JP4178497B2 - 電気二重層コンデンサの製造装置及び製造方法 - Google Patents

電気二重層コンデンサの製造装置及び製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気二重層コンデンサの製造装置及び電気二重層コンデンサの製造方法に関し、特に活性炭を電極材料として適用した電気二重層コンデンサの製造装置及び電気二重層コンデンサの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯情報機器や電気自動車等、幅広い産業分野において、電気二重層コンデンサ等のコンデンサ型蓄電池を備えた二次電池を駆動用電源に適用する技術が研究されている。
一般に、電気二重層コンデンサを含むコンデンサに蓄積されうる電気エネルギーEは、コンデンサの端子間電圧(充電電圧)をV、静電容量(コンデンサ容量)をCとすると、次式のように表される。
E=1/2・C・V ……(1)
【0003】
上記(1)式より、コンデンサに、より大きな電気エネルギーEを蓄積するためには、静電容量C、又は、端子間電圧Vを大きくする必要があるが、特に、端子間電圧Vの二乗値が電気エネルギーEに大きく影響することから、コンデンサの端子間に高電圧を印加することがコンデンサの電気的特性上、極めて有効である。
【0004】
ここで、電気二重層コンデンサは、一般的には、図8に示すように、賦活処理により炭素材料を多孔質化して生成された活性炭を適用した一対の分極性電極101a、101bを、絶縁性のセパレータ103を介して対向して配置し、該一対の分極性電極101a、101bの各々に個別の集電極102a、102bを接触させた積層体を有し、該積層体を所定の電解液104に浸漬させてコンデンサセル(ケース)105内に密閉した構成を有している。また、図示を省略したが、各集電極102a、102bには、コンデンサセル105の外部に延在する取り出し電極(端子)が設けられている。なお、電気二重層コンデンサの具体的な構成については、後述する。
【0005】
このような電気二重層コンデンサの製造方法においては、従来、原料となる椰子殻、石油ピッチ、石油コークス、フェノール樹脂等の炭素質材料を概ね300〜900℃の温度条件で炭化し、その後、例えば、水蒸気、二酸化炭素等の雰囲気中で概ね650〜750℃の温度条件で加熱する水蒸気賦活、あるいは、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)等のアルカリを混合して、不活性雰囲気で概ね400〜700℃の温度条件で加熱するアルカリ賦活等を行うことにより、炭化した上記炭素質原料の表面に吸着に適した多数の細孔を生成して多孔質化し、最終的に洗浄、乾燥、粉砕工程を行い、電極材料としての活性炭を得ていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような賦活処理により生成された活性炭を分極性電極に適用した電気二重層コンデンサにおいては、上述した賦活処理(特に、アルカリ賦活)の際に、高温の温度条件下で賦活剤(例えば、水酸化カリウム)と炭素質原料との化学反応が生じ、化学的に不安定なカルボキシル基(−COOH)や水酸基(−OH)等の官能基やガス等の不純物が発生して、これらの不純物が、賦活により活性化した炭素質原料(活性炭)の表面に形成された細孔に吸着、結合することにより、活性炭の化学的安定性、特に、電気化学的安定性が損なわれていた。
【0007】
ここで、賦活処理後には、活性炭の洗浄、乾燥処理が行われるが、これらの処理によっては、上記吸着した官能基やガス等の不純物を十分除去して、化学的安定性を改善することはできなかった。そのため、このような活性炭を電気二重層コンデンサの分極性電極に適用した場合、活性炭の表面細孔に吸着した不純物の影響で、静電容量を小さくさせたり、内部抵抗の増加を生じるという問題を有していた。
【0008】
また、上述した電気二重層コンデンサにおいて、主要構成部を構成する積層体を浸漬する電解液として、有機系の電解液を用いた場合にあっては、積層体やコンデンサセル内に含有又は存在する水分により電解液の化学分解が促進されて、電気二重層コンデンサの寿命が短命化するという問題も有していた。
【0009】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑み、電気化学的安定性が良好な活性炭電極材料として用い、静電容量及び内部抵抗を改善することができ、さらに、コンデンサ寿命を長期化することができる電気二重層コンデンサの製造装置及び電気二重層コンデンサの製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る電気二重層コンデンサの製造装置は、炭素材料に所定の賦活処理を行い生成された活性炭に対して、所定の真空状態になるように脱気しつつ、400〜900℃の温度条件で熱処理を行ってから、還元性ガスを供給し、中間製造物としての前記熱処理された活性炭を形成する熱処理手段と、前記熱処理手段に隣接し、前記熱処理された活性炭を不活性ガス雰囲気で所定の形状に成形して、分極性電極を形成し、絶縁性のセパレータを介して対向するように配置するとともに、集電極を接触させた、中間製造物としてのコンデンサ主要部を形成する電極形成手段と、前記電極形成手段に隣接し、前記コンデンサ主要部を収納したセル内に所定の電解液を真空雰囲気で注入して、電解液が注入された中間製造物としてのセルを形成する電解液注入手段と、前記電解液注入手段に隣接し、不活性ガス雰囲気で、前記コンデンサ主要部を前記電解液に浸漬した状態で、前記セルを封止して中間製造物としての封止された前記セルを形成するセル封止手段と、前記各手段を相互に隔絶することによって、前記各手段の雰囲気及び前記各手段の温度を保持するしきりバルブと、を有し、前記しきりバルブは前記各手段における処理開始前及び処理終了後において開放され、隣接する手段への中間製造物の搬出入が順次実行されることを特徴とする。
【0011】
すなわち、電気二重層コンデンサの分極性電極に用いられる活性炭の改質方法において、アルカリ等の賦活処理により生成された活性炭に対して、400〜900℃の温度条件で熱処理を行うことにより、活性炭の結晶化を抑制しつつ、活性炭の表面細孔に吸着した反応ガスや官能基等の不純物の結合を解除して脱離させ、かつ、熱処理雰囲気を所定の真空状態(気圧条件)に保持することにより、上記脱離した不純物が表面細孔近傍から排除される。
これにより、表面細孔に吸着した化学的に不安定な不純物に起因する活性炭の化学的安定性の劣化を改善して、活性炭表面を活性化することができ、電気化学的安定性に優れた活性炭を提供することができる。
【0012】
ここで、熱処理工程において、脱気後、所定の還元性ガス雰囲気中で熱処理を行うことが好ましい。すなわち、熱処理雰囲気に水素等の還元性ガス、又は、還元性ガスと不活性ガスの混合ガスを供給することにより、上記熱処理により活性炭の表面細孔から脱離した不純物が還元されて表面細孔近傍から排除される。
これにより、活性炭の表面細孔から脱離した不純物が、活性化した活性炭表面に再び吸着、結合するダングリングボンドを抑制することができるので、活性炭の化学的安定性を向上させつつ、活性炭表面を活性化することができる。
【0013】
ここで、上記賦活処理により生成される活性炭の比表面積が120m/g以下に設定されているものであってもよく、これにより、電気二重層コンデンサの分極性電極に適用した場合に、静電容量の増加及び内部抵抗の低減を図ることができる電極材料を良好に製造することができる。
【0014】
また、上記熱処理は、活性炭を構成する炭素環相互の間隔が0.363nm以下になるように、少なくとも、上記温度条件及び真空状態を含む熱処理条件が設定されているものであってもよい。
これにより、炭素環相互の間隔が、炭素材料の賦活処理の際に発生する反応ガスや官能基等の不純物が活性炭の表面細孔に吸着していると考えられる場合(0.364nm以上)に比較して、狭く(0.363nm以下)なるように熱処理が行われるので、化学的に不安定な不純物の結合を解除して離脱させた活性炭材料を製造することができ、活性炭の化学的特性の劣化を改善して、電気化学的安定性に優れた活性炭を良好に製造することができる。
【0015】
本発明に係る電気二重層コンデンサの製造方法は、熱処理手段内において、炭素材料に所定の賦活処理を行い生成された活性炭に対して、所定の真空状態になるように脱気しつつ、400〜900℃の温度条件で熱処理を行ってから、還元性ガスを供給し、中間製造物としての前記熱処理された活性炭を形成する熱処理工程と、前記熱処理手段に隣接した不活性ガス雰囲気の電極形成手段内において、前記熱処理された活性炭を不活性ガス雰囲気で所定の形状に成形して分極性電極を形成し、絶縁性のセパレータを介して対向するように配置するとともに、集電極を接触させた中間製造物としてのコンデンサ主要部を形成する電極形成工程と、前記電極形成手段に隣接した不活性ガス雰囲気の電解液注入手段内において、不活性ガス雰囲気で、前記コンデンサ主要部を収納したセル内に所定の電解液を真空雰囲気で注入して、電解液が注入された中間製造物としてのセルを形成する電解液注入工程と、前記電解液注入手段に隣接した不活性ガス雰囲気のセル封止手段内において、中間製造物として前記コンデンサ主要部を前記電解液に浸漬した状態で、前記セルを封止して中間製造物としての封止された前記セルを形成するセル封止工程と、を有し、前記各手段を相互に隔絶することによって、前記各手段の雰囲気及び前記各手段の温度を保持するしきりバルブは、前記各工程における処理開始前及び処理終了後において開放され、隣接する工程への中間製造物の搬出入を行って、前記各工程順次実行されることを特徴としている。
【0016】
すなわち、活性炭を電極材料に適用した電気二重層コンデンサの製造方法において、熱処理手段によりアルカリ賦活処理により生成された活性炭に対して、400〜900℃の温度条件で熱処理を行うとともに、熱処理手段、電極形成手段、電解液注入手段及びセル封止手段により行われる電気二重層コンデンサを製造する各処理工程が、外気から遮断された還元性ガス雰囲気又は不活性ガス雰囲気等の特定の雰囲気内で行われる。
【0017】
これにより、活性炭の結晶化を抑制しつつ、活性炭の表面細孔に吸着した反応ガスや官能基等の不純物の結合を解除して脱離させ、かつ、熱処理雰囲気を所定の真空状態(気圧条件)に保持することにより、上記脱離した不純物を表面細孔近傍から除去することができるので、表面細孔に吸着した化学的に不安定な不純物に起因する活性炭の化学的安定性の劣化を改善して、活性炭表面を活性化することができ、静電容量及び内部抵抗を改善した電気二重層コンデンサを提供することができる。また、外気等に含まれる水分等の影響を受けることなく電気二重層コンデンサを製造することができるので、水分による電気二重層コンデンサの電気的特性の劣化を抑制することができる。
【0018】
ここで、上記熱処理は、脱気後、所定の還元性ガスが供給された雰囲気で、活性炭に対して熱処理を継続するようにすることが好ましく、上記熱処理手段における前記活性炭の熱処理の際に、所定の還元性ガスを供給する還元性ガス供給手段を備えた構成を有するものであってもよい。
【0019】
すなわち、還元性ガス供給手段により熱処理雰囲気に水素等の還元性ガス、又は、還元性ガスと不活性ガスの混合ガスを供給することにより、上記熱処理により活性炭の表面細孔から官能基等の不純物が脱離して生じるダングリングボンド部位に還元性ガスの水素が結合するので、脱離した官能基等の不純物が再び吸着するダングリングボンド部位と結合することが大幅に抑制される。したがって、電気二重層コンデンサの静電容量及び内部抵抗を一層改善して電気的特性に優れた電気二重層コンデンサを提供することができる。
【0020】
また、上述した電気二重層コンデンサの製造方法において、少なくとも、コンデンサ主要部を形成する工程及びケース内に電解液を注入する工程は、含有水分が管理された所定の雰囲気で行われるものであってもよく、少なくとも、電極形成手段及び電解液注入手段に対して、含有水分が管理された不活性ガスを供給する不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段を備えた構成を有するものであってもよい。
【0021】
これにより、上記熱処理における活性炭の表面細孔からの不純物の除去後、化学的安定性を向上させた活性炭表面が水分環境に晒されることなく、電極が形成されて電解液に浸漬されるので、活性炭の化学的安定性を良好に保持することができ、電気二重層コンデンサの静電容量及び内部抵抗の改善を図ることができるとともに、有機系の電解液を使用した場合であっても、電解液の劣化を抑制してコンデンサ寿命の長期化を図ることができる。
【0022】
さらに、上述した電気二重層コンデンサの製造方法に適用される活性炭は、比表面積が120m/g以下に設定されているものであってもよく、これによれば、電気二重層コンデンサの静電容量の増加及び内部抵抗の低減を図ることができることが実験的に実証された。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係電気二重層コンデンサの製造装置及び電気二重層コンデンサの製造方法の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
<製造装置>
まず、本発明に係る電気二重層コンデンサの製造装置について説明する。
図1は、本発明に係る電気二重層コンデンサの製造装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【0024】
本実施形態に係るコンデンサ製造装置は、大別して、熱処理手段10と、電極形成手段20と、電解液注入手段30と、セル封止手段40と、還元性ガス供給手段50と、不活性ガス供給手段60と、熱処理手段10、電極形成手段20、電解液注入手段30、セル封止手段40の各々の処理雰囲気を隔絶するしきりバルブPV1〜PV3と、を有して構成されている。
【0025】
以下、各構成について、詳しく説明する。
熱処理手段10は、少なくとも、内蔵されたヒーター等により活性炭材料に対して、400〜900℃の温度条件で熱処理を行う熱処理炉本体(例えば、ベーク炉等)11と、熱処理炉本体11内部(炉内)の雰囲気を所定の真空状態に設定する真空ポンプ等の真空設定部12と、上記各部11、12及び後述する還元性ガス供給手段50を制御することにより、少なくとも、熱処理時の温度条件や真空状態、還元性ガスの供給量等を設定制御する熱処理制御部13と、を備え、アルカリ賦活により生成された活性炭に対して、所定の熱処理条件(真空状態、温度条件、還元性ガス供給条件等)で熱処理を施して、活性炭に形成された細孔に吸着した官能基やガス等の不純物を除去する改質処理を行う。
【0026】
電極形成手段20は、少なくとも、上記熱処理手段10において熱処理された活性炭に対して、必要に応じて結着剤や導電材を混合して圧延、切り出しを行って所定の形状に成形し、分極性電極(図3中、101a、101b参照)を形成する電極形成部21と、該分極性電極及びセパレータ(図3中、103参照)、集電極(図3中、102a、102b参照)を、コンデンサセル(ケース;図3中、105参照)内に積層形成するセル組立部22と、を備え、分極性電極及びセパレータ、集電極からなる電気二重層コンデンサの主要構成部(積層体)をコンデンサセル内に形成する処理を行う。
【0027】
電解液注入手段30は、少なくとも、所定の電解液をコンデンサセル内に注入する電解液注入部31と、上記電解液の注入に先立って、コンデンサセル内を負圧に真空排気する真空設定部32と、を備え、コンデンサセル内に所定の電解液を注入することにより、電気二重層コンデンサの主要構成部を電解液に浸漬する処理を行う。
セル封止手段40は、少なくとも、コンデンサセルに設けられた電解液注入口を封止する注入口封止部41を備え、上記電気二重層コンデンサの主要構成部が電解液に浸漬されたコンデンサセルを密閉する処理を行う。
【0028】
還元性ガス供給手段50は、上記熱処理炉本体11の内部に所定の還元性ガス、例えば、不活性ガスであるアルゴンガス(Ar)中に、還元性ガスである水素を添加(含有)した混合ガスを供給して、上記熱処理される活性炭に対して、還元処理を行う。ここで、還元性ガスは、例えば、熱処理手段10内に設けられた熱処理制御部13により供給制御される。
【0029】
不活性ガス供給手段60は、上記電極形成手段20、電解液注入手段30、セル封止手段40の内部に所定の不活性ガス、例えば、含有する水分量が少なくなるように管理されたアルゴンガス(Ar)を供給して、上記熱処理(還元処理)により化学的に安定化した活性炭表面を水分環境に晒すことなく、電極の形成及び電解液の注入を行う。
【0030】
しきりバルブPV1〜PV3は、各々、上記熱処理手段10と電極形成手段20間、電極形成手段20と電解液注入手段30間、電解液注入手段30とセル封止手段40間に設けられ、各手段相互の処理雰囲気を隔絶して、各処理雰囲気が独立して設定することができるように構成されている。各しきりバルブPV1〜PV3は、各手段における処理開始前及び処理終了後においてのみ開放され、隣接する手段への中間製造物(活性炭やコンデンサセル)の搬出入が行われる。
【0031】
なお、本実施形態に係るコンデンサの製造装置は、上記各構成に加えて、熱処理手段10、電極形成手段20、電解液注入手段30、セル封止手段40の各々の処理雰囲気を保持した状態で、上記中間製造物等を搬出入するための搬送手段を備えていてもよい。
【0032】
<製造方法>
次に、上述した構成を有する電気二重層コンデンサの製造装置を適用した電気二重層コンデンサの製造方法について、図面を参照して説明する。
図2は、本発明に係る活性炭材料の製造方法の一実施形態を示すフローチャートであり、図3は、本実施形態に係る電気二重層コンデンサの製造方法により製造される電気二重層コンデンサの組立構成図である。なお、ここでは、必要に応じて、上述した製造装置の構成(図1)を適宜参照しながら説明する。
【0033】
(STEP1)炭化処理工程
図2に示すように、まず、活性炭の原料となるヤシ殻、石炭、石炭コークス、石油ピッチ、石油コークス、フェノール樹脂等、あるいは、これらの混合物等を300〜900℃の温度条件で熱処理することにより炭化した後、破砕して、炭素材料を得る。
【0034】
(STEP2)賦活処理工程
次いで、上記炭素材料とアルカリを混合して、不活性雰囲気で概ね500〜900℃の温度条件で加熱することにより、炭素材料を活性化してアルカリ賦活を行う。ここで、アルカリとしては、水酸化カリウム(KOH)や水酸化ナトリウム(NaOH)等が適用される。これにより、上記炭素材料の表面に無数の細孔が形成されて、所定の比表面積を有する多孔質の活性炭が生成される。アルカリ賦活後、生成された活性炭は、洗浄、乾燥工程を経て、活性炭に混在あるいは付着する不純物が取り除かれる。
【0035】
(STEP3)熱処理工程
次いで、図1に示すように、賦活処理された活性炭Mcを活性炭保管容器VSに収納し、熱処理手段10の熱処理炉本体11に搬入する。そして、熱処理制御部13からの指令に基づいて、まず、真空設定部12により炉内を脱気して、気圧を、例えば、概ね1E−6Torr程度にまで真空度を高め、その後、熱処理炉本体11に設けられたヒーターにより400〜900℃の任意の温度条件、例えば、600℃まで加熱処理する。
【0036】
ここで、熱処理炉内の温度が上昇して、概ね300℃程度に達すると、上記アルカリ賦活後の洗浄、乾燥工程によっては取り除かれなかった不純物(具体的には、アルカリ賦活により活性炭の表面細孔内の吸着サイトに吸着した官能基やガス等)の結合が解除されて放出されることにより、熱処理炉内の真空状態(真空度)が変動するため、この真空状態が安定するまで熱処理炉本体11における上記熱処理と真空設定部12による脱気を継続することにより、活性炭から上記不純物を十分放出させる。なお、熱処理に適用される温度条件(400〜900℃)については、後述する。
【0037】
(STEP4)還元処理工程
上記熱処理が進んで、熱処理炉内の真空状態(真空度)が安定した後、熱処理制御部13からの指令に基づいて、還元性ガス供給手段50により、例えば、不活性ガスであるアルゴンガス(Ar)中に、還元性ガスである水素(H)を3%添加(含有)した混合ガスを、熱処理炉内(熱処理雰囲気)に供給し、600℃の温度条件で1時間熱処理を継続(保持)する。その後、上記混合ガス(還元性ガス)を供給した状態で、熱処理炉内の温度を室温付近にまで冷却する。これにより、上記熱処理により官能基等の不純物が離脱し、活性化された活性炭表面において還元性ガスによる還元反応が生じて安定化するので、一旦離脱した不純物が再び活性炭の表面細孔に吸着するダングリングボンド(再結合)の発生が大幅に抑制される。
【0038】
(STEP5)電極形成工程
次いで、熱処理手段10と電極形成手段20との間に設けられたしきりバルブPV1を開放して、上記熱処理を経た活性炭(電極材料)を電極形成手段20へ搬送した後、しきりバルブPV1を遮断する。このとき、電極形成手段20内部の雰囲気は、予め、不活性ガス供給手段60により、例えば、アルゴンガス(Ar)等の不活性ガスが満たされた状態に設定しておく。
【0039】
そして、電極形成手段20の電極形成部21により、上記不活性ガス雰囲気中で、熱処理された活性炭と導電剤、結着剤、例えば、2wt%(重量パーセント)のテトラフロオロエチレン(PTFE)粉末を加えて混練、圧延して、例えば、厚さ5mmのシート状に成形する。その後、このシートから所望の形状の活性炭材料を切り出し、例えば、200℃、12時間の温度条件で真空乾燥することにより、電気二重層コンデンサの正極及び負極の分極性電極(図3(a)中、101a、101bに相当)を得る。
【0040】
次いで、セル組立部22により、図3(a)に示すように、一対の分極性電極101a、101bの一面側を、ポリエチレンテレフタレート等の絶縁物からなるセパレータ103を介して対向して配置するとともに、分極性電極101a、101bの他面側にアルミニウム等の金属材料からなる個別の集電極102a、102bを接触させることにより、図3(b)に示すように、電気二重層コンデンサの主要構成部(積層体)STKを形成する。そして、この主要構成部STKは、例えば、上部ケース105a、下部ケース105b、ガスケット105cからなる、絶縁性又は導電性のコンデンサセル105内に収納される(図3においては、絶縁性のコンデンサセルを示す)。
【0041】
ここで、後述する電解液注入工程において、電解液として有機系電解液を用いる場合には、コンデンサセル内に含有又は存在する水分が、コンデンサの電気的特性や寿命に影響を及ぼすので、上述した主要構成部STKの形成に先立って、分極性電極(活性炭)101a、101b以外の構成部材、すなわち、セパレータ103、集電極102a、102b、及び、コンデンサセル105を、予め200℃程度の温度条件でベークして、各構成部材に含まれる水分を除去(脱水)しておく。
【0042】
(STEP6)電解液注入工程
次いで、電極形成手段20と電解液注入手段30との間に設けられたしきりバルブPV2を開放して、上記主要構成部STKが収納されたコンデンサセル105を電解液注入手段30へ搬送した後、しきりバルブPV2を遮断する。このとき、電解液注入手段30内部の雰囲気は、予め、不活性ガス供給手段60により、電極形成手段20と同等の雰囲気、例えば、アルゴンガス(Ar)等の不活性ガスが満たされた状態に設定しておく。
【0043】
そして、まず、電解液注入手段30の真空設定部32により、コンデンサセル105内が陰圧になるように真空排気した後、電解液注入部31により、例えば、N−エチル−N−メチルピロリジニウム塩(MEPYBF4)を電解質とし、スルフォラン+エチル−メチル−カーボネイト(75vol%SLF+25vol%EMC)を溶媒とした濃度2.3mol/Lの有機系電解液104を、図示を省略した電解液注入口を介してコンデンサセル105内に注入して、上記主要構成部STKを浸漬する。
【0044】
(STEP7)セル封止工程
次いで、電解液注入手段30とセル封止手段40との間に設けられたしきりバルブPV3を開放して、上記電解液104が注入されたコンデンサセル105をセル封止手段40へ搬送した後、しきりバルブPV3を遮断する。このとき、セル封止手段40内部の雰囲気は、予め、不活性ガス供給手段60により、電解液注入手段30と同等の雰囲気、例えば、アルゴンガス(Ar)等の不活性ガスが満たされた状態に設定しておく。
【0045】
そして、注入口封止部41により、コンデンサセル105の電解液注入口を封止することにより、図3(c)に示すような電気二重層コンデンサ100が完成する。その後、完成した電気二重層コンデンサ100に対して、1回だけ規定の充電電圧以上の高電圧を印加して、電荷の充放電動作を行う電気賦活処理を行い、電気二重層コンデンサ100を電気的に活性化する。
【0046】
なお、図3(c)に示した電気二重層コンデンサ100において、コンデンサセル105(上部ケース105a、下部ケース105b)の材質として、絶縁性材料を適用する場合には、コンデンサセル105内の集電極102a、102bから、電気的に独立した取り出し電極を延在させて、電気二重層コンデンサの両端子とする。一方、導電性材料を適用する場合には、各々の集電極102a、102bに電気的に接触し、絶縁性のガスケット105cにより電気的に独立した上部ケース105a及び下部ケース105bを、そのまま電気二重層コンデンサ100の両端子とすることができる。なお、本実施形態においては、上部ケース105a及び下部ケース105bを、絶縁性材料により構成した場合について示した。
【0047】
このような電気二重層コンデンサの製造方法によれば、熱処理手段10において、アルカリ賦活処理により生成された活性炭に対して、400〜900℃の温度条件で熱処理を行うとともに、該熱処理の際に、所定の還元性ガスを供給することにより、活性炭の表面細孔に吸着した不純物が脱離して除去されるとともに、これにより活性化した活性炭表面が還元されるので、活性炭の表面細孔から脱離した不純物が活性炭表面に再び吸着、結合するダングリングボンドが抑制されて、活性炭の化学的安定性が向上する。
【0048】
本実施形態に係る活性炭の改質方法での熱処理を施す前後(熱処理前/熱処理後)の活性炭材料(試料)の炭素環(主に、ベンゼン核)の面方向に広がった複数の積層体のうち、互いに隣接する炭素環層の間隔を広角X線回折によって測定したところ、熱処理前に比較して、400〜900℃での熱処理後には、積層体のうちの互いに隣接する炭素環層の間隔が狭くなっていることが判明した。
【0049】
これは、アルカリ賦活処理後であって、熱処理前の活性炭材料の表面細孔には、官能基やガス等の不純物が吸着されていることによる立体障害のため、炭素環層の相互の間隔が広い状態(0.364〜0.370nm)にあるのに対して、アルカリ賦活処理後に、400〜900℃の温度条件で熱処理を施すことにより、上記不純物が活性炭材料の表面細孔から脱離、除去されて、炭素環層の相互の間隔が狭い状態(0.358〜0.363nm)に移行したことを意味している。したがって、活性炭中の炭素原子の充填密度が大きくなるので単位体積当たりの静電容量を大きくすることができることが明らかになった。
【0050】
また、少なくとも、電気二重層コンデンサの主要構成部を形成する電極形成工程及びコンデンサセル内に有機系電解液を注入する電解液注入工程を含む、一連の電気二重層コンデンサの製造工程が、熱処理手段、電極形成手段、電解液注入手段及びセル封止手段により、外気から遮断された特定の雰囲気中で実行され、かつ、電極形成手段、電解液注入手段及びセル封止手段における処理雰囲気が、不活性ガス供給手段により、含有水分が管理されているので、外気等に含まれる水分等の影響を受けることなく、電解液イオンと活性炭(分極性電極)との電気二重層が良好に形成され、電気二重層コンデンサの電気的特性の劣化が抑制されるとともに、コンデンサ寿命が長寿命化する。
【0051】
なお、本実施形態に示した熱処理工程おいては、還元性ガス(混合ガス)として、水素を添加した不活性ガス(アルゴンガス)を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、水素ガス単独の雰囲気中で熱処理を施すものであってもよい。また、還元性ガスは、水素に限定されるものではなく、例えば、メタン、エタン等の飽和炭化水素ガスであってもよい。また、還元性ガス以外であっても、主として酸素原子を有する官能基を除去することができる、エチレンやアセチレンガス等の反応性の高い不飽和炭化水素ガスであってもよい。
【0052】
さらに、混合ガスに用いるキャリヤガスとして、アルゴンガス等に不活性ガスを用いた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、他の希ガスを適用してもよい。加えて、上述した実施形態に示した熱処理における製造条件は、少なくとも、400〜900℃の温度条件で熱処理を行うものであれば、他の圧力条件(真空状態)や、熱処理時間等で行うものであってもよい。
【0053】
ここで、上述した熱処理工程に適用される温度条件について、図面を参照して説明する。
図4は、本実施形態に係る電気二重層コンデンサの製造方法における熱処理工程により生成された活性炭の熱分析の結果を示すグラフである。ここでは、熱分析の手法として示差熱分析法(DTA)と熱重量測定法(TGA)を用い、示唆熱DTと熱質量TGの実験データを異なる座標軸(左側Y軸及び右側Y軸)を用い、同一のグラフに示す。
【0054】
図4に示すように、熱処理中の活性炭の示差熱の変化を示すDT曲線(Sdt)は、熱処理温度376.8℃付近をピークとした上側に凸の曲部と、より高温の熱処理温度で下側に凸の曲部からなる曲線を有している。このことにより、上側に凸の曲部においては発熱反応が生じ、何らかの分解反応が生じていることを示し、下側に凸の曲部においては吸熱反応が生じていることを示しているので、活性炭の表面細孔に吸着していた不安定な官能基や水分、ガスが分解、脱離していることを意味している。
【0055】
一方、熱質量の変化を示すTG曲線(Stg)は、熱処理温度265.1℃付近を境界にして、より高温側で熱質量が大きく低下する傾向を有している。このことにより、熱処理温度が概ね300℃を越えると、活性炭の表面細孔に吸着していた不安定な官能基や水分、ガスが分解、脱離して除去されていることを意味している。
【0056】
このように、熱処理温度が概ね300℃を越えた辺りから、活性炭の表面細孔に吸着した官能基やガス等の不純物が脱離することが判明したが、図4に示された実験データを総合的に判断すると、不純物の脱離が確実に進行し、活性炭表面が良好に活性化されるためには、300℃よりも幾分高い温度、概ね400℃以上の熱処理温度を適用することが好ましい。
【0057】
また、熱処理温度を極端に高く設定(概ね900℃以上)すると、活性炭の結晶化が進んで、コンデンサとしての電気化学的特性が劣化することが、発明者の各種実験から判明している。よって、活性炭の結晶化を抑制しつつ、活性炭の表面細孔に吸着したガスや官能基等の不純物を良好に脱離させて、活性炭の電気化学的安定性を向上させるためには、概ね400〜900℃の温度条件で熱処理を行うことが適切であるという結論を得た。
【0058】
したがって、本実施形態に係る電気二重層コンデンサの製造方法において、アルカリ賦活処理により生成された活性炭に対して、400〜900℃の温度条件で熱処理を行い、さらに、該熱処理雰囲気に水素等の還元性ガスを供給する処理を行うことにより、活性炭の表面細孔に吸着した化学的に不安定な不純物を良好に除去することができるとともに、活性化した活性炭表面を安定化することができる。
【0059】
次に、上述したような電気二重層コンデンサの製造装置及び製造方法を適用して製造された電気二重層コンデンサにおける電気的特性について、図面を参照して説明する。
図5は、上述した製造装置及び製造方法により製造される電気二重層コンデンサにおいて、分極性電極に適用される活性炭(試料)の比表面積と、熱処理工程の前後における電気二重層コンデンサの電気的特性との関係を示す実験データである。ここでは、試料A1〜A5からなる活性炭の比表面積と、単位体積当たりの静電容量(静電容量密度)及び内部抵抗との関係を示す。
【0060】
図5に示すように、比表面積が120m/g以下に設定された試料A1〜A5のいずれの活性炭材料においても、熱処理前に比較して、熱処理後には、静電容量密度が概ね増加するとともに、内部抵抗が確実に低下する傾向があることが判明した。これは、アルカリ賦活処理後であって、熱処理前の活性炭の表面細孔には、官能基やガス等の不純物が吸着されていることにより、活性炭の比表面積に関わらず、分極性電極における帯電が阻害されて静電容量密度が低く(30.6〜32.6F/ml)抑えられるとともに、内部抵抗が高く(25.2〜37.3Ω)なる傾向があるのに対して、アルカリ賦活処理後に、400〜900℃の温度条件で熱処理を施すとともに、水素等の還元性ガスを供給することにより、比表面積が120m/g以下の活性炭では、上記不純物が活性炭の表面細孔から十分に脱離、除去され、静電容量密度が概ね増加(33.6〜35.6F/ml)するとともに、内部抵抗が低く(19.2〜25.1Ω)抑えられた状態に移行したことを意味している。
【0061】
したがって、本実施形態に係る製造方法により、比表面積が120m/g以下に設定され、かつ、400〜900℃の温度条件で熱処理を行って製造された活性炭を電気二重層コンデンサの分極性電極に適用することにより、活性炭の表面細孔に吸着した化学的に不安定な不純物を良好に除去して、活性炭の電気化学的特性を安定させることができるので、電気二重層コンデンサの静電容量密度を増加させつつ、内部抵抗を大幅に低減することができ、電気的特性に優れた電気二重層コンデンサを提供することができる。
【0062】
次いで、熱処理温度と電気二重層コンデンサにおける静電容量密度及び内部抵抗との関係について示す。
図6は、熱処理温度と電気二重層コンデンサの静電容量密度との関係を示す相関データであり、図7は、熱処理温度と電気二重層コンデンサの内部抵抗との関係を示す相関データである。ここでは、試料となる活性炭として、上述した120m/g以下の比表面積を有する活性炭(代表例として比表面積32m/gを有する試料A4)を用いた場合と、120m/g以上の比表面積を有する活性炭(例として比表面積360m/gを有する試料X)を用いた場合について比較検討する。
【0063】
図6に示すように、比表面積が120m/g以下の活性炭(試料A4)を分極性電極として適用した電気二重層コンデンサにおける静電容量密度は、熱処理温度が概ね400〜600℃程度であるときに、35〜36F/mlにまで顕著に増加する傾向が観測された。一方、比表面積が120m/gよりも大きい、例えば、比表面積360m/gの活性炭(試料X)においては、熱処理温度に関わらず、略30F/ml程度の静電容量密度を示し、ほとんど変化が観測されなかった。
【0064】
また、図7に示すように、比表面積が120m/g以下の活性炭(試料A4)を分極性電極として適用した電気二重層コンデンサにおける内部抵抗は、熱処理温度が概ね400℃以上であるときに、略20Ω以下にまで顕著に低下する傾向が観測された。一方、比表面積が120m/gよりも大きい、例えば、比表面積360m/gの活性炭(試料X)においては、熱処理温度に関わらず、18〜22Ω程度の内部抵抗を示し、ほとんど変化が観測されなかった。
【0065】
このような静電容量密度及び内部抵抗の変化傾向は、上述した図4において示した、活性炭の表面細孔に吸着した官能基やガス等の不純物の脱離が確実に進行し始める熱処理温度、すなわち、300〜400℃と一致し、これにより、比表面積が120m/g以下の活性炭において、化学的な安定性が向上し、電荷の蓄積が良好に行われて静電容量密度が増加するとともに、内部抵抗が大幅に減少して、電気二重層コンデンサの電気的特性が改善されることが判明した。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る活性炭の改質方法によれば、賦活処理により生成された活性炭に対して、400〜900℃の温度条件で熱処理を行うことにより、活性炭の結晶化を抑制しつつ、活性炭の表面細孔に吸着した反応ガスや官能基等の不純物の結合を解除して脱離させ、かつ、熱処理雰囲気を所定の真空状態(気圧条件)に保持することにより、上記脱離した不純物が表面細孔近傍から排除される。
これにより、表面細孔に吸着した化学的に不安定な不純物に起因する活性炭の化学的安定性の劣化を改善して、活性炭表面を活性化することができ、電気化学的安定性に優れた活性炭を提供することができる。
【0067】
また、本発明によれば、活性炭を電極材料に適用した電気二重層コンデンサの製造方法において、熱処理手段によりアルカリ賦活処理により生成された活性炭に対して、400〜900℃の温度条件で熱処理を行うとともに、熱処理手段、電極形成手段、電解液注入手段及びセル封止手段により行われる電気二重層コンデンサを製造する各処理工程が、外気から遮断された還元性ガス雰囲気又は不活性ガス雰囲気等の特定の雰囲気内で行われる。
【0068】
したがって、活性炭の結晶化を抑制しつつ、活性炭の表面細孔に吸着した反応ガスや官能基等の不純物の結合を解除して脱離させ、かつ、熱処理雰囲気を所定の真空状態(気圧条件)に保持することにより、上記脱離した不純物を表面細孔近傍から除去することができるので、表面細孔に吸着した化学的に不安定な不純物に起因する活性炭の化学的安定性の劣化を改善して、活性炭表面を活性化することができ、静電容量及び内部抵抗を改善した電気二重層コンデンサを提供することができる。また、外気等に含まれる水分等の影響を受けることなく電気二重層コンデンサを製造することができるので、水分による電気二重層コンデンサの電気的特性の劣化を抑制することができる。
【0069】
ここで、上記熱処理は、脱気後、所定の還元性ガスが供給された雰囲気で、活性炭に対して熱処理を継続するようにすることが好ましく、上記熱処理手段における前記活性炭の熱処理の際に、所定の還元性ガスを供給する還元性ガス供給手段を備えた構成を有するものであってもよい。
【0070】
すなわち、還元性ガス供給手段により熱処理雰囲気に水素等の還元性ガス、又は、還元性ガスと不活性ガスの混合ガスを供給することにより、上記熱処理により活性炭の表面細孔に吸着した不純物が脱離して活性化した活性炭表面が還元されるので、活性炭の表面細孔から脱離した不純物が活性炭表面に再び吸着、結合するダングリングボンドを抑制して、活性炭の化学的安定性を向上することができる。したがって、電気二重層コンデンサの静電容量及び内部抵抗を一層改善して電気的特性に優れた電気二重層コンデンサを提供することができる。
【0071】
また、上述した電気二重層コンデンサの製造方法において、少なくとも、コンデンサ主要部を形成する工程及びケース内に電解液を注入する工程は、含有水分が管理された所定の雰囲気で行われるものであってもよく、少なくとも、電極形成手段及び電解液注入手段に対して、含有水分が管理された不活性ガスを供給する不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段を備えた構成を有するものであってもよい。
【0072】
これにより、上記熱処理における活性炭の表面細孔からの不純物の除去後、化学的安定性を向上させた活性炭表面が水分環境に晒されることなく、電極が形成されて電解液に浸漬されるので、活性炭の化学的安定性を良好に保持することができ、電気二重層コンデンサの静電容量及び内部抵抗の改善を図ることができるとともに、有機系の電解液を使用した場合であっても、電解液の劣化を抑制してコンデンサ寿命の長期化を図ることができる。
【0073】
さらに、上述した電気二重層コンデンサの製造方法に適用される活性炭は、比表面積が120m/g以下に設定されているものであってもよく、これによれば、電気二重層コンデンサの静電容量の増加及び内部抵抗の低減を図ることができることが実験的に実証された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電気二重層コンデンサの製造装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】本発明に係る活性炭材料の製造方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【図3】本実施形態に係る電気二重層コンデンサの製造方法により製造される電気二重層コンデンサの組立構成図である。
【図4】本実施形態に係る電気二重層コンデンサの製造方法における熱処理工程により生成された活性炭の熱分析の結果を示すグラフである。
【図5】分極性電極に適用される活性炭(試料)の比表面積と、熱処理工程の前後における電気二重層コンデンサの電気的特性との関係を示す実験データである。
【図6】熱処理温度と電気二重層コンデンサの静電容量密度との関係を示す相関データである。
【図7】熱処理温度と電気二重層コンデンサの内部抵抗との関係を示す相関データである。
【図8】従来技術における電気二重層コンデンサの概略構成を示す断面図である。
【符号の説明】
10 熱処理手段
20 電極形成手段
30 電解液注入手段
40 セル封止手段
50 還元性ガス供給手段
60 不活性ガス供給手段
100 電気二重層コンデンサ

Claims (3)

  1. 炭素材料に所定の賦活処理を行い生成された活性炭に対して、所定の真空状態になるように脱気しつつ、400〜900℃の温度条件で熱処理を行ってから、還元性ガスを供給し、中間製造物としての前記熱処理された活性炭を形成する熱処理手段と、
    前記熱処理手段に隣接し、前記熱処理された活性炭を不活性ガス雰囲気で所定の形状に成形して、分極性電極を形成し、絶縁性のセパレータを介して対向するように配置するとともに、集電極を接触させた、中間製造物としてのコンデンサ主要部を形成する電極形成手段と、
    前記電極形成手段に隣接し、前記コンデンサ主要部を収納したセル内に所定の電解液を真空雰囲気で注入して、電解液が注入された中間製造物としてのセルを形成する電解液注入手段と、
    前記電解液注入手段に隣接し、不活性ガス雰囲気で、前記コンデンサ主要部を前記電解液に浸漬した状態で、前記セルを封止して中間製造物としての封止された前記セルを形成するセル封止手段と、
    前記各手段を相互に隔絶することによって、前記各手段の雰囲気及び前記各手段の温度を保持するしきりバルブと、
    を有し、
    前記しきりバルブは前記各手段における処理開始前及び処理終了後において開放され、隣接する手段への中間製造物の搬出入が順次実行されることを特徴とする電気二重層コンデンサの製造装置。
  2. 熱処理手段内において、炭素材料に所定の賦活処理を行い生成された活性炭に対して、所定の真空状態になるように脱気しつつ、400〜900℃の温度条件で熱処理を行ってから、還元性ガスを供給し、中間製造物としての前記熱処理された活性炭を形成する熱処理工程と、
    前記熱処理手段に隣接した不活性ガス雰囲気の電極形成手段内において、前記熱処理された活性炭を不活性ガス雰囲気で所定の形状に成形して分極性電極を形成し、絶縁性のセパレータを介して対向するように配置するとともに、集電極を接触させた中間製造物としてのコンデンサ主要部を形成する電極形成工程と、
    前記電極形成手段に隣接した不活性ガス雰囲気の電解液注入手段内において、不活性ガス雰囲気で、前記コンデンサ主要部を収納したセル内に所定の電解液を真空雰囲気で注入して、電解液が注入された中間製造物としてのセルを形成する電解液注入工程と、
    前記電解液注入手段に隣接した不活性ガス雰囲気のセル封止手段内において、中間製造物として前記コンデンサ主要部を前記電解液に浸漬した状態で、前記セルを封止して中間製造物としての封止された前記セルを形成するセル封止工程と、
    を有し、
    前記各手段を相互に隔絶することによって、前記各手段の雰囲気及び前記各手段の温度を保持するしきりバルブは、前記各工程における処理開始前及び処理終了後において開放され、隣接する工程への中間製造物の搬出入を行って、前記各工程順次実行されることを特徴とする電気二重層コンデンサの製造方法。
  3. 前記熱処理が行われる活性炭は、比表面積が120m2/g以下に設定されていることを特徴とする請求項記載の電気二重層コンデンサの製造方法。
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