JP4179430B2 - ケーブルの架設方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、通信用ケーブル等のケーブル架設方法に関し、さらに詳しくは、架設作業の能率を一層向上するケーブルの架設方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電信や光通信等の通信用ケーブルを架設する方法は、図9に示すように、電柱間にメッセンジャーワイヤ15(支持線)を張設し、このメッセンジャーワイヤ15の長手方向に50〜60cmのピッチでケーブルハンガー等の金属製吊具13を取り付けながら通信用ケーブル17を懸架させるようにする。
【0003】
このようにケーブルを架設する工事方法は、まず電柱間(図示せず)にメッセンジャーワイヤ15を架設し、このメッセンジャーワイヤ15の長手方向の数カ所に金車と称される滑車を吊り下げる。次いで、これら滑車に通信用ケーブル17を案内させながらメッセンジャーワイヤ15と平行に仮架設し、次いで仮架設されたケーブル17をメッセンジャーワイヤ15に順次50〜60cmのピッチで移動しながら、図9のように吊具13で連結すると共に、滑車を取り外すようにしている。
【0004】
しかし、上記吊具13の取付け作業は、作業員が高所作業車に乗り、かつ多数の吊具を所持して50〜60cmずつ移動しながら1個ずつ取り付ける危険な作業であるため、相当の熟練を要するだけでなく多大な時間を要する非能率な作業になっていた。
【0005】
また、上記ケーブル架設工事における他の問題は、メッセンジャーワイヤが複数本の鋼線を撚り合わせた太い撚線から構成され相当の重量を有しているため、電柱列に張設する作業に多大の労力と時間を要し、これが同じく作業能率を低下させる原因になっていた。特に、道路が交叉している架設場所とか、既設の他のケーブルの上部を交差する架設場所とか、建物等の障害物がある架設場所などでは、メッセンジャーワイヤの張設作業が複雑になり、作業能率を極めて悪くしていた。
【0006】
【発明が解決すようとする課題】
本発明の目的は、ケーブルの架設工事を簡便化することにより、安全でかつ一層作業能率を向上するようにしたケーブルの架設方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するケーブルの架設方法として、本発明は、次の六つの方法を提案する。
【0008】
本発明の第一のケーブル架設方法は、複数本の電柱を立設した電柱列にメッセンジャーワイヤを張設し、該メッセンジャーワイヤにケーブルを沿わせて懸架するケーブルの架設方法において、
(a)前記メッセンジャーワイヤよりも軽量なロープを前記電柱列全体に架設し、かつ該架設ロープ上の各電柱間に伸縮性のチェーンコイルを該電柱間の片側に偏在させると共に、その偏在側端部を係止するように外挿し、
(b)前記電柱列の最初の電柱間のチェーンコイルに、その係止側端部から前記メッセンジャーワイヤを挿入すると共に、該メッセンジャーワイヤの先端部と該チェーンコイルの非係止側端部とを該電柱間の他方の電柱側へ牽引し、該他方の電柱側に該チェーンコイルの非係止側端部を係止し、
(c)前記(b)の操作を前記最初の電柱間に順次隣接する電柱間にそれぞれ繰り返すことにより、全電柱間に前記メッセンジャーワイヤの張設とチェーンコイルの非係止側端部の係止とを行い、
(d)次いで、前記電柱列全体に架設したロープの一方の端部にケーブルを接続し、該ロープの他方の端部を牽引して電柱列外へ引き抜くことにより、前記ケーブルを前記電柱列全体のチェーンコイルの内側に挿入することを特徴とするものである。
【0009】
本発明の第二のケーブル架設方法は、複数本の電柱を立設した電柱列にメッセンジャーワイヤを張設し、該メッセンジャーワイヤにケーブルを沿わせて懸架するケーブルの架設方法において、
(a)前記メッセンジャーワイヤよりも軽量な第1のロープを前記電柱列全体に架設し、かつ該第1のロープ上の各電柱間に伸縮性のチェーンコイルを該電柱間の片側に偏在させると共に、その偏在側端部を係止するように外挿し、
(b)前記電柱列の最初の電柱間のチェーンコイルに、その係止側端部から前記メッセンジャーワイヤと該メッセンジャーワイヤよりも軽量の第2のロープを挿入すると共に、該メッセンジャーワイヤと第2のロープとの先端部と前記チェーンコイルの非係止側端部とを該電柱間の他方の電柱側へ牽引し、該他方の電柱側に該チェーンコイルの非係止側端部を係止し、
(c)前記(b)の操作を前記最初の電柱間に順次隣接する電柱間にそれぞれ繰り返すことにより、全電柱間に前記メッセンジャーワイヤと第2のロープとの張設とチェーンコイルの非係止側端部の係止とを行い、
(d)次いで、前記電柱列全体に架設した第1のロープと第2のロープとの端部にそれぞれ第1のケーブルと第2のケーブルとを接続し、該第1のロープ及び第2のロープの他端部を牽引して電柱列外へ引き抜くことにより、前記第1のケーブル及び第2のケーブルを前記電柱列全体のチェーンコイルの内側に挿入することを特徴とするものである。
【0010】
本発明の第三のケーブル架設方法は、複数本の電柱を立設した電柱列にメッセンジャーワイヤを張設し、該メッセンジャーワイヤにケーブルを沿わせて懸架するケーブルの架設方法において、
(a)前記メッセンジャーワイヤよりも軽量な第1のロープと第2のロープとを前記電柱列全体に架設し、かつ該2本のロープ上の各電柱間に伸縮性のチェーンコイルを該電柱間の片側に偏在させると共に、その偏在側端部を係止するように外挿し、
(b)前記電柱列の最初の電柱間のチェーンコイルの係止側端部に臨む前記第1及び第2のロープのいずれか一方のロープに対して前記メッセンジャーワイヤを接続し、
(c)次いで、該メッセンジャーワイヤの接続端部を前記最初の電柱間のチェーンコイルに挿入すると共に、前記接続端部と該チェーンコイルの非係止側端部とを前記一方のロープを牽引しながら該電柱間の他方の電柱側へ移動させ、該他方の電柱側に該チェーンコイルの非係止側端部を係止し、
(d)前記(c)の操作を前記最初の電柱間に順次隣接する電柱間にそれぞれ繰り返すことにより、全電柱間に前記メッセンジャーワイヤの張設とチェーンコイルの非係止側端部の係止とを行い、
(e)次いで、前記第1及び第2のロープのうち残る他方のロープの端部にケーブルを接続し、該他方のロープの他端部を牽引して電柱列外へ引き抜くことにより、前記ケーブルを前記電柱列全体のチェーンコイルの内側に挿入することを特徴とするものである。
【0011】
本発明の第四のケーブル架設方法は、複数本の電柱を立設した電柱列にメッセンジャーワイヤを張設し、該メッセンジャーワイヤにケーブルを沿わせて懸架するケーブルの架設方法において、
(a)前記メッセンジャーワイヤよりも軽量な第1のロープと第2のロープとを前記電柱列全体に架設し、かつ該2本のロープ上の各電柱間に伸縮性のチェーンコイルを該電柱間の片側に偏在させると共に、その偏在側端部を係止するように外挿し、
(b)前記電柱列の最初の電柱間のチェーンコイルの係止側端部に臨む前記第1及び第2のロープのいずれか一方のロープに、前記メッセンジャーワイヤと該メッセンジャーワイヤよりも軽量な第3のロープとの端部を接続し、
(c)次いで、該メッセンジャーワイヤと第3のロープとの接続端部を前記最初の電柱間のチェーンコイルに挿入すると共に、前記接続端部と該チェーンコイルの非係止側端部とを前記一方のロープを牽引しながら該電柱間の他方の電柱側へ移動させ、該他方の電柱側に該チェーンコイルの非係止側端部を係止し、
(d)前記(c)の操作を前記最初の電柱間に順次隣接する電柱間にそれぞれ繰り返すことにより、全電柱間に前記メッセンジャーワイヤと第3のロープとの張設とチェーンコイルの非係止側端部の係止とを行い、
(e)次いで、前記第1及び第2のロープのうち残る他方のロープの端部と第3のロープの端部とにそれぞれ第1のケーブルと第2のケーブルとを接続し、該他方のロープと第3のロープとの他端部を牽引して電柱列外へ引き抜くことにより、該第1のケーブルと第2のケーブルとを前記電柱列全体のチェーンコイルの内側に挿入することを特徴とするものである。
【0012】
本発明の第五のケーブル架設方法は、複数本の電柱を立設した電柱列にメッセンジャーワイヤを張設し、該メッセンジャーワイヤにケーブルを沿わせて懸架するケーブルの架設方法において、
(a)前記メッセンジャーワイヤよりも軽量な第1のロープを前記電柱列全体に架設すると共に、該架設ロープ上の各電柱間に伸縮性のチェーンコイルを張設するように外挿し、
(b)前記電柱列の最初の電柱間のチェーンコイルの係止側端部に臨む前記ロープに、前記メッセンジャーワイヤと該メッセンジャーワイヤよりも軽量な第2のロープとの端部を接続し、
(c)次いで、該メッセンジャーワイヤと第2のロープとの接続端部を前記最初の電柱間のチェーンコイルに挿入すると共に、前記接続端部を前記第1のロープを牽引しながら前記電柱列の最後の端部まで移動させて係止し、
(d)次いで、前記第2のロープの端部にケーブルを接続し、該第2のロープの他端部を牽引して電柱列外へ引き抜くことにより、該ケーブルを前記電柱列全体のチェーンコイルの内側に挿入することを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の第六のケーブル架設方法は、複数本の電柱を立設した電柱列にメッセンジャーワイヤを張設し、該メッセンジャーワイヤにケーブルを沿わせて懸架するケーブルの架設方法において、
(a)メッセンジャーワイヤと該メッセンジャーワイヤよりも軽量なロープとの端部に伸縮性のチェーンコイルを外挿すると共に、該チェーンコイルの端部を前記電柱列の最初の電柱側に係止し、
(b)次いで、前記チェーンコイルの非係止側端部を前記メッセンジャーワイヤの端部と共に、前記ロープを牽引しながら前記最初の電柱に隣接する電柱に向けて移動させ、該チェーンコイルの非係止側端部を該隣接する電柱側に係止し、(c)前記(b)を前記最初の電柱間に順次隣接する電柱間にそれぞれ繰り返すことにより、全電柱間に前記チェーンコイルの張設と共に、前記メッセンジャーワイヤとロープとの張設を行い、
(d)次いで、前記ロープの端部にケーブルを接続し、該ロープの他端部を牽引して電柱列外へ引き抜くことにより、前記ケーブルを電柱列全体のチェーンコイルの内側に挿入することを特徴とするものである。
【0014】
上述した各ケーブル架設方法は、いずれの方法もメッセンジャーワイヤとケーブルとの外側に伸縮自在のチェーンコイルを外挿し、そのチェーンコイルを伸長状態にするだけの操作で、1個ずつ吊具を取り付けることなくメッセンジャーワイヤに対してケーブルを一定ピッチで懸架するようにすることができる。すなわち、従来のケーブル架設工事においてネックになっていた吊具の取付け作業を省略するため、作業能率を一挙に向上することができる。
【0015】
また、上述したケーブル架設方法では、特に第一から第五のケーブル架設方法では、重量の大きいメッセンジャーワイヤを直接電柱間に張設せず、予めメッセンジャーワイヤよりも軽量なロープを張設し、このロープにチェーンコイルを介してメッセンジャーワイヤを支えるようにして張設を行うので、メッセンジャーワイヤの重量負担を軽減しながら、またメッセンジャーワイヤが重くて垂れ下がるという危険性を回避しながら安全に張設作業を行うことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明のケーブル架設方法には、メッセンジャーワイヤのほか、メッセンジャーワイヤよりも軽量のロープとチェーンコイルとが使用される。メッセンジャーワイヤとは、ケーブルを懸架する支持手段であり、通常は複数本の鋼線をロープ状に撚り合わせて構成されている。このメッセンジャーワイヤとしては、従来から使用されている公知のものがいずれも使用可能である。
【0017】
本発明においてロープとは、ケーブル架設工事で補助手段として使用されるものであり、最終的にケーブルが架設された後は撤去される。このロープにはメッセンジャーワイヤよりも軽量で取扱いやすいものが使用され、必要強度を有するものであれば軽量であるほど有利である。
【0018】
このロープの重量としては、好ましくはメッセンジャーワイヤの重量の75%以下、さらに好ましくは50%以下であるものがよい。例えば、ナイロン繊維、ポリエステル繊維等からなる合成繊維製ロープ、麻、綿等からなる天然繊維製ロープ、或いは樹脂被覆した鋼線の撚線からなる細径の金属−樹脂のハイブリッドロープなどを挙げることができる。
【0019】
本発明においてチェーンコイルとは、図7及び図8に例示されるような、合成樹脂からコイル状に成形された伸縮性の線状体をいい、従来の吊具の代わりに使用される部品である。
【0020】
図7に例示するチェーンコイル2は、コイル本体2Aが合成樹脂モノフィラメントから螺旋状に連続成形され、その両端部にスリーブ2Bを取り付けるように構成されている。ただし、スリーブ2Bは必ずしも必要とするものではなく、目的に応じて取り付ければよい。
【0021】
コイル本体2Aを構成する合成樹脂モノフィラメントは、横断面形状が円形でも、非円形でもよいが、好ましくは非円形断面であるのがよい。コイル本体2Aが非円形断面の場合には、その長手方向に沿って螺旋状の撚りが与えられたものが好ましい。すなわち、図7(B)に示すように三葉断面等の非円形断面であり、かつ長手方向に沿って螺旋状に撚りが与えられていると、ケーブルを高所に架設したときに発生しやすい風切り音や雪の付着を防止することができる。
【0022】
コイル本体2Aは、合成樹脂モノフィラメントの単線だけから構成してもよく、或いは複数本の撚線から構成してもよく、或いは一部金属線を含んで構成してもよい。複数本のモノフィラメントの撚線にする場合は、その撚り数を5〜40T/Mの範囲にすることが好ましい。
【0023】
コイル本体2Aの太さは、モノフィラメントの単線だけか、複数本の撚線であるかを問わず、その外接円直径が2.0〜6.0mm、好ましくは4.0〜5.0mmであるのがよい。このような外接円直径に設定することにより、チェーンコイル2に最適の剛性、強さ、伸縮性を付与することができる。太さが2.0mm未満ではチェーンコイルの剛性が不足し、また6.0mm以上では剛性が大きすぎるためケーブル架設作業性が低下する。
【0024】
合成樹脂製のチェーンコイル2は弾性を有し伸縮自在であるので、図7(A)に示す収縮時(非伸長時)の長さ(原長)L0 から、図8に示す長さL1 に伸長させることができる。原長L0 は、ケーブルの端部をチェーンコイルの内側に挿入する操作を容易にするため、出来るだけ短い方が好ましいが、逆に架設使用時の架設長さL1 は、長くする方が作業能率をよくする。
【0025】
これらの観点から、コイル本体2Aのフィラメント外接円直径が2.0〜6.0mmで、非伸長時のチェーンコイル直径が30〜120mmであるとき、チェーンコイルの非伸長時の原長L0 に対する架設伸長時の長さL1 の比L1 /L0 を10〜80の範囲にすることが好ましく、さらに好ましくは20〜60の範囲にするのがよい。
【0026】
チェーンコイルを構成する合成樹脂としては、繊維形成性の熱可塑性樹脂が好ましい。例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン等を好ましい素材として挙げることができる。なかでも、特にポリエステルが好ましい。
【0027】
ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、またはこれらにアジピン酸、イソフタル酸、イソフタル酸スルホネートおよびポリエチレングリコール等の第三成分を共重合した共重合ポリエステル等を挙げることができ、特にポリエチレンテレフタレートは最適である。
【0028】
ポリアミドとしては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12およびこれら各ナイロン構成成分の組み合わせからなる共重合ポリアミド等を挙げることができる。
【0029】
これらの熱可塑性樹脂には、必要により耐熱剤、耐候剤、耐光剤、酸化防止剤、帯電防止剤、染料および顔料等の添加剤成分を含有させることができる。
【0030】
以下、上述したメッセンジャーワイヤ、ロープ、チェーンコイルを使用して行う本発明のケーブル架設方法を、図に示す実施形態を参照して具体的に説明する。なお、図では、便宜上4本の電柱列にケーブルを架設する場合について説明するが、実際には4本以上の多数本からなる電柱列に対し、同様にして適用できることは勿論である。
【0031】
図1(A)〜(E)は、本発明の第一のケーブル架設方法を工程順に示している。
まず、図1(A)に示すように、地上に4本の電柱1a,1b,1c,1dが列状に立設された電柱列にそれぞれ取付金具6a,6b,6c,6dを装着し、この取付金具6a,6b,6c,6dを介してロープ3を各電柱間1a,1b,1c,1dに張設する。このロープ3は、後述するメッセンジャーワイヤ5よりも十分に軽量なものが使用される。
【0032】
また、上記ロープ3を張設するとき、または張設した後に、電柱列の各電柱間1a−1b,1b−1c,1c−1d間に渡るロープ3上に、合成樹脂製のチェーンコイル2a,2b,2cを外挿し、かつそれらの前端側(図の左端側)を、各電柱間1a−1b,1b−1c,1c−1d間の電柱列前側(左端側)の電柱1a,1b,1cに装着されている取付金具6a,6b,6cに固定するか、或いはクリップ等の仮止め手段4a,4b,4cによりロープ3上に仮止めして偏在させておく。
【0033】
次に、図1(B)のように、電柱列の最前端にメッセンジャーワイヤ5が巻かれたリール9を設置し、このリール9からメッセンジャーワイヤ5を解除して、その先端を最初の電柱間1a−1bのチェーンコイル2aに前端(左端)から後端(右端)へ向けて挿通する。引き続き、そのメッセンジャーワイヤ5の端部をチェーンコイル2aの後端部(右端部)と共に、ロープ3に沿ってチェーンコイル2aを伸長させながら後方の電柱1bへ向けて牽引し、、そのチェーンコイル2aの後端部を後方側の電柱1bの取付金具6bに固定するか、或いは電柱1b近傍のロープ3上に仮止めし、かつメッセンジャーワイヤ5を最初の電柱間1a−1bに延線する。
【0034】
上記最初の電柱間1a−1bで行った作業を、順次隣接する電柱間1b−1cおよび1c−1dで繰り返すことにより、それぞれチェーンコイル2a,2b,2cを各電柱間1a−1b,1b−1c,1c−1dに伸長セットすると共に、メッセンジャーワイヤ5を延線して、図1(C)の状態にする。
【0035】
メッセンジャーワイヤ5の延線操作とチェーンコイル2a,2b,2cの伸長セット操作は、図1(B)中に図示するように、地上で作業員Mが引っ張りながら行ってもよいが、高所作業車に搭乗して作業車と共に移動しながら行うようにしてもよい。メッセンジャーワイヤ5の延線は、ロープ3に対してチェーンコイル2a,2b,2cを介して懸架させた支持状態にして行うので、作業者Mに対するメッセンジャーワイヤ5の重量負荷は小さくなり、また地上に垂れ下がることなく軽快に延線することができる。
【0036】
次いで、図1(D)のように、延線後のメッセンジャーワイヤ5を各電柱1a,1b,1c,1dの取付金具6a,6b,6c,6dに固定し、またチェーンコイル2a,2b,2cの両端部を取付金具6a,6b,6c,6dに固定せず、ロープ3上に仮止めしてある場合は、その両端部をメッセンジャーワイヤ5側に移して固定金具8で固定する。または、メッセンジャーワイヤ5への固定と各電柱の取付金具6a,6b,6c,6dへの固定とを併用してもよい。
【0037】
次いで、図1(E)のように、ケーブル7を巻回したリール10を電柱列の前端部に設置し、このリール10から引き出したケーブル7の端部を、電柱列に張設したロープ3の端部に連結し、このロープ3の端部を矢印方向に牽引し、電柱列外へ引き抜きながら、ケーブル7を各チェーンコイル2a,2b,2c内に挿通させる。ケーブル7を電柱列全体に延線すると、ケーブル7はチェーンコイル2a,2b,2cを介してメッセンジャーワイヤ5に対し一定ピッチで懸架された状態になる。ここで、電柱列全体に対するケーブル7の架設作業が完了する。
【0038】
上述した本発明のケーブル架設方法によれば、メッセンジャーワイヤ5に対しチェーンコイルを介してケーブルを懸架させるようにするため、従来の吊具を1個ずつ取り付ける煩雑な作業が解消されることになり、作業性を著しく向上することができる。しかも、合成樹脂製のチェーンコイルは金属製吊具に比べて軽量であるので、この点からも作業性を向上することができる。
【0039】
また、重量体であるメッセンジャーワイヤの張設に際しては、これを初めから電柱列に架設するのではなく、予め電柱間に軽量なロープを張設し、このロープにチェーンコイルを介してメッセンジャーワイヤを支持した状態にして張設を行うので、メッセンジャーワイヤの作業者に対する重量負担が軽減され、作業能率をさらに向上することができる。
【0040】
図2(A)〜(E)は、本発明の第二のケーブル架設方法を示し、この方法では2本のロープを使用して複数本のケーブルを架設するようにする。
まず、図2(A)において、電柱列に第1のロープ3aを張設すると共に、各電柱間1a−1b,1b−1c,1c−1dに渡るロープ3a上にチェーンコイル2a,2b,2cを外挿し、かつそれぞれの前端側を各電柱間1a−1b,1b−1c,1c−1dの前方側の電柱1a,1b,1c上に固定するか、またはその近傍のロープ3a上に仮止めする。
【0041】
次に、図2(B)のように、電柱列の最前端に、メッセンジャーワイヤ5が巻かれたリール9と第2のロープ3bが巻かれたリール11とを設置する。このリール9,11から、それぞれメッセンジャーワイヤ5とロープ3bとを解除しつつ、最初の電柱間1a−1bのチェーンコイル2aに、その前端部から後端部に向けて同時に挿通する。
【0042】
さらに、メッセンジャーワイヤ5と第2のロープ3bとの先端部を、チェーンコイル2aの後端部と共に、そのチェーンコイル2aを伸長させながら後方の電柱1bへ引張り、チェーンコイルの後端部を電柱1b上の取付金具6bに固定するか、或いはその近傍のロープ3a上に仮止めする。また、メッセンジャーワイヤ5と第2のロープ3bとを最初の電柱間1a−1bに延線する。
【0043】
上記操作を、順次隣接する電柱間1b−1cおよび1c−1dで繰り返すことにより、図2(C)のように、メッセンジャーワイヤ5および第2のロープ3bを各電柱間に延線し、かつ各チェーンコイル2a,2b,2cを各電柱間に伸長状態に設定する。これらメッセンジャーワイヤ5と第2のロープ3bとの延線と、各チェーンコイル2a,2b,2cの伸長設定操作とは、地上で作業員Mが引っ張りながら操作してもよく、或いは高所作業車上に搭乗して作業車を移動させながら行うようにしてもよい。
【0044】
次いで、図2(D)のように、メッセンジャーワイヤ5を各電柱1a,1b,1c,1dの取付金具6a,6b,6c,6dに固定し、また前工程でチェーンコイル2a,2b,2cの両端部を取付金具6a,6b,6c,6dに固定せず、仮止めにした場合には、それを解舒してメッセンジャーワイヤ5に固定金具8で固定する。各チェーンコイル2a,2b,2cの両端部の固定は、メッセンジャーワイヤ5への固定と各電柱の取付金具への固定とを併用してもよい。
【0045】
次いで、図2(E)のように、電柱列の最前端と最後端とに、それぞれ第1のケーブル7aが巻かれたリール12と第2のケーブル7bが巻かれたリール13とを設置する。第1のケーブル7aの先端は第1のロープ3aの端部に連結し、また第2のケーブル7bの先端は、第2のロープ3bの端部に連結し、それぞれ第1のロープ3aと第2のロープ3bとを、矢印イ、ロの方向に牽引して電柱列外へ引き抜き、2本のケーブル7a、7bをそれぞれ各チェーンコイル2a,2b,2c内に挿通させると、2本のケーブル7a、7bはそれぞれメッセンジャーワイヤ5に対してチェーンコイル2a,2b,2cを介して一定ピッチで懸架された状態になる。また、リール12,13は同じ方向から巻き出してもよい。
【0046】
図3(A)〜(E)は、本発明の第三のケーブル架設方法を示す。この方法は、2本のロープを予め電柱間に張設し、一方のロープをメッセンジャーワイヤの張設およびチェーンコイルの伸張のために使用し、他方のロープをケーブルの挿通用に使用するようにした場合を例示する。
【0047】
まず、図3(A)のように、電柱1a,1b,1c,1dの電柱列に第1のロープ3aと第2のロープ3bとを同時に張設し、かつ各電柱間1a−1b,1b−1c,1c−1dに渡るロープ3a,3b上に、それぞれチェーンコイル2a,2b,2cを外挿する。外挿された各チェーンコイル2a,2b,2cは、それぞれ前端側を各電柱間1a−1b,1b−1c,1c−1dの前方側の電柱1a,1b,1cに仮止め手段4a,4b,4cにより仮止めするか、或いは取付金具6a,6b,6c,6dに直接固定した状態にする。
【0048】
次いで、図3(B)のように、電柱列の端部にメッセンジャーワイヤ5が巻かれたリール9を配置する。このリール9から引き出したメッセンジャーワイヤ5を、最初の電柱間1a−1bの電柱1a側に臨む第2のロープ3bに連結すると共に、そのロープ3bの最後の電柱1d側に臨む端部を矢印で示す方向へ牽引する。
【0049】
この牽引に際し、メッセンジャーワイヤ5とロープ3bとの連結部がチェーンコイル2aの後端部に達すると、そのチェーンコイル2aの後端部を一緒に反対側の電柱1bへ引っ張ってチェーンコイル2aを伸長させながら、電柱1bに対して仮止め又は固定し、かつメッセンジャーワイヤ5を最初の電柱間1a−1b間に延線する。
【0050】
上記操作を順次隣接する電柱間1b−1cおよび1c−1dで繰り返すことにより、各チェーンコイル2a,2b,2cを各電柱間に伸長設定すると共に、メッセンジャーワイヤ5を延線し、最後に図3(C)の状態にする。この状態では、第2のロープ3bは電柱列から完全に引き抜かれて回収される。
【0051】
次いで、図3(D)のように、メッセンジャーワイヤ5を各電柱1a,1b,1c,1dの取付金具6a,6b,6c,6dに固定すると共に、前工程で各チェーンコイル2a,2b,2cの両端部が取付金具6a,6b,6c,6dに固定せずに仮止めにしてある場合は、それをメッセンジャーワイヤ5に固定金具8により固定する。このチェーンコイル2a,2b,2cの固定は、メッセンジャーワイヤ5への固定と各電柱の取付金具への固定とを併用してもよい。
【0052】
次いで、図3(E)のように、電柱列の前端部にケーブル7を巻回したリール10を配置し、このリール10から解除したケーブル7の端部を第1のロープ3aの端部に連結する。次いで、第1のロープ3aを他端部を電柱1d側から矢印方向に牽引して、電柱列外へ引き抜くことにより、ケーブル7を各チェーンコイル2a,2b,2cの内側へ挿通し、そのケーブル7をチェーンコイル2a,2b,2cを介してメッセンジャーワイヤ5に対して一定ピッチで懸架させた状態にする。また、ケーブル7を巻回したリール10を、電柱列の後端部に配置し、前記例とは逆の方向に牽引するようにしてもよい。
【0053】
図4(A)〜(E)は、本発明の第四のケーブル架設方法を示す。この方法は、3本のロープを使用することにより、電柱列に2本のケーブルを架設する場合を例示する。
【0054】
まず、図4(A)のように、電柱1a,1b,1c,1dの電柱列に第1のロープ3aと第2のロープ3bとを同時に張設すると共に、各電柱間1a−1b,1b−1c,1c−1dに渡るロープ3a,3b上にチェーンコイル2a,2b,2cを外挿する。各チェーンコイル2a,2b,2cは、それぞれ前端側を各電柱間1a−1b,1b−1c,1c−1dの前側の電柱1a,1b,1cの取付金具6a,6b,6cに固定するか、或いは仮止め手段4a,4b,4cにより仮止めする。
【0055】
次いで、図4(B)のように、電柱列の前端部にメッセンジャーワイヤ5を巻回したリール9と第3のロープ3cを巻回したリール11とを設置し、このメッセンジャーワイヤ5と第3のロープ3cとの端部を第2のロープ3bの前端側に連結し、この第2のロープ3bの後端側(電柱1d側)を矢印方向へ同時に牽引する。この牽引において、メッセンジャーワイヤ5及び第3のロープ3cと第2のロープ3bとの連結部が、チェーンコイル2aの後端部まで引き出されたとき、そのチェーンコイルの後端部を上記連結部と共に電柱1b側へ移動させ、電柱1bの取付金具6bに固定又は仮止めし、かつメッセンジャーワイヤ5および第3のロープ3cを電柱間1a−1bに延線する。
【0056】
上記操作を順次隣接する電柱間1b−1cおよび1c−1dで繰り返すことにより、チェーンコイル2a,2b,2cを各電柱間に伸長設定し、かつメッセンジャーワイヤ5および第3のロープ3cを延線して、図4(C)の状態にする。この図4(C)の状態になった時点で、第2のロープ3bはケーブル架設作業の役目を終わり、電柱列外へ回収される。
【0057】
次いで、図4(D)のように、メッセンジャーワイヤ5を各電柱1a,1b,1c,1dの取付金具6a,6b,6c,6dに固定する。また、各チェーンコイル2a,2b,2cの両端部が前工程で取付金具6a,6b,6c,6dに固定されず、仮止めにしてある場合には、その両端部をメッセンジャーワイヤ5に固定金具8により固定する。各チェーンコイル2a,2b,2cの両端部の固定は、前述した他のケーブル架設方法の場合と同様に、メッセンジャーワイヤ5への固定と各電柱の取付金具への固定とを併用してもよい。
【0058】
次いで、図4(E)のように、電柱列の前端部と後端部とにそれぞれ第1のケーブル7aを巻回したリール12と第2のケーブル7bを巻回したリール13とを配置する。そして、リール12から解除した第1のケーブル7aの先端部を電柱1a側に臨む第1のロープ3aの端部に連結し、またリール13から解除した第2のケーブル7bを電柱1dに臨む第3のロープ3cに連結する。
【0059】
次いで、第1のロープ3aの他端側を矢印イの方向に牽引し、また第3のロープ3cの他端側を矢印ロの方向に牽引して、電柱列外へ引き出すと、それぞれ2本のケーブル7aおよび7bが各チェーンコイル2a,2b,2cの内側に挿通され、これらチェーンコイル2a,2b,2cを介してメッセンジャーワイヤ5に対して一定ピッチで懸架された状態になる。リール12,13は同一電柱列から引き出すようにしてもよく、方向を規定するものではない。
【0060】
図5(A)〜(E)は、本発明の第五のケーブル架設方法を示す。この方法は2本のロープを使用してメッセンジャーワイヤとケーブルとを架設する場合を例示する。
【0061】
まず、図5(A)のように、電柱1a,1b,1c,1dの電柱列全体に第1のロープ3aを張設すると共に、各電柱間1a−1b,1b−1c,1c−1dに渡るロープ3a上にチェーンコイル2a,2b,2cを外挿した状態にする。各チェーンコイル2a,2b,2cの前端側は、各電柱間1a−1b,1b−1c,1c−1dの前側の電柱1a,1b,1cの取付金具6a,6b,6cに固定するか、又は仮止め手段4a,4b,4cにより仮止めする。
【0062】
次いで、図5(B)のように、最初の電柱間1a−1bに仮止めされたチェーンコイル2aの後端部をチェーンコイル2aを伸長させながらロープ3aに沿って電柱1b側へ移動させ、その後端部を電柱1bの取付金具6bに固定又は仮止めする。このチェーンコイル2aの後端部の移動は、地上から作業員Mが牽引ロープRを使用して牽引するようにしてもよく、或いはチェーンコイル2aの後端部を把持した作業員Mが高所作業車に搭乗して作業車と共に移動しながら牽引してもよい。
【0063】
上記操作を順次隣接する電柱間1b−1cおよび1c−1dで繰り返すことにより、各チェーンコイル2a,2b,2cを各電柱間に伸長設定し、しかる後、図5(C)のように、電柱列の前端部にメッセンジャーワイヤ5を巻回したリール9と、第2のロープ3bを巻回したリール11とを配置し、これらから解除したメッセンジャーワイヤ5と第2のロープ3bとの端部を電柱1a側に臨む第1のロープ3aの端部に連結する。次いで、第1のロープ3aの電柱1d側の端部を矢印方向に牽引し、電柱列外へ引き抜くことにより、メッセンジャーワイヤ5と第2のロープ3bとを各チェーンコイル2a,2b,2cの内側に挿通状態にする。
【0064】
次いで、図5(D)のように、メッセンジャーワイヤ5を各電柱1a,1b,1c,1dの取付金具6a,6b,6c,6dに固定し、また各チェーンコイル2a,2b,2cの両端部を取付金具6a,6b,6c,6dに固定せず、仮止めにしてある場合は、その両端部をメッセンジャーワイヤ5に固定金具8により固定する。各チェーンコイル2a,2b,2cの両端部は、メッセンジャーワイヤ5への固定と各電柱の取付金具への固定とを併用してもよいことは前述した場合と同様である。
【0065】
次いで、図5(E)のように、ケーブル7が巻かれたリール10を配置し、このリール10から引き出したケーブル7を第2のロープ3bの端部に連結し、この第2のロープ3bを他端側を牽引して電柱列外へ引き抜くことにより、ケーブル7を各チェーンコイル2a,2b,2cの内側へ挿通する。挿通後のケーブル7はメッセンジャーワイヤ5に対してチェーンコイル2a,2b,2cを介して一定ピッチで懸架された状態になる。
【0066】
図6(A)〜(E)は、本発明の第六のケーブル架設方法を示す。この方法は1本のロープを使用してメッセンジャーワイヤとケーブルとを架設する場合を例示する。
【0067】
まず、図6(A)のように、電柱列の前端にメッセンジャーワイヤ5を巻回したリール9とロープ3を巻回したリール14とを配置する。ここから解除したメッセンジャーワイヤ5とロープ3とにチェーンコイル2aを外挿し、そのチェーンコイル2aの前端部を最初の電柱1aの取付金具6aに固定する。
【0068】
このチェーンコイル2aに対して、メッセンジャーワイヤ5の端部をチェーンコイル2aの前端から挿入して後端部に係止させる。また、ロープ3の方はチェーンコイル2aを貫通させて後方へ延長するようにする。この時、コイルの後端部近辺でメッセンジャーワイヤとロープを係止する。作業員Mは、チェーンコイル2aの後方へ延長したロープ3の端部を把持し、その中間部を隣りの電柱1bの取付金具6bにガイドさせながら、図6(B)のように牽引する。
【0069】
このロープ3の牽引により、メッセンジャーワイヤ5が引っ張られると共に、チェーンコイル2aの後端部を電柱1b側へ引っ張っていく。そして、チェーンコイル2aの後端部が電柱1bに到達したところで、それを電柱1bの取付金具6bに固定又は仮止めする。
【0070】
上記操作を順次隣接する電柱間1b−1cおよび1c−1dで繰り返すことにより、図6(C)のように、各チェーンコイル2a,2b,2cを各電柱間に伸長設定し、かつメッセンジャーワイヤ5とロープ3とを電柱列全体に張設した状態にする。
【0071】
次いで、図6(D)のように、メッセンジャーワイヤ5を各電柱1a,1b,1c,1dの取付金具6a,6b,6c,6dに固定し、またロープ3をメッセンジャーワイヤ5から分離させた状態にする。また、各チェーンコイル2a,2b,2cの両端部が仮止めしてある場合は、メッセンジャーワイヤの固定と各電柱の取付金具とを併用して固定してもよいことは前述の通りである。さらに、電柱列の電柱1a側の端部にケーブル7を巻回したリール10を設置し、図6(E)のようにする。
【0072】
さらに図6(E)において、リール10から解除したケーブル7の端部をロープ3の端部に連結し、このロープ3の他端側(電柱1d側)を牽引して、電柱列外へ完全に引き抜くと、ケーブル7はチェーンコイル2a,2b,2cの内側に挿通され、これらチェーンコイル2a,2b,2cを介してメッセンジャーワイヤ5に一定ピッチで懸架された状態になる。ここで、リール10を電柱1d側に配置し、電柱1a側から牽引してもよいことは前述の通りである。この第六のケーブル架設方法は、電柱間の距離が短い場合や障害物がなくメッセンジャーワイヤが若干垂れ下がってもよい場合等に特に有効である。
【0073】
上述した第二〜第六のケーブル架設方法においても、図1(A)〜(E)の第一のケーブル架設方法と同様に、メッセンジャーワイヤに対してケーブルをチェーンコイルを懸架手段として一定ピッチで支持するようにしたので、従来の吊具を1個ずつ取り付けるときのような煩雑な手間がなくなり、作業性を向上することができる。しかも、合成樹脂製のチェーンコイルは、従来の金属製吊具に比べて軽量であるため、さらに作業性を向上することができる。
【0074】
また、第二〜第五のケーブル架設方法では、重量体のメッセンジャーワイヤの張設に際して、予め電柱間に軽量なロープを張設し、このロープにチェーンコイルを介してメッセンジャーワイヤを支持させるようにしながら張設するので、メッセンジャーワイヤの作業者に対する重量負担が軽減し、さらに作業能率を向上することができるようになる。
【0075】
【発明の効果】
上述したように、本発明によれば、メッセンジャーワイヤにチェーンコイルを懸架手段としてケーブルを一定ピッチで懸架するようにしたので、吊具を1個ずつ取り付ける従来方法の煩雑さが解消され、作業性の向上を図ることができる。
【0076】
また、重量体であるメッセンジャーワイヤの張設に際しては、予め電柱間に軽量なロープを張設し、このロープにチェーンコイルを介してメッセンジャーワイヤの重量を支持させつつ張設するようにしたので、メッセンジャーワイヤの作業者に対する重量負担を軽減し、さらに作業能率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)〜(E)は、本発明のケーブル架設方法の第一の実施形態を例示する工程図である。
【図2】(A)〜(E)は、本発明のケーブル架設方法の第二の実施形態を例示する工程図である。
【図3】(A)〜(E)は、本発明のケーブル架設方法の第三の実施形態を例示する工程図である。
【図4】(A)〜(E)は、本発明のケーブル架設方法の第四の実施形態を例示する工程図である。
【図5】(A)〜(E)は、本発明のケーブル架設方法の第五の実施形態を例示する工程図である。
【図6】(A)〜(E)は、本発明のケーブル架設方法の第六の実施形態を例示する工程図である。
【図7】(A)は本発明のケーブル架設方法に使用されるチェーンコイルの側面図であり、(B)は同チェーンコイルのコイル本体の横断面図である。
【図8】図7のチェーンコイルを引き延ばし状態にしたときの側面図である。
【図9】従来の方法によって架設されたケーブルの側面図である。
【符号の説明】
1a,1b,1c,1d 電柱
2a,2b,2c チェーンコイル
3,3a,3b,3c ロープ
5 メッセンジャーワイヤ
7,7a,7b ケーブル

Claims (6)

  1. 複数本の電柱を立設した電柱列にメッセンジャーワイヤを張設し、該メッセンジャーワイヤにケーブルを沿わせて懸架するケーブルの架設方法において、
    (a)前記メッセンジャーワイヤよりも軽量なロープを前記電柱列全体に架設し、かつ該架設ロープ上の各電柱間に伸縮性のチェーンコイルを該電柱間の片側に偏在させると共に、その偏在側端部を係止するように外挿し、
    (b)前記電柱列の最初の電柱間のチェーンコイルに、その係止側端部から前記メッセンジャーワイヤを挿入すると共に、該メッセンジャーワイヤの先端部と該チェーンコイルの非係止側端部とを該電柱間の他方の電柱側へ牽引し、該他方の電柱側に該チェーンコイルの非係止側端部を係止し、
    (c)前記(b)の操作を前記最初の電柱間に順次隣接する電柱間にそれぞれ繰り返すことにより、全電柱間に前記メッセンジャーワイヤの張設とチェーンコイルの非係止側端部の係止とを行い、
    (d)次いで、前記電柱列全体に架設したロープの一方の端部にケーブルを接続し、該ロープの他方の端部を牽引して電柱列外へ引き抜くことにより、前記ケーブルを前記電柱列全体のチェーンコイルの内側に挿入する、ケーブルの架設方法。
  2. 複数本の電柱を立設した電柱列にメッセンジャーワイヤを張設し、該メッセンジャーワイヤにケーブルを沿わせて懸架するケーブルの架設方法において、
    (a)前記メッセンジャーワイヤよりも軽量な第1のロープを前記電柱列全体に架設し、かつ該第1のロープ上の各電柱間に伸縮性のチェーンコイルを該電柱間の片側に偏在させると共に、その偏在側端部を係止するように外挿し、
    (b)前記電柱列の最初の電柱間のチェーンコイルに、その係止側端部から前記メッセンジャーワイヤと該メッセンジャーワイヤよりも軽量の第2のロープを挿入すると共に、該メッセンジャーワイヤと第2のロープとの先端部と前記チェーンコイルの非係止側端部とを該電柱間の他方の電柱側へ牽引し、該他方の電柱側に該チェーンコイルの非係止側端部を係止し、
    (c)前記(b)の操作を前記最初の電柱間に順次隣接する電柱間にそれぞれ繰り返すことにより、全電柱間に前記メッセンジャーワイヤと第2のロープとの張設とチェーンコイルの非係止側端部の係止とを行い、
    (d)次いで、前記電柱列全体に架設した第1のロープと第2のロープとの端部にそれぞれ第1のケーブルと第2のケーブルとを接続し、該第1のロープ及び第2のロープの他端部を牽引して電柱列外へ引き抜くことにより、前記第1のケーブル及び第2のケーブルを前記電柱列全体のチェーンコイルの内側に挿入する、ケーブルの架設方法。
  3. 複数本の電柱を立設した電柱列にメッセンジャーワイヤを張設し、該メッセンジャーワイヤにケーブルを沿わせて懸架するケーブルの架設方法において、
    (a)前記メッセンジャーワイヤよりも軽量な第1のロープと第2のロープとを前記電柱列全体に架設し、かつ該2本のロープ上の各電柱間に伸縮性のチェーンコイルを該電柱間の片側に偏在させると共に、その偏在側端部を係止するように外挿し、
    (b)前記電柱列の最初の電柱間のチェーンコイルの係止側端部に臨む前記第1及び第2のロープのいずれか一方のロープに対して前記メッセンジャーワイヤを接続し、
    (c)次いで、該メッセンジャーワイヤの接続端部を前記最初の電柱間のチェーンコイルに挿入すると共に、前記接続端部と該チェーンコイルの非係止側端部とを前記一方のロープを牽引しながら該電柱間の他方の電柱側へ移動させ、該他方の電柱側に該チェーンコイルの非係止側端部を係止し、
    (d)前記(c)の操作を前記最初の電柱間に順次隣接する電柱間にそれぞれ繰り返すことにより、全電柱間に前記メッセンジャーワイヤの張設とチェーンコイルの非係止側端部の係止とを行い、
    (e)次いで、前記第1及び第2のロープのうち残る他方のロープの端部にケーブルを接続し、該他方のロープの他端部を牽引して電柱列外へ引き抜くことにより、前記ケーブルを前記電柱列全体のチェーンコイルの内側に挿入する、ケーブルの架設方法。
  4. 複数本の電柱を立設した電柱列にメッセンジャーワイヤを張設し、該メッセンジャーワイヤにケーブルを沿わせて懸架するケーブルの架設方法において、
    (a)前記メッセンジャーワイヤよりも軽量な第1のロープと第2のロープとを前記電柱列全体に架設し、かつ該2本のロープ上の各電柱間に伸縮性のチェーンコイルを該電柱間の片側に偏在させると共に、その偏在側端部を係止するように外挿し、
    (b)前記電柱列の最初の電柱間のチェーンコイルの係止側端部に臨む前記第1及び第2のロープのいずれか一方のロープに、前記メッセンジャーワイヤと該メッセンジャーワイヤよりも軽量な第3のロープとの端部を接続し、
    (c)次いで、該メッセンジャーワイヤと第3のロープとの接続端部を前記最初の電柱間のチェーンコイルに挿入すると共に、前記接続端部と該チェーンコイルの非係止側端部とを前記一方のロープを牽引しながら該電柱間の他方の電柱側へ移動させ、該他方の電柱側に該チェーンコイルの非係止側端部を係止し、
    (d)前記(c)の操作を前記最初の電柱間に順次隣接する電柱間にそれぞれ繰り返すことにより、全電柱間に前記メッセンジャーワイヤと第3のロープとの張設とチェーンコイルの非係止側端部の係止とを行い、
    (e)次いで、前記第1及び第2のロープのうち残る他方のロープの端部と第3のロープの端部とにそれぞれ第1のケーブルと第2のケーブルとを接続し、該他方のロープと第3のロープとの他端部を牽引して電柱列外へ引き抜くことにより、該第1のケーブルと第2のケーブルとを前記電柱列全体のチェーンコイルの内側に挿入する、ケーブルの架設方法。
  5. 複数本の電柱を立設した電柱列にメッセンジャーワイヤを張設し、該メッセンジャーワイヤにケーブルを沿わせて懸架するケーブルの架設方法において、
    (a)前記メッセンジャーワイヤよりも軽量な第1のロープを前記電柱列全体に架設すると共に、該架設ロープ上の各電柱間に伸縮性のチェーンコイルを張設するように外挿し、
    (b)前記電柱列の最初の電柱間のチェーンコイルの係止側端部に臨む前記ロープに、前記メッセンジャーワイヤと該メッセンジャーワイヤよりも軽量な第2のロープとの端部を接続し、
    (c)次いで、該メッセンジャーワイヤと第2のロープとの接続端部を前記最初の電柱間のチェーンコイルに挿入すると共に、前記接続端部を前記第1のロープを牽引しながら前記電柱列の最後の端部まで移動させて係止し、
    (d)次いで、前記第2のロープの端部にケーブルを接続し、該第2のロープの他端部を牽引して電柱列外へ引き抜くことにより、該ケーブルを前記電柱列全体のチェーンコイルの内側に挿入する、ケーブルの架設方法。
  6. 複数本の電柱を立設した電柱列にメッセンジャーワイヤを張設し、該メッセンジャーワイヤにケーブルを沿わせて懸架するケーブルの架設方法において、
    (a)メッセンジャーワイヤと該メッセンジャーワイヤよりも軽量なロープとの端部に伸縮性のチェーンコイルを外挿すると共に、該チェーンコイルの端部を前記電柱列の最初の電柱側に係止し、
    (b)次いで、前記チェーンコイルの非係止側端部を前記メッセンジャーワイヤの端部と共に、前記ロープを牽引しながら前記最初の電柱に隣接する電柱に向けて移動させ、該チェーンコイルの非係止側端部を該隣接する電柱側に係止し、(c)前記(b)を前記最初の電柱間に順次隣接する電柱間にそれぞれ繰り返すことにより、全電柱間に前記チェーンコイルの張設と共に、前記メッセンジャーワイヤとロープとの張設を行い、
    (d)次いで、前記ロープの端部にケーブルを接続し、該ロープの他端部を牽引して電柱列外へ引き抜くことにより、前記ケーブルを電柱列全体のチェーンコイルの内側に挿入する、ケーブルの架設方法。
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