JP2005051874A - 新規ケーブルの増設方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】既設ケーブルラインの上にさらに新規ケーブルを増設して架設しようとする工事における新規ケーブルの架設作業性およびケーブル架設用コイルの伸張作業性を著しく改善した新規ケーブルの増設方法を提供する。
【解決手段】パイプ状治具10の中空部17に既設ケーブルライン20を挿入すると共に、パイプ本体11の外周にケーブル架設用コイル30を外装し、新規ケーブル結合部15に新規ケーブル40を連結した状態で、牽引ロープ結合部13を介してパイプ状治具10をコイル張設方向に牽引する。
【選択図】 図3
【解決手段】パイプ状治具10の中空部17に既設ケーブルライン20を挿入すると共に、パイプ本体11の外周にケーブル架設用コイル30を外装し、新規ケーブル結合部15に新規ケーブル40を連結した状態で、牽引ロープ結合部13を介してパイプ状治具10をコイル張設方向に牽引する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子・通信用ケーブル等の架設において、ケーブル延線用吊具およびケーブル固定用吊具として機能するケーブル架設用コイルを使用し、既設ケーブルラインに沿って新規ケーブルを増設する方法に関し、さらに詳しくは、既設ケーブルラインの上にさらに新規ケーブルを増設して架設しようとする工事における新規ケーブルの架設作業性およびケーブル架設用コイルの伸張作業性を著しく改善し、既設ケーブルの影響を受けることなく新規ケーブルを効率的に支持固定することができる新規ケーブルの架設方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電子・通信用ケーブルを架設する場合には、電柱間に自己保持機能が付加されたプレハンガー(支持線とケーブルがプレイトで約50cm毎に保持連結した一体型)を張設し、懸架させるようにして架設する方法や、電柱間に抗張材としてメッセンジャーワイヤを張設し、この支持線にラッシングロット等の金属製吊具を1個ずつ巻いて取り付けながら、電子・通信用ケーブルを並列に懸架する方法等が採用されてきた。
【0003】
また、既設のケーブルラインに対しさらに新規ケーブルの増設が必要となった場合には、既設のケーブルラインの電柱間長手方向の数カ所に、ケーブル延線用治具として金車と称される滑車を吊り下げ、次いでこれら滑車に新規の電子・通信用ケーブルを案内させながら既設ケーブルラインと平行に仮架設し、続いて仮架設された新規ケーブルを既設ケーブルラインに対して順次高所作業車で移動しながらラッシングロット等の金属製吊具の中に1個ずつ巻いて取り付けて固定するか、もしくは大型のラッシングロット等に置き換えながら、滑車を取り外すようにすることにより、架設作業が行なわれていた。
【0004】
しかしながら、このような新規ケーブルの増設工事は、作業者が重い金属製吊具を多数保持しつつ、既設ケーブルラインの長手方向にそって順次高所作業車で移動しながら取り付けていくものであり、しかもこの吊具の取り付け作業を高所で行うため、多大の時間と労力を要し、かなりの熟練を要する危険な高所作業であった。
【0005】
そこで最近では、上記の問題を解決したケーブル吊具として、樹脂や樹脂と金属線からなる複合線状体を連続螺旋状に成形したコイル状物からなるチェーンコイル並びにフレックステンダーと称される架設用コイルが開発され、実用に供されつつある。
【0006】
すなわち、これらのケーブル架設用コイルを使用する場合には、予め電柱間に張設した支持線(メッセンジャーワイヤ)に沿わせて、ケーブルと共にケーブル架設用コイルを伸張させるだけの一度の操作により、支持線に対してこれらケーブル架設用コイルのループを介してケーブルを懸架することができ、またケーブルを懸架した後は、これらのコイルをそのままケーブル固定吊具として使用することができるため、従来の金属製吊具等のケーブル延線用治具を用いた架設作業が不要になると共に、従来のケーブル架設作業の場合のように、金属製吊具を1個ずつ取り付けていく作業が簡略化されることにより、多大な労力の削減と時間の短縮が達成されるばかりか、ケーブル架設作業性が著しく改善され危険な高所作業の軽減ができるようになったのである。
【0007】
しかるに、上記ケーブル架設用コイルは、ケーブルの新設工事を行う場合には、一度の伸長操作で工事が遂行可能となるため、極めて威力が発揮され工事を効率よく実施されることが確認されているが、既にケーブルラインがプレハンガーや、ラッシングロット等の金属製吊具で敷設された既設ケーブルラインに対して、さらに新規ケーブルの架設工事を行おうとする場合には、既設のプレハンガーのプレイトが約50cm毎に保持連結された突起や、ラッシングロットの両端突起による伸張コイルの引掛かりと重さが抵抗となるために、伸張コイルのピッチが揃わなかったり、部分締め上げの現象となったりするばかりか、ケーブル架設用コイルの伸張をすることすら困難になるという問題があった。
【0008】
このような場合に、単純にケーブル架設用コイルのピッチを揃えながら延線するための治具として、ケーブル架設用コイルを内側に保持するようにした筒状体を軸方向に開閉可能に構成すると共に、筒状体の後端部に口径を徐々に狭めた吐出部を設け、吐出部よりも前端側に牽引手段を設けたケーブル架設用コイルの延伸装置(例えば、特許文献1参照)が提案されている。
【0009】
しかるに、上記の延伸装置は、ケーブルの新設工事または既設ケーブルラインにおいてコイル径の小さいものから大きなものへの入れ替え工事を主たる目的として使用するものであり、既設ケーブルがハンガーで吊り線に掛けられている状態やラッシングロッドで吊り線に固定されている場合を想定した既設ケーブルラインへの新規ケーブルの増設作業への適用については、何ら考慮されたものではなかった。
【0010】
さらに、上記の延伸装置は、適用されるケーブル架設用コイルが、伸張されることにより塑性変形し、一定のピッチを保っていくことを基本として考えられたものであることから、伸縮自在の連続螺旋状コイルからなるケーブル架設用コイルを使用する場合には、一定の展開ピッチが得られにくい装置であった。つまり、コイルの置き換えに主眼が置かれているため、既設ケーブルの重さの影響や新規にかけられるケーブル架設用コイルのピッチ安定性については、さらなる改善が必要であった。
【0011】
したがって、このような問題を改良した新規ケーブルの増設方法の開発が待ち望まれていた。特に今後の工事には、既設ケーブルラインの上から新規ケーブルを増設する工事需要が増加するものと考えられ、より有効な新規ケーブル増設方法の開発は急務な状況にある。
【0012】
【特許文献1】
特開2000−278829号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものである。
【0014】
したがって、本発明の目的は、既設ケーブルラインの上にさらに新規ケーブルを増設して架設しようとする工事における新規ケーブルの架設作業性およびケーブル架設用コイルの伸張作業性を著しく改善し、既設ケーブルの影響を受けることなく新規ケーブルを効率的に支持固定することができる新規ケーブルの増設方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の新規ケーブルの増設方法は、電柱間に張設さレれた既設ケーブルラインに沿わせて連続螺旋状に形成されたケーブル架設用コイルを伸張すると同時に、このケーブル架設用コイル内に新規ケーブルを架設する方法であって、パイプ本体と、このパイプ本体の先端を外径方向へ拡径した拡径部と、この拡径部の外縁近傍に設けた牽引ロープ結合部と、同じくコイル固定部と、前記パイプ本体の後端に設けた新規ケーブル結合部とを有するパイプ状治具を使用し、このパイプ状治具の中空部に前記既設ケーブルラインを挿入すると共に、前記パイプ本体の外周に前記ケーブル架設用コイルを外装し、前記新規ケーブル結合部に新規ケーブルを連結した状態で、前記牽引ロープ結合部を介して前記パイプ状治具をコイル張設方向に牽引することを特徴とする。
【0016】
なお、本発明の新規ケーブルの増設方法においては、前記パイプ状治具が軸方向に開閉可能であり、このパイプ状治具を開放した状態でその中空部へ既設ケーブルラインを挿入することが好ましい条件として挙げられる。
【0017】
なお、本発明のケーブル架設方法においては、前記のコイル伸張作業を、前記の電柱間に隣接する所望の電柱間で繰り返すことによって、ケーブルの架設を必要とする全ての電柱間にわたってケーブルの架設を行うことができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の新規ケーブルの増設方法について、図面にしたがって具体的に説明する。
【0019】
図1は本発明で使用するパイプ状治具の一例を示す斜視説明図、図2(A)、(B)は既設ケーブルラインを示す斜視説明図、図3はパイプ状治具に既設ケーブルラインを挿入すると共にケーブル架設用コイルを外装した状態を示す斜視説明図、図4(A)、(B)は本発明の新規ケーブルの増設方法の一例を工程順に示す説明図である。
【0020】
まず、本発明で使用するパイプ状治具について、図1に基づき説明する。
【0021】
図1に示したように、パイプ状治具10は、パイプ本体11と、このパイプ本体11の先端を外径方向へ拡径した拡径部12と、この拡径部12の外縁近傍に設けた牽引ロープ結合部13と、同じく拡径部12の外縁近傍に設けたコイル固定部14と、パイプ本体11の後端に設けた新規ケーブル結合部15とから構成されたものである。
【0022】
そして、このパイプ状治具10は、分割部16を介して軸方向に開閉可能であり、このパイプ状治具10を開放した状態でその中空部17へ既設ケーブルラインを挿入可能に構成されていることが好ましい。
【0023】
このパイフ状治具10は、市販の塩ビパイプやアルミパイプ等の円筒を使用して、拡径部12、牽引ロープ結合部13、コイル固定部14、新規ケーブル結合部15を設けた後、半割に加工することにより、容易に作成することができる。なお、半割状態を確実に閉塞するには、フェルールやパッチン錠を使用することが好ましい。
【0024】
また、パイプ状治具10の外径は、使用するコイル30を外装することが可能な範囲にあることが必要であり、またパイプ状治具10の内径は、既設ケーブルライン20を導入することが可能な範囲にあることが必要であ。さらに、パイプ状治具10の長さは、使用するコイル30の内径の2〜3倍の長さ、つまりコイル走行時に踊ることなく伸張可能な長さを選択することが好ましい。拡径部12の外径と角度は、コイル30を外装した時に前方へ抜けないことと、既設ケーブルライン20のプレート支持材Pやラッシングロット支持材Rの突き出し部を乗り越られることを規準に設定すればよい。
【0025】
次に、本発明で新規ケーブルを架設する既設ケーブルライン20とは、図2(A)に示したように、メッセンジャーワイヤMと、ケーブルCとを、プレート支持材Pにて結合したプレハンガータイプ、または図2(B)に示したように、メッセンジャーワイヤMと、ケーブルCとを、ラッシングロット支持材Rを介して結合したラッシングタイプが代表的である。
【0026】
本発明の新規ケーブルの増設方法を実施するに際しては、まず図3に示したように、パイフ状治具10の中空部17に、例えば図2(A)に示したプレハンガータイプの既設ケーブルライン20を挿入し、そのパイプ本体11の外周部にコイル30を外装し、そのコイル30の先端をコイル固定部14で止め、新規ケーブル結合部15に、コイル30内に内挿した新規ケーブル40の端部を連結する。
【0027】
この状態で、図4(A)に示したように、パイフ状治具10の牽引ロープ結合部13に結合した牽引ロープ50をコイル張設方向に牽引することにより、新規ケーブル40の架設を行う。
【0028】
すなわち、電柱60a、60b間に張設された既設ケーブルライン20に、パイフ状治具10を外挿すると共に、パイフ状治具10のパイプ本体11にコイル30を外挿し、このコイル30の一端を一方の電柱60a側に位置するに固定具70aに固定する。
【0029】
次いで、コイル21の先端をパイフ状治具10のコイル固定部14に止めて、新規ケーブル結合部15に新規ケーブル40を連結した状態で、牽引ロープ結合部13を牽引ロープ50によりコイル張設方向に牽引することにより、新規ケーブル40とコイル30とを張設された既設ケーブルライン20に沿わせて、電柱60a,60b間に延線する。
【0030】
その後、コイル30の先端をコイル固定部14から外し、コイル30一端を他方の電柱60b側に位置する固定具70bに固定し、次いでパイプ状治具10の新規ケーブル結合部15から新規ケーブル40を外して、パイプ状治具10を既設ケーブルライン20から外すことにより、電柱60a−60b間における新規ケーブル40の架設作業が終了する。
【0031】
引き続き、電柱60b−60c間において、上記と同様の架設作業を繰り返すことにより、必要とする電柱間に新規ケーブルの架設をすることができる。
【0032】
なお、上記の増設方法においては、新規ケーブルの代わりに、延線用ロープを用いて同様の伸張作業をして電柱間に架設した後に、架設された延線用ロープの一端に新規ケーブルを連結して引き取り、一気に新規ケーブルの延線を行うなうにしてもよい。
【0033】
このような作業の場合は、既設ケーブルライン20のプレート支持材Pまたはラッシングロット支持材Rの突き出し部とがコイル30とが絡んで延線の障害となるが、本発明の方法では、使用するパイフ状治具10の先端に外径方向へ拡径した拡径部12を有するため、パイプ状治具10の外周にコイル30を外装し牽引することにより、拡径部12が前記突き出し部を容易に乗り越えることができるため、走行作業の遂行が可能となるのである。
【0034】
なお、上記においては、既設ケーブルライン20に対する新規ケーブルの増設をメインに説明したが、既設ケーブルラインがコイルを使用したものである場合、および既設ケーブルラインの代わりにメッセンジャーワイヤを使用した場合等にも本発明を適用可能である。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の新規ケーブルの増設方法によれば、既設ケーブルラインに対して連続螺旋状コイルのループを介してケーブルを牽引すると共に、このケーブルを一定間隔に懸架することができると共に、この連続螺旋状コイルをそのままケーブル固定用吊具として使用することができる。
【0036】
したがって、ケーブル架設用治具として、従来実施していた金車による仮架設作業が不要になると共に、従来のケーブル架設のように金属製吊具を宙乗り作業やバケット車で1個ずつ取り付ける作業が簡略化することができ、さらには、長い径間のケーブルを一度の牽引作業で架設できることとなり、架設時間と労力を大幅に短縮かつ軽減してケーブル架設作業性を著しく向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明で使用するパイプ状治具の一例を示す斜視図である。
【図2】図2(A)、(B)は既設ケーブルラインの斜視図である。
【図3】図3はパイプ状治具に既設ケーブルラインを挿入すると共にケーブル架設用コイルを外装した状態を示す斜視説明図である。
【図4】図4(A)、(B)は本発明の新規ケーブルの増設方法の一例を工程順に示す説明図である。
【符号の説明】
10 パイプ状治具
11 パイプ本体
12 拡経部
13 牽引ロープ結合部
14 コイル固定部
15 新規ケーブル結合部
16 分割部
17 中空部
20 既設ケーブルライン
M メッセンジャーワイヤ
C ケーブル
P プレート支持材
R ラッシングロッド支持材
30 コイル
40 新規ケーブル
50 牽引ロープ
60 電柱
70 固定具
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子・通信用ケーブル等の架設において、ケーブル延線用吊具およびケーブル固定用吊具として機能するケーブル架設用コイルを使用し、既設ケーブルラインに沿って新規ケーブルを増設する方法に関し、さらに詳しくは、既設ケーブルラインの上にさらに新規ケーブルを増設して架設しようとする工事における新規ケーブルの架設作業性およびケーブル架設用コイルの伸張作業性を著しく改善し、既設ケーブルの影響を受けることなく新規ケーブルを効率的に支持固定することができる新規ケーブルの架設方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電子・通信用ケーブルを架設する場合には、電柱間に自己保持機能が付加されたプレハンガー(支持線とケーブルがプレイトで約50cm毎に保持連結した一体型)を張設し、懸架させるようにして架設する方法や、電柱間に抗張材としてメッセンジャーワイヤを張設し、この支持線にラッシングロット等の金属製吊具を1個ずつ巻いて取り付けながら、電子・通信用ケーブルを並列に懸架する方法等が採用されてきた。
【0003】
また、既設のケーブルラインに対しさらに新規ケーブルの増設が必要となった場合には、既設のケーブルラインの電柱間長手方向の数カ所に、ケーブル延線用治具として金車と称される滑車を吊り下げ、次いでこれら滑車に新規の電子・通信用ケーブルを案内させながら既設ケーブルラインと平行に仮架設し、続いて仮架設された新規ケーブルを既設ケーブルラインに対して順次高所作業車で移動しながらラッシングロット等の金属製吊具の中に1個ずつ巻いて取り付けて固定するか、もしくは大型のラッシングロット等に置き換えながら、滑車を取り外すようにすることにより、架設作業が行なわれていた。
【0004】
しかしながら、このような新規ケーブルの増設工事は、作業者が重い金属製吊具を多数保持しつつ、既設ケーブルラインの長手方向にそって順次高所作業車で移動しながら取り付けていくものであり、しかもこの吊具の取り付け作業を高所で行うため、多大の時間と労力を要し、かなりの熟練を要する危険な高所作業であった。
【0005】
そこで最近では、上記の問題を解決したケーブル吊具として、樹脂や樹脂と金属線からなる複合線状体を連続螺旋状に成形したコイル状物からなるチェーンコイル並びにフレックステンダーと称される架設用コイルが開発され、実用に供されつつある。
【0006】
すなわち、これらのケーブル架設用コイルを使用する場合には、予め電柱間に張設した支持線(メッセンジャーワイヤ)に沿わせて、ケーブルと共にケーブル架設用コイルを伸張させるだけの一度の操作により、支持線に対してこれらケーブル架設用コイルのループを介してケーブルを懸架することができ、またケーブルを懸架した後は、これらのコイルをそのままケーブル固定吊具として使用することができるため、従来の金属製吊具等のケーブル延線用治具を用いた架設作業が不要になると共に、従来のケーブル架設作業の場合のように、金属製吊具を1個ずつ取り付けていく作業が簡略化されることにより、多大な労力の削減と時間の短縮が達成されるばかりか、ケーブル架設作業性が著しく改善され危険な高所作業の軽減ができるようになったのである。
【0007】
しかるに、上記ケーブル架設用コイルは、ケーブルの新設工事を行う場合には、一度の伸長操作で工事が遂行可能となるため、極めて威力が発揮され工事を効率よく実施されることが確認されているが、既にケーブルラインがプレハンガーや、ラッシングロット等の金属製吊具で敷設された既設ケーブルラインに対して、さらに新規ケーブルの架設工事を行おうとする場合には、既設のプレハンガーのプレイトが約50cm毎に保持連結された突起や、ラッシングロットの両端突起による伸張コイルの引掛かりと重さが抵抗となるために、伸張コイルのピッチが揃わなかったり、部分締め上げの現象となったりするばかりか、ケーブル架設用コイルの伸張をすることすら困難になるという問題があった。
【0008】
このような場合に、単純にケーブル架設用コイルのピッチを揃えながら延線するための治具として、ケーブル架設用コイルを内側に保持するようにした筒状体を軸方向に開閉可能に構成すると共に、筒状体の後端部に口径を徐々に狭めた吐出部を設け、吐出部よりも前端側に牽引手段を設けたケーブル架設用コイルの延伸装置(例えば、特許文献1参照)が提案されている。
【0009】
しかるに、上記の延伸装置は、ケーブルの新設工事または既設ケーブルラインにおいてコイル径の小さいものから大きなものへの入れ替え工事を主たる目的として使用するものであり、既設ケーブルがハンガーで吊り線に掛けられている状態やラッシングロッドで吊り線に固定されている場合を想定した既設ケーブルラインへの新規ケーブルの増設作業への適用については、何ら考慮されたものではなかった。
【0010】
さらに、上記の延伸装置は、適用されるケーブル架設用コイルが、伸張されることにより塑性変形し、一定のピッチを保っていくことを基本として考えられたものであることから、伸縮自在の連続螺旋状コイルからなるケーブル架設用コイルを使用する場合には、一定の展開ピッチが得られにくい装置であった。つまり、コイルの置き換えに主眼が置かれているため、既設ケーブルの重さの影響や新規にかけられるケーブル架設用コイルのピッチ安定性については、さらなる改善が必要であった。
【0011】
したがって、このような問題を改良した新規ケーブルの増設方法の開発が待ち望まれていた。特に今後の工事には、既設ケーブルラインの上から新規ケーブルを増設する工事需要が増加するものと考えられ、より有効な新規ケーブル増設方法の開発は急務な状況にある。
【0012】
【特許文献1】
特開2000−278829号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものである。
【0014】
したがって、本発明の目的は、既設ケーブルラインの上にさらに新規ケーブルを増設して架設しようとする工事における新規ケーブルの架設作業性およびケーブル架設用コイルの伸張作業性を著しく改善し、既設ケーブルの影響を受けることなく新規ケーブルを効率的に支持固定することができる新規ケーブルの増設方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の新規ケーブルの増設方法は、電柱間に張設さレれた既設ケーブルラインに沿わせて連続螺旋状に形成されたケーブル架設用コイルを伸張すると同時に、このケーブル架設用コイル内に新規ケーブルを架設する方法であって、パイプ本体と、このパイプ本体の先端を外径方向へ拡径した拡径部と、この拡径部の外縁近傍に設けた牽引ロープ結合部と、同じくコイル固定部と、前記パイプ本体の後端に設けた新規ケーブル結合部とを有するパイプ状治具を使用し、このパイプ状治具の中空部に前記既設ケーブルラインを挿入すると共に、前記パイプ本体の外周に前記ケーブル架設用コイルを外装し、前記新規ケーブル結合部に新規ケーブルを連結した状態で、前記牽引ロープ結合部を介して前記パイプ状治具をコイル張設方向に牽引することを特徴とする。
【0016】
なお、本発明の新規ケーブルの増設方法においては、前記パイプ状治具が軸方向に開閉可能であり、このパイプ状治具を開放した状態でその中空部へ既設ケーブルラインを挿入することが好ましい条件として挙げられる。
【0017】
なお、本発明のケーブル架設方法においては、前記のコイル伸張作業を、前記の電柱間に隣接する所望の電柱間で繰り返すことによって、ケーブルの架設を必要とする全ての電柱間にわたってケーブルの架設を行うことができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の新規ケーブルの増設方法について、図面にしたがって具体的に説明する。
【0019】
図1は本発明で使用するパイプ状治具の一例を示す斜視説明図、図2(A)、(B)は既設ケーブルラインを示す斜視説明図、図3はパイプ状治具に既設ケーブルラインを挿入すると共にケーブル架設用コイルを外装した状態を示す斜視説明図、図4(A)、(B)は本発明の新規ケーブルの増設方法の一例を工程順に示す説明図である。
【0020】
まず、本発明で使用するパイプ状治具について、図1に基づき説明する。
【0021】
図1に示したように、パイプ状治具10は、パイプ本体11と、このパイプ本体11の先端を外径方向へ拡径した拡径部12と、この拡径部12の外縁近傍に設けた牽引ロープ結合部13と、同じく拡径部12の外縁近傍に設けたコイル固定部14と、パイプ本体11の後端に設けた新規ケーブル結合部15とから構成されたものである。
【0022】
そして、このパイプ状治具10は、分割部16を介して軸方向に開閉可能であり、このパイプ状治具10を開放した状態でその中空部17へ既設ケーブルラインを挿入可能に構成されていることが好ましい。
【0023】
このパイフ状治具10は、市販の塩ビパイプやアルミパイプ等の円筒を使用して、拡径部12、牽引ロープ結合部13、コイル固定部14、新規ケーブル結合部15を設けた後、半割に加工することにより、容易に作成することができる。なお、半割状態を確実に閉塞するには、フェルールやパッチン錠を使用することが好ましい。
【0024】
また、パイプ状治具10の外径は、使用するコイル30を外装することが可能な範囲にあることが必要であり、またパイプ状治具10の内径は、既設ケーブルライン20を導入することが可能な範囲にあることが必要であ。さらに、パイプ状治具10の長さは、使用するコイル30の内径の2〜3倍の長さ、つまりコイル走行時に踊ることなく伸張可能な長さを選択することが好ましい。拡径部12の外径と角度は、コイル30を外装した時に前方へ抜けないことと、既設ケーブルライン20のプレート支持材Pやラッシングロット支持材Rの突き出し部を乗り越られることを規準に設定すればよい。
【0025】
次に、本発明で新規ケーブルを架設する既設ケーブルライン20とは、図2(A)に示したように、メッセンジャーワイヤMと、ケーブルCとを、プレート支持材Pにて結合したプレハンガータイプ、または図2(B)に示したように、メッセンジャーワイヤMと、ケーブルCとを、ラッシングロット支持材Rを介して結合したラッシングタイプが代表的である。
【0026】
本発明の新規ケーブルの増設方法を実施するに際しては、まず図3に示したように、パイフ状治具10の中空部17に、例えば図2(A)に示したプレハンガータイプの既設ケーブルライン20を挿入し、そのパイプ本体11の外周部にコイル30を外装し、そのコイル30の先端をコイル固定部14で止め、新規ケーブル結合部15に、コイル30内に内挿した新規ケーブル40の端部を連結する。
【0027】
この状態で、図4(A)に示したように、パイフ状治具10の牽引ロープ結合部13に結合した牽引ロープ50をコイル張設方向に牽引することにより、新規ケーブル40の架設を行う。
【0028】
すなわち、電柱60a、60b間に張設された既設ケーブルライン20に、パイフ状治具10を外挿すると共に、パイフ状治具10のパイプ本体11にコイル30を外挿し、このコイル30の一端を一方の電柱60a側に位置するに固定具70aに固定する。
【0029】
次いで、コイル21の先端をパイフ状治具10のコイル固定部14に止めて、新規ケーブル結合部15に新規ケーブル40を連結した状態で、牽引ロープ結合部13を牽引ロープ50によりコイル張設方向に牽引することにより、新規ケーブル40とコイル30とを張設された既設ケーブルライン20に沿わせて、電柱60a,60b間に延線する。
【0030】
その後、コイル30の先端をコイル固定部14から外し、コイル30一端を他方の電柱60b側に位置する固定具70bに固定し、次いでパイプ状治具10の新規ケーブル結合部15から新規ケーブル40を外して、パイプ状治具10を既設ケーブルライン20から外すことにより、電柱60a−60b間における新規ケーブル40の架設作業が終了する。
【0031】
引き続き、電柱60b−60c間において、上記と同様の架設作業を繰り返すことにより、必要とする電柱間に新規ケーブルの架設をすることができる。
【0032】
なお、上記の増設方法においては、新規ケーブルの代わりに、延線用ロープを用いて同様の伸張作業をして電柱間に架設した後に、架設された延線用ロープの一端に新規ケーブルを連結して引き取り、一気に新規ケーブルの延線を行うなうにしてもよい。
【0033】
このような作業の場合は、既設ケーブルライン20のプレート支持材Pまたはラッシングロット支持材Rの突き出し部とがコイル30とが絡んで延線の障害となるが、本発明の方法では、使用するパイフ状治具10の先端に外径方向へ拡径した拡径部12を有するため、パイプ状治具10の外周にコイル30を外装し牽引することにより、拡径部12が前記突き出し部を容易に乗り越えることができるため、走行作業の遂行が可能となるのである。
【0034】
なお、上記においては、既設ケーブルライン20に対する新規ケーブルの増設をメインに説明したが、既設ケーブルラインがコイルを使用したものである場合、および既設ケーブルラインの代わりにメッセンジャーワイヤを使用した場合等にも本発明を適用可能である。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の新規ケーブルの増設方法によれば、既設ケーブルラインに対して連続螺旋状コイルのループを介してケーブルを牽引すると共に、このケーブルを一定間隔に懸架することができると共に、この連続螺旋状コイルをそのままケーブル固定用吊具として使用することができる。
【0036】
したがって、ケーブル架設用治具として、従来実施していた金車による仮架設作業が不要になると共に、従来のケーブル架設のように金属製吊具を宙乗り作業やバケット車で1個ずつ取り付ける作業が簡略化することができ、さらには、長い径間のケーブルを一度の牽引作業で架設できることとなり、架設時間と労力を大幅に短縮かつ軽減してケーブル架設作業性を著しく向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明で使用するパイプ状治具の一例を示す斜視図である。
【図2】図2(A)、(B)は既設ケーブルラインの斜視図である。
【図3】図3はパイプ状治具に既設ケーブルラインを挿入すると共にケーブル架設用コイルを外装した状態を示す斜視説明図である。
【図4】図4(A)、(B)は本発明の新規ケーブルの増設方法の一例を工程順に示す説明図である。
【符号の説明】
10 パイプ状治具
11 パイプ本体
12 拡経部
13 牽引ロープ結合部
14 コイル固定部
15 新規ケーブル結合部
16 分割部
17 中空部
20 既設ケーブルライン
M メッセンジャーワイヤ
C ケーブル
P プレート支持材
R ラッシングロッド支持材
30 コイル
40 新規ケーブル
50 牽引ロープ
60 電柱
70 固定具
Claims (2)
- 電柱間に張設された既設ケーブルラインに沿わせて連続螺旋状に形成されたケーブル架設用コイルを伸張すると同時に、このケーブル架設用コイル内に新規ケーブルを架設する方法であって、パイプ本体と、このパイプ本体の先端を外径方向へ拡径した拡径部と、この拡径部の外縁近傍に設けた牽引ロープ結合部と、同じくコイル固定部と、前記パイプ本体の後端に設けた新規ケーブル結合部とを有するパイプ状治具を使用し、このパイプ状治具の中空部に前記既設ケーブルラインを挿入すると共に、前記パイプ本体の外周に前記ケーブル架設用コイルを外装し、前記新規ケーブル結合部に新規ケーブルを連結した状態で、前記牽引ロープ結合部を介して前記パイプ状治具をコイル張設方向に牽引することを特徴とする新規ケーブルの増設方法。
- 前記パイプ状治具が軸方向に開閉可能であり、このパイプ状治具を開放した状態でその中空部へ既設ケーブルラインを挿入することを特徴とする請求項1に記載の新規ケーブルの増設方法。
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-
2003
- 2003-07-31 JP JP2003204350A patent/JP2005051874A/ja active Pending
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