JP5124046B2 - ボーラス、ボーラスの製造方法、粒子線治療装置、および治療計画装置 - Google Patents

ボーラス、ボーラスの製造方法、粒子線治療装置、および治療計画装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5124046B2
JP5124046B2 JP2011507483A JP2011507483A JP5124046B2 JP 5124046 B2 JP5124046 B2 JP 5124046B2 JP 2011507483 A JP2011507483 A JP 2011507483A JP 2011507483 A JP2011507483 A JP 2011507483A JP 5124046 B2 JP5124046 B2 JP 5124046B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
bolus
particle beam
irradiation
axis
scanning
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2011507483A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2012066631A1 (ja
Inventor
高明 岩田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
Application granted granted Critical
Publication of JP5124046B2 publication Critical patent/JP5124046B2/ja
Publication of JPWO2012066631A1 publication Critical patent/JPWO2012066631A1/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61NELECTROTHERAPY; MAGNETOTHERAPY; RADIATION THERAPY; ULTRASOUND THERAPY
    • A61N5/00Radiation therapy
    • A61N5/10X-ray therapy; Gamma-ray therapy; Particle-irradiation therapy
    • GPHYSICS
    • G21NUCLEAR PHYSICS; NUCLEAR ENGINEERING
    • G21KTECHNIQUES FOR HANDLING PARTICLES OR IONISING RADIATION NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; IRRADIATION DEVICES; GAMMA RAY OR X-RAY MICROSCOPES
    • G21K1/00Arrangements for handling particles or ionising radiation, e.g. focusing or moderating
    • G21K1/10Scattering devices; Absorbing devices; Ionising radiation filters
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61NELECTROTHERAPY; MAGNETOTHERAPY; RADIATION THERAPY; ULTRASOUND THERAPY
    • A61N5/00Radiation therapy
    • A61N5/10X-ray therapy; Gamma-ray therapy; Particle-irradiation therapy
    • A61N2005/1085X-ray therapy; Gamma-ray therapy; Particle-irradiation therapy characterised by the type of particles applied to the patient
    • A61N2005/1087Ions; Protons
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61NELECTROTHERAPY; MAGNETOTHERAPY; RADIATION THERAPY; ULTRASOUND THERAPY
    • A61N5/00Radiation therapy
    • A61N5/10X-ray therapy; Gamma-ray therapy; Particle-irradiation therapy
    • A61N2005/1092Details
    • A61N2005/1096Elements inserted into the radiation path placed on the patient, e.g. bags, bolus, compensators
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
    • Y10TTECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER US CLASSIFICATION
    • Y10T29/00Metal working
    • Y10T29/49Method of mechanical manufacture

Description

本発明は、荷電粒子ビームを用いた粒子線治療装置において、照射対象に応じて荷電粒子ビームのエネルギー分布を変調するために用いられるボーラスとその製造方法、当該ボーラスを用いた粒子線治療装置、および当該ボーラスの仕様を定める治療計画装置に関する。
粒子線治療は、治療対象となる患部に荷電粒子ビームを照射して、患部組織にダメージを与えて治療を行うものであり、広義の放射線治療のひとつである。放射線の中でも、陽子線や重イオン線等の荷電粒子ビームは、従来のγ線、X線と異なり、体内深部で線量付与が急峻に最大になる。この線量付与のピークはブラッグピークと呼ばれ、その生じる位置(到達深度)は、荷電粒子のエネルギーによって決まる。なぜならば、荷電粒子は物質を通過する際に次第にエネルギーを消失していき、運動エネルギーが0になるときに線量を多く付与するという性質があるからである。そのため、粒子線治療では、平面形状だけでなく、エネルギー分布を制御することで、深さ方向における照射範囲も制御することができる。そこで、周辺組織の被曝を抑制しつつ、患部組織に十分な線量を与えるため、平面および深さ方向の照射範囲(以降、照射野と称する)を適切に制御できる粒子線治療装置が求められている。
粒子線治療装置におけるビームの照射方式のうち、現在多用されているブロード法と呼ばれる照射方式では、加速器から供給された細いビームを拡大したうえで、平面形状を形成するためのコリメータと、エネルギー分布を形成するためのボーラスを透過させることにより、照射野の成形を行っている(例えば、特許文献1ないし4参照。)。このとき、ボーラスでは、ビームが透過する際にその透過長(厚み)に応じてエネルギーが減衰するので、照射対象の体表面からの深さ分布を補償するように厚み分布が設定されている。例えば、照射対象の深部(Distal)側の面を設定基準とすると、ビームを平行光とみなして、深部側の面がボーラスに入り込むように、厳密には、深部側の面から体表面側にある組織にボーラスを重ね合わせると一定の厚みになるように、ボーラスの厚みが設定されていた。あるいは、点光源からの広がりを考慮して、ボーラスを面方向に所定倍率で拡大したものを重ね合わせると一定の厚みになるように設定されていた。
特開平10−255707号公報(段落0009〜0020、図1、図5) 特開2006−166947号公報(段落0015〜0016、図1) 再公表特許WO2006/082651号公報(段落0012〜0013、図4) 特開2007−54537号公報(段落0017、図1)
このように、従来のボーラスは粒子ビームが平行光あるいは点光源からの広がりを考慮して厚み分布を設定するのみであった。しかしながら、ブロード法でも、特許文献1、2に示すように、電磁石による走査でビームを拡大する場合、ビーム軸に垂直な面内で、例えば、x方向電磁石とy方向電磁石のように、2つの方向に対してそれぞれ電磁石が必要となる。したがって、実際の粒子ビームは、x方向とy方向では広がり始める起点が異なることになる。そのため、方向による広がり方の違いを考慮せずに平行光や点光源を想定してボーラスの厚みを設定した場合、正確に照射対象の深さ方向の形状に適した照射野に成形することができないという問題があった。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、正確に照射対象の深さ方向の形状に適した照射野に成形することができるボーラス、および粒子線治療装置を得ることを目的とする。
本発明のボーラスは、粒子線治療装置に設置され、粒子線のエネルギー分布を被照射部に応じて変調するためのボーラスであって、当該ボーラスより上流側で当該ボーラスに入射する粒子線のビーム軸上に、第1の基準点と、前記第1の基準点より下流側の第2の基準点とを定め、前記第1の基準点を起点とし、前記ビーム軸に垂直で前記第1の基準点を含む第1の軸、を中心とする前記ビーム軸に対する第1の傾きと、前記ビーム軸および前記第1の軸に垂直で前記第2の基準点を含む第2の軸、を中心とする前記ビーム軸に対する第2の傾きとで、当該ボーラスを透過して前記被照射部に至る粒子線の照射軌道を定義し、前記第1の傾きと前記第2の傾きとの組合せのうち所定範囲の組合せに対して、それぞれ定義した照射軌道における粒子線の当該ボーラス内での経路長が、前記被照射部より上流側の体表面から前記被照射部までの経路長を補償するように、当該ボーラスの形状が設定される、ことを特徴とする。
また、本発明のボーラスの製造方法は、前記第1の傾きと前記第2の傾きとの組合せのそれぞれに対して、前記体表面から前記被照射部までの経路長である体内深さデータを取得する工程と、前記取得した体内深さデータを補償するような経路長となるようにボーラスの形状を設定する工程と、前記設定したボーラスの形状に基づいて、ボーラスの加工データを生成する工程と、前記生成した加工データに基づいてボーラスを加工する工程と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明の粒子線治療装置は、加速器から供給された粒子線の進行方向に沿って連なるとともに、それぞれ走査方向が異なる2つの電磁石で、前記粒子線を走査して照射野を拡大するように照射する照射ノズルと、前記照射ノズルから照射された粒子線中に配置された上述するボーラスと、を備え、前記ボーラスは、当該ボーラスの形状を設定するための前記第1の軸が前記2つの電磁石のうちの上流側の電磁石の走査軸に一致するとともに、前記第2の軸が他方の電磁石の走査軸に一致するように配置されている、ことを特徴とする。
また、本発明の治療計画装置は、前記被照射部を含む照射対象の画像データから3次元データを生成する3次元データ生成ユニットと、生成した3次元データに基づいて、照射条件を設定する照射条件設定ユニットと、設定した照射条件を基に、上述する粒子線治療装置におけるボーラスの形状データを生成するボーラスデータ生成ユニットと、を備え、前記3次元データ生成ユニットは、前記3次元データを少なくとも前記上流側の電磁石の走査による前記第1の傾きと、前記他方の電磁石の走査による前記第2の傾きとを用いて生成する、ことを特徴とする。
本発明のボーラス、ボーラスの製造方法、粒子線治療装置、および治療計画装置によれば、ボーラスを透過して照射対象に到達する粒子ビームの方向による広がり方の違いに応じてボーラスの形状を設定するので、正確に照射対象の深さ方向の形状に適した照射野に成形することができる。
本発明の実施の形態1に係るボーラスを備えた粒子線治療装置の照射系の構成を説明するための図である。 本発明の実施の形態1に係るボーラスを備えた粒子線治療装置の照射系の構成を説明するためのビームの中心に対して垂直な2つの方向から見た側面図である。 本発明の実施の形態1に係る粒子線治療装置の照射系における荷電粒子ビームのビーム束の状態を説明するための図である。 本発明の実施の形態1に係る粒子線治療装置の照射系におけるボーラスおよび荷電粒子ビームのビーム束の状態を説明するための図である。 本発明の実施の形態1に係るボーラスの製造方法を説明するためのフローチャートである。 本発明の実施の形態2に係る粒子線治療装置におけるビームの走査軌跡の例を示す図である。 本発明の実施の形態2に係る粒子線治療装置におけるビームの走査軌跡の他の例を示す図である。 本発明の実施の形態5に係る粒子線治療装置およびマルチリーフコリメータの構成を説明するための図である。 医療行為のフローを説明するための図である。 本発明の実施の形態6に係る治療計画装置の構成を説明するためのブロック図である。
実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1にかかるボーラスおよび粒子線治療装置の構成について説明する。図1〜図5は本発明の実施の形態1にかかるボーラスと粒子線治療装置の構成、およびボーラスの製造方法について説明するためのもので、図1はボーラスを備えた粒子線治療装置の照射系の構成を示す図、図2は粒子線治療装置およびボーラスの構成を示すための図1における荷電粒子ビームの中心(z方向)に対して垂直な方向から見た図であって、図2(a)はy方向から見た側面図、図2(b)はx方向から見た側面図である。図3は粒子線照射装置の照射系におけるビームの線束の形状を説明するためのもので、図3(a)はビーム線束全体の外観を示す図、図3(b)と図3(c)は図3(a)における荷電粒子ビームの中心(z方向)に対して垂直な方向から見た図であって、図3(b)はy方向から見た側面図、図3(c)はx方向から見た側面図である。図4はビームの広がり方を考慮したボーラスの厚み設定について説明するために、ビーム線束中のボーラスと照射対象である患部を含む患者体の部分を抽出して示すもので、図4(a)はビーム線束中のボーラスと照射対象の外観を示す図、図4(b)と図4(c)は図4(a)における荷電粒子ビームの中心(z方向)に対して垂直な方向から見た図であって、図4(b)はy方向から見た側面図、図4(c)はx方向から見た側面図である。また、図5は、ボーラスの製造方法を説明するためのフローチャートである。
ボーラスの構成の詳細な説明をする前提として、はじめに、ボーラスを含め、照射野を形成するための粒子線治療装置の照射系について説明する。図1、図2に示すように、粒子線治療装置10は、図示しない加速器から供給された荷電粒子ビームBを照射対象である患者Kの患部ISに応じて加工して照射する装置である。そのため、加速器から供給されたいわゆるペンシル状の荷電粒子ビームBを円軌道に走査することにより、照射野を拡大する照射ノズルとして機能するワブラ電磁石1(上流1a、下流1b)と、照射対象ISの厚さに応じて、ブラッグピークの幅を拡大させるためのリッジフィルタ2と、照射対象ISの体表面からの深さ(体内深さ)に応じて、荷電粒子ビームBのエネルギー(飛程)を変えるためのレンジシフタ3と、拡大した照射野の面(xy)方向の広がりを所定範囲に制限し、正常組織への余分な照射を防ぐためのブロックコリメータ4と、複数のリーフ板とリーフ板のそれぞれを駆動するリーフ駆動機構で構成され、照射野の面方向の形状を照射対象ISの面方向の形状に合わせるように制限するためのマルチリーフコリメータ5と、荷電粒子ビームBの飛程を、照射対象ISの深さ(z)方向の形状に合わせるように制限するボーラス6と、を備えている。
次に、ワブラ法を用いた照射ノズルにより照射野を拡大させる照射系での動作及び原理について説明する。
図示しない加速器により加速され、輸送系を介して荷電粒子ビームBは、直径数mm程度のいわゆるペンシルビームとして照射系へと導かれる。照射系に導かれた荷電粒子ビームBは、ワブラ電磁石1によって円軌道を描くように走査される。ワブラ電磁石1は、一般的に図に示すようにx方向用電磁石1aとy方向用電磁石1bとを用意し、2つの電磁石を荷電粒子ビームBの中心軸Xに沿って連なるように配置する。ここで、説明を明瞭にするため、x方向及びy方向を定義する。さまざまな規格において、座標系が定義されているが、本明細書では以下に従う。荷電粒子ビームBの進行方向をz軸の正方向とする。x軸とy軸とは、z軸に直交する軸であり、x軸とy軸もお互いに直交する。そして、xyz座標系は、右手座標系となるようにとる。図1、2の例では、上流ワブラ電磁石1aはx方向、下流ワブラ電磁石1bはy方向にビーム走査する。2つの電磁石1a、1bの走査により、照射野はxy方向(面方向)に広げられることになる。
照射野を拡大された荷電粒子ビームBは、リッジフィルタ2を通過する。リッジフィルタは、例えば錐状体や断面が三角形の板を面内に多数並べたように形成され、照射野内を例えば多数の小領域に分割したとすると、小領域毎に異なる厚みを通過するビームが存在するようになっている。図では、理解しやすいように円錐が剣山のように並べられたように記載している。これにより、ブラッグピークの幅SOBP(Spread-Out Bragg Peak)が拡大される。すなわち、リッジフィルタ2により、照射野はz方向にも広げられたことになる。次に、照射野を拡大された荷電粒子ビームBは、レンジシフタ3を通過する。レンジシフタ3は、荷電粒子ビームBのエネルギーを変えるための装置である。レンジシフタ3によって、拡大された照射野を、所望の体内深さに照射することができる。次に、レンジシフタ3を通過したビームは、ブロックコリメータ4を通過する。ブロックコリメータ4は、通過孔PHが設けられた金属ブロック等であり、照射野の平面方向(xy面)の広がりを制限する。予め照射範囲を制限すれば、正常組織への余分な照射を防ぐことができるためである。
次に、荷電粒子ビームBは、マルチリーフコリメータ5を通過する。マルチリーフコリメータ5は、複数のリーフ板5の位置により形成された透過形状PSによって、照射野のうち、ビーム軸Xに垂直な面(xy)方向の形状を照射対象である患部ISの形状に合わせ制限するためのものである。すなわち、照射野は、マルチリーフコリメータ5によってxy方向への制限・成形がなされることになる。なお、マルチリーフコリメータ5には、少なくともリーフ板5と各リーフ板5を駆動するリーフ駆動機構5とを備えている。しかし、リーフ駆動機構5はリーフの駆動軌道を規定できれば、そのもの自体の構成は重要ではなく、リーフ駆動機構5そのものを図で記載するとリーフ板5の構成を示すのが困難となる。そのため、上記図1、2および以降の図においては、簡略化のため、マルチリーフコリメータ5のうち、リーフ板5およびリーフ板5が集合した形態のみを抽出して記載している。
最後に、荷電粒子ビームBは、ボーラス6を通過する。ボーラス6は、樹脂等で作られた制限器であり、患部ISの深さ形状として、例えば、患部ISのディスタル(Distal)面の体表面からの深さを補償するような形態に形成されている。ここで、照射野はエネルギーが制限(z方向で成型)され、ディスタル形状と同じ形状を有するようになる。すなわち、照射野は、ボーラス6によって深さ(z)方向への制限・成形がなされることになる。なお、ディスタル面とは、患部ISの体表面側から見た深部側の面であり、対称的に浅部側を指すプロキシマル(Proximal)面の深さを補償する場合も考えられる。また、ボーラス6において深さ方向の制限・成形を行う原理および作用については、後に詳しく述べる。
粒子線治療装置の照射系の役割は、照射する照射野を患部ISに合わせて成形することである。その方法として本実施の形態1にかかる粒子線治療装置で採用するワブラ法では、ワブラ電磁石1のみで面方向の照射野を拡大している。この方法の具体的な例は、例えば、特許文献1に示した「スパイラル・ビーム走査による大面積均一照射法」であり、ワブラ法の中でもスパイラルワブラ法と呼ばれる。スパイラルワブラ法は、簡単に言えば、ビーム(以降、本実施の形態にかかる粒子線治療装置に限らず、一般的な装置で扱う荷電粒子ビームも含めての場合については、単に「荷電粒子ビーム」と称し、さらに荷電粒子ビームの放射方向等の説明に用いる場合は「ビーム」と称する)をらせん状に走査して照射野を拡大するものであり、その照射野内での走査軌道(走査軌跡)を工夫することによって平坦度を確保している。なお、スパイラルワブラ法によるビームの走査軌道は、特許文献1の図1等に見ることができる。
一方、ワブラ法でも、一般的にワブラ法と称する場合には、単円ワブラ法を指す場合が多く、その場合、照射野の拡大において散乱体によって平坦度を確保している。したがって、同じワブラ法でも散乱体を用いているものと用いていないものがあり、ビームの方向性も散乱体の有無によって異なってくる。散乱体を用いた場合には、同じ大きさの照射野に対して、ビームの走査角はスキャニング法に比べて小さくてよい。そのため、従来のように平行ビーム若しくは点光源的な広がりのビームを仮定してボーラスを作成してもさほどの問題は生じていなかった。一方、本実施の形態1で用いるスパイラルワブラ法のように散乱体を用いず、走査電磁石のみでビームを広げる場合、ある点を通過するビームの照射方向は、主に走査電磁石からの位置によって決まるひとつの方向となる。
図3は、本実施の形態1に係る粒子線治療装置10の照射系内での2連の走査電磁石1による荷電粒子ビームBの広がり方(ビーム束Fの形状)を示した模式図である。スパイラルワブラ法を適用しているので、荷電粒子ビームBは図3に示したように広がり、点光源的とはならない。簡単のため、図3に示した荷電粒子ビームBの広がり方を「2連走査的な広がり」と呼ぶことにする。ビームが点光源ではなく、2連走査的な広がりをする場合には、それに適した制限器を設計する必要がある。
2連走査的な広がりについて、ここで少し詳しい説明を加える。
図3に示すように、荷電粒子ビームBは上方より下方へ(z方向)と照射されている。荷電粒子ビームBは、もともとはペンシルビームと呼ばれる細い状態で供給される。ビーム軸X上には基準点CPaと基準点CPbとを設定している。基準点CPaは、上流のワブラ電磁石1a(厳密には、走査軸Asa)が配置される場所と考えてよく、同様に、基準点CPbは、下流のワブラ電磁石1b(厳密には、走査軸Asb)が配置される場所と考えてよい。
基準点CPaに配置された上流のワブラ電磁石1aは、基準点CPaを基準として荷電粒子ビームBを走査する。上流のワブラ電磁石1aの荷電粒子ビームBの走査方向は、図3(b)の面内(xz面)に走査する方向であり、ビーム軸X上の基準点CPaを通り、ビーム軸Xに垂直な軸Asaが、上流ワブラ電磁石1aの作用軸(走査軸)となる。また、基準点CPbに配置された下流のワブラ電磁石1bは、基準点CPbを基準として荷電粒子ビームBを走査する。下流のワブラ電磁石1bの荷電粒子ビームBの走査方向は、図3(c)の面内(yz面)に走査する方向であり、ビーム軸X上の基準点CPbを通り、ビーム軸Xおよび軸Asaに垂直な軸Asbが、下流ワブラ電磁石1bの作用軸(走査軸)となる。つまり、上流ワブラ電磁石1aの走査方向(x)と、下流ワブラ電磁石1bの走査方向(y)は、ビーム軸Xに垂直であり、下流ワブラ電磁石1bの走査方向(y)と、上流ワブラ電磁石1aの走査方向(x)とは垂直となる。
さらに、上記ビーム束Fの形状について図3を用いて幾何学的に説明する。
図3(b)に示すように、基準点CPaを上端点とした鉛直(z方向)な線分を引き、線分上の基準点CPa以外の位置に基準点CPbを設ける。基準点CPaを中心に線分を±α度だけ回転させたときに線分が通過する扇形Fsaを得る。この扇形Fsaが、上流ワブラ電磁石1aのみを用いたときの、荷電粒子ビームBの広がりに相当する。つぎに、基準点CPbを通る基準軸Asbにより、扇形Fsaを上部分と下部分とに分ける。扇形Fsaの下部分を、基準軸Asbにより±β度だけ回転させたときに扇型Fsaの下半分が通過する領域を得る。この領域は、図3(c)において、扇型Fsbに見える領域であり、この領域が、荷電粒子ビームBの広がり方(荷電粒子ビームBが通過し得る領域:ビーム束F)を示したものである。つまり、2連走査的な広がりをもつビーム束Fの形状は、x方向とy方向で極率半径が異なる扇型となっている。
上記照射系の構成に伴って形成される荷電粒子ビームBの広がり方に対応したボーラスの技術的特徴を説明するため、まずはボーラスの原理について説明する。
荷電粒子ビームは、背景技術で述べたように、γ線、X線といった他の放射線と異なり、体内深部で線量付与が急峻に最大になる。この線量付与のピークは、「ブラッグピーク」とよばれ、このブラッグピークの生じる位置(到達深度)は、荷電粒子のエネルギーによって決まる。なぜならば、荷電粒子は物質を通過する際に次第に運動エネルギーを消失していき、運動エネルギーが0となるときに線量を多く付与するという性質を有するからである。さて、一般に粒子線治療装置のシンクロトン等の加速器は、荷電粒子を一定のエネルギーになるよう加速する。したがって、何の制限器も用いずに直接照射を行えば、加速器により加速されたエネルギーに応じた到達深度で、線量が付与される。しかし、実際には照射対象である患部の形状は3次元的であり、深さ方向に一定ではない。そこで、制限器であるボーラスを用いる。
上記ボーラスの原理と従来のボーラスの製造方法との関係について説明する。
ボーラスは一般に樹脂ブロックを切削加工して作成するが、当該ボーラスを通過する際に、荷電粒子ビームは通過物質、密度及びその厚みに応じて運動エネルギーが減らされる。このとき、原子番号の大きい物質ほど、同じ厚みで比較した場合、運動エネルギーが多く減る。また、このため、空気中を照射しても運動エネルギーはほとんど減らない。簡単のため、樹脂中を1cm通過するのと、体内を1cm通過するのとで、同じ量の運動エネルギーが消費されるとする。また、今、加速器により加速され、供給された荷電粒子ビームがそのまま、照射された場合、体表面から深さ15cmの位置でブラッグピークが生じる(到達深度15cm)ようにエネルギーが調整されているとする。
簡単のため、照射される荷電粒子ビームは平行ビームである場合を仮定する。荷電粒子ビームの入射方向に対して垂直な面方向にボーラスを設置すると、荷電粒子ビームがボーラスに入射した部分Aのボーラス厚みが3cmの場合、ボーラスを透過した荷電粒子ビームの到達深度は12cm(=15−3)になる。また、入射した部分Bのボーラスの厚みが4cmの場合、ボーラスを透過した荷電粒子ビームの到達深度は11cm(=15−4)というようになる。したがって、部分Aの直下の体表面から深さ12cmの位置にブラッグピークが生じ、部分Bの直下の体表面から深さ11cmの位置にブラッグピークが生じることになる。したがって、ボーラスの面方向の任意の位置(x,y)における厚みをt(x,y)、ボーラス直下の照射目標部分の体表面からの深さ、つまり、体表面から照射目標部分までの厚みをt(x,y)とすると、式(1)を満足するようにボーラスの厚み分布を設定すれば、患部の照射目標部分の面において荷電粒子ビームのエネルギーを集中的に放出、つまりダメージを与えることができる。
(x,y)+t(x,y)=R ・・・(1)
ただし、Rはボーラスに入射する粒子線の到達深度であり、上記仮定において15cmになる。
つまり、ボーラスの厚み分布は、直下の患部の体表面からの深さ分布(簡略的には形状)を補償するように設定する。この厚み設定において、従来は、荷電粒子ビームが平行ビーム若しくは点光源的な広がりのビームと仮定し、ボーラスを製作している。なお、上記厚み設定において、体組織を水とみなし、ボーラスの厚みを水と等価な厚みに換算した水等価厚みとして表記する場合もあるが、その場合も同様である。
本発明の実施の形態にかかるボーラスでは、荷電粒子ビームBのビームの広がりが2連走査的であることに対応して厚み分布、厳密には経路長分布を設定している。より具体的には、図4を用いて説明する。図において、照射対象である患部ISの照射目標部分のある点を目標照射位置Pとする。例えば、この目標照射位置Pは、患部ISの内、患者体Kの体表面fから最深部となる面のある1点であるとする。2連走査的なビームの広がりを仮定すると、目標照射位置Pに到達するためには、荷電粒子ビームBは基準点CPaを通る作用軸Asaにおいてビーム軸Xに対して角度αだけ偏向し、基準軸CPbを通る作用軸Asbにおいてビーム軸Xに対して角度βだけ偏向する、といった基準点CPaでの角度αと作用軸Asbでの角度βとが求まる。
ここで、角度αの起点を作用軸Asaではなく、基準点CPaとしたのは、加速器1から供給された状態の荷電粒子ビームBはペンシル状であり、全てが作用軸Asaとビーム軸Xの交点である基準点CPaを通過するとみなせるからである。また、荷電粒子ビームBが作用軸Asb中のどの点を通過するかは、基準点CPaからの走査角αと基準点CPaと基準点CPb間の距離により一義的に決まる。このように、2連走査的なビームの広がり(通過範囲)を仮定して、目標照射位置Pにビームが到達するための折れ線、すなわち「ビーム照射軌道T」は、基準点CPaと作用軸Asbおよび走査角αとβとで定義し、描くことができる。
このビーム照射軌道Tは、目標照射位置Pに到達するまでに、ボーラス6と患者体K(少なくとも体表面f側から目標照射位置Pまで)を透過する。ボーラス6と患者体Kを荷電粒子ビームBが透過する際に消失する運動エネルギーが、加速器により加速されたエネルギーと同じようにすればよい。すなわち、荷電粒子ビームが消失する運動エネルギーが加速エネルギーと同じになるよう、この透過する部分の経路長を決めるボーラスの厚みを設定する。ここで、ビーム照射軌道Tを基準点CPaからの走査角度αと、基準点CPaから離れた位置にある基準点CPbを通る作用軸Asbからの走査角度βで定義する。そして、被照射部ISに到達するまでのボーラス6内での透過経路長をL、体表面fから被照射部ISまでの経路長をLとし、荷電粒子ビームBのエネルギーを式(1)と同様、到達深度Rで表わすと、式(2)の関係を満足するように、ボーラス6の形状を設定すればよい。
(α,β)+L(α,β)=R ・・・(2)
つまり、ボーラスの形状は、2つの基準点CPaとCPbが規定されていることを前提とし、走査角α、βと経路長Lからなる3つのパラメータ(座標)で直接定義(設定)することになる。つまり、厳密には、ボーラスの形状は、厚み分布ではなく、経路長分布で定義することになる。この場合、例えば、ビーム軸Xに対して大きく傾いた領域では、単純に傾きの角度で厚みtに補正できない場合がある。しかし、(α、β、L)座標で定義すれば、正確にボーラスの形状を定義することができる。そして、例えば板材から切削加工でボーラスを形成する際、切削加工する機械が回転軸の向きを可変できるならば、その回転軸の向きを走査角α、βで定義し、切削深さを経路長Lからの四則演算による単純な換算値で定義すれば、直接ボーラスの加工データを生成できる。
一方、厚み分布として定義としても経路長分布と比較して形状が変化しないような場合、必ずしも経路長分布にこだわる必要はない、その場合、ボーラスBの形状を設定する際は、ボーラスBの基準点CPaからの経路長Lの分布を規定したうえで、例えば(x,y,z)座標のように面方向での厚み分布に変換して設定してもよい。厚み分布に変換することにより、従来からの加工装置でも荷電粒子ビームの広がりを考慮した正確なエネルギー分布を実現するボーラスを製作することができる。なお、座標変換の具体的な例については、後の実施の形態にて説明する。
また、上述したように、加速器から供給された荷電粒子ビームBは、実際には、リッジフィルタ2やレンジシフタ3により、ブラッグピークの幅や到達深度を調整してからボーラス6に入射されることになるので、この場合、「加速されたエネルギー」は、「ボーラス6に入射する際のエネルギー」と読み替えればよい。
つまり、図5に示すように、α、βの2つの変数の組合せ毎に、体内経路の長さL(α,β)、つまり体内深さデータを取得(ステップS10)する工程と、取得した体内深さデータL(α,β)を補償する、つまり式(2)を満たすような経路長データL(α,β)を算出(ステップS20)して、算出したデータの座標変換が必要な場合(S30で「Y」)は直交データに変換(ステップS40)して、厚み分布としてボーラス形状を設定(ステップS100)し、座標変換不要の場合(S30で「N」)は、そのままの座標でボーラス形状を設定(ステップS100)するボーラス形状設定工程と、設定したボーラスの形状に基づいて、ボーラスの加工データを生成(ステップS110)する工程と、生成した加工データに基づいてボーラスを加工(ステップS120)する工程と、を備えることにより、上述したボーラス6を得ることができ、目標照射位置Pにてブラッグピークを確実に生じさせることができる。
同様に、マルチリーフコリメータ5も、上記のように走査方向の異なる2つの走査電磁石1a、1bにより照射野を拡大することで生ずるビームの2連走査的な広がりを持つビーム束Fの形状を考慮して、駆動軌道やリーフの形状、配置を設定すればよい。
また、照射野を拡大する方法として走査軌跡が螺旋となるスパイラルワブラ法で説明したが、後の実施の形態で説明するように、その他のスパイラルワブラ法でもよく、さらにはスパイラルワブラ法に限定されることもない。また、照射ノズルとして機能する電磁石もワブラ電磁石1に限ることはなく、走査方向の異なる2つの電磁石により照射野を拡大する照射ノズルであればよい。
以上のように、本実施の形態1にかかるボーラス6によれば、粒子線治療装置10に設置され、荷電粒子ビームBである粒子線Bのエネルギー分布を被照射部ISに応じて変調するためのボーラス6であって、当該ボーラス6より上流側で当該ボーラス6に入射する粒子線Bのビーム軸X上に、第1の基準点CPaと、第1の基準点CPaより下流側の第2の基準点CPbとを定め、第1の基準点CPaを起点とし、ビーム軸Xに垂直で第1の基準点CPaを含む第1の軸Asa、を中心とするビーム軸Xに対する第1の傾きαと、ビーム軸Xおよび第1の軸Asaに垂直で第2の基準点CPbを含む第2の軸Asb、を中心とするビーム軸Xに対する第2の傾きβとで、当該ボーラス6を透過して被照射部ISに至る粒子線Bの照射軌道Tを定義し、第1の傾きαと第2の傾きβとの組合せのうち被照射部ISをカバーするのに必要な数値範囲、分解能等を有する所定範囲の組合せに対して、それぞれ定義した照射軌道Tにおける粒子線Bの当該ボーラス6内での経路長Lが、被照射部ISより上流側の体表面fから被照射部ISまでの経路長Lを補償するように、当該ボーラス6の形状が設定される、ように構成したので、面内方向でビームの広がり方が異なっても、その広がり方に対応して、正確に照射対象である被照射部ISの深さ方向の形状に適した照射野に成形することができる。
とくに、第1の傾きをα、第2の傾きをβ、第1の傾きαと第2の傾きβの組合せで定義した照射軌道Tにおける粒子線Bの当該ボーラス6内での経路長をL(α,β)、第1の傾きαと第2の傾きβの組合せで定義した照射軌道Tにおける粒子線Bの体表面fから被照射部ISまでの経路長をL(α,β)、ボーラス6に入射する粒子線Bのエネルギーに相当する到達深度をR、とすると、「L(α,β)+L(α,β)=R」の関係を満たすように、ボーラス6の形状が設定される、ように構成したので、実際の照射軌道Tとボーラス形状の定義が同じ座標で行え、さらに正確に被照射部ISの深さ分布を補償するようなボーラスを形成することができる。
また、本発明の実施の形態1にかかるボーラスの製造方法によれば、第1の傾きαと第2の傾きβとの組合せのそれぞれに対して、体表面fから被照射部ISまでの経路長である体内深さデータを取得する工程(S10)と、取得した体内深さデータを補償するような経路長となるようにボーラスの形状を設定する工程(S20〜S100)と、設定したボーラスの形状に基づいて、ボーラスの加工データを生成する工程(S110)と、生成した加工データに基づいてボーラスを加工する工程(S120)と、を備えるように構成したので、目標照射位置Pにてブラッグピークを確実に生じさせることができるボーラスを得ることができる。
また、本発明の実施の形態1にかかる粒子線治療装置10によれば、加速器から供給された粒子線Bの進行方向に沿って連なるとともに、それぞれ走査方向が異なる2つの電磁石1a,1bで、粒子線Bを走査して照射野を拡大するように照射する照射ノズル1と、照射ノズル1から照射された粒子線B中に配置されたボーラス6と、を備え、ボーラス6は、当該ボーラス6の形状を設定するための第1の軸が2つの電磁石のうちの上流側の電磁石1aの走査軸Asaに一致するとともに、第2の軸が他方の電磁石1bの走査軸Asbに一致するように配置されている、ように構成したので、2連走査的な広がりにより、面内方向でビームの広がり方が異なっても、その広がり方に的確に対応して、正確に照射対象である被照射部ISの深さ方向の形状に適した照射野に成形することができる。
実施の形態2.
実施の形態1においては、ビームをらせん状に走査するスパイラルワブラ法への適用について述べた。しかし、ビームの照射野内における走査軌道形状(走査軌跡)は本発明の技術的思想を限定するものではなく、他のビーム走査軌跡においても、2連走査的な広がりの場合は効果を発揮する。そこで、本実施の形態2では、代表的な他のビーム走査軌跡を有する照射系に本発明のボーラスを適用した場合について述べる。
はじめに、実施の形態1で用いたスパイラルワブラ法によるビーム走査軌跡について説明する。特許文献1に記載されているように、螺旋状の走査軌跡は、以下の3つの等式を含む式(3)によって与えられている。
Figure 0005124046
ただし、時間t=0の時の半径をRmin、時間t=Tの時の半径をRmax、走査回転数をNとする。また、r(t)は半径方向の座標、θ(t)は角度方向の座標であり、極座標系による表現である。
上記の式(3)によって与えられるビーム走査軌跡は、螺旋(スパイラル)形状をなし、円領域内にビームを走査して均一な線量分布を得るのに、有効な形状である。しかし、均一な線量分布を得るため、ビーム走査軌跡をスパイラルに限る必要はない。均一な線量分布を2つの電磁石の走査によって得るためのビーム走査軌跡は、いくつかの典型的なパターンに分類できると考えられる。
ワブラ法は、継続的にビームを走査して均一な線量分布を成形するものである。すなわち、ワブラ法におけるビーム走査軌跡は連続的かつ周期的なものが望ましい。そこで、ビーム軌道を極座標系で表し、r(t)とθ(t)を連続周期的に変化させるパターンについて検討した。
<典型的なパターンその1>
一つ目のパターンでは、r(t)とθ(t)を以下のように、各々、連続的かつ周期的に変化させる関数として定義する。
r(t)=連続的かつ周期的な関数(周期T
θ(t)=連続的かつ周期的な関数(周期T
なお、このときr(t)とθ(t)の周期は、異なるものを用いてもよい。また、角度θは、360度で1周して0度とみなせることに注意する。つまり、360度と0度は連続している。ラジアンで表現すれば、2πは0とみなせる。
上記のようなパターンを実現する例としては、以下の3つの等式を含む式(4)に示すようなビーム走査軌跡があげられる。
r(τ)=r+rsin(ωτ+φ
θ(τ)=ωθτ ・・・(4)
τ=τ(t)
ただし、τ(t)はパラメータ表示した上記式(4)のパラメータであり、時間の関数である。ωはr(t)を決める角速度であり、r(t)の周期は2π/ωとなる。φは初期位相である。ωθはθ(t)を決める角速度であり、θ(t)の周期は2π/ωθとなる。
式(4)により作成されたビーム走査軌跡ST1の例を図6に示す。図6は、ビーム軸に垂直な、ある平面における走査軌跡を示したもので、横軸がx、縦軸がyとなり、xとyをそれぞれ規格化したものである。なお、式(4)において、パラメータを、時間tとしなかったのは、描画速度を場所により変更できるようにしたためである。例えば、図6において、座標で(0,0)となるビーム軸中心部の近傍にはビーム走査が集中して密となるため、中心部に近い部分のように軌跡が集中する部分では走査速度を早くする等の工夫をして、均一な線量分布を得る。
<典型的なパターンその2>
2つ目のパターンでは、複数の描画パターンを定義する関数を組み合わせてビーム走査軌跡を形成する。例えば、大きな円を描く関数に、小さな円を描く関数を組み合わせる。その一例を以下の3つの等式を含む式(5)に示す。
x(τ)=rcos(ωτ+φ)+rcos(ωτ+φ
y(τ)=rsin(ωτ+φ)+rsin(ωτ+φ)・・・(5)
τ=τ(t)
ただしx(τ)それぞれビーム走査軌跡のx座標、y座標であり、直交座標系式である。式(5)により作成されたビーム走査軌跡の例を図7に示す。図7も図6と同様にビーム軸に垂直な、ある平面における走査軌跡を示したもので、横軸がx、縦軸がyとなり、xとyをそれぞれ規格化したものである。
玩具で、内部に歯が形成された円形穴内に歯車状の円盤を設置し、円盤内の所定位置に設けられた小孔にペン先を差し込んで、円盤を円形穴に沿って転がせて、幾何学的模様を描く道具があったが、当該道具で作成される幾何学模様もこの部類に属する。なお、この道具で描かれる曲線はハイポトロコイド(内余擺線)と呼ばれ、幾何学的には、半径rの円が半径krの円周に内接しながら滑ることなく転がるとき、動円の中心から距離lrにある定点が描く軌跡として定義される。また、多くの攪拌装置において、攪拌部の駆動パターンに採用されている。なお、パラメータ表示のパラメータを、時間tとしなかったのは、前の例と同様、描画速度を場所により変更できるようにしたためである。
以上のように、ワブラ電磁石で連続的かつ周期的な模様(線描)を描かせる方法において、その模様はスパイラル(らせん)に限らない。しかし、散乱体を用いず、ビーム軌道を工夫することによって大面積の均一照射を実現する発想は「スパイラルワブラ法」に端を発していることから、実施の形態2に示したこれらの方法も広義のスパイラルワブラ法と呼ばれることがある。そして、これら広義のスパイラルワブラ法においても、やはりビームの広がりは点光源的ではなく、2連走査的である。
つまり、本実施の形態2における広義のスパイラルワブラ法を用いる照射系を有する粒子線治療装置においても、実施の形態1で示したボーラス6を適用する事で、ボーラス6内を透過する粒子線のエネルギー減衰分布を、荷電粒子ビームBのビーム束Fの広がりに対応した照射対象の深さ分布を補償するように設定できる。そのため、電磁石の幾何学的な配置に基づいて、正確に照射対象の深さ方向の形状に適した照射野に成形することができる。したがって、2連の走査電磁石を用いるときに起きる補償精度のずれを解消し、高精度な照射野形成が可能となる。
実施の形態3.
上記実施の形態1および2においては、ワブラ法による照射の場合への適用について述べた。しかし、上述したように照射方法自体は本質的ではなく、本発明の技術思想を限定するものではない。粒子線治療装置においては、2連のスキャニング電磁石により荷電粒子ビームを走査して、照射対象に対して点描画的にスポット照射をするスポットスキャニング法が提案されている。スポットスキャニングの場合にも、ビームの広がり方は2連走査的である。したがって、スポットスキャニングにおいてボーラスを用いる場合は、上述した高精度な照射野形成が可能となるという効果を発揮する。
実施の形態4.
実施の形態3においては、スポットスキャニング法への本発明の実施の形態に係るボーラスの適用について述べた。スポットスキャニングと同様に、2連のスキャニング電磁石によりビームを走査して、照射対象に対して一筆書き的にラスター照射をするラスタースキャニング法がある。ラスタースキャニングの場合にも、ビームの広がり方は2連走査的である。したがって、ラスタースキャニングにおいてボーラスを用いる場合は、本発明の上述した実施の形態にかかるボーラス6は効果を発揮する。つまり、スポットスキャニングやラスタースキャニングなど、スキャニング法により照射野を拡大する場合でも、本発明の実施の形態にかかるボーラス6を用いる場合は、上述した高精度な照射野形成が可能となるという効果を発揮する。
実施の形態5.
粒子線治療装置においては、例えば、特許文献2に記載されているように、偏向電磁石の制御方法を工夫することによって、2つの走査電磁石のうち、一方を省略するものが提案されている。しかし、このような照射系の場合においても、軌道方向(上記各実施の形態1〜4で説明した照射軌道Tと異なり、ビーム軸自体の方向)を変えるための偏向電磁石が、省略された走査電磁石の代わりに荷電粒子ビームを走査するので、ビーム束は2連走査的な広がりをもつことになり、上述した実施の形態におけるボーラスが高精度な照射野形成に効果を発揮する。
図8は、実施の形態5における粒子線治療装置におけるボーラス206を含む照射系部分を示すものである。図中、水平方向(x方向)から供給された荷電粒子ビームBは、偏向電磁石201aにより、ビーム軸を垂直方向に偏向され、走査電磁石201bを経由した後、実施の形態1と同様に、リッジフィルタ2、レンジシフタ3、リングコリメータ4、マルチリーフコリメータ5、ボーラス206を経て、照射対象に向けて照射される。そして、本実施の形態5における粒子線治療装置210では、実施の形態1の粒子線治療装置10における走査電磁石1aの代わりに偏向電磁石201aを設けたことと、ボーラス206の形状(経路長分布)の設定基準が異なること以外は、実施の形態1と同様の構成となる。
図において、水平方向から供給された荷電粒子ビームBは、偏向電磁石201aの内部で、ビーム軸Pが弧を描きながらz方向に偏向されていく。このとき、通常の偏向電磁石の場合は、磁場が一定になるように制御するので、荷電粒子ビームBのビーム束が広がることはないが、この偏向電磁石21は磁場を周期的に変化させることにより、荷電粒子ビームBをx方向に走査してビーム束をPE1からPE2にかけてx方向に広げることができる。つまり、偏向電磁石201aが実施の形態1における上流の走査電磁石1aの役割を担っていることになる。以降の部分は、基本的に実施の形態と同様であり、走査電磁石201bがx方向に広がったビーム束をさらにy方向に広げる。
このビームの広がり方は、あたかも図8の等価基準点EAsに上流の走査電磁石201aの走査軸が存在し、ビーム軸Eに沿って上方から照射されたビームが(z方向成分を含む)x方向に走査され、EE1からEE2にかけてx方向に広がったものとみなすことができる。なお、偏向電磁石201a内では、ビームの進行に伴いビーム軸が徐々に偏向していくので、入口側のビーム軸と出口側のビーム軸(=ビーム軸EXB)とが異なっており、走査軸EAsaは偏向電磁石201a本体から外れた位置に存在することになる。しかし、ボーラス206に入射するビームの軸は、ビーム軸EXBであるので、考え方としては、走査軸EAsaの位置を規定する基準点CPaは、ボーラス206に入射するビームのビーム軸上にあるとみなすことができ、走査軸EAsaもボーラス206に入射するビームのビーム軸EXBに垂直であるとみなすことができる。したがって、このような一方の走査を行う電磁石が偏向電磁石を兼ねる照射系においても、ボーラスに入射するビームのビーム軸EXBを基準に、ビームの広がり方から等価走査軸EAsaを算出し、等価走査軸EAsaと走査軸Asb(基準点CPb)から、実施の形態1と同様にボーラス206の経路長分布を設定すればよい。
図8からわかるように、一方の走査電磁石を省略し、省略した走査電磁石の代用に軌道を曲げる偏向電磁石201aを用いた照射系の場合、等価走査軸EAsaを規定する(等価)基準点CPaと基準点CPbとの間隔は、走査専用の電磁石(例えば実施の形態1の1a,1b)で走査する通常の照射系に比べて広くなる。したがって、点光源的なビームの広がり方を仮定したボーラスでは、実際の経路と計算上の経路とのずれが生じる問題がより顕著に現れる。しかし、本発明の実施の形態5にかかるボーラス206の形状は、実際のビームの広がりを考慮して経路長を設定しているので、正確に深さ方向の照射野を形成することができる。
以上のように、本実施の形態5にかかる粒子線治療装置210では、2つの方向x、yの走査のうち、一方の走査(xまたはy)をビーム軸の方向を偏向する偏向電磁石201aで行い、基準点CPa、CPbを設定するビーム軸をボーラス206に入射する荷電粒子線Bのビーム軸EXB上の一点を通るとみなして第1の軸または第2の軸と一致するように、ボーラス206の形状および配置を設定するように構成したので、高精度な照射野形成が可能となるという効果を発揮する。
実施の形態6.
上記各実施の形態1〜5においては、ボーラスおよびボーラスを用いた照射系の構成やそのビーム軌道について説明した。本実施の形態6においては、本発明の上記各実施の形態にかかるボーラスや粒子線治療装置において、動作条件やボーラスの製作データ等を設定する治療計画装置について説明する。
ここで、治療計画装置について説明する前に、治療計画装置が実施する治療計画の前提となる医療行為について説明する。一般に医療行為は、いくつかのステージから構成されていると考えられる。図9は、この医療行為のステージ(フロー)を図式化するとともに、ステージごとに使用する装置を示したものである。図9に基づいて、医療のフローについて説明する。
具体的には、医療行為は大きく予防的診断ステージ(MS1)、診断ステージ(MS2)、治療計画ステージ(MS3)、治療ステージ(MS4)、およびリハビリ・経過観察ステージ(MS5)の各ステージから構成されているといえる。そして、特に、粒子線治療等においては、上記各ステージで使用する装置は、図9の右側のような装置である。例えば、診断ステージ(MS2)で使用する装置は、X線撮像装置、CT(Computed Tomography)、MRI(Magnetic Resonance Imaging)等であり、治療計画ステージ(MS3)で使用する装置が治療計画装置とよばれる装置である。そして、治療ステージ(MS4)で使用される装置が、放射線治療装置や粒子線治療装置である。
つぎに、各ステージについて説明する。
予防的診断ステージ(MS1)とは、発病の有無に拠らず、予防的に診断をする段階をいう。例えば、定期健康診断や人間ドックなどが該当し、癌に対しては、レントゲン等の透視画像による方法、PET(Positron Emission Tomography)、PET/CT等の断層撮影による方法、ならびに遺伝子検査(免疫検査)による方法などが知られている。
診断ステージ(MS2)とは、発病後に、治療を前提とした診断をする段階をいう。粒子線治療の場合、治療のためには患部の位置・形状の3次元情報が必要である。そのため、患部の3次元データが得られる各種CT,MRI装置が用いられる。
治療計画ステージ(MS3)とは、前記診断の結果に基づいて、治療の計画を立てる段階をいう。粒子線治療の場合、当該ステージに、本実施の形態6にかかる治療計画装置によって治療計画を作成する。治療計画装置についての詳細な説明は、後述するとして、残りのステージについての説明を続ける。
治療ステージ(MS4)とは、前記治療計画の結果に基づいて、実際の治療を行う段階をいう。粒子線治療の場合、当該ステージには粒子線治療装置が用いられる。本発明の上記各実施の形態にかかるボーラスは、粒子線治療装置の照射系において照射野成形のために用いられる。なお、治療ステージは、1回の照射で終了する場合もあるが、通常はある期間をおいて複数回照射を行う。
リハビリ・経過観察ステージ(MS5)とは、文字通り、リハビリを行ったり、再発していないか経過観察を行ったりする段階をいう。癌の場合、当該ステージでの経過観察は、予防的診断ステージと同様に、レントゲン等の透視画像による方法、PET、PET/CT等の断層撮影による方法、ならびに遺伝子検査(免疫検査)による方法などが用いられる。
以上のように医療行為の中でも、治療計画は、診断ステージの後、治療ステージの前に行う一連の作業である。粒子線治療装置では、治療計画装置で求めた治療計画に基づいて荷電粒子ビームを照射するので、粒子線治療における治療計画装置は、概ね以下の役割を担うユニットを備えている。
役割A:あらかじめ取得した照射対象の複数の画像情報から、3次元データを生成するユニット。
役割B:与えられた要件のもと、最適な照射条件(治療計画案)を生成するユニット。
役割C:最適化結果(治療計画案)に対して、最終的な線量分布を模擬し、表示するユニット。
すなわち、診断の結果を受けて、治療に必要な照射条件を設定する役割があり、さらに設定した条件を基に、粒子線治療装置等の制御データを生成する役割Dを担うユニットを有する。
上記役割を果たすため、治療計画装置には、具体的に以下のような機能を備えている。
<役割A>
機能a:診断ステージで得られた断層撮影画像から、3次元データを生成する機能。
機能b:生成した3次元データを、3次元CADのように様々な視点からの表示をする機能。
機能c:生成した3次元データにおいて、患部と正常組織とを区別して記憶する機能。
<役割B>
機能d:治療ステージで用いる粒子線治療装置のパラメータを設定し、照射を模擬する機能。
機能e:当該装置のユーザが設定する要件下で、照射の最適化を行う機能。
<役割C>
機能f:前記3次元データに重ね合わせて、最適化された照射結果を表示する機能。
<役割D>
機能g:前記最適化された照射を実現するための、マルチリーフコリメータ及びボーラスの形状を設定する機能。(ブロードビーム照射を想定した場合、多門照射を含む)
機能h:前記最適化された照射を実現するための、ビームの照射軌道を設定する機能。(スキャニング照射を想定した場合)
機能i:前記ビームの照射軌道を実現するための、粒子線治療装置の駆動コードを生成する機能。
<その他>
機能j.当該装置で生成した各種データを保存する機能。
機能k.過去に保存された各種データを読み込んで、過去の情報を再利用できる機能。
上記各機能を実現するための、治療計画装置のシステム構成について説明する。近年、治療計画装置のメーカが固有のハードウエアを設計製造することはほとんどなく、市販のUnix(登録商標)ワークステーション又はPCをベースとし、さらに周辺機器においても汎用の機器を用いることが多い。すなわち、治療計画装置のメーカは、専ら治療計画ソフトウエアを開発し、製造販売する。治療計画ソフトウエアでは、例えば、機能a〜機能kの各機能を実現するモジュールが、メインプログラムから呼び出されるサブプログラムとして用意される。治療計画装置のユーザは、機能a〜機能kへのフローを、必要に応じて省略したり要件を変えて再実行したりして、必要なモジュールを呼び出しながら治療計画を立案することができる。
つぎに、各機能あるいは各機能を実現するモジュールについて説明を進め、本発明の実施の形態にかかる治療計画装置について説明する。
機能a(モジュールa)は、診断ステージで得られた一連の断層撮影画像から、3次元データを生成する。断層撮影画像を読込むとき、患者ID等患者の情報や、スキャン情報(スライス間隔、スライス厚、FOV、断層撮影条件など)も対応して読込むようにするとよい。ここで3次元データとは、患部を含めた撮影対象を、治療計画装置内で仮想的かつ3次元的に再現するのに必要な情報を言う。一般には、治療計画装置内の仮想空間を定義し、前記仮想空間内に等間隔かつ格子状に点を配置し、断層撮影画像から求めたその点における材質情報を対応させる方法がとられる。本機能が必要な理由は、治療計画装置の最大の目的の1つが、治療を模擬することであり、そのためには、照射対象となる患部およびその周辺組織を再現する必要があるためである。
機能b(モジュールb)は、生成した3次元データを、3次元CADのように様々な視点からの表示をする。
機能c(モジュールc)は、生成した3次元データにおいて、患部と正常組織とを区別して記憶する。例えば、断層撮影画像がX線CTにより得られたものであるとする。この場合、機能aで用いる「材質情報」は、X線の透過しやすさに相当する。すなわち、この断層撮影画像から仮想空間に再現する3次元モデルは、X線の透過度合いの異なる物質からなる3次元の物体の形状である。この「材質情報」、すなわちX線の透過しやすさは、治療計画装置の仮想空間上では例えば色彩や輝度を変えて表示する。さらにこの「材質情報」から、仮想空間に再現する3次元モデルのこの部分は骨に相当するとか、この部分は腫瘍に相当するということがわかり、患部と正常組織を区別する。患部と正常組織とを区別した結果は、治療計画装置の記憶装置(ハードディスク等)に記憶することができる。
機能d(モジュールd)は、治療ステージで用いる粒子線治療装置のパラメータを設定し、照射を模擬する。粒子線治療装置のパラメータとは、粒子線治療装置の幾何学的な情報や、照射野に関する情報を意味する。幾何学的な情報は、アイソセンタ位置と寝台の位置などが含まれる。照射野に関する情報は、上述した「基準点CPaと基準CPbの座標」などが含まれる。また、ボーラス6あるいは206(代表して以降6のみ表示)の基準点CPaと基準CPbからの位置と配置方向も含まれる。
機能e(モジュールe)は、当該治療計画装置のユーザが設定する要件下で、照射の最適化を行う。
機能f(モジュールf)は、前記3次元データに重ね合わせて、最適化された照射結果を表示する。
機能g(モジュールg)は、前記最適化された照射を実現するための、マルチリーフコリメータ5及びボーラス6の形状を設定する。本機能は、ブロードビーム照射を想定した機能であり、多門照射の場合を含む。
機能h(モジュールh)は、前記最適化された照射を実現するための、ビームの照射軌道を設定する。本機能は、スポットスキャンやラスタースキャンなどのスキャニングを想定した機能である。
機能i(モジュールi)は、前記ビームの照射軌道を実現するための、粒子線治療装置の駆動コードを生成する。このとき、後述するように2連走査的な広がりに対応した座標系を採用すると、実施の形態1で示したように、2連走査に対応したマルチリーフコリメータ5を用いた場合、求めた最適な照射計画に応じた開口形状(透過形状SP)を実現するような駆動コードを容易に生成することができる。
機能j(モジュールj)は、当該装置で設定および生成した各種データを保存する。
機能k(モジュールk)は、過去に保存された各種データを読み込んで、過去の情報を再利用できる。
<2連走査的な広がりに対応した座標系>
従来の治療計画装置において、上記機能aおよびそれ以降の機能で使用する3次元データは、一般的に直交座標系(xyz座標系)で表現されている。全体形状が従来の直方体のマルチリーフコリメータやビーム軸に垂直な面内での厚み分布で形状を規定したボーラスの場合、その配置やリーフの駆動方向、ボーラスの加工データ(例えばNCデータ)も直交座標方向(例えば、x方向やy方向)であるため、3次元データの直交座標系表現は都合がよい。患部の形状に合わせて開口部の形状を生成するための形状データとリーフ駆動データ、あるいはボーラスの形状データと加工データとが一致するためである。
一方、本発明の各実施の形態にかかるボーラス6をビームの広がりに対して忠実に深さ分布を補償するように製作する場合、上述したように、ビーム軸Xに垂直な面方向での厚み(加工深さ)分布では、正確に表現できない場合がある。そのため、ボーラスを製作するためのデータは、基準点を中心とした角度で与えるのが望ましい。すなわち、ボーラスを板材から切削加工して製造するための形状データを、式(2)で説明したように、基準点を中心とした角度に対する長さで表現したい。
そこで、本発明の実施の形態6にかかる治療計画装置は、特殊な座標系で患部3次元データを表示するようにする。
具体的には、以下の定義(D1)に示す特殊座標系である。
[ψ,ψ,r] ・・・・・(D1)
ただし、ψはビーム軸Xに垂直で基準点CPaを通る基準軸(Asa)を中心とするビームの偏向角度(式(2)のαに対応)であり、ψはビーム軸Xと基準軸Asaに垂直で基準点CPbを通る基準軸(Asb)を中心とするビームの偏向角度(式(2)のβに対応)であり、rは基準点CPa(あるいは基準軸Asb内の点)から当該照射ポイントPまでの距離である。3次元空間内の任意の点は、上記3つの情報によってユニークに表すことができる。ただし、走査電磁石1a、1bの配置に応じて、基準点CPa及び基準点CPbは決めておく必要はある。
ここで、照射基準であるアイソセンタを、xyz座標系の原点とし、基準点CPaと基準点CPbそれぞれのxyz座標が、以下であったと仮定する。
基準点CPa:(0,0,−l
基準点CPb:(0,0,−l
そして、図1〜3で示したように、上流の走査電磁石1aがx方向走査電磁石、下流の走査電磁石1bがy方向走査電磁石だと仮定する。このとき、ある点の座標が定義(D1)に示した特殊座標系で表した[ψ,ψ,r]で与えられたとき、このある点のxyz座標は、それぞれ、以下の式(6)で表わされることになる。
Figure 0005124046
ここで、式(6)中のRot(ψ)とRot(ψ)を(D2)のように定義すれば、ある点のxyz座標は式(7)のように得られる。
Figure 0005124046
逆に、xyz座標系から特殊座標系を求める方法を、以下に示す。
は照射系に固有の与えられた値であるから、式(7)におけるyとzの関係から式(8)のようにψを求めることができる。
Figure 0005124046
また、lも照射系に固有の与えられた値であるから、さらに式(7)におけるyとzの関係から定義(D3)のように定義でき、
Λ:=y+(z+l+(l−l) ・・・(D3)
=(l―l+r)cosψ
式(7)におけるzの関係と定義(D3)より、式(9)によりψが求められる。
Figure 0005124046
最後に、式(10)により、rを求めることができる。
Figure 0005124046
上述した2連走査的なビームの広がりに対応した座標系[ψ,ψ,r]を機能aの段階から用いる、つまり、機能aにおいて、あるいは機能aを実行するための補助機能として、2連走査を想定した特殊な座標系への変換を行う座標変換機能を備えるようにした。
例えば、図10は、本発明の実施の形態6にかかる治療計画装置の役割(ユニット)や機能(モジュール)の特徴的な部分をブロック図で表示したものである。図において、治療計画装置20は、照射対象である患部の画像データから3次元データを生成する3次元データ生成ユニット21と、生成した3次元データに基づいて、照射条件を設定する照射条件設定ユニット22と、設定した照射条件を基に、ボーラスの形状データや製作用の加工データを生成するボーラスデータ生成ユニット23とを備えている。なお、上述したように、これらのユニットやモジュールは、計算機内にソフトウエアによって形成されたものであるので、物理的にこのような部分が形成されていることを示すものではない。
そして、3次元データ生成ユニット21は、機能aとして画像データから患部や体形状などの3次元のデータを生成する3次元データ生成モジュール21M1と、生成した3次元データから2連走査を想定した定義(D1)で示す座標系[ψ,ψ,r]のデータに変換する座標変換モジュール21M2と、変換したデータを基に機能bとして表示用データを生成する表示用データ生成モジュール21M3と、変換したデータを基に照射対象である患部と正常組織とを区別する照射対象分離モジュール21M4と、を備え、役割Aとして、画像情報から定義(D1)で示す座標系による3次元データを生成する。
そして、照射条件生成ユニット22は、定義(D1)で示す座標系による3次元データを基に、役割Bの機能d,eとして、最適な照射条件を設定する。そして、ボーラスデータ生成ユニット23は、役割Dの機能gを実現するため、少なくとも、設定した照射条件に基づき、患部ISの深さLとボーラス6での経路長Lの和が式(2)を満たす関係となるように、ボーラスの形状(経路長分布データ)を設定する形状設定モジュール23M1と、設定した形状に基づき、ボーラスの加工データを生成する加工データ生成モジュール23M2と、を備えている。
これにより、3次元データ生成ユニット21や照射条件設定ユニット22において、照射位置を特定するための定義(D1)で示す座標系の3次元データを、少なくともビーム軸Xに垂直で基準点CPaを通る基準軸(Asa)を中心とするビームの偏向角度α(ψ)と、ビーム軸Xと基準軸Asaに垂直で基準点CPbを通る基準軸(Asb)を中心とするビームの偏向角度β(ψ)および距離rを用いて規定することになる。
そのため、式(2)における体表面fから目標照射位置Pまでの経路長Lは、同じα、β値に対する体表面fのrの値と目標照射位置Pのrの値の差で得られる。同様にボーラスの透過経路長Lは、同じα、β値に対するボーラスの入射側の面のrの値と出射側の面のrの値の差で得られる。そして、軸角度が可変の加工装置を用いた場合は、得られたボーラスα、βに対応する経路長Lの分布に応じて切削深さを設定する事で得られる。
つまり、本発明の実施の形態6にかかる治療計画装置20では、粒子ビームが2連走査的な広がりを生じる照射系に対して、正確に深さ分布を補償するボーラス6、206を用いた粒子線治療装置に対し、ボーラスを製作するための加工データを、治療計画装置20内で入出力する3次元データをそのまま利用して生成することができる。一方、厚み分布で表記する必要がある場合は、x,y,z座標に変換し、加工データもそれに基づいてx、yに対応する厚みt(z方向)に応じて切削深さを設定する。
また、上述した座標系を用いた場合は、マルチリーフコリメータ5に関する駆動コードにおいても、照射条件設定ユニット22で求めた最適な照射計画に応じた開口形状(透過形状SP)自身が、その形状を実現するための駆動コードとなる。したがって、2連走査的にビームが広がる照射系においてマルチリーフコリメータ5を最適に制御する駆動コードも容易に生成する事ができる。
以上のように、本実施の形態6にかかる治療計画装置20によれば、被照射部ISを含む照射対象の画像データから3次元データを生成する3次元データ生成ユニット21と、生成した3次元データに基づいて、照射条件を設定する照射条件設定ユニット22と、設定した照射条件を基に、上記各実施の形態にかかる粒子線治療装置におけるボーラス6の形状データを生成するボーラスデータ生成ユニット23と、を備え、3次元データ生成ユニット21は、前記3次元データを少なくとも上流側の電磁石1aの走査による第1の傾きαと、他方の電磁石1bの走査による第2の傾きβとを用いて生成する、ように構成した。つまり、ビーム軸Xに垂直で基準点CPaを通る基準軸Asaを中心とするビームの偏向角度ψと、ビーム軸Xと基準軸Asaに垂直で基準点CPbを通る基準軸(Asb)を中心とするビームの偏向角度ψと、を用いて3次元データを生成するように構成した。そのため、照射対象である患部の深さを正確に補償するボーラスの形状データや加工データを、治療計画装置20内で入出力する3次元データをそのまま利用して生成することができる。つまり、ボーラスデータ生成ユニット23では、前記制御データを2つの偏向角度ψとψと距離rで規定できるので、粒子ビームが2連走査的な広がりを生じる照射系に対して、同じψ、ψ値の組合せに対する単純な距離rの差のみで正確な照射野に成形した荷電粒子ビームBで照射することができる。
1 照射ノズル(1a:x方向(上流)走査電磁石、1b:y方向(下流)走査電磁石)、 2 リッジフィルタ、 3 レンジシフタ、 4 リングコリメータ、 5 マルチリーフコリメータ、 6 ボーラス、
10 粒子線治療装置、 20 治療計画装置、 21 3次元データ生成ユニット、 22 照射条件設定ユニット、 23 ボーラスデータ生成ユニット、
sa 上流走査電磁石の走査軸(第1の軸)(EAs 仮想軸)、 Asb 下流走査電磁石の走査軸(第2の軸)、 CPa 第1の基準点、 CPb 第2の基準点、 F 粒子ビームの線束(広がり)、 L ボーラス内の経路長、 L 被照射部までの体内の経路長(体内深さ)、 PS 透過形状、 R 到達深度、 ST 粒子ビームの走査軌跡、 T 照射軌道、 X 粒子ビームのビーム軸(E ボーラスに入射するビームのビーム軸)、 α 第1の傾き、 β 第2の傾き、
百位の数字は実施形態による変形例を示す。

Claims (8)

  1. 粒子線治療装置に設置され、粒子線のエネルギー分布を被照射部に応じて変調するためのボーラスであって、
    当該ボーラスより上流側で当該ボーラスに入射する粒子線のビーム軸上に、第1の基準点と、前記第1の基準点より下流側の第2の基準点とを定め、
    前記第1の基準点を起点とし、
    前記ビーム軸に垂直で前記第1の基準点を含む第1の軸、を中心とする前記ビーム軸に対する第1の傾きと、
    前記ビーム軸および前記第1の軸に垂直で前記第2の基準点を含む第2の軸、を中心とする前記ビーム軸に対する第2の傾きとで、
    当該ボーラスを透過して前記被照射部に至る粒子線の照射軌道を定義し、
    前記第1の傾きと前記第2の傾きとの組合せのうち所定範囲の組合せに対して、それぞれ定義した照射軌道における粒子線の当該ボーラス内での経路長が、前記被照射部より上流側の体表面から前記被照射部までの経路長を補償するように、当該ボーラスの形状が設定される、
    ことを特徴とするボーラス。
  2. 前記第1の傾きをα、
    前記第2の傾きをβ、
    前記第1の傾きと前記第2の傾きの組合せで定義した照射軌道における粒子線の当該ボーラス内での経路長をL(α,β)、
    前記第1の傾きと前記第2の傾きの組合せで定義した照射軌道における粒子線の前記体表面から前記被照射部までの経路長をL(α,β)、
    前記ボーラスに入射する粒子線のエネルギーに相当する到達深度をR、とすると、
    (α,β)+L(α,β)=R の関係を満たすように、前記ボーラスの形状が設定される、
    ことを特徴とする請求項1に記載のボーラス。
  3. 請求項1または2に記載のボーラスを製造する方法であって、
    前記第1の傾きと前記第2の傾きとの組合せのそれぞれに対して、前記体表面から前記被照射部までの経路長である体内深さデータを取得する工程と、
    前記取得した体内深さデータを補償するような経路長となるようにボーラスの形状を設定する工程と、
    前記設定したボーラスの形状に基づいて、ボーラスの加工データを生成する工程と、
    前記生成した加工データに基づいてボーラスを加工する工程と、
    を備えたことを特徴とするボーラスの製造方法。
  4. 加速器から供給された粒子線の進行方向に沿って連なるとともに、それぞれ走査方向が異なる2つの電磁石で、前記粒子線を走査して照射野を拡大するように照射する照射ノズルと、
    前記照射ノズルから照射された粒子線中に配置された請求項1または2に記載のボーラスと、を備え、
    前記ボーラスは、当該ボーラスの形状を設定するための前記第1の軸が前記2つの電磁石のうちの上流側の電磁石の走査軸に一致するとともに、前記第2の軸が他方の電磁石の走査軸に一致するように配置されている、
    ことを特徴とする粒子線治療装置。
  5. 前記照射ノズルは、スパイラルワブラ法により、前記照射野を拡大することを特徴とする請求項4に記載の粒子線治療装置。
  6. 前記照射ノズルは、スキャニング法により、前記照射野を拡大することを特徴とする請求項4に記載の粒子線治療装置。
  7. 前記2つの方向の走査のうちの一方の走査を、ビーム軸の方向を偏向する偏向電磁石で行い、前記偏向電磁石の走査軸を前記ボーラスに入射する粒子線のビーム軸上の一点を通るとみなして前記第1の軸または前記第2の軸と一致させたことを特徴とする請求項4に記載の粒子線治療装置。
  8. 前記被照射部を含む照射対象の画像データから3次元データを生成する3次元データ生成ユニットと、
    生成した3次元データに基づいて、照射条件を設定する照射条件設定ユニットと、
    設定した照射条件を基に、請求項4ないし7のいずれか1項に記載の粒子線治療装置におけるボーラスの形状データを生成するボーラスデータ生成ユニットと、を備え、
    前記3次元データ生成ユニットは、前記3次元データを少なくとも前記上流側の電磁石の走査による前記第1の傾きと、前記他方の電磁石の走査による前記第2の傾きとを用いて生成する、
    ことを特徴とする治療計画装置。
JP2011507483A 2010-11-16 2010-11-16 ボーラス、ボーラスの製造方法、粒子線治療装置、および治療計画装置 Active JP5124046B2 (ja)

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
PCT/JP2010/070363 WO2012066631A1 (ja) 2010-11-16 2010-11-16 ボーラス、ボーラスの製造方法、粒子線治療装置、および治療計画装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP5124046B2 true JP5124046B2 (ja) 2013-01-23
JPWO2012066631A1 JPWO2012066631A1 (ja) 2014-05-12

Family

ID=46046951

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011507483A Active JP5124046B2 (ja) 2010-11-16 2010-11-16 ボーラス、ボーラスの製造方法、粒子線治療装置、および治療計画装置

Country Status (6)

Country Link
US (1) US8263954B2 (ja)
EP (1) EP2586494B1 (ja)
JP (1) JP5124046B2 (ja)
CN (1) CN103153397B (ja)
TW (1) TWI404549B (ja)
WO (1) WO2012066631A1 (ja)

Families Citing this family (23)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5637055B2 (ja) * 2011-04-18 2014-12-10 株式会社日立製作所 粒子線治療計画装置および粒子線治療装置
US9927805B2 (en) * 2012-02-02 2018-03-27 Samsung Life Public Welfare Foundation Method and apparatus for manufacturing radiation intensity bolus
JP5917322B2 (ja) * 2012-07-12 2016-05-11 住友重機械工業株式会社 荷電粒子線照射装置
JP5886155B2 (ja) * 2012-07-13 2016-03-16 住友重機械工業株式会社 荷電粒子線治療計画装置
EP2939708A4 (en) * 2012-12-26 2016-08-10 Mitsubishi Electric Corp DEVICE FOR MEASURING DOSING DISTRIBUTION
EP3153211A1 (en) 2013-12-17 2017-04-12 Varian Medical Systems Particle Therapy GmbH Irradiation device and method
US9962560B2 (en) 2013-12-20 2018-05-08 Mevion Medical Systems, Inc. Collimator and energy degrader
US10675487B2 (en) 2013-12-20 2020-06-09 Mevion Medical Systems, Inc. Energy degrader enabling high-speed energy switching
EP3183945A4 (en) 2014-08-22 2018-04-11 Varian Medical Systems, Inc. Particle therapy systems, devices, and methods for beam transportation
JP6383429B2 (ja) * 2014-10-24 2018-08-29 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 照射計画装置および照射計画補正方法
EP3021071B1 (de) 2014-11-12 2020-09-23 Haag-Streit Ag Vermessungsverfahren in der Ophthalmologie
KR101747209B1 (ko) * 2014-12-16 2017-06-14 사회복지법인 삼성생명공익재단 방사선 세기 변조체 제조 방법 및 제조 장치
JP6085070B1 (ja) * 2015-04-09 2017-02-22 三菱電機株式会社 治療計画装置および粒子線治療装置
JP5976254B1 (ja) * 2015-04-09 2016-08-23 三菱電機株式会社 治療計画装置、ボーラス装置及び粒子線治療装置
US10786689B2 (en) 2015-11-10 2020-09-29 Mevion Medical Systems, Inc. Adaptive aperture
US9855445B2 (en) * 2016-04-01 2018-01-02 Varian Medical Systems, Inc. Radiation therapy systems and methods for delivering doses to a target volume
US10925147B2 (en) 2016-07-08 2021-02-16 Mevion Medical Systems, Inc. Treatment planning
US10974076B2 (en) 2016-12-14 2021-04-13 Varian Medical Systems, Inc Dynamic three-dimensional beam modification for radiation therapy
US11103730B2 (en) 2017-02-23 2021-08-31 Mevion Medical Systems, Inc. Automated treatment in particle therapy
US10661100B2 (en) 2017-03-08 2020-05-26 Mayo Foundation For Medical Education And Research Method for measuring field size factor for radiation treatment planning using proton pencil beam scanning
US10653892B2 (en) 2017-06-30 2020-05-19 Mevion Medical Systems, Inc. Configurable collimator controlled using linear motors
US10418141B2 (en) * 2017-07-20 2019-09-17 Sumitomo Heavy Industries, Ltd. Charged particle beam treatment apparatus
SE542451C2 (en) * 2018-03-12 2020-05-05 Ph Kleven As PARTICLE BEAM GUIDING SYSTEM AND RELATED RADIOTHERAPY SYSTEM

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10255707A (ja) * 1997-03-11 1998-09-25 Japan Atom Energy Res Inst スパイラル・ビーム走査によるイオンビームの大面積均一照射法
JP2001346892A (ja) * 2000-06-07 2001-12-18 Hitachi Ltd 放射線治療用ボーラスおよびその製造方法
WO2006082651A1 (ja) * 2005-02-04 2006-08-10 Mitsubishi Denki Kabushiki Kaisha 粒子線照射方法およびそれに使用される粒子線照射装置
JP2006212081A (ja) * 2005-02-01 2006-08-17 Natl Inst Of Radiological Sciences 粒子線照射装置
JP2007054537A (ja) * 2005-08-26 2007-03-08 Natl Inst Of Radiological Sciences 粒子線照射用コンペンセータ及び粒子線照射用コンペンセータ製造装置

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6063500A (ja) 1983-09-19 1985-04-11 住友重機械工業株式会社 速中性子線治療用可変コリメ−タ
US5242372A (en) * 1991-11-12 1993-09-07 The Nomos Corporation Tissue compensation method and apparatus
JPH10211292A (ja) 1997-01-31 1998-08-11 Hitachi Ltd 荷電粒子照射装置
JPH1119235A (ja) * 1997-07-03 1999-01-26 Hitachi Ltd 荷電粒子ビーム照射装置および荷電粒子ビーム照射方法
JP4026043B2 (ja) * 1999-08-19 2007-12-26 清 佐直 包帯巻器
US6777700B2 (en) * 2002-06-12 2004-08-17 Hitachi, Ltd. Particle beam irradiation system and method of adjusting irradiation apparatus
JP4452848B2 (ja) 2004-12-13 2010-04-21 独立行政法人放射線医学総合研究所 荷電粒子線照射装置および回転ガントリ
US7400434B2 (en) * 2005-08-16 2008-07-15 C-Rad Innovation Ab Radiation modulator
CN101548339B (zh) 2006-12-04 2012-06-20 皇家飞利浦电子股份有限公司 尤其适用于x射线的射束过滤器

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10255707A (ja) * 1997-03-11 1998-09-25 Japan Atom Energy Res Inst スパイラル・ビーム走査によるイオンビームの大面積均一照射法
JP2001346892A (ja) * 2000-06-07 2001-12-18 Hitachi Ltd 放射線治療用ボーラスおよびその製造方法
JP2006212081A (ja) * 2005-02-01 2006-08-17 Natl Inst Of Radiological Sciences 粒子線照射装置
WO2006082651A1 (ja) * 2005-02-04 2006-08-10 Mitsubishi Denki Kabushiki Kaisha 粒子線照射方法およびそれに使用される粒子線照射装置
JP2007054537A (ja) * 2005-08-26 2007-03-08 Natl Inst Of Radiological Sciences 粒子線照射用コンペンセータ及び粒子線照射用コンペンセータ製造装置

Also Published As

Publication number Publication date
EP2586494A1 (en) 2013-05-01
CN103153397B (zh) 2015-10-07
CN103153397A (zh) 2013-06-12
US8263954B2 (en) 2012-09-11
JPWO2012066631A1 (ja) 2014-05-12
TWI404549B (zh) 2013-08-11
EP2586494B1 (en) 2014-06-18
US20120119105A1 (en) 2012-05-17
WO2012066631A1 (ja) 2012-05-24
EP2586494A4 (en) 2013-08-28
TW201221176A (en) 2012-06-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5124046B2 (ja) ボーラス、ボーラスの製造方法、粒子線治療装置、および治療計画装置
JP4681085B1 (ja) マルチリーフコリメータ、粒子線治療装置、および治療計画装置
EP2402059B1 (en) Treatment planning system, device for calculating a scanning path and particle therapy system
CN113646041A (zh) 使用粒子提供旋转放射疗法的方法
JP2014140431A (ja) 放射線治療計画装置及び治療計画方法
WO2016047194A1 (ja) 放射線治療計画装置、放射線治療計画方法および放射線治療システム
CN104941077B (zh) 多叶准直器、粒子射线治疗装置以及治疗计划装置
JP5596586B2 (ja) マルチリーフコリメータ、粒子線治療装置、および治療計画装置
JP5972322B2 (ja) 粒子線治療装置
JP2001061978A (ja) 粒子線照射方法及びその装置並びに粒子線治療装置
US20230356004A1 (en) Composite field sequencing (cfs) for proton beam therapy
US20240108914A1 (en) Devices and methods for adaptively controlling a radiotherapy apparatus
EP4344735A1 (en) Devices and methods for adaptively controlling a radiotherapy apparatus
CN117771561A (zh) 用于自适应地控制放射治疗设备的装置和方法

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121009

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151102

Year of fee payment: 3

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5124046

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151102

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250