JP4184874B2 - ステアリングロック装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ステアリングシャフトに対してロックバーを嵌合させることによりステアリング操舵を不可能にするステアリングロック装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車においては、モータ等のアクチュエータの駆動力に基づきステアリングシャフトに対してロックバーを嵌合させることによりステアリング操舵を不可能にする電子式のステアリングロック装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この種のステアリングロック装置では、ステアリング操舵が可能なアンロック状態からモータが回転(例えば、正転)駆動されると、ステアリングシャフトに対してロックバーが嵌合されてステアリング操舵が不可能となる。そして、このようにロックバーがアンロック位置からロック位置まで移動されると、該ロックバーによりロックスイッチ(例えば、リミットスイッチ)がON作動されてモータの正転駆動が停止される。
【0004】
一方、このようにステアリング操舵が不可能なロック状態からモータが回転(例えば、逆転)駆動されると、ステアリングシャフトに対するロックバーの嵌合が解除されてステアリング操舵が可能となる。そして、このようにロックバーがロック位置からアンロック位置まで移動されると、該ロックバーによりアンロックスイッチ(例えば、リミットスイッチ)がON作動されてモータの逆転駆動が停止される。
【0005】
【特許文献1】
特開2003−063354号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ロックバーとアンロックスイッチとの間に異物が介在している場合を想定する。このような場合には、ステアリングシャフトに対するロックバーの嵌合が解除される前に該異物によりアンロックスイッチがON作動されてしまうことに起因して、未だステアリング操舵が不可能なロック状態であるにも拘わらず早期段階でモータの逆転駆動が停止される可能性がある。
【0007】
本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、その目的は、ステアリング操舵が可能なアンロック状態であるか否かの信憑性を向上させることが可能なステアリングロック装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、アクチュエータの駆動力に基づきステアリングシャフトに対してロックバーを嵌合させることによりステアリング操舵を不可能にするステアリングロック装置において、前記ステアリングシャフトに対してロックバーが嵌合されているロック状態でON作動するロックスイッチと、前記ステアリングシャフトに対するロックバーの嵌合が解除されているアンロック状態でON作動するアンロックスイッチと、前記ロックスイッチ及びアンロックスイッチがいずれもOFF作動されている中間状態の最短時間を記憶する記憶手段と、前記ロック状態から前記アクチュエータを駆動することにより該ロック状態から中間状態を経てアンロック状態へ移行させるアンロック制御を行う制御手段とを備え、前記制御手段は、アンロック制御の過程において中間状態の経過時間が前記記憶手段に記憶されている最短時間以上であることを条件としてアンロック状態であると認識する。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、ステアリング操舵が不可能なロック状態では、ロックスイッチはON作動されている一方、アンロックスイッチはOFF作動されている。そして、このようなロック状態からアクチュエータが駆動されると、ロックスイッチはON作動からOFF作動に切り替わる一方、アンロックスイッチはOFF作動のまま維持される。そして、このような中間状態を経た後、やがてロックスイッチがOFF作動のまま維持されて、且つアンロックスイッチがOFF作動からON作動に切り替わると、アクチュエータの駆動が停止される。その結果、ステアリング操舵が可能なアンロック状態となる。
【0010】
このようにロックバーとアンロックスイッチとの間に異物が介在していない場合には、ロックスイッチ及びアンロックスイッチがいずれもOFF作動されている中間状態が所定時間に亘って存在する。一方、ロックバーとアンロックスイッチとの間に異物が介在している場合には、該異物によりアンロックスイッチがON作動されてしまうことから、アンロック制御の過程において中間状態の経過時間が前記所定時間よりも短くなる。
【0011】
そこで、請求項1に記載の発明に係るステアリングロック装置では、該異物が介在していない場合における中間状態の最短時間を記憶するようにして、実際の経過時間と該最短時間とを比較するように構成している。そして、実際の経過時間が該最短時間以上である場合には、制御手段によりアンロック状態であると認識される。一方、実際の経過時間が該最短時間未満である場合には、ロックバーとアンロックスイッチとの間に異物が介在している可能性があることから、制御手段によりアンロック状態とは認識されない。その結果、後者の場合には、アンロック状態であることを前提とした動作が行われることが回避される。
【0012】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載のステアリングロック装置において、前記アクチュエータの雰囲気温度を検出する温度センサを備え、前記記憶手段は、アクチュエータの雰囲気温度と中間状態の最短時間とが関連付けされた最短時間マップを記憶し、前記制御手段は、前記記憶手段に記憶されている最短時間マップを参照して前記温度センサにより検出された雰囲気温度に対応する最短時間を選択し、アンロック制御の過程において中間状態の経過時間が該選択した最短時間以上であることを条件としてアンロック状態であると認識する。
【0013】
アクチュエータは、一般的に温度依存性を有しており、駆動力が雰囲気温度に応じて変化する。例えば、アクチュエータが正の温度依存性を有している場合には、雰囲気温度が高い程、駆動力が大きくなる。このため、かかる場合には、雰囲気温度が高い程、アンロック制御の過程において中間状態の経過時間が短くなる。一方、アクチュエータが負の温度依存性を有している場合には、雰囲気温度が高い程、駆動力が小さくなる。このため、かかる場合には、雰囲気温度が高い程、アンロック制御の過程において中間状態の経過時間が長くなる。これらのようにアンロック制御の過程において中間状態の経過時間は、アクチュエータの雰囲気温度に応じて変化する。
【0014】
そこで、請求項2に記載の発明に係るステアリングロック装置では、アクチュエータの雰囲気温度を検出するようにして、実際の経過時間と該検出した雰囲気温度に対応する最短時間とを比較するように構成している。従って、ステアリング操舵が可能なアンロック状態であるか否かの判断に際してアクチュエータの雰囲気温度が考慮されることから、該判断に関して高い信憑性が得られる。
【0015】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載のステアリングロック装置において、前記アクチュエータに対する印加電圧を検出する電圧センサを備え、前記記憶手段は、アクチュエータに対する印加電圧と中間状態の最短時間とが関連付けされた最短時間マップを、該アクチュエータの雰囲気温度毎に記憶し、前記制御手段は、前記温度センサにより検出された雰囲気温度に対応する最短時間マップを選択し、その選択した最短時間マップを参照して前記電圧センサにより検出された印加電圧に対応する最短時間を選択し、アンロック制御の過程において中間状態の経過時間が該選択した最短時間以上であることを条件としてアンロック状態であると認識する。
【0016】
アクチュエータは、温度依存性に加えて電圧依存性を有しており、駆動力が印加電圧に応じて変化する。例えば、アクチュエータが正の電圧依存性を有している場合には、雰囲気温度が固定であっても印加電圧が高い程、駆動力が大きくなる。このため、かかる場合には、印加電圧が高い程、アンロック制御の過程において中間状態の経過時間が短くなる。一方、アクチュエータが負の電圧依存性を有している場合には、雰囲気温度が固定であっても印加電圧が高い程、駆動力が小さくなる。このため、かかる場合には、印加電圧が高い程、アンロック制御の過程において中間状態の経過時間が長くなる。これらのようにアンロック制御の過程において中間状態の経過時間は、アクチュエータに対する印加電圧に応じて変化する。
【0017】
そこで、請求項3に記載の発明に係るステアリングロック装置では、アクチュエータの雰囲気温度に加えてアクチュエータに対する印加電圧を検出するようにして、実際の経過時間と該検出した雰囲気温度及び印加電圧に対応する最短時間とを比較するように構成している。従って、ステアリング操舵が可能なアンロック状態であるか否かの判断に際してアクチュエータの雰囲気温度に加えてアクチュエータに対する印加電圧が考慮されることから、該判断に関してさらに高い信憑性が得られる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態を説明する。
図1に示すように、本実施形態のステアリングロック装置1は、モータ10の回転駆動力に基づきステアリングシャフト20に対してロックバー30を嵌合させることによりステアリング操舵を不可能にする電子式のステアリングロック装置である。
【0019】
前記モータ10は、正転駆動及び逆転駆動が可能な直流モータにより構成されている。該モータ10の出力軸には、ウォームギヤ11が固着されている。該ウォームギヤ11には、平歯車12が噛合されている。該平歯車12には、前記ロックバー30のギヤ部31が噛合されている。このため、モータ10が回転駆動されると、該モータ10の回転駆動力は、ウォームギヤ11、平歯車12を介してロックバー30のギヤ部31に伝達される。つまり、モータ10の回転運動がギヤ機構によりロックバー30の直線運動に変換される。
【0020】
ここで、ステアリング操舵が可能なアンロック状態からモータ10が正転駆動されると、ロックバー30が図1に矢印Aで示す方向に移動する。その結果、ステアリングシャフト20の凹部21に対してロックバー30の一端部が嵌合されてステアリング操舵が不可能となる。一方、このようにステアリング操舵が不可能なロック状態からモータ10が逆転駆動されると、ロックバー30が図1に矢印Bで示す方向に移動する。その結果、ステアリングシャフト20に対するロックバー30の嵌合が解除されてステアリング操舵が可能となる。これらのようにロックバー30は、ステアリングシャフト20に嵌合されているロック位置と、ステアリングシャフト20に対する嵌合が解除されているアンロック位置との間を移動可能である。
【0021】
ステアリングロック装置1は、ステアリングロックECU40、ロックスイッチ41、アンロックスイッチ42、温度センサ43、電圧センサ44を備えている。ロックスイッチ41及びアンロックスイッチ42は、いずれもノーマルオープンタイプのリミットスイッチにより構成されている。そして、ロックスイッチ41の固定接点及びアンロックスイッチ42の固定接点は、いずれもバッテリのプラス側端子に電気的に接続されている。一方、ロックスイッチ41の可動接点及びアンロックスイッチ42の可動接点は、いずれもステアリングロックECU40に電気的に接続されている。
【0022】
ロックスイッチ41は、ロックバー30がロック位置まで移動されると、該ロックバー30の接触片30aにより可動接点が押圧されてON作動(スイッチ閉)する。その結果、ステアリングシャフト20に対してロックバー30が嵌合されているロック状態である旨の信号(Hレベルの信号)がロックスイッチ41からステアリングロックECU40に入力される。尚、ロックスイッチ41は、可動接点に対する押圧が解除されることに伴って「スイッチ閉」から「スイッチ開」に復帰するモーメンタリ機能を有している。
【0023】
一方、アンロックスイッチ42は、ロックバー30がアンロック位置まで移動されると、該ロックバー30の接触片30bにより可動接点が押圧されてON作動(スイッチ閉)する。その結果、ステアリングシャフト20に対するロックバー30の嵌合が解除されているアンロック状態である旨の信号(Hレベルの信号)がアンロックスイッチ42からステアリングロックECU40に入力される。尚、アンロックスイッチ42は、可動接点に対する押圧が解除されることに伴って「スイッチ閉」から「スイッチ開」に復帰するモーメンタリ機能を有している。
【0024】
温度センサ43及び電圧センサ44は、いずれもステアリングロックECU40に電気的に接続されている。温度センサ43は、モータ10の雰囲気温度を検出するためのものであり、該雰囲気温度に応じた検出信号をステアリングロックECU40に出力する。電圧センサ44は、モータ10に対する印加電圧(モータ10の入力電圧)を検出するためのものであり、該印加電圧に応じた検出信号をステアリングロックECU40に出力する。
【0025】
ステアリングロックECU40は、図示しないCPU、ROM、RAM、タイマ等からなるCPUユニットであり、メモリ40aを備えている。このメモリ40aには、図2に示す最短時間マップM1〜MNが記憶されている。最短時間マップM1には、モータ10の雰囲気温度Tが「T1≦T<T2」の範囲にある場合において、モータ10に対する印加電圧Vと中間状態(後述する)の最短時間Xとが関連付けされて記憶されている。最短時間マップM2には、モータ10の雰囲気温度Tが「T2≦T<T3」の範囲にある場合において、モータ10に対する印加電圧Vと中間状態の最短時間Xとが関連付けされて記憶されている。以下、同様に最短時間マップMNには、モータ10の雰囲気温度Tが「T(N−1)≦T≦TN」の範囲にある場合において、モータ10に対する印加電圧Vと中間状態の最短時間Xとが関連付けされて記憶されている。
【0026】
ここで、該中間状態について図3(a)〜(c)を用いて説明する。
中間状態は、ステアリングシャフト20に対してロックバー30が嵌合されているロック状態から該嵌合が解除されているアンロック状態へ移行する過程において存在する。また、中間状態は、上記とは逆にアンロック状態からロック状態へ移行する過程においても存在する。
【0027】
即ち、図3(a)に示すように、ロックバー30がロック位置にあるロック状態では、ロックスイッチ41はON作動されている一方、アンロックスイッチ42はOFF作動されている。そして、このようなロック状態からモータ10が逆転駆動されることに基づいてロックバー30が矢印B方向に移動されると、該ロックバー30の接触片30aによるロックスイッチ41の可動接点に対する押圧が解除される。その結果、図3(b)に示すように、該ロックスイッチ41は、ON作動からOFF作動に切り替わる。一方、アンロックスイッチ42は、ロック状態のときと同じOFF作動のまま維持される。
【0028】
そして、このようにロックスイッチ41がOFF作動に切り替わってからも継続してモータ10が逆転駆動されると、やがてロックバー30の接触片30bによりアンロックスイッチ42の可動接点が押圧される。その結果、図3(c)に示すように、該アンロックスイッチ42は、OFF作動からON作動に切り替わる。一方、ロックスイッチ41は、図3(b)のときと同じOFF作動のまま維持される。
【0029】
このように図3(a)に示すロック状態から図3(c)に示すアンロック状態へ移行する過程や、逆に図3(c)に示すアンロック状態から図3(a)に示すロック状態へ移行する過程においては、ロックスイッチ41及びアンロックスイッチ42がいずれもOFF作動されている状態が存在する。そして、これらのようにロックスイッチ41及びアンロックスイッチ42がいずれもOFF作動されている図3(b)に示す状態を中間状態と言う。そして、モータ10の雰囲気温度T及びモータ10に対する印加電圧Vを考慮した中間状態の最短時間Xが設計段階で予め算出され、該算出された最短時間Xがメモリ40aに記憶されている。
【0030】
そして、ロックバー30とアンロックスイッチ42(ロックスイッチ41)との間に異物が介在していない場合には、ロック状態(アンロック状態)からアンロック状態(ロック状態)へ移行する過程において、該中間状態が前記最短時間X以上の所定時間に亘って存在する。一方、ロックバー30とアンロックスイッチ42(ロックスイッチ41)との間に異物が介在している場合には、該異物によりアンロックスイッチ42(ロックスイッチ41)がON作動されてしまうことから、該中間状態が前記最短時間X未満の所定時間に亘って存在する。
【0031】
これらのことから本実施形態では、該異物が介在していない場合における中間状態の最短時間Xをメモリ40aに記憶するようにして、実際の中間状態の経過時間と該最短時間XとをステアリングロックECU40により比較するように構成している。そして、ステアリングロックECU40は、ロック状態(アンロック状態)からアンロック状態(ロック状態)へ移行させるアンロック制御(ロック制御)の過程において、実際の中間状態の経過時間が前記最短時間X以上であることを条件としてアンロック状態(ロック状態)であると認識する。一方、ステアリングロックECU40は、実際の中間状態の経過時間が前記最短時間X未満である場合には、ロックバー30とアンロックスイッチ42(ロックスイッチ41)との間に異物が介在している可能性があることから、アンロック状態(ロック状態)とは認識しない。
【0032】
前記ステアリングロックECU40には、表示部45が電気的に接続されている。この表示部45は、ステアリングロックECU40による表示制御に基づいて、ロックバー30とアンロックスイッチ42(ロックスイッチ41)との間に異物が介在している可能性がある旨のメッセージを表示するためのものである。尚、この表示部45は、ロックバー30とアンロックスイッチ42(ロックスイッチ41)との間に異物が介在している可能性がある旨を報知する報知手段に相当する。
【0033】
次に、ステアリングロック装置1の作用について説明する。
さて、図3(a)に示すロック状態からモータ10が逆転駆動されると、ステアリングロック装置1は、該ロック状態から図3(b)に示す中間状態を経て図3(c)に示すアンロック状態へ移行される。そして、このようなアンロック制御の過程において、ステアリングロックECU40は、ロックスイッチ41及びアンロックスイッチ42がいずれもOFF作動されている実際の中間状態の経過時間をタイマにより計時して、該計時した経過時間をRAMに記憶させる。
【0034】
そして、ステアリングロックECU40は、温度センサ43からの検出信号に基づいて、モータ10の雰囲気温度Tに対応する最短時間マップを選択する。例えば、モータ10の雰囲気温度TがT2である場合には、該T2に対応する最短時間マップM2を選択する。
【0035】
そして、ステアリングロックECU40は、該選択した最短時間マップM2を参照して所定の最短時間Xを選択する。具体的には、ステアリングロックECU40は、電圧センサ44からの検出信号に基づいて、モータ10に対する印加電圧Vに対応する最短時間Xを選択する。例えば、モータ10に対する印加電圧VがV3である場合には、該V3に対応する最短時間X23を選択する。
【0036】
そして、ステアリングロックECU40は、該RAMに記憶させた経過時間(実際の中間状態の経過時間)と該最短時間X23とを比較する。そして、ステアリングロックECU40は、実際の中間状態の経過時間が最短時間X23以上であることを条件としてアンロック状態であると認識する。その結果、かかるステアリングロック装置1を備えた自動車においては、該ステアリングロック装置1がアンロック状態であることを前提とした動作、例えばエンジン始動動作が可能となる。尚、ステアリングロックECU40は、アンロックスイッチ42がON作動されたことに基づいて、モータ10の逆転駆動を停止させる。
【0037】
一方、ステアリングロックECU40は、実際の中間状態の経過時間が最短時間X23未満である場合には、アンロックスイッチ42がON作動されていてもアンロック状態であるとは認識しない。その結果、ステアリングロック装置1がアンロック状態であることを前提とした動作が行われることが回避される。ただし、ステアリングロックECU40は、アンロックスイッチ42がON作動されたことに基づいて、モータ10の逆転駆動を停止させる。そして、ステアリングロックECU40は、かかる場合には、ロックバー30とアンロックスイッチ42との間に異物が介在している可能性がある旨のメッセージを表示部45に表示させる。
【0038】
以上、詳述したように本実施形態によれば、次のような作用、効果を得ることができる。
(1)ステアリングロック装置1では、ロックバー30とアンロックスイッチ42との間に異物が介在していない場合における中間状態の最短時間Xをメモリ40aに記憶するようにして、実際の経過時間と該最短時間XとをステアリングロックECU40により比較するように構成している。そして、実際の経過時間が該最短時間X以上である場合には、ステアリングロックECU40によりアンロック状態であると認識される。一方、実際の経過時間が該最短時間X未満である場合には、ロックバー30とアンロックスイッチ42との間に異物が介在している可能性があることから、ステアリングロックECU40によりアンロック状態とは認識されない。従って、ステアリング操舵が可能なアンロック状態であるか否かの信憑性を向上させることができる。
【0039】
(2)モータ10は、一般的に負の温度依存性を有していることから、雰囲気温度が高い程、駆動力が小さくなる。このため、雰囲気温度が高い程、アンロック制御の過程において中間状態の経過時間が長くなる。このようにアンロック制御の過程において中間状態の経過時間は、モータ10の雰囲気温度に応じて変化する。そこで、ステアリングロック装置1では、温度センサ43によりモータ10の雰囲気温度Tを検出するようにして、実際の経過時間と該検出した雰囲気温度Tに対応する最短時間Xとを比較するように構成している。従って、ステアリング操舵が可能なアンロック状態であるか否かの判断に際してモータ10の雰囲気温度Tが考慮されることから、該判断に関して高い信憑性を得ることができる。
【0040】
(3)モータ10は、正の電圧依存性を有していることから、雰囲気温度が固定であっても印加電圧が高い程、駆動力が大きくなる。このため、印加電圧が高い程、アンロック制御の過程において中間状態の経過時間が短くなる。このようにアンロック制御の過程において中間状態の経過時間は、モータ10に対する印加電圧に応じて変化する。そこで、ステアリングロック装置1では、モータ10の雰囲気温度Tに加えて電圧センサ44によりモータ10に対する印加電圧Vを検出するようにして、実際の経過時間と該検出した雰囲気温度T及び印加電圧Vに対応する最短時間Xとを比較するように構成している。従って、ステアリング操舵が可能なアンロック状態であるか否かの判断に際してモータ10の雰囲気温度Tに加えてモータ10に対する印加電圧Vが考慮されることから、該判断に関してさらに高い信憑性を得ることができる。
【0041】
(4)ステアリングロック装置1では、実際の中間状態の経過時間が最短時間X未満である場合には、ロックバー30とアンロックスイッチ42との間に異物が介在している可能性がある旨のメッセージを表示部45に表示するように構成している。このため、運転者に対して、該メッセージに基づく適切な処置を促すことができる。
【0042】
尚、前記実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・前記実施形態では、印加電圧Vと最短時間Xとが関連付けされた最短時間マップを雰囲気温度T毎にメモリ40aに記憶する構成であったが、雰囲気温度Tと最短時間Xとが関連付けされた最短時間マップを印加電圧V毎にメモリ40aに記憶する構成としてもよい。この場合、ステアリングロックECU40は、電圧センサ44により検出された印加電圧Vに対応する最短時間マップを選択し、その選択した最短時間マップを参照して温度センサ43により検出された雰囲気温度Tに対応する最短時間Xを選択する。そして、ステアリングロックECU40は、アンロック制御の過程において実際の中間状態の経過時間が該選択した最短時間X以上であることを条件としてアンロック状態であると認識する。このように構成しても、前記実施形態における(1)〜(4)と同様の効果を得ることができる。
【0043】
・前記実施形態では、ロックバー30とアンロックスイッチ42との間に異物が介在している可能性がある旨のメッセージを表示部45に表示する構成であったが、次のような構成としてもよい。即ち、該メッセージに加えて、モータ10の雰囲気温度T、モータ10に対する印加電圧V、雰囲気温度T及び印加電圧Vを考慮した中間状態の最短時間X、実際の中間状態の経過時間を表示部45に表示する構成としてもよい。
【0044】
・表示による報知に代えて又は加えて音による報知を行う構成としてもよい。・モータ10の雰囲気温度T、モータ10に対する印加電圧Vに加えて、モータ10の雰囲気湿度を考慮した最短時間マップをメモリ40aに記憶する構成としてもよい。
【0045】
さらに、上記実施形態より把握される技術的思想について、以下にそれらの効果と共に記載する。
〔1〕請求項1に記載のステアリングロック装置において、前記アクチュエータに対する印加電圧を検出する電圧センサを備え、前記記憶手段は、アクチュエータに対する印加電圧と中間状態の最短時間とが関連付けされた最短時間マップを記憶し、前記制御手段は、前記記憶手段に記憶されている最短時間マップを参照して前記電圧センサにより検出された印加電圧に対応する最短時間を選択し、アンロック制御の過程において中間状態の経過時間が該選択した最短時間以上であることを条件としてアンロック状態であると認識するステアリングロック装置。このように構成すれば、ステアリング操舵が可能なアンロック状態であるか否かの判断に際してアクチュエータに対する印加電圧が考慮されることから、該判断に関して高い信憑性を得ることができる。
【0046】
〔2〕上記〔1〕に記載のステアリングロック装置において、前記アクチュエータの雰囲気温度を検出する温度センサを備え、前記記憶手段は、アクチュエータの雰囲気温度と中間状態の最短時間とが関連付けされた最短時間マップを、該アクチュエータに対する印加電圧毎に記憶し、前記制御手段は、前記電圧センサにより検出された印加電圧に対応する最短時間マップを選択し、その選択した最短時間マップを参照して前記温度センサにより検出された雰囲気温度に対応する最短時間を選択し、アンロック制御の過程において中間状態の経過時間が該選択した最短時間以上であることを条件としてアンロック状態であると認識するステアリングロック装置。このように構成すれば、ステアリング操舵が可能なアンロック状態であるか否かの判断に際してアクチュエータに対する印加電圧に加えてアクチュエータの雰囲気温度が考慮されることから、該判断に関してさらに高い信憑性を得ることができる。
【0047】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の発明によれば、ステアリング操舵が可能なアンロック状態であるか否かの信憑性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ステアリングロック装置の構成を示す概略図。
【図2】メモリに記憶されている最短時間マップの概念図。
【図3】(a)ステアリングロック装置のロック状態を示す概略図。
(b)ステアリングロック装置の中間状態を示す概略図。
(c)ステアリングロック装置のアンロック状態を示す概略図。
【符号の説明】
1…ステアリングロック装置、10…アクチュエータとしてのモータ、20…ステアリングシャフト、30…ロックバー、40…制御手段としてのステアリングロックECU、40a…記憶手段としてのメモリ、41…ロックスイッチ、42…アンロックスイッチ、43…温度センサ、44…電圧センサ、M1〜MN…最短時間マップ。

Claims (3)

  1. アクチュエータの駆動力に基づきステアリングシャフトに対してロックバーを嵌合させることによりステアリング操舵を不可能にするステアリングロック装置において、
    前記ステアリングシャフトに対してロックバーが嵌合されているロック状態でON作動するロックスイッチと、
    前記ステアリングシャフトに対するロックバーの嵌合が解除されているアンロック状態でON作動するアンロックスイッチと、
    前記ロックスイッチ及びアンロックスイッチがいずれもOFF作動されている中間状態の最短時間を記憶する記憶手段と、
    前記ロック状態から前記アクチュエータを駆動することにより該ロック状態から中間状態を経てアンロック状態へ移行させるアンロック制御を行う制御手段とを備え、
    前記制御手段は、アンロック制御の過程において中間状態の経過時間が前記記憶手段に記憶されている最短時間以上であることを条件としてアンロック状態であると認識するステアリングロック装置。
  2. 請求項1に記載のステアリングロック装置において、
    前記アクチュエータの雰囲気温度を検出する温度センサを備え、
    前記記憶手段は、アクチュエータの雰囲気温度と中間状態の最短時間とが関連付けされた最短時間マップを記憶し、
    前記制御手段は、前記記憶手段に記憶されている最短時間マップを参照して前記温度センサにより検出された雰囲気温度に対応する最短時間を選択し、アンロック制御の過程において中間状態の経過時間が該選択した最短時間以上であることを条件としてアンロック状態であると認識するステアリングロック装置。
  3. 請求項2に記載のステアリングロック装置において、
    前記アクチュエータに対する印加電圧を検出する電圧センサを備え、
    前記記憶手段は、アクチュエータに対する印加電圧と中間状態の最短時間とが関連付けされた最短時間マップを、該アクチュエータの雰囲気温度毎に記憶し、前記制御手段は、前記温度センサにより検出された雰囲気温度に対応する最短時間マップを選択し、その選択した最短時間マップを参照して前記電圧センサにより検出された印加電圧に対応する最短時間を選択し、アンロック制御の過程において中間状態の経過時間が該選択した最短時間以上であることを条件としてアンロック状態であると認識するステアリングロック装置。
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