JP4181773B2 - 水性分散液型の緩み止め剤組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ネジ、ナット、ボルトのようなネジ式締め固定具を機械、器具等の固定すべき個所に螺入により設置しネジ回転で締め付け固定した後のネジ式固定具が機械、器具の作動時の振動、回転により緩んで固定具の結合の緊縮度を失うのを防止する緩み止めの目的のために、該固定具のネジ山部及び(又は)ネジ谷部の面に予め塗着されるところの、マイクロカプセル型のエポキシ接着剤を含む水性分散液の形の新しい緩み止め剤組成物に関する。
【0002】
本発明によるマイクロカプセル型のエポキシ接着剤を含み且つ硬化剤兼バインダーとしてポリアミドを含む水性分散液の形の緩み止め剤組成物は、ネジ山部、谷部の面に均一な膜厚で塗膜を塗着するのに十分な附着力と適度な粘性をもつ水性分散液の形である。本組成物の塗着で得られた塗膜を、塗膜をなす該組成物の水性分散媒の揮発により乾燥すると、均一な膜厚をもち強固で柔軟性、弾性、強靱性、防湿性および密封性が高い樹脂質被膜をネジ山部、谷部の面に形成できる性能を有し、またネジ溝の係合時にマイクロカプセルの破れで放出された接着剤エポキシ樹脂と硬化剤との反応で強い接着層を形成できる性能を有する。また本発明は、ネジ式締め固定具のネジ山部、谷部の面に塗着された本組成物の乾燥された緩み止め剤被膜を有するネジ式締め固定具それ自体も包含する。
【0003】
【従来の技術】
ネジ、ナットのようなネジ式締め固定具を機械、器具の所要部に取付けた後の固定具の緩み止め防止の目的で、これらの固定具のネジ螺合面に予め塗布、乾燥してプレコートされる、接着剤を含む緩み止め剤は知られており、これは広く機械、自動車、電気、電子器具の組立て時に用いられている。
【0004】
緩み止め剤組成物は、大別して、接着剤成分を封入したマイクロカプセルを含む接着剤型の組成物と、摩擦抵抗性の被膜を螺合面に形成する非接着剤型の組成物とに分けられる。
【0005】
反応性接着剤を封入されたマイクロカプセルを含む接着剤型の緩み止め剤組成物としては、マイクロカプセルの破れた時に放出された反応性接着剤に反応して、これを硬化させる作用をもつ硬化剤、ならびにマイクロカプセルを含む緩み止め剤組成物をネジ溝面に塗着した時に、その塗膜ならびにマイクロカプセルをネジ溝面に結合させる作用をもつバインダー(結合剤)用の樹脂を溶解、含有する有機溶媒中に、該マイクロカプセルを分散して成る緩み止め剤組成物が知られる(特公昭45-11051号、特公昭52-46339号、特開平2-308876号、参照)。
しかし、従来のマイクロカプセル型の緩み止め剤組成物は、マイクロカプセルのための分散媒としてトルエン、キシレン等の有機溶剤を用いており、有機溶剤の使用の点から環境汚染の面と安全衛生の面で問題がある。
【0006】
他方、特開昭53-11883号公報には、殺虫剤が封入されたマイクロカプセルを、アクリル系樹脂の水性エマルジョン中に分散してなるマイクロカプセル型の殺虫剤組成物が記載される。このマイクロカプセル型殺虫剤組成物で、水性エマルジョンの形で配合されたアクリル系樹脂は、該殺虫剤組成物を被処理物の面にスプレー塗着した時に、その面からマイクロカプセルが脱落するのを防止するために作用するバインダーとして配合されたものである。この殺虫剤組成物の場合は、スプレーされた面に付着したマイクロカプセルは、単に弱い結合力により、ある程度付着していればよいだけである。しかし、ネジ、ナットのネジ溝に塗着される緩み止め剤の場合には、締込み時に非常に強力な外力が働くのでマイクロカプセルがネジ溝から剥離、脱落する危険がある。
【0007】
さらに、特開平5-140514号公報には、アルデヒド系樹脂または尿素系樹脂製の壁材をもつマイクロカプセル中にエポキシ接着剤が芯剤として封入されたマイクロカプセル(i)を、非揮発性で水溶性または水分散性のアミン系硬化剤(ii)と、水溶性ポリアセタール樹脂よりなるバインダー(iii)とを含有する水(iv)の中に分散してなる水性分散液の形である緩み止め用のマイクロカプセル型接着剤組成物が記載されている。
この特開平5-140514号に記載される緩み止め剤組成物では、水がマイクロカプセルのための分散媒として働いている。また、バインダーとしてポリアセタール樹脂という汎用性の低い特別の樹脂を使用しており、このコストも割高になっている。
【0008】
一般に、ネジの緩み止め剤の場合は、マイクロカプセルに対してバインダーが強い付着力を発揮することが要求される。マイクロカプセル型接着剤を含む緩み止め剤にバインダーを用いる場合は、バインダー樹脂の水性エマルジョンは、それ自身の付着力が十分であることが要求される。
【0009】
特開平5-140514号に記載される水性分散液の形の緩み止め剤組成物では、バインダーとしての水溶性ポリアセタール樹脂がその水溶液の形で存在するので、該組成物をネジ、ナットのネジ溝面に塗着して得られた塗膜は、水溶性ポリアセタール樹脂の性質に由来して必ずしも十分な付着力を発揮することができない。その上、ネジ、ナットのネジ溝面に塗着された該緩み止め剤の乾燥した被膜が硬くてパサツキの性状を示し、ネジ、ナットの締め込み時には剥離する問題がある。又、十分な付着力のある塗膜を得るには、緩み止め剤組成物中に予じめ高濃度のポリアセタール樹脂を配合しなければならない。
【0010】
さらに、特開平5-140514号に記載される水性分散液の形の緩み止め剤組成物では、配合されるアミン系硬化剤は、非揮発性でしかも水溶性あるいは水分散性でなければならないので、使用できる種類のアミン系硬化剤を選択できる幅が非常に狭い不都合がある。すなわち、ここで用いるアミン系硬化剤は高い水溶性のものに限られている。水溶性が低くて水分散性のあるアミン系硬化剤を用いる場合は、強力な攪拌、加熱等により一時的に、アミン系硬化剤を分散しても、すぐ凝集、ゲル化するので非常に不安定であり、実際上では利用できなかったのが実情であった。更に、ポリアセタール樹脂よりなるバインダーを含む前記の緩み止め剤組成物は、所要成分を配合し調合後にその分散液を保存した時の分散安定性は必ずしも十分でない。また、特開平5-140514号には、ポリアセタール樹脂に代えて、バインダーとしてアクリル系樹脂の水性エマルジョンを用いると、アミン系硬化剤により乳化又は分散安定性が低下させられ、エマルジョンまたは分散液が増粘、ゲル化するので、緩み止め剤として塗布することが困難になることも指摘されてある。
【0011】
特開平5-140514号公報の発明の緩み止め剤で用いられる水溶性ポリアセタール樹脂に代えてバインダーとしてアクリル系樹脂を水性分散液または水性エマルジョンの形で用いる場合には、十分な付着力を得るのにアクリル系樹脂を相当に高濃度で配合する必要がある。高濃度のアクリル系樹脂がバインダーとして配合されないと、塗膜は十分な付着力をもつことができない。高濃度のアクリル系樹脂が存在すると、共存する水溶性アミン系硬化剤のイオン官能基の影響を強く受けるので、マイクロカプセル型エポキシ接着剤を含む水性分散液の形の緩み止め剤組成物の全体が凝集、ゲル化しやすい欠点が出る。
【0012】
従って、マイクロカプセル型エポキシ接着剤を水性分散媒中に分散してなる緩み止め剤の場合には、その水性分散媒中に配合すべきバインダーと硬化剤として、どのような物質を選択するのか、難しい問題がある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、マイクロカプセル型エポキシ接着剤を水性媒質中に分散して含む水性分散液の形の緩み止め剤組成物であっても、該組成物の貯蔵安定性が良く、しかも十分な付着力を示す塗膜を形成できる性能を有し、また均一な膜厚をもち柔軟性、弾性、強靱性、防湿性および密封性が高いネジ緩み止め剤被膜をネジ山部、谷部の面に形成できる性能を有する水性分散液の形の新規なプレコート用緩み止め剤組成物を提供するにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成すべく、種々の研究を行った。その結果、本発明者は、下記に説明される全く新規な緩み止め剤組成物を得るに至った。本発明者らの研究において、エポキシ接着剤が芯剤として封入されたマイクロカプセルを水性分散媒中に分散して含む水性分散液について、その水性分散媒に配合されるべきバインダーおよび硬化剤を種々検討した。その結果、反応性を示す遊離のアミノ基を分子中に含有する水難溶性の液体状または半固体状のポリアミドを、適当な乳化剤または分散剤の助けにより水性分散媒の中に乳化または分散して、分散安定性の良い水性エマルジョンまたは水性分散液の形で用いる場合に、該ポリアミドは、緩み止め剤の水性組成物を塗着した時の塗膜に十分な付着力を与え得るバインダーとして機能することができるばかりでなく、またエポキシ接着剤樹脂のための硬化剤としても機能することが今回知見された。この知見にもとづいて、本発明は完成された。
【0015】
従って、第1の本発明においては、本組成物は、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリウレア系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、あるいはこれらの2つまたはそれ以上の共重合樹脂よりなる壁材をもつマイクロカプセル中に、反応性接着剤としてのエポキシ樹脂、あるいは該エポキシ樹脂と反応性希釈剤との混合物が封入されてなるマイクロカプセルを含有し;さらに本組成物は、該エポキシ樹脂(反応性接着剤)のための硬化剤として作用すると共に、本組成物をネジ溝面に塗着する時に該マイクロカプセルを含有する塗膜が強い付着力を発揮できるようにさせるためのバインダー(結合剤)としても作用するところの、 25 ℃で 800 〜 20,000mPa ・ s の粘度をもつ遊離アミノ基含有の液体状または半固体状のポリアミドの 4 〜 30 重量部が、乳化剤または分散剤の 0.1 〜 30 重量部を溶解して含む水性分散媒としての水あるいは水と低級アルカノールとの混合液よりなる水性分散媒の 35 〜 100 重量部の中に乳化または分散されてなるエマルジョンまたは分散液を含有し;しかも該エマルジョンまたは分散液の中に前記のマイクロカプセルの 6 〜 30 重量部が分散されてあることを特徴とする、ネジ式締め固定具に塗着されるところの、マイクロカプセル型接着剤を含む分散安定性の水性分散液の形の緩み止め剤組成物が提供される。
【0016】
第1の本発明の緩み止め剤組成物は非常に良好に分散したマイクロカプセルを含む分散安定性の高い水性分散液の形である。この組成物の塗布方法は例えば、ディッピング法、ロールコーター法、フローコーター法、スプレイ法等の種々の方法である。本発明の緩み止め剤組成物をネジ溝面に塗布し、自然乾燥すると、その塗膜は均質であり且つ均一な膜厚をもつ被膜をネジ溝面に形成できる。
【0017】
第1の本発明において、マイクロカプセルに芯剤として封入されるエポキシ型接着剤樹脂として、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンを反応することによりグリシジルエーテル化して得たビスフェノールA型エポキシ樹脂が使用でき、あるいはビスフェノールFにエピクロルヒドリンを反応することによりグリシジルエーテル化して得たビスフェノールF型エポキシ樹脂も使用できる。また、ノボラック樹脂にエピクロルヒドリンを反応することによりグリシジルエーテル化して得たフェノールノボラック樹脂あるいはオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂も適している。接着剤エポキシ樹脂はいずれも液状のものが好ましい。
【0018】
又、マイクロカプセル中に封入に際してエポキシ接着剤の粘度を下げるため、あるいは液状化を補助するため、反応性希釈剤、例えばモノエポキシド、ジエポキシド、トリエポキシドを0〜40wt%程度の割合で接着剤エポキシ樹脂に混合してもよい。使用できるモノエポキシドの例には、n−ブチルグリシジルエーテル(BGE);フェニルグリシジルエーテル(PGE);3級カルボン酸グリシジルエステル(カージュラE)がある。
【0019】
本発明の緩み止め剤に配合されるマイクロカプセルの作製法としてはin situ重合法、界面重合法、コアセルベーション法、スプレイドライ法などの既知の方法が用いられる。例えばin situ重合法によるマイクロカプセル作製方法では、互いに混り合わない油相、水相の2相のどちらか一方に壁材の重合体形成用のモノマーと触媒を溶解した溶液を用意し、且つ他方にエポキシ樹脂の溶液を用意し、これら2種の溶液を混ぜ合わせ、得られたO/W型またはW/O型エマルジョンを作り、次に分散油相と連続水相との間の界面にて重合反応を起させて、マイクロカプセルの壁膜を形成させる。
【0020】
第1の本発明では、エポキシ樹脂、あるいはエポキシ樹脂と反応性有機希釈剤との混合物を、油相として用い且つ尿素又はメラミンとホルムアルデヒド、あるいはこれらのプレポリマーの水溶液を水相として用い、酸性触媒の存在下で重合することからなるin situ重合法によりマイクロカプセルを作製するのが適する。
【0021】
他方、界面重合法によるマイクロカプセルの作製方法では、混じり合わない二つの溶媒中にモノマーを溶解し得られた2種のモノマー溶液を混ぜ、両液の界面において高分子の壁膜を重合により合成してマイクロカプセルが作製される。本発明では、界面重合法によってもマイクロカプセルを作製できる。
【0022】
第1の本発明では、マイクロカプセルの壁材は、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、ポリウレア系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、あるいはこれらの2つまたはそれ以上の共重合樹脂よりなる壁材であることができる。
第1の本発明では、エポキシ樹脂を封入したマイクロカプセルの粒径は0.5〜250μ、より好ましくは20〜100μであることができる。
【0023】
本発明では、硬化剤且つバインダーとして水難溶性のポリアミドが乳化剤又は分散剤により乳化または分散された水性エマルジョンまたは水性分散液の形で使用される。本発明による水性分散液型の緩み止め剤は、均質で安定な分散系を形成するものであり、その組成物全体が保存中にゲル化することがない。
【0024】
さらに第1の本発明で硬化剤且つバインダーとして配合されたポリアミドは、その高分子である性質から適度の粘弾性を有し、ネジ溝面に塗着された時に強い付着力を発揮する塗膜を形成できる。その上、ナットへの締込み、締付け時には、マイクロカプセルが破壊すると、芯剤のエポキシ樹脂と反応することができ、非常に強い固着力または接着力を発揮する緩み止め層を形成できる。本発明で配合されたポリアミドは界面活性能も有しているため、該ポリアミドを含む水性エマルジョンまたは分散液中でマイクロカプセル、充填剤、着色顔料の濡れを向上させ、非常に優れた分散安定性のある水性分散液を形成することができる。
【0025】
本発明に用いられるポリアミドは、ダイマー酸とポリアミンの縮合反応により生成する粘稠な液体状または半固体状の樹脂であり、その分子中に反応性の遊離のアミノ基を含有するものである。
第1の本発明の緩み止め剤組成物に配合されて、硬化剤且つバインダーとして作用する前記ポリアミドは、25℃で800〜20,000mPa・sの粘度(ブルックフィールド回転粘度計で測定の場合)をもつ遊離アミノ基含有のポリアミドであると特定される。
【0026】
もし、800mPa・sより低い粘度をもつポリアミドを用いると、このポリアミドは分子量が小さく粘弾性が低いのでバインダーとしての機能が十分でなく且つネジ溝面に対する付着力も極めて弱い。もし、これを補うため補助バインダーとしてアクリル系樹脂を水性エマルジョンの形で多量に加えた場合に、低分子ポリアミドは水溶性が高く且つイオン性も高いため水性エマルジョンの分散性を乱し、ゲル化を起す欠点がある。
【0027】
また、20,000mPa・sより高い粘度のポリアミドを用いるならば、このポリアミドは分子量が大きく、粘弾性にも優れてバインダー機能が十分であるけれども、アミノ基含量が低く、配合量の割には十分な固着力を発揮できない。更には水性エマルジョン中に乳化または分散させるために多量の乳化剤を必要とするから、これも固着力の低下につながる欠点がある。
【0028】
第1の本発明で硬化剤且つバインダーとして配合されるポリアミドは、水性分散媒中に乳化剤または分散剤の助けにより均一に乳化または分散される。水性分散媒である水または水と低級アルカノールとの混合液に溶解されて含まれる乳化剤または分散剤は、高分子型の界面活性剤であるのが好ましく、特にポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウムまたはゼラチンが適している。乳化剤または分散剤は水の重量について30%またはこれ以下の濃度で溶解されてあるのが好ましい。
【0029】
水性分散媒中へのポリアミドの分散は、直接(溶融)乳化法あるいは溶液乳化法により行われる。ポリアミドは水とO/W型のエマルジョンまたは分散液を形成する。
【0030】
必要に応じて、本発明の組成物には補助的な硬化剤を追加して配合できる。水溶性硬化剤を補助硬化剤として用いる場合には、水溶性硬化剤の官能基イオンの影響を極力抑えるため、ポリアミドの配合量に対して30重量%以下の添加量で水溶性の補助的硬化剤を追加、使用するのが好ましい。補助的な硬化剤として、非水溶性の高粘度な硬化剤を用いる場合には、これをポリアミド配合量に対して50重量%以下の量で水性分散媒中に乳化または分散するのが好ましい。
【0031】
補助的な硬化剤として使用可能な硬化剤の例には、アミン類、脂肪族ポリアミン、脂肪芳香族アミン、変性アミン(アミンアダクト、ポリアミン−エチレンオキシドアダクト、シアノエチル化ポリアミン)、ポリアミドアダクト、イミダゾール類(例えば2E4MZ、1B2MZ、2PHZ-CN)、あるいはポリメルカプタン(液状ポリメルカプタン、ポリチオール、ポリスルフィド樹脂)がある。
【0032】
また、必要に応じて、本発明の組成物には補助のバインダーを追加、配合できる。本発明で配合される硬化剤且つバインダーとして作用するポリアミドに追加して配合できる補助バインダーとしては、合成樹脂、特にアクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、酢酸ビニル−エチレン系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂を水性分散媒中に乳化または分散により含有させることができる。補助バインダーはポリアミドの配合量と同量、あるいは50%以下とするのが好ましい。
【0033】
また、所望ならば、本発明の緩み止め剤組成物中の水性分散媒が充填剤微粒子、特にシリカ微粒子及び(または)アルミナ微粒子を追加して分散状態で含有することもできる。充填剤としては、シリカ、アルミナの他に、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、カオリン、タルク等も配合できる。
【0034】
さらに所望ならば、本発明の組成物中の水性分散媒が着色剤および(または)可塑剤を追加して含有することもできる。そのような着色剤としては、酸化チタン、カーボン等の無機顔料、モノ及びジスアゾ、銅−フタロシアニン等の有機顔料が適している。
【0035】
第1の本発明の組成物に用いる水性分散媒は、塗布後の乾燥効率を上げるため50容量%またはそれ以下の量のメタノール、エタノール、プロパノール等の低級アルカノールを含んでいてもよい。
【0036】
また、本発明の組成物を製造するには、乳化剤で予じめエマルジョン化されたポリマミドのエマルジョン、補助バインダー樹脂のエマルジョン、補助的硬化剤のエマルジョンを用いるが、これらエマルジョンを水性分散媒中に投入すると大幅に希釈され、エマルジョンが不安定化あるいは破壊される恐れもある。従って、これらエマルジョン中には乳化剤又は分散剤が水の重量について30%またはこれ以下の濃度で溶解させてあるのが好ましい。ここで用いる乳化剤または分散剤としては、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤又は両性界面活性剤、あるいはポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、ゼラチン等の高分子型界面活性剤が好ましい。
【0037】
第1の本発明による水性分散液型の緩み止め剤組成物の分散安定性の更なる向上を計るために、本発明の緩み止め剤組成物の成分割合は、下記の割合にするのが好ましい。
(1) 水性分散媒 35〜100重量部
(2) エポキシ樹脂封入のマイクロカプセル 6〜30重量部
(3) ポリアミド(硬化剤兼バインダー) 4〜30重量部
(4) 硬化剤、バインダー用の乳化剤(または分散剤) 0.1〜30重量部
(5) 補助的な硬化剤 0〜10重量部
(6) 補助バインダー 0〜15重量部
(7) 充填剤 2〜10重量部
(8) 着色剤 1〜5重量部
【0038】
本発明の緩み止め剤組成物から得られた塗膜の付着力、たわみ性を増す目的で可塑剤を配合してもよいが、可塑剤には具体的には二塩基性酸、高級脂肪族酸、芳香族酸、リン酸などのエステルや多価アルコールのグリセリンのエステル等が適している。
【0039】
ネジ、ナット、ボルトのような固定具の材質は、金属あるいはプラスチックであってもよい。金属の場合は、鉄、ステンレス、アルミ、真ちゅう、炭素鋼、その他の合金鋼等がよく、これらに亜鉛、クロム、ニッケル、クロメートなどのめっき加工されているものがより好ましい。外径はM1からM9の小型ネジから、M10〜M42のボルトも、本発明の緩み止め剤組成物の塗布が可能である。上記のネジ、ボルト、ナットに本発明の緩み止め剤組成物を塗布する方法は種々あるが、ディッピング法、フローコーター法、ロールコーター法、スプレー法等がより適している。塗布後、常温又は〜100℃で乾燥することにより、乾燥した緩み止め剤被膜を具えたネジ、ナット等が得られる。
【0040】
第2の本発明においては、第1の本発明による緩み止め剤組成物を、ネジ山部および(または)ネジ谷部の面に塗着、乾燥して形成された緩み止め剤よりなる被膜を有することを特徴とする、ネジ式締め固定具が提供される。
【0041】
また、第3の本発明においては、第1の本発明による緩み止め剤組成物をネジ式締め固定具のネジ山部、ネジ谷部の面に塗着、乾燥して形成されたものであることを特徴とする、緩み止め剤被膜それ自体が提供される。
【0042】
次に本発明を実施例について具体的に説明する。
実施例1
(a) 反応性希釈剤として10%のn−ブチルグリシジルエーテル(BGE)と混合されたビスフェノールA型エポキシ樹脂が芯剤として封入されたマイクロカプセルを、in situ重合法で作製した。このマイクロカプセルの皮膜壁材は、ホルムアルデヒドと反応された尿素−メラミン樹脂からなり、そのマイクロカプセルの粒径は50ミクロンであるものである。
一方、25℃で3500mPa・sの粘度をもつポリアミドを、乳化剤としてポリビニルアルコール(PVA)を5重量%含む水の中に直接法により分散させ、水性エマルジョンを作り、ポリアミドのO/W型エマルジョンを調製した。該エマルジョンの水の中のポリアミド樹脂の濃度を50重量%とした。
【0043】
次いで、上記で作成したマイクロカプセルとポリアミド水性エマルジョンを用い、下記の成分と共に下記の割合で秤量し、さらに攪拌下に混合した。これにより本発明の緩み止め剤組成物の一例を得た。
(1) 5%PVA(乳化剤)含有の水よりなる水性分散媒 64重量部
(2) マイクロカプセル 10重量部
(3) 50%ポリアミド含有の水性エマルジョン 18重量部
(ポリアミド量は9重量部)
(4) 充填剤(シリカ) 5重量部
(5) 着色剤(TiO2) 3重量部
上記で調製された緩み止め剤組成物は非常に良好に分散した安定な分散系であった。
【0044】
(b) 上記で調製した一例の緩み止め剤組成物を、M2×4ネジのネジ溝面にディッピング法で塗着し、自然乾燥させた。均一な膜厚をもつ均質な緩み止め剤被膜を有するネジが得られた。
このネジにスペーサを介してナットを締込んでいき、その時の最大トルクの値を求め、それを締込みトルクとした。締込みトルクの測定値は0.70cN-mとなった。締込み時のカスの発生を観察したところ、全くカスの発生はみられなかった。
【0045】
スペーサにナットがぶつかったところで、締付けを14.7cN-mの力で行った。その後、2日間、常温で放置して緩み止め剤層を硬化させた。
この硬化処理の後に、瞬間戻しトルクを計ったところ、締付けトルクより高い16.5cN-mの戻しトルク値が得られて、緩み止めに良好な値を示した。
【0046】
(c) 別に、上記の緩み止め剤液を常温で1ヶ月放置する保存テストを実施した。1ヶ月保存後も、分散安定性の良い緩み止め剤液を使ってM2×4ネジに塗布した。上記と同様なトルクテストを実施したところ、上記の(b)項のテストと同様にカスの発生もなく、また1ヶ月保存の前と同様の0.75cN-mの締込みトルクと、16.6cN-mの瞬間戻しトルク値を示した。従って、本試験で用いた本発明の緩み止め剤液は、1ヶ月間の保存によってもその性能が劣化してないことが認められた。
【0047】
実施例2
(a) 反応性希釈剤として15重量%の3級カルボン酸グリシジルエステル(カージュラEと混合されたビスフェノールA型エポキシ樹脂が芯剤として封入されたマイクロカプセルをin situ重合法で作製した。マイクロカプセルの皮膜の壁材はホルムアルデヒドと反応された尿素樹脂からなるものとし、またマイクロカプセルの粒径は約80ミクロンとした。一方、25℃で8000mPa・sの粘度のポリアミドを、乳化剤としてPVAを含む水の中に直接法により分散させ、ポリアミドのO/W型エマルジョンを作成した。このエマルジョン中のポリアミド濃度を40重量%とした。補助的な硬化剤として2-エチル-4-メチルイミダゾール(2E4MZ)を、PVAを乳化剤として含む水の中に分散して、2E4MZのO/W型エマルジョンを作成した。このエマルジョン中の2E4MZの濃度は45%とした。
また、補助バインダーとしてアクリル樹脂を、PVAを乳化剤として含む水の中に分散して、アクリル樹脂のO/W型エマルジョン(アクリル樹脂50%含有)を作成した。
【0048】
次いで、上記で作成したマイクロカプセルと2種類のO/W型エマルジョンを用い、下記の成分組成で攪拌下に混合した。これにより本発明の緩み止め剤組成物を作成した。
(1) 10重量%PVA(乳化剤)を含む水よりなる水性分散媒 55重量部
(2) マイクロカプセル 10重量部
(3) ポリアミドのO/W型エマルジョン 18重量部
(ポリアミド量:40%)
(4) 2E4MZ(補助的な硬化剤)のO/W型エマルジョン 6重量部
(5) アクリル樹脂(補助バインダー)のO/W型エマルジョン 3重量部
(6) 充填剤(シリカ) 6重量部
(7) 着色剤(銅−フタロシアニン) 2重量部
このようにして作成された本発明の緩み止め剤液は非常に良好に分散した安定分散系であった。
この緩み止め剤液をM2×4ネジに塗布し、自然乾燥したところ非常に良好な緩み止め剤被膜をもつネジが得られた。
【0049】
(b) 実施例1、(b)と同様にナットに締込んでいった時にネジの締込みトルクは1.20cN-mとなった。締込み時のカス発生、塗膜の剥離は全くみられなかった。14.7cN-mのトルクで締付けた後に2日間硬化処理した。その後の瞬間戻しトルクは、18.5cN-mと非常に高い値を示した。
(c) 本例の緩み止め剤液は1ヶ月放置し保存しても、分散状態が良好である。保存後の緩み止め剤液をM2×4ネジに塗布、乾燥した。再度、トルクテストしたところ、カスの発生が全くなく、締込みトルクは1.40cN-m、瞬間戻しトルクは18.6cN-mであった。保存前の緩み止め剤液とはほとんど同じ性能をもつことが分かった。
【0050】
実施例3
(a) ビスフェノールF型エポキシ樹脂を芯剤として封入したマイクロカプセルを界面重合法で作成したマイクロカプセルの皮膜の壁材はポリウレア樹脂で形成し、その粒径は70ミクロンとした。
一方、25℃で5000mPa・sの粘度のポリアミドを、PVAを含む水の中に分散させて、ポリアミドのO/W型エマルジョンを作成した。エマルジョン中のポリアミドの量は55%とした。
更に、補助的硬化剤として水溶性のトリメチレンジアミンを上記エマルジョンの水相に溶解した。下記の成分組成をもつ本発明の緩み止め剤組成物を作成した。
【0051】
(1) 4%PVA乳化剤を含む水−イソプロピルアルコール
(60:40容量比)混合液よりなる水性分散媒 46.5重量部
(2) マイクロカプセル 20重量部
(3) ポリアミドのO/W型エマルジョン 18重量部
(4) 補助的な硬化剤、トリメチレンジアミン 2.5重量部
(5) 充填剤(シリカ) 8重量部
(5) 着色剤(モノアゾ顔料) 5重量部
このようにして作成された本発明の緩み止め剤液は非常に良好な分散系を示した。この緩み止め剤液をM2×4ネジに塗布し、自然乾燥した。その塗膜は、100%純水よりなる水性分散媒を用いたものに較べ、乾燥時間が約半分程度の短い時間で乾燥した。
【0052】
(b) この被膜をもつネジを、ナットに締込んでいった時にカスの発生は全くみられなかった。締込みトルクは0.90cN-mであった。14.7cN-mのトルクで締付け後に硬化処理した。1日後、2日後の放置したネジの瞬間戻しトルクを計ると、各々16.4、16.5と良好な値を示した。特に、1日後、2日後に計った瞬間戻しトルクがほとんど同じことから、配合した補助的硬化剤が速い硬化特性をもたらすことが判明した。
(c) この緩み止め剤液を1ヶ月放置して保存したところ、液相の下部に沈殿を生じたが、軽く攪拌すると良好に分散して均質な分散液となった。
1ヶ月保存後の緩み止め剤液を用いてネジに塗布した。トルクテストを再びしたところ、カスの発生もなく締込み瞬間戻しトルクは各々1.00cN-m、16.4cN-mであった。初期と同様の値を示し、液の保存安定性も優れていることが判明した。
【0053】
比較例1
乳化剤PVAの使用を省略し、しかもポリアミドエマルジョンを作る代りに、3500mPa・sの粘度のポリアミドのみを、直接に実施例1の緩み止め剤液の水相に投入した。その後に強制攪拌して分散を試みた。しかし、ゴム状の塊りとなり、分散不能であって塗布可能な緩み止め剤液は得られなかった。
【0054】
比較例2
乳化剤PVAの使用を省略し、しかもポリアミドエマルジョンを作る代りに、粘度が330mPa・sの低分子量ポリアミドのみを、直接に実施例1の組成液の水相に投入した。その後に強制攪拌したところ、この低分子量ポリアミドは水溶性のため水によく溶解した。しかし水相の粘度が非常に高くなりペースト状となった。このペーストに溶媒の水を更に40重量部の量で追加添加し、ようやく塗布可能な緩み止め剤液が得られた。尚、比較例2では補助バインダーとしてアクリル樹脂エマルジョンを12重量部添加している。M2×4ネジにこの緩み止め剤液を塗布し自然乾燥させた。緩み止め剤被膜をもつネジについてトルク測定を実施した。しかし、ナットに締込んでいった時カスの発生が多くネジの締込みトルクは0.65cN-mであるが、14.7cN-mでの締付けをした後、2日間硬化処理した。2日後の瞬間戻しトルクは14.0cN-mであって、締付けトルクよりも低い接着力しか示さなかった。
【0055】
比較例3
実施例1で作成したマイクロカプセルを使用し且つ、硬化剤としては水溶性の1,3−ジピペリジルプロパンを用い、以下の成分組成で緩み止め剤液を作成した。
(1) 純水(水性分散媒) 40重量部
(2) マイクロカプセル 20重量部
(3) 1,3−ジピペラジルプロパン(硬化剤) 16重量部
(4) 50%アクリル樹脂(補助バインダー)のO/W型エマルジョン 12重量部
(5) 充填剤(シリカ) 8重量部
(6) 着色剤(ジスアゾ顔料) 4重量部
この緩み止め剤液をM2×4ネジに塗布し、自然乾燥させた。緩み止め剤被膜をもつネジでトルクテストを実施した。しかし、ナットを締込んでいった時、付着力が弱い上に、ポロポロとカスが多量に発生し、大部分の被膜が剥離した。締込みトルクは0.45cN-mとした時に、瞬間戻しトルクは13.0cN-mであって、締付けトルク値の14.7cN-mより低く、緩み止め効果が全くないことが分かった。
【0056】
又、この緩み止め剤の1ヶ月放置テストを行ったところ、調合の翌日で既に極端に増粘化し、分散状態が乱れケル化し、塗布不能の状態となった。
【0057】
比較例4
バインダーとして水溶性のポリアセタール樹脂を用い、以下の成分組成で緩み止め剤液を作成した。
(1) 水性分散媒(純水) 38重量部
(2) マイクロカプセル 25重量部
(3) 1,3−ジピペラジルプロパン(硬化剤) 17重量部
(4) ポリアセタール樹脂(バインダー) 7重量部
(5) 充填剤(シリカ) 8重量部
(6) 着色剤(カーボン) 5重量部
得られた液剤の分散状態は普通で、この緩み止め剤液をM2×4ネジに塗布し、トルクテストを実施した。締込みが比較的固くて、締込みトルク値は3.0cN-mを示した。又、締込み時に若干カスの発生がみられ、接着力が不十分であった。瞬間戻しトルクは15.0cN-mの値を示した。
この緩み止め剤液を1ヶ月放置し保存テストしたところ、液に沈殿が生じ、強く攪拌混合してようやく分散した。
保存後の液をネジに塗布しトルクテストしたところ、締込みトルクが5.5cN-mとかなり固くなっており、又締込み時にカスの発生もみられた。瞬間戻しトルクは14.0cN-mであって、締付けトルク値の14.7cN-mより低くなっており、緩み止め性能の劣化がみられた。
【0058】
【発明の効果】
(1) 本発明の緩み止め剤組成物は、バインダー兼硬化剤としてポリアミドを水性エマルジョンの形で含み、ポリアミドが他の成分とのなじみがよく分散性の優れた安定な水性分散液となっている。従って、本剤は塗布特性が優れて且つ保存安定性も高いものとなっている。
(2) 本発明の緩み止め剤組成物をプレコートされたネジ、ナットは締込み時もソフトに締込みが可能である。プレコートされた塗膜の付着力が強くカス、剥離の発生等も全く見られない。更に締付けて硬化処理した後の接着力は非常に強く、優れた瞬間戻しトルク値を示す。
(3) 本発明においては、バインダー兼硬化剤として配合されたポリアミド以外に補助的なバインダーと補助的な硬化剤も少量を追加することが可能なので、高耐熱性、高固着力、速硬化性等の諸種の性能も発揮させることが可能である。
(4) 本発明の緩み止め剤組成物は水性分散媒を使っているので、人間及び環境に優しく、作業者の健康防衛、環境汚泥防止に有用である。
(5) 本発明では、必要ならば0〜50%のアルコール系溶媒と水との混合液を水性分散媒として用い、乾燥効率の大幅な向上をはかることが可能である。
Claims (10)
- 本組成物は、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリウレア系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、あるいはこれらの2つまたはそれ以上の共重合樹脂よりなる壁材をもつマイクロカプセル中に、反応性接着剤としてのエポキシ樹脂、あるいは該エポキシ樹脂と反応性希釈剤との混合物が封入されてなるマイクロカプセルを含有し;さらに本組成物は、該エポキシ樹脂(反応性接着剤)のための硬化剤として作用すると共に、本組成物をネジ溝面に塗着する時に該マイクロカプセルを含有する塗膜が強い付着力を発揮できるようにさせるためのバインダー(結合剤)としても作用するところの、 25 ℃で 800 〜 20,000mPa ・ s の粘度をもつ遊離アミノ基含有の液体状または半固体状のポリアミドの 4 〜 30 重量部が、乳化剤または分散剤の 0.1 〜 30 重量部を溶解して含む水性分散媒としての水あるいは水と低級アルカノールとの混合液よりなる水性分散媒の 35 〜 100 重量部の中に乳化または分散されてなるエマルジョンまたは分散液を含有し;しかも該エマルジョンまたは分散液の中に前記のマイクロカプセルの 6 〜 30 重量部が分散されてあることを特徴とする、ネジ式締め固定具に塗着されるところの、マイクロカプセル型接着剤を含む分散安定性の水性分散液の形の緩み止め剤組成物。
- 硬化剤且つバインダーとして作用する前記ポリアミドが、高分子型界面活性剤により水の中に予じめ乳化された水性エマルジョンの形で本組成物に含有されてある、請求項1に記載の組成物。
- エポキシ樹脂と混合される反応性希釈剤は、モノエポキシド、ジエポキシドまたはトリエポキシドであり、好ましくはn−ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテルまたは3級カルボン酸グリシジルエステルである、請求項1に記載の組成物。
- 水性分散媒であるところの、水または水と低級アルカノールとの混合液に溶解されて含まれる乳化剤または分散剤は、高分子型の界面活性剤としてのポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウムまたはゼラチンである、請求項1に記載の組成物。
- 水性分散媒である水と低級アルカノールとの混合液は、50容量%またはそれ以下の量の低級アルカノールを含むものである、請求項1に記載の組成物。
- 硬化剤且つバインダーとして作用するポリアミドに追加して、補助バインダーとしてアクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、酢酸ビニル−エチレン系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂が水性分散媒中に乳化または分散して含有されてある、請求項1に記載の組成物。
- 本組成物中の水性分散媒が充填剤微粒子としてシリカ微粒子及び(または)アルミナ微粒子を追加して分散状態で含有するものである、請求項1に記載の組成物。
- 本組成物中の水性分散媒が着色剤、可塑剤および(または)補助的硬化剤を追加して含有するものである、請求項1に記載の組成物。
- 請求項1に記載の緩み止め剤組成物を、ネジ山部および(または)ネジ谷部の面に塗着、乾燥して形成された緩み止め剤よりなる被膜を有することを特徴とする、ネジ式締め固定具。
- 請求項1に記載の緩み止め剤組成物をネジ式締め固定具のネジ山部および(または)ネジ谷部の面に塗着、乾燥して形成されたものであることを特徴とする、緩み止め剤被膜。
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