JP4175493B2 - ヒンジ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、携帯電話等における機器本体とカバー(蓋体)とを回動可能に連結するためのヒンジ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、この種のヒンジ装置は、特開平7−11831号公報の記載されているように、機器本体とカバーとにそれぞれ回動不能に連結される一対のヒンジ部材と、一方のヒンジ部材に回動不能に、かつ一対のヒンジ部材の回動軸線方向へ移動可能に設けられた可動部材と、この可動部材を他方のヒンジ部材に突き当てる付勢手段とを備えている。
【0003】
図15は、上記従来のヒンジ装置のヒンジ部材1を示すものであり、このヒンジ部材1の可動部材2が突き当たる端面には、径方向に延びる三つの係合凹部1a,1b,1cが形成されている。三つの係合凹部1a,1b,1cは、係合凹部1b,1cが係合凹部1aに対し互いに逆方向へ同一角度だけ離れて配置されている。一方、ヒンジ部材1に突き当たる可動部材2の端面には、図16に示すように、二つの当接突起2a,2bが形成されている。二つの当接突起2a,2bは、係合凹部1aと係合凹部1bとの間の角度と同一角度だけ周方向へ互いに離れて配置されている。
【0004】
当接突起2a,2bは、カバーが閉位置に位置しているときには、係合凹部1a,1bにそれぞれ係合し、カバーが開位置に位置しているときには、係合凹部1c,1aに係合する。実際には、図12(B)に示すように、当接突起2a(2b)は係合凹部1a(1b,1c)の側面に当接し、これによりカバーを回動付勢して閉位置または開位置に維持するようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
カバーを機器本体に回動可能に連結するヒンジ装置は、通常、左右に一対設けられる。いま、図15および図16に示すヒンジ部材1および可動部材2が右側に配置されるヒンジ装置に用いられるものであるとすると、少なくとも可動部材2は左側に配置されるヒンジ装置には用いることができず、左側のヒンジ装置に専用の可動部材を別途作製しなければならないという問題があった。
【0006】
すなわち、ヒンジ部材1および可動部材2を右側のヒンジ装置に用いた場合、当接突起2a,2bは、閉時には係合凹部1a,1bに係合し、開時には係合凹部1c,1aに係合する。したがって、カバーが開回動するとき、可動部材2は図16において矢印X方向へ回動する。これに対し、ヒンジ部材1および可動部材2を左側のヒンジ装置に用いた場合には、カバーが開回動するときには可動部材2が矢印Y方向へ回動する。可動部材2が矢印Y方向へ回動すると、係合突起2bがカバーの開回動途中において係合凹部1cに係合してしまう。このため、カバーのスムースな回動が阻害される。しかも、カバーが閉位置に達したときには、当接突起2bが係合凹部1aの位置に達せず、これに係合することができない。その結果、当接突起2aも係合凹部1bに係合することができない。したがって、左側用のヒンジ装置の可動部材には、当接突起2bに代えて想像線で示す当接突起2cを形成する必要がある。このため、従来のヒンジ装置では、可動部材2を左右のヒンジで共用することができず、2種類作製しなければならない。この結果、部品点数が増えて製造費が高騰するという問題があった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の問題を解決するために、この発明は、機器本体と蓋体とを閉位置と開位置との間において回動可能に連結するヒンジ装置であって、上記機器本体と上記蓋体とにそれぞれ連結され、かつ上記機器本体と上記蓋体との回動軸線を中心として互いに回動可能に連結された一対のヒンジ部材と、一方のヒンジ部材に回動不能に、かつ上記回動軸線方向へ移動可能に設けられた可動部材と、この可動部材を他方のヒンジ部材に突き当てる付勢手段とを備え、上記他方のヒンジ部材と上記可動部材との互いに突き当たる当接面の一方には、上記回動軸線を中心として周方向へ互いに180°離れた一対の第1変換部、上記回動軸線を中心として周方向へ互いに180°離れ、かつ上記第1変換部に対して所定角度だけ周方向に離れた一対の第2変換部、および記第1変換部と上記第2変換部との間の中央部に配置された一対の位置決め凹部がそれぞれ形成され、他方の当接面には、上記回動軸線を中心として周方向へ互いに180°離れて配置され、かつ上記蓋体が閉位置に回動しているときには上記一対の第1変換部に突き当たって上記付勢手段の付勢力を上記他方のヒンジ部材を開位置側から閉位置側へ向う方向へ押す力に変換し、上記蓋体が開位置に回動しているときには上記一対の第2変換部に突き当たって上記付勢手段の付勢力を上記他方のヒンジ部材を閉位置側から開位置側へ向う方向へ押す力に変換し、上記一対の位置決め凹部に嵌合することにより、上記一対のヒンジ部材を節度をもって回動不能に連結する一対の押圧突起が形成され、上記位置決め凹部を区画する底面が凹球面によって形成され、上記押圧突起の外面が上記位置決め凹部を区画する凹球面と同一寸法の凸球面によって形成されていることを特徴としている。
【0008】
この場合、上記第1、第2変換部が、上記位置決め凹部の底面の上記回動軸線を中心とする周方向の両側部にそれぞれ形成されていることが望ましい。また、上記第1、第2変換部が上記位置決め凹部を区画する凹球面と同一寸法の凹球面によって形成されていることが望ましい。
【0009】
さらに、上記他方のヒンジ部材が、それが連結された上記機器本体または上記蓋体に対して微小角度だけ回動可能であることが望ましい。上記他方のヒンジ部材が、上記可動部材に突き当たる当接部材と、この当接部材を上記付勢手段の付勢力に抗して支持する支持部材とを有している場合には、少なくとも上記当接部材が、上記他方のヒンジ部材が連結された上記機器本体または蓋体に対し上記回動軸線を中心として微小角度だけ回動可能にされていればよい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施の形態について図1〜図14を参照して説明する。この実施の形態のヒンジ装置10は携帯電話の電話機本体とカバー(蓋体)との間に用いられるものであるが、その他の機器、例えばノートブック型パソコンの本体とそのカバーとの間にも用いることが可能である。
【0011】
まず、ヒンジ装置10が用いられる携帯電話について簡単に述べると、図12〜図14に示すように、携帯電話Tは、電話機本体Aとこれにヒンジ装置10を介して回動自在に連結されたカバーBとを備えており、電話機本体AとカバーBとのなす角度がθ1になった状態でヒンジ装置10が取り付けられる。角度θ1は、180°より若干小さい鈍角であり、この実施の形態では170°程度に設定されている。ヒンジ装置10が取り付けられた後、本体AおよびカバーBには化粧ボックスC,Dがそれぞれ取り付けられる。このボックスC,Dが互いに突き当たることによってカバーBの開位置が定められている(図14参照)。したがって、カバーBは、本体Aの前面に突き当たってこれを閉じた閉位置(本体AとカバーBとのなす角度が0°)から本体AとカバーBとのなす角度がθ2になる開位置との間を回動可能である。角度θ2は、角度θ1より若干小さい鈍角に設定されており、この実施の形態では、160°程度に設定されている。
【0012】
次に、ヒンジ装置10について説明するに、まずその概略構成について説明すると、図1〜図4に示すように、ヒンジ装置10は、ヒンジ部材20と、このヒンジ部材20に連結軸30を介して回動可能に連結されたヒンジ部材40とを備えている。そして、ヒンジ装置10は、図2に示すように、互いの軸線を一致させた電話機本体Aの第1ヒンジ筒A1とカバーBの第2ヒンジ筒B1とに第1ヒンジ筒A1側(外側)から挿入されている。ここで、ヒンジ部材20は、その基端部が第1ヒンジ筒A1に回動不能に嵌合し、その先端部が第2ヒンジ筒B1に回動可能に嵌合している。したがって、本体AとカバーBとは、ヒンジ部材20を介して回動可能に連結されている。他方のヒンジ部材40は、第2ヒンジ筒B1に微小角度を除いて回動不能に嵌合されている。したがって、ヒンジ部材40は、微小角度を除けば、カバーBと一体に回動する。
【0013】
なお、ヒンジ部材20の基端部を第2ヒンジ筒B1に回動不能に、先端部を第1ヒンジ筒A1に回動可能にそれぞれ嵌合させてもよい。その場合には、ヒンジ部材40を第1ヒンジ筒A1に回動不能に嵌合させることになる。また、ヒンジ部材20の先端部は、必ずしも第2ヒンジ筒B1に回動可能に嵌合させる必要はない。その場合には、カバーBがヒンジ部材40、連結軸30およびヒンジ部材20を介して本体Aに回動可能に連結される。さらに、ヒンジ部材40は、カバーBに対して微小角度だけ回動することなく、カバーBと常時一体に回動するように、第2ヒンジ筒B1に連結してもよい。
【0014】
ヒンジ装置10についてより詳細に説明すると、上記ヒンジ部材20は、図1〜図5および図7に示すように、円筒状をなすものであり、その外周面には軸線方向に延びる1対のキー溝21,21が周方向に180°離れて配置形成されている。図5に示すように、各キー溝21には、第1ヒンジ筒A1の内周面に形成されたキー部A2がそれぞれ嵌り込んでいる。これにより、ヒンジ部材20が電話機本体Aに回動不能に連結されている。また、ヒンジ部材20の外側の端部には、キャップ90(図8参照)が連結されている。このキャップ90の化粧板部91により、ヒンジ装置10のキャップ90以外の構成部材が外部から遮蔽され、目視することができないようになっている。
【0015】
上記連結軸30は、図2に示すように、円板状をなす頭部31と、断面円形の回動軸部32と、断面正方形状をなす固定軸部33とからなるものであり、頭部31は第1ヒンジ筒Bの外側の端面とキャップ90の突起92とによってほぼ挟持されている。したがって、連結軸30は、軸線方向へほぼ移動不能である。連結軸30の回動軸部32は、ヒンジ部材20に回動可能に挿入されている。固定軸部33の先端部は、ヒンジ部材20を貫通してその外部に突出しており、そこにはヒンジ部材40が嵌合固定されている。
【0016】
上記ヒンジ部材40は、図2に示すように、ヒンジ部材20側の当接部材50と逆側の支持部材60とから構成されている。図9および図10にそれぞれ示すように、当接部材50および支持部材60の中央部には、断面正方形状をなす貫通孔51,61がそれぞれ形成されている。貫通孔51、61には、連結軸30の固定軸部33が挿通されている。そして、固定軸部33が加締められることにより、当接部材50および支持部材60が連結軸30に一体に固定されている。つまり、当接部材50および支持部材60は、連結軸30に回動不能かつ移動不能に固定されている。しかも、当接部材50はヒンジ部材20にほぼ接触している。この結果、連結軸30の頭部31と当接部材50とがヒンジ部材20をほぼ挟持した状態になる。これにより、ヒンジ部材20,40がそれらの回動軸線方向へほとんど移動不能に連結され、ヒンジ装置10全体がユニット化されている。
【0017】
図6および図10に示すように、当接部材50の外周面には、周方向に180°離れた一対のキー溝52,52が形成されており、図6および図9に示すように、支持部材60の外周面には一対のキー溝62,62が形成されている。キー溝52,62は、周方向において互いに同一位置に配置されている。しかも、キー溝52,62の幅は、キー溝21の幅より広くなっている。したがって、キー溝52,62,21の周方向の位置を互いに一致させるとともに、キー部A2と一致させることにより、当接部材50、支持部材60およびヒンジ部材20を第1ヒンジ筒A1から第2ヒンジ筒B1に挿通することができる。
【0018】
上記キー溝52には、第2ヒンジ筒B1の内周面に形成されたキー部B2が嵌り込んでいる。この場合、キー溝52の幅は、キー部B2の幅より広くなっている。したがって、当接部材50は、キー溝52とキー部B2との幅の差に相当する微小角度だけカバーBに対して相対回動可能である。勿論、その微小角度の分を除けば当接部材50はカバーBと一緒に回動する。
【0019】
キー部B2は、支持部材60のキー溝62にも嵌り込んでいる。しかし、キー溝62の幅は、キー溝52の幅より広くなっている。しかも、支持部材60は当接部材50とともに連結軸30に固定され、当接部材50と一体に回動する。したがって、キー溝62の両側面にキー部B2が突き当たることはない。よって、支持部材60はカバーBによって直接回動させられることはなく、当接部材50および連結軸30を介して回動させられるだけである。
なお、キー部B2は、第2のヒンジ筒B1の内周面のうち、キー溝52,62に対応する箇所にだけ形成されており、ヒンジ部材20が嵌合する箇所には形成されていない。したがって、ヒンジ部材20がキー部B2によって回動を阻害されることはない。
【0020】
上記キー部B2は、電話機本体AとカバーBとのなす角をθ1にすると、キー部A2と周方向において同一位置に位置するように配置されている。したがって、電話機本体AとカバーBとのなす角をθ1にするとともに、キー溝21,52,62の周方向の位置をキー部A2,B2と一致させることにより、ヒンジ部材20,40を第1、第2ヒンジ筒A1,B1に挿入することができる。
【0021】
図2および図10に示すように、上記支持部材60の当接部材50側と逆側(図2において下側)の端面には、連結軸部63が形成されている。この連結軸部63の先端側の外周面には環状突出部64が形成されている。また、連結軸部63には、先端面から基端まで達する十字状のスリット65が形成されている。このスリット65によって連結軸部63が4つの部分に分けられている。各部分は、先端部どうしが互いに接近離間するように変形可能であり、それによって連結軸部63が縮径可能になっている。
【0022】
連結軸部63と対向する第2ヒンジ筒B1の内周面には、小径部B3が形成されている。この小径部B3の内径は、連結軸部63の外径とほぼ同一に設定されており、小径部B3の幅(第2ヒンジ筒B1の軸線方向における幅)は、連結軸部63の基端から環状突出部64までの長さとほぼ同一になっている。したがって、小径部63を連結軸部63に嵌合させると、支持部材60の端面と環状突出部64が小径部B3を挟持する。これにより、支持部材60が第2ヒンジ筒B1に固定され、ひいてはヒンジ装置10が電話機本体AおよびカバーBに連結されている。
なお、連結軸部63をその先端から小径部B3に圧入すると、連結軸部63の先端部が縮径し、環状突出部64が小径部B3を通過することができる。通過後、連結軸部63が元の状態に復帰することにより、連結軸部63が小径部B3に嵌合するとともに、支持部材60の端面と環状突出部64とが小径部B3を挟持する。
【0023】
図2および図9に示すように、上記当接部材50のヒンジ部材20と対向する端面(当接面)には、電話機本体AとカバーBとの回動軸線を中心として周方向に180°離れた一対の位置決め凹部53,53が形成されている。位置決め凹部53を区画する底面53aは、凹球面の一部によって形成されている。なお、底面53aの中央部には、当接部材50を貫通する貫通孔53bが形成されているが、この貫通孔53bは、凹部53を容易に形成することができるようにするためのものであり、形成しなくてもよい。
【0024】
一対の凹部53,53間には、回動軸線を中心として周方向に延びるガイド溝54が形成されている。このガイド溝54を区画する底面は、位置決め凹部53を区画する凹球面と同一の曲率半径を有する円弧面によって形成されている。ただし、ガイド溝54の深さは、位置決め凹部53より大幅に浅くなっている。
【0025】
図2に示すように、上記ヒンジ部材20の内部には、可動部材70が配置されている。この可動部材70の両側部には、ガイド部71,71が形成されている。各ガイド部71,71は、ヒンジ部材20に形成された軸線方向に延びるガイド溝22,22に摺動自在に挿入されている。したがって、可動部材7は、ヒンジ部材20に対しその軸線方向(電話機本体AとカバーBとの回動軸線に沿う方向)へは移動可能であるが、回動不能に連結されている。なお、可動部材70の中央部は、上記連結軸30の回動軸部32が相対回動可能、かつ相対移動可能に貫通している。
【0026】
可動部材70は、コイルばね(付勢手段)80によって当接部材50側に付勢されており、当接部材50と対向する端面(当接面)には、一対の押圧突起72,72が形成されている。各押圧突起72は、位置決め凹部53を区画する凹球面と同一の曲率半径を有する凸球面によって形成されており、ヒンジ部材20,40の相対回動に伴ってガイド溝22内を摺動し、ヒンジ部材20のキー溝21と当接部材50のキー溝52とが周方向において同一位置に位置すると、一対の位置決め凹部53,53に嵌り込むように配置されている。押圧突起72が位置決め凹部53に嵌合した状態では、ヒンジ部材20,40が節度をもって互いに固定され、両者はコイルばね80の付勢力に抗して回動させない限り相対回動することがない。したがって、押圧突起72を位置決め凹部53に嵌合させることにより、キー溝21,52の周方向の位置を一致した状態に維持することができる。よって、押圧突起71を位置決め凹部53に嵌合させておけば、電話機本体AとカバーBとのなす角をθ1にしてキー部A2,B2の周方向の位置を一致させることにより、ヒンジ部材20,30を第1,第2ヒンジ筒A1,B1に容易に挿入することができ、ひいてはヒンジ装置1を携帯電話Tに容易に組み込むことができる。
【0027】
各位置決め凹部53の底面53aの周方向における両側部には、第1、第2変換面(第1、第2変換部)55,56が形成されている。したがって、第1変換面55は一対の形成され、一対の第1変換面55は周方向に180°離れている。第2の変換面56も同様に一対形成され、一対の第2変換面は周方向に180°離れている。
【0028】
第1、第2変換面55,56は、いずれも位置決め凹部53の底面53aと同一の曲率半径を有する凹球面によって形成されている。ただし、底面53aを形成する凹球面の曲率中心をC1とし、第1、第2変換面55,56を形成する凹球面の曲率中心をC2,C3としたとき、図9(C)、(D)から明らかなように、曲率中心C2,C3は、曲率中心C1に対し周方向の逆側へ向って互いに同一角度だけ離れ、かつ曲率中心C1より当接部材から離れて配置されている。したがって、第1、第2変換面55,56は、当接部材50の軸線(ヒンジ装置1の軸線)に対して傾斜し、当接部材50の端面と交差している。
【0029】
第1、第2変換面55,56を形成する凹球面の曲率中心C2,C3は、曲率中心C1に対して周方向に角度αだけそれぞれ離れている。この角度αは、カバーBが閉位置に回動したときには、一対の押圧突起72,72の周方向における各一側部が一対の第1変換面55,55と当接部材50の端面(当接面)との交差部に突き当たり、カバーBが開位置に回動したときには、一対の押圧突起72,72の周方向における各他側部が一対の第2変換面と当接部材50の端面との交差部に突き当たることができるよう、適宜の大きさに設定されている。この実施の形態では、θ1=170°で、θ2=160°であることからα=5〜8°程度に設定されている。
【0030】
押圧突起72が第1変換面55と当接部材50の端面との交差部に突き当たった状態では、コイルばね80によって付勢された可動部材70が、当接部材50を介してカバーBを開位置側から閉位置側へ向う方向へ押し、押圧突起72が第2変換面56と当接部材50の端面との交差部に突き当たった状態では、可動部材70が当接部材50を介してカバーBを開位置側から閉位置側へ向う方向へ押す。このとき、当接部材50が第1ヒンジ筒B1に対して微小角度だけ回動可能であるので、可動部材70によって押された当接部材50が微小角度だけ回動し、キー溝52の側面がキー部B2の側面に突き当たり、衝撃音を発する。この衝撃音を聞くことにより、カバーBが閉位置または開位置に回動したことを確認することができるようになっている。
【0031】
上記構成のヒンジ装置10においては、当接部材50に互いに180°離れた一対の第1の変換面55,55および互いに180°離れた一対の第2変換面56,56を形成し、可動部材70に互いに180°離れた一対の押圧突起72,72を形成しているので、当接部材50および可動部材70は左右いずれのヒンジ装置10に用いることができる。ただし、ヒンジ装置10が右用であるものとすると、左用のヒンジ10では、カバーBが閉位置に回動したときには押圧突起72が第2変換面56に突き当たり、カバーBが開位置に回動したときには押圧突起72が第1変換面56に突き当たる。
【0032】
なお、この発明は上記の実施の形態に限定されるものでなく、適宜変更可能である。
例えば、上記の実施の形態においては、第1、第2変換面55,56を凹球面によって形成しているが、それらと同一方向に傾斜する単なる傾斜面によって形成してもよい。
また、カバーBが閉位置または開位置に回動したときに、押圧突起72が第1、第2変換面55または56と当接部材50の端面との交差部に突き当たるようにしているが、押圧突起72が第1変換面55または第2変換面56に嵌るようにしてもよい。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、第1、第2変換部が形成されるヒンジ部材およびこのヒンジ部材に突き当たる可動部材を左右のヒンジ装置で共用することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るヒンジ装置の一実施の形態を示す正面図である。
【図2】同ヒンジ装置を形態電話に取り付けた状態で示す正断面図である。
【図3】図1のX矢視図である。
【図4】図1のY矢視図である。
【図5】図2のX−X線に沿う拡大断面図である。
【図6】図2のY−Y線に沿う拡大断面図である。
【図7】同実施の形態において用いられている一方のヒンジ部材を示す図であって、図7(A)はその正面図、図7(B)、(C)、(D)はそれぞれ図7(A)のB矢視、C矢視、D矢視図、図7(E)は図7(B)のE−E線に沿う断面図である。
【図8】同実施の形態において用いられているキャップを示す図であって、図8(A)はその正面図、図8(B)は図8(A)のB−B線に沿う断面図、図8(C)は図8(A)のC矢視図、図8(D)は図8(C)のD−D線に沿う断面図である。
【図9】同実施の形態において用いられている当接部材を示す図であって、図9(A)はその平面図、図9(B)はその正断面図、図9(C)は要部の拡大平面図、図9(D)は図9(C)のD−D線に沿う断面図である。
【図10】同実施の形態において用いられている支持部材を示す図であって、図10(A)はその正面図、図10(B)はその正断面図、図10(C)、(D)はそれぞれ図10(A)のC矢視、D矢視図、図10(E)は図10(A)のE−E線に沿う断面図である。
【図11】同実施の形態において用いられている可動部材を示す図であって、図11(A)はその正面図、図11(B)はその側面図、図11(C)は図11(B)のC−C線に沿う断面図、図11(D)、(E)はそれぞれ図11(A)のD矢視、E矢視図である。
【図12】同実施の形態のヒンジ装置が組み込まれる携帯電話の組立途中の状態で示す側面図である。
【図13】同携帯電話を、カバーを閉位置に回動させた状態で示す側面図である。
【図14】同携帯電話を、カバーを開位置に回動させた状態で示す側面図である。
【図15】従来のヒンジ装置のヒンジ部材を示す図であって、図15(A)はその平面図、図15(B)は図15(A)のB−B線に沿う断面図である。
【図16】従来のヒンジ装置の可動部材を示す図であって、図16(A)はその平面図、図16(B)は図16(A)のB−B線に沿う断面図である。
【符号の説明】
A 電話機本体(機器本体)
B カバー(蓋体)
10 ヒンジ装置
20 ヒンジ部材
40 ヒンジ部材
50 当接部材
53 位置決め凹部
53a 底面
55 第1変換面(第1変換部) 56 第2変換面(第2変換部)
60 支持部材
70 可動部材
72 押圧突起
80 コイルばね(付勢手段)
Claims (5)
- 機器本体と蓋体とを閉位置と開位置との間において回動可能に連結するヒンジ装置であって、上記機器本体と上記蓋体とにそれぞれ連結され、かつ上記機器本体と上記蓋体との回動軸線を中心として互いに回動可能に連結された一対のヒンジ部材と、一方のヒンジ部材に回動不能に、かつ上記回動軸線方向へ移動可能に設けられた可動部材と、この可動部材を他方のヒンジ部材に突き当てる付勢手段とを備え、上記他方のヒンジ部材と上記可動部材との互いに突き当たる当接面の一方には、上記回動軸線を中心として周方向へ互いに180°離れた一対の第1変換部、上記回動軸線を中心として周方向へ互いに180°離れ、かつ上記第1変換部に対して所定角度だけ周方向に離れた一対の第2変換部、および上記第1変換部と上記第2変換部との間の中央部に配置された一対の位置決め凹部がそれぞれ形成され、他方の当接面には、上記回動軸線を中心として周方向へ互いに180°離れて配置され、かつ上記蓋体が閉位置に位置しているときには上記一対の第1変換部に突き当たって上記付勢手段の付勢力を上記他方のヒンジ部材を開位置側から閉位置側へ向う方向へ押す力に変換し、上記蓋体が開位置に位置しているときには上記一対の第2変換部に突き当たって上記付勢手段の付勢力を上記他方のヒンジ部材を閉位置側から開位置側へ向う方向へ押す力に変換し、上記一対の位置決め凹部に嵌合することにより、上記一対のヒンジ部材を節度をもって回動不能に連結する一対の押圧突起が形成され、上記位置決め凹部を区画する底面が凹球面によって形成され、上記押圧突起の外面が上記位置決め凹部を区画する凹球面と同一寸法の凸球面によって形成され、上記第1、第2変換部が上記位置決め凹部の底面を構成する凹球面と同一の曲率半径を有する凹球面によって構成され、上記第1、第2変換部が上記一方の当接面にそれぞれ交差するとともに、互いに逆向きに傾斜するよう、上記位置決め凹部、上記第1変換部及び上記第2変換部を構成する凹曲面の各曲率中心をそれぞれC1,C2,C3としたとき、上記曲率中心C2、C3が、上記曲率中心C1に対し周方向へ向って互いに逆側へ同一角度だけ離れ、かつ上記曲率中心C1より上記一方の当接面から上記他方の当接面側に離れて配置されていることを特徴とするヒンジ装置。
- 上記第1、第2変換部が、上記位置決め凹部の底面の上記回動軸線を中心とする周方向の両側部にそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項1に記載のヒンジ装置。
- 上記第1、第2変換部が上記位置決め凹部を区画する凹球面と同一寸法の凹球面によって形成されていることを特徴とする請求項2に記載のヒンジ装置。
- 上記他方のヒンジ部材が、それが連結された上記機器本体または上記蓋体に対して微小角度だけ回動可能であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のヒンジ装置。
- 上記他方のヒンジ部材が、上記可動部材に突き当たる当接部材と、この当接部材を上記付勢手段の付勢力に抗して支持する支持部材とを有しており、少なくとも上記当接部材が、上記他方のヒンジ部材が連結された上記機器本体または蓋体に対し上記回動軸線を中心として微小角度だけ回動可能にされていることを特徴とする請求項4に記載のヒンジ装置。
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