】
このようにして得られた湿った顆粒状の固まりを、60℃に加熱した空気流により、空気流動床で乾燥する。このように乾燥した後、それをスクリーニングに付し、0.25mm〜1.40mmの間の粒径を有し、かつ機械的耐性の良好な性質を有する顆粒19.5kgを得る。
【0024】
−安定性試験:室温にて7日後、活性酸素のロスはなかった(ヨウ素滴定)。
−漂白試験:陽性(Na2 CO3 2重量%のエリオクロム ブラック水溶液、室温にて放置)。
−室温で1か月保持した後に繰り返し行った漂白試験:陽性(上記と同様)。
【0025】
実施例3(比較例)
o−フタル酸をその系に使用しない以外は、実施例2の装置及び方法で操作した。得られた顆粒の化学組成(重量)は、PAP+PACが61%、実施例1のN−オキシド8%、ホウ酸28%、PAA3%、HEDP0.1%である。
【0026】
−安定性試験:室温にて7日後、活性酸素50%ロス(ヨウ素滴定)。
−漂白試験:陽性(Na2 CO3 2重量%のエリオクロム ブラック水溶液、室温にて放置)。
−室温で1か月保持した後に繰り返し行った漂白試験:陰性(上記と同様)。
【0027】
実施例4(比較例)
その系に、o−フタル酸をアジピン酸に代えて使用した以外は、実施例2の装置及び方法で操作した。
【0028】
−安定性試験:室温にて7日後、活性酸素25%ロス(ヨウ素滴定)。
−漂白試験:陽性(Na2 CO3 2重量%のエリオクロム ブラック水溶液、室温にて放置)。
−室温で1か月保持した後に繰り返し行った漂白試験:陰性(上記と同様)。
【0029】
実施例5
実施例2のN−オキシド及びo−フタル酸の化学当量に代えて、予め2者を水溶液中で反応させ、続いて冷却、濾過及び乾燥によって得られた、O−フタル酸自体と実施例2のN−オキシドとの予備塩の相当量を、実施例2と同量で使用する以外は、実施例2の装置及び方法で操作した。その系の最終的な化学組成(元素成分に換算)は、実施例2のそれと対応する。
【0030】
−安定性試験:室温にて7日後、活性酸素のロスはなかった(ヨウ素滴定)。
−漂白試験:陽性(Na2 CO3 2重量%のエリオクロム ブラック水溶液、室温にて放置)。
−室温で1か月保持した後に繰り返し行った漂白試験:陽性(上記と同様)。
【0031】
実施例6(比較例)
実施例1のN−オキシドとo−フタル酸とをいずれもその系に使用しない以外は、実施例2の装置及び方法で操作した。
得られた顆粒の化学組成(乾燥)は、PAP+PACが73重量%、ホウ酸23重量%、PAA3重量%、HEDP0.1重量%である。
【0032】
−安定性試験:室温にて7日後、活性酸素のロスなし(ヨウ素滴定)。
−漂白試験:陰性(Na2 CO3 2重量%のエリオクロム ブラック水溶液、室温にて放置)。

Claims (12)

  1. ε−フタルイミドペルオキシヘキサン酸、3級アミンのN−オキシド界面活性剤及びpKaが3.5以下で、20℃の温度で1重量%で殆ど水に溶解する有機酸からなる顆粒組成物。
  2. 前記3級アミンのN−オキシドが、9〜28の炭素原子の直鎖または分枝状のアルキル鎖を有し、窒素に結合する他の2つの鎖が、1〜3の炭素原子のアルキルとヒドロキシアルキルである請求項1記載の顆粒組成物。
  3. 前記3級アミンの窒素に結合する他の2つの鎖が、メチルまたはエチルである請求項2記載の顆粒組成物。
  4. 前記有機酸が、カルボン酸またはスルホン酸から選択される請求項1〜3のいずれか1つに記載の顆粒組成物。
  5. 前記有機酸が、o−フタル酸である請求項4記載の顆粒組成物。
  6. 前記ε−フタルイミドペルオキシヘキサン酸が20〜80重量%、前記界面活性剤が2〜20重量%、前記有機酸が2〜40重量%である請求項1〜5のいずれか1つに記載の顆粒組成物。
  7. 前記界面活性剤と前記有機酸とが、前記界面活性剤と前記有機酸との反応生成物の塩の形態である請求項1〜5のいずれか1つに記載の顆粒組成物。
  8. さらに、発熱を調節するための成分が存在する請求項1〜7のいずれか1つに記載の顆粒組成物。
  9. 前記発熱を調節するための成分が、硫酸マグネシウム5水和物、無水乳酸カルシウム、硫酸カルシウム2水和物、ホウ酸から選択される請求項8記載の顆粒組成物。
  10. 前記発熱を調節するための成分が、ホウ酸である請求項8記載の顆粒組成物。
  11. さらに、0.005〜5%の量のキレート及び/又は重金属イオン封鎖剤、及び/又は0.1〜5%の量の高分子結合剤が含まれてなる請求項1〜10のいずれか1つに記載の顆粒組成物。
  12. 任意に少なくとも7日間保持される洗浄剤の形態である請求項1〜11のいずれか1つに記載の顆粒組成物。
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