JPS5920173Y2 - 厨房用ゆで釜 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は厨房用ゆで釜に関し、その目的は、火炎の燃焼
性を何等害うことなく高い伝熱効果を有して理想的な湯
のかえりを起すことのできるゆで釜を提供することにあ
る。

厨房用ゆで釜（以下単にゆで釜という）は底部が球状で
、その側部にかまどの燃焼室の開口縁に係合しその開口
を覆い得る鍔が設けられてなり、かまどはその内部下方
にバーナが据付けられ周囲を隔壁で覆って燃焼室が形成
され、その燃焼室の下部に空気取入口が形成され、その
上部隔壁にゆで釜をかける開口と煙突を取付ける小開口
とが形成されてなるものである。

ところでゆで釜でそばをゆでるときは、一般に湯がゆで
釜内でそばゆでに最も望ましい対流、所謂湯の「かえり
」（第３図矢印穴参照）を生ずるようにバーナをゆで釜
の真下から少しくその側部に片寄ったところに据え、釜
をその底部の中央と側部との間において加熱する。

しかしバーナを釜の真下より煙突側へ片寄らせて据える
と、燃焼性によいが釜の反対側は殆ど加熱されないので
伝熱性が大巾に底下してしまい、反対にバーナを煙突の
位置とは反対側に片寄らせて据え又は邪魔板を設ける等
して火炎をできるだけ長時間燃焼室内に滞留させて伝熱
性を高めようとすると、ドラフトを害うためにバーナの
燃焼性を阻害するという欠点があった。

本考案者はドラフトによる燃焼性の増大と邪魔板による
伝熱効率の助長とにより、優れた燃焼性と高い伝熱効率
を併有せしめたゆで釜の得られることに想到し、こ・に
本考案を完成したものである。

以下に図面に示す実施例に従い本考案を説明する。

本考案は第１，２図に図す如くゆで釜１の球状底部２の
外面に複数の、環状で一部に切欠４を有して各々径の異
なる伝熱板３を同心円に設けるものである。

環をなす伝熱板３の一部に穿設される切欠４は一定の方
向を有する列をなすもので、隣り合う伝熱板３の間に円
周方向の溝５が層をなして形成され、また切欠４列によ
って内側の環から外側に向かい伝熱板３のない部分６が
一定方向の溝状に形成され、円周方向の溝５の両端が一
定方向の溝６に連通ずる。

なお釜底２の外面に同心円の板状に突出形成される伝熱
板３は、優れた燃焼特性と高い伝熱効率とが共に得られ
るものであればよく、従って伝熱板３の環の中心は釜１
をかまどに掛けたときに伝熱板３の環のある面が水平と
なるべく釜底２の中央にあってもよく、またそれ以外の
位置にあって伝熱板３の環のある面が傾斜するものであ
ってもよい。

また一定方向の溝５をなす切欠４の列は、釜底２の−の
側にあり、その切欠４列の巾は一定でもよく、また外の
伝熱板３の環はど巾広となるものでよく、また切欠４列
の中に羽根状に小突起が設けられるものでよく、更にま
た最内層の伝熱板３には切欠４はなくてもよい。

なおまた、かまどの構造に従い後述の如く切欠４列を煙
突の方向に向けて釜１をかまどに掛けたときの火炎の直
射する範囲１４で第５図に示す如く伝熱板３の一部を切
除し、周方向の溝５がその一端において火炎の直射相当
範囲の切除部１４と連通し、他端において一定方向の溝
６に連通ずる構成とならしめるものでもよく、また伝熱
板３環は第６図に示す如く断点１５を有して不連続的と
なるものであってもよい。

要するに伝熱板３の環の中心とか切欠４の列６の巾の方
向や形状、また火炎の直射相当範囲で切除部１４を設け
ること、伝熱板３を不連続ならしめること等は煙突の位
置等により異なるかまどの構造に従い適宜に選定すれば
よいのである。

伝熱板３は、ゆで釜１の鋳造時に同時に鋳造成形しても
よく、また金属帯板の両端を離して環状に形成した覆合
を接合してもよい。

次に本考案の厨房用ゆで釜を用いる場合を説明する。

釜１を第３図に示す如く釜底２の一定方向の溝６を煙突
８に向けてかまど７に掛け、かまど７内にバーナ９を釜
底２に覆われる範囲内で煙突８とは反対側に片寄らせて
据付ける。

バーナ９に点火すると火口から噴出上昇する火炎と燃焼
ガスはゆで釜１の片側において釜底２の中央部１ａから
側部１ｂ鍔１３際に及び範囲で釜底２に衝突して左右に
分かれ、ドラフトにより周方向の各溝５に導かれて釜底
２を横切り煙突８に向かって流れ、切欠４列によって形
成される一定方向の溝６で合流し、この溝６に導がれて
排気となって煙突８より排出される。

火炎の直射相当範囲で伝熱板３の一部に切除部１４を設
ける場合、この切除部１４に周方向の溝５は形成されな
いが火炎と燃焼ガスはドラフトによりこの切除部１４に
連通ずる周方向の溝５に吸引され、前記の実施例と同様
にこの周方向溝５に導かれる。

本考案は上記の如く釜底２に同心円の板状に伝熱板３を
突出形威し、バーナ９を煙突８とは反対側の側部１ｂ寄
りに片寄らせて据付け、火炎と燃焼ガスを環状の溝５に
導かせて釜底２の全面に覆わせるので、伝熱板３による
伝熱面積の増加と相俟って伝熱効果が極めて大きく、し
かも燃焼ガスが溝５，６に導かれてよどみなく流れるの
で極めて優れた燃焼性が発揮される。

この場合、かまど７の構造に従い伝熱板３の環の中心を
釜底２の中央以外に選定して、伝熱板３環を煙突８に対
して上り勾配若しくは下り勾配とすることにより更に優
れた燃焼性や伝熱効率を得ることができ、また火炎の直
射相当部分を伝熱板３を設けない場合には燃焼ガスを各
溝５内に均分することができ且材料の節減がなされると
共に伝熱板３はこの切除部１４で加熱による酸化損傷が
なくなるので、耐熱性が向上する。

更にかまど７内に水槽１０を設ける場合、水槽１０を釜
底２の下部にまで設けて水槽壁１２を釜底２面に合致さ
せて球面状に形成することにより、水槽壁１２と釜底２
面と伝熱板３とにより燃焼ガスの流路が形成されて燃焼
ガスを水槽に直接に接触させて通気できるので水槽１０
が極めて効率よく加熱される。

また火炎や燃焼ガスはその最も高温状態で釜底２の片側
に当ってこの側を加熱し、次いでドラフトにより釜底２
を伝わりその反対側へ釜１へ熱を与えつ・流れるので、
釜１は煙突側とその反対側とで好適な温度差を生じて第
３図中矢印穴で示すように理想的な湯のかえりを生じる
ものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の釜の底面図、第２図は一部を断面で表
わした同側面図である。 第３図は本考案の釜をかまどにかけた状態を示す。 第４． ５． ６図は夫々別の態様における本考案の釜
の底面図である。 １は厨房用釜、２は釜底部、３は伝熱板、５は周方向の
溝、６は一定方向の溝、１１は燃焼室、１３は鍔、１４
は切除部。

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. （１）釜１の球状をなす底部２の外面に環状に形成され
   て複数の夫々径の異なる伝熱板３を該釜底部２に同心円
   に設け、該伝熱板３の一部に一定の方向を有する列をな
   すように切欠４を穿設することを特徴とする厨房用ゆで
   釜。
2. （２）最内層の伝熱板３環を除いてその一部に一定の方
   向を有する列をなすように切欠４を穿設したことを特徴
   とする実用新案登録請求の範囲第１項記載の厨房用ゆで
   釜。
3. （３）伝熱板３環の一部を火炎の直射相当部分において
   切除したことを特徴とする実用新案登録請求の範囲第１
   項又は第２項記載の厨房用ゆで釜。