JP4178935B2 - 軌道台車による搬送システムの配車制御方法、並びに搬送システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、軌道台車による搬送システムの配車制御方法、並びに搬送システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、軌道上に複数の無人搬送台車を走行させて荷物の仕分け・搬送を行う搬送システムがある(例えば、特許文献1参照)。かかる搬送システムでは、運行制御コントローラによって、荷物の搬送中の台車(以下「搬送中台車」と称する)と、搬送中台車の走行経路上に存在していて且つ搬送作業を実施していない台車(以下「待機中台車」と称する)とを認識し、待機中台車に対しては、搬送中台車の移動経路の邪魔にならない軌道上の位置まで移動させるような追出し制御を行っていた。かかる追出し制御を行うためのデータは、所定の配車制御パラメータにより設定されている。このパラメータは、搬送システムの納入時に、顧客が希望・想定する最終運用搬送状況(搬送パターン、搬送量、台車数などの物流負荷)に応えるような固定パラメータとして選定されている。具体的には、運行制御コントローラは、軌道上で追出し対象となった待機中台車に対して、固定パラメータに基づく追出し時の設定停止位置まで移動するように指示を与える。この設定停止位置は、通常、予め想定されている搬送量のピーク時に頻繁に荷物を台車に提供するような搬送元ステーションの位置に設定される。このようにして、待機中台車には荷物を受け取る機会を適当に確保しながらも、待機中台車が搬送中台車の搬送作業の邪魔にならないよう配慮されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−292813号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のように追出し制御に用いるパラメータは、搬送システム納入時に決定されている固定的なパラメータであるため、物流負荷が当初想定していた状態から変化すると、搬送効率が低下する問題があった。すなわち、例えば、時間帯により搬送量が変化するような運用、搬送システム導入当初など立ち上げ期間中の少搬送量期間における運用、あるいは、生産計画の変更などによって搬送量が変更された後の運用においては、固定パラメータ決定時に想定した搬送量よりも実際の搬送量が著しく少なくなる場合がある。これは、換言すれば、搬送量が少ないにも拘わらず多数の台車が軌道上に投入されている状態である。よって、固定パラメータに基づく設定停止位置とその前後の付近で、多数の待機中台車が走行、停止、走行といった状態を無駄に繰り返すため、逆に軌道上で台車同士の車間距離が短くなり、渋滞を引き起こして、搬送中台車の搬送時間が遅れてしまうことにつながる。
【0005】
また、上記の問題に対応する方法として、作業者が現状にマッチした最適な(無駄な走行・停止を繰り返さない)値に固定パラメータを変更する方法や、過剰な投入台車を軌道外に払い出す方法がある。しかしながら、前者の方法では、搬送量が変化する都度、パラメータの見直しが必要で且つ作業者にとって変更の手間がかかる問題があり、後者の方法では、一時的に搬送システム全体を停止する必要があり、また、軌道外に払い出せる台車の数にも限りがある。
【0006】
従って、本発明は、物流負荷に変化があった場合にも、人手による配車制御パラメータの変更や投入台車数の調整などを行うことなく、搬送作業効率の低減を防止することができる、軌道台車による搬送システムの配車制御方法並びに搬送システムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、本発明は、軌道上に複数の台車を走行可能に設け、該台車と複数のステーションとの間で荷物の受け渡しを行う搬送システムの配車制御方法において、運行制御コントローラが、物流負荷に応じて、待機中台車の追出し制御に用いる配車制御パラメータの有効・無効の判定を行い、前記物流負荷の判断は、投入台車数又はそれに依存する値と搬送指示データ数との比較により行い、前者が後者よりも小さい場合には前記配車制御パラメータを有効とし、前者が後者よりも大きい場合には該配車制御パラメータを無効とし、前記運行制御コントローラが前記配車制御パラメータを有効としたときには、前記運行制御コントローラは、自動的に、搬送中台車からその搬送先ステーションまでの搬送経路中に位置するステーションであって荷物の排出確率の高いステーションに前記待機中台車を一旦停止させ、前記運行制御コントローラが前記配車制御パラメータを無効としたときには、前記運行制御コントローラは、搬送中台車からその搬送先ステーションまでの搬送経路中に、荷物の排出確率の高いステーションがある場合でも、前記荷物の排出確率の高いステーションに待機中台車を一旦停止させることなく、自動的に、前記軌道上において前記搬送中台車からその搬送先ステーションまでの搬送経路外となる位置に前記待機中台車を追出しすることを特徴とする。
【0008】
前記配車制御パラメータの有効・無効の設定変更は、前記の比較後、少なくとも所定の許容時間経過後に行うようにすると好適である。
【0009】
また、同目的を達成する別の本発明は、少なくとも一つの軌道と、前記軌道に走行可能に設けられそれぞれ複数のステーションとの間で荷物の受け渡しを行う複数の台車と、運行制御コントローラであって、前記運行制御コントローラは、待機中台車を、前記軌道上において搬送中台車からその搬送先ステーションまでの搬送経路外に追出す際に、物流負荷に応じて配車制御パラメータの有効・無効の判定を行い、前記物流負荷の判断は、投入台車数又はそれに依存する値と搬送指示データ数との比較により行い、前者が後者よりも小さい場合には前記配車制御パラメータを有効とし、前者が後者よりも大きい場合には該配車制御パラメータを無効とし、該待機中台車を前記搬送経路中の排出確率の高いステーションに一旦停止させるか否かを自動的に選択し、前記運行制御コントローラが前記配車制御パラメータを無効としたときには、搬送中台車からその搬送先ステーションまでの搬送経路中に、荷物の排出確率の高いステーションがある場合でも、前記荷物の排出確率の高いステーションに待機中台車を一旦停止させることなく、自動的に、前記軌道上において前記搬送中台車からその搬送先ステーションまでの搬送経路外となる位置に前記待機中台車を追出しする運行制御コントローラとを備えたことを特徴とする搬送システムである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に、本実施の形態に係る配車制御方法を適用する搬送システム1の構成を示す。搬送システム1は、少なくとも一つの閉じたループ軌道3と、ループ軌道3上に周回走行可能に設けられた複数(本実施の形態では3台)の台車5a,5b,5cと、運行制御コントローラ7とを備えている。ループ軌道3の近傍には、台車との間で荷物の供給・受け取りを行う複数(本実施の形態では6つ)のステーション9a,9b,9c,9d,9e,9fが設置されている。各台車5a〜5cには、各ステーション9a〜9fに対し荷物の積み下ろしを行うための移載機が設けられている。また、各台車5a〜5cは、運行制御コントローラ7と無線接続されており、これによって、運行制御コントローラ7は、各台車の搬送状態、走行状態、軌道上の位置、軌道内投入台車数などの情報を常に認識している。また、運行制御コントローラ7は、全体施設(本実施の形態では工場)管理用コンピュータ11と接続しており、この全体施設管理用コンピュータ11から搬送指示データを獲得している。搬送指示データは、どのステーションからどのステーションへ荷物の搬送を行うのかといった情報を有し、これに基づいて、運行制御コントローラ7が各台車5a〜5cに走行・追出し指示や搬送指示を割り付ける。
【0011】
次に、以上のような構成を有する搬送システムにおける軌道台車の配車制御方法について説明する。例として、図1に示すように、1号車である台車5aが荷物を搭載して第1のステーション9aにおいて荷物を降ろす搬送中台車であり、2号車である台車5bが1号車と第1のステーション9aとの間に存在する待機中台車である場合を説明する。まず、運行制御コントローラ7は、図2に示すように、ステップS1として、軌道内に投入され荷物の搬送が可能な状態の台車数(X)を把握する。なお、かかる投入台車数(X)の情報は、前述したように各台車5a〜5cとの交信により獲得しており、したがって、運行制御コントローラ7は各台車の搬送状態、走行状態、軌道上の位置などの他の情報も保有している。さらに、ステップS2として、運行制御コントローラ7は、全体施設管理用コンピュータ11から提供され保有している搬送指示データの数(Y)を把握する。なお、好適には、かかる保有搬送指示データ数(Y)の把握は所定のサンプリング周期(α)で行う。
【0012】
そして、ステップS3として、投入台車数(X)に適当な調整係数(β)を加えた値(以下、「修正投入台車数」と称する)と、保有搬送指示データ数(Y)との比較を行う。その結果、修正投入台車数(X+β)≦保有搬送指示データ数(Y)となっている場合、すなわち、搬送量に対して投入台車数が少ないか若しくは好適である場合には、待機中台車の追出し移動距離を短くすることで、待機中台車の荷物の引き取り効率を優先させる。したがって、運行制御コントローラ7は、ステップS4として、当初の配車制御パラメータを有効にした制御を続行する。例えば、図3に示されるように、1号車である台車5aの搬送先である第1のステーション9aまでの搬送経路中に、荷物の排出確立の高い第2のステーション9bがある場合、2号車である台車5bの追出し移動中に、かかる第2のステーション9bを搬送元とする搬送指示があることを期待して、2号車を第2のステーション9bまで移動させ一旦停止させる。そして、停止した2号車に対して割り付け可能な荷物の搬送指示が有るか否かを確認し、有る場合には搬送指示を割り付ける。無い場合には1号車の邪魔にならないように少なくとも1号車の搬送先である第1のステーション9aよりも前方の位置まで2号車を追出し移動させる。
【0013】
一方、ステップS3における比較の結果、修正投入台車数(X+β)>保有搬送指示データ数(Y)となっている場合、すなわち、搬送量に対して投入台車数が多い場合には、待機中台車の無駄な停止を防止して渋滞発生状況を減らし、搬送中の荷物の到着効率を向上させる。したがって、運行制御コントローラ7は、ステップS5として、当初の配車制御パラメータを無効にした制御に変更する。例えば、図4に示されるように、1号車の搬送先である第1のステーション9aまでの搬送経路中に、荷物の排出確立の高い第2のステーション9bがある場合でも、2号車に対しては、1号車の邪魔にならないように第2のステーション9bに停止させることなく一気に第1のステーション9aよりも前方の位置まで追出し移動させる。なお、追出し移動は少なくとも第1のステーション9aよりも前方の位置まで追い出せれば十分であるが、第1のステーション9aの前方に、荷物の排出確立の高い第3、第4のステーション9c、9eがある場合には、1号車前方の2号車及び3号車をそれぞれ第4及び第3のステーション9e及び9cまで追出すようにすると好適である。
【0014】
このように、本実施の形態の配車制御方法によれば、配車制御パラメータに適合した物流負荷の状態においては、当該配車制御パラメータを有効にした配車制御を行い、物流負荷が配車制御パラメータと適合しない状態に変化した場合には、配車制御パラメータを無効にして搬送中台車の荷物の到着効率を優先させる。このため、搬送量の変化や投入台車数の変化などによる物流負荷の変動があった場合にも、人手による配車制御パラメータの変更や投入台車数の調整などを行うことなく、搬送作業効率の低減を防止することができる。
【0015】
また、上記において、ステップS3における比較により配車パラメータの有効・無効の状態を変更すべき場合にも、ステップS3の比較後すぐに配車パラメータの変更を行わず、所定の許容時間(γ)が経過するまでの物流負荷の推移を監視して、その間、例えばステップS3の比較結果が反転するような状態が頻繁に生じていない場合などにのみ、ステップS4、S5以降の処理を行う態様でもよい。かかる態様によれば、搬送量が頻繁に変化するような状態においても、瞬間的な搬送量の変動による誤判定を防止することが可能となる。
【0016】
なお、本発明の搬送システム及びその配車制御方法は、以上に説明してきた実施の形態に限定されるものではなく、様々な改変を施して実施することが可能である。すなわち、物流負荷の判断方法として用いる修正投入台車数は、投入台車数に単純に調整係数を加算した値に限定されるものではなく、投入台車数に依存する値であれば他の操作によって得られた値でもよい。さらに、物流負荷の判断方法として、投入台車数自体と保有搬送指示データ数との比較による形態であってもよい。さらに、物流負荷の判断方法は、投入台車数自体またはそれに依存する値と保有搬送指示データ数との比較のみにより行うことに限定されるものではなく、例えば、複数のステーション間の荷物の受け渡し頻度のバラツキなど搬送パターンを判断要素として加味した態様でもよい。
【0017】
さらに、上記実施の形態は、有軌道式台車による搬送システムについて実施した場合を例に説明したが、本発明はこれに限定されず、無軌道式台車の搬送システムに実施することも可能である。
【0018】
また、搬送システムを適用する施設も特に限定されるものではなく、例えば、倉庫などの物流分野は勿論、病院におけるカルテや薬の管理あるいはデパートにおける伝票管理など、医療分野や小売分野を含めて様々な分野において実施することができる。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の搬送システム及びその配車制御方法は、物流負荷に変化があった場合にも、人手による配車制御パラメータの変更や投入台車数の調整などを行うことなく、搬送作業効率の低減を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る搬送システムの概要を示す図である。
【図2】 本発明の実施の形態に係る搬送システムの配車制御方法を示すフローチャートである。
【図3】 本発明の実施の形態に係る搬送システムにおいて、配車制御パラメータを有効にした場合の配車態様を示す図である。
【図4】 本発明の実施の形態に係る搬送システムにおいて、配車制御パラメータを無効にした場合の配車態様を示す図である。
【符号の説明】
1…搬送システム、3…軌道、5a,5b,5c…台車、7…運行制御コントローラ、9a,9b,9c,9d,9e,9f…ステーション。
Claims (3)
- 軌道上に複数の台車を走行可能に設け、該台車と複数のステーションとの間で荷物の受け渡しを行う搬送システムの配車制御方法において、
運行制御コントローラが、物流負荷に応じて、待機中台車の追出し制御に用いる配車制御パラメータの有効・無効の判定を行い、
前記物流負荷の判断は、投入台車数又はそれに依存する値と搬送指示データ数との比較により行い、前者が後者よりも小さい場合には前記配車制御パラメータを有効とし、前者が後者よりも大きい場合には該配車制御パラメータを無効とし、
前記運行制御コントローラが前記配車制御パラメータを有効としたときには、前記運行制御コントローラは、自動的に、搬送中台車からその搬送先ステーションまでの搬送経路中に位置するステーションであって荷物の排出確率の高いステーションに前記待機中台車を一旦停止させ、
前記運行制御コントローラが前記配車制御パラメータを無効としたときには、前記運行制御コントローラは、搬送中台車からその搬送先ステーションまでの搬送経路中に、荷物の排出確率の高いステーションがある場合でも、前記荷物の排出確率の高いステーションに待機中台車を一旦停止させることなく、自動的に、前記軌道上において前記搬送中台車からその搬送先ステーションまでの搬送経路外となる位置に前記待機中台車を追出しする
ことを特徴とする搬送システムの配車制御方法。 - 前記配車制御パラメータの有効・無効の設定変更は、前記の比較後、少なくとも所定の許容時間経過後に行う
ことを特徴とする請求項1に記載の搬送システムの配車制御方法。 - 少なくとも一つの軌道と、
前記軌道に走行可能に設けられそれぞれ複数のステーションとの間で荷物の受け渡しを行う複数の台車と、
運行制御コントローラであって、
前記運行制御コントローラは、
待機中台車を、前記軌道上において搬送中台車からその搬送先ステーションまでの搬送経路外に追出す際に、物流負荷に応じて配車制御パラメータの有効・無効の判定を行い、
前記物流負荷の判断は、投入台車数又はそれに依存する値と搬送指示データ数との比較により行い、前者が後者よりも小さい場合には前記配車制御パラメータを有効とし、前者が後者よりも大きい場合には該配車制御パラメータを無効とし、
該待機中台車を前記搬送経路中の排出確率の高いステーションに一旦停止させるか否かを自動的に選択し、
前記運行制御コントローラが前記配車制御パラメータを無効としたときには、搬送中台車からその搬送先ステーションまでの搬送経路中に、荷物の排出確率の高いステーションがある場合でも、前記荷物の排出確率の高いステーションに待機中台車を一旦停止させることなく、自動的に、前記軌道上において前記搬送中台車からその搬送先ステーションまでの搬送経路外となる位置に前記待機中台車を追出しする
運行制御コントローラと
を備えたことを特徴とする搬送システム。
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