JP4175969B2 - 静電潜像現像用トナー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、レーザープリンタ等で採用されている電子写真法、静電記録法、静電印刷法等の現像プロセスにおいて用いられる静電潜像現像用トナーに関する。
【従来の技術】
【0002】
乾式電子写真法において、感光体上に形成された静電潜像を可視像とする際に用いられるトナーは、一般に熱可塑性樹脂(バインダー樹脂)、電荷制御剤、磁性粉体、及びその他の添加剤を予備混合後、溶融混練、粉砕、分級の工程を経て、所望の粒子径を有するトナーとして製造されている。このトナー粒子は、粒子表面に一定量の正または負の電荷が摩擦帯電により蓄積され、この帯電粒子が静電潜像の現像に利用されている。
【0003】
ここで、摩擦帯電によって、トナー粒子表面に蓄積される電荷は、静電潜像の形成に用いられる光導電性感光体の種類によって正または負のいずれかの電荷とすることが必要である。また、その場合の帯電量は、静電潜像をより正確に可視像化するのに十分な量とする必要がある。このため、電荷制御剤ないしは導電物質をバインダー樹脂中に混合分散し、トナー粒子表面の電荷及び帯電量を制御するのが一般的であり、シリカや酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛等の無機微粉末が添加される。
【0004】
また、静電潜像を可視像化したトナー像を紙などのシートに定着する工程に関しては種々の方法や装置が開発されている。例えば、熱ローラーによる熱圧力ローラー方式や、フィルムを介して加熱体に加圧部材により押圧して定着させる加熱定着方法がある。
【0005】
熱ローラを使用する方式はトナーに対し離型性を有する材料で表面を形成した熱ローラーにより定着を行うものである。この方法は熱ローラーの表面と記録紙上のトナー像とが接触する為、トナー像を記録紙上に融着する際の熱効率が極めて良好であり、迅速に定着を行うことができ、非常に有効である。しかし、上記方法では、熱ローラーとトナー像とが溶融状態で接触する為にトナー像の一部が定着ローラーに付着、転移し、次の記録紙にこれが再転移して、いわゆるオフセット現象を生じ、記録紙を汚染する場合がある。熱ローラー定着方式の必須条件として、このようなオフセット現象、すなわち熱ローラーにトナーが付着しないようにすることがより必要である。
【0006】
従来、定着用の熱ローラー表面にトナーを付着させない目的で、例えば熱ローラー表面をトナーに対して離型性の優れた材料、シリコンゴムやフッ素系樹脂などで形成し、さらにオフセット防止及びローラー表面の疲労を防止する為にシリコンオイルのような離型性の良い液体の薄膜でローラー表面を被覆することが行われている。しかし、このような方法ではトナーのオフセット防止に関しては極めて有効であるが、オフセット防止用離型剤を供給する為の装置が必要な為、定着装置が複雑になるなどの問題点を有している。
そこで、オフセット防止用離型剤の供給装置を用いないで、代わりにトナーで改善しようとする試みが活発に行われている。
【0007】
一方、近年、電子写真方式を用いたプリンター及び複写機は、省エネルギー化の要請により、消費電力の少ないことが必須条件とされてきている。プリンター及び複写機の乾式電子写真プロセスの中で定着プロセスが最も消費電力が大きい。このため、上記省エネルギー化を達成させる為には、定着プロセスの改善改良が必要であり、最も重要な因子のひとつである。
すなわち、少ない電力、言い換えると、より少ない消費電力、少ない熱量でトナー像を記録紙上に定着させる必要がある。
【0008】
上記要求に対し、トナーに含有される結着樹脂の分子量や分子量分布を改良する等の提案がなされている。具体的には、結着樹脂を低分子量化することにより、定着温度を下げる試みがなされている。しかし、低分子量化することにより融点は低下するが、同時に溶融粘度も低下する為、熱ローラーへのオフセット現象が発生する問題が生じていた。このオフセット現象を防ぐ為、結着樹脂の分子量分布の低分子領域と高分子領域を広くする方法や、高分子領域の一部を部分架橋させたりすることが行われてきた。しかし、この方法においては、定着性を十分に付与する為に樹脂のガラス転移温度を低くせざるを得ず、トナーのブロッキング性を悪化することは避けられなかった。また、結着樹脂の低分子部分を多くするとトナー自体がもろくなり、定着後の記録紙が擦られた場合、汚れが発生してしまうという欠陥が生じる可能性もあった。
【0009】
更に、トナー中に離型剤として、ポリアルキレン類を含有させるのは公知であり、下記特許文献1、下記特許文献2等ではスチレン系樹脂に低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン等の単独重合ワックスを含有させたり、下記特許文献3では、スチレン系樹脂に低分子量オレフィン共重合体を含有させる技術が開示されている。
【0010】
しかし、上記のような従来の方法は、トナーの帯電特性の悪化によるカブリ等の画像欠陥を引き起こしたり、画像濃度の低下を引き起こす等の欠点がる。さらに、低温度領域での定着性が不十分であり、また紙の裏面を汚してしまうという問題(耐スミア性)が生じてしまう。
【0011】
【特許文献1】
特公昭57−52574号公報
【特許文献2】
特公昭52−3304号公報
【特許文献3】
特開昭50−93647号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、低温で定着でき、スミア性も改善され、しかもオフセット性を発生させることのない静電潜像現像用トナーを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリエステル樹脂をメイン樹脂とし、25℃における針入度が2以下のワックスと4〜10のワックスを含有し、かつトナー総量に対して、全てのワックスの添加量が1〜5質量%であると共に、針入度4〜10のワックスの添加量が2.5質量%以下であり、針入度2以下のワックスの添加量が針入度4〜10のワックスの添加量と同じか多く、前記ポリエステル樹脂の酸価が3〜40KOHmg/gであるトナーを使用することにより、ブロッキングおよびオフセット現象を発生させることなく、低温度で定着可能であり、スミア性も改善された静電潜像現像用トナーを得ることができるという新たな事実を見出し、本発明を完成させるに至った。
【0014】
また、本発明のトナーは、流動性、環境依存性、耐久特性にも優れる。特に、本発明のトナーは樹脂がポリエステル樹脂をメインとするので、低温定着性がよく、シャープメルト性が良く、透明性に優れているのでカラートナーとして使用するのに好適である。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の静電潜像現像用トナーに使用するバインダー樹脂はポリエステル樹脂をメイン樹脂とする。ポリエステル樹脂としては、アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合ないし共縮重合によって得られるものであれば使用することができる。ポリエステル樹脂の合成に用いられる出発原料としては、以下のものが挙げられる。まず、2価または3価以上のアルコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のジオール類;ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA等のビスフェノール類;ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等の3価以上のアルコール類が例示される。
【0016】
また、2価または3価以上のカルボン酸成分としては、2価または3価カルボン酸、この酸無水物またはこの低級アルキルエステルが用いられ、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、あるいはn−ブチルコハク酸、n−ブテニルコハク酸、イソブチルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸等のアルキルまたはアルケニルコハク酸等の2価カルボン酸;1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸等の3価以上のカルボン酸等が例示される。
【0017】
本発明におけるポリエステル樹脂の酸価は3〜40KOHmg/gである。酸価が3KOHmg/g未満であると、帯電制御剤等の添加物との相溶性を悪化させ、画像濃度低下、かぶり発生等の画像欠陥を招く。一方、40KOHmg/gを超えると、高温高湿下における帯電性能が極度に低下するため、画像濃度低下、カブリ発生等の画像欠陥を招くことになる。
ポリエステル樹脂の軟化点は80〜150℃、好ましくは90〜140℃であるのがよい。
【0018】
ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は50〜70℃の範囲内の値であるのが好ましい。ポリエステル樹脂のガラス転移温度が、50℃未満では、得られたトナー同士が融着し、保存安定性が低下する傾向がある。一方、ポリエステル樹脂のガラス転移温度が、70℃を超えると、トナーの定着性が乏しくなる傾向がある。尚、ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)を用いて、比熱の変化点から求めることができる。
【0019】
バインダー樹脂におけるポリエステル樹脂の割合は、60〜100質量%、好ましくは70〜95質量%であるのがよい。ポリエステル樹脂と混合される他のバインダー樹脂としては、例えばスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系共重合体、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、N−ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂等の熱可塑性樹脂などが挙げられる。
より具体的には、ポリスチレン系樹脂として、スチレンの単独重合体でも、スチレンと共重合可能な他のモノマーとの共重合体でもよい。共重合可能な他のモノマーとしては、例えばp−クロルスチレン;ビニルナフタレン;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなどのエチレン不飽和モノオレフィン類;塩化ビニル、臭化ビニル、弗化ビニルなどのハロゲン化ビニル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル、酪酸ビニルなどのビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドテシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸エステル;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリルアミドなどの他のアクリル酸誘導体;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、メチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリデンなどのN−ビニル化合物などが挙げられる。これらは、単独で、あるいは2種以上を組み合わせてスチレン単量体と共重合させることができる。
【0020】
本発明のトナーに含有されるワックスとしては、特に制限されるものではなく、例えば合成ポリエチレンワックス、合成ポリプロピレンワックス等のオレフィン系ワックス、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の植物系ワックス、モンタンワックス等の鉱物系ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス、エステル系ワックス、テフロン系ワックス等が挙げられる。特に石炭、天然ガス等からフィッシャー・トロプシュ法により作製されるフィッシャー・トロプシュワックスが好ましい。
【0021】
本発明では、針入度が2以下のワックスと4〜10のワックスを少なくとも2種類以上含んでいるのが好ましい。なお、ワックスの針入度は、25℃でのASTM D 1321により測定した値である。
針入度が2より大きく、かつ4未満の範囲内では、紙に対する接着性が弱くなり、紙から剥がれ落ちるという定着不良を招く。更に、硬さがやわらかい為、記録紙上に定着したトナーが紙の裏面を汚してしまう。なお、針入度が0.2以下の測定が現状では誤差が大きくなるため正確に実施できない。
本発明の、針入度2以下ではその硬さの故、記録紙上に定着したトナーの表面性が紙の擦れに対し強くなり、紙の裏面を汚すことはない(スミア性良好)。また、針入度4以上では、バインダー樹脂の低溶融化を促進し、その結果、低温度領域での定着温度でも紙との接着性が良好となる。但し、針入度が10を超えると非オフセット領域が狭くなり、画像濃度の低下等という不具合を招く。
【0022】
また、針入度2以下のワックスの添加量は、トナーの総量に対して0.5〜2.5質量%、好ましくは1〜2質量%の範囲内で使用することが好ましい。針入度4〜10のワックスの添加量は、トナーの総量に対して2.5質量%以下、好ましくは0.5〜2.5質量%、より好ましくは1〜2質量%である。0.5質量%未満では、ワックスの効果、すなわち針入度2以下のワックスではスミア性効果、針入度4〜10のワックスでは低温度領域での定着性への効果が薄れてしまう。2.5質量%を超えると、針入度2以下のワックス、針入度4〜10のワックスともに、トナー中におけるワックスが単独で存在している確率が高くなり、感光体への汚染、すなわちドラムフィルミングを発生させたり、また、帯電量分布を大きく乱していまい、画像濃度低下、カブリ発生などの画像欠陥を引き起こしてしまう。
さらに、該ワックスの全添加量はトナーの全体量を100質量%としたときに1〜5質量%、更に好ましくは1〜3質量%であるのがよい。1質量%未満では、スミア性効果、低温度領域での定着性効果が薄れてしまう。5質量%を超えると、トナー中におけるワックスが単独で存在している確率が高くなり、感光体への汚染、すなわちドラムフィルミングを発生させたり、また、帯電量分布を大きく乱していまい、画像濃度低下、カブリ発生などの画像欠陥を引き起こしてしまう。
【0023】
本発明のトナーにおいては、帯電レベルや帯電立ち上がり特性(短時間で一定の電荷レベルに帯電するか否かの指標)を向上させ、耐久性や安定性に優れた特性等を得る観点から、帯電制御剤(電荷制御剤)を添加することが好ましい。
【0024】
帯電制御剤の種類としては、特に制限されるものではないが、例えば、ニグロシン、第四級アンモニウム塩化合物、樹脂にアミン系化合物を結合させた樹脂タイプの帯電制御剤等の正帯電性を示す帯電制御剤を使用することが好ましい。また、これら帯電制御剤を併用しても構わない。
このような電荷制御剤としては、例えば、アジン化合物としてのピリダジン、ピリミジン、ピラジン、オルトオキサジン、メタオキサジン、パラオキサジン、オルトチアジン、メタチアジン、パラチアジン、1、2、3−トリアジン、1、2、4−トリアジン、1、3、5−トリアジン、1、2、4−オキサジアジン、1、3、4−オキサジアジン、1、2、6−オキサジアジン、1、3、4−チアジアジン、1、3、5−チアジアジン、1、2、3、4−テトラジン、1、2、4、5−テトラジン、1、2、3、5−テトラジン、1、2、4、6−オキサトリアジン、1、3、4、5−オキサトリアジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン、アジン化合物からなる直接染料としての、アジンファストレッドFC、アジンファストレッド12BK、アジンバイオレットBO、アジンブラウン3G、アジンライトブラウンGR、アジンダークグリーンBH/C、アジンディープブラックEWおよびアジンディープブラック3RL、ニグロシン化合物としてのニグロシン、ニグロシン塩、ニグロシン誘導体、ニグロシン化合物からなる酸性染料としての、ニグロシンBK、ニグロシンNB、ニグロシンZ、ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩類、アルコキシル化アミン、アルキルアミド、4級アンモニウム塩としてのベンジルメチルヘキシルデシルアンモニウム、デシルトリメチルアンモニウムクロライド等の1種または2種以上が挙げられる。特に、ニグロシン化合物は、より迅速な立ち上がり性が得られる観点から、正帯電性トナーの使用には最適である。
【0025】
また、4級アンモニウム塩を有する樹脂またはオリゴマー、カルボン酸塩を有する樹脂またはオリゴマー、カルボキシル基を有する樹脂またはオリゴマー等が挙げられ、より具体的には、4級アンモニウム塩を有するポリスチレン系樹脂、4級アンモニウム塩を有するアクリル系樹脂、4級アンモニウム塩を有するスチレン−アクリル系樹脂、4級アンモニウム塩を有するポリエステル系樹脂、カルボン酸塩を有するポリスチレン系樹脂、カルボン酸塩を有するアクリル系樹脂、カルボン酸塩を有するスチレン−アクリル系樹脂、カルボン酸塩を有するポリエステル系樹脂、カルボキシル基を有するポリスチレン系樹脂、カルボキシル基を有するアクリル系樹脂、カルボキシル基を有するスチレン−アクリル系樹脂、カルボキシル基を有するポリエステル系樹脂等の1種または2種以上が挙げられる。
【0026】
特に、4級アンモニウム塩、カルボン酸塩あるいはカルボキシル基を官能基として有するスチレン−アクリル系樹脂(スチレン−アクリル系共重合体)は、帯電量を所望の範囲内の値に容易に調節することができる観点から、最適である。また、上述したスチレン−アクリル系樹脂あるいはアクリル系樹脂自体における好ましいアクリル系樹脂として、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸iso−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸iso−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸n−ブチル、メタアクリル酸iso−ブチルなどが挙げられる。
【0027】
さらに、4級アンモニウム塩化合物としては、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートから第4級化の工程を経て誘導される単位が用いられる。誘導されるジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジ(低級アルキル)アミノエチル(メタ)アクリレート;ジメチルメタクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドが好適である。また、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシ基含有重合性モノマーを重合時に併用することもできる。
【0028】
また、負帯電性を示すものとして、例えば、有機金属錯体、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸系の金属錯体がある。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類などが挙げられる。
【0029】
また、トナーの全体量を100質量%としたときに、電荷制御剤の添加量は、1.5〜15質量%の範囲内の値とするのが好ましい。電荷制御剤の添加量が1.5質量%未満となると、トナーに対して、安定して帯電特性を付与することが困難となり、画像濃度が低くなったり、耐久性が低下する傾向がある。また、分散不良が起こりやすく、いわゆるカブリの原因となったり、感光体汚染が激しくなる等の傾向がある。一方、電荷制御剤の添加量が15質量%を超えると、耐環境性、特に高温高湿下での帯電不良、画像不良となり、感光体汚染等の欠点が生じやすくなる傾向がある。したがって、電荷制御機能と、トナーの耐久性等とのバランスがより良好な観点から、電荷制御剤の添加量を、2.0〜8.0質量%の範囲内の値とするのがより好ましく、3.0〜7.0質量%の範囲内の値とするのがさらに好ましい。
【0030】
また、本発明のトナーにおいて、公知の磁性粉体をトナー中に分散させ磁性トナーとして用いることができる。フェライト、マグネタイトを初めとする鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性を示す金属、もしくは合金またはこれらの元素を含む化合物、あるいは、強磁性元素を含まないが適当な熱処理を施すことによって強磁性を示すようになる合金、または二酸化クロム等を挙げることができる。これらの磁性粉体は平均粒子径が0.1〜1μm、好ましくは0.1〜0.5μmの範囲内の微粉末の形でトナーバインダー中に均一に分散される。また、磁性粉体は、単体およびチタン系カップリング剤、シラン系カップリング剤などの表面処理剤で表面処理を施したものでも良い。
【0031】
さらに、本発明のトナーは、フェライトキャリア等の現像剤キャリアと混合して二成分現像剤としてもよく、また、単独で一成分現像剤とするなど適宜の方法で使用できる。
【0032】
本発明のトナーは、さらにトナーの流動性、保存安定性を維持する目的で、コロイダルシリカ、疎水性シリカ等でトナー粒子表面を処理することができる。また、本発明のトナーは、平均粒径5〜12μm程度が好適である。
【0033】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。なお、以下の説明は本発明を例示するものであり、本発明の範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
【0034】
実施例1
ポリエステル樹脂 88質量部
ワックスA 2質量部
ワックスB 2質量部
電荷制御剤 3質量部
着色剤 5質量部
使用したポリエステル樹脂の酸価25KOHmg/g、ガラス転移温度(Tg)60℃、軟化点 120℃である。上記した割合でポリエステル樹脂、ワックスA、ワックスB、電荷制御剤(クラリアントジャパン製のCopy BluePR)、および着色剤(三菱化学製のMA−100)の混合物を2軸押出機にて溶融混練した後、これを冷却し、粉砕、分級して平均粒径7μmの粉体を得た。この粉体に酸化チタン(チタン工業社製のST−100)を2%、シリカ(SiO2)(日本アエロジル社製のRA−200H)を0.5%外添、混合し表面に付着させてトナーを作製した。ここで使用したワックスAおよびワックスBの針入度を、それぞれ表1に示した。なお、ここでワックスAおよびワックスBの針入度は、25℃でのASTM D 1321に準拠して測定した。
【0035】
(評価1)
得られたトナー5質量部とフェライトキャリア100質量部を60分間ボールミルで混合して二成分現像剤とし、京セラミタ製ページプリンタ(品番:FS−3800)を用い評価画像を得、画像特性、定着性、スミア性、オフセット性の評価を行った。また、ブロッキング性の評価を行い、同時に帯電量を測定した。その結果を表2に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
評価方法は、以下の通りである。
(1)画像特性
通常環境(20℃、65%RH)にて初期時に画像評価パターンを印字して画像とし、ソリッド画像をマクベス反射濃度計(RD918:マクベス社製)を用いて測定し、同時にかぶりを目視にて観察することにより、以下の基準にて画像特性評価を行った。画像濃度はベタ画像の任意の9点を測定して平均値を求め1.30以上を良好とした。
○:かぶりは良好。
△:ややかぶりを生じている。
×:かぶりはひどい。
【0038】
(2)帯電特性
ニ成分現像剤の帯電量を通常環境にてを京セラケミカル社製のブローオフ粉体帯電量測定装置(品番:B−200)を用いて測定を行った。
【0039】
(3)定着性
定着温度を180℃に設定し、通常環境(20℃、65%RH)にて、電源OFFの状態で10分間冷却した後、電源ONし、定着パターンソリッド画像を連続5枚印字し、測定用画像を得る。この画像を綿布で包んだ黄銅製分銅(1kg)の荷重をかけて、10往復擦る。この操作の前後の画像濃度をマクベス反射濃度計で測定し、その濃度の比率を求めて定着性とし、以下の基準で評価した。
○:定着率が95%以上。
△:定着率が90%以上95%未満。
×:定着率が90%未満。
【0040】
(4)オフセット性
通常環境(20℃、65%RH)にて、定着温度を230℃に設定し、オフセットパターン画像を連続10枚印字する。この画像を目視判断により、以下の基準でオフセット性の評価を行う。
○:オフセット発生なし。
△:少しのオフセット発生。
×:ひどいオフセット発生。
【0041】
(5)スミア性
上記(3)で得られた測定用画像を紙で包んだ黄銅製分銅(1kg)に荷重をかけて、20往復擦る。この操作後の擦った紙側の汚れ具合を目視にて観察し、以下の基準でスミア性の評価を行う。
○:汚れがなく良好。
△:やや汚れを生じている。
×:汚れはひどい。
【0042】
(6)ブロッキング性
上記トナーをガラス容器に詰め、50℃で100時間放置する。放置後のケーキング発生状態を評価する。
○:ケーキングは認められない。
△:少しのソフトケーキングが認められる。
×:かなりのハードケーキングが認められる。
【0043】
実施例2〜4及び比較例1〜5
ワックスAおよびワックスBの針入度を、それぞれ表1に示す値にしたほかは、実施例1と同様にしてトナーを作製した。なお、ワックスAまたはBのいずれかが無添加の場合は、ワックスの添加量を4質量%とした。それぞれ画像特性、定着性、スミア性、ホットオフセット性およびブロッキング性の評価を実施例1と同様にして行った。
【0044】
【表2】
【0045】
(評価2)
実施例5〜8及び比較例6〜8
ポリエステル樹脂 (92−X)質量部
ワックスA a質量部
ワックスB (X−a)質量部
電荷制御剤 3質量部
着色剤 5質量部
上記実施例3のトナーを用いてワックスAとBの配合比及びワックスの合計添加量を変えて実施例1と同様にしてトナーを作成し、実施例1と同様の評価を行った。ワックスAとBの添加量は表3に示す。また評価結果は表4に示す。
【0046】
【表3】
【0047】
【表4】
【0048】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の静電潜像現像用トナーによれば、ポリエステル樹脂をメイン樹脂とし、異なる針入度を示すワックスを少なくとも2種類以上併用し、ワックスが25℃における針入度が2以下のワックスと4〜10のワックスを使用することにより、オフセット性、ブロッキング性、画像特性を悪化させることなく、消費電力を抑え、低温度領域で定着可能でありかつスミア性に優れるという効果がある。
Claims (1)
- ポリエステル樹脂をメイン樹脂とし、25℃における針入度が2以下のワックスと4〜10のワックスとを含有し、かつトナー総量に対して、全てのワックスの添加量の和が1〜5質量%であると共に、針入度4〜10のワックスの添加量が2.5質量%以下であり、針入度2以下のワックスの添加量が針入度4〜10のワックスの添加量と同じか多く、前記ポリエステル樹脂の酸価は3〜40KOHmg/gであることを特徴とした静電潜像現像用トナー。
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