JP4184777B2 - 車両用空調装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用空調装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両用空調装置として、車内の二酸化炭素濃度を検出し、この濃度が所定値に達することにより、吸入モードを変更したり、窓ガラスを開放して警報を鳴らしたりするものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−71752号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の車両用空調装置では、二酸化炭素濃度が人体に危険を及ぼす値となってから動作を開始するため、人体への悪影響を完全には排除することはできない。
【0005】
そこで、本発明は、二酸化炭素濃度の上昇による人体への悪影響を未然に防止することのできる車両用空調装置を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、
車内の二酸化炭素濃度を検出する濃度検出手段と、該濃度検出手段によって検出される検出値が基準値を超えることにより危険回避動作を行わせる制御手段とを備えた車両用空調装置において、
内気循環モード又は外気導入モードのいずれのモードであるのかを判断するモード判定手段と、
乗員数を検出する乗員数検出手段と、
外気状況を判定する外気状況判定手段と、を設け、
前記制御手段は、
前記モード判定手段で、内気循環モードであると判定された場合、前記濃度検出手段の検出値と、前記乗員数検出手段で検出される乗員数とに基づいて、前記検出値が第1設定時間以内に前記基準値に到達すると予測される場合に前記危険回避動作を開始させる一方、
前記モード判定手段で、外気導入モードであると判断された場合、外気状況判定手段により、車内の二酸化炭素濃度を上昇させる条件を満足するか否かを判断し、満足すると判断すれば、現在の二酸化炭素濃度の検出値と、外気の状況とから、検出値が第2設定時間内に基準値に至ると予測される予測基準値を算出し、検出値が予測基準値に到達すれば、前記危険回避動作を開始させるものである。
【0007】
この構成により、二酸化炭素濃度の変化を予測して二酸化炭素濃度が人体に危険を及ぼす値となる前の適切な時期に、未然に危険回避動作を開始させることが可能となる。
【0008】
なお、前記危険回避動作としては、外気導入モードとしたり、コンプレッサを停止したり、警告音を出力したり、窓を開放したりする等が挙げられる。
【0009】
前記人数検出手段は、各座席に設けた圧力センサで構成すればよい。
前記制御手段は、前記濃度検出手段での検出値の変化率が基準変化率を超えて所定時間継続する場合、冷媒の漏洩であると判断し、コンプレッサを停止すると共に、窓を開放すればよい。
【0010】
また、冷凍サイクルの冷媒としては、二酸化炭素を使用することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。
【0012】
図1は、本実施形態に係る車両用空調装置を示す。この車両用空調装置では、コンプレッサ1から吐出された冷媒が、コンデンサ2で放熱され、膨張弁3で減圧された後、エバポレータ4で気化して外部を通過する空気から吸熱し、コンプレッサ1に戻って循環する。ここでは、冷媒には二酸化炭素が使用されている。
【0013】
コンプレッサ1は、クラッチ5を介してエンジン6からの動力が伝達されることにより冷媒を高温・高圧状態に圧縮して吐出させる。コンデンサ2は、車両前方部に配設され、冷媒と外気との間で熱交換させる。膨張弁3は、冷媒を気化しやすい状態まで減圧し、エバポレータ4で気化可能とする。エバポレータ4は、車内前方部の空調ユニット7内に配設され、通過する内気又は外気と冷媒との間で熱交換させる。
【0014】
空調ユニット7では、上流側から、インテークドア8、ブロア9、前記エバポレータ4、エアミックスドア10、ヒータコア11が順次配設されている。インテークドア8は、その回動位置によって内気又は外気を選択して空調ユニット7内に取込可能とする。ブロア9は、ブロアモータ9aの駆動により回転し、空調ユニット7内に内気又は外気を取り込んで、車内へと送風可能とする。エバポレータ4は、通過する内気又は外気を冷却・除湿する。エアミックスドア10は、エバポレータ4で冷却された内気又は外気を分流する。ヒータコア11は、エアミックスドア10によって分流された一方の流路に配設され、エンジン冷却水が流動することにより通過する内気又は外気を加熱する。
【0015】
車内の各座席には、座面中央部に圧力センサ12が設けられ、着座によりオン信号を出力し、乗員数がカウントされるようになっている。
【0016】
また、車内、例えば、座席の下方側には、二酸化炭素の濃度を検出するための濃度検出センサ13が配設されている。
【0017】
前記圧力センサ12や前記濃度検出センサ13のほか、外気センサ14、内気センサ15、日射センサ16等の各種センサでの検出信号は、制御装置17にそれぞれ入力されている。制御装置17では、これら入力信号に基づいて、インテークドア8の回動位置、コンプレッサ1の駆動、窓ガラスの開閉(窓開閉用モータ18)等を制御する。
【0018】
次に、前記構成の車両用空調装置の動作について説明する。
【0019】
従来同様、外気センサ等で検出される車内外諸条件を読み込み、ブロアモータ9aの駆動回転数、コンプレッサ1の駆動回転数、エアミックスドア10の回動位置等を制御する。
【0020】
この間、濃度検出センサ13により、現時点での車内の二酸化炭素濃度を検出する(ステップS1)。また、内気循環モードであるか否かを判断する(ステップS2)。
【0021】
内気循環モードであれば、圧力センサ12により車両の乗員数を検出する(ステップS3)。そして、現在の二酸化炭素濃度の検出値と、乗員数とから、検出値が第1設定時間内に基準値に至ると予測される予測基準値を算出する(ステップS4)。すなわち、乗員数の違いによって図3のグラフに示すような二酸化炭素濃度の変化が予測されるので、この変化度合いに基づいて現在の二酸化炭素濃度が第1設定時間以内に基準値に到達するような値を予測基準値とする。
【0022】
第1設定時間には、例えば、後述する危険回避動作を開始してから実際に二酸化炭素濃度が低下し始めるまでに要する時間を使用する。この場合、乗員数によって異なる、呼気中に含まれる二酸化炭素によって車内の二酸化炭素量が増大することを考慮して第1設定時間を決定する。また、基準値には、車内の二酸化炭素濃度がこの値に達することにより人体に何等かの悪影響を与える値を使用する。例えば、呼吸器・循環器・大脳等の機能に影響が見られる0.1%(1000ppm)や、耳鳴り・頭痛・血圧上昇等の兆候が現れる4%を基準値とする。
【0023】
続いて、濃度検出センサ13で検出された二酸化炭素濃度が、前述のようにして算出された予測基準値に到達したか否かを判断する(ステップS5)。検出値が予測基準値に到達すれば、危険回避動作を開始する(ステップS6)。すなわち、内気循環モードから外気導入モードに切り替える。また、必要に応じて窓を開放したり、警告音を発したりする。
【0024】
このように、検出される二酸化炭素濃度が、人体に悪影響を与える基準値に到達する前の予測基準値となることにより、危険回避動作を開始することができるので、常に良好な車内環境を維持することが可能となる。
【0025】
一方、外気導入モードであれば、外気の状況を判断する。すなわち、外気の状況が車内の二酸化炭素濃度を上昇させる条件を満足するか否かを判断する(ステップS7)。このような外気の状況としては、例えば、トンネル内の走行や、トラックの後方走行等、排ガス等の影響を受けて車内の二酸化炭素濃度が上昇する恐れのある状況が該当する。このような状況であるか否かは、例えば、次のようにして判断する。トンネル内の走行であるか否かは、昼間では日射センサ16での検出信号に基づいて判断する。夜間では、臭いセンサ等により判断する。また、排ガスの影響についても同様に臭いセンサ等により判断する。但し、トンネル内の走行であるか否かについては、臭いセンサ等の検出信号によってのみ判断するようにしてもよいし、GPS(Grobal Positioning System)機能及び地図情報を利用して判断するようにしてもよい。
【0026】
外気の状況が車内の二酸化炭素濃度を上昇させるような条件を満足すると判断すれば、現在の二酸化炭素濃度の検出値と、外気の状況とから、検出値が第2設定時間内に基準値に至ると予測される予測基準値を算出する(ステップS8)。この結果、検出値が予測基準値に到達すれば(ステップS9)、危険回避動作を開始する(ステップS10)。ここでの危険回避動作では、外気導入モードから内気循環モードに切り替え、必要に応じてコンプレッサ1を停止し、警告音を発する。
【0027】
この場合、乗員の呼気によって車内の二酸化炭素濃度の上昇は避けられないため、乗員数の違いによる二酸化炭素濃度の上昇度合いを考慮し、第2設定時間と予測基準値は次のようにして決定する。
【0028】
すなわち、内気循環モードに変更した後、現在の車内の二酸化炭素濃度と、乗員の呼気の影響による二酸化炭素濃度の上昇度合いとから、車内の二酸化炭素濃度が基準値に到達するのに要する時間を算出する。そして、この時間が、例えば、トンネル内の走行であれば、車両がトンネルから出るまでに要する時間を超えるように、予測基準値と第2設定時間を決定する。
【0029】
なお、内気循環モード、外気導入モードの別に拘わらず、エバポレータ等から冷媒である二酸化炭素が漏洩すれば、二酸化炭素濃度の急激な変化が予測される。この場合、濃度検出センサ13での検出値の変化率に基づいて冷媒の漏洩であると判断し、危険回避動作を開始させる。
【0030】
すなわち、濃度検出センサ13での検出値の変化率が、予め設定した基準変化率を超えた状態が所定時間継続することにより、冷媒の漏洩であると判断し、コンプレッサ1を停止すると共に、窓を開放させる。
【0031】
また、車内に臭いセンサ等を設けて喫煙の有無を検出し、喫煙による二酸化炭素の上昇度合いを考慮するようにしてもよい。すなわち、喫煙の有無によって二酸化炭素の上昇度合いに差が生じるので(例えば、4人乗車で2人喫煙する場合と誰も喫煙しない場合とで、3分程度で約50ppm)、この濃度差を加味して予測基準値を決定するようにしてもよい。
【0032】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、二酸化炭素濃度が基準値に至る前に危険回避動作を開始させるようにしたので、人体に悪影響を与える前に、未然に対応することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態に係る車両用空調装置の概略図である。
【図2】 本実施形態に係る空調制御を示すフローチャートである。
【図3】 乗員数と二酸化炭素濃度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1…コンプレッサ
2…コンデンサ
3…膨張弁
4…エバポレータ
5…クラッチ
6…エンジン
7…空調ユニット
8…インテークドア
9…ブロア
10…エアミックスドア
11…ヒータコア
12…圧力センサ
13…濃度検出センサ
14…外気センサ
15…内気センサ
16…日射センサ
17…制御装置

Claims (3)

  1. 車内の二酸化炭素濃度を検出する濃度検出手段と、該濃度検出手段によって検出される検出値が基準値を超えることにより危険回避動作を行わせる制御手段とを備えた車両用空調装置において、
    内気循環モード又は外気導入モードのいずれのモードであるのかを判断するモード判定手段と、
    乗員数を検出する乗員数検出手段と、
    外気状況を判定する外気状況判定手段と、を設け、
    前記制御手段は、
    前記モード判定手段で、内気循環モードであると判定された場合、前記濃度検出手段の検出値と、前記乗員数検出手段で検出される乗員数とに基づいて、前記検出値が第1設定時間以内に前記基準値に到達すると予測される場合に前記危険回避動作を開始させる一方、
    前記モード判定手段で、外気導入モードであると判断された場合、外気状況判定手段により、車内の二酸化炭素濃度を上昇させる条件を満足するか否かを判断し、満足すると判断すれば、現在の二酸化炭素濃度の検出値と、外気の状況とから、検出値が第2設定時間内に基準値に至ると予測される予測基準値を算出し、検出値が予測基準値に到達すれば、前記危険回避動作を開始させることを特徴とする車両用空調装置。
  2. 前記外気導入モードでの危険回避動作は、内気循環モードへの切替と、コンプレッサの停止であることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
  3. 前記制御手段は、前記濃度検出手段での検出値の変化率が基準変化率を超えて所定時間継続する場合、冷媒の漏洩であると判断し、コンプレッサを停止すると共に、窓を開放することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用空調装置。
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