JP2000107598A - 高導電性活性炭及びその製造方法 - Google Patents
高導電性活性炭及びその製造方法Info
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Abstract
気抵抗が低下した高導電性活性炭、及びその製造方法を
提供する。 【解決手段】 原料活性炭を熱処理してなり、又は原料
活性炭の表面に炭素質物質を介して導電性粉末を転着し
た後熱処理してなり、よって少なくとも部分的に黒鉛化
された結晶構造を有し、熱処理前より電気抵抗が低下し
ている高導電性活性炭である。
Description
れる燃料蒸発ガス発散防止用キャニスタや、燃料電池の
改質器等に使用するのに好適な高導電性活性炭及びその
製造方法に関する。
れているので、ガス成分の吸着分離用媒体として広く使
用されている。特に自動車の燃料蒸発ガスをトラップす
るためのキャニスタや、炭化水素又はアルコール等の分
解により得た水素ガスを利用する燃料電池に付属する改
質器等に、活性炭が使用されている。吸着したガス量が
増大すると活性炭の吸着能が低下するので、活性炭の再
活性化のために、ガス成分の脱離処理を行う必要があ
る。
われる。活性炭の加熱には、外部から加熱したり、加熱
空気を流通させたりする方法があるが、最近ガス脱離を
効率的に行うために、活性炭に直接通電することにより
加熱する方法が試みられている(特開平6-280694号)。
する構造を有し、電気抵抗が比較的大きいため、直接通
電により発熱させるには導電性が不十分である。そのた
め、活性炭の導電性を向上させる試みがなされている。
例えば特願平09-260536 号は、電気抵抗が500 Ω/(2.
5cm )3 以下の高導電性活性炭を使用した燃料蒸発ガス
発散防止用キャニスタを提案している。
熱効率との兼ね合いから、活性炭の電気抵抗は活性炭に
接続する導線の電気抵抗とほぼ同じであるのが好まし
い。しかしながら、ガス成分の吸着能が高い活性炭は、
大きな比表面積、空孔率等を有するために、比較的電気
抵抗が大きく、上記条件を満たすことができない。通常
市販の活性炭の電気抵抗は、原料、製造条件等によって
異なるが、一般に106 〜数十Ω/125cm3の範囲内にあ
る。電気抵抗の大きな活性炭に通電させても、通電量が
少なすぎ、活性炭をガス成分の脱離に必要な温度まで発
熱させるのが難しい。そのため、通電により十分に発熱
する活性炭が望まれている。また通電時の安全性及び耐
久性を高めるために、より高い発火点及び硬度を有する
活性炭が望まれている。
能を実質的に失うことなく電気抵抗が低下した高導電性
活性炭、及びその製造方法を提供することである。
関係について解析した結果、通常活性炭は異方導電性を
示す黒鉛に類似した無定形炭素構造を有し、図1(a) に
模式的に示すように、乱層構造で非黒鉛化炭素が多い。
この非黒鉛化炭素の割合が多い活性炭ほど、電気的抵抗
が高くなる傾向があることが分かった。これに対して、
黒鉛化した炭素の場合、図2(a) に示すように、黒鉛化
炭素が成長したものほど、その成長方向に導電性が高く
なることが分かった。
ような多環芳香族結晶のsp2 混成軌道のπ電子の波動で
伝わると考えられている。これに対して、図1(b) に示
すように、活性炭の組織には導電を阻害する官能基が表
面に多く存在しているので、多環芳香族結晶のπ電子の
活動が阻害されていると考えられる。
極力低減させて、π電子間で発生する波動を効率よく伝
わらせるために、活性炭を黒鉛化することにより多環芳
香族結晶を成長させることが電気導電性の向上に有効で
あることが分かった。
部分的に黒鉛化された(多環芳香族結晶が成長した)結
晶構造を付与するために、黒鉛化温度以上で熱処理する
と、活性炭の電気抵抗が低下することを発見し、本発明
を完成した。
させる用途に使用する本発明の高導電性活性炭は、熱処
理により少なくとも部分的に黒鉛化された結晶構造を有
するために、熱処理前より電気抵抗が低下していること
を特徴とする。電気抵抗を所望のレベルに低下させる
と、最小の通電エネルギーで発熱させることができ、も
ってガス成分の脱離を効率よく行うことができる。
性炭は、表面に炭素質物質を介して導電性粉末を転着し
た後、熱処理されている。導電性粉末の付着により熱処
理温度が低くても高い導電性が得られ、また同じ熱処理
温度では未転着の活性炭よりも高い導電性が得られる。
炭素質物質としてはピッチが好ましく、また導電性粉末
としてはカーボン粉末及び/又は金属粉末が好ましい。
に使用する高導電性活性炭を製造する本発明の方法は、
不活性ガス雰囲気中で結晶構造を黒鉛化する温度以上で
前記活性炭を熱処理し、もってその電気抵抗を熱処理前
より低下させることを特徴とする。不活性ガス雰囲気中
で黒鉛化温度以上で熱処理することにより、活性炭のガ
ス吸着能を実質的に損なうことなく、導電性を著しく向
上させることができる。
を活性炭の製造温度+100 ℃以上とし、また熱処理の保
持時間を3時間以下とする。活性炭の製造温度+100 ℃
以上の熱処理温度により、活性炭の結晶構造の黒鉛化を
十分に達成することができる。熱処理時間が3時間超と
なると、ガス吸着活性を低下させるおそれがある。これ
らの条件を満たす熱処理により、ガスの吸着活性をほと
んど低下させることなく、効率的な抵抗発熱を起こす導
電性を得ることができる。
炭の表面に炭素質物質を介して導電性粉末を転着した
後、不活性ガス雰囲気中で熱処理する。これにより酸化
反応等を起こすことなく活性炭の結晶組織は黒鉛化し、
活性炭のガス吸着活性はほとんど低下せずに、その導電
性が向上する。
炭をそのまま使用できる。活性炭の原料として、木材、
石炭、石油ピッチ、オリーブ、ヤシ殻、特殊フェノール
等が挙げられる。
を経て製造される。活性炭の賦活法として、リン酸、塩
化亜鉛、アルカリ薬品等を使用した薬品賦活法や、水蒸
気賦活法等が挙げられる。賦活処理時の最高加熱温度は
約600 〜800 ℃である。
られた活性炭は、ガス吸着能が高くかつ安価であるので
好ましい。しかし、これらの活性炭の電気抵抗は通常10
3 〜106 Ω/125cm3であり、そのままでは通電加熱に適
さない。一方、石炭、ヤシ殻等の原料から作られた活性
炭の電気抵抗は数十Ω/125cm3と木材由来の活性炭より
低いものの、抵抗発熱に適する電気抵抗より大きい。従
って、いずれの活性炭も熱処理により電気抵抗を低下さ
せる必要がある。なお活性炭の電気抵抗は、図3に示す
容器1(50mm×50mm×50mm、内容積125cm3)に充填して
測定した値である。
理により製造する。熱処理により、活性炭の組織中の黒
鉛結晶が成長し、電気抵抗が低減する。熱処理温度は活
性炭の黒鉛化温度以上である必要がある。黒鉛化温度未
満の熱処理温度では、短時間で黒鉛結晶が十分に成長せ
ず、電気抵抗の顕著な低下が得られない。活性炭の黒鉛
化温度は一般に700 〜1200℃程度である。
般に3時間以下が好ましい。熱処理時間が3時間超であ
ると、活性炭の機械的強度が低下するだけでなく、その
ガス吸着能も低下するので好ましくない。より好ましい
熱処理時間は0.25〜2時間である。
て速くなるので、熱処理時間を短縮するには、熱処理温
度を高くすればよい。従って、熱処理温度は活性炭の製
造温度+100 ℃以上であるのが好ましい。活性炭の製造
温度は通常600 〜800 ℃であるので、熱処理温度を700
〜900 ℃以上に設定すれば良い。熱処理温度までの昇温
速度及び熱処理後の冷却速度については特に制限はな
く、活性炭の熱応力による破損を防止するために、昇温
時間を0.5 時間以上とし、250 ℃までの冷却時間を2時
間以上とするのが好ましい。
るために、熱処理を窒素ガス雰囲気等の不活性ガス雰囲
気中で行う。使用可能な不活性ガスとしては、窒素、ア
ルゴン等が挙げられる。
得られるが、いっそう顕著な電気抵抗の低下を達成する
ためには、活性炭に炭素質物質を介して導電性粉末を転
着した後で熱処理するのが好ましい。導電性粉末を転着
することにより、活性炭表面の導電性が改善され、活性
炭粒子同士の接触面での電気抵抗が著しく低下する。
ーボン粉末や、Cu、Ni、Ag、Cr、Al、Zn等の金属粉末を
使用することができる。カーボン粉末及び金属粉末は単
独でも混合して使用しても良い。導電性粉末の平均粒径
は特に制限されないが、分散性を良好にするために、1
〜100 μm程度であれば良い。
としては、クレオソート油、石油ピッチ等のタール状物
が好ましい。
転着する方法の一例として、炭素質物質として石油ピッ
チを使用し、導電性粉末としてカーボンブラックを使用
する場合について、説明する。
状バインダーとし、活性炭の表面に均一に塗布する。バ
インダーの粘度は溶剤の添加量により調節する。バイン
ダーを塗布した活性炭をカーボンブラックを含有する容
器に入れ、容器を回転させることにより、カーボンブラ
ックを活性炭の表面に均一に付着させる。カーボンブラ
ックの転着量は、活性炭100重量部に対して1〜10重
量部とするのが好ましい。カーボンブラックの転着量が
10重量部を超えると、活性炭の吸着サイトが減少し、ガ
ス吸着能が劣化するので好ましくない。また転着量が1
重量部未満であると、導電性の改善が見られない。
を熱処理すると、活性炭内で黒鉛結晶が成長するととも
に、炭素質物質が実質的に炭化する。そのため実質的に
ガス吸着能が低下することなく、活性炭の導電性が改善
される。
る場合、熱処理温度は活性炭の製造温度−100 ℃以上で
あれば良い。熱処理温度が活性炭の製造時の最高加熱温
度より多少低くても、導電性粉末の作用により電気抵抗
を大きく低下させることができる。勿論、製造温度+10
0 ℃以上とすれば、活性炭の電気抵抗はより低下する。
の活性炭より低い電気抵抗を有するとともに、硬さ及び
機械的強度も向上している。
種類及び熱処理条件(温度及び時間等)により異なる
が、特に800 ℃以上の温度で熱処理した場合、100 Ω/
125cm3以下になる。例えば、木材又はオリーブを原料と
する活性炭を900 ℃の温度で熱処理すると、電気抵抗は
熱処理前の103 〜106 Ω/125cm3から約100 Ω/125cm3
以下に低下する。また石炭やコークス等を原料とする活
性炭の電気抵抗も熱処理前より20%以上低下する。
蒸発ガス発散防止用キャニスタに使用する場合、12Vの
低電圧で迅速に必要温度まで抵抗発熱させることができ
る。これにより、ガソリン等の吸着成分の脱離を効率良
く行うことが可能になる。
は優れた機械的強度及び硬さを有するので、キャニスタ
等に密に充填した場合でも破損する恐れが著しく小さ
い。そのため、本発明の高導電性活性炭は良好な耐久性
を有する。
少するが、ガス吸着に有効な40Å以下の細孔の減少は限
定的であり、ガス吸着能に与える影響は軽微であると考
えられる。それよりも抵抗発熱を効果的に行えるので、
活性炭に吸着したガス成分を効率よく脱離させることが
できるようになり、活性炭の再生(再活性化)が容易と
なる。
明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
なお各実施例及び比較例に使用した原料活性炭は下記表
1に示す通りである。
を、(a) アルミナ容器に充填し、(b) 焼成炉(KDF75 、
(株)デンケン製)内にセットし、(c) 窒素ガスを5リ
ットル/分の速度で流しながら、表2に記載の熱処理温
度まで1時間かけて昇温し、表2に記載の熱処理時間で
保持した後、(d) 3〜4時間かけて250℃以下に冷却
し、(e) 熱処理した活性炭を焼成炉から取り出し、室温
に3時間以上放置した。
す一対のアルミニウム電極21、22と絶縁板3から構成さ
れた容器1(50mm×50mm×50mm)内に充填し、抵抗計4
(型番:HIOKI 3224、日置(株)製)を用いて電気抵抗
を測定した。測定結果を表2に併せて示す。
℃と製造温度(650 ℃)より250 ℃高い場合には、熱処
理時間が2時間(実施例1)でも1時間(実施例2)で
も、得られた高導電性活性炭の電気抵抗は同じであっ
た。また熱処理温度が650 ℃と製造温度と同じ場合(実
施例3)、電気抵抗の低下が認められたが、低下の程度
は僅かであった。
処理前の原料活性炭aの組織を、透過型電子顕微鏡(TO
PCON EM-002B 、加速電圧200 kV )により観察した。
図4は実施例1の高導電性活性炭の透過型電子顕微鏡写
真を示し、図5は熱処理前の原料活性炭aの透過型電子
顕微鏡写真を示す。図4及び図5の比較から、熱処理に
より活性炭組織中の黒鉛結晶が成長したことが確認でき
た。これから、熱処理により活性炭の組織が黒鉛化し、
電気抵抗が低下したことが分かる。
Quantachrom 社製)を用いて、実施例1及び2で得られ
た高導電性活性炭、及び熱処理前の原料活性炭aに対し
て、細孔径分布を測定した。結果を図6に示す。図6か
ら分かるように、熱処理前の原料活性炭aに比べて、実
施例1及び2の高導電性活性炭のいずれも細孔体積が減
少していた。また実施例1と実施例2の細孔径分布はほ
ぼ同じであった。
熱処理温度及び熱処理時間以外は実施例1と同じ方法
で、高導電性活性炭を作製し、その電気抵抗を実施例1
と同じ方法で測定した。結果を表3に示す。
製造方法に関係なく、実施例4〜9のように活性炭の製
造温度よりも高い温度で熱処理すると、活性炭の電気抵
抗が大きく低下した。また実施例10、11のように活性炭
の製造温度と同じ温度で熱処理しても、電気抵抗の低下
が認められたが、低下の程度は比較的小さかった。これ
から、2時間と比較的短い時間で活性炭の電気抵抗を大
きく低下させるためには、活性炭の製造温度よりも10
0℃以上高温で熱処理するのが好ましいことが分かる。
性炭d)で得られた高導電性活性炭について、JIS K147
4 の方法に従って、発火点及び硬さを測定した。また比
較として原料活性炭b及びdについても発火点及び硬さ
を測定した。なお硬さはJISK1474 の方法にしたがって
活性炭を鋼球とともに振とうした後ふるいにかけ、ふる
いに残った活性炭の割合(%)で表す。結果を表4に示
す。
炭の発火点及び硬さがいずれも向上した。これは、熱処
理により黒鉛結晶が成長し、その結果、結晶組織の安定
性及び規則性が増したためと考えられる。
Quantachrom 製)を用いて、実施例1と同じ方法で、実
施例4及び6で得られた高導電性活性炭及びそれらの原
料活性炭b、dの細孔径分布を測定した。図7は実施例
4の高導電性活性炭及び原料活性炭bの細孔径分布を示
し、図8は実施例6の高導電性活性炭及び原料活性炭d
の細孔径分布を示す。図7及び8から分かるように、熱
処理前の活性炭に比べて、実施例4,6の高導電性活性
炭のいずれも細孔体積が減少していた。
ドケムコ(株)製)とクレオソート油(商品名:RY217C
191 、アドケムコ(株)製)とを1:2の割合で混合し
た液状バインダーを塗布した後、カーボンブラック(#4
000 )とともに円筒容器に入れて密閉し、円筒容器を3
分間回転させることにより、カーボンブラックを活性炭
表面に転着させた。活性炭100 重量部に対するカーボン
ブラックの転着量は5重量部であった。
それぞれ900 ℃(実施例12)又は600 ℃(実施例13)の
熱処理温度とした以外は実施例2と同じ条件で熱処理し
た。得られた高導電性活性炭を図3に示す容器1と相似
形状の容器(25mm×25mm×25mm、内容積15.6cm3 )に充
填し、実施例2と同じ方法で電気抵抗を測定した。測定
結果を表5に示す。また同じ方法で測定した実施例2の
高導電性活性炭の電気抵抗の測定結果も表5に併せて示
す。
クを転着した実施例12の高導電性活性炭の電気抵抗は、
転着しなかった実施例2の高導電性活性炭の電気抵抗よ
りも著しく低く、導電性粉末の転着の効果が顕著である
ことが分かる。また熱処理温度(600 ℃)が活性炭の製
造温度(650 ℃)よりも低い場合(実施例13)でも、カ
ーボンブラックを転着することにより電気抵抗が著しく
低下することが分かった。
する高導電性活性炭の抵抗発熱耐久試験を行った。図9
(a) は実験用キャニスタ11の断面図であり、図9(b) は
側面図である。パイプ12からキャニスタ11内にガソリン
蒸気を導入し、電極13、14の間に充填された高導電性活
性炭15を経て、パイプ16から排出した。使用した高導電
性活性炭15は実施例2で得たもので、充填量は1.25リッ
トルであった。
ングし、ガソリン蒸気/空気の混合ガスを1.0 リットル
/分の速度でパイプ12からキャニスタ11内に導入し、活
性炭15に吸着させた。キャニスタ11のパイプ16から排出
されるガソリン蒸気の量をパイプ16に接続したトラップ
(図示せず)により吸着した。キャニスタ11の破過量、
すなわちトラップ吸着量をリアルタイムで測定し、破過
量が0.2 gになった時点で吸着操作を停止し、キャニス
タ11内の高導電性活性炭15に吸着したガソリン蒸気の量
(最大吸着量)を計測した。
の直流電圧をかけて、高導電性活性炭15を最高120 ℃ま
で加熱しながら、パイプ16から空気を22.7リットル/分
の速度でキャニスタ11内を通過させて、パイプ12から排
出した。通過空気量が375 リットルに達した時点でガソ
リン蒸気の脱離操作を停止し、キャニスタ11内の高導電
性活性炭15に残存するガソリンの量(脱離後残留量)を
計測した。この吸着・脱離操作を6サイクル繰り返し、
得られた各サイクルのガソリン最大吸着量及び脱離後残
留量を図10(a) にプロットした。
性炭aをキャニスタ11内に充填し、実施例14と同じ条件
でガソリン蒸気を吸着させた後で、ガソリン蒸気を吸着
した原料活性炭aを含有するキャニスタ11を60℃のオ
ーブン内に配置し、活性炭に通電せずに実施例14と同じ
通気条件でガソリン蒸気の脱離処理を行った。比較例1
においても6サイクルの吸着・脱離を行ない、各サイク
ルのガソリン最大吸着量及び脱離後残留量を図10(b) に
プロットした。
熱による脱離を行った実施例14では、吸着されたガソリ
ン蒸気の脱離がほぼ完全に行われ、92gの有効吸着量
(最大吸着量−脱離後残留量)を示した。一方、オーブ
ン内での外部加熱によりガソリン蒸気の脱離を行った比
較例1の活性炭では、各サイクルにおける有効吸着量が
約68gと少なく、吸着したガソリン蒸気の脱離が不完全
であることが分かる。
化温度以上の温度で熱処理して黒鉛結晶を成長させるこ
とにより、導電性の高い活性炭を得ることができる。本
発明の高導電性活性炭は直接通電により効果的に発熱す
るので、吸着したガス成分の脱離を効率的に行うことが
でき、短時間でガス吸着能を回復することができる。ま
た本発明の高導電性活性炭は良好な機械的強度及び硬さ
を有するので、キャニスタ等に密に充填しても破損する
ことがなく、良好な耐久性を示す。さらに炭素質物質を
介して導電性粉末を転着した後に熱処理を行えば、さら
に高い導電性の活性炭を得ることができる。このような
特徴を有する本発明の高導電性活性炭は、自動車等に搭
載される燃料蒸発ガス発散防止用キャニスタや、燃料電
池の改質器等に使用するのに好適である。
形炭素構造を模式的に示し、(b) は活性炭中の多環芳香
族結晶の化学構造の例を示す。
(a) は黒鉛化炭素構造を模式的に示し、(b) は高導電性
活性炭中の多環芳香族結晶の化学構造の例を示す。
置を示す斜視図である。
す透過型電子顕微鏡写真である。
電子顕微鏡写真である。
前の原料活性炭aの細孔分布をそれぞれ示すグラフであ
る。
料活性炭bの細孔分布をそれぞれ示すグラフである。
の細孔分布をそれぞれ示すグラフである。
面図であり、(b) は側面図である。
量と脱離後残留量を示すグラフであり、(a) は実施例14
の場合であり、(b) は比較例1の場合である。
Claims (5)
- 【請求項1】 抵抗発熱により吸着ガスを脱離させる用
途に使用する高導電性活性炭であって、熱処理により少
なくとも部分的に黒鉛化された結晶構造を有するため
に、熱処理前より電気抵抗が低下していることを特徴と
する高導電性活性炭。 - 【請求項2】 請求項1に記載の高導電性活性炭におい
て、表面に炭素質物質を介して導電性粉末を転着した
後、熱処理されていることを特徴とする高導電性活性
炭。 - 【請求項3】 抵抗発熱により吸着ガスを脱離させる用
途に使用する高導電性活性炭の製造方法において、不活
性ガス雰囲気中で結晶構造を黒鉛化する温度以上で活性
炭を熱処理し、もってその電気抵抗を熱処理前より低下
させることを特徴とする高導電性活性炭の製造方法。 - 【請求項4】 請求項3に記載の高導電性活性炭の製造
方法において、熱処理時間は3時間以下であることを特
徴とする高導電性活性炭の製造方法。 - 【請求項5】 請求項3又は4に記載の高導電性活性炭
の製造方法において、前記活性炭の表面に炭素質物質を
介して導電性粉末を転着した後、不活性ガス雰囲気中で
熱処理することを特徴とする高導電性活性炭の製造方
法。
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