JP4180402B2 - 7−オクテン−1−オールならびに7−オクテン酸またはその誘導体の共製造方法 - Google Patents

7−オクテン−1−オールならびに7−オクテン酸またはその誘導体の共製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、7−オクテン−1−オールならびに7−オクテン酸またはその誘導体の共製造方法に関する。本発明により得られる7−オクテン−1−オールならびに7−オクテン酸またはその誘導体は、それぞれ医薬中間体、香料原料、高分子原料、高分子変性剤などとして有用である。
【0002】
【従来の技術】
7−オクテン−1−オールの製造方法については、7−オクテナールを水素雰囲気下、クロム酸化物触媒またはクロム、銅および亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも二種の金属の組合せからなる金属酸化物触媒を用いて水素添加反応させる方法(例えば、特許文献1参照)、および7−オクテナールを銅クロム酸化物などの銅系触媒存在下に特定の温度および転化率で水素添加する方法(例えば、特許文献2参照)が知られている。
一方、7−オクテン酸またはその誘導体、例えば7−オクテン酸の製造方法については、7−オクテナールを酢酸第一鉄などの酸化触媒の存在下に脂肪族モノカルボン酸またはそのエステル中で酸素酸化する方法(例えば、特許文献3参照)、および7−オクテナールを水溶媒中、酸化触媒の存在下で酸素酸化させる方法(例えば、特許文献4参照)が知られている。
【0003】
【特許文献1】
特開昭58−225033号公報
【特許文献2】
特開平10−226659号公報
【特許文献3】
特開昭58−116437号公報
【特許文献4】
特開平8−310990号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1および2に記載の方法では、7−オクテン−1−オールと沸点が極めて近く、蒸留分離が困難な1−オクタノールの副生が避けられず、高純度の7−オクテン−1−オールの取得が困難である。さらにいずれの方法も、主として廃棄処理に費用を要し、環境に負荷をかけるクロム含有触媒を使用する必要があるという問題を有する。
一方、特許文献3に記載の7−オクテン酸の製造方法は、酢酸、プロピオン酸、酪酸などの脂肪族モノカルボン酸またはそのエステルを溶媒として使用するため、耐腐食性の装置が必要であるという問題を有する。また、酸素と溶媒の混合による爆発の危険性や、容積効率が低いこと、従って溶媒の回収に多大な付帯設備が必要という問題も有する。特許文献4に記載の方法は、酸化触媒として好ましいと記載されている脂肪族モノカルボン酸金属塩を使用する場合、耐腐食性の装置が必要という問題がある。
従って、特許文献1〜4に記載の方法はいずれも、7−オクテン−1−オールまたは7−オクテン酸の工業的に有利な製造方法とは言い難い。
しかして、本発明の目的は、医薬中間体、香料原料、高分子原料、高分子変性剤などとして有用な7−オクテン−1−オールならびに7−オクテン酸またはその誘導体を高収率・高純度で工業的に有利に同時に製造し得る方法、そしてかかる方法に使用する新規な中間体およびその製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、上記の目的は、
[1]7−オクテナールをティシェンコ反応させることにより、下記式(1)
【0006】
【化9】
Figure 0004180402
【0007】
で示される7−オクテン酸7−オクテニル(以下、7−オクテン酸7−オクテニル(1)と略称する。)を得、続いて得られた7−オクテン酸7−オクテニル(1)を下記一般式(2)
【0008】
【化10】
Figure 0004180402
【0009】
(式中、Zは−ORまたは−NRを表し、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基または置換基を有していてもよいアリール基を表し、またRおよびRは一緒になってその結合している窒素原子と共に環を形成していてもよい。)
で示される化合物(以下、化合物(2)と略称する。)と反応させることを特徴とする、7−オクテン−1−オールならびに下記一般式(3)
【0010】
【化11】
Figure 0004180402
【0011】
(式中、Zは前記定義のとおりである。)
で示される7−オクテン酸またはその誘導体の共製造方法、
[2]7−オクテン酸7−オクテニル(1)を化合物(2)と反応させることを特徴とする、7−オクテン−1−オールならびに7−オクテン酸またはその誘導体の共製造方法、
[3]7−オクテナールをティシェンコ反応させることを特徴とする7−オクテン酸7−オクテニル(1)の製造方法、および
[4]7−オクテン酸7−オクテニル(1)
を提供することによって達成される。
【0012】
【発明実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
上記一般式中、Zは−ORまたは−NRを表す。R、RおよびRが表すアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、オクチル基などが挙げられ、シクロアルキル基としては、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。これらのアルキル基およびシクロアルキル基は置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基などのアルコキシル基などが挙げられる。
【0013】
、RおよびRが表すアラルキル基としては、例えばベンジル基などが挙げられ、アリール基としては、例えばフェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基などが挙げられる。
これらのアラルキル基およびアリール基は置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシル基などが挙げられる。
【0014】
また、RとRは一緒になってその結合している窒素原子と共に環を形成していてもよい。RとRが一緒になった基としては、例えば−CHCH−、−CHCHCHCH−、−CHCHCHCHCH−、−CHCHOCHCH−、−CHCHN(CH)CHCH−などで示される基などが挙げられる。これらの基は置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシル基などが挙げられる。
【0015】
まず、7−オクテナールをティシェンコ反応させることにより7−オクテン酸7−オクテニル(1)を製造する方法(以下、これを工程1と称する。)を説明する。
【0016】
工程1では、ティシェンコ反応を進行させうる公知の触媒を使用する。触媒としては、例えばアルミニウムトリメトキシド、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリプロポキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリブトキシド、アルミニウムトリ(1−メチルプロポキシド)、アルミニウムトリ(2−フェニルプロポキシド)などのアルミニウムトリアルコキシド;エチルアルミニウムジメトキシド、エチルアルミニウムジイソプロポキシドなどのアルキルアルミニウムジアルコキシド;ジエチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムイソプロポキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド;ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムジクロリドなどのアルキルアルミニウムハライド;トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム;ジイソブチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキルアルミニウムヒドリド;ナトリウムアルコキシド;マグネシウムアルコキシド;カルシウムアルコキシド;チタニウムテトラアルコキシドなどが挙げられる。これらの中でも入手の容易さの観点からは、アルミニウムトリアルコキシド、アルキルアルミニウムアルコキシド、アルキルアルミニウムハライドが好ましい。これらの触媒は一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0017】
触媒の使用量に特に制限はないが、触媒費用および反応終了後における処理の簡便さの観点から、通常、7−オクテナールに対して0.05〜20モル%の範囲であるのが好ましく、0.1〜10モル%の範囲であるのがより好ましい。
【0018】
工程1は、溶媒の存在下または不存在下に実施することができる。溶媒としては反応に影響を与えない限り特に制限はなく、例えばヘキサン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素;7−オクテン−1−オールなどが挙げられる。
溶媒を使用する場合、その使用量に特に制限はないが、7−オクテナールに対して20倍容量以下であるのが好ましく、容積効率、回収操作の簡便さなどの観点からは、5倍容量以下であるのがより好ましい。
【0019】
工程1の反応温度は−20〜140℃の範囲であるのが好ましく、触媒の安定性の観点からは、−10〜70℃の範囲であるのがより好ましい。また工程1は、窒素、アルゴン、水素などの反応に不活性な気体の雰囲気下に実施するのが好ましい。
【0020】
工程1は、例えば1)7−オクテナールまたは7−オクテナールを溶媒に溶解させた溶液に、触媒を連続的または断続的に加えて反応させる方法、2)7−オクテナールまたは溶媒に触媒を溶解または懸濁させておき、この溶液に7−オクテナールまたは7−オクテナールを溶媒に溶解させた溶液を連続的または断続的に加える方法などが挙げられる。この中でも、反応熱の制御の観点からは、2)の方法がより好ましい。
【0021】
このようにして得られた7−オクテン酸7−オクテニル(1)を含む反応混合液は、そのまま次に述べる工程2へ付すことができる。また、蒸留や抽出操作など通常の有機化合物の分離・精製に用いられる方法で反応混合液から触媒を除去した後、得られた7−オクテン酸−7−オクテニル(1)を工程2へ付すことも可能である。
【0022】
次に、7−オクテン酸7−オクテニル(1)を化合物(2)と反応させることにより、7−オクテン−1−オールならびに7−オクテン酸またはその誘導体を共製造する方法(以下、工程2と称する。)を説明する。
【0023】
工程2は、酸性物質または塩基性物質の存在下に行なうのが好ましい。
【0024】
酸性物質としては、例えば塩酸、硫酸、燐酸などの無機酸;p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸などが挙げられる。酸性物質を使用する場合、その使用量は7−オクテン酸7−オクテニル(1)に対して、通常、0.0001〜3倍モルの範囲であるのが好ましく、0.005〜1.2倍モルの範囲であるのがより好ましい。
【0025】
また、塩基性物質としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物;水酸化バリウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどのアルカリ金属炭酸水素塩;トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、トリオクチルアミン、トリイソプロパノールアミンなどのアミン類などが挙げられる。塩基性物質を使用する場合、その使用量は7−オクテン酸7−オクテニル(1)に対して、通常0.01〜5倍モルの範囲であるのが好ましく、0.1〜3倍モルの範囲であるのがより好ましい。
【0026】
工程2で使用する化合物(2)としては、水;メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、3−メチル−1−ブタノール、1−オクタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、2−メチル−1−シクロヘキサノール、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノール、ベンジルアルコールなどのアルコール;アンモニア;メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、オクチルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン、1−アミノナフタレン、2−アミノナフタレン、ベンジルアミン、エタノールアミン、イソプロパノールアミンなどの第一級アミン;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジオクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、フェニルメチルアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ピロリジン、ピペリジン、2−ピペコリン、3−ピペコリン、4−ピペコリン、モルホリン、N−メチルピペラジン、4−(1−ピペラジニル)ピリミジンなどの第二級アミンなどが挙げられる。化合物(2)の使用量は、7−オクテン酸7−オクテニル(1)に対して、通常、1〜100倍モルの範囲であるのが好ましく、1〜50倍モルの範囲であるのがより好ましい。なお、工程2で化合物(2)としてアミン類を使用する場合は、かかるアミン類自体が塩基性であることから、前記した塩基性物質の使用を省略できる。
【0027】
工程2においては、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサンなどの炭化水素;塩化メチレン、四塩化炭素、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素;エチルエーテル、イソプロピルエーテルなどのエーテル類など、反応に不活性な溶媒を併用することもできる。これらの溶媒を用いる場合、その使用量は7−オクテン酸7−オクテニル(1)に対して、通常、0.1〜10倍質量の範囲であるのが好ましく、0.1〜5倍質量の範囲であるのがより好ましい。
【0028】
工程2の反応温度は、通常、30℃以上であるのが好ましく、60〜120℃の範囲であるのがより好ましい。また、反応圧力に特に制限はなく、通常、常圧で行なうが、所望により減圧下または加圧下で実施することもできる。
【0029】
工程2における反応操作は特に制限されず、例えば工程1で得られた7−オクテン酸7−オクテニル(1)、化合物(2)、酸性物質または塩基性物質、および必要に応じて溶媒を一度に混合して加熱攪拌する方法;化合物(2)、および酸性物質または塩基性物質を反応器に仕込み、7−オクテン酸7−オクテニル(1)を反応器内に連続的または断続的に添加して反応させる方法などが挙げられる。
【0030】
このようにして得られた7−オクテン−1−オールならびに7−オクテン酸またはその誘導体の混合物は、抽出、蒸留、カラムクロマトグラフィーなど通常の有機化合物の分離・精製において通常用いられる方法によりそれぞれ分離・精製することができる。なお、化合物(2)として水を用いた場合、生成物は7−オクテン−1−オールと7−オクテン酸である。この場合は、工程2の反応を行った後、例えば水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ金属またはアルカリ土類金属を含有する塩基性物質を添加すると、抽出操作により7−オクテン−1−オールは有機層に抽出され、7−オクテン酸は金属塩となって水層に溶解し、この特性を活かして7−オクテン−1−オールと7−オクテン酸を簡便に分離することができる。
【0031】
本願発明の7−オクテン−1−オールならびに7−オクテン酸またはその誘導体の共製造法において有用な中間体である7−オクテン酸7−オクテニル(1)は新規物質であり、該7−オクテン酸7−オクテニル(1)自体も高分子原料、架橋剤、香料原料などとして有用である。
【0032】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はかかる実施例により何ら限定されるものではない。
【0033】
実施例1 7−オクテン酸7−オクテニルの製造
滴下ロート、還流冷却器および撹拌装置を備え、系内を窒素置換した容量300mlの三口フラスコに、トルエン20mlおよびアルミニウムトリイソプロポキシド1.12g(6mmol)を入れ、温度を29℃〜33℃に維持しながら、7−オクテナール80ml(69.6g、550mmol)を1.25時間かけて滴下し、滴下終了後、同温度で6時間攪拌した。得られた反応混合液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、7−オクテナールの転化率は96%であった。かかる反応混合液を減圧蒸留することにより、下記の物性を有する7−オクテン酸7−オクテニル53.2gを得た(収率:74%、純度:97%)。
【0034】
H−NMR(60MHz、CDCl、TMS、ppm)δ:1.16〜2.84(m,20H)、3.82〜4.21(m,2H)、4.73〜6.18(m,6H)
IR(neat、cm−1):2929、2857、1737、1690、1641、1465、1170、910、728
EIMS(m/z):252(M
沸点:128℃/130Pa
【0035】
実施例2 7−オクテン酸7−オクテニルの製造
滴下ロートおよび攪拌装置を備え、系内を窒素置換した容量50mlの三口フラスコに、トルエン5mlおよびジエチルアルミニウムクロライドの1.0Mヘキサン溶液5ml(5mmol)を入れ、温度を0℃に維持しながら、7−オクテナール10ml(8.7g、69mmol)を30分かけて滴下した。滴下終了後、同温度で4時間攪拌した後に室温へ昇温し、さらに6時間攪拌した。得られた反応混合液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、7−オクテナールの転化率は90%であり、7−オクテン酸7−オクテニル7.0g(収率81%)が生成していた。
【0036】
実施例3 7−オクテン−1−オールおよび7−オクテン酸の共製造
還流冷却器および攪拌装置を備えた容量100mlの三口フラスコに、実施例1の方法で得られた7−オクテン酸7−オクテニル20g(77mmol)および10質量%水酸化ナトリウム水溶液34g(水酸化ナトリウムとして85mmol)を入れ、110℃で6時間攪拌した。得られた反応混合液をトルエン50mlで3回抽出し、かかる抽出液を合わせて濃縮し、残留物11.3gを得た。この残留物をガスクロマトグラフィーで分析したところ、7−オクテン−1−オール9.5g(収率96%)が含まれていた。
一方、トルエン抽出後の水層を12N塩酸8.0mlで酸性にした後、トルエン50mlで2回抽出した。得られた抽出液を合わせて濃縮し、残留物12.3gを得た。この残留物をガスクロマトグラフィーで分析したところ7−オクテン酸10.4g(収率95%)が含まれていた。
【0037】
実施例4 7−オクテン−1−オールおよび7−オクテン酸エチルの共製造
還流冷却器および攪拌装置を備えた容量100mlの三口フラスコに、実施例1の方法で得られた7−オクテン酸7−オクテニル10g(40mmol)、エタノール10g(220mmol)およびp−トルエンスルホン酸0.3g(1.7mmol)を入れ、84〜87℃で12時間加熱攪拌した。得られた反応混合液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、未反応の7−オクテン酸7−オクテニル2.1g(8.3mmol)が残っており、7−オクテン−1−オール4.0g(収率78%)および7−オクテン酸エチル5.3g(収率78%)が生成していた。
【0038】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、医薬中間体、香料原料、高分子原料、高分子変性剤などとして有用な7−オクテン−1−オールおよび7−オクテン酸またはその誘導体を高収率・高純度で工業的に有利に同時に製造することができる。

Claims (4)

  1. 7−オクテナールをティシェンコ反応させることにより、下記式(1)
    Figure 0004180402
    で示される7−オクテン酸7−オクテニルを得、続いて得られた7−オクテン酸7−オクテニルを下記一般式(2)
    Figure 0004180402
    (式中、Zは−ORまたは−NRを表し、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基または置換基を有していてもよいアリール基を表し、またRおよびRは一緒になってその結合している窒素原子と共に環を形成していてもよい。)
    で示される化合物と反応させることを特徴とする、7−オクテン−1−オールならびに下記一般式(3)
    Figure 0004180402
    (式中、Zは前記定義のとおりである。)
    で示される7−オクテン酸またはその誘導体の共製造方法。
  2. 下記式(1)
    Figure 0004180402
    で示される7−オクテン酸7−オクテニルを下記一般式(2)
    Figure 0004180402
    (式中、Zは−ORまたは−NRを表し、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基または置換基を有していてもよいアリール基を表し、またRおよびRは一緒になってその結合している窒素原子と共に環を形成していてもよい。)
    で示される化合物と反応させることを特徴とする、7−オクテン−1−オールおよび下記一般式(3)
    Figure 0004180402
    (式中、Zは前記定義のとおりである。)
    で示される7−オクテン酸またはその誘導体の共製造方法。
  3. 7−オクテナールをティシェンコ反応させることを特徴とする下記式(1)
    Figure 0004180402
    で示される7−オクテン酸7−オクテニルの製造方法。
  4. 下記式(1)
    Figure 0004180402
    で示される7−オクテン酸7−オクテニル。
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