JP4074263B2 - 電解液の精製方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電解液中の水分などの不純物を除去する電解液の精製方法、および得られた精製された電解液を用いて電気二重層キャパシタの製造する製造方法に関するものである。
大電流で充電・放電できる電気二重層キャパシタは、電気自動車、太陽電池補助電源、風力発電補助電源など充放電頻度の高い電力蓄積デバイスとして有望である。そのため、エネルギー密度が高く、急速充放電が可能で、耐久性に優れた電気二重層キャパシタが望まれている(例えば、第4回EV/HEVの先端技術に関するシンポジュウム−キャパシタ技術の現況と今後の課題「電気自動車用電池の先端技術に関する国際シンポジュウム」実行委員会 平成11年11月8日、など)。
このような電気二重層キャパシタは、1対の分極性電極を電解質溶液中にセパレータを介して対向させて正極および負極を構成したもので、分極性電極と電解液の界面に形成される電気二重層に電荷を蓄積することを原理とするものである。従って、電気二重層キャパシタの静電容量は、分極性電極の面積にほぼ比例するとの考え方から、従来、分極性電極の活物質として、細孔径が2nm程度以上の大きな比表面積を有する活性炭が専ら使用されている(例えば、特開2002−15958号公報など)。
一方、このような電気二重層キャパシタは、エネルギー密度の観点から有機電解質が用いられ、この有機電解質としては、テトラアルキルアンモニウム塩などを有機溶媒に溶解した電解液や、イミダゾリウム塩のような液体電解質あるいはこれを有機溶媒に溶解した非水系の電解液などが用いられている。なお、有機溶媒としては、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、ジメトキシメタン、γ−ブチルラクトン、アセトニトリルなどのような誘電率の高い非プロトン性の有機溶媒が用いられている。
このような非水系の電解液を用いた電気二重層キャパシタでは、電解液中に存在する水などの不純物が、電気二重層キャパシタの性能に影響を与えるため、電解液中の水などの不純物は可能な限り除去しておくことが好ましい。このような電解液中の不純物の除去方法としては、吸着脱水用カラムにより電解液中の水分などを除去する方法などが知られている(特許第3394400号公報)。
このような状況の下、電気二重層キャパシタの性能向上のため、電解液中の水分などの不純物をできる限り除去できる簡便な方法が求められている。
特開2002−15958号公報 特許第3394400号公報 第4回EV/HEVの先端技術に関するシンポジュウム−キャパシタ技術の現況と今後の課題「電気自動車用電池の先端技術に関する国際シンポジュウム」実行委員会 平成11年11月8日
本発明は、電気二重層キャパシタの性能に影響を与える電解液中の水など不純物を除去するための新たな方法を提供し、さらに当該方法により水など不純物が除去された電解液を用いて、電気二重層キャパシタを製造する方法を提供することを目的とする。
発明者らは上述の活性炭とは全く異なる特性を有する炭素材を用い、従来用いられてきた電解質を用いて静電容量、耐電圧に優れた電気二重層キャパシタを提案している(特開2000−77273号公報および特開2002−25867号公報)。そして、この電気二重層キャパシタの分極性電極として用いる非多孔性炭、すなわち活性炭とは全く異なる特性を有する炭素材である非多孔性炭が、静電容量発生に寄与する電解質イオンを消費することなしに、電解液中の水分などの不純物を除去することにも極めて有効に機能することを見いだし、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、非多孔性炭を用いて作製された複数の炭素電極間に、電解質イオンのインターカレーション開始電圧よりも低い電圧を印加しながら、該炭素電極と電解液とを接触させることを特徴とする、電解液中の水分を主体とする電解液中の低電位反応性物質を除去する電解液の精製方法である。
また、本発明は、有機系電解質を用いる電気二重層キャパシタにおいて、予め非多孔性炭を用いて作製した複数の炭素電極間に、電解質イオンのインターカレーション開始電圧よりも低い電圧を印加しながら、電解液を接触させ、水分を主体とする電解液中の低電位反応性物質を除去する方法である。なお、この有機系電解質を用いる電気二重層キャパシタは、分極性電極として本発明で用いる非多孔性炭を用いて作製されたものばかりでなく、従来の活性炭を用いて作製されたもののいずれであってもよく、いわゆる非水系の有機電解液を用いた電気二重層キャパシタの全てが含まれる。
本発明で用いる非多孔性炭とは、特開2002−25867号公報や特開2002−362912号公報に記載されているような、黒鉛類似の微結晶炭素を有する平均層間距離d002が0.350〜0.380nm程度であり、BET法による比表面積が270m/g、好ましくは100m/g以下の、各種電解質イオンや溶媒やNガスなどを取り込める程度の大きさの細孔がない非多孔性の炭素を意味するものである。このような非多孔性炭は、石油コークスあるいは石炭コークスの一種として知られるニードルコークス、または不融化処理した石油系あるいは石炭系のピッチなどをか焼して得られる易黒鉛化炭を活性化処理して得られた活性化非多孔性炭であって、ニードルコークスや不融化処理したピッチなどの多層グラファイト微結晶が発達した易黒鉛化炭を650〜850℃で熱処理(か焼)して得られる炭素(か焼炭)を例えばKOHのような苛性アルカリと共に800〜900℃で処理し、加熱水蒸気により残存アルカリ成分を除き、必要に応じ、Ni、Fe、Coなどのような遷移金属触媒の存在下あるいは触媒を用いることなしに、水素などの還元性気流中で熱処理し、炭素表面に存在する活性酸化水素(例えば、COOH、CHO、OHなど)を除去することにより得ることができる。さらに、非多孔性炭の平均層間距離d002は、原料の炭素材の種類により、また、水素などの還元性気流中での加熱処理の温度により変化し、この加熱処理温度を高くすることにより平均層間距離d002が小さい非多孔性炭が得られる。
なお、炭素表面に存在する活性酸化水素が除去されたか否かの確認は、粉末炭素のパルスNMR法によるH 共鳴の観測で、短緩和時間成分T=20〜50μsec(Gauss型)として表れる炭素骨格に直接結合した水素の量と、中緩和時間成分T=50〜400μsec(Lorentze型)として表れる例えばCOOHやCHOやOHなどのような化学結合型吸着水として存在する水素の量と、長緩和時間成分T=500〜2000μsecもしくはこれ以上(Lorentze型)として表れる物理吸着水として存在する水素の量とを求め、各状態で炭素中に存在する水素の量によって判断することでき、本発明で用いる非多孔性炭あるいは水素化された非多孔性炭(水素化非多孔性炭)は、炭素組織内の残存水素の結合状態の相違を示す、パルスNMR法によるH共鳴で観測されるT=20〜50μsec(Gauss型)の短緩和時間成分と、T=50〜400μsec(Lorentze型)の中緩和時間成分と、T=500〜2000μsec(Lorentze型)の長緩和時間成分とを求めたとき、長緩和時間成分が全く無く、短緩和時間成分に対する中緩和時間成分の比が1/3以下であることが好ましく、さらに1/5以下であることがより好ましいものである。
一方、このような非多孔性炭を電極として作製した電気二重層キャパシタ試験用セルでは、従来のキャパシタにおける活性炭電極と異なり、電気二重層キャパシタの組み立て当初は電気二重層を形成している界面は実質的に無いが、初期充電時に印加電圧がある閾値を越えると電解質イオンが溶媒を伴って炭素組織内に侵入し(溶媒共挿入、solvent co-intercalationと呼ぶ)、この時初めて電気二重層を形成する界面を発生する。そして、以後履歴効果でこの界面は維持され、電気二重層キャパシタとして有効に機能するという現象が認められる。このように非多孔性炭において、電解液中の電解質イオンが、あるいは、電解質イオンが溶媒を伴って非多孔性炭の炭素組織内に侵入し始めるときの電圧を、本発明において「インターカレーション開始電圧」と呼ぶ。
このインターカレーション開始電圧は、非多孔性炭の平均層間距離d002や電解液を構成する電解質や有機溶媒の種類によって変化し、平均層間距離d002が大きいほど、また電解質イオンの大きさが小さいほど、さらに有機溶剤の分子容(分子量/密度)が小さいものを用いるほど、インターカレーション開始電圧は低くなるが、このインターカレーション開始電圧は一般に1.5 〜3.2V程度のものである。本発明において、炭素電極間に印加する電圧は、このインターカレーション開始電圧よりも低い電圧であり、電解液中に存在する水などの不純物の分解電圧が1.2V程度であることから、分解を完全に行うためには、非多孔性炭を用いた炭素電極(分極性電極)の有するインターカレーション開始電圧よりも低い電圧で、水の分解電圧よりも高い電圧を印加することが好ましいものであり、一般に1.8〜 3.2V程度、さらに好ましくは2.5〜3.0V程度となるように設定することが望ましい。
なお、本発明で除去の対象となる水分を主体とする低電位反応性物質には、水の他、例えば、電解液中の水と電解質の陰イオンである例えばBF との反応により生じたHFやその他の含フッ素酸などのような不純物あるいは電解質や有機溶媒中に元々含まれていた不純物などがあげられる。
また、本発明は、上記のようにして得られた水分を主体とする低電位反応性物質が除去された電解液を用いることを特徴とする電気二重層キャパシタの製造方法であり、非多孔性炭を用いて作製された炭素電極間にインターカレーション開始電圧よりも低い電圧を印加しながら、該炭素電極と電解液とを接触させる電解液水分除去工程と、電解液水分除去工程で得られた電解液を電気二重層キャパシタの分極性電極間に含浸させる電解液含浸工程とを有することを特徴とする電気二重層キャパシタの製造方法である。
さらに、本発明は、電気二重層キャパシタを構成する分極性電極とは別に、非多孔性炭を用いて作製した複数の炭素電極を設け、該炭素電極間に、電解質イオンのインターカレーション開始電圧よりも低い電圧を印加しながら、電解液を接触させ、水分を主体とする電解液中の低電位反応性物質を除去する工程を含む、電気二重層キャパシタの製造方法であり、本発明で製造される電気二重層キャパシタは、分極性電極として本発明で用いる非多孔性炭を用いて作製されたものばかりでなく、従来の活性炭を用いて作製されたもののいずれであってもよく、いわゆる非水系の有機電解液を用いた電気二重層キャパシタの全てが含まれるものである。
本発明の電解液中の水分を除去する方法は、非多孔性炭で構成された炭素電極間に、インターカレーション開始電圧よりも低い電圧を印加するため、電解液中の電解質イオンは非多孔性炭電極中の炭素組織間にほとんどインターカレートせずに、水分などの不純物のみが非多孔性炭電極にインターカレートされ、非多孔性炭電極中に保持される結果、ゼオライトやアルミナなどによる吸着法に比べ、電解液中の水分などの不純物濃度を極めて低くすることができ、電解液の汚染や吸着による損失を防止することができる。また、本発明の水分が除去された電解液を用いて作製した電気二重層キャパシタはサイクル特性が極めて優れたものが得られる。
本発明の電解液中の水分の除去方法は、非多孔性炭あるいは水素化された非多孔性炭(水素化非多孔性炭)を用いて調製された炭素電極(分極性電極)間に、水の分解電圧(約1.2V)の電圧以上で、インターカレーション開始電圧よりも低い電圧を印加するとともに、この炭素電極(分極性電極)と電解液とを接触させることにより、電解液中の水分などの不純物を炭素電極(分極性電極)内にインターカレートさせることによって電解液中の水分などの不純物を除去するものである。すなわち、電解液中の水分は、HとOHの形で炭素電極(分極性電極)内にインターカレートないしは取り込まれるとともに、電解液中の水と電解質の陰イオンである例えばBF との反応により生じたHFやその他の含フッ素酸などのような不純物、電解質や有機溶媒中に元々含まれていた不純物も、同様に炭素電極(分極性電極)内にインターカレートないしは取り込まれ、その結果として電解液の高純度化が達成されることになる。
本発明で用いる非多孔性炭あるいは水素化された非多孔性炭(水素化非多孔性炭)は、これらの非多孔性炭を用いて電気二重層キャパシタ試験用セルを組み立てたとき、次のような挙動を示す。すなわち、電気二重層キャパシタ試験用セル組立当初は電気二重層を形成している界面は実質的に無いが、初期充電時に印加電圧がある閾値を越えると電解質イオンそれ自体と、これを運ぶ流体(キャリアー)としての有機溶媒やイオン分子(液体電解質単独の場合)とが共に炭素組織内に侵入し(共インターカレーション(Co-intercalation))この時初めて電気二重層を形成する界面が発生する。そして以後履歴効果でこの界面は維持され、ある電圧までは、この界面で電気二重層を形成して電気的エネルギーの蓄積が生じるものである。
本発明の電解液中の水などの不純物を除去するために用いる負極および正極となる炭素電極(分極性電極)は、上記のような特性を有する非多孔性炭あるいは水素化された非多孔性炭(水素化非多孔性炭)を電極活物質として含有するものである。この非多孔性炭あるいは水素化された非多孔性炭(水素化非多孔性炭)は特開2002−25867号公報や特開2002−362912号公報に記載されているような炭素材であり、具体的には、黒鉛類似の微結晶炭素を有する平均層間距離d002が0.350〜0.380nm程度であり、BET法による比表面積が270m/g、好ましくは100m/g以下の、各種電解質イオンや溶媒やNガスなどを取り込める程度の大きさの細孔がない非多孔性の炭素であり、次のような方法により得られるものである。
すなわち、このような非多孔性炭あるいは水素化された非多孔性炭(水素化非多孔性炭)は、石油コークス系あるいは石炭コークス系のニードルコークスや不融化処理した石油系あるいは石炭系ピッチなどをか焼して得られる易黒鉛化炭を活性化処理して得られるものであるが、ここで、原料として使用するこれらのニードルコークスや不融化処理したピッチなどは、それ自体が300〜500℃程度の温度範囲で熱処理され、ガス、オイルおよび固形物に分けられた、その固形物、すなわち生コークスであり、これを120μm以下に粉砕して、「原料炭」を得、この「原料炭」を不活性雰囲気下、例えば窒素雰囲気下で、650℃〜850℃、好ましくは700℃〜800℃で、2〜4時間熱処理し、前熱処理を行い「か焼炭」を得る。次いで、得られた「か焼炭」を重量比で、1.8〜2.2倍、好ましくは2倍程度の例えばKOHのような苛性アルカリと混合して、再度不活性雰囲気下、例えば窒素雰囲気下で、800℃〜900℃、好ましくは800℃程度で、2〜4時間加熱し、苛性アルカリによる活性化処理を行い、その後、次のようにして炭素中に残存するアルカリを除去する。
アルカリの除去は、得られたアルカリ活性化後の炭素を洗浄することにより行う。洗浄は、例えば上記アルカリ処理後の炭素から1μm以上の炭素粒子を回収し、ステンレス製のカラムに充填し、120℃〜150℃、10〜100kgf、好ましくは10〜50kgfの加圧水蒸気をカラムに導入し、排水のpHが約7となるまで加圧水蒸気を導入し続けることにより行うことができる(通常6〜10時間)。アルカリ除去工程の終了後、アルゴンや窒素のような不活性ガスをカラムに流し、乾燥して目的の非多孔性炭を得る。
なお、さらに徹底したアルカリ除去をするには、望ましくは加圧可能なソックスレー抽出器を用い、(1)揮発性の酸(例えば、HCl、HNOなど)の水溶液を沸騰(リフラックス)させ、比較的濃度の高い酸加熱水蒸気により、炭素材粉末中から残存アルカリを抽出し、(2)次いで、非揮発性アルカリ水溶液(例えば、NaOH、KOHなど)を沸騰(リフラックス)させ、水蒸気により、残存酸を洗い出し、アルカリで中和トラップし、(3)その後、得られた炭素材を加熱乾燥するというような方法を採ることができる。
必要に応じ、上記のようにして得られた非多孔性炭を、例えば、NHを分解して得られる3H+N混合ガスや水素ガスなどの還元性雰囲気中でさらに、500℃〜900℃、4〜6時間、熱処理するか、あるいは、Fe、Co、Niなどの遷移金属もしくは遷移金属化合物を触媒として、これらの存在下200℃〜850℃、2〜6時間、還元性雰囲気中で熱処理することにより、炭素骨格に直接結合した水素以外の活性酸化水素(COOH、CHO、OHなど)が除去され、水素でブロックされた非多孔性炭(水素化非多孔性炭)とすることもできる。
上記の非多孔性炭の調製法において、活性化処理温度や還元性雰囲気中での熱処理温度などの処理条件は、得られる非多孔性炭の平均層間距離d002に影響を与え、処理温度を高めることにより、例えば、活性化処理温度を900℃程度まで高めることや、還元性気流中での熱処理温度を700〜900℃程度まで高めることで平均層間距離d002が0.350〜0.370nm程度のものを得ることができる。
水分の除去の対象となる電解液は、通常電気二重層キャパシタに用いられる電解液である非水系の有機電解液であればよく、電解質塩を有機溶媒に溶かしたもの、あるいは液体電解質塩をそのまま用いるものあるいはこの液体電解質塩を有機溶媒に溶かしたものなどがあげられる。電解質塩としては、例えば、四級のアルキルアンモニウムの四フッ化ホウ素塩、六フッ化リン塩もしくは過塩素酸塩などがあげられ、四級のアルキルアンモニウムとしては、例えばMe、EtMe(4−n)、Et、(n−Bu)などが例示される。これらの電解質塩を溶解する有機溶媒としては、炭酸プロピレン(PC)、炭酸エチレン(EC)、炭酸ジメチル(DMC)、炭酸ジエチル(DEC)、ジメトキシエタン(DME)、ジエトキシエタン(DEE)、γ−ブチルラクトン(γ−BL)、アセトニトリル(AN)、プロピオニトリル(PN)などがあり、これらの有機溶媒を単独であるいは、二種以上混合して用いられ、電解質塩の濃度は通常、0.5モル/L以上程度に調製されている。
一方、液状電解質としては、例えば、直鎖アルキル基で置換された複素5員環や複素6員環構造のカチオンと、例えば、BF 、PF 、AsF 、ClO 、CFSO 、AlCl 、SbF などのアニオンとからなる電解質塩があげられ、このようなものとして、例えば、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム・BF (EMI・BF)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム・PF 、1−メチル−3−n−プロピルイミダゾリウム・BF 、1−メチル−3−n−プロピルイミダゾリウム・PF 、1,2−ジメチル−3−n−プロピルイミダゾリウム・BF 、1,2−ジメチル−3−n−プロピルイミダゾリウム・PF 、1,3−ジメチル−2−n−プロピルイミダゾリウム・BF 、1,3−ジメチル−2−n−プロピルイミダゾリウム・PF などが例示される。
また、上記の液体電解質は常温で液状であるので、そのまま電解液として(いわゆる、ニートで)使用することができるが、融点が高く常温では固形のような場合には、有機溶媒に溶解することによって電解質溶液として使用される。また、常温で液状であるものであっても、有機溶媒に溶解して使用することもできる。使用する有機溶媒としては、一般に炭酸プロピレン(PC)、炭酸エチレン(EC)、炭酸ジメチル(DMC)、炭酸ジエチル(DEC)、ジメトキシエタン(DME)、ジエトキシエタン(DEE)、γ−ブチルラクトン(γ−BL)、アセトニトリル(AN)、プロピオニトリル(PN)などがあり、これらの有機溶媒を単独であるいは、二種以上混合して用いられ、液体電解質塩の濃度は通常、1.0モル/L以上程度に調製されている。
非多孔性炭を用いた炭素電極(分極性電極)における、インターカレーション開始電圧とは、電解質イオンが溶媒(溶媒を用いない液体電解質の場合は、その液体電解質自身)を伴って、炭素電極内に挿入(インターカレート)し始めるときの電圧であり、これは通常の充・放電試験と同様に、非多孔性炭を用いて組み立て直後の炭素電極(分極性電極)を、一定電流で充電し、キャパシタに電荷が蓄積していくに従って電圧が上昇するのをモニターする1サイクル目の充・放電試験結果から求められる。図1〜図3にその例を示した。
図1は、非多孔性炭として、石油コークス由来のニードルコークス(原料炭B)を750℃、4時間、か焼した「か焼炭」を、2倍量のKOHと共に、800℃、2時間処理し、加熱水蒸気によりpH=7まで洗浄し、加熱真空乾燥した調製した非多孔性炭[B754802(この意味については後述する)]を調製し、これにカーボン・ブラックとPTFEとを配合(非多孔性炭:カーボンブラック:PTFE=10:1:0.5(重量比))し、混練りしシート状に成形した炭素電極(分極性電極)を用いたものである。電極の大きさは、直径20mmφ、厚さ約0.2mmであった。この電極に電解液を真空含浸させ、粗面化処理したアルミ箔を集電極とし、セパレータとしてGA−55ガラス繊維を硬質紙に挟んだ「CTW−GA55−CTW」を介してラミネートポリ袋に真空パックして電気二重層キャパシタ試験用セルを作製し、電解液は、1モル/LのEtN・BFを炭酸プロピレンとアセトニトリルとの等容量混合溶媒に溶解したものを用い、電圧を3.75Vに設定した初期充電(1サイクル目)の結果を示したものである。
図1によれば、初期充電では当初、電圧が短時間のうちに立ち上がるものの、約2.8V付近から急激に電圧上昇が緩慢になっていることがわかる。この約2.8Vが本発明でいうインターカレーション開始電圧に相当するものである。
また、図2は、非多孔性炭として、石油コークス由来のニードルコークス(原料炭B)を700℃、4時間、か焼した「か焼炭」を、2倍量のKOHと共に、800℃、4時間処理し、加熱水蒸気によりpH=7まで洗浄し、さらにソックスレー抽出器を用い塩酸水でアルカリを抽出し、水洗・加熱真空乾燥した後、ニッケル金属触媒の存在下、500℃、4時間水素中で熱処理してニッケル触媒を除き調製した非多孔性炭[B704804S+504H]を用い、上記と同様にして試験用セルを作製し、電解液は、EMI・BFを単独で用い、電圧を3.75Vに設定した初期充電(1サイクル目)の結果を示したものである。得られた非多孔性炭[B704804S+504H]のd002は0.360nmであり、比表面積は約60m/gで、短緩和時間成分に対する中緩和時間成分の比(以下、単に「緩和成分比」という)は0.05以下であった。
図2によれば、初期充電では当初、電圧が短時間のうちに立ち上がり、そして約2.9V付近から急激に電圧上昇が緩慢になっていることがわかる。この約2.9Vが本発明でいうインターカレーション開始電圧に相当するものである。
さらに、図3は、非多孔性炭として、不融化処理した石油ピッチ系炭素(原料炭A)を用いて調製した非多孔性炭[A704804+504H]により試験用セルを作製し、電解液として、EMI・BFと有機溶媒とを体積比1:1で混合した電解質溶液を電解液として用い、電圧を3.5Vに設定した初期充電(1サイクル目)の結果を示したものであり、図中の(a)は有機溶媒が炭酸プロピレン(PC)の場合、(b)は有機溶媒がアセトニトリル(AN)の場合をそれぞれ示している。得られた非多孔性炭[A704804+504H]のd002は0.360nmであり、比表面積は約100m/gで、緩和成分比は0.17以下であった。
図3によると、有機溶媒を使用した場合には、(a)および(b)とも、初期充電では当初、電圧が短時間のうちに立ち上がり、それぞれ、約2.4V、約2.2V付近から急激に電圧上昇が緩慢になっていることがわかる。この約2.4V、約2.2Vが本発明でいうインターカレーション開始電圧に相当するものである。
このように、有機溶媒を使用した場合には、分子容の小さな有機溶媒が電解質イオンに伴われて非多孔性炭を用いた炭素電極(分極性電極)内に挿入(インターカレート)されるため、インターカレーション開始電圧は液体電解質単独の場合に比べて低くなり、また、用いた有機溶媒の結果から、電解質塩とともに使用する有機溶媒の分子容(PC:70.90、AN:52.48)により、インターカレーション開始電圧が変化することがわかる。
以上のようにして、インターカレーション開始電圧を求めることができるが、このインターカレーション開始電圧は、使用した非多孔性炭の平均層間距離d002と電解液の組成(電解質塩や有機溶媒の種類など)とにより変化するものである。この関係を示したものが図4〜6である。
図4は、種々の石油系ニードルコークスあるいは不融化処理した石油ピッチ系炭素を種々の処理条件(800〜900℃、2〜4時間)で活性化処理を行って得た非多孔性炭ならびに、これらの非多孔性炭を水素中で種々の処理条件(500〜900℃、4〜6時間)で後熱処理して得られた水素化非多孔性炭素を、XRD測定により平均層間距離d002を求めるとともに、これらの非多孔性炭素あるいは水素化非多孔性炭素を用いて試験用セルを組み立てた場合のインターカレーション開始電圧を測定した結果を示したものである。なお、電解液はEtN・BFの1モル/Lの炭酸プロピレン溶液である。図4から明らかなように、平均層間距離d002が狭いほど高い電圧でインターカレーションが開始されることがわかる。
また、図5は、横軸に有機溶媒の分子容(分子量/比重)をとり、非多孔性炭素あるいは水素化非多孔性炭を用いた試験用セルにおけるインターカレーション開始電圧をプロットしたものである。図5には、非多孔性炭は石油系ニードルコークスFを用いて調製した非多孔性炭[F754804](平均層間距離d002は0.370nm)と、これを水素化処理した非多孔性炭[F754804+654H](平均層間距離d002は0.364nm)とを用い、電解液として、アセトニトリル(AN)、炭酸エチレン/炭酸ジエチル(容量比、1:1)の等容量混合溶媒、γ−ブチロラクトン(GBL)および炭酸プロピレン(PC)の各有機溶媒にEtN・BFの1モル/Lの濃度で溶解した電解液を用いた場合の測定結果を示したものである。図5によれば、インターカレーション開始電圧は同一の平均層間距離を有する電極および同一の電解質イオンでは、用いた溶媒分子の分子容に逆比例し、分子容が小さな有機溶媒を用いるほどインターカレーション開始電圧が低下することがわかる。また、有機溶媒を混合して用いる場合には、炭酸エチレン(EC:分子容68.7)と炭酸ジエチル(DEC:分子容121.2)の容積比1:1の混合溶媒の例からわかるように、分子容の小さな炭酸エチレンの分子容の値でプロットすると直線にのることから、混合溶媒の場合には分子容の小さい有機溶媒がインターカレーション開始電圧を支配することも理解される。
さらに、図6は、液体電解質を用いた場合について示したものである。使用した非多孔性炭は、原料炭として石油コークス由来のニードルコークス(原料炭B)を用いて調製した非多孔性炭[B704804+504H](平均層間距離d002は0.360nm)であり、これを用いて試験用セルを組立て、電解液として、EMI・BFを単独で用いた場合と、EMI・BFを、炭酸プロピレン(PC)、γ−ブチルラクトン(GBL)、炭酸エチレン(EC)およびアセトニトリル(AN)にそれぞれ等容量比で溶解した電解液を用いた場合のインターカレーション開始電圧を求めた結果を示したものである。なお、EMIの分子容は、塩自体の分子容をEMIイオンとBF イオンのファンデルワールス体積(それぞれ、118Åおよび48Å)の比に案分することにより算出したものである。
図6によれば、液体電解質を用いた場合も、同様に、有機溶媒に溶解することにより、そして有機溶媒の分子容が小さいものほど、インターカレーション開始電圧が低下することがわかる。
以上のように、インターカレーション開始電圧は、処理すべき電解液の組成が決まれば、非多孔性炭の有する平均層間距離d002により定められるものではあるが、一般的にいえば、インターカレーション開始電圧は1.5〜3.2V程度のものである。
このような非多孔性炭では、有機溶媒中、低電位では、支持電解質として例えば、EtN・BF、EtMeN・BF、EMI・BFなどを用いたとき、特定の電圧(インターカレーション開始電圧)以下の電位では、炭素電極内部にイオンは挿入(インターカレート)されず、電解質イオンは吸着されない。このインターカレーション開始電圧は、使用した原料炭とその熱処理条件により定まる平均層間距離d002と、電解質イオンがキャリヤーとしての溶媒を伴ってインターカレートする際に、電解質イオンに伴われる溶媒(溶媒を用いない液体電解質の場合は、その液体電解質自身)の分子容(分子量/密度)に依存するものである。この際、混合溶媒の場合には、構成する溶媒のうち最も小さな分子容をもつ溶媒が電解質イオンに伴われてインターカレートするため、インターカレーション開始電圧は、混合溶媒中の最も小さな分子容を有する溶媒に依存することになる。
すなわち、電解液の組成(電解質の種類や有機溶媒の組成)が決まれば、それに応じた平均層間距離d002を有する非多孔性炭を選ぶことができ、インターカレーション開始電圧を、2〜3Vの範囲に設定することができる。
一方、電解液中の不純物である水は1.2Vが分解電圧であり、これ以上の電圧を印加すると、分解し、炭素電極内部に侵入し、電解液中から除去されることになる。これは、例えば、非多孔性炭を電極とした電気二重層キャパシタ試験用セルを構築し、一定電流で充電を開始し、インターカレーション開始電圧以下の電圧を上限として印加したときの「電流の減衰曲線」から理解できる。図7および図8は、それぞれ、印加電圧をインターカレーション開始電圧以下の電圧である2.5Vおよび1.5Vに設定し、一定電流10mA(電極の直径が20mmであるから電流密度は3.18mA/cmとなる)を流して充電したときの、電圧および電流の変化を経時的に測定した結果を示している。
図7および図8によれば、一定電流で充電を開始し、設定電圧に達したたとき、その電圧を保持することにより低電圧充電モード(緩和充電)となり電流は減衰するが、この電流の減衰は、漸次減衰するカーブを描いている。全ての電極内炭素組成が理想的に均一に作られていると仮定すると、これは電流を運ぶキャリヤが存在し、このようなキャリアが尽きれば電流が漸次減衰することを示している。このようなキャリアとしては、電解液中に存在する水などの不純物が相当する。そして、電極間には水の分解電圧以上の電圧が印加されているため、水が分解し、ないしは水の状態で非多孔性炭を用いた炭素電極(分極性電極)中に取り込まれることにより、電解液中の水などの不純物が消尽される結果、電流を運ぶキャリアが無くなり、電流値が減衰し、ほぼ一定の値に落ち着くことになる。なお、実際には、電極内炭素組織が理想的に均一ということはなく、電極の炭素組成は不均一な組成であることから、一部の炭素において、電位(上昇)伝搬がコンデンサ容量を介して行われることから、多段CR系回路の充電過程となり、上記と類似した電流が漸次減衰する特性が生じることになる。したがって、この電流の減衰特性のみからは断定することはできないものの、このような多段CR系回路の充電では必ず電流は0に収束することから、0収束が異常に遅いときには水分等の電気化学反応由来のものがあると判断することができる。
なお、印加する電圧は、インターカレーション開始電圧よりも小さいものであるから、電解質イオンが非多孔性炭を用いた炭素電極(分極性電極)中に挿入(インターカレート)されるような現象は起こらない。
このようにして、電解液中の水などの不純物が選択的に除去される結果、処理された電解液は水などの不純物が極めて少なく、いわゆる水フリーのものとなる。
本発明の電解液中の水分などの不純物を除去する方法は、まず前述の非多孔性炭あるいは水素化非多孔性炭を調製し、これを用いて炭素電極(分極性電極)を作製する。そしてこの炭素電極(分極性電極)間にインターカレーション開始電圧よりも低く、好ましくは水の分解電圧より高い電圧を印加しながら、電解液を接触させることにより達成できる。もちろん、電解液を接触させてから炭素電極間に電圧を印加しても、炭素電極間に電圧を印加した後、電解液を接触させても差し支えない。
非多孔性炭あるいは水素化非多孔性炭は、上述した方法、詳しくは特開2002−25867号公報や特開2002−362912号公報に記載されたようにして調製することができる。また、炭素電極(分極性電極)は、活性炭などを用いた通常の電気二重層キャパシタ用の分極性電極と同様の方法により作製することができる。例えば、シート状の電極を作製するには、非多孔性炭あるいは水素化非多孔性炭を粉砕し、粒度を整えた後、導電性補助剤として例えばカーボン・ブラックと、結着剤として例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)とを添加して混練りし、圧延伸によりシート状に成形することにより行うことができる。
図9は、本発明の電解液中の水分などの不純物を除去する方法を実施するための基本的な概念図であり、図中、1は容器、2、3は非多孔性炭あるいは水素化非多孔性炭を用いた炭素電極(分極性電極)、4および5はそれぞれ、電解液の注入口、排出口であり、6は容器中における電解液の流れを制御するための流路制御部材を示している。例えば、容器1として簡便なアルミラミネート袋を用い、その中に炭素電極(分極性電極)2、3を設け、炭素電極間には1.2〜2.5V程度の電圧を印加する。そして、電解液注入口4からシリンジにより電解液を注入する。注入された電解液は流路制御部材6(簡便には、アルミラミネート袋を部分的にクランプするか、部分的にヒートシールすることにより達成できる)により、矢印で示すように容器内を炭素電極全域にわたって有効に接触し、排出口5から水分などの不純物が除去された電解液となって取り出されるされる。なお、水分などの不純物が除去されたか否かは、電極間に流れる電流をモニターすることに確認することができる。
すなわち、電解液中の水分などの不純物を除去するための装置としては、非多孔性炭あるいは水素化非多孔性炭を用いた炭素電極(分極性電極)を備える容器(電解処理槽)と、電解液の送液手段とを有するものであり、送液手段としては、送液ポンプなどもあるが、コンタミネーションの少ない、ドライアルゴンガスやヘリウムガスによる加圧リザーバーを用いることが簡便で好ましい。図10に、一例としてこのようなアルゴンガスを用いた加圧リザーバーを用いて構成した装置の概略を示した。図10において、11はガス乾燥カラム、12は加圧リザーバー、13は逆止弁、14は電解処理槽、15、16は炭素電極(分極性電極)に印加するための端子を示している。アルゴンガスにより加圧リザーバー12中の電解液は、電解処理槽14に導かれ、インターカレーション開始電圧よりも低く、水の分解電圧よりも高い電圧を印加されている非多孔性炭あるいは水素化非多孔性炭を用いた炭素電極(分極性電極)により、電解液中の水などの不純物が除去され、いわゆる水フリーの電解液が得られる。
なお、上記のようにして電解液中の水などの不純物を除去するために用いた炭素電極(分極性電極)は、揮発性溶媒、例えば、アセトニトリル、イソプロパノールのような揮発性溶媒で洗浄し、乾燥することにより再生され、再使用が可能となる。洗浄、乾燥は、例えば、ソックスレー抽出機の原理に従って、アセトニトリルを沸騰させ、上部に設けた冷却コンデンサによって、液化し、中間に設けた、炭素電極(分極性電極)収納容器の上に液化滴下するようにして、常に蒸留精製したアセトニトリルが電極を洗い、電極の炭素組織内に含まれる不純物および電解質を下部容器にドレインすることにより、非揮発成分の不純物を除去することができる。しかる後、分極性電極(炭素電極)を加熱乾燥させ、さらに200〜250℃程度で真空乾燥し、化学吸着水をも取り除くことにより炭素電極(分極性電極)を再生することができる。
本発明の電気二重層キャパシタの製造方法は、上記のようにして得られた水分などの不純物が除去された電解液を用いることを特徴とするものである。電気二重層キャパシタの製造自体は既に公知の方法が採用でき、また、製造される電気二重層キャパシタもいわゆるボタン型、積層型などいずれの型式のものであってもよい。なお、本発明で得られる水などの不純物が除去された、いわゆる水フリーの電解液は、電気二重層キャパシタに限らず、非水系の電解液を用いる電池などにも適用できることはいうまでもない。
次に、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。
実施例1
まず、特開2002−25867号公報や特開2002−362912号公報に記載された方法により、非多孔性炭(水素化非多孔性炭)を調製した。すなわち、10〜240μmに粉砕した石油コークス由来のニードルコークス( 原料炭B )を700℃、4時間、か焼した「か焼炭」を、2倍量のKOHと共に、800℃、2時間処理し、加熱水蒸気によりpH=7まで洗浄し乾燥した後、ニッケル金属触媒の存在下、700℃、4時間水素中で熱処理してニッケル触媒を除き、非多孔性炭(水素化非多孔性炭)[B704802+704H]を調製した。次いで、得られた非多孔性炭(水素化非多孔性炭)にカーボン・ブラックとPTFEとを配合(非多孔性炭:カーボンブラック:PTFE=10:1:0.5(重量比))し、混練りし、約0.2mm厚のシート状に成形してから、パンチング治具で20mmφに切り抜き、炭素電極(分極性電極)を得た。なお、この非多孔性炭(水素化非多孔性炭)の平均層間距離d002は、0.364nmであり、比表面積は、68m/gであり、緩和成分比は0.12であった。また、以下に用いた電解液におけるインターカレーション開始電圧は2.9Vであった。
次いでこの炭素電極(分極性電極)を、図11に示すように、アルミラミネート袋を用いて「R」と「Pre」の二つの電極部を形成するように、挿入し、ヒートシールして試験用セルを作製した。図11は、電解液中の水分などの不純物を除去するために用いた、試験用セルの概要を示すものであり、図中の「R」は電気二重層キャパシタとなる製品の電極である分極性電極(2′、3′)であり、「Pre」は水などの不純物をトラップするための電極、すなわち本発明の電解液中の水分などの不純物を除去するための炭素電極(分極性電極)(2、3)を示している。電極の挿入は、いずれの電極も粗面化処理したアルミ箔を集電極とし、セパレータとしてGA−55ガラス繊維を硬質紙に挟んだ「CTW−GA55−CTW」を介してラミネートポリ袋に挿入し、その後、アルミラミネート袋の外部より、強力永久磁石と鉄板とで押さえ、「電極の重ね精度」を保たせた上、アルミラミネート袋への電極挿入部を袋の外よりインパルスヒーターによってヒートシールし、密封した。
次いで、電解液(EMI・BF、1.5ml)を、シリンジにて、注射針を「Pre」部のシール端より挿入して、袋の中に注入し、ヒートシールにて注入口を封じ、アルミラミネート袋内を完全な密封系とした。なお、電解液を注入後は、電解液の「ぬれ」により「電極の重ね精度」は保持されるので、永久磁石と鉄板による押さえは必要なくなる。
そして、上記のアルミラミネート袋を「R」部を上部に、「Pre」部が下部に位置するようにして、アルミラミネート袋内の電解液を「Pre」部に集め、「Pre」部の炭素電極間に2.0Vの電圧を印加しながら、電流がほぼ0に収斂するまで、印加し続けた。これにより、上記の電解液中に存在する水分あるいは電極作製時に不可避的に浸入した水分や、水分と電解質とが反応して生じた、含フッ素酸、あるいは電解されやすい低分子量の有機溶媒や電解質などの不純物が電解液中を泳動し、「Pre」部の炭素電極内に蓄積され、電解液中の水などの不純物が除去される。
しかる後、「R」部を下にして、アルミラミネート袋内の電解液を「R」部に移動させる。その後、水などの不純物が除去された電解液により、非多孔性炭を用いた電気二重層キャパシタにおいて静電容量を発生させるために初期充電(1サイクル目の充電、4.0V)を行い(この時発生するガスなどがあれば、アルミラミネート袋の上部、「Pre」部に集められる)、その後、アルミラミネートの点線中央部分をヒートシールして、「Pre」部の炭素電極の部分を取り除くことにより、「R」部の分極性電極から構成される電気二重層キャパシタが得られる。初期充電時の静電容量は52.2F/ccであった。
次に得られた電気二重層キャパシタについて、サイクル試験を行った。サイクル試験は、初期充電として、1サイクル目の充電は10mA(電流密度は3.18mA/cm)で、4.0Vまで行い、緩和充電時間を長くとり(約5000秒以上程度)、次に、10mAで0Vまで放電し、初期充電を完了後、10mAで、初期電圧と同じか少し低い電圧まで充電し、適当な緩和充電後(約2000〜3000秒程度)、10mAで0Vまで放電し、これを指定された回数繰り返す自動測定法により行ったもので、2〜10サイクルまでは、設定電圧を3.5Vとし、11〜500サイクルまでは、3.0Vとし、501〜1000サイクルまでは、3.5Vとした場合の結果を図12に示した。なお、静電容量は放電開始から全放電電流の50%までの値を用いて、Q=(1/2)×CVより算出し、正極および負電の乾燥時の体積あたりに換算した値である。
図12は、サイクル数に対する、静電容量の変化を示したものであるが、logスケール上でよい直線性が得られていることがわかる。従来のサイクル試験では、このような直線性は得られず、性能の劣化は多因性であり、大きく低下することが多かった。すなわち、電解液中の水分などの不純物が除かれることにより、水と電解液あるいは炭素材との反応が抑制され、性能劣化が少なく、優れたサイクル特性を示す、電気二重層キャパシタが得られることがわかる。
また、本発明により、電解液中の水などの不純物の影響を排除できるため、性能劣化の本質的な部分の原因究明も可能となるものである。
本発明の電解液中の水などの不純物を除去する方法についてまとめると、次のようになる。本発明で用いる非多孔性炭あるいは水素化非多孔性炭は、それ自体、水を化学吸着して、COOH、CHO、OHなど(活性酸化水素)を形成するものであるから、ある程度の水を吸着する能力を有している。従って、本発明のように電圧を印加しなくてもある程度の水分除去の効果は期待できる。しかしながら、電圧を印加しない場合には、電解液中の水を完全に取り除くことはできなかった。これはイオンを含む電解液が極めて水との親和性が高いことがその理由である。ここで、電界を与えると、水は、まずクーロン力により泳動し、電極面で分解電圧以上の電圧が加わっていると、HとOHとの形で、非多孔性炭中に取り込まれることになる。
このようなことから、本発明は、(1)完全密封系で、使用する電解液が精製されるので、作業過程での汚染のおそれがない、(2)製品に対して、何らの付加物を持ち込むことがないため、性能低下の要因がない、(3)単純な吸着法と異なり、電場による選択性が加味されるので、精製が徹底的になされる、(4)必要な電解質は吸着されないので、無駄がない、(5)水分除去に使用した炭素電極(分極性電極)は揮発性溶剤により洗浄、乾燥することにより再生され、再使用が可能となる、などの優れた特徴を有するものである。
電解液として1モル/LのEtN・BF炭酸プロピレン/アセトニトリル等容量混合溶液を用いた場合のインターカレーション開始電圧を示す図である。 電解液としてEMI・BFを用いて場合のインターカレーション開始電圧を示す図である。 電解液としてEMI・BFと有機溶媒とを体積比1:1で混合した電解質溶液を用いた場合のインターカレーション開始電圧を示す図であり、図中、(a)は有機溶媒が炭酸プロピレン(PC)の場合、(b)は有機溶媒がアセトニトリル(AN)の場合をそれぞれ示している。 非多孔性炭あるいは水素化非多孔性炭の平均層間距離d002とインターカレーション開始電圧との関係を示すグラフである。 電解液として、EtN・BFの1モル/L溶液を用いた場合の、各有機溶媒の分子容とインターカレーション開始電圧との関係を示すグラフである。 電解液として、EMI・BFを単独およびEMI・BFを等容量の有機溶媒に溶解した電解液を用いた場合の、各有機溶媒の分子容とインターカレーション開始電圧との関係を示すグラフである。 非多孔性炭を用いた炭素電極(分極性電極)に電圧2.5Vを印加したときの、電流および電圧の経時変化を示す図である。 非多孔性炭を用いた炭素電極(分極性電極)に電圧1.5Vを印加したときの、電流および電圧の経時変化を示す図である。 電解液中の水分などの不純物を除去する方法を実施するための基本的な概念図である。 電解液中の水分などの不純物を除去する方法を実施するための装置の一例を示す図である。 実施例において、電解液中の水分の除去および電気二重層キャパシタの作製に用いたアルミラミネート袋の概要を示す図である。 本発明の電気二重層キャパシタのサイクル試験の結果を示すグラフである。
符号の説明
1 容器
2、3 炭素電極(分極性電極)
2′、3′ 分極性電極
4 注入口
5 排出口
6 流路制御部材
11 ガス乾燥カラム
12 加圧リザーバー
13 逆止弁
14 電解処理槽
15、16 端子

Claims (4)

  1. 非多孔性炭を用いて作製された複数の炭素電極間に、電解質イオンのインターカレーション開始電圧よりも低い電圧を印加しながら、該炭素電極と電解液とを接触させることを特徴とする電解液の精製方法。
  2. 有機系電解質を用いる電気二重層キャパシタにおいて、予め非多孔性炭を用いて作製した複数の炭素電極間に、電解質イオンのインターカレーション開始電圧よりも低い電圧を印加しながら、電解液を接触させ、水分を主体とする電解液中の低電位反応性物質を除去する方法。
  3. 非多孔性炭を用いて作製された炭素電極間に、電解質イオンのインターカレーション開始電圧よりも低い電圧を印加しながら、該炭素電極と電解液とを接触させ、水分を主体とする電解液中の低電位反応性物質が除去された電解液を得、該電解液を電気二重層キャパシタの電解液として用いることを特徴とする電気二重層キャパシタの製造方法。
  4. 分極性電極とは別に、非多孔性炭を用いて作製した複数の炭素電極を設け、該炭素電極間に、電解質イオンのインターカレーション開始電圧よりも低い電圧を印加しながら、電解液を接触させ、水分を主体とする電解液中の低電位反応性物質を除去する工程を含む、電気二重層キャパシタの製造方法。
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