JP5171503B2 - 冷陰極蛍光ランプ用電極材料 - Google Patents

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本発明は、照明用光源や、パソコンのモニタ、液晶テレビ、カーナビゲイションシステム用の液晶ディスプレイ等のバックライト等に用いられる冷陰極蛍光ランプに好適な冷陰極蛍光ランプ用電極材料に関する。
冷陰極蛍光ランプは、図1に示すように、ガラス管1内に、端子2で外部に接続された電極3が両端に配置された構造をしており、このガラス管1の内面に蛍光体4を塗布するとともに、希ガスと微量の水銀からなる封入ガス5を封入して構成されている。この両端の電極3に高電界を加えて低圧の水銀蒸気中でグロー放電を発生させ、この放電により励起された水銀が紫外線を発生するとともに、この紫外線によりガラス管1内面の蛍光体4を励起して発光させるものである。ここで用いられる電極は、近年ではホローカソード効果が得られる有底円筒状に形成したものが用いられている。この場合、端子2は有底円筒状電極3の底部にろう付け等で接着される。
このような仕組みの冷陰極ランプは、近年、液晶ディスプレイのバックライト用光源として用いられている。また、最近では、液晶テレビやカーナビゲイションシステムの液晶ディスプレイ等にも適用され、ますますその需要が拡大している。さらに、1製品に使用される冷陰極蛍光ランプの本数も15インチ以下の液晶ディスプレイ等では概ね1本であるが、大型モニタやテレビ用では必要な輝度が得られないことから複数本の冷陰極蛍光ランプが使用されている。このような冷陰極蛍光ランプは、特に、大画面・高解像度が求められる液晶テレビや、高信頼性が要求される医療用・産業用液晶ディスプレイ等においては、高輝度化が重要となっている。また、光学シートの削減やバックライトユニットの使用部品点数の削減の観点からも、高輝度化が強く求められている。さらに、液晶ディスプレイにおいては低消費電力化が求められるため、冷陰極蛍光ランプの発光効率の向上が求められている。
冷陰極蛍光ランプの高輝度化のためには、電極の電子放出量を増加させるために(1)放電電流を大きくすることや、(2)管内ガス圧を低くする必要がある。放電電流が6mA程度の比較的低い場合は、冷陰極蛍光ランプ用の電極材料として加工が容易で安価なNiが従来用いられてきた。Ni電極は、放電電流を10mA程度まで上昇させると管内の気体イオンにより容易にスパッタされるため電極の損耗が大きい。このため、放電電流を大きくすると、電極や冷陰極蛍光ランプに穴が空いて冷陰極蛍光ランプの寿命が短くなるという問題が生じる。このような状況の下、耐スパッタ性の高いW基地中に耐スパッタ性が高く仕事関数の低いWCを分散させた冷陰極蛍光ランプ用電極が特許文献1において開示されている。特許文献1に記載の冷陰極蛍光ランプ用電極によると、10mA程度の放電電流の下でも電極の損耗が抑制され、高輝度化に対応した冷陰極蛍光ランプが得られる。
特開2008−108580号公報
しかしながら、近年では、機器のコスト低減が求められており、放電電流を20mA程度まで増加させることにより冷陰極蛍光ランプをよりいっそう高輝度化させて、機器に使用するランプの本数を低減する試みがなされている。このような高い放電電流の下では、特許文献1等に記載の冷陰極蛍光ランプ用電極を用いた冷陰極蛍光ランプにおいては、電極の損耗量は抑制されているもののスパッタが僅かに起こり、これに伴い管内のアルゴンガスが消費されて不点灯に至る。これは、W等の耐スパッタ性の高い元素を用いた場合に起きる特有の現象であり、1〜数原子単位でスパッタされた原子が管内のアルゴンガスを巻き込みながら堆積することにより生じる。なお、Niを電極に用いた場合は、10〜100原子程度の塊でスパッタされ、W等のスパッタ原子に比べて比表面積が小さくなるため管内のアルゴンガスを枯渇し難い。
そこで、本発明は、放電電流を20mA程度まで増加させても管内のアルゴンガスの枯渇が生じ難い冷陰極蛍光ランプ用電極材料を提供することを目的とする。さらに、液晶ディスプレイ等の低消費電力化に対応するため、電子放出性の高い冷陰極蛍光ランプ用電極材料を提供することを目的とする。
本発明の冷陰極蛍光ランプ用電極材料は、硼化物が50体積%以上、Ni、Ni合金、Coのうちの少なくとも1種が0.8体積%以上であり、残部がWとWCのうちの少なくとも1種と不可避不純物からなる組成であるとともに、前記硼化物が、LaB:1〜75体積%で、残部がWBからなる組成であることを特徴とし、好ましくはWおよび/またはWCは5体積%以下であることを特徴としている。また、最良の態様として、WおよびWCを含有せず、硼化物が50〜99.2体積%であり、残部がNi、Ni合金、Coのうちの少なくとも1種と不可避不純物からなる組成であるとともに、前記硼化物が、LaB:1〜75体積%で、残部がWBからなる組成であることを特徴としている。これらの本発明の冷陰極蛍光ランプ用電極材料においては、焼結により密度比が80%以上となることが好ましい。
本発明の冷陰極蛍光ランプ用電極材料では、共有結合を有する結合エネルギーの高いWB、LaBを用いている。このため、本発明の電極材料からなる電極は、共有結合を有していないW等を用いた従来の電極よりも耐スパッタ性が高くなり損耗し難くなるため、電極のスパッタ量が低減されてスパッタに伴って起きる管内のガスの枯渇が抑制される。さらに、LaBは物質表面から電子を取り出すのに必要なエネルギーを示す仕事関数が低いため、本発明の電極材料からなる電極は仕事関数が低くなり、電子放出性が向上する。したがって、本発明の冷陰極蛍光ランプ用電極材料によれば、放電電流を20mA程度まで増加させても損耗が少なく管内のガスを枯渇し難い電極が得られ、電極の製品寿命を向上することができる。また、本発明の電極材料を用いた電極は、仕事関数が低く電子放出性に優れるため、冷陰極蛍光ランプの発光効率を向上できる。
本発明の冷陰極蛍光ランプ用電極材料においては、耐スパッタ性を向上させるため、共有結合により高い結合エネルギーを有するWBおよびLaBを用いている。WCも共有結合であるものの結合エネルギーがWBに比して低く、比較的スパッタされ易い。その点WBおよびLaBは結合エネルギーが高くスパッタされ難い。WBおよびLaBは粉末の形態で使用し、WBおよびLaBを含有する粉末を焼結することで冷陰極蛍光ランプ用電極を得る。得られる冷陰極蛍光ランプ用電極は、原料が金属粉末であることに由来する気孔と凹凸を表面に有し、圧延板からの打ち抜き−深絞りにより造形したものに比して表面積が大きいため、電子放出性が向上する。なお、電極の密度が80%以上では、電極を外部に接続するために電極に端子を接合する際に必要な熱的・機械的強度が得られるため、本発明の冷陰極蛍光ランプ用電極材料は、焼結により密度比が80%以上となる組成であることが望ましい。
また、電極の電子放出性向上の観点からも、仕事関数の低いLaBを添加して用いる。LaBを電極材料に用いることにより電極の仕事関数を低減して電子放出性を向上させることが出来るため、冷陰極蛍光ランプの発光効率を改善できる。
本発明においては、WB粉末およびLaB粉末からなる硼化物の粉末に低融点のNiを添加することにより、電極の放電特性および耐スパッタ性をほとんど低下させずに、焼結温度を低下させることが可能となる。Niは、粉末の形態で添加することが簡便である。特にNi粉末は焼結を活性化させる作用を有し、焼結を促進させて焼結体を緻密化させる効果を有する。さらに、電極を外部に接続するために電極に端子を接合する際、Niは熱的・機械的破損を抑制する。最少のNi粉末添加量は0.8体積%程度であり、それ以下では、1300℃付近で焼結を行った場合に80%以上の密度を有する焼結体が得られないため好ましくない。Ni粒子はWB粒子およびLaB粒子の隙間に存在することになるが、耐スパッタ性の低いNi粒子が優先的にスパッタされるため、放電が進むにつれて耐スパッタ性の高いWB粒子およびLaB粒子が残って表面を覆うようになる。したがって、Niは放電初期のみスパッタされ、Niのさらなるスパッタは抑制されると考えられる。また、残されたWBおよびLaBにより比表面積が大きくなるため電子放出性が大きくなる。ただし、Ni量が増加するとWBおよびLaBの割合が小さくなり、Ni粒子に衝突するガスイオンの数が増大し、Niのスパッタ量が増加して電極の寿命が短くなる。特に、Niの含有量が50体積%を超えると、WBおよびLaBによる耐スパッタ性向上効果が効果的に得られなくなる。以上のことから、Niの添加量は0.8〜50体積%の範囲であることが望ましい。
なお、Ni以外にNi合金やCoを添加して用いても同様な効果が得られる。このとき、これらの添加量が0.8体積%未満であると焼結による緻密化の効果が小さくなり、密度比が80%以上の電極が得られなくなる。一方、これらの添加量が50体積%を超えるとWBおよびLaBによる耐スパッタ性の向上効果が小さくなり、電極の耐スパッタ性が低下する。このため、Ni、Ni合金、またはCoのうちの少なくとも1種を0.8〜50体積%の範囲で粉末の形態で硼化物に添加する。
さらに、本発明においては、上記のWBを従来のWとWCのうちの少なくとも1種に添加して用いることもできる。しかしながら、従来のWやWCはスパッタされ易いものであるから、20mA程度の放電電流の下で良好な耐スパッタ性を得るためには、Wおよび/またはWCの含有量は5体積%以下とすることが好ましい。
また、本発明の冷陰極蛍光ランプ用電極は、従来公知の方法により製造することができるが、例えば、原料粉末に通常の押型法で与える以上の多量のバインダー等を与えた原料を用いて押型成形する方法により、好適に製造することができる。以下、この方法による製造工程について具体的に説明する。
上記のような製造方法では、微小な金型を用い、この金型の隙間にWB粉末およびLaB粉末からなる硼化物を含有する金属粉末を流動させることが求められるため、金属粉末をタップした時の空隙率以上のバインダーを金属粉末に添加し混練することが好ましい。バインダーの添加量としては、40体積%以上が好適である。バインダー量が40体積%に満たないと、原料の流動性が不十分となり、均一な金属粉末の充填が行えなくなる。一方、60体積%を超えてバインダーを添加すると、後の脱バインダー工程が長時間となって製造コストの増加を招くこととなる。また、成形体中に過剰なバインダー分を含むため、かえって金属粉末の均一な充填が行えなくなるとともに、脱バインダー工程および焼結工程における形状安定性が損なわれて、型くずれが生じやすくなる。したがって、バインダーの添加量は40〜60体積%であることが好ましい。
このようなバインダーは、熱可塑性樹脂とワックスからなるとさらに好適である。熱可塑性樹脂は、原料に可塑性を付与するために用いられ、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、ポリエチレンビニルアセテート等が用いられる。ワックスは原料、特に金属粉末と金型(ダイスおよびパンチを含む)との間の金属接触を防止して加圧成形時に金属粉末の均一な流動を実現するとともに、抜き出し時の成形体と金型間の摩擦を低減して抜き出しやすくするために添加され、パラフィンワックス、ウレタンワックス、カルナバワックス等が用いられる。このような作用を有する熱可塑性樹脂とワックスは、20:80〜60:40の範囲で構成すると好適なバインダーとなる。
上記のバインダーを上記のWB粉末およびLaB粉末を含有する金属粉末に添加し混練することで原料Mが得られる。この原料Mを図2(a)〜(f)に示す金型によって成形する。まず、所定量の原料Mをダイ14の型孔14a内に充填した後(図2(a))、図2(b),(c)に示すように、型孔14a内の原料を電極形状成形体の底部を形成する第1パンチ11と、電極形状成形体の内径部を形成する第2パンチ12と、電極形状成形体の開口端面を加圧する第3パンチ13とを用い、第1パンチ11をダイ14に対して固定し、かつ、第2パンチ12を原料に押し込むように加圧するとともに、第3パンチ13により原料に背圧を加えながら成形する。得られた電極形状成形体15を抜き出すには、まず、第1パンチ11、第2パンチ12および第3パンチ13を電極形状成形体15とともにダイ14から上方へ抜き出し(図2(d))、次いで、第2パンチ12を電極形状成形体15から上方へ抜き出す(e)。次いで、第2、第3パンチ12,13を上昇させて電極形状成形体15から離間させる(f)。なお、図2(b),(c)に記載したものは、後方押し出しによる成形であるが、第1パンチ11を上昇させて前方押し出しとしてもかまわない。ただし、いずれの場合も第3パンチ13により原料に背圧を加えながら成形すると、電極形状成形体の端部の高さが均一に成形できるとともに、原料の密度が成形体中で均一となるため好ましい。
上記の成形工程において、原料は流動して微小な金型の隙間を充填する必要があることから、原料は加圧に先立ちバインダーに含まれる熱可塑性樹脂の軟化点以上の温度に加熱されている必要がある。加熱なし、あるいは加熱しても熱可塑性樹脂の軟化点に満たない温度であれば、原料の流動性が乏しく、原料を微小な金型の隙間に均一かつ緻密に充填することができない。また、原料の流動性が最大となる熱可塑性樹脂の融点以上の温度に加熱するとより好ましい。この加熱は金型内部にヒータを設置する等して、原料を金型に充填した後に加熱してもよく、原料を予め加熱して供給してもよい。
原料は、一般の押型法で扱えるように、ある程度の大きさの造粒粉末として、フィーダ(粉箱)等の粉末供給装置による充填方法を用いて供給してもよい。しかしながら、目標とする冷陰極蛍光ランプ用電極を成形するための押型の型孔が微小であるため、一般の押型法で用いる粉末供給装置に適した粉末の大きさに造粒すると均一かつ緻密に造粒粉末を充填することが難しい。一方、造粒粉末の粒径を小さくすると、原料粉末の流動性が低下することとなり、好適な大きさの造粒粉末に調整することが難しい。このため原料は図2(a)に示すように、1回の充填量に相当する量を、型孔に入る大きさの1個のペレットとしてまとめておき、ペレット単位で原料を供給することが好ましい。また原料をペレット単位で供給する場合、原料を予め加熱しておいても供給が容易であるため、この点からも好ましい。
上記のようにして得られた電極形状成形体は、バインダー成分が40〜60体積%含まれるため、これを除去するため電極形状成形体をバインダー成分の熱分解温度に加熱して脱バインダー工程を行う。バインダーは、熱可塑性樹脂とワックスからなるが、熱可塑性樹脂およびワックスの熱分解温度近傍の昇温速度が速いと、熱可塑性樹脂およびワックスが急激にガス化して膨張し、成形体の型くずれを引き起こすので、少なくとも熱可塑性樹脂およびワックスの熱分解温度近傍の昇温はゆっくり行う必要がある。この観点から脱バインダー工程は、第1段階としてワックスの昇華温度近辺で一旦保持してバインダー成分中のワックス分を除去した後、第2段階として熱可塑性樹脂の熱分解温度近辺で再度保持して熱可塑性樹脂分を除去する、2段階の加熱保持工程とすることが好ましい。また、熱分解にともなうガス発生を徐々に行うため、熱可塑性樹脂およびワックスは熱分解温度の異なる複数のものを配合して用いることが好ましい。
ただし、この工程において全てのバインダー成分が除去されると、その時点では金属粉末どうしの結合が始まっていないため角部等の金属粉末が脱落する。したがって、バインダー成分のごく一部は残留させる必要がある。残留させたバインダー成分は、後述するように焼結体に残留し、残留したバインダー成分に含まれるCが含有成分となる。したがって、Cの含有量を測定することにより、残留したバインダーの量を同定することができる。焼結体中に残留するC量が0.01質量%に満たない場合は、残留するバインダー成分が乏しく金属粉末の脱落が生じる。このため、焼結体中のC量が0.01質量%以上となるようバインダー成分を残留させる必要がある。一方、焼結体中のC量の上限は0.5質量%とする必要がある。このようなC量の調整は、例えば上記2段階の加熱保持工程における保持時間を調整することにより制御することができ、各々の段階での保持時間を30〜180分の範囲とすることで達成することができる。
上記のバインダーの除去を行った後の電極形状成形体では、金属粉末どうしは未だ拡散しておらず、金属的に結合していない状態であり、極めて脆いものである。そこで金属粉末どうしを金属的に拡散結合させるため焼結を行う。焼結温度は1500℃以上が適当である。なお、NiまたはNi合金を含有した態様においては、焼結温度は1300℃以上が好ましい。焼結工程では、金属粉末として上記のように微細でかつ凹凸の少ないものを用いていることから金属粉末の接触面積が大きく、そのため焼結による緻密化が進行しやすく、上記温度で密度比が80%以上の緻密な焼結体が得られる。しかしながら、焼結温度が上記温度を下回ると焼結による緻密化が進行せず、低密度かつ強度の低い焼結体しか得られなくなる。一方、焼結温度が1800℃を超えると炉の損耗が激しくなるため、焼結温度上限は上記の温度とすることが望ましい。焼結雰囲気は、酸素あるいは炭素を含有すると金属粉末表面が酸化あるいは炭化して焼結が進行しにくくなるため、これらを含有しない不活性ガス、水素ガスあるいは真空雰囲気(減圧雰囲気)を用いる必要がある。
WB、LaB、Ni、Co、NiB、およびWの粉末を用意し、表1および2に示す割合で配合、混練して原料を調製し、さらにバインダーとしてポリアセタール(軟化点:110℃、融点:180℃)とパラフィンワックス(軟化点:39℃、融点61℃)を4:6の比で混合したものを添加して、ペレットに形成した。このペレットを200℃に加熱し、予め140℃に加熱した金型に供給して圧粉成形を行い、40℃に冷却した後、抜き出しを行って有底円筒の電極形状の圧粉体を作製した。得られた圧粉体を250℃まで加熱して120分間保持した後、さらに昇温し450℃で120分間保持して脱バインダーを行った。次いで、アルゴンガス雰囲気中、1350℃において60分保持して焼結を行った。得られた焼結体を用いて冷陰極蛍光ランプを組み立て、アルゴンガスおよびネオンガスを封入して、放電電圧DC3kV、放電電流15mA、電極間距離50mmとして電極にスパッタ放電を連続して与え、アルゴンガスが枯渇するまでの時間を測定した。また、アルゴンガスが枯渇した時点における電極のスパッタ量を、ランプ内に付着した堆積物の重量より求めた。また、比較として、Ni100%の電極(比較例1)、主にWからなる電極(比較例2)、およびLaBを含まずWBおよびNiからなる電極(比較例3)を同様に作製し、それぞれの結果を表1および2に伴わせて示す。アルゴンガスが枯渇するまでの時間および電極のスパッタ量は、ニッケル100%の電極の場合を100として、ガス枯渇指数および耐スパッタ指数として評価した。なお、焼結性の評価として、ニッケル100%の電極の密度を100として各試料の密度比を求めた。また、各試料の仕事関数を求めることにより電子放出性の評価を行った。これらの結果を表1および2に示す。
表1および2において、耐スパッタ指数およびガス枯渇指数が高いほどスパッタされ難くガスを枯渇しにくい良好な電極であることを示す。また、仕事関数が低いほど電子放出性が高く発光効率の良い電極であることを示す。密度比が80%以上かつ耐スパッタ指数およびガス枯渇指数が優れているものを「○」、密度比は80%以上であるが、スパッタ指数またはガス枯渇指数が低いものを「△」、密度比が80%未満、または耐スパッタ指数またはガス枯渇指数が著しく低いものを「×」として評価を行った。
Figure 0005171503
Figure 0005171503
表1の試料番号1〜14の試料は、硼化物中のLaBの含有量の影響について調べるため、Niの含有量を一定にし、LaBの含有量を変化させ、残部をWBとしたものである。試料番号1〜14の各試料は、Niを含有するため密度比が80%以上と良好な値を示している。WBおよびLaBを含有する試料番号1の試料は、Ni100%からなる比較例1の試料よりも耐スパッタ指数が非常に向上しており、主にWからなる比較例2の試料よりもガス枯渇指数が著しく向上している。また、試料番号1の試料はLaBを含有しているため、WBおよびNiからなる比較例3よりも仕事関数が低減されている。これらのことから、WBおよびLaBを用いることにより耐スパッタ指数およびガス枯渇指数を非常に向上させることができるとわかり、LaBにより仕事関数を低減することができるとわかる。表1に示すように、LaBの含有量の増加にしたがい仕事関数が低減され、電極の電子放出性が向上している。しかしながら、LaBを79体積%含有する試料番号14の試料では、主にWからなる比較例2の試料よりも耐スパッタ指数が小さくなっている。これは、LaBの含有量の増加に伴いWBの含有量が減少し、WBによる耐スパッタ性向上の効果が小さくなったためと考えられる。これらの結果から、電極材料において、硼化物中のLaBを1〜75体積%とし、残部をWBとすることにより、耐スパッタ指数およびガス枯渇指数が良好で、仕事関数の低い電極が得られることが確認された。
表1の試料番号15および16の試料は、Niの代わりにCoまたはNi合金(NiB)を20体積%添加した場合の、電極への影響を調べたものである。試料番号15および16の試料では、密度比が80%以上と良好であり、耐スパッタ指数やガス枯渇指数はNiを同量添加した試料番号9の場合と同程度を示している。また、仕事関数は若干高くなるが十分小さい値である。このため、Niを添加した場合と比べ、CoまたはNi合金(NiB)を添加しても密度比、耐スパッタ指数、およびガス枯渇指数が同程度で、仕事関数の低い電極が得られることが確認された。
表1の試料番号17および18の試料は、WB、LaB、およびNiを含有する粉末にW粉末を添加してWの影響を調べたものである。WB、LaB、およびNiを同量含有し、Wを含有していない試料番号9の試料と比べ、Wを5体積%含有する試料番号17の試料では、密度比、耐スパッタ指数、およびガス枯渇指数は同程度であり、仕事関数は若干高くなるが十分小さい値である。また、Wを10体積%含有する試料番号18の試料は、Wの含有量が増加したため耐スパッタ指数およびガス枯渇指数が低下し、特にガス枯渇指数は低い値を示している。したがって、WBおよびLaBを従来用いられているWとWCのうちの少なくとも1種に添加して用いることもできるが、この場合、Wおよび/またはWCの含有量は5体積%以下とすることが好ましい。
表2の試料番号7および19〜30の試料は、Niの含有量を変化させ、残部を硼化物(WBおよびLaB)として電極材料中のNi量の影響について調べたものである。硼化物のみからなる試料番号19の試料は、Niを含有していないため焼結性が低く、密度比が80%未満と低い。一方、Niを0.8〜60体積%含有する試料番号7および20〜31の試料では、Niの含有量の増加につれて焼結性が向上する傾向がみられ、密度比は80%以上と良好である。また、試料番号7および20〜31の試料は、硼化物を含有するため、Ni100%からなる比較例1の試料と比べて耐スパッタ指数が非常に向上しており、主にWからなる比較例2の試料よりもガス枯渇指数が著しく向上している。ただし、Niの含有量が増加すると硼化物の割合は減少するため、Niを60体積%含有する試料番号31の試料においては、WBおよびLaBによる耐スパッタ性向上の効果が小さくなり、主にWからなる比較例2の試料よりも耐スパッタ指数が小さくなっている。なお、Ni量が変化しても仕事関数には特に変化がみられず、LaBを含有している試料番号7および20〜31の試料は良好な仕事関数を示し、LaBを含有していない比較例3の試料と比べてそれらの値は低い。以上のことから、電極材料において、Niを0.8〜50体積%の範囲で添加し、硼化物を50〜99.2体積%とすれば、密度比が80%以上の焼結体が得られ、耐スパッタ指数やガス枯渇指数が良好で仕事関数の低い電極が得られることが確認された。
冷陰極線ランプの構造を示す断面図である。 本発明の冷陰極線ランプ用電極を好適に製造する充填工程、加圧成形工程および抜き出し工程を示す断面図である。
符号の説明
11…第1パンチ、12…第2パンチ、13…第3パンチ、14…金型

Claims (4)

  1. 硼化物が50体積%以上、Ni、Ni合金、Coのうちの少なくとも1種が0.8体積%以上であり、残部がWとWCのうちの少なくとも1種と不可避不純物からなる組成であるとともに、前記硼化物が、LaB:1〜75体積%で、残部がWBからなる組成であることを特徴とする冷陰極蛍光ランプ用電極材料。
  2. 前記Wおよび/またはWCは5体積%以下であることを特徴とする請求項1に記載の冷陰極蛍光ランプ用電極材料。
  3. 硼化物が50〜99.2体積%であり、残部がNi、Ni合金、Coのうちの少なくとも1種と不可避不純物からなる組成であるとともに、前記硼化物が、LaB:1〜75体積%で、残部がWBからなる組成であることを特徴とする冷陰極蛍光ランプ用電極材料。
  4. 焼結により密度比が80%以上となることを特徴とする請求項1または2に記載の冷陰極蛍光ランプ用電極材料。
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