JP4179058B2 - 搬送ベルト - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、歯車やプーリ等の回転駆動体間に捲回されて物品を搬送するための搬送ベルトに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ベルト背面に物品を担持して搬送する搬送ベルトでは、搬送中の物品がベルト走行速度に応じた反動で位置間隔や姿勢を乱さないように、物品背後から当接して位置決め制御するためのプロフィルと称される当て板をベルト背面にベルト全長へ等間隔に立ち上げた構造をとっている。図5は、搬送ベルトとしての歯付ベルト1が歯1aを回転駆動体である歯車(図示せず)に噛合させて走行移動力を受け、そうしたベルト背面1bに平板形状のプロフィル2をほぼ垂直に立ち上げた従来構造を示す平面図(a)と側面図(b)である。この場合、歯付ベルト1が走行すると、その走行速度に応じて搬送物品が反動を受けて、負荷Fが図の左側から矢印の方向へとプロフィル2に働く。
【0003】
また、プロフィル2の負荷Fに対する機械的応力を高める剛性強化構造として、図6の平面図(a)および側面図(b)に示すように、ベルト長手方向に側面積を広げた略三角形状のものが知られている。そうしたプロフィル本体3aの底辺一端側の前脚部3bは、歯付ベルト1の背面1bに溶着などで一体的に結合して固定され、後脚部3cは自由端としてベルト背面1bに適当なクリアランス4をもって対面させている。それにより、プロフィル3が左側から物品の反動力による負荷Fを受けた場合でも、略三角形状の側面積を有することで耐久性を確保している。この図6で示されたプロフィル3に関連する構造の従来例としては、特開2001-122415号公報や実用新案登録第2503383号公報に記載されたプロフィル付ベルトがある。
【0004】
ところで、上記図6で示される従来例では、以下のような問題がある。図7に示すように、装置や設備のレイアウトにおいて、駆動側と従動側の回転駆動体が複数のプーリや歯車からなっている場合、例えば複数の歯車5,6,7間に歯付ベルト1を掛け回し、さらに中間プーリ8がアイドラとして配置されている場合、中間プーリ8は装置スペース等の制約のため、さらには歯付ベルト1に張力を付与するなどのために配置され、歯付ベルト1のベルト背面1bに接触してベルト走行を案内しつつテンションを付与する。その場合、歯付ベルト1の捲回外側に中間プーリ8が配置され、走行中の歯付ベルト1がこのベルト背面1bで中間プーリ8に接触することで問題が発生する。
【0005】
拡大図の図8に示すように、歯付ベルト1はベルト背面1bで中間プーリ8に接触するため、円周曲率の曲面に倣って逆反りして屈曲する。そうしたベルトの逆反りによって、プロフィル3の底辺部の前脚部3bと後脚部3cがベルト背面1bに食い込むように干渉してしまうのである(図中、符号A,B円内の斜線部で示す)。図9は、プロフィル3の前脚部3cがベルト背面1bに食い込んで損傷9を与える場合を示している(図8中の符号A円で示す干渉部)。また、図10は、プーリ円周曲面に倣ってベルト背面1bが屈曲することでプロフィル3が反り返り(図8中の符号B円で示す干渉部)、前脚部3bに無理な力が働いて破断してベルト背面1bから離脱するという最悪事態を示している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ベルト背面に搬送物品を担持して搬送を行い、そのベルト背面に物品制御用のプロフィルを立ち上げた搬送ベルトにおいて、装置や設備のレイアウト上に配置されたアイドラとしての中間プーリにベルト背面で接触する場合でも、プロフィルとベルト背面との無理な干渉を回避して双方の損傷を防止できるようにした、耐久性に優れたプロフィル付き搬送ベルトを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る請求項1に記載の搬送ベルトは、レイアウト上の複数の回転駆動体間に捲回されたベルト本体の背面に物品を担持して搬送し、搬送中の物品に背後から当接して物品の位置および姿勢を制御するためのプロフィルをベルト背面に立ち上げて設け、搬送中の物品から受ける反動応力に対して所要の剛性を確保するために、プロフィルの側面積をベルト長手方向に大きくして強化してなっているものであって、プロフィルのベルト背面から立ち上がる足元底辺部のベルト長手方向でいう一端側を基部とする前脚部がベルト背面に結合され、プロフィルの後脚部が対面する位置のベルト本体に切欠部を設け、この切欠部に自由端となっているプロフィルの後脚部を臨ませて干渉を避けるようにしたことを特徴とする。
【0008】
以上の構成から、搬送ベルトの走行駆動中、搬送物品はベルト走行速度に応じて反動を受け、その負荷がプロフィルに働き、プロフィルが反動力負荷を受けて後方へ反って撓んだ場合でも、足元の後脚部はベルト背面に干渉しないので、従来のように後脚部がベルト背面に食い込み、プロフィルとベルト本体に互いに無理な力が作用して一方または双方が損傷するのを免れることができる。
【0009】
また、本発明に係る搬送ベルトは、プロフィルの後脚部が対面する位置のベルト本体に切欠部を設け、この切欠部にプロフィルの後脚部を臨ませて干渉を避けていることを特徴としている。
【0010】
以上から、プロフィル後脚部が対面する位置のベルト本体に切欠部を設けておけば、プロフィル後脚部をその切欠部に臨ませてベルト本体との干渉を避けることができる。
【0011】
また、本発明に係る請求項2に記載の搬送ベルトは、プロフィルの後脚部がベルト本体の幅方向の外側に位置していることを特徴としている。
【0012】
以上から、この場合プロフィル後脚部をベルト本体の外側に位置させることにより、プロフィルが反ったり撓んだ場合でもベルト背面に無理な力が働くということは全くない。
【0013】
また、本発明にかかる請求項3に記載の搬送ベルトは、プロフィルの前脚部が弾性屈曲自在なブラケットを介してベルト背面に結合されていることを特徴とする。
【0014】
この場合、プロフィルの前脚部を従来のようにベルト背面に溶着などで結合して一体化せず、弾性屈曲可能なブラケットで連結しているので、プロフィルの前脚部に大きな反り返り力が作用した場合でも、ブラケットが弾性屈曲してあたかもヒンジ部材のように作用し、反り返り力を吸収してプロフィル前脚部に亀裂、損傷、破断発生といった不具合が解消される。
【0015】
また、本発明にかかる請求項4に記載の搬送ベルトは、レイアウト上の回転駆動体の1つがアイドラとして配置された中間プーリであり、この中間プーリにベルト背面を接触させて走行案内される場合に対応可能であることを特徴とする。
【0016】
上記請求項1〜3に記載の搬送ベルトのいずれにおいても、レイアウト上にアイドラとしての中間プーリが搬送ベルトの捲回外側に配置される場合に特に有効である。すなわち、搬送ベルトはそのベルト背面を中間プーリの周面に接触させることで、ベルト走行を案内され、適度なテンションを付与される。その際、ベルト本体はプーリ周面の曲面に倣って逆反りする。従来、そのようなベルト本体の逆反りによる過大な力でもってベルト本体とプロフィルとが干渉し、一方または双方が損傷する原因となっている。ところが、プロフィルの後脚部はベルト本体と何ら干渉しない位置にあり、あるいはプロフィルの前脚部をヒンジ部材的作用するブラケットで連結しておけば、ベルト本体とプロフィルとの間に過大な応力が相互に作用せず損傷を防止でき、装置や設備のレイアウト、特にアイドラを備えたレイアウトに対応する自由度の高い耐久性に優れたものとなる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる搬送ベルトの実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る第1実施の形態の搬送ベルト10を示す平面図(a)と側面図(b)である。装置や設備に装着された回転駆動体が、例えば駆動側と従動側の複数の歯車(図示せず)からなっており、それら歯車に噛合する歯11を有する歯付ベルト10が搬送ベルトとして用いられる場合の実施形態である。歯付ベルト10の背面12にはベルト全長にわたって適宜ピッチで立ち上がって全体三角形状または台形状のプロフィル20が設けられている。プロフィル20は、本体21のほぼ垂直な図の左側面22で被搬送用物品(図示せず)に突き当て、この物品が図の左方向へ流れて搬送される場合に、ベルト走行速度に応じた反動力負荷が右方向へ働く。そうした搬送物品からの反動力負荷をプロフィル20が左側面22で受け止め、搬送物品の姿勢や間隔が搬送中に不規則に乱れないように制御して位置決めするための補佐機能をする。
【0018】
そこで、かかるプロフィル20において、本体21の左側面22の直下の底辺部である前脚部23は、歯付ベルト10の背面12に例えば溶着等の接着手段で結合して固定されている。また、プロフィル本体21の底辺部の後脚部24は、前脚部23よりも長め寸法に形成され、ベルト背面12とは干渉しない自由な片足状態となっている。そのプロフィル後脚部24との干渉を避けるため、その部位の歯付ベルト10に切欠部13を設け、この切欠部13にプロフィル後脚部24が臨んで入り込んでいる。図1(b)の図示例では、ガイドレール30の案内面31との取り合いが示され、歯付ベルト10の歯11がそのガイドレール案内面31に接触して走行が案内され、またプロフィル後脚部24がガイドレール案内面31に接触する状態となっている。
【0019】
この第1実施の形態の搬送ベルト10においては、搬送中の物品がベルト走行によって反動を受け、その負荷をプロフィル20の左側面22で受けてプロフィル本体21が右方向へ撓んで倒れようとする際、プロフィル20の後脚部24は歯付ベルト10の切欠部13に入り込んでいるからベルト本体には何ら干渉せず、ガイドレール案内面31に当接することで物品からの負荷を吸収する。歯付ベルト10はそのようにしてプロフィル20から無理な力を受けることなく、ベルト背面12などに損傷を受けない。
【0020】
次に、図2は、本発明に係る第2実施の形態として、同じく歯付ベルト10による搬送ベルトを示す平面図(a)と側面図(b)である。この場合の歯付ベルト10に設けられたプロフィルは、歯付ベルト10のベルト幅B方向でいう両端側に分離した2つのもの40A,40Bからなっている。それら一方と他方のプロフィル40A,40Bは、いずれも底辺部の前脚部43がベルト背面12に結合して固定されている。また、プロフィル本体41とその底辺部の後脚部44が歯付ベルト10の両側面14,15の外側に位置することで、歯付ベルト10のベルト本体との干渉を避けた構造である。また、プロフィル後脚部44は、上記図1の第1実施の形態の場合と同様に、ガイドレール案内面31に当接して接触するようになっている。
【0021】
したがって、この第2実施の形態の搬送ベルト10にあっても、二体に分離したプロフィル40A,40Bはベルト本体や背面12との干渉が避けられるようになっており、物品からの反動力負荷を受けても、それをプロフィル後脚部44がガイドレール案内面31との当接によって吸収して対応し、歯付ベルト10の本体や背面12に損傷を与えない。
【0022】
一方、図3は、参考形態として、同じく歯付ベルト10による搬送ベルトを示す正面図(a)と側面図(b)である。この場合の歯付ベルト10に設けられたプロフィル50は、その本体51の形状が従来例の図6で示されたものと基本的には同じである。そして特に、図10で従来構造の問題点として例示されたプロフィル3の底辺前脚部3bに亀裂が生じたりまた破断してベルト背面1bから離脱するという不具合の解消に有効な実施例である。即ち、プロフィル本体51の前脚部53は、歯付ベルト10の背面12に溶着などで一体的に結合固定され、プロフィル後脚部54は自由端としてベルト背面12に当接するか、または所要のクリアランスcを設けて臨んだ片足構造となっている。
【0023】
そうしたプロフィル本体51の形状において、搬送物品の突き当て面である左側面52の下部の前脚部53とベルト背面12とを互いに弾性で屈曲可能な材質のL字形ブラケット60で結合した構造である。ブラケット60の結合手段には、ボルト61,62などねじ類が用いられている。かかるブラケットは、図1〜2に示された態様についても適用される。
【0024】
以上の構造から、図3(b)中の矢印で示すように、物品からの反動力負荷とは逆方向の力がプロフイル本体51に働いた場合、このプロフイル本体51に、前脚部53を支点にした回転モーメントが作用する。その力が過大になってプロフィル前脚部53が破断(図10参照)に至ってしまう不具合を、上記ブラケット60があたかもヒンジ部材のように作用して弾性で屈曲する。プロフイル本体51は、前脚部53を支点に前方へ倒れ込み、それにより回転モーメントによる応力を吸収することにより、プロフィル前脚部53に亀裂が発生したり、また破断に至ってベルト背面12から離脱する不具合を防止できる。
【0025】
また、この図3に示すプロファイル50付きの参考形態の歯付ベルト10にあっては、従来例の図7と図8で示された装置や設備のスペース上の制約などで、外側アイドラとしての中間プーリが配置されている場合にも好適に対応できて有効である。すなわち、図4(a),(b)に示すように、この場合一対からなる中間プーリ70,71がプロフィル50に干渉しないように外側に配置され、ベルト背面12に接触して歯付ベルト10の走行を案内するレイアウトの場合に好適である。
【0026】
走行中の歯付ベルト10が、中間プーリ70,71に差し掛かって接触すると、歯付ベルト10は中間プーリ70,71の円周曲面に倣い逆反りになって屈曲する。ベルト逆反りによってプロフィル50の前脚部53と後脚部54がベルト背面12に干渉しようとするが、それ以前にプロフィル本体51全体がブラケット60をヒンジにして回動することで、ベルト背面12との干渉を回避する。結果、図9および図10で示されたような、プロフィル前脚53と後脚部54がベルト背面12に損傷を与え、またプロフィル自らも破断して離脱するといった不具合を解消することができる。
【0027】
【発明の効果】
本発明に係る搬送ベルトは、走行駆動中に搬送物品がベルト走行速度に応じて反動を受け、その負荷がプロフィルに働いて後方へ反って撓んだ場合でも、足元の後脚部はベルト背面に干渉しないので、従来のように後脚部がベルト背面に食い込むことで、プロフィルとベルト本体に互いに無理な力が作用して一方または双方が損傷するようなこともなく、耐久性に優れたものを得ることができる。
【0028】
特に、レイアウト上の回転駆動体の1つがアイドラとして配置された中間プーリであり、この中間プーリにベルト背面を接触させて走行案内される場合にも、対応可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る搬送ベルトの第1実施の形態であるプロフィル付き歯付ベルトを示す平面図(a)とその矢印Y−Y線からの一部断面側面図(b)である。
【図2】 本発明に係る搬送ベルトの第2実施の形態であるプロフィル付き歯付ベルトを示す平面図(a)と側面図(b)である。
【図3】 本発明の参考形態であるプロフィル付き歯付ベルトを示す正面図(a)と側面図(b)である。
【図4】 本発明にかかる搬送ベルトの他の形態であるプロフィル付き歯付ベルトとアイドラとしての中間プーリとの取り合いを示す正面図(a)と側面図(b)である。
【図5】 搬送ベルトとして従来例のプロフィル付き歯付ベルトを示す平面図(a)と側面図(b)である。
【図6】 同じく搬送ベルトとして他の従来例のプロフィル付き歯付ベルトを示す平面図(a)と側面図(b)である。
【図7】 アイドラとして中間プーリを配置した場合のプロフィル付き歯付ベルトを示す一般的なレイアウト図である。
【図8】 同レイアウトにおいて中間プーリとその従来例のプロフィル付き歯付ベルトとの取り合いを示す側面図である。
【図9】 その従来例のプロフィル付き歯付ベルトとの干渉によってベルト背面に損傷を与える状態を模式的に示す斜視図である。
【図10】 同じくその従来例のプロフィル付き歯付ベルトとの干渉によってプロフィル自体が損傷する状態を模式的に示す側面図である。
Claims (4)
- レイアウト上の複数の回転駆動体間に捲回されたベルト本体の背面に物品を担持して搬送し、搬送中の物品に背後から当接して物品の位置および姿勢を制御するためのプロフィルをベルト背面に立ち上げて設け、搬送中の物品から受ける反動応力に対して所要の剛性を確保するために、プロフィルの側面積をベルト長手方向に大きくして強化している搬送ベルトであって、
プロフィルのベルト背面から立ち上がる足元底辺部のベルト長手方向でいう一端側を基部とする前脚部がベルト背面に結合され、プロフィルの後脚部が対面する位置のベルト本体に切欠部を設け、この切欠部に自由端となっているプロフィルの後脚部を臨ませて干渉を避けるようにした搬送ベルト。 - プロフィルの後脚部をベルト本体の幅方向の外側に位置させた請求項1記載の搬送ベルト。
- プロフィルの前脚部を弾性屈曲自在なブラケットを介してベルト背面に結合させた請求項1記載の搬送ベルト。
- レイアウト上の回転駆動体の1つがアイドラとして配置された中間プーリであり、この中間プーリにベルト背面を接触させて走行案内される場合に対応可能な請求項1,2または3記載の搬送ベルト。
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