JP4181385B2 - 水銀放出構体の製造方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水銀放出構体の製造方法に関し、詳しくは液晶ディスプレイ装置のバックライト光源に好適に用いられる冷陰極蛍光ランプ用の水銀放出構体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、液晶ディスプレイ装置のバックライト光源として、冷陰極型蛍光ランプが用いられている。
【0003】
図5に、従来技術の冷陰極蛍光ランプ4の構成を示す。硬質ガラス管5からなる発光管を本体とし、発光管の両端には一対の電極6及び7が配置されている。電極6は、焼結金属部材2と、焼結金属部材2の中に挿入されたタングステン電極棒8からなり、電極7は、水銀を含浸させていない焼結金属部材9とタングステン金属棒10からなる。硬質ガラス管5は、その両端においてタングステン電極棒8、10により気密封止されている。硬質ガラス管5の内壁には蛍光体11が塗布されている。硬質ガラス管5の内部には紫外放射物質として水銀12が封入され、緩衝ガスとしてネオン・アルゴン混合ガス13が封入されている。
【0004】
近年、冷陰極型蛍光ランプは、液晶ディスプレイ装置の高輝度化及び薄形化に対応して、高出力化と細管化が図られている。特に最近では液晶ディスプレイ装置のメンテフリーに対応して、例えば50、000時間という長寿命化が進められている。
【0005】
ガラス管内に封入された水銀は、蛍光ランプの使用時間に応じて消失し、一定量以下となると蛍光ランプが寿命を迎えるため、蛍光ランプの長寿命化と製造コストの低減を両立するべく、例えば、特許文献1〜3に開示のように、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)等の金属粉末を材料とする焼結金属部材に水銀を含浸させて得られる水銀放出構体を用いて、必要十分な量の水銀を封入する技術が開発され、実用化されている。
【0006】
従来から、水銀をガラス管内部に封入するにあたり、表面にチタンアマルガム(Ti−Hg)を塗布したリボン状の水銀放出構体をガラス管の内部に設置し、さらに高周波加熱してチタンアマルガムからHgを放出させる方法が広く用いられている。
【0007】
上記した水銀放出構体による水銀の封入方法は、従来のリボン状のものとほぼ同様である。即ち、水銀放出構体を発光管内に設置し、高周波加熱により水銀放出構体に含浸された水銀を放出させるものである。このような水銀放出構体は、通常、水銀放出後も電極として活用されている。
【0008】
水銀放出構体は、従来、いわゆる粉末冶金法により、(イ)Ti、Ta、Ni、Fe等の金属粉末を混合し、(ロ)これを成形機に投入して加圧成形して金属圧粉体とし、(ハ)真空中又はアルゴン等の不活性雰囲気中において金属圧粉体を焼結して焼結金属部材とし、(ニ)密閉した真空容器内に焼結金属部材と水銀を設置し、加熱処理をすることにより焼結金属部材へ水銀を含浸することにより製造されている。
【0009】
焼結金属部材に必要十分な量の水銀が含浸されるように、焼結金属部材の内部には多数の空孔が形成されており、焼結金属部材の空孔率(焼結金属部材の全体積に対する空孔の体積の比率をいう。以下、同じ。)は0.30〜0.40の範囲に設定されている。焼結金属部材の空孔率をこの範囲とするために、金属圧粉体の実測密度M(g/cm3)が調整されている。具体的には、実測密度Mが理論密度Mo(金属圧粉体の内部に空孔がなく、完全に金属で満たされた状態の密度をいう。以下、同じ。)より低い値となるように、即ち、実測密度Mの理論密度Moに対する比をβ(=M/Mo)として、β<1.0となるように、加圧成形時の圧力が設定されている。また、βは、金属圧粉体が焼結により縮退する量を見込み、焼結金属部材の空孔率をα1として、α1<βとなるように設定されている。
【0010】
従来から、これらα1及びβの値の適正化のため、混合後の金属粉末の平均粒径(一次粒子の平均粒径とする。以下、同じ。)と、焼結時の処理温度Tsが調整されている。
【0011】
【特許文献1】
特許第3270662号公報(第17頁、第1図)
【0012】
【特許文献2】
特開平9―283076号公報(第3頁、第1図)
【0013】
【特許文献3】
特開平10―340703号公報(第6頁、第1図)
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記した従来技術による水銀放出構体の製造方法においては、下記する2つの問題により、蛍光ランプの寿命が低下していた。
【0015】
第1の問題は、水銀放出構体を冷陰極蛍光ランプの製造に用いると、水銀放出構体の製造ロットによって発光管内の封入水銀量が減少する場合があり、これにより、冷陰極蛍光ランプの定格寿命時間を保証できないことである。
【0016】
第2の問題は、水銀放出構体の製造ロットによって、焼結金属部材の機械的強度が低下する場合があり、これにより、蛍光ランプの寿命が低下していたことである。
【0017】
本発明は、上記した従来技術における問題を解決し、蛍光ランプの発光管内に規定量の水銀を安定して封入でき、蛍光ランプの定格寿命時間を保証できる水銀放出構体の製造方法を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の水銀放出構体の製造方法においては、チタン粉末を含む金属粉末を混合し、前記金属粉末を加圧成形して金属圧粉体とする工程と、金属圧粉体を焼結して、チタン又はチタン−鉄合金を含む焼結金属部材とする工程と、焼結金属部材に水銀を含浸させる工程とを備える。金属粉末において、粒径10μm以下の微粉末と粒径80μm以上の粗粉末の比率をそれぞれ15重量%以下と10重量%以下に設定する。
【0019】
この構成により、含浸水銀量が規定範囲となり、機械的強度の大きな焼結金属部材が安定して得られる。この焼結金属部材から得られる水銀放出構体を冷陰極蛍光ランプに用いることで、蛍光ランプ内に規定量の水銀を安定して封入することができ、その結果、定格寿命時間を保証できる冷陰極蛍光ランプが得られる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明によれば、蛍光ランプの発光管内に規定量の水銀を安定して封入でき、蛍光ランプの定格寿命時間を保証できる水銀放出構体が得られる。
【0021】
ここで、加圧成形後の金属圧粉体の実測密度M(g/cm3)が、(α+0.03)×Mo≦M≦(α+0.15)×Mo(Mo:金属圧粉体の理論密度〔g/cm3〕、α:焼結金属部材の空孔率の目標値)の範囲となるように加圧成形することが好ましい。
【0022】
この構成により、空孔率がほぼ目標値のαとなる焼結金属部材が安定して得られる。
【0023】
また、ここで、焼結時の処理温度Tsを800〜1100℃の範囲とすることが好ましい。
【0024】
この構成により、焼結金属部材の機械的強度がさらに増大し、蛍光ランプの製造工程における欠落をより確実に防止できる。
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0026】
図1に、水銀放出構体1を、図2に、これを装備した冷陰極蛍光ランプ4をそれぞれ示す。
【0027】
図1に示すように、水銀放出構体1は、内部に水銀(図示せず)を含浸した円筒形状の焼結金属部材2からなる。3は、焼結金属部材2の中心部における細孔であり、ここに電極棒を挿入し、加締めることで水銀放出構体1が冷陰極蛍光ランプ4本体に固定される。
【0028】
図2に示すように、冷陰極蛍光ランプ4は、硬質ガラス管5からなる発光管を本体とし、冷陰極蛍光ランプ4の両端には一対の電極6及び7が配置されている。電極6は、焼結金属部材2と、焼結金属部材2の中に挿入されたタングステン電極棒8からなり、電極7は、水銀を含浸させていない焼結金属部材9とタングステン金属棒10からなる。硬質ガラス管5は、その両端においてタングステン電極棒8、10により気密封止されている。硬質ガラス管5の内壁には蛍光体11が塗布されている。硬質ガラス管5の内部には紫外放射物質として水銀12が封入され、緩衝ガスとして混合比95%(Ne):5%(Ar)のネオン・アルゴン混合ガス13が封入されている。
【0029】
水銀12は、焼結金属部材2を硬質ガラス管5内に設置し、さらに硬質ガラス管5を封止した後、約700℃で高周波加熱することにより焼結金属部材2に含浸された水銀の約80%が放出されたものであり、残りの約20%の殆どは、焼結金属部材2中に残留している。
【0030】
15インチ液晶テレビ用の冷陰極蛍光ランプ4の場合、硬質ガラス管5は、例えば、全長約300mm、外径約2.6mm、内径約2mmである。また、ネオン・アルゴン混合ガス13の封入圧力は約10kPaである。また、焼結金属部材2の水銀含浸量の規定範囲は2、000±100μgであり、焼結金属部材2の空孔率は、この規定範囲に対応して0.40±0.05の範囲内である。また、ランプの定格寿命50、000時間を保証する、発光管内の封入水銀量の規定値は1、500μgである。
【0031】
また、この場合、焼結金属部材2は、円筒の外周径約1.1mm、円筒の長さ約2.0mm、細孔3の径約0.5mmである。また、焼結金属部材2は、チタン又はチタン−鉄合金を主成分とし、その組成は(a)Ti90%−Ta10%、又は(b)Ti40%−Fe50%―Ta10%のいずれかである。組成(a)において、Tiは含浸される水銀とアマルガム合金を形成する主成分金属であり、Taは発光管内でいわゆるゲッターとして機能する添加金属である。また、組成(b)において、Feは、含浸された水銀の放出にあたり高周波加熱による加熱効率を高める磁性金属であり、また、このような磁性金属が電極6中に含まれていることにより、蛍光ランプの製造工程において電極6の封止位置を外部磁石を用いて調整することができる。
【0032】
従来、焼結金属部材2は、粉末冶金法により、(イ)Ti、Ta、Ni、Fe等の金属粉末を混合し、(ロ)これを成形機に投入して加圧成形して金属圧粉体とし、(ハ)真空中又はアルゴン等の不活性雰囲気中において金属圧粉体を焼結して焼結金属部材とし、(ニ)密閉した真空容器内に焼結金属部材と水銀を設置し、加熱処理をすることにより焼結金属部材へ水銀を含浸することにより製造されている。
【0033】
本実施の形態では、この従来の製造方法に従って、さらに工程条件を調整し、Ti、Fe、及びTa粉末を用い、15インチ液晶テレビ用の焼結金属部材(空孔率:0.40)を製造する。
【0034】
まず、(イ)の工程において、TiとFeの混合粉末の平均粒径を、20〜30μmの範囲に設定する。なお、Ta粉末の平均粒径の設定は行わない。これは、Taは主成分であるTiやFeに比べて配合量が少なく、また溶融温度も高いため、焼結金属部材の焼結状態に及ぼす影響が極めて小さいためである。
【0035】
次に、(ロ)の工程において、金属圧粉体の実測密度Mの、理論密度Moに対する比β(=M/Mo)が目標とする焼結金属部材の空孔率0.40より高い0.50となるように、加圧成形時の圧力を1.0ton/cm2に設定する。
【0036】
さらに、(ハ)の工程において、焼結時の処理温度Tsを1200℃に設定し、20分間、焼結する。
【0037】
上記した工程条件で、同一仕様の焼結金属部材を複数個製造し、さらに、この焼結金属部材を用いて、複数の製造ロットの水銀放出構体を製造した所、下記する2つの問題が発生した。
【0038】
第1の問題は、水銀放出構体の製造ロットによって焼結金属部材の水銀含浸量が減少する場合があったことである。例えば、ある製造ロットでは、焼結金属部材の空孔率は全て約0.40であったが、焼結金属部材の水銀含浸量は、15インチ液晶テレビ用の場合の規定範囲2、000±100μgに対して、1、400〜1、900μgとかなり少めとなった。このような水銀放出構体を用いると、冷陰極蛍光ランプの発光管内の封入水銀量が減少し、規定値1、500μgを下回り、冷陰極蛍光ランプの定格寿命時間を保証できないことがあった。
【0039】
第2の問題は、水銀放出構体の製造ロットによって、焼結金属部材の機械的強度が低下する場合があったことである。このような焼結金属部材を用いると、蛍光ランプの製造工程において、焼結金属部材の一部が欠落し、焼結金属部材の水銀含浸量が実質的に減少していた。また、焼結金属部材の一部が欠落すると、焼結金属部材は電極としても活用されるため、蛍光ランプの寿命が低下していた。
【0040】
そこで、第1の問題について検討した結果、水銀含浸量には、焼結金属部材における空孔の形状が大きく関与していることを見出した。即ち、空孔には焼結金属部材の表面まで通じた開空孔と、焼結金属部材の内部で閉塞した閉空孔の2種類があり、実際に水銀の含浸に寄与するのは開空孔であって、閉空孔は寄与しないことが判った。
【0041】
図3(i)に、水銀含浸量が規定範囲内に収まった焼結金属部材の断面を、図3(ii)に、水銀含浸量が規定範囲より少ない焼結金属部材の断面をそれぞれ示す。このように、図3(i)における焼結金属部材では空孔14中、開空孔14aの比率が多く、閉空孔14bの比率が少ない。一方、図3(ii)における焼結金属部材では、その逆である。
【0042】
したがって、必要十分な量の水銀が含浸された水銀放出構体を得るには、図3(i)の焼結金属部材のように、開空孔14aが閉空孔14bと比べて多く形成されるようにすれば良いことになる。そのために、本発明者は、上記した(イ)の工程において、TiとFeの混合粉末の平均粒径よりもむしろ、その粒径分布が重要であることを見い出した。即ち、Ti及びFe粉末において、粒径10μm以下の微粉末の比率を15重量%以下に設定することで、図3(i)のように、開空孔14aが閉空孔14bと比べて多く形成され、水銀含浸量が規定範囲内となる焼結金属部材が得られた。一方、微粉末の比率が15重量%より多いと、図3(ii)のように、閉空孔14bが開空孔14aと比べて多く形成され、水銀含浸量が規定範囲を下回った。
【0043】
また、本発明者は、Ti及びFe粉末において、粒径が80μm以上の粗粉末の比率を10重量%以下に設定することで、焼結金属部材の機械的強度が増大して、その欠落が防止でき、第2の問題が解消することを見出した。一方、粗粉末の比率が10重量%より多いと、金属圧粉体の焼結が進行せず、焼結金属部材の機械的強度が低下した。
【0044】
以上より、含浸水銀量が規定範囲内となり、かつ機械的強度の大きな焼結金属部材を安定して得るためには、Ti及びFe粉末の粒径分布において、粒径10μm以下の微粉末の比率を15重量%以下、粒径が80μm以上の粗粉末の比率を10重量%以下にそれぞれ設定することが必要であることが判った。
【0045】
次に、本発明者は、金属圧粉体の実測密度Mの、その理論密度Moに対する比β(=M/Mo)が第1の問題及び第2の問題に与える影響について検討した結果、上記した(ロ)の工程において、焼結金属部材の空孔率の目標値をαとしたとき、βが(α+0.03)≦β≦(α+0.15)の範囲になるように、即ち、金属圧粉体の実測密度M(g/cm3)が、(α+0.03)×Mo≦M≦(α+0.15)×Moの範囲となるように加圧成形時に圧力を付与すると、空孔率がほぼ目標値のαとなる焼結金属部材が安定して得られ、含浸水銀量が規定範囲内に収まる焼結金属部材がより確実に得られることを見出した。
【0046】
なお、空孔率がほぼ目標値のαとなる焼結金属部材をさらに安定して得るために、金属粉末を加圧成形して金属圧粉体とする際に、例えば、次のような、フローティングダイ方式を採用した成形機を用いることが好ましい。
【0047】
図4に成形機15の断面を示す。ダイ16、ダイ16と嵌合する上下一対のパンチ17と18、及びパンチ17と18の中心に挿入されるコアロッド19を含む。また、22a、22bはそれぞれダイ16を固定する台座、パンチ18とコアロッド19を支持する台座であり、支持棒23とバネ23aによって互いに平行になるように固定されている。
【0048】
成形機15を用い、パンチ17を外した状態で、金属粉末20を規定量(g)、ダイ16とパンチ18により形成される円筒部21に収納する。パンチ17を嵌合させて、所定の圧力を付与して圧縮した後の金属粉末の体積が、規定量〔g〕/実測密度Mの目標値〔g/cm3〕になるように設定されているため、目標とする実測密度Mを有する金属圧粉体が得られる。
【0049】
さらに、本発明者は、焼結時の処理温度Tsが第1の問題及び第2の問題に与える影響について検討した結果、前述した工程条件において、焼結時の処理温度Tsが1200℃では、開空孔14aが閉空孔14bに転移するため、高めであることが判った。一方、処理温度Tsが低めでも、焼結が進行せず、焼結金属部材の機械的強度が低下することが判った。
【0050】
これについて検討をした結果、上記した(ロ)の工程において、焼結時の処理温度Tsを800〜1100℃の範囲に設定すると、機械的強度の大きな焼結金属部材がより確実に得られることを見出した。なお、このとき、焼結時間は10〜60分の範囲に設定することが好ましい。
【0051】
【実施例】
下記する条件によって、実際に(a)Ti90%−Ta10%、及び(b)Ti40%−Fe50%―Ta10%の組成の合金からなる15インチ液晶テレビ用の水銀放出構体を製造し、焼結金属部材の空孔の形成状態、水銀含浸量、及び機械的強度、並びに、水銀放出構体の水銀放出量を調べた。
【0052】
(イ)Ti粉末又はTiとFeの混合粉末と、Ta粉末を用意し、Ti粉末又はTiとFeの混合粉末において、乾式気流分級機を用いて粒径10μm以下の微粉末をカットし、また、200メッシュの篩を用いて粒径80μm以上の粗粉末をカットすることにより、微粉末の比率が15重量%以下、粗粉末の比率が10重量%以下になるように設定した。ここで、Ti粉末又はTiとFeの混合粉末は、平均粒径が約26μmのものを用い、Ta粉末は平均粒径が約6μmのものを用いた。次に、Ti粉末又はTiとFeの混合粉末と、Ta粉末を混合した。
【0053】
(ロ)組成(a)、(b)において、それぞれ2種ずつ金属粉末を混合してサンプル1〜4を調整し、図4に示した成形機15を用いて加圧成形して金属圧粉体とした。ここでは、焼結金属部材の空孔率の目標値を0.40としたため、まず、βを0.50に設定した。また、組成(a)、(b)において、金属圧粉体の理論密度Moは、それぞれ4.85g/cm3、6.3g/cm3であるため、金属圧粉体の実測密度Mが、組成(a)では2.43g/cm3(=4.85g/cm3×0.50)、組成(b)では3.15g/cm3(=6.3g/cm3×0.50)となるように混合粉末を加圧成形して金属圧粉体を得た。
【0054】
(ハ)1.3×10-3Pa以下の真空中、処理温度Tsを1000℃に設定し、30分間、金属圧粉体を焼結して焼結金属部材を得た。
【0055】
その結果、いずれのサンプルから得られた焼結金属部材においても、内部には開空孔14aを含む空孔14が形成されていた。また、焼結金属部材の空孔率は、0.37〜0.40の範囲であり、規定範囲0.40±0.05内であった。また、焼結金属部材の水銀含浸量は、1、950〜2、060μgの範囲であり、規定範囲2、000±100μg内であった。
【0056】
得られた円筒形状の焼結金属部材について、その横方向(側面方向)からプッシュプルゲージを用いて荷重を加え、焼結金属部材が割れにより破壊した時の強度の最大値として得られる機械的強度(圧環強度)が十分に高いこと、及び、冷陰極蛍光ランプの製造工程において、焼結金属部材に欠落が発生しないことを確認した。
【0057】
(ニ)次に、上記組成の焼結金属部材をそれぞれ水銀を密閉した真空容器内に設置し、処理温度を500〜600℃の範囲に設定し、12〜15時間、加熱処理をして水銀放出構体を製造した。
【0058】
得られた水銀放出構体を冷陰極蛍光ランプの発光管内に設置し、高周波加熱により焼結金属部材に含浸された水銀を放出させた所、水銀放出構体の水銀放出量は、いずれも規定値1、500μgより多い1、580〜1、690μgの範囲であった。
【0059】
以上のデータを表1に一覧して示す。
【0060】
【表1】
Figure 0004181385
【0061】
【発明の効果】
本発明によれば、含浸水銀量が規定範囲となり、機械的強度の大きな焼結金属部材が安定して得られる。この焼結金属部材から得られる水銀放出構体を冷陰極蛍光ランプに用いることで、蛍光ランプ内に規定量の水銀を安定して封入することができ、その結果、定格寿命時間を保証できる冷陰極蛍光ランプが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の焼結金属部材からなる水銀放出構体の外観図
【図2】 水銀放出構体を用いた冷陰極型蛍光ランプの断面図
【図3】 焼結金属部材の断面写真[(i):本発明、(ii):従来技術]
【図4】 加圧成形用の成形機の断面図
【図5】 従来例の焼結金属部材からなる水銀放出構体の外観図
【符号の説明】
1 水銀放出構体
2、9 焼結金属部材
4 ランプ
5 発光ガラス管
6、7 電極
8、10 タングステン電極棒
12 封入水銀
14 空孔
14a 開空孔
14b 閉空孔
15 成形機
16 ダイ
17、18 パンチ
19 ロッド
20 金属粉末
21 円筒部
22a、22b 台座
23 支持棒
23a バネ

Claims (6)

  1. チタン粉末を含む金属粉末を混合し、前記金属粉末を加圧成形して金属圧粉体とする工程と、
    前記金属圧粉体を焼結して、チタン又はチタン−鉄合金を含む焼結金属部材とする工程と、
    前記焼結金属部材に水銀を含浸させる工程とを備えた水銀放出構体の製造方法であって、
    前記金属粉末において、粒径10μm以下の微粉末と粒径80μm以上の粗粉末の比率をそれぞれ15重量%以下と10重量%以下に設定することを特徴とする水銀放出構体の製造方法。
  2. 前記金属粉末が、鉄粉末を含む請求項1に記載の水銀放出構体の製造方法。
  3. 前記焼結時の処理温度Tsを800〜1100℃の範囲とする請求項1または2に記載の水銀放出構体の製造方法。
  4. チタン粉末を含む金属粉末を含む焼結金属部材と、水銀とを有する水銀放出構体であって、
    前記金属粉末は、粒径10μm以下の微粉末と粒径80μm以上の粗粉末の比率をそれぞれ15重量%以下と10重量%以下の範囲で含むことを特徴とする水銀放出構体。
  5. 前記金属粉末が鉄粉末を含むことを特徴とする請求項4に記載の水銀放出構体。
  6. 前記水銀放出構体の形状が円筒形状であることを特徴とする請求項4または5に記載の水銀放出構体。
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