JP4178384B2 - 硬質ポリウレタンフォーム成形用組成物、及び該組成物を用いた硬質ポリウレタンフォームの製造方法 - Google Patents
硬質ポリウレタンフォーム成形用組成物、及び該組成物を用いた硬質ポリウレタンフォームの製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は硬質ポリウレタンフォーム成形用組成物および製造方法に関し、更に詳しくは発泡剤として水を単独で使用した、脆性が改良され、面材との接着性に優れた硬質ポリウレタンフォーム成形用組成物および製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、硬質ポリウレタンフォームを製造する方法として、発泡剤として塩素を含むフロン類(CFC−11、HCFC−141b、HCFC−123、HCFC−22、CFC−12等のCFC類およびHCFC類)を用いる方法が公知である。しかし、CFC類およびHCFC類はオゾン層破壊という環境問題の原因の一つとされており、削減及び撤廃が実施されようとしている。そのため、水とイソシアネート基の反応により発生する炭酸ガスを利用する水発泡が注目されている。
【0003】
発泡剤として水だけを用いる硬質ポリウレタンフォームについては、これまでに種々の提案がなされている。例えば、ポリオールの開始剤がペンタエリスリトール40〜70重量部、トリエタノールアミン10〜50重量部、グリセリン40重量部以下であり、この混合物にアルキレンオキシドを付加してなる水酸基価300〜450mgKOH/gのポリオールを使用する方法(例えば、特許文献1参照)、芳香族アミノ基および/またはイミノ基を有する化合物を用いる方法(例えば、特許文献2参照)、トリレンジアミンにEOとPOを付加して得られるOH価270〜330のポリオール65〜85重量%、及びメチルグルコシドにPOを付加して得られるOH価400〜460のポリオール15〜35重量%のポリオール混合物を使用し、且つ、特定の分子構造を有するポリアルキレングリコールシリコーンブロック共重合体を整泡剤として組合せて使用する方法(例えば、特許文献3参照)、フタル酸エステル、二塩基性脂肪酸エステル、正リン酸エステル等の高沸点化合物を減粘剤として大量に併用する方法(例えば、特許文献4参照)、ポリオール成分としてトリレンジアミン系短鎖ポリエーテルポリオール、エチレンジアミン系短鎖ポリエーテルポリオール、グリセリン系長鎖ポリエーテルポリオール及びジプロピレングリコールを特定の割合で含有するポリオール混合物を用い、且つ、整泡剤として、平均分子量と分子中のシリコーン濃度、及びEO/PO比により特定される特殊シリコーン系整泡剤を使用する方法(例えば、特許文献5参照)、糖類に触媒及び溶媒の存在下にアルキレンオキシドを付加したポリオールを使用する方法(例えば、特許文献6参照)、ポリオール成分としてテレフタル酸成分と高分子量ポリオールより得られる芳香族ポリエステルポリオールをポリオール成分中5重量%以上使用する方法(例えば、特許文献7参照)が提案されている。
【0004】
しかしながら、水だけを発泡剤として用い、ポリオールとしてプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、エチレンジアミン、トリレンジアミン、ペンタエリスリトール、メチルグルコシド、ソルビトール、蔗糖等を開始剤とするポリエーテルポリオールを用いた場合、あるいは水だけを発泡剤として用い,多価アルコールと多価カルボン酸の縮合によって得られるポリエステルポリオールを用いた場合,従来のCFC−11あるいはHCFC−141bを用いて発泡したフォームに比べ、脆性が強く、結果として面材との接着性が悪化するという問題が生じる。
【0005】
一般に、発泡剤として水を用いて硬質ポリウレタンフォームを作る場合、水とイソシアネート基の反応で発生する炭酸ガスによってフォームが形成されるが、この反応は同時にウレア基を生成する。ウレア基は凝集力が強く、フォームを強固にする効果がある反面、特にフォーム表面層においてフォームを脆化させるという欠点を持つ。表面層が脆化されると、鉄板、木材、紙などの構造材料(面材)との接着性は著しく阻害される。この傾向は、水の添加部数を増加させるほど強くなる。そのため、水発泡硬質ポリウレタンフォームにおいては、水部数の増加によるフォームの低密度化が困難となるという問題があった。
【0006】
フォーム表面の脆性および接着性を改善するための方法としては、例えば、イミダゾール系の触媒を使用する方法が提案されている(例えば、特許文献8参照)。しかし、イミダゾール系触媒を添加することはフォームを形成する反応の全体を加速することになり、触媒の組成によるフォーム特性の制御を難しくするという欠点がある。また、有機ポリイソシアネートやポリオールとの反応に関与しない溶剤を使用するという方法も知られている。しかし溶剤を使用すると、フォーム全体が軟化して強度が低下する、あるいはフォームから溶剤が揮発したり溶出したりするという欠点がある。
【0007】
【特許文献1】
特開平5−186559号公報(第2〜3頁)
【特許文献2】
特開平9−87352号公報(第2〜3頁)
【特許文献3】
特開平5−97961号公報(第2〜4頁)
【特許文献4】
特開平6−184340号公報(第2〜3頁)
【特許文献5】
特開平10−45862号公報(第2〜3頁)
【特許文献6】
特開平10−101762号公(第2〜4頁)
【特許文献7】
特開平10−231345号公報(第2頁)
【特許文献8】
特開平9−87351号公報(第2〜4頁)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、発泡剤として水を単独で使用した場合、脆性が改良され、面材との優れた接着性を有する硬質ポリウレタンフォームを製造するための組成物、およびその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の問題点を解決するために、本発明者らは鋭意検討の結果、硬質ポリウレタンフォームを製造するための原料である有機ポリイソシアネート、ポリオール、発泡剤を単独で使用し、触媒、整泡剤を含有する原料に、改質剤として数平均分子量が500未満のマレイン酸エステル(有機酸無水物と、C 1 〜C 20 のヒドロカルビル置換フェノールまたは0〜20個のアルキレンオキサイド単位でアルコキシル化C 5 〜C 20 の第一級アルコールとのモノエステル反応生成物を除く)を有機ポリイソシアネートおよび/またはポリオール100質量部に対し0.01〜20質量部を用いることが、硬質ポリウレタンフォームの脆性を低下させ、接着性を改善させるために有効であることを見い出し本発明に到達したものである。脆性を低下させる機構は、数平均分子量が500未満のマレイン酸エステル(有機酸無水物と、C 1 〜C 20 のヒドロカルビル置換フェノールまたは0〜20個のアルキレンオキサイド単位でアルコキシル化C 5 〜C 20 の第一級アルコールとのモノエステル反応生成物を除く)(ア)が、水とイソシアネート基との反応によって生じた1級アミノ基と反応して2級アミノ基を生成し、さらにこれが他のイソシアネート基と反応することによる。通常の水発泡の場合はウレア基が生成するが、数平均分子量が500未満のマレイン酸エステル(有機酸無水物と、C 1 〜C 20 のヒドロカルビル置換フェノールまたは0〜20個のアルキレンオキサイド単位でアルコキシル化C 5 〜C 20 の第一級アルコールとのモノエステル反応生成物を除く)(ア)を改質剤として使用する場合には、ウレア基の一つの水素が改質剤分子で置換された結合が生じる。この置換ウレア結合は、ウレア結合の過度の凝集を阻止し、この効果によりフォームの脆性は低下し、結果として面材との接着性が改善される。
【0010】
すなわち、本発明は次の(1)〜(3)のとおりである。
(1) 有機ポリイソシアネート、ポリオール、触媒、整泡剤、発泡剤として水を単独で用い、必要に応じてその他の助剤からなる組成物に、さらに改質剤として、数平均分子量が500未満のマレイン酸エステル(有機酸無水物と、C 1 〜C 20 のヒドロカルビル置換フェノールまたは0〜20個のアルキレンオキサイド単位でアルコキシル化C 5 〜C 20 の第一級アルコールとのモノエステル反応生成物を除く)(ア)をポリオール100質量部に対し0.01〜20質量部用いることを特徴とする、硬質ポリウレタンフォーム成形用組成物。
(2) 数平均分子量が500未満のマレイン酸エステル(有機酸無水物と、C 1 〜C 20 のヒドロカルビル置換フェノールまたは0〜20個のアルキレンオキサイド単位でアルコキシル化C 5 〜C 20 の第一級アルコールとのモノエステル反応生成物を除く)(ア)が、マレイン酸ジブチルであることを特徴とする、(1)に記載の硬質ポリウレタンフォーム成形用組成物。
(3) (1)または(2)のいずれかに記載の成形用組成物を用いることを特徴とする、硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明をさらに詳細に説明する。
【0012】
本発明において改質剤として用いられる、数平均分子量が500未満のマレイン酸エステル(有機酸無水物と、C 1 〜C 20 のヒドロカルビル置換フェノールまたは0〜20個のアルキレンオキサイド単位でアルコキシル化C 5 〜C 20 の第一級アルコールとのモノエステル反応生成物を除く)(ア)の添加部数は、ポリオールあるいは有機ポリイソシアネート100質量部に対し0.01〜20質量部が好ましく、さらに好ましくは0.1〜15質量部が好ましい。0.01質量部未満では水発泡硬質ポリウレタンフォームの脆性を低減する効果が小さく、良好な接着性を発現するに至らない。また、20質量部を超えるとフォーム内部に残った改質剤の影響により寸法安定性を悪化させる原因となるという問題が生じる恐れがある。
【0013】
数平均分子量が500未満のマレイン酸エステル(有機酸無水物と、C 1 〜C 20 のヒドロカルビル置換フェノールまたは0〜20個のアルキレンオキサイド単位でアルコキシル化C 5 〜C 20 の第一級アルコールとのモノエステル反応生成物を除く)(ア)を用いることが、1級アミンとの反応の速さ、粘度、有機イソシアネートあるいはポリオールとの混和性、臭気、安全性、価格など観点から、最も好ましい。
【0015】
本発明における有機ポリイソシアネートとしては、公知の各種多官能性の脂肪族、脂環族及び芳香族イソシアネートを使用でき、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4、4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製トリレンジイソシアネート、変性トリレンジイソシアネート、4、4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4′−MDI)、ポリメリックMDI(粗製ジフェニルメタンジイソシアネート、クルードMDI等と呼称されている:以下「p−MDI」と略記する)、変性ジフェニルメタンジイソシアネート(カルボジイミド変性、プレポリマー変性等)、オルトトルイジンジイソシアネート(TODI)、ナフチレンジイソシアネート(NDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、リジンジイソシアネート(LDI)などが挙げられる。本発明においては、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4′−MDI)、2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,2′−MDI)、4、4′−MDI、及びベンゼン環を3つ以上有するポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートの混合物であるp−MDI、又は、該p−MDIとその他のイソシアネート成分との混合物を用いることが好ましく、中でも、ベンゼン環を2つ有するジフェニルメタンジイソシアネートにおける2,4′−MDIと2,2′−MDIとの合計の比率が0〜30質量%であり、且つ、該ジフェニルメタンジイソシアネートが25〜70質量%、ベンゼン環を3つ以上有するポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートが30〜75質量%から成るp−MDIが、得られる硬質ポリウレタンフォームの機械物性や価格の観点から特に好ましい。
【0016】
本発明において、イソシアネート基と反応しうるポリオール、即ち、活性水素含有官能基を2以上有する活性水素化合物としては、水酸基やアミノ基などの活性水素含有官能基を2以上有する化合物、あるいはその化合物の2種以上の混合物であれば、公知のものをいずれも使用することができる。本発明においては特に、得られる硬質ポリウレタンフォームの機械物性の観点から、2以上の水酸基を有する化合物やその混合物、またはそれを主成分としさらにポリアミンなどを含む混合物を用いることが好ましい。但し、予め数平均分子量が500未満のマレイン酸エステル(有機酸無水物と、C 1 〜C 20 のヒドロカルビル置換フェノールまたは0〜20個のアルキレンオキサイド単位でアルコキシル化C 5 〜C 20 の第一級アルコールとのモノエステル反応生成物を除く)(ア)を混合して使用する場合のみ、これと反応する1級アミノ基を持つものは使用できない。
【0017】
前記の2以上の水酸基を有する化合物としては、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、多価アルコール、水酸基含有ジエチレン系ポリマーなどがある。特にポリエーテル系ポリオールの1種以上のみからなるか、それを主成分としてポリエステル系ポリオール、多価アルコール、ポリアミン、アルカノールアミン、その他の活性水素化合物との併用が好ましい。ポリエーテル系ポリオールとしては、多価アルコール、糖類、アルキルアミン、アルカノールアミン、その他のイニシエーターに環状エーテル、特にプロピレンオキシドやエチレンオキシドなどのアルキレンオキシドを付加して得られるポリエーテル系ポリオールが好ましい。また、ポリオールとしてポリマーポリオールあるいはグラフトポリオールと呼ばれる主にポリエーテル系ポリオール中にビニルポリマーの微粒子が分散したポリオール組成物を使用することもできる。ポリエステル系ポリオールとしては、多価アルコール、多価カルボン酸縮合系のポリオールや環状エステル開環重合体系のポリオールがあり、多価アルコールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどがある。多価カルボン酸としては、無水フタル酸、テレフタル酸、ジメチルテレフタル酸、アジピン酸、ヘット酸などがある。
【0018】
本発明において用いられるポリオールは、水酸基価が15〜2000(mgKOH/g)のものから、得られる硬質ポリウレタンフォームの用途、即ち要求される諸物性に応じて選択される。
【0019】
該ポリオールとして市販されているものとしては、シュクローズにプロピレンオキサイドを付加して得られるポリエーテルポリオール(例えば、「GR−35(水酸基価400(mgKOH/g):武田薬品工業(株)製)」)、トルエンジアミンにプロピレンオキサイドを付加して得られるポリエーテルポリオール(例えば、「NT−400(水酸基価400(mgKOH/g):三井化学(株)製)」)、グリセリンにプロピレンオキサイドとエチレンオキサイドを付加したポリエーテルポリオール(例えば、「FA−103T(水酸基価50(mgKOH/g):三洋化成工業(株)製)」)」などが例として挙げられる。その他、該ポリオールとしては、シュクローズ及びトリエチレンジアミンにプロピレンオキサイドを付加した旭硝子(株)製「EX−425R(水酸基価420(mgKOH/g))」が挙げられる。
【0020】
本発明において、ポリオールと有機ポリイソシアネートを反応させる際、反応を促進するなどの目的から、触媒の使用が必要とされる。触媒としては、ポリオール中の活性水素含有基と有機ポリイソシアネート中のイソシアネート基の反応を促進させる有機スズ化合物などの金属化合物系触媒やトリエチレンジアミン(TEDA)、テトラメチルヘキサメチレンジアミン(TMHMDA)、ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)、ジメチルシクロヘキシルアミン(DMCHA)、ビスジメチルアミノエチルエーテル(BDMAEA)などの3級アミン触媒が使用される。また、該イソシアネート基同士を反応させる三量化触媒も目的に応じて使用される。
【0021】
本発明において、良好な気泡を形成する目的から、整泡剤の使用が必要とされる。該整泡剤としては、ポリウレタン工業において整泡剤として公知のものであれば、いずれも使用することができ、例えば、シリコーン系整泡剤や含フッ素化合物系整泡剤などがある。
【0022】
本発明においては、必要に応じてさらに助剤として、例えば充填剤、安定剤、着色剤、難燃剤などを用いることができる。難燃剤の代表的なものとしてはトリス(クロロプロピル)ホスフェート(TCPP)がある。
【0023】
本発明においては、これらの原料を使用して、ポリウレタンフォーム、ウレタン変性ポリイソシアヌレートフォーム、その他の発泡合成樹脂が得られる。本発明は、硬質ポリウレタンフォーム、ウレタン変性ポリイソシアヌレートフォーム、その他の硬質フォームの製造において特に有用である。その内でも、水酸基価約40〜900(mgKOH/g)のポリオールあるいはポリオール混合物と、芳香族系のポリイソシアネート化合物を使用して得られる水発泡の硬質ポリウレタンフォームの製造において特に有用である。
【0024】
【作用】
数平均分子量が500未満のマレイン酸エステル(有機酸無水物と、C 1 〜C 20 のヒドロカルビル置換フェノールまたは0〜20個のアルキレンオキサイド単位でアルコキシル化C 5 〜C 20 の第一級アルコールとのモノエステル反応生成物を除く)(ア)は、アミン触媒とは反応せず、また添加することによってクリームタイム、ゲルタイムなどのフォーム生成の反応速度に対する影響がほとんどないため、任意の量を添加しても触媒量の変更などを考慮する必要がない。ただし、タックフリータイムは若干遅延される傾向があるが、これは表面の脆性が低下される効果が発現されているためである。さらに、硬質ポリウレタンフォームは、ポリオールを含む成形前組成物(ポリオールプレミックス)と、有機ポリイソシアネートを含む成形前組成物(または、有機ポリイソシアネート単独)の2液を成形時に混合、または該両成形前組成物の他にさらに数平均分子量が500未満のマレイン酸エステル(有機酸無水物と、C 1 〜C 20 のヒドロカルビル置換フェノールまたは0〜20個のアルキレンオキサイド単位でアルコキシル化C 5 〜C 20 の第一級アルコールとのモノエステル反応生成物を除く)(ア)等、3液以上の状態で成形時に混合することにより得るのが一般的であるが、数平均分子量が500未満のマレイン酸エステル(有機酸無水物と、C 1 〜C 20 のヒドロカルビル置換フェノールまたは0〜20個のアルキレンオキサイド単位でアルコキシル化C 5 〜C 20 の第一級アルコールとのモノエステル反応生成物を除く)(ア)は予め、ポリオールを含む成形前組成物あるいは有機ポリイソシアネートを含む成形前組成物(または、有機ポリイソシアネート単独)に添加しておくことで、これらの液の粘度を低下させ、液の混合性を改善する効果も持つ。
【0025】
数平均分子量が500未満のマレイン酸エステル(有機酸無水物と、C 1 〜C 20 のヒドロカルビル置換フェノールまたは0〜20個のアルキレンオキサイド単位でアルコキシル化C 5 〜C 20 の第一級アルコールとのモノエステル反応生成物を除く)(ア)は、1級アミノ基とは速やかに反応するが、ポリオールの水酸基や有機ポリイソシアネートのイソシアネート基とは反応しない。そのため、予めポリオールを含む成形前組成物に添加しておくことも可能であり、また有機ポリイソシアネートを含む成形前組成物(または、有機ポリイソシアネート単独)に添加しておくことも可能である。また、予めいずれとも混合せず、硬質フォーム作成時に混合しても同様の効果が得られる。数平均分子量が500未満のマレイン酸エステル(有機酸無水物と、C 1 〜C 20 のヒドロカルビル置換フェノールまたは0〜20個のアルキレンオキサイド単位でアルコキシル化C 5 〜C 20 の第一級アルコールとのモノエステル反応生成物を除く)(ア)は、原料への添加では一切反応しないにも関わらず、イソシアネート基と水が反応して1級アミノ基が生じると直ちにこれと反応して2級アミノ基を生成する。さらにこの2級アミノ基は直ちに他のイソシアネート基と反応する。そのため、数平均分子量が500未満のマレイン酸エステル(有機酸無水物と、C 1 〜C 20 のヒドロカルビル置換フェノールまたは0〜20個のアルキレンオキサイド単位でアルコキシル化C 5 〜C 20 の第一級アルコールとのモノエステル反応生成物を除く)(ア)はフォームを形成する樹脂の分子骨格に取り込まれ、溶剤のようにフォームから揮発あるいは溶出することがない。数平均分子量が500未満のマレイン酸エステル(有機酸無水物と、C 1 〜C 20 のヒドロカルビル置換フェノールまたは0〜20個のアルキレンオキサイド単位でアルコキシル化C 5 〜C 20 の第一級アルコールとのモノエステル反応生成物を除く)(ア)は、1級アミノ基とだけ反応するため、水酸基とイソシアネート基との反応には関与しない。このため、フォームの接着性を悪化させる原因となるウレア基のみに関与し、特にフォームの表面層でその効果を発揮するため、フォーム全体の物性に対する影響が少ない。
【0026】
【実施例】
さらに具体的に本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は以下に示す実施例のみに限定して解釈されるものではない。
【0027】
発泡速度の測定
表1に記載の原料を用意し、表1に記載されている配合比に基づいてポリオールプレミックスやイソシアネート成分を調合する等の準備をした。これらを各々20℃に温調した後、合計重量が500gになるように2000mlのデスカップに秤量し、円盤型ペラミキサー(回転数7000rpm)で5秒間攪拌した。攪拌終了後、予め40℃に温調された内寸250×250×250(高さ)mmの上面開放型アルミ製モールドに直ちに注入し、自由発泡フォームの反応速度(クリームタイム、ゲルタイム、タックフリータイム、ライズタイム)を測定した。
【0028】
パネル発泡フォームの作成
表1に記載の原料を用意し、表1に記載されている配合比に基づいてポリオールプレミックスやイソシアネート成分を調合する等の準備をした。これらを各々20℃に温調した後、合計重量が500gになるように2000mlのデスカップに秤量し、円盤型ペラミキサー(回転数7000rpm)で5秒間攪拌した。攪拌終了後、予め40℃に温調された内寸500×500×60(厚み)mmのアルミ製モールドに直ちに注入、10分後に脱型しパネル発泡フォームとした。脱型後、24時間室温にて静置した後、次の項目について測定を行った。
パネル発泡密度:JIS A9511(表1に於ける単位:kg/m3 )
脆性 :下記の測定方法
高温寸法変化率:下記の測定方法(表1に於ける単位:%)
接着強度 :下記の測定方法(表1に於ける単位:MPa)
【0029】
脆性
パネル発泡フォームを成型し、脱型後24時間室温にて静置した後、フォーム側面につき官能評価を行った。
表1に於いて、○:良好
△:概ね良好
×:不良
【0030】
高温寸法変化率
パネル発泡フォームを50×50×50mmのサイズにカットした。このカットしたフォームサンプルについて、80℃×48時間後の寸法変化率を測定した。
【0031】
接着強度
パネル発泡フォーム成型時に、予め脱脂した鉄板(100×100mm)を側面に固定しておき、前述と同一の方法によりパネル発泡フォームを作成した。脱型後、24時間室温にて静置した後、引張試験機(テンシロン)を用いて、フォームと鉄板の接着強度を測定した。
【0032】
実施例1:
ポリエーテルポリオールA、水、触媒、整泡剤、難燃剤、改質添加剤としてマレイン酸ジブチルを表1に示す配合比により混合してポリオールプレミックスを調合した。その後、該プレミックスと有機ポリイソシアネートを表1に示す配合比になるように混合し、前述の方法により、発泡速度の測定、パネル発泡フォームの作成、及びパネル発泡密度・高温寸法変化率・接着強度の測定を行った。結果を表1に示す。
【0033】
実施例2〜5、比較例1並び2
実施例1と同様の方法により、実施例2〜5、比較例1並び2として、表1に示す配合比に基づいて、発泡速度の測定、パネル発泡フォームの作成、及びパネル発泡密度・高温寸法変化率・接着強度の測定を行った。結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
表1の注)
ポリエーテルポリオールA: 旭硝子(株)製「EL−430」
(水酸基価 400(mgKOH/g))
水: (市水)
触媒: 花王(株)製「カオライザーNo.10」
整泡剤: 日本ユニカー(株)製「L−5420」
難燃剤: アクゾノーベル社製「ファイロールPCF」
有機ポリイソシアネート: 日本ポリウレタン工業(株)製「MR−200」
(イソシアネート基含有量 30.8(%))
【0036】
【発明の効果】
表1の実施例1〜4に示すように、改質剤として数平均分子量が500未満のマレイン酸エステル(有機酸無水物と、C 1 〜C 20 のヒドロカルビル置換フェノールまたは0〜20個のアルキレンオキサイド単位でアルコキシル化C 5 〜C 20 の第一級アルコールとのモノエステル反応生成物を除く)を使用することにより、反応性および寸法安定性に影響を与えることなく、水発泡硬質ウレタンフォームの脆性と接着性を大幅に改善することが可能となった。
Claims (3)
- 有機ポリイソシアネート、ポリオール、触媒、整泡剤、発泡剤として水を単独で用い、必要に応じてその他の助剤からなる組成物に、さらに改質剤として、数平均分子量が500未満のマレイン酸エステル(有機酸無水物と、C 1 〜C 20 のヒドロカルビル置換フェノールまたは0〜20個のアルキレンオキサイド単位でアルコキシル化C 5 〜C 20 の第一級アルコールとのモノエステル反応生成物を除く)(ア)をポリオール100質量部に対し0.01〜20質量部用いることを特徴とする、硬質ポリウレタンフォーム成形用組成物。
- 数平均分子量が500未満のマレイン酸エステル(有機酸無水物と、C 1 〜C 20 のヒドロカルビル置換フェノールまたは0〜20個のアルキレンオキサイド単位でアルコキシル化C 5 〜C 20 の第一級アルコールとのモノエステル反応生成物を除く)(ア)が、マレイン酸ジブチルであることを特徴とする、請求項1に記載の硬質ポリウレタンフォーム成形用組成物。
- 請求項1または請求項2のいずれかに記載の成形用組成物を用いることを特徴とする、硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
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