JP4184549B2 - 建設機械の空調装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、運転室内の空調を行なう建設機械の空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図3は従来の空調装置を備えた油圧ショベルの運転室内の斜視図であり、この運転室1は、床2と、天井3と、図示しない運転席の前方に位置する前面部4と、運転席の後方に位置する後面部5と、2つの側面部6とを備えている。前面部4には、前窓すなわちフロントガラスが設けられ、このフロントガラスは左右前方の角部に立設される一対のピラー7(窓枠)により支持されている。後面部5の上方部分にもガラスが設けられており、側面部6のうちの1つには開閉自在な出入口ドアが設けられ、他の側面部6には横窓ガラスが設けられている。
【0003】
また、運転席の後部下方に位置する床2には、温風や冷風を供給する空調ユニット8が設置され、この空調ユニット8の空気吐き出し口には、運転室1内の前部に空気を導くフロント用ダクト9および足元用ダクト10と、運転室2内の後部に空気を導くリア用ダクト11とが接続されている。フロント用ダクト9の先端には、運転室1内の右前方に位置し、上下方向の中央部付近で空気を放出する可動吹き出し口12が装着されており、足元用ダクト10の端部から運転室1内の前部下方に向かって空気を放出し、リア用ダクト11の端部から後面部5のガラスに向かって空気を放出する。
【0004】
このような従来の空調装置では、吹き出し口12を運転席に座った運転者の顔等に対向するように回動させることにより、運転者の顔等に冷風や温風を供給でき、また、吹き出し口12を運転室1の前面部4に対向するように回動させることにより、前面部4に配置される前窓に霜取りのための温風や、くもり止めのための風を供給できる。さらに、吹き出し口12を運転室1の右側の側面部6に対向するように回動させることにより、右側の側面部6に配置される横窓に霜取りのための温風やくもり止めのための風を供給できる。
【0005】
なお、この種の技術に関連するものとして、例えば特開平8−175156号公報に記載されているものが挙げられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来技術においては、運転室1内の右前方に位置する吹き出し口12を運転者の顔等に対向させて冷風や温風を供給することにより、運転者が最も空調効果を感じられるが、冷風や温風が右前方のみから供給されるため運転者の左側では空調効果が得らず、運転者の左側と右側の間で温度差が生じるという問題があった。また、吹き出し口12を運転者に対向させたとき、前面部4に配置される前窓や側面部6に配置される横窓に吹き出し口12から風を放出することができないため、窓の霜取りやくもり止めができないという問題もあった。
【0007】
本発明は、上述した従来技術における実状からなされたもので、その目的は、運転者の左右両側で空調効果が得られ、また、運転者の空調効果が得られると同時に窓の霜取りやくもり止めを行なうことができる建設機械の空調装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明は、運転室内に設けられ、温風や冷風を供給する空調ユニットと、前記運転室の床上に配置され、前記空調ユニットから前記運転室内の前方に向かって、かつ前記運転室の右側面部に沿って延び、前記温風や冷風を導くフロント用ダクトと、このフロント用ダクトの先端に設けられ、前記温風や冷風を放出し、水平面内で回動可能な吹き出し口と、前記フロント用ダクトを途中で分岐させ、前記運転室の床上に配置され、前記運転室の左前方に向かって、かつ運転室の前方に位置する前面部に沿って伸びる分岐ダクトと、この分岐ダクトの先端に設けられ、前記温風や冷風を放出し、水平面内で回動可能な吹き出し口とを備え、前記フロント用ダクトの先端に設けた吹き出し口と前記分岐ダクトの先端に設けた吹き出し口のそれぞれを、前記運転室の左右前方の角部に立設された一対のピラーのうちの対応するピラーの近傍に設けたことを特徴としている。
このように構成した本発明は、フロント用ダクトの先端に設けた吹き出し口と、分岐ダクトの先端に設けた吹き出し口のそれぞれから運転者の右側と左側の両方に向けて冷風や温風を放出することにより、運転者の左右両側で空調効果が得られる。また、窓の霜取りやくもり止めを行なう場合、複数の吹き出し口のうちの一部を運転者の顔等に対向させるとともに残りの吹き出し口を前面部に配置される前窓あるいは側面部に配置される横窓に対向させて、それぞれの吹き出し口から風を放出することにより、運転者が空調効果を得られると同時に窓の霜取りやくもり止めを行なうことができる。また、運転室に着座した運転者から吹き出し口のそれぞれを見た場合、これらの吹き出し口とピラーとが重なり合って見えるため、作業を行うに際し、吹き出し口が視界の妨げになることがない。
また、本発明は、前記発明において、前記吹き出し口を前記一対のピラーの上下方向の中央部付近にそれぞれ配置したことを特徴としている。このように構成した本発明は、運転室の上下方向の広い範囲にわたって吹き出し口のそれぞれから冷風や温風に供給できる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る建設機械の空調装置を実施するための最良の形態を図に基づいて説明する。
図1は本実施形態の空調装置を備えた油圧ショベルの運転室内の斜視図、図2は吹き出し口を拡大して示す斜視図であり、図3に対応するものには同一符号を付してある。
【0010】
本実施形態に係る油圧ショベルの空調装置は、前述した図3に示す従来のものと比べて、フロント用ダクト9の途中から分岐し運転室1の左前方に向かって延びる分岐ダクト13と、この分岐ダクト13の先端に装着された他の吹き出し口14とを有する点が異なっており、その他の構成は基本的に同様である。
【0011】
これら吹き出し口12,14は、運転室1の左右前方の角部に位置する一対のピラー7の近傍であって、これらのピラー7の上下方向の中央部付近にそれぞれ設けられている。また、図2に示すように、吹き出し口12,14のそれぞれは、外殻を形成する先窄まり形状の本体15と、この本体15に形成され開口部を含むテーパ面16から成る空気の放出部と、本体15の内部の上下方向に複数段、回動可能に配列され、かつ、それぞれ上下面に空気の案内面を有するフィン17と、例えば3枚のフィン17に係着されるようにテーパ面16部分に装着され、上述の3枚のフィン17を上下方向に回動させるつまみ18とを備えている。上記した本体15は、図2の矢印19で示すように、水平面内に回動可能にフロント用ダクト9および分岐ダクト13の先端に装着してある。
【0012】
このように構成された油圧ショベルの空調装置において、運転席の後部下方に位置する空調ユニット8から温風や冷風が供給され、フロント用ダクト9および足元用ダクト10を介して運転室1内の前部に温風や冷風が導かれるとともに、リア用ダクト11を介して運転室1内の後部に空気を導かれる。これらのうち、フロント用ダクト9の途中に分岐ダクト13が接続されているので、この分岐ダクト13を介しても運転室1内の前部左側にも温風や冷風が導かれる。例えば、吹き出し口12,14の本体15をそれぞれ水平面内で回動させるとともに、つまみ18の操作によりフィン17上下方向に回動させることにより運転者の顔等に向け、この状態で運転室1内の右前方および左前方から冷風や温風を供給する。また、窓の霜取りやくもり止めを行なう場合、例えば、吹き出し口12を前面部5に配置される前窓あるいは側面部6に配置される横窓に対向させるとともに他の吹き出し口14を運転者の顔等に対向させ、この状態でそれぞれの吹き出し口12,14から冷風や温風を放出する。
【0013】
このように、上記実施形態にあっては、運転室1内の左右前部に設けた2つの吹き出し口12,14からそれぞれ運転者の右側と左側に向けて冷風や温風を放出するので、運転者の左右両側で温度差が生じることなく左右両側で空調効果が得られる。また、窓の霜取りやくもり止めを行なう場合、吹き出し口12を前面部4に配置される前窓あるいは側面部6に配置される横窓に対向させるとともに他の吹き出し口14を運転者の顔等に対向させ、それぞれの吹き出し口12,14から冷風や温風を放出するので、運転者が空調効果を得られると同時に窓の霜取りやくもり止めを行なうことができる。
【0014】
また、上記実施形態にあっては、吹き出し口12,14を左右前方の角部に立設した一対のピラー7の近傍にそれぞれ設けたので、吹き出し口12,14が運転者の視界を妨げるがない。また、吹き出し口12,14をピラー7の上下方向の中央部付近にそれぞれ配置したので、運転室1の上下方向の広い範囲にわたって吹き出し口12,14から冷風や温風に供給できる。さらに、フロント用ダクト9を途中で分岐させたので、複数のフロント用ダクトを個々に設けるものに比べて、ダクト設置に要するスペースを少なくて済む。
【0015】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0016】
運転室内の前方に配置したフロント用ダクトの先端に設けた吹き出し口と、分岐ダクトの先端に設けた吹き出し口のそれぞれを運転者の右側と左側に対向させ、それぞれの吹き出し口から冷風や温風を放出することにより、運転者の左右両側で空調効果が得られる。また、窓の霜取りやくもり止めを行なう場合、前述の吹き出し口のうちの一部を運転者の顔等に対向させるとともに残りの吹き出し口を前面部に配置される前窓あるいは側面部に配置される横窓に対向させ、それぞれの吹き出し口から冷風や温風を放出することにより、運転者が空調効果を得られると同時に窓の霜取りやくもり止めを行なうことができる。また、運転室に着座した運転者から吹き出し口のそれぞれを見た場合、これらの吹き出し口とピラーとが重なり合って見えるため、作業を行うに際し、吹き出し口が視界の妨げに なることがない。これらにより、運転室内の運転者に対して快適な作業環境および良好な視界を提供できる建設機械の空調装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態の空調装置を備えた油圧ショベルの運転室内の斜視図である。
【図2】 吹き出し口を拡大して示す斜視図である。
【図3】 従来の空調装置を備えた油圧ショベルの運転室内の斜視図である。
【符号の説明】
1 運転室
7 ピラー
8 空調ユニット
9 フロント用ダクト
12 吹き出し口
13 分岐ダクト
14 吹き出し口
Claims (2)
- 運転室内に設けられ、温風や冷風を供給する空調ユニットと、
前記運転室の床上に配置され、前記空調ユニットから前記運転室内の前方に向かって、かつ前記運転室の右側面部に沿って延び、前記温風や冷風を導くフロント用ダクトと、
このフロント用ダクトの先端に設けられ、前記温風や冷風を放出し、水平面内で回動可能な吹き出し口と、
前記フロント用ダクトを途中で分岐させ、前記運転室の床上に配置され、前記運転室の左前方に向かって、かつ運転室の前方に位置する前面部に沿って伸びる分岐ダクトと、
この分岐ダクトの先端に設けられ、前記温風や冷風を放出し、水平面内で回動可能な吹き出し口とを備え、
前記フロント用ダクトの先端に設けた吹き出し口と前記分岐ダクトの先端に設けた吹き出し口のそれぞれを、前記運転室の左右前方の角部に立設された一対のピラーのうちの対応するピラーの近傍に設けたことを特徴とする建設機械の空調装置。 - 請求項1の記載において、前記吹き出し口のそれぞれを前記一対のピラーの上下方向の中央部付近に配置したことを特徴とする建設機械の空調装置。
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