JP4176285B2 - こんろバーナ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、調理用こんろに用いるこんろバーナに関する。
【0002】
【従来の技術】
調理用こんろにおいて、こんろの高効率化を図るためには五徳上の鍋とバーナヘッド上端とを近付けてその間隔を少なくすることが有効であり、また、バーナヘッドに内炎孔を設けることは加熱効率の向上のほか、均一な加熱を行うために必要である。
そこで、従来のこの種のこんろバーナは、たとえば、図11及び図12に例示されているように、バーナ本体AとバーナヘッドBを組み合わせて周縁に多数のメイン炎口1を放射状に備え、上記炎口部の内側の数個所に内炎孔2をメイン炎口1の放射線上に設けた構造となっているのが一般的である。
また、図示しないが、鍋とバーナとの間の燃焼排気を排出する排気逃し用の無炎口部を炎口部の少なくとも1個所以上に設けて鍋との境膜熱抵抗を減じ熱効率の向上を図るようにしたものはすでに提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のこんろバーナでは、メイン炎口1に形成されるメイン炎aの火炎列と鍋3とに囲まれる空間に内炎bが形成されるため、特に、こんろの高効率化を図るために鍋とバーナヘッドとを近付けると、内炎自身の燃焼排気cにより内炎bが酸欠リフトをおこして内炎孔2が保炎できないという問題点があった(図12参照)。
また、メイン炎aの火炎列と鍋3とに囲まれる空間にメイン炎aの燃焼排気が溜まってしまいその排気が周囲の火炎列に妨げられてスムーズにいかないため、最終的には鍋底面に沿って溢れるようになり火炎と鍋との間に隙間ができ熱交換が良好に行われず、鍋への加熱効率が低下するといった問題点があり、この問題点を解消するために無炎口部を設けたものにあっては、無炎口部が大きいと燃焼排気の排出効果はあるものの、無炎口部を跨いだ隣接するメイン炎口への火移りはしにくくなるため、特に、リフト性のガスで燃焼させた場合、メイン炎のリフトによって無炎口部に着火する火種がなく火移りしないといった問題点があった。
この発明のこんろバーナは上記課題を解決し、内炎の燃焼排気のスムーズな排出により内炎孔の保炎性を高め、併せて、無炎口部に隣接するメイン炎口への火移り性能の向上をも図ったこんろバーナの提供を目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するこの発明の請求項1のこんろバーナは、バーナ本体とバーナヘッドを組み合わせて周縁に形成される炎口部の数個所に排気逃し用の無炎口部を設け、かつ、五徳上の鍋とバーナヘッド上端とを近付けてその間隔を少なくするこんろバーナにおいて、
上記無炎口部の内側近傍に複数の内炎孔を設け、かつ、上記内炎孔の炎孔配列を前記無炎口部に向って先拡がりのV字状又はそれに類似する形状としたことをことを特徴とするこんろバーナ。
【0006】
上記課題を解決するこの発明の請求項2のこんろバーナは、バーナ本体とバーナヘッドを組み合わせて周縁に形成される炎口部の数個所に排気逃し用の無炎口部を設け、かつ、五徳上の鍋とバーナヘッド上端とを近付けてその間隔を少なくするこんろバーナにおいて、
上記無炎口部の内側近傍に複数の内炎孔を設け、前記炎口部は多数のメイン炎口を備え、該メイン炎口と最も近い前記内炎孔は、前記無炎口部と隣接する前記メイン炎口の端部の延長線と交わるものであることを要旨とする。
【0007】
上記課題を解決するこの発明の請求項3のこんろバーナは、上記請求項2のメイン炎口と内炎孔との位置関係において、メイン炎口に最も近い内炎孔の最内位置は少なくとも火移りのために必要な最小位置を保って配備されていることを要旨とする。
【0009】
上記構成を有するこの発明の請求項1記載のこんろバーナは、バーナ本体とバーナヘッドを組み合わせて周縁に形成される炎口部の数個所に排気逃し用の無炎口部を設け、かつ、五徳上の鍋とバーナヘッド上端とを近付けてその間隔を少なくするこんろバーナにおいて、
上記無炎口部の内側近傍に内炎孔を設けたので、内炎孔に形成される内炎の燃焼排気は無炎口部からスムーズに排出され、内炎には新鮮な2次空気が作用し内炎の保炎がよくなる。この結果、内炎のリフトは抑えられ、特に、鍋とバーナを近付けた高効率こんろとして有効である。
【0010】
そして、上記内炎孔の炎孔配列を無炎口部に向って先拡がりのV字状又はそれに類似する形状に配列したので、無炎口部に隣接する一端のメイン炎口から他端のメイン炎口への火移りが内炎孔を介して安定的に行いうる。この結果、上記内炎のリフト防止と相まって火移り性も十分に確保される。
【0011】
上記構成を有するこの発明の請求項2記載のこんろバーナは、上記内炎孔のメイン炎口と最も近い炎孔は無炎口部と隣接しているメイン炎口端部の延長線上において交わっているので、メイン炎口に対する内炎による火移り性及び内炎孔に形成される内炎の燃焼性が担保される。この結果、常時正確、かつ、適正な火移りと燃焼が得られる。
【0012】
上記構成を有するこの発明の請求項3記載のこんろバーナは、上記請求項3のメイン炎口と内炎孔との位置関係において、メイン炎口に最も近い内炎孔の最内位置は少なくとも火移りのために必要な最小位置を保って配備されているので、無炎口部における火移りが誤りなく正確、かつ、適正に行われる。この結果、無炎口部に着火する火種がなく火移りしないといったことはなくなる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以上説明したこの発明の構成、作用を一層明らかにするために、以下この発明のこんろバーナの好適な実施の形態について図面を参照して説明する。なお、上記従来例と同一部分には同一符号を付して説明する。
【0015】
こんろバーナは、たとえば、図1乃至図3に例示されているように、環状混合気室4を有するバーナ本体Aと、このバーナ本体Aに載置することにより外周縁に多数のメイン炎口1を形成するバーナヘッドBとを組み合わせ、上記バーナヘッドBは、その裏面外周部に炎口溝5が放射状に所定ピッチで形成され、該周縁炎口溝5を有する炎口部の数個所にメイン炎口1に形成されるメイン炎により発生した燃焼排気を外部に排出するための排気逃し用無炎口部6が備えられた構成となっており、このバーナヘッドBを上記バーナ本体Aに載置することで炎口溝5がバーナ本体Aの混合気室4に連通してメイン炎口1として機能するようになっている。なお、7は混合管で、その基端拡開部8に空気取入口9を備え、この空気取入口9からの空気流入量が調節板10の回転操作で調節できるようになっている。11はメインガスノズルである。
【0016】
上記多数のメイン炎口1が配列された炎口部の数個所に備えられた排気逃し用無炎口部6の内側には数個の内炎孔2が設けられ、この内炎孔2も上記メイン炎口1を構成する炎口溝5と同様にバーナ本体Aの混合気室4に連通して内炎孔として機能するようになっている。そして、この内炎孔2は数個の炎孔を無炎口部6に向って先拡がりのV字状に配列して形成されている。たとえば、図4に例示されているものは5個タイプのV字状配列であり、図5に例示されているものは6個タイプのV字状配列である。また、図6に例示されているものは3個タイプのV字状配列であって、これらの内炎孔を構成する数個の炎孔は略同一間隔を存して穿たれている。そして、上記内炎孔は火移り機能を有し、無炎口部6に隣接する一方のメイン炎口から他方のメイン炎口への火移りは、たとえば、次のようにして行われるようになっている。
【0017】
先ず、上記5個タイプのV字状配列では、たとえば、無炎口部6に隣接する図示右側のメイン炎口1aに最も近い図示右側上端の内炎孔2aがメイン炎口1aから炎をもらい矢印eで示されているようにその配列に沿って炎は移動し、図示下方の中間の内炎孔2bを介して図示左側上端の内炎孔2cから無炎口部6に隣接する図示左側のメイン炎口1bに炎を移すといった火移り動作をする(図4参照)。
また、上記6個タイプのV字状配列では、たとえば、無炎口部6に隣接する図示右側のメイン炎口1aに最も近い図示右側上端の内炎孔2aがメイン炎口1aから炎をもらうと、上記5個タイプのV字状配列と同様に矢印eで示されているように図示下方の中間の内炎孔2bを介して図示左側上端の内炎孔2cから無炎口部6に隣接する図示左側のメイン炎口1bに炎を移すほか、図示右側上端の内炎孔2aから図示上部中間の内炎孔2dを介して図示左側上端の内炎孔2cへも矢印fで示されているように炎を移すといった2重の火移り動作をする(図5参照)。
さらに、上記3個タイプのV字状配列では、たとえば、無炎口部6に隣接する図示右側のメイン炎口1aに最も近い図示右側上端の内炎孔2aがメイン炎口1aから炎をもらうと、矢印eで示されているように図示下方の中間の内炎孔2bを介して図示左側上端の内炎孔2cから無炎口部6に隣接する図示左側のメイン炎口1bに炎を移すほか、図示右側上端の内炎孔2aから図示左側上端の内炎孔2cへ矢印fで示されているように炎を移すといった2重の火移り動作をする(図6参照)。
【0018】
上記内炎孔2のメイン炎口1と最も近い炎孔2a、2cは、無炎口部6と隣接しているメイン炎口1a、1bの内側の端部1a′、1b′又は外側の端部1a″、1b″の中心方向への延長線上にその軸線方向のどこかが交わった状態に配備されている。詳しくは、図7乃至図10に例示されているように、内炎孔2のメイン炎口1と最も近い炎孔2a、2cは、無炎口部6と隣接しているメイン炎口1a、1bの内側の端部1a′、1b′の中心方向への延長線g上に炎孔2a、2cの軸線方向の外端(図7参照)又は中心部(図8参照)が交わった状態に配備されているほか、内炎孔2のメイン炎口1と最も近い炎孔2a、2cは、無炎口部6と隣接しているメイン炎口1a、1bの外側の端部1a″、1b″の中心方向への延長線g上に炎孔2a、2cの軸線方向の内端(図9参照)又は中心部(図10参照)が交わった状態に配備されている。
【0019】
また、上記メイン炎口1a、1bと内炎孔2a、2cとの位置関係は、内炎孔2a、2cの最内位置、すなわち、最も接近した位置hが少なくとも火移りのために必要な最小位置を保って配備されており(図7参照)、最外位置、すなわち、最も離間した位置jに配備されている(図9参照)。これは、上記メイン炎口に最も近い内炎孔がメイン炎口の端部の延長線上において交わっていることと相まってメイン炎口から内炎孔への火移りの担保とその燃焼性を担保するためである。
【0020】
図3において、12はこんろの五徳、13は汁受皿、14はトッププレートである。
【0021】
上述したこんろバーナにおいて、内炎孔2に形成される内炎bの燃焼排気cは無炎口部6からスムーズに外部へ排出され、内炎bには新鮮な2次空気が作用し内炎の保炎がよくなるため、内炎bのリフトは抑えられる。また、無炎口部6に隣接するメイン炎口間の火移りも内炎孔2を介して常時適正に行われる。
したがって、鍋とバーナを最も理想的とされる、たとえば、30mm以下に近付けても内炎孔の燃焼性能は良好に維持され均一な加熱と相まって加熱熱効率は著しく向上する。
【0022】
以上、この発明の実施の形態の一例について説明したが、この発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施しうることは勿論である。
【0023】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明のこんろバーナによれば、排気逃し用の無炎口部の内側近傍に内炎孔を設けて内炎自身の燃焼排気による酸欠リフトを抑制したから、内炎の燃焼性能を常に良好に維持する。したがって、調理鍋への加熱効率を内炎による均一加熱と相まって著しく向上させることができる。
【0024】
また、無炎口部における火移りを内炎を利用して適正に行えるようにしたから、無炎口部を跨いだ隣接するメイン炎口への火移りは常時適正に行われ、メイン炎が途切れることはない。したがって、調理鍋への加熱効率の向上は勿論のこと、火移り性能をも著しく向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のこんろバーナの一実施形態としての全体断面図である。
【図2】バーナヘッドだけの仰視図である。
【図3】こんろに組み付けた状態の図2におけるX−X断面図である。
【図4】無炎口部に隣接するメイン炎口と内炎孔との関係を示した要部の説明図で、5個タイプのV字状配列のものを示す。
【図5】同、6個タイプのV字状配列のものを示す。
【図6】同、3個タイプのV字状配列のものを示す。
【図7】無炎口部に隣接するメイン炎口と該メイン炎口に最も近い内炎孔との位置関係の一例を示した説明図で、内炎孔が最内位置時の場合を示す。
【図8】同、最内位置よりやや広くした場合を示す。
【図9】同、内炎孔が最外位置時の場合を示す。
【図10】同、最外位置よりやや狭くした場合を示す。
【図11】従来例のバーナヘッドだけの仰視図である。
【図12】従来例の組み付け状態の図11におけるX−X断面図である。
【符号の説明】
A…バーナ本体
B…バーナヘッド
1…メイン炎口
2…内炎孔
6…無炎口部
Claims (3)
- バーナ本体とバーナヘッドを組み合わせて周縁に形成される炎口部の数個所に排気逃し用の無炎口部を設け、かつ、五徳上の鍋とバーナヘッド上端とを近付けてその間隔を少なくするこんろバーナにおいて、
上記無炎口部の内側近傍に複数の内炎孔を設け、かつ、上記内炎孔の炎孔配列を前記無炎口部に向って先拡がりのV字状又はそれに類似する形状としたことを特徴とするこんろバーナ。 - バーナ本体とバーナヘッドを組み合わせて周縁に形成される炎口部の数個所に排気逃し用の無炎口部を設け、かつ、五徳上の鍋とバーナヘッド上端とを近付けてその間隔を少なくするこんろバーナにおいて、
上記無炎口部の内側近傍に複数の内炎孔を設け、前記炎口部は多数のメイン炎口を備え、該メイン炎口と最も近い前記内炎孔は、前記無炎口部と隣接する前記メイン炎口の端部の延長線と交わるものであることを特徴とするこんろバーナ。 - 上記請求項2のメイン炎口と内炎孔との位置関係において、メイン炎口に最も近い内炎孔の最内位置は少なくとも火移りのために必要な最小位置を保って配備されていることを特徴とするこんろバーナ。
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