JP4177528B2 - 粒子線照射装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粒子線加速器から3次元照射される粒子線照射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、日本における死亡原因の約3分の1を占めるがんの治療方法として、陽子や重粒子を用いた粒子線治療法が注目されている。この治療法は、加速器から出射された陽子ビーム、あるいは重粒子ビームをがん細胞に照射することで、正常細胞にほとんど影響を与えることなく、がん細胞のみを死滅させることができる。
【0003】
現在使用されている粒子線治療の方法は、2次元ワブラ法や二重散乱体法などと呼ばれる方法である。これら2次元的照射方法では、ビーム軸に対して垂直な方向についてはコリメータを用いることにより、照射領域を制限することができるが、ビーム軸方向については精度よく患部に合わせて照射領域を制限できないという問題がある。
【0004】
そこで、粒子線治療のさらに進んだ治療法として、体内患部を3次元的に照射することにより、より高精度にがん細胞の狙い撃ちを行う方法が提案されている。この3次元照射法として代表的なものが、治療部位を仮想的に3次元格子点に切り分け照射を行う治療法であり、3次元スポットスキャニング法と呼ばれる。
【0005】
この3次元スポットスキャニング法のような3次元照射方法を行うことにより、ビーム軸方向についても精度良く患部に合わせることが可能になり、従来の2次元的照射方法と比較して正常患部への被曝を抑制することができる。
【0006】
ここで、上記3次元スポットスキャニング法によりがん治療を行うための3次元照射装置について図面を用いて説明する。
【0007】
図14は、治療室に配置された3次元スポットスキャニング用の3次元照射装置の概略構成図である。図中、1は治療ベットであり、2は3次元照射装置である。この3次元照射装置2は、スキャニング磁石3a,3b、線量モニタ4、位置モニタ5、リッジフィルタ6及びレンジシフタ7から構成されている。
【0008】
次に図14で示した3次元照射装置の各機器の機能を説明する。
【0009】
上記スキャニング磁石3a,3bは、この磁石に入射したスポットビームを体内患部内のビーム軸に対して垂直面上の点(X,Y)に走査する。
【0010】
上記レンジシフタ7は、体内の患部内のビーム軸方向の位置(Z)を制御するものである。このレンジシフタ7は複数の厚さのアクリル板から構成され、これらのアクリル板を組み合わせることにより、レンジシフタ7を通過するビームエネルギ、即ち体内レンジを段階的に変化させることができる。また、レンジシフタ7における体内レンジの制御は、一般的には一定間隔をもって切替えられる。
【0011】
単エネルギ粒子線ビームの体内深さ方向の線量分布は、図15に示すように体内レンジ近傍に非常にシャープなピーク(以下ブラッグピークと呼ぶ)分布を持つため、リッジフィルタ6を用いて、レンジシフタ7によって切替えられる体内レンジの間隔に対応するように、単エネルギの粒子線ビームの体内レンジを拡大する。
【0012】
ここで、3次元照射用のリッジフィルタ6は、図16に示すようにアルミニウムからなる棒片が複数並べられた形状に構成されている。各棒片は二等辺三角形の形状を持ち、ビーム軸方向の厚みがビームの垂直方向に対して一定の割合で変化するようになっている。なお、実際には棒片の機械加工のし易さから、細かな階段状に加工して二等辺三角形状に形成される。
【0013】
このリッジフィルタ6でブラッグピークが拡大された1スライス当りの線量分布を図17に示す。
【0014】
上記線量モニタ4は、体内に照射する線量を測定するためのものであり、また位置モニタ5はスキャニング磁石3a,3bにより走査されたビーム位置が正しい位置にあるかどうかを確認するためのものである。
【0015】
これらの各照射機器を用いて、以下の方法により3次元照射が行われる。
【0016】
まず、患部をビーム軸に対して複数のスライスに仮想的に分割し、最深スライスの位置に応じて粒子線ビームの入射エネルギとレンジシフタ6におけるアクリル板厚が選ばれる。
【0017】
次に最深スライスにおける患部形状に応じて粒子線ビームの入射エネルギとレンジシフタ6における患部形状に応じてスポットビームを照射する点数nと位置(Xi,Yi)[i=1〜n]が選ばれ、スキャニング磁石3a,3bによりこれらの位置(Xi,Yi)に照射される。
【0018】
これらのスキャニング磁石3a,3bにおいて、単エネルギであった粒子線ビームはリッジフィルタ6によって体内レンジ分布がスライス幅に対応するようにエネルギ分布が拡大されている。このスライス上の位置(Xi,Yi)の照射線量は線量モニタ4により監視され、予定線量の照射を検出するとビームが停止され、スキャニング磁石3a,3bによって照射位置が同じスライス上の次の位置(Xi+1,Yi+1)に変更される。このスライス内の点の照射がすべて終了すると、レンジシフタ7におけるアクリル厚が変更され、次のスライス照射が行われる。これをスライス毎に順次繰返すことで3次元的に照射を行う。
【0019】
以上のように体内の患部に対して3次元的に照射を行うことにより、従来の2次元的照射方法と比較して、精度良く患部に合致させて照射を行うことが可能となる。
【0020】
しかし、3次元スポットスキャニング法のような3次元的照射方法では、以下のような問題があった。
【0021】
図16に示したようなリッジフィルタ6では、ブラッグピークの拡大を体内深さ方向に一定値で重み付けして行い、図17に示すように各スライス毎に見れば拡大されたブラッグピークは線量が一定になっている。しかし、これらを全スライスにわたって加え合せたとき、図18に示すようにギザギザの照射線量分布となってしまう。これはブラッグピークに対して体内の浅い側の線量がなだらかになっており、より深い側のスライス照射の影響を受けるためである。
【0022】
ここでは、3次元スポットスキャニング法による照射例を示したが、このよう問題はリッジフィルタを用いて3次元的に照射を行う方法、例えば3次元ワブラ方や3次元二重散乱体法においても、同様の問題が生じる。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
このように従来のリッジフィルタを用いた3次元的照射方法では、全照射領域にわたって加え合せた体内深さ方向の照射線量分布の一様性が得られないという問題があった。
【0024】
本発明は上記のような事情に鑑みなされたもので、全照射領域にわたって加え合わせた体内深さ方向の照射線量に対して、一様性を高くすることができる粒子線照射装置を提供することを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の目的を達成するため、次のような手段により粒子線照射方法とその装置並びに照射線治療装置を構成する。
【0026】
請求項1に対応する発明は、粒子線ビームのエネルギを複数に切替える機構と、各エネルギに対して体内の深さ方向に形成される粒子線ビームの線量分布におけるブラッグピークを拡大するためのリッジフィルタとを備えた粒子線照射装置において、前記リッジフィルタは、複数の棒片が並設され、且つ各棒状の形状関数が前記ブラッグピークを深さ方向に非対称に重み付けして拡大するように構成される。
【0027】
請求項2に対応する発明は、粒子線ビームを走査するための走査磁石と、粒子線ビームのエネルギを複数に切替える機構と、各エネルギに対して体内の深さ方向に形成される粒子線ビームの線量分布におけるブラッグピークを拡大するためのリッジフィルタとを備えた3次元照射の粒子線照射装置において、前記リッジフィルタは、複数の棒片が並設され、且つ各棒状の形状関数が前記ブラッグピークを深さ方向に非対称に重み付けして拡大するように構成される。
【0028】
請求項3に対応する発明は、粒子線ビームを2次元的に拡大するための散乱体と、粒子線ビームのエネルギを複数に切替える機構と、各エネルギに対して体内の深さ方向に形成される粒子線ビームの線量分布におけるブラッグピークを拡大するためのリッジフィルタとを備えた3次元照射の粒子線照射装置において、前記リッジフィルタは、複数の棒片が並設され、且つ各棒状の形状関数が前記ブラッグピークを深さ方向に非対称に重み付けして拡大するように構成される。
【0032】
請求項4に対応する発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに対応する発明の粒子線照射装置において、前記重み付けとして、重みの最大になる体内位置をZm、重みの最大値の半分になる体内位置のうち浅い側をZf、深い側をZeとするとき、|Ze−Zm|<|Zf−Zm|で表される重み付けとする。
【0033】
請求項5に対応する発明は、粒子線ビームのエネルギを複数に切替える機構と、各エネルギに対して体内の深さ方向に形成される粒子線ビームの線量分布におけるブラッグピークを拡大するためのリッジフィルタとを備えた粒子線照射装置において、前記リッジフィルタは、複数の棒片が並設され、且つ各棒片の形状関数が厚さ最小の位置から最大の位置までに変曲点を持ち、しかも厚さ最小の位置から変曲点までの距離が厚さ最大の位置から変曲点までの距離よりも小さくなるように構成されたものである。
【0034】
請求項6に対応する発明は、粒子線ビームを走査するための走査磁石と、粒子線ビームのエネルギを複数に切替える機構と、各エネルギに対して体内の深さ方向に形成される粒子線ビームの線量分布におけるブラッグピークを拡大するためのリッジフィルタとを備えた3次元照射の粒子線照射装置において、前記リッジフィルタは、複数の棒片が並設され、且つ各棒片の形状関数が厚さ最小の位置から最大の位置までに変曲点を持ち、しかも厚さ最小の位置から変曲点までの距離が厚さ最大の位置から変曲点までの距離よりも小さくなるように構成されたものである。
【0035】
請求項7に対応する発明は、粒子線ビームを2次元的に拡大するための散乱体と、粒子線ビームのエネルギを複数に切替える機構と、各エネルギに対して体内の深さ方向に形成される粒子線ビームの線量分布におけるブラッグピークを拡大するためのリッジフィルタとを備えた3次元照射の粒子線照射装置において、前記リッジフィルタは、複数の棒片が並設され、且つ各棒片の形状関数が厚さ最小の位置から最大の位置までに変曲点を持ち、しかも厚さ最小の位置から変曲点までの距離が厚さ最大の位置から変曲点までの距離よりも小さくなるように構成されたものである。
【0036】
請求項8に対応する発明は、請求項1乃至請求項7のいずれかに対応する発明の粒子線照射装置において、前記粒子線ビームのエネルギを複数に切替える機構として、レンジシフタを用いる。
【0042】
従って、上記のような発明によれば、各スライスにおける拡大されたブラッグピークは、なだらかな形状を持つ分布となり、これらを加え合せることで得られる全照射線量は、深さ方向に一様性の高い分布を得ることができる。
【0043】
また、リッジフィルタによって与えられるブラッグピークの深さ方向の重み付けにおいて、ブラッグピークよりも体内深い側の重み付けは、体内浅い側よりも拡大を小さくすることができる。したがって、各スライスを加え合せて得られる全照射線量は、深さ方向に一様性が高い上に、照射領域の最深部において切れのよい照射線量分布を与えることが可能になる。
【0044】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0045】
図1は本発明の第1の実施の形態を示す治療室に配置された3次元スポットスキャニング法用の3次元照射装置の概略構成図で、従来例で示した図14と同一機器については同一符号を付して示す。
【0046】
図1において、1は治療ベットであり、10は3次元照射装置である。この3次元照射装置10は、スキャニング磁石3a,3b、線量モニタ4、位置モニタ5、リッジフィルタ11及びレンジシフタ7から構成されている。
【0047】
次に図1で示した3次元照射装置の各機器の機能を説明する。
【0048】
上記スキャニング磁石3a,3bは、この磁石に入射したスポットビームBを体内患部内のビーム軸に対して垂直面上の点(X,Y)に走査するもので、スキャニング磁石3aはビームをX方向に走査し、スキャニング磁石3bはY方向に走査する。
【0049】
上記レンジシフタ7は、体内患部内のビーム軸方向の位置(Z)を制御するものである。このレンジシフタ7は複数の厚さのアクリル板から構成され、これらのアクリル板を組み合わせることにより、レンジシフタ7を通過するビームエネルギ、即ち体内レンジを段階的に変化させることができる。
【0050】
上記リッジフィルタ11は、レンジシフタ7によって切替えられる体内レンジの間隔に対応するように単エネルギの粒子線ビームの体内レンジを拡大するものである。
【0051】
図2は3次元照射用のリッジフィルタ11の形状を示すものである。図に示したリッジフィルタは、アルミニウムからなる棒片が複数並べられて構成されている。ここでは、リッジフィルタの形状を表すために、次の座標系を用いて説明する。
【0052】
図において、棒片の並ぶ方向をX軸、棒片の厚さ方向をZ軸にとる座標系を用い、棒片の厚さが最初になる位置をXs、厚さが最大になる位置をXlとする。
【0053】
図で示した例では、厚さがゼロ(Z=0)になる位置がX=Xsである。ここで、位置Xの関数として表される厚さ関数Z(X)は、位置さXsからXlの間に変曲点Xpを持っている。さらに、位置Xs、Xlと変曲点Xpの間には、
|Xp−Xs|<|Xl−Xp|
の関係がある。ここで、変曲点とは、厚さ関数Z(X)のXによる微分式に対して、
Z/dX=0
にて定義される位置である。
【0054】
これらの各照射機器を用いて、以下の方法により3次元照射が行われる。
【0055】
まず、患部をビーム軸に対して複数のスライスに仮想的に分割し、最深スライスの位置に応じて粒子線ビームの入射エネルギとレンジシフタ7におけるアクリル板厚が選ばれる。
【0056】
次に最深スライスにおける患部形状に応じてスポットビームを照射する点数nと位置(Xi,Yi)[i=1〜n]が選ばれ、スキャニング磁石3a,3bによりこれらの位置(Xi,Yi)に照射される。スキャニング磁石3a,3b通過時点では、単エネルギであった粒子線ビームBは、リッジフィルタ11によって、体内レンジ分布がスライス幅に対応するようにエネルギ分布が拡大されている。このスライス上の位置(Xi,Yi)の照射線量は線量モニタ4により監視され、予定線量の照射を検出するとビームが停止され、スキャニング磁石3a,3bによって照射位置が同じスライス上の次の位置(Xi+1,Yi+1)に変更される。このスライス内の点の照射がすべて終了すると、レンジシフタ7におけるアクリル厚が変更され、次のスライス照射が行われる。これをスライス毎に順次繰返すことで3次元的に照射を行う。
【0057】
図3は本実施の形態のリッジフィルタ11を用いてブラッグピークが拡大されるときのブラッグピークの重み付け関数と、1スライスに対してブラッグピークが拡大された線量の深さ方向分布である。このときの重み付けは、重みが最大になる位置Zm(重みの最大になる位置が複数ある場合はそれらの平均位置)に対して、浅い側の重み付けと深い側の重み付けが非対称の分布を持つ。図3の場合、重みの最大値の半分になる体内位置のうち、浅い側をZf、深い側をZeとするとき、
|Ze−Zm|<|Zf−Zm|
となっている。
【0058】
ここで、ブラッグピークが拡大された1スライス当りの線量分布は、図3に示すように滑らかであり、且つブラッグピークより浅い側に比べて深い側は切れのよい形状となる。
【0059】
図4は、図3で示した1スライス当りのブラッグピークを拡大した線量分布を加算して得られる全線量の深さ方向線量分布である。
【0060】
図から分るように、照射領域において、一様性が高く、且つ照射領域の最深部の切れのよい深さ方向線量分布が得られる。
【0061】
従って、上記のような構成の3次元照射装置を用いることにより、患部に対して照射精度が向上し、且つ患部最深部の切れがよいことから、正常組織に対して被曝の少ない照射を行うことができる。
【0062】
図5は本発明の第2の実施の形態を示す治療室に配置された3次元スポットスキャニング法用の3次元照射装置の概略構成図で、従来例で示した図14と同一機器については同一符号を付して示す。
【0063】
図5において、1は治療ベッドであり、12は3次元照射装置である。この3次元照射装置12は散乱体13、ワブラ磁石14a,14b、線量モニタ4、位置モニタ5、リッジフィルタ11、レンジシフタ7及び多葉コリメータ15から構成される。
【0064】
次に図5に示した3次元照射装置の各機器の機能を説明する。
【0065】
上記散乱体13は入射するスポットビームBのビーム幅を、散乱体内部における散乱現象により拡大する働きをするものである。
【0066】
上記ワブラ磁石14a,14bは散乱体13により拡大されたビームを体内患部内のビーム軸に対して垂直面上の点(X,Y)に走査するもので、ワブラ磁石14aは、ビームをX方向に走査し、ワブラ磁石14bはY方向に走査する。このX方向ワブラ磁石14a及びY方向ワブラ磁石14bは、これらを流れる電流値が同じ周波数でサイン関数に従って変動するが、X方向ワブラ磁石及びY方向ワブラ磁石の電流の位相は90度ずれた状態に保持される。
【0067】
例えば、これらの周波数がともに31Hzであり、電流の位相が90度ずれているためにワブラ磁石から出射されるビームは、31Hzで円形に回転するビームとなる。これを例えば1秒間にわたり、積分したビーム形状はビーム軸中心に対して円板状に拡大した形状となる。
【0068】
なお、ここでは散乱体13により拡大されたビームをワブラ磁石14a,14bにより走査しているが、これらの順番を入れ替え、ワブラ磁石14a,14bで走査したスポットビームを散乱体13にて拡大しても同様の形状のビームが得られる。
【0069】
上記レンジシフタ7は、複数の厚さのアクリル板から構成されており、これらアクリル板を組合せることによりレンジシフタを通過するビームエネルギ、すなわち体内レンジを段階的に変化させることができる。
【0070】
多葉コリメータ15は、複数の鉄製板から構成され、ビーム軸を挟んで両側からこれら鉄板を入れその位置により、円板状に拡大されたビームを任意の形状になるように制限するものである。多葉コリメータ15を通過するビーム形状は、患者の患部の形状に合うように多葉コリメータ15が変形される。この多葉コリメータ15の変形は、レンジシフタ7のアクリル板厚、つまり体内レンジ毎に行い、照射領域を患部形状に合わせる。
【0071】
第2の実施の形態で用いられる3次元照射用のリッジフィルタの形状は、図2に示すように第1の実施の形態と同様である。
【0072】
これらの各照射機器を用いて、以下の方法により3次元照射が行われる。
【0073】
まず、患部をビーム軸に対して複数のスライスに仮想的に分割し、最深スライスの位置に応じて粒子線ビームの入射エネルギとレンジシフタ7におけるアクリル板厚が選ばれる。
【0074】
次に、最深スライスにおける患部形状に応じて多葉コリメータ15が変形される。散乱体13とワブラ磁石14a,14bにより、スポットビームは円形に拡大されるが、さらに多葉コリメータ15によりこのスライスにおける患部形状に合致したビームに変形され、患部に照射される。
【0075】
ワブラ磁石14a,14bにおいて、単エネルギであった粒子線ビームはリッジフィルタ11によって、体内レンジ分布がスライス幅に対応するようにエネルギ分布が拡大される。
【0076】
また、体内への照射線量は線量モニタ4により監視され、予定線量の照射を検出するとビームが停止され、レンジシフタ7におけるアクリル厚が変更され、次のスライス照射が行われる。これを順次繰返しながら3次元的に照射を行う。
【0077】
上記第2の実施の形態で示した3次元照射装置により得られる深さ方向の線量分布は、第1の実施の形態で示したものと同様の線量分布となる。つまり、1スライスに対してブラッグピークが拡大された線量の深さ方向分布は、図3に示すように滑らかであり、且つブラッグピークより浅い側に比べて深い側は切れのよい形状となる。これらを全スライスに対して加算して得られる全線量に対する深さ方向の線量分布は、照射領域において一様性が高く、且つ照射領域の最深部の切れのよい分布となる。
【0078】
従って、上記のような構成の3次元照射装置を用いることにより、患部に対して精度よく、且つ患部最深部の切れがよくなることから、正常組織に対して被曝の少ない照射を行うことができる。
【0079】
図6は本発明の第3の実施の形態を示す治療室に配置された3次元スポットスキャニング法用の3次元照射装置の概略構成図で、従来例で示した図14と同一機器については同一符号を付して示す。
【0080】
図6において、1は治療ベットであり、16は3次元照射装置である。この3次元照射装置16は、二重散乱体17、線量モニタ4、位置モニタ5、リッジフィルタ11、レンジシフタ7及び多葉コリメータ15から構成されている。
【0081】
次に図6で示した3次元照射装置の各機器の機能を説明する。
【0082】
上記二重散乱体17は、散乱体に入射するスポットビームBのビーム幅を散乱体内部における散乱現象により拡大する働きをするものである。ここでは散乱体を二重に配置し、一重の場合よりもさらにビーム径を拡大することができ、第2の実施の形態におけるワブラ磁石と同等の働きをさせることが可能になる。
【0083】
上記レンジシフタ7は、複数のアクリル板から構成され、これらのアクリル板を組み合わせることにより、レンジシフタ7を通過するビームエネルギ、即ち体内レンジを段階的に変化させるものである。
【0084】
上記多葉コリメータ15は、複数の鉄製板から構成され、ビーム軸を挟んで両側からこれら鉄板を入れその位置により、円板状に拡大されたビームを任意の形状になるように制限するものである。
【0085】
第3の実施の形態で用いられる3次元照射用のリッジフィルタの形状は、図2に示すように第1の実施の形態と同様である。
【0086】
これらの各照射機器を用いて、以下の方法により3次元照射が行われる。
【0087】
まず、患部をビーム軸に対して複数のスライスに仮想的に分割し、最深スライスの位置に応じて粒子線ビームの入射エネルギとレンジシフタ7におけるアクリル板厚が選ばれる。
【0088】
次に、最深スライスにおける患部形状に応じて多葉コリメータ15が変形される。二重散乱体17によりスポットビームは円形に拡大されるが、さらに多葉コリメータ15によりこのスライスにおける患部形状に合致したビームに変形されて患部に照射される。二重散乱体17において単エネルギであった粒子線ビームは、リッジフィルタ11によって、体内レンジ分布がスライス幅に対応するようにエネルギ分布が拡大されている。
【0089】
また、体内への照射線量は線量モニタ4により監視され、予定線量の照射を検出するとビームが停止され、レンジシフタ7におけるアクリル厚が変更され、次のスライス照射が行われる。これを順次繰返すことで3次元的に照射を行う。
【0090】
上記第3の実施の形態で示した3次元照射装置において得られるところの線量分布は、第1の実施の形態で示したものと同様の線量分布となる。つまり、1スライスに対してブラッグピークが拡大された線量の深さ方向分布は、図3に示すように滑らかであり、且つブラッグピークより浅い側に比べて深い側は切れのよい形状となる。これらを全スライスに対して加え合せることで得られる全線量に対する深さ方向の線量分布は、照射領域において一様性が高く、且つ照射領域の最深部の切れのよい分布となる。
【0091】
従って、上記のような構成の3次元照射装置を用いることにより、患部に対して精度よく、且つ患部最深部の切れがよくなることから、正常組織に対して被曝の少ない照射を行うことができる。
【0092】
前述した第1の実施の形態乃至第3の実施の形態では、図2に示すような形状のリッジフィルタを使用した例について説明したが、図7に示すような形状のリッジフィルタを使用してもよい。
【0093】
図7においては、厚さが最小になる位置Xsから位置XrまでがdZ/dX=0、つまり傾きが一定になっている。この場合、傾きが一定になっている範囲の中心位置をXpと考える。図7のリッジフィルタを用いたとき、重み付け関数は図8に示すように重みが最大になるところでは、ある深さ範囲重みが一定であり、それより深い側では重み付けがゼロになり、浅い側では緩やかに減少している。つまり、重みの最大値の半分になる体内位置のうち、浅い側をZf、深い側をZeとするとき、
|Ze−Zm|<|Zf−Zm|
を満たしている。このような場合であっても、全スライスについて加算することで得られる全線量に対する深さ方向線量分布は、照射領域において一様性が高く、且つ照射領域の最深部の切れのよい分布となる。
【0094】
前述した第1の実施の形態乃至第3の実施の形態において、リッジフィルタの形状に対して変曲点を、厚さ関数Z(X)のXによる微分式に対して
Z/dX=0
にて定義した。しかし、現実には機械加工のし易さから、棒片は細かな階段状に加工して製作され、上述の定義付けができないことがある。
【0095】
そこで、そのような場合には、厚さ関数Z(X)の代わりに、階段状に加工した段の中心を(xi,zi)とし、Δz(i)=[z(i)−z(i−1)]、Δx(i)=[x(i)−x(i−1)]とする。そして、[Δz(i+1)/Δx(i+1)−Δz(i)/Δx(i)]/Δx(i)がゼロになる位置xiを変曲点Xpと定義する。ゼロになる位置が2つ以上ある場合は、これらの平均位置を変曲点Xpと定義する。ゼロになる位置がない場合は、[Δz(i+1)/Δx(i+1)−Δz(i)/Δx(i)]/Δx(i)をiについて順に計算していったときに符号が変化する位置xiを変曲点Xpと定義する。
【0096】
リッジフィルタの形状は、図2、図7で示した形状以外に、上述にて定義付けされた形状に当てはまる限り、任意の形状をとることができる。
【0097】
また、前述した第1の実施の形態乃至第3の実施の形態では、それぞれスポットスキャニング法、ワブラ法、二重散乱法による3次元照射方法について示したが、その他の方法においても3次元的照射方法であれば、同様に実施できるものである。
【0098】
図9は本発明の第4の実施の形態を示す治療室に配置された3次元スポットスキャニング法用の3次元照射装置を用いた粒子線治療装置の概略構成図で、図1と同一機器については同一符号を付して示す。
【0099】
図9において、20が治療室、21は粒子線加速リング(図示せず)から治療室20にビームを輸送するための粒子線輸送装置、1は治療室20内に配置された治療ベット、22は3次元照射装置である。
【0100】
ここで、粒子線輸送装置21は、例えば2つの偏向磁石23,24、2つの3連収束磁石25,26から構成されている。また、3次元照射装置22は、スキャニング磁石3a,3b、線量モニタ4、位置モニタ5、レンジシフタ7から構成されている。
【0101】
この第4の実施の形態では、図2の形状を持つリッジフィルタ11が粒子線輸送装置21の偏向磁石24と3連収束磁石26間に配置されている。
【0102】
本実施の形態において、3次元照射装置の各機器及びその機能については第1の実施の形態と同様なので、その説明を省略する。
【0103】
この実施の形態において、リッジフィルタ11は粒子線輸送装置21に配置されている。このときの利点は以下の通りである。
【0104】
リッジフィルタ11は、スポットビームBを形成する粒子線が、リッジフィルタを通過する場所によってリッジフィルタ材であるアルミを通過する厚さが異なることにより、通過ビームのエネルギ分布を広げる働きをする。
【0105】
リッジフィルタと患部が非常に近い場合、患部に照射されるビームのエネルギはそのままリッジフィルタの形状を患部に射影され、患部には縞状の体内レンジ分布となる。例えば、リッジフィルタの棒片の隙間からもれたビームの縞模様がそのまま患部に映し出されることになる。
【0106】
これはリッジフィルタと患部がある程度距離を離せば、リッジフィルタによる像は空間的に一様化され、問題はなくなるが、逆に距離を離し過ぎると、リッジフィルタにおける散乱の影響により患部に照射されるビームの径が拡大されて、ビーム軸と垂直方向に対する照射線量の切れが悪化してしまう。
【0107】
従って、リッジフィルタの配置位置は、最適化される必要があるが、他の照射機器、例えばレンジシフタとの干渉により配置位置が制限される場合が多い。
【0108】
ところが、図9に示すようにリッジフィルタ11を粒子線輸送装置21内に配置した場合、リッジフィルタと患部の距離を十分大きく保つことが可能となり、且つリッジフィルタにて散乱されたビームは、収束磁石により収束されるので、患部に照射されるビームの幅の拡大を抑制することが可能になる。
【0109】
さらに、本実施の形態では、リッジフィルタ11を構成する棒片が位置XsからXlの間に変曲点Xpを持ち、さらに位置Xs,Xlと変曲点Xpの間には、
|Xp−Xs|<|Xl−Xp|
の関係となっている。
【0110】
従って、1スライスに対してブラッグピークが拡大された線量の深さ方向分布は、図3に示すように滑らかであり、且つブラッグピークより浅い側は切れのよい形状となる。これらを全スライスに加算して得られる全線量に対する深さ方向の線量分布は照射領域において一様性が高く、且つ照射領域の最深部の切れのよい分布となる。
【0111】
従って、上記のように構成された3次元照射装置を用いた粒子線治療装置によれば、一様性が高く、且つビーム軸に対して垂直方向の線量の切れがよくなると共に、患部最深部の切れがよい照射が可能になることから、正常組織に対して被曝の少ない照射を行うことができる。
【0112】
上記第4の実施の形態では、リッジフィルタ11が粒子線輸送装置21の偏向磁石23と3連収束磁石25との間に配置された例を示したが、粒子線輸送装置21内の最も治療室側の収束磁石よりも加速器側であれば、任意の位置に配置することが可能である。
【0113】
図10は本発明の第5の実施の形態を示す治療室に配置された3次元スポットスキャニング法用の3次元照射装置を用いた粒子線治療装置の概略構成図で、図1及び図9で示した機器と同一機器については同一符号を付して示す。
【0114】
図10において、20が治療室、27は粒子線加速リング(図示せず)から治療室20にビームを輸送するための粒子線輸送装置、1は治療室20内に配置された治療ベット、22は3次元照射装置である。
【0115】
粒子線輸送装置27は、例えば2つの偏向磁石23,24、2つの3連収束磁石25,26から構成されている。また、3次元照射装置22は、スキャニング磁石3a,3b、線量モニタ4、位置モニタ5、レンジシフタ7から構成されている。
【0116】
本実施の形態において、3次元照射装置22及び粒子線輸送装置の各機器及びその機能については、第1の実施の形態及び第4の実施の形態と同様なので、その説明を省略する。
【0117】
この実施の形態では、粒子線輸送装置27の偏向磁石24と3連収束磁石26の間にアルミニウム製の非平行板からなるエネルギ分布拡大板28を配置するものである。
【0118】
図11はエネルギ分布拡大板28の形状を表す図である。図11において、aは板の断面が例えば二等辺三角形の形状をしており、エネルギ分布拡大板を通過した粒子線ビームは、エネルギ分布拡大板28を通過する位置によりエネルギの損失を変えることができる。
【0119】
エネルギ分布拡大板28の直後では、ビーム断面上の位置により粒子エネルギが異なるが、3連収束磁石26により収束されて患部に到達するときには、粒子エネルギはビーム断面内で一様化され、リッジフィルタと同様にエネルギ分布を生じさせることが可能になる。
【0120】
エネルギ分布拡大板28の形状を表す図11のbはaに比べて内側に湾曲した形状を持つ。このとき、板厚の薄い領域を通過した粒子数の方が、板厚の厚い領域を通過した粒子数よりも多くなり、通過後のエネルギ分布、つまり体内でのレンジ分布は、図3で示した重み付けにより拡大したものと同等にすることができる。
【0121】
この実施の形態において、エネルギ分布拡大板28はリッジフィルタと比較して簡単な形状をしているので、リッジフィルタよりも低コストにてリッジフィルタと同様の働きを行わせることが可能になる。また、エネルギ分布拡大板28は3連収束磁石26よりも加速器側に配置されているので、エネルギ分布拡大板28により散乱された粒子線ビームは、3連収束磁石26により収束されるので、患部に照射されるビームの径の拡大を抑制することが可能になる。
【0122】
また、エネルギ分布拡大板28の形状を調整することにより、1スライスに対してブラッグピークの拡大された線量の深さ方向分布が滑らかであり、且つブラッグピークより浅い側に比べて深い側は切れのよい形状とすることができる。これを全スライスに加算して得られる全線量に対する深さ方向の線量分布は、照射領域において一様性が高く、且つ照射領域の最深部の切れのよい分布となる。
【0123】
従って、上記のように構成された3次元照射装置を用いた粒子線治療装置によれば、患部最深部の切れがよい照射が可能になり、正常組織に対して被曝の少ない照射を行うことができる。
【0124】
上記第5の実施の形態では、エネルギ分布拡大板28が、粒子線輸送装置27の偏向磁石24と3連収束磁石26との間に配置された例を示したが、粒子線輸送装置27内の最も治療室側の収束磁石よりも加速器側であれば、任意の位置に配置することが可能である。
【0125】
図12は本発明の第6の実施の形態を示す治療室に配置された3次元スポットスキャニング法用の3次元照射装置を用いた粒子線治療装置の概略構成図で、図1及び図9と同一機器については同一符号を付して示す。
【0126】
図12において、20が治療室、29は粒子線加速リング(図示せず)から治療室20にビームを輸送するための粒子線輸送装置、1は治療室内に配置された治療ベット、22は3次元照射装置である。
【0127】
ここで、粒子線輸送装置29は、例えば2つの偏向磁石23,24、2つの3連収束磁石25,26から構成されている。また、3次元照射装置22は、スキャニング磁石3、線量モニタ4、位置モニタ5、レンジシフタ7から構成されている。
【0128】
本実施の形態において、3次元照射装置22及び粒子線輸送装置の各機器及びその機能については、第1の実施の形態及び第4の実施の形態と同様なので、その説明を省略する。
【0129】
この実施の形態では、アルミニウム製非平行板からなるエネルギ分布拡大板30が粒子線輸送装置29の2つの偏向磁石23と24との間に配置されている。
【0130】
図13はエネルギ分布拡大板30の形状を表す図である。図13において示したエネルギ分布拡大板30の形状は、いずれも加速器側に配置された偏向磁石23においてビームの偏向する方向として定義される側の板厚が、ビーム中心軸の板厚よりも厚くなっている。
【0131】
図13に示したエネルギ分布拡大板30は、次のような機能を有している。
【0132】
偏向磁石23に入射した粒子線は、ビーム自体が持つ小さなエネルギ広がりにより、偏向磁石23から出射されるとき偏向方向に位置広がりを形成する。つまり、エネルギ(運動量)が大きい粒子は、偏向磁石23内にてより内側の軌道を通り、逆にエネルギ(運動量)が小さい粒子は、偏向磁石23にてより内側の軌道を通ることになる。このとき、加速器側に配置された偏向磁石23においてビームが偏向する方向として定義される側には、よりエネルギの低い粒子が到達する。このエネルギの低い粒子は図13で示したエネルギ分布拡大板30の板厚の大きい領域を通過して多くのエネルギを損失し、さらにエネルギが低下することになる。
【0133】
図13で示したエネルギ分布拡大板を使用することにより、板厚の薄い領域を通過した粒子数の方が、板厚の厚い領域を通過した粒子数よりも多くなる。つまり、エネルギによって分離されたビーム中の粒子を選別してエネルギの減衰を行うことが可能となり、より効果的に必要なエネルギ分布を持つビームを生成することができる。
【0134】
本実施の形態において、エネルギ分布拡大板30はリッジフィルタと比較して簡単な形状をしているので、リッジフィルタよりも低コストにてリッジフィルタと同様の働きを行わせることが可能になる。従って、より低コストにて、1スライスに対してブラッグピークの拡大された線量の深さ方向分布が滑らかであり、且つブラッグピークより浅い側に比べて深い側は切れのよい形状とすることができる。これらを全スライスに加算して得られる全線量に対する深さ方向線量分布は、照射領域において一様性が高く、且つ照射領域の最深部の切れのよい分布となる。
【0135】
従って、上記のように構成された3次元照射装置を用いた粒子線治療装置によれば、低コストで、ビーム軸に対して垂直方向の線量の切れがよい照射が可能になり、正常組織に対して被曝の少ない照射を行うことができる。
【0136】
上述した第4の実施の形態乃至第6の実施の形態では、スポットスキャニング方による3次元照射方について述べたが、3次元ワグラ法や3次元二重散乱体法など、他の3次元照射方法においても前述同様に適用することが可能である。
【0137】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、1スライスに対してブラッグピークが拡大された線量の深さ方向分布は滑らかで、且つブラッグピークより浅い側に比べて深い側は切れのよい形状となり、これらを全スライスに加算して得られる全線量に対する深さ方向線量分布は、照射領域において一様性が高く、且つ照射領域の最深部の切れのよい分布となるので、患部に対して精度よく、且つ患部最深部の切れがよくなることから、正常組織に対して被曝の少ない照射を行うことができる粒子線ビーム照射方法及びその装置並びに粒子線治療装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す3次元スポットスキャニング法用の3次元照射装置の概略構成図。
【図2】同実施の形態における3次元照射用リッジフィルタの形状を示す図。
【図3】同実施の形態における一スライス照射における深さ方向線量分布と、重み付け関数を表す図。
【図4】同実施の形態における全スラスト照射に対して加算した深さ方向線量分布を表す図。、
【図5】本発明の第2の実施の形態を示す3次元ワブラ法用の3次元照射装置の概略構成図。
【図6】本発明の第3の実施の形態を示す3次元二重散乱体法用の3次元照射装置の概略構成図。
【図7】本発明の他のリッジフィルタの形状を示す図。
【図8】図7のリッジフィルタによる重み付け関数を示す図。
【図9】本発明の第4の実施の形態を示す3次元スポットスキャニング法用の3次元照射装置の概略構成図。
【図10】本発明の第5の実施の形態を示すスポットスキャニング法用の3次元照射装置の概略構成図。
【図11】同実施の形態におけるエネルギ分布拡大板の形状を示す図。
【図12】本発明の第6の実施の形態を示すスポットスキャニング法用の3次元照射装置の概略構成図。
【図13】同実施の形態におけるエネルギ分布拡大板の形状を示す図。
【図14】従来例における3次元スポットスキャニング法用の三次元照射装置。
【図15】単エネルギ粒子線ビームの体内深さ方向線量分布を表す図。
【図16】従来例における3次元照射用リッジフィルタの形状を示す図。
【図17】従来例における1スライス照射における深さ方向線量分布と重み付け関数を表す図。
【図18】従来例における全スライス照射に対して加算された深さ方向線量分布を表す図。
【符号の説明】
1……治療ベッド
2,10,16,22……3次元照射装置
3a,3b……スキャニング磁石
4……線量モニタ
5……位置モニタ
6,11……リッジフィルタ
7……レンジシフタ
13……散乱体
14……ワブラ磁石
15……多葉コリメータ
17……二重散乱体
20……治療室
21,27,29……粒子線輸送装置
23,24……偏向磁石
25,26……3連収束磁石
28,30……エネルギ分布拡大板

Claims (8)

  1. 粒子線ビームのエネルギを複数に切替える機構と、各エネルギに対して体内の深さ方向に形成される粒子線ビームの線量分布におけるブラッグピークを拡大するためのリッジフィルタとを備えた粒子線照射装置において、
    前記リッジフィルタは、複数の棒片が並設され、且つ各棒状の形状関数が前記ブラッグピークを深さ方向に非対称に重み付けして拡大するように構成されたことを特徴とする粒子線照射装置
  2. 粒子線ビームを走査するための走査磁石と、粒子線ビームのエネルギを複数に切替える機構と、各エネルギに対して体内の深さ方向に形成される粒子線ビームの線量分布におけるブラッグピークを拡大するためのリッジフィルタとを備えた3次元照射の粒子線照射装置において、
    前記リッジフィルタは、複数の棒片が並設され、且つ各棒状の形状関数が前記ブラッグピークを深さ方向に非対称に重み付けして拡大するように構成されたことを特徴とする粒子線照射装置
  3. 粒子線ビームを2次元的に拡大するための散乱体と、粒子線ビームのエネルギを複数に切替える機構と、各エネルギに対して体内の深さ方向に形成される粒子線ビームの線量分布におけるブラッグピークを拡大するためのリッジフィルタとを備えた3次元照射の粒子線照射装置において、
    前記リッジフィルタは、複数の棒片が並設され、且つ各棒状の形状関数が前記ブラッグピークを深さ方向に非対称に重み付けして拡大するように構成されたことを特徴とする粒子線照射装置
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の粒子線照射装置において、前記重み付けとして、重みの最大になる体内位置をZm、重みの最大値の半分になる体内位置のうち浅い側をZf、深い側をZeとするとき、
    |Ze−Zm|<|Zf−Zm|
    で表される重み付けとしたことを特徴とする粒子線照射装置。
  5. 粒子線ビームのエネルギを複数に切替える機構と、各エネルギに対して体内の深さ方向に形成される粒子線ビームの線量分布におけるブラッグピークを拡大するためのリッジフィルタとを備えた粒子線照射装置において、前記リッジフィルタは、複数の棒片が並設され、且つ各棒片の形状関数が厚さ最小の位置から最大の位置までに変曲点を持ち、しかも厚さ最小の位置から変曲点までの距離が厚さ最大の位置から変曲点までの距離よりも小さくなるように構成されたことを特徴とする粒子線照射装置。
  6. 粒子線ビームを走査するための走査磁石と、粒子線ビームのエネルギを複数に切替える機構と、各エネルギに対して体内の深さ方向に形成される粒子線ビームの線量分布におけるブラッグピークを拡大するためのリッジフィルタとを備えた3次元照射の粒子線照射装置において、前記リッジフィルタは、複数の棒片が並設され、且つ各棒片の形状関数が厚さ最小の位置から最大の位置までに変曲点を持ち、しかも厚さ最小の位置から変曲点までの距離が厚さ最大の位置から変曲点までの距離よりも小さくなるように構成されたことを特徴とする粒子線照射装置。
  7. 粒子線ビームを2次元的に拡大するための散乱体と、粒子線ビームのエネルギを複数に切替える機構と、各エネルギに対して体内の深さ方向に形成される粒子線ビームの線量分布におけるブラッグピークを拡大するためのリッジフィルタとを備えた3次元照射の粒子線照射装置において、前記リッジフィルタは、複数の棒片が並設され、且つ各棒片の形状関数が厚さ最小の位置から最大の位置までに変曲点を持ち、しかも厚さ最小の位置から変曲点までの距離が厚さ最大の位置から変曲点までの距離よりも小さくなるように構成されたことを特徴とする粒子線照射装置。
  8. 請求項乃至請求項のいずれかの項に記載の粒子線照射装置において、前記粒子線ビームのエネルギを複数に切替える機構として、レンジシフタを用いたことを特徴とする粒子線照射装置。
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