JP4182589B2 - 溶接部検査装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、原子炉圧力容器等の容器とノズルの溶接部或いはノズル同士の溶接部を非破壊検査し得るようにした溶接部検査装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
原子炉圧力容器等の容器とノズルの溶接部及びノズル同士の溶接部は定期的に超音波探触子により非破壊検査することが行われており、斯かる非破壊検査を行うための従来の溶接部検査装置の一例は図9に示されている。
【0003】
図9中、aは原子炉圧力容器、bは上蓋を取外した原子炉圧力容器aの上面フランジ部に載置して支持させるようにした溶接部検査装置であり、溶接部検査装置bは、昇降及び水平移動可能なロッドcの下端に溶接部を検査するための検査装置本体dを備えている。
【0004】
上述の溶接部検査装置bにより検査を行う場合には、原子炉圧力容器aから上蓋を取外すと共に原子炉圧力容器a内に格納されている炉内構造物を取出し、次いで溶接部検査装置bを原子炉圧力容器aの上面フランジに載置し支持させる必要がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の溶接部検査装置bの場合には、天井クレーンを用いて、炉内構造物を原子炉圧力容器aから取出す必要があると共に溶接部検査装置bを原子炉圧力容器aの上面フランジに設置する必要があるため、作業が大掛りとなって作業時間が長くなる虞れがある。
【0006】
本発明は上述の実情に鑑み、原子炉圧力容器等の容器の容器とノズルの溶接部或いはノズル同士の溶接部の非破壊検査時に容器から炉内構造物を取出さなくても容易且つ確実にしかも迅速に検査を行い得るようにし、作業時間を短縮することができるようにした溶接部検査装置を提供することを目的としてなしたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の溶接部検査装置は容器内周壁面に沿い昇降し得ると共に容器にその径方向へ向くよう溶接されたノズル内をノズル長手方向へ向け移動し得るようにした第1の枠体と、
該第1の枠体の溶接部検査装置前進方向後方に第1の枠体との間隔を調整し得るよう間隔調整手段を介し接続されると共に第1の枠体と一体的に前記容器内を昇降し得られしかも前記ノズル内をノズル長手方向へ向け移動し得るようにした第2の枠体と、
該第2の枠体にその周方向へ回動し得るよう支持された第3の枠体とを備え、
該第3の枠体には、第3の枠体からノズル内周側へ向けて突出した支持手段に取付けられて容器とノズルとの溶接部若しくはノズル同士の溶接部を非破壊検査する検査手段を設け、前記第2の枠体には、前記検査手段に接続されたケーブルを支持して第2の枠体の円形部外周に巻掛け得るようにしたケーブル支持手段を設けたものである。
【0008】
本発明では、第1の枠体に、第1〜第3の枠体が容器内周壁面に沿い下降若しくは上昇する際に第1の枠体に取付けられたスカート内を負圧にすることで容器内周壁面に吸着し得るようスラスタを設けると共に第1の枠体を案内するよう容器内周壁面に対し転動する駆動輪を設けることができる。
【0009】
本発明では、第1の枠体及び第3の枠体を回転自在に支持した第2の枠体がノズル内を移動する際に第1、第2の枠体を支持してノズル長手方向へ転動する複数の駆動輪を前記第1、第2の枠体に円周方向へ向け所定の間隔で設けることができる。
【0010】
本発明では、第1、第2の枠体に対応して設けられた駆動輪を、各枠体ごとに少くとも1個ノズル径方向へ位置調整し得るよう構成することができる。
【0011】
本発明では、間隔調整手段は拡縮自在なリンク機構とすることができる。
【0012】
本発明では、溶接部の検査手段を非破壊検査とすることができる。
【0013】
本発明では、第1の枠体には容器内やノズル内を撮影及び目視試験するためのカメラを設けることができる。
【0014】
本発明においては、簡単な装置で容易且つ確実にしかも迅速に検査を行うことができ、従って作業時間を短縮することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照しつつ説明する。
【0016】
図1〜図8は本発明の実施の形態の一例を示し、図中、1は原子炉圧力容器2の内周壁面に沿って下降及び上昇し得るようにすると共に原子炉圧力容器2に水平方向へ向けて溶接されたノズル3内を移動し得るようにした溶接部検査装置である。
【0017】
溶接部検査装置1は、ノズル3の内周に対し同心状に配置し得るようにした環状の枠体4を備えると共に枠体4の外周には円周方向へ向い一定間隔(120度間隔)で駆動輪部5が設置されている。
【0018】
駆動輪部5のうち、枠体4の頂部近傍に設けられた駆動輪部5は、図7に拡大して示すごとく、枠体4の外周に固設されたブラケット6と、ブラケット6に枠体4の径方向へ摺動し得るよう設けたブラケット7と、ブラケット7をブラケット6に対して摺動させるようブラケット6に装備した流体圧シリンダ8と、軸線L1が枠体4の接線方向へ延在するようブラケット7に回転可能に取付けた軸9と、軸9に嵌合されると共にノズル3の内周壁に対し当接して転動し得るようにした駆動輪10と、ブラケット7に設置したエンコーダ付きのサーボモータ11と、サーボモータ11の出力軸に嵌合、固定されると共に軸9に嵌合、固定したベベルギア13と噛合するようにしたベベルギア12を備えており、サーボモータ11を駆動することにより、ベベルギア12,13、軸9を介して駆動輪10を駆動し得るようになっている。
【0019】
駆動輪部5のうち、枠体4の径方向斜め下方左右に設けられた駆動輪部5は、基本的には図7に示す駆動輪部5と略同一構成であるが、図7に示すような摺動自在なブラケット7や流体圧シリンダ8は備えておらず、図8に示すように駆動輪10が嵌合、固定された軸9やエンコーダ付きのサーボモータ11は、枠体4の外周に固設したブラケット6に装備されている。
【0020】
而して、図8に示す駆動輪部5における駆動輪10もノズル3の内周壁に対し当接して転動し得るようになっており、又図8中、図7に示すものと同一のものには同一の符号が付してある。
【0021】
枠体4の溶接部検査装置前進方向D後方側における小径部4aには、枠体4と同心状に枠体4の最大外径部よりは小径の環状の枠体14が回転可能に配置されており、枠体14の外径部軸線方向両側部には、軸線が枠体4の軸線と平行となるよう、円周方向へ一定の間隔で複数の案内車輪15が装着されている(図6参照)。
【0022】
枠体4の枠体14設置部には、枠体14の軸線方向両側部に位置するよう環状の案内レール16が固設されており、枠体14は、案内レール16の内周側に当接して回動するようにした案内車輪15を介して枠体4に対し回動自在に支持されている。
【0023】
軸線が枠体4,14の軸線と平行に延びるよう、枠体4の外周部近傍に回転自在に枢着した水平軸17の枠体14側とは反対側の端部には、ベベルギア18が外嵌、固定され、水平軸17の枠体14側端部にはギア19が外嵌、固定されている。
【0024】
又、枠体4には、枠体4の径方向へ向けてエンコーダ付きのサーボモータ20が配設されており、サーボモータ20の出力軸に外嵌、固定したベベルギア21はベベルギア18に噛合している。
【0025】
枠体4の枠体14に面した側に固設したブラケット23には、水平軸17と平行な水平軸22が回転可能に枢着されており、水平軸22の一端には、ギア19と噛合するギア24が外嵌、固定され、水平軸22の他端には、枠体14の外周に固設したリングギア25と噛合するギア26が外嵌、固定されている(図6参照)。
【0026】
図3に示すごとく、枠体4には、一端が枠体4の軸心部に位置して径方向へ延在し、枠体4の小径部4a外周部を貫通して小径部4a径方向に約1/2周巻掛けられ、他端が枠体4の径方向外方へ延在するようにしたケーブルベア27が屈曲可能に装着されている。
【0027】
枠体14の外周には、枠体4よりも更に径方向外方へ突出するブラケット28が固設されており、ブラケット28の先端に固着したブラケット28aには流体圧シリンダ29が配設され、流体圧シリンダ29には枠体4の径方向へ位置調整し得るようにした超音波探触子30が取付けられている。又、枠体4の小径部4aに約1/2周巻掛けられると共に枠体4の径方向外方へ延在するようにしたケーブルベア27の枠体4径方向外方へ延在する部分は、ブラケット28に沿って延びブラケット28aに固定されている。
【0028】
枠体4における溶接部検査装置前進方向Dの後端部側面軸心部には、探傷ケーブル導入孔が設けられ、外部から探傷ケーブル導入孔を通り枠体4内へ導通された探傷ケーブル31の一部は、ケーブルベア27内を通り、ケーブルベア27に支持された状態で枠体4の小径部4a外周に巻掛けられ、その端部は超音波探触子30に接続されている。
【0029】
枠体4内には、枠体4の軸心部を通り枠体4の径方向へ上下に向けて延在するねじ軸32が配設されており、ねじ軸32の上下端部は夫々枠体4に設けた軸受33に回転可能に枢着されている(図2、5参照)。
【0030】
ねじ軸32の長手方向上下部には、上下で逆方向へ螺設された逆ねじ状の雄ねじ32a,32bが刻設され、ねじ軸32の一端には、枠体4に配置されたエンコーダ付きのサーボモータ34が接続されている。又雄ねじ32a,32bにはナット35,36が螺合されており、サーボモータ34を駆動してねじ軸32を回転させることによりナット35,36は互に近接或いは離反し得るようになっている。
【0031】
ナット35,36に固設したブラケット37,38には、軸線がねじ軸32の軸線方向と直交する方向へ向くと共に枠体4の径方向へ向くよう設けた水平ピン39,40を介して、溶接部検査装置前進方向D前方へ斜め下方或いは斜め上方へ向けて延在するようにしたリンク41,42が枢着されている。
【0032】
リンク41,42は、長手方向中間を水平ピン39,40と平行な水平ピン43により連結されており、リンク41,42の溶接部検査装置前進方向先端Dには、水平ピン43等と平行な水平ピン44,45を介しリンク46,47が枢着されている。而して、リンク41,42,46,47によりリンク機構が構成されている。
【0033】
枠体4の溶接部検査装置前進方向D前方には、枠体4と同一軸線上に配置されるよう、溶接部検査装置1を構成するための環状の枠体48が配設されており、枠体48の枠体4に対向した側には軸心部に位置するようブラケット49が固設されている。
【0034】
ブラケット49には、水平ピン44,45等と平行な水平ピン50を介してリンク46,47が連結されている。而して、前述のナット35,36が互に近接、離反するように動くことにより、リンク41,42,46,47はパンタグラフ状に伸縮して枠体48を枠体4から離反する方向へ移動させたり枠体4へ近接する方向へ移動させたりし得るようになっている。
【0035】
枠体48の外周には円周方向へ向い一定間隔(120度間隔)で駆動輪部51が設置されている。この場合、ノズル3の軸線方向から見て枠体4の駆動輪部5と枠体48の駆動輪部51は、枠体4,48の円周方向へ位相が60度ずれている(図1、3参照)。
【0036】
駆動輪部51のうち、枠体48の径方向斜め上方部、左右に設けられた2組の駆動輪部51は、枠体4の頂部近傍に設けられた図7に示す駆動輪部5と同一構成になっていると共に同一の作用を果すようになっているため、対応する同一部分には同一の符号を付し説明を省略する(図1、3参照)。
【0037】
駆動輪部51のうち、枠体48の下端近傍に設けられた駆動輪部51は、図8に示す駆動輪部5と同一構成になっていると共に同一の作用を果すようになっているため、対応する同一部分には同一の符号を付し説明を省略する(図1、3参照)。
【0038】
枠体48の枠体4とは反対側の面には、截頭円錐環状の高分子ポリエチレン等の柔軟な材質から成るスカート60が取付けられている。スカート60の枠体48に対する取付け部の径は枠体48の径と略同じであり、スカート60の枠体48から離れた側の先端は、枠体48の径よりも若干大きく形成されている。
【0039】
枠体48,4には軸心を基準として左右対称位置に、枠体48,4の軸線方向へ向けテレスコープ状に3段に伸縮する2組の吸水管52が設置されており、吸水管52の溶接部検査装置前進方向D先端側は枠体48の前面に開口している。又吸水管52の溶接部検査装置前進方向D後端側は枠体4の後面側に開口している。
【0040】
左右の吸水管52内には、枠体48の開口側に位置するよう、インペラを有するスラスタ53が回転自在に配設され、スラスタ53は枠体48に配置した駆動装置54により駆動されて回転し、枠体48の前面側開口から吸込んだ水を枠体4の後面側開口から排出し得るようになっている。
【0041】
枠体48の溶接部検査装置前進方向D前面には、枠体48の軸心よりも若干下方位置で且つ左右対称位置に、軸線が枠体48の径方向へ向けて水平に延在するよう駆動輪55が配設され、駆動輪55は枠体48に配置したサーボモータ56により回転駆動し得るようになっている。
【0042】
枠体48の駆動輪55を配置した側においては、枠体48の軸心部上方にフリーボール形式の補助輪57が配設されており、溶接部検査装置1が原子炉圧力容器2内を昇降する際に、枠体48は、駆動輪55及び補助輪57を介して原子炉圧力容器2内周壁面に支持されて昇降し得るようになっている。
【0043】
駆動輪55及び補助輪57の溶接部検査装置前進方向D先端側は、枠体48の端部から溶接部検査装置前進方向D外方へ若干突出しているが、スカート60の枠体48から離反した側の端部よりは、枠体48の端部側に位置している。而して、溶接部検査装置1が原子炉圧力容器2の内周面に沿い下降する際には、駆動輪55及び補助輪57の外径部は原子炉圧力容器2の内周壁面に接触し転動し得るようになっている。
【0044】
枠体48内のスカート60取付け側には、反射部中心が枠体48の略中心O(図1参照)に位置するよう反射鏡58が配置されると共に反射鏡58で反射して下方へ投射される映像を撮影するための工業用カメラ59が設けられている。而して、反射鏡58の反射面は図2に示すように垂線を基準として溶接部検査装置前進方向Dに対し後方へ向って下り勾配に45度に傾斜しており、反射鏡58及び工業用カメラ59の中心線は枠体48の正面から見て枠体48の中心線L2と合致した状態となっている(図1参照)。
【0045】
なお、図中、61はエンコーダであり、溶接部検査装置1はリンク42,41,47,46をたたんだ状態では全長約50mm、延ばした状態では全長約150mmである。
【0046】
次に、本発明の実施の形態の作動について説明する。
【0047】
例えば、原子炉圧力容器2におけるノズル3の溶接部Wを検査する場合には、原子炉圧力容器2の上蓋を取外した後、水の入っている原子炉圧力容器2内の炉内構造物と原子炉圧力容器2内周との間に、リンク41,42,46,47を折りたたんで全長を最小の状態にした溶接部検査装置1を挿入し、原子炉圧力容器2内の水中に没水させる。
【0048】
溶接部検査装置1が原子炉圧力容器2内の水中に没したら、駆動装置54を駆動してスラスタ53を回動させる。このため、枠体48前面側の水は開口から吸水管52内へ流入し、枠体4後面側の開口から原子炉圧力容器2内へ排出され、枠体48前面側の水圧が下降する。
【0049】
枠体48前面側の水圧が下降すると、枠体48に取付けられたスカート内部が負圧になり溶接部検査装置1は原子炉圧力容器2内周壁面側に吸着し、スカート60が原子炉圧力容器2内周に密着させられてスカート60内の空間が閉塞させられると共に駆動輪55及び補助輪57が原子炉圧力容器2の内周壁面に当接する(図5参照)。
【0050】
駆動輪55及び補助輪57が原子炉圧力容器2の内周壁面に当接したらスラスタ53の駆動は継続した状態でサーボモータ56を駆動する。このため、駆動輪55が回転して原子炉圧力容器2の内周壁面を転動するため、溶接部検査装置1は原子炉圧力容器2の内周壁面に沿い下降する。この際、探傷ケーブル31は原子炉圧力容器2の外部に設置したリールから繰出される。
【0051】
溶接部検査装置1が原子炉圧力容器2内周壁面を下降してノズル3の接続位置まで下降したら、スラスタ53の駆動は継続したまま、サーボモータ56を停止して駆動輪55の駆動を終了させる。このためスラスタ53の回転により生じる推力により、溶接部検査装置1は水中を横方向へ移動してノズル3内へ進入する。
【0052】
溶接部検査装置1がノズル3内へ進入したら、駆動装置54を停止してスラスタ53の駆動を終了させ、サーボモータ34を駆動してねじ軸32をナット35,36が互に近接する方向へ回転させる。このため、リンク41,42,46,47は伸長して枠体4と48は離反した状態となる。このように枠体4と48を離反させるのは、溶接部検査装置1が安定してノズル3内を移動できるようにするためである。
【0053】
又、枠体4においては、頂部に設けた駆動輪部5の流体圧シリンダ8を作動させてブラケット7を枠体4の径方向外方へ移動させ、駆動輪10をノズル3の内周面に当接させる。このため、他の駆動輪部5の駆動輪10との協働作用により、枠体4はノズル3の内周面に走行可能且つ確実に支持される。
【0054】
枠体48においては、その径方向斜め上方左右両側に設けた駆動輪部51の流体圧シリンダ8を作動させてブラケット7を枠体48の径方向外方へ移動させ、駆動輪10をノズル3の内周面に当接させる。このため、枠体48下端に設けた駆動輪部51の駆動輪10との協働作用により、枠体48はノズル3の内周面に走行可能且つ確実に支持される。
【0055】
枠体4,48がノズル3の内周面に走行可能且つ確実に支持されたら、サーボモータ11を駆動する。このため、ベベルギア12,13、軸9を介して駆動輪10が回転し、ノズル3の内周面をノズル3の軸線方向へ転動する。又駆動輪10がノズル3の内周面を転動すれば、溶接部検査装置1はノズル3内を溶接部検査装置前進方向Dへ移動する。
【0056】
溶接部検査装置1の原子炉圧力容器2内周壁面に対する下降及びノズル3内の前進移動に際しては、下降量はエンコーダ61により、前進量はサーボモータ11の付帯機器であるエンコーダにより確認されると共に、反射鏡58で反射した映像が工業用カメラ59により撮影され、操作室等に設置してあるモニタテレビ等に写し出される。このため、溶接部検査装置1が所定の位置に到達しているか否かを容易に確認することができる。
【0057】
溶接部検査装置1がノズル3内を前進走行して超音波探触子30が検査すべき溶接部Wに到達したら、サーボモータ11を停止させて溶接部検査装置1をノズル3内で停止させ、次に流体圧シリンダ29を作動させて超音波探触子30をノズル3内周面に向けて前進させ、そのノズル3内周面に対向する面をノズル3内周面に当接させる。
【0058】
超音波探触子30が検査すべき溶接部Wに当接したら、超音波探触子30から溶接部Wに向けて超音波を発信すると共にサーボモータ20を駆動する。このため、ベベルギア21,18、水平軸17、ギア19,24、水平軸22、ギア26を介して動力がリングギア25に伝えられ、枠体14は案内車輪15を介して案内レール16に沿いノズル3の円周方向へ回動する。従って、超音波探触子30もノズル3の円周方向へ回動し、ノズル3円周方向各部において溶接部Wの超音波探傷検査が行われる。溶接部Wのどの部分が検査されているかは、エンコーダにより検出される。
【0059】
ケーブルベア27が図3の右半分に示すように枠体4の小径部4aに巻掛けられている場合には、枠体14の回動方向は図3において反時計方向となる。又枠体14が1周した後の枠体14の回転方向は図3において時計方向となる。
【0060】
本発明の実施の形態においては、溶接部Wの超音波探傷等による非破壊検査時に原子炉圧力容器2から炉内構造物を取出さなくても容易に且つ迅速に検査を行うことができ、従って作業時間を短縮することができる。
【0061】
尚、本発明の実施の形態においては、溶接部検査装置を原子炉容器のノズルに適用する場合について説明したが、容器とノズルとの溶接部に対しても適用することもできること、原子炉圧力容器以外の容器に対しても適用できること、非破壊検査なら超音波探傷検査に限らず、渦流探傷装置を用いた渦流探傷検査等にも適用できること、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ること、等は勿論である。
【0062】
【発明の効果】
本発明の溶接部検査装置によれば、簡単な装置で容易且つ確実にしかも迅速に検査を行うことができ、従って作業時間を短縮することができ、更に燃料交換等の他の作業と同時進行を図ることで、定期検査全体の時間短縮と作業員の被ばくを低減することができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の溶接部検査装置の実施の形態の一例を示し、図2のI−I方向から見た正面図である。
【図2】図1のII−II方向矢視図である。
【図3】図4のIII−III方向矢視図である。
【図4】上下部を装置の中心で見ると共に中間部を吸水管の部分で切断した図3のIV−IV方向矢視図である。
【図5】上部から下部に至るまでを装置の中心で切断した図3のV−V方向矢視図である。
【図6】図4のVI部拡大図である。
【図7】ノズル内で枠体を走行させるための駆動輪部のうち、駆動輪の枠体径方向位置を調整し得るようにした駆動輪部の拡大図である。
【図8】ノズル内で枠体を走行させるための駆動輪部のうち、駆動輪の枠体径方向位置を調整しないようにした駆動輪部の拡大図である。
【図9】従来の溶接部検査装置の一例の斜視図である。
【符号の説明】
1 溶接部検査装置
2 原子炉圧力容器(容器)
3 ノズル
4 枠体(第2の枠体)
10 駆動輪
14 枠体(第3の枠体)
27 ケーブルベア(ケーブル支持手段)
28 ブラケット(支持手段)
28a ブラケット(支持手段)
30 超音波探触子(検査手段)
31 探傷ケーブル(ケーブル)
41 リンク(間隔調整手段)
42 リンク(間隔調整手段)
46 リンク(間隔調整手段)
47 リンク(間隔調整手段)
48 枠体(第1の枠体)
53 スラスタ
55 駆動輪
59 工業用カメラ(カメラ)
D 溶接部検査装置前進方向
Claims (6)
- 容器内周壁面に沿い昇降し得ると共に容器にその径方向へ向くよう溶接されたノズル内をノズル長手方向へ向け移動し得るようにした第1の枠体と、
該第1の枠体の溶接部検査装置前進方向後方に第1の枠体との間隔を調整し得るよう間隔調整手段を介し接続されると共に第1の枠体と一体的に前記容器内を昇降し得られしかも前記ノズル内をノズル長手方向へ向け移動し得るようにした第2の枠体と、
該第2の枠体にその周方向へ回動し得るよう支持された第3の枠体とを備え、
該第3の枠体には、第3の枠体からノズル内周側へ向けて突出した支持手段に取付けられて容器とノズルとの溶接部若しくはノズル同士の溶接部を非破壊検査する検査手段を設け、前記第2の枠体には、前記検査手段に接続されたケーブルを支持して第2の枠体の円形部外周に巻掛け得るようにしたケーブル支持手段を設けたことを特徴とする溶接部検査装置。 - 第1の枠体に、第1〜第3の枠体が容器内周壁面に沿い下降若しくは上昇する際に第1の枠体に取付けられたスカート内を負圧にすることで容器内周壁面に吸着し得るようスラスタを設けると共に第1の枠体を案内するよう容器内周壁面に対し転動する駆動輪を設けた請求項1に記載の溶接部検査装置。
- 第1の枠体及び第3の枠体を回転自在に支持した第2の枠体がノズル内を移動する際に第1、第2の枠体を支持してノズル長手方向へ転動する複数の駆動輪を前記第1、第2の枠体に円周方向へ向け所定の間隔で設けた請求項1又は2に記載の溶接部検査装置。
- 第1、第2の枠体に対応して設けられた駆動輪を、各枠体ごとに少くとも1個ノズル径方向へ位置調整し得るよう構成した請求項1、2又は3に記載の溶接部検査装置。
- 間隔調整手段は拡縮自在なリンク機構である請求項1、2、3又は4に記載の溶接部検査装置。
- 第1の枠体には容器内やノズル内を撮影及び目視試験するためのカメラを設けた請求項1、2、3、4又は5に記載の溶接部検査装置。
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