JP4173712B2

JP4173712B2 - 洗浄剤組成物

Info

Publication number: JP4173712B2
Application number: JP2002292354A
Authority: JP
Inventors: 雅喜井上; 辰仙田村; 洋平金子
Original assignee: Kao Corp
Current assignee: Kao Corp
Priority date: 2002-04-12
Filing date: 2002-10-04
Publication date: 2008-10-29
Anticipated expiration: 2022-10-04
Also published as: CN1451732A; JP2004002632A; EP1352644A1; ES2312680T3; DE60323896D1; CN100406547C; EP1352644B1

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、皮膚等に対する刺激が少なく、低温安定性、起泡力、泡質に優れ、しかも使用後の皮膚等の感触が良好な洗浄剤組成物に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、リン酸エステル系界面活性剤は、皮膚に対して低刺激であることから、シャンプーや皮膚洗浄剤の主成分として使用されている。
ところで、一般に、リン酸エステル系界面活性剤は、モノエステルとジエステルの混合物として得られ、アルキルリン酸エステルには、起泡力も劣るジアルキルリン酸が混在している。そして、これを洗浄剤主成分として単独で用いたのでは、一般に起泡力、泡質等が充分でないという欠点が有るため、更に助剤を配合する方法が提案されている。
【０００３】
助剤として、特定構造のヒドロキシスルホベタインを用いる方法（例えば、特許文献１参照。）は、起泡力増強、低温安定性改善の点で比較的優れた方法であるが、起泡力、泡質の両方を満足するものではなかった。
また、助剤として、アマイドベタイン化合物を用いる方法（例えば、特許文献２参照。）は、起泡特性、洗浄後の感触改善の点で比較的優れた方法であるが、起泡力、泡質の両方を満足するものではなかった。
一方、助剤として、特定のアミド基を有するヒドロキシスルホベタインを用いる方法（例えば、特許文献３参照。）は起泡性、泡質、洗浄後の感触改善の点で比較的優れた方法であるが、起泡力、泡質、洗浄後の感触について、充分満足できるものではなかった。
【０００４】
【特許文献１】
特開昭６２−１３８５９４号公報
【特許文献２】
特開昭６２−１４９７９８号公報
【特許文献３】
特開平８−１３４４９６号公報
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、リン酸エステル系界面活性剤の低刺激という特徴を維持したまま、起泡力に優れ、泡質がクリーミーで、しかも洗浄後の皮膚等の感触が良好で、低温安定性に優れ、製造時の配合が容易な洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、リン酸エステル系界面活性剤を使用した洗浄剤組成物についてポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩又はアルキル硫酸塩とスルホベタイン及びアルキルアミドプロピルベタインの１種又は２種以上とを併用配合することにより、皮膚等に対する刺激が少なく、起泡力に優れ、泡質がクリーミーで、かつ洗浄後の皮膚等の感触が良好な洗浄剤組成物が得られることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【０００７】
すなわち、本発明は、次の成分（Ａ）、（Ｂ）及び（Ｃ）：
（Ａ）（ａ₁）一般式（１）で表わされるリン酸モノエステルと、
（ａ₂）一般式（２）で表わされるリン酸ジエステル
との混合物であって、その含有比率が重量比で（ａ₁）／（ａ₂）＝８５／１５〜５０／５０であるリン酸エステル系界面活性剤：
【０００８】
【化５】

【０００９】
（式中、Ｒ¹、Ｒ²及びＲ³はそれぞれ炭素数８〜１８の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、Ｘ¹、Ｘ²及びＹはそれぞれ水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アルカノールアミン又はアンモニウムを示し、平均付加モル数ｋ、ｍ及びｎはそれぞれ０〜１０の数を示す）、
（Ｂ）一般式（３）
【００１０】
【化６】

【００１１】
（式中Ｒ⁴は炭素数８〜１８の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、平均付加モル数ｔは０〜５の数を示し、Ｍはアルカリ金属原子、アルカノールアミン又はアンモニウムを示す）
で表わされるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩又はアルキル硫酸塩、（Ｃ）一般式（４）
【００１２】
【化７】

【００１３】
（式中Ｒ⁵は炭素数８〜１８の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、Ｒ⁶は水素原子又は炭素数１〜４のアルキル基を示し、Ｒ⁷及びＲ⁸はそれぞれ炭素数１〜４のアルキル基を示し、ｐは０〜１の数を示し、ｑは０〜６の数を示し、Ｚは水素原子又は水酸基を示す）
で表わされるスルホベタイン及び一般式（５）
【００１４】
【化８】

【００１５】
（式中、Ｒ⁹は炭素数８〜１８の飽和又は不飽和の炭化水素基を示す。）
で表わされるアルキルアミドプロピルベタインの１種又は２種以上
を含有し、成分（Ｂ）の含有量が１〜４０重量％で、成分（Ａ）及び（Ｂ）の含有比率が重量比で（Ａ）／（Ｂ）＝９５／５〜５０／５０であることを特徴とする洗浄剤組成物を提供するものである。
【００１６】
【発明の実施の形態】
本発明に用いる低刺激性の基剤である成分（Ａ）の一般式（１）及び（２）で表わされるリン酸エステルにおいて、Ｒ¹、Ｒ²及びＲ³としては炭素数１０〜１６、特に１２〜１４のアルキル基であるものが好ましく、Ｘ¹、Ｘ²及びＹはカリウム又はナトリウムのようなアルカリ金属原子又はトリエタノールアミンが好ましく、特に水に対する溶解性の点からカリウムが好ましい。エチレンオキサイド平均付加モル数ｋ、ｍ及びｎは、起泡力の観点から、それぞれ０〜４モル、特に０〜２モルが好ましい。
【００１７】
成分（Ａ）中のアルキルリン酸モノエステル（ａ₁）とアルキルリン酸ジエステル（ａ₂）との含有比率は、配合の容易さの観点から重量比（ａ₁）／（ａ₂）＝８５／１５〜５０／５０であり、８０／２０〜７０／３０が好ましい。アルキルリン酸モノエステル（ａ₁）の含有率が低いと起泡性が劣り、含有率が高いとアルキルリン酸エステル混合物の融点が高くなり、配合が困難となる。
成分（Ａ）のリン酸エステル系界面活性剤の含有量は、泡立ち、洗浄力及び配合の容易さの観点から本発明の洗浄剤組成物の５〜４０重量％が好ましく、８〜３０重量％が特に好ましい。
【００１８】
成分（Ｂ）の一般式（３）で表わされるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩又はアルキル硫酸塩において、Ｒ⁴は起泡力の観点から炭素数１０〜１６、更に１２〜１４、特に１２のアルキル基が好ましく、平均付加モル数ｔは低刺激性と起泡力の観点から０．１〜５、更に０．５〜５、より更に１〜４、特に２〜３が好ましい。Ｍは起泡力と製造コストの観点からアルカリ金属、特にカリウム又はナトリウム、又はトリエタノールアミンが好ましい。
【００１９】
成分（Ｂ）の含有量は、本発明の洗浄剤組成物の泡質がクリーミーになるという泡質改善効果、洗浄後の感触（使用感の向上）から、１〜４０重量％が好ましく、２〜３０重量％が更に好ましく、３〜１０重量％が特に好ましい。
【００２０】
本発明の洗浄剤組成物において、成分（Ａ）と成分（Ｂ）の好ましい含有量は上記のとおりであるが、更に成分（Ａ）と成分（Ｂ）の含有比は重量比で９５／５〜５０／５０とすることが洗浄力、起泡性、泡質、洗浄後の感触及び皮膚刺激性の点から好ましく、９０／１０〜７０／３０が特に好ましい。
【００２１】
成分（Ｃ）のスルホベタインにおいて、一般式（４）中Ｒ⁵は８〜１８のアルキル基が好ましく、Ｒ⁶としては水素原子又はエチル基が好ましく、Ｒ⁷及びＲ⁸としてはメチル基又はエチル基が好ましく、ｐとしては０〜１、ｑとしては０〜４の数が好ましく、Ｚは水酸基であるのが好ましい。
【００２２】
成分（Ｃ）のスルホベタインとして好ましいものとしては、アルキルアミノプロピルスルホベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン、アミドヒドロキシスルホベタイン、アミドプロピルスルホベタインが挙げられ、特にラウリルジメチルヒドロキシスルホベタイン、ミリスチルジメチルヒドロキシスルホベタイン、Ｎ，Ｎ−ジメチルラウリン酸アミドプロピル−２−ヒドロキシスルホベタイン、Ｎ，Ｎ−ジメチルヤシ油脂肪酸アミドプロピル−２−ヒドロキシスルホベタインが挙げられる。なかでも、ラウリルジメチルヒドロキシスルホベタイン、ミリスチルジメチルヒドロキシスルホベタインが最も好ましい。
【００２３】
また、一般式（５）のアルキルアミドプロピルベタインにおいて、式中Ｒ⁹は炭素数８〜１８のアルキル基が好ましい。成分（Ｃ）のアルキルアミドプロピルベタインとして好ましいものとしては、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインが挙げられる。
【００２４】
成分（Ｃ）は単独又は２種以上の混合物として使用でき、含有量は、起泡性と低温安定性向上の観点から本発明の洗浄剤組成物の０．１〜２０重量％が好ましく、２〜１５重量％が特に好ましい。
成分（Ａ）及び（Ｂ）の合計と成分（Ｃ）との比率は、起泡性向上の観点から重量比で［（Ａ）＋（Ｂ）］／（Ｃ）＝９９／１〜４０／６０、特に９１／９〜７０／３０であるのが好ましい。
【００２５】
成分（Ａ）、（Ｂ）及び（Ｃ）を併用することにより、リン酸エステル系界面活性剤の特徴である低刺激性を維持しながら、リン酸エステル系界面活性剤の欠点である起泡性と泡質が改善される。泡質はクリーミーとなり好ましい。また、洗浄後の皮膚等の感触がしっとりして良好である。
【００２６】
成分（Ｄ）のカチオン性ポリマーとしては、４級化ビニルピロリドンとアミノエチルメタクリレートとの共重合物、アジピン酸とジメチルアミノヒドロキシプロピレンジエチレントリアミンとの共重合物、ポリ−（Ｎ，Ｎ−ジメチル−３，５−メチレンピペリジニウムクロライド（例えばＮＡＬＣＯＣＨＥＭＩＣＡＬ社製マーコート１００）、Ｎ，Ｎ−ジメチル−３，５−メチレンピペリジニウムクロライドとアクリルアミドとの共重合物（例えばＮＡＬＣＯＣＨＥＭＩＣＡＬ社製マーコート５５０）、アクリルアミドとβ−メタクルロキシエチルトリメチルアンモニウムとの共重合物、４級化グアガム、ポリエチレンイミン、カチオン化セルロース、ポリアミンとポリグリコールとの縮合物が挙げられる。特に分子量が大きく（１００万以上）、カチオン化密度が低い（窒素含量１．５％以下）カチオン性ポリマーが好ましい。その中でも、特にカチオン化セルロースが好ましい〔例えば花王（株）製ポイズC-150L〕。
【００２７】
成分（Ｄ）は単独又は２種以上の混合物として使用でき、含有量は、起泡性と泡質および使用感の観点から、本発明の洗浄剤組成物の０．０５〜０．５重量％が好ましく、０．１〜０．３重量％が特に好ましい。
成分（Ｄ）を成分（Ａ）、（Ｂ）及び（Ｃ）と併用することにより、更に起泡性と泡質が改善される。
【００２８】
更に、本発明の組成に由来して、製造時の配合が、粘度の上昇がなく、容易となる。
【００２９】
本発明の洗浄剤組成物には、その使用目的に応じ、更に色素、香料、殺菌剤、消炎剤、キレート剤、増泡剤、増粘剤、粘度調整剤、パール化剤、防腐剤、湿潤剤、pH調整剤、他の界面活性剤等を本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
【００３０】
本発明の洗浄剤組成物は常法により製造することができ、その剤型について特に制限はなく、従来より公知の種々の剤型、例えば液体シャンプー、クリーム状洗顔料、ボディーシャンプー等とすることができる。
【００３１】
本発明の洗浄剤組成物の製造方法は例えば下記の工程からなる。
１）上記の（Ａ）、（Ｂ）及び（Ｃ）を含有する混合物を製造し、
２）次にこの混合物を容器に詰める。
成分（Ａ）、（Ｂ）及び（Ｃ）を混合する時に、又は成分（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）及び（Ｄ）を混合する時に、それらの順序は問わず、また同時であっても良い。成分（Ａ）配合時に粘度増加が認められるので、４０℃〜８０℃で加熱撹拌するのが好ましい。
本発明の組成を持つことにより、混合時に急激な増粘を生じることなく１００００mPa・s以下で製造が可能となる。
【００３２】
【実施例】
実施例１〜１４及び比較例１〜８
表１及び２に示す組成の洗浄剤組成物を、各成分を７０℃で混合して製造pHを７〜８に調整し、製造時の状態、起泡力、起泡性、泡質及び洗浄後の感触及び低温安定性について下記のようにして評価した。結果を表１及び２に示す。
【００３３】
（評価方法）
（１）製造時の状態
洗浄剤組成物の製造時の状態を、次の規準で肉眼評価した。
○：容易に配合
×：粘度上昇し配合不可
【００３４】
（２）起泡力試験
洗浄剤組成物の１％（４°硬水）水溶液に人工汚れとしてラノリンを０．５％加え、平型プロペラで４０℃に於いて回転数１０００ｒ／minで１０秒毎反転の条件下で、５分間シリンダー中で撹拌し、撹拌終了後の泡量により評価を行った。
【００３５】
（３）起泡性、泡質、洗浄後の感触
常法に従って調製した洗浄剤組成物の3mLを手のひらに塗布して手、腕を洗浄したときの起泡量、泡質及び洗浄後の感触を、専門パネラー１０名により下記の評価基準に従い評価した。
（起泡性）
Ａ：泡量が非常に多い。
Ｂ：泡量が多い。
Ｃ：泡量がやや少ない。
Ｄ：泡量が少ない。
（泡質）
Ａ：きめ細かく、かつ非常にクリーミーで良好な泡質。
Ｂ：クリーミーで良好な泡質。
Ｃ：ややクリーミーな泡質。
Ｄ：軽く粗い泡質。
（洗浄後の感触）
Ａ：充分しっとり感がある。
Ｂ：しっとり感がある。
Ｃ：ややしっとり感がある。
Ｄ：しっとり感がない。
【００３６】
（４）低温安定性試験
洗浄剤組成物をガラスビンに入れ、５℃で１０日間保存後、５℃より取り出し、室温（２５℃）に１時間放置し、外観を次の基準で肉眼評価した。
◎：透明
○：かすかに濁る
△：やや濁る
×：沈殿を生じ分離
【００３７】
【表１】

【００３８】
【表２】

【００３９】
実施例１５（ボディシャンプー）
下記の処方でボディシャンプーを製造した。

【００４０】
実施例１６（ボディシャンプー）
下記の処方でボディシャンプーを製造した。

【００４１】
実施例１５及び１６のボディシャンプーは起泡性、泡質に優れ、しかも使用後の感触が良好であった。
【００４２】
実施例１７（洗顔剤）
下記の処方で洗顔剤を製造した。

【００４３】
実施例１８（洗顔剤）
下記の処方で洗顔剤を製造した。

【００４４】
実施例１７及び１８の洗顔剤は起泡性、泡質に優れ、しかも使用後の感触が良好であった。
【００４５】
実施例１９（ボディシャンプー）
下記の処方でボディシャンプーを製造した。

【００４６】
実施例１９のボディシャンプーは起泡性、泡質に優れ、しかも使用後の感触が良好であった。
【００４７】
実施例２０（洗顔剤）
下記の処方で洗顔剤を製造した。

実施例２０の洗顔剤は、起泡性、泡質に優れ、しかも使用後の感触が良好であった。
【００４８】
実施例２１（ボディシャンプー）
下記の処方でボディシャンプーを製造した。

実施例２１のボディシャンプーは、起泡性、泡質に優れ、しかも使用後の感触が良好であった。
【００４９】
実施例２２（洗顔剤）
下記の処方で洗顔剤を製造した。

実施例２２の洗顔剤は、起泡性、泡質に優れ、しかも使用後の感触が良好であった。
【００５０】
【発明の効果】
本発明の洗浄剤組成物は皮膚等に対する刺激が少なく、起泡性、泡質、低温安定性に優れ、かつ洗浄後の皮膚等の感触がしっとりして良好であり、製造時の配合が容易である。

Claims

次の成分（Ａ）、（Ｂ）及び（Ｃ）：
（Ａ）（ａ₁）一般式（１）で表わされるリン酸モノエステルと、
（ａ₂）一般式（２）で表わされるリン酸ジエステル
との混合物であって、その含有比率が重量比で（ａ₁）／（ａ₂）＝８５／１５〜５０／５０であるリン酸エステル系界面活性剤：

（式中、Ｒ¹、Ｒ²及びＲ³はそれぞれ炭素数８〜１８の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、Ｘ¹、Ｘ²及びＹはそれぞれ水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アルカノールアミン又はアンモニウムを示し、平均付加モル数ｋ、ｍ及びｎはそれぞれ０〜１０の数を示す）、
（Ｂ）一般式（３）

（式中、Ｒ⁴は炭素数８〜１８の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、平均付加モル数ｔは０〜５の数を示し、Ｍはアルカリ金属原子、アルカノールアミン又はアンモニウムを示す）
で表わされるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩又はアルキル硫酸塩
（Ｃ）一般式（４）

（式中、Ｒ⁵は炭素数８〜１８の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、Ｒ⁶は水素原子又は炭素数１〜４のアルキル基を示し、Ｒ⁷及びＲ⁸はそれぞれ炭素数１〜４のアルキル基を示し、ｐは０〜１の数を示し、ｑは０〜６の数を示し、Ｚは水素原子又は水酸基を示す）
で表わされるスルホベタイン及び一般式（５）

（式中、Ｒ⁹は炭素数８〜１８の飽和又は不飽和の炭化水素基を示す。）
で表わされるアルキルアミドプロピルベタインの１種又は２種以上
を含有し、成分（Ｂ）の含有量が１〜４０重量％で、成分（Ａ）及び（Ｂ）の含有比率が重量比で（Ａ）／（Ｂ）＝９５／５〜５０／５０であることを特徴とする洗浄剤組成物。
成分（Ａ）及び（Ｂ）の合計と成分（Ｃ）との比率が重量比で［（Ａ）＋（Ｂ）］／（Ｃ）＝９９／１〜４０／６０である請求項１記載の洗浄剤組成物。
成分（Ａ）を５〜４０重量％、成分（Ｂ）を１〜４０重量％、及び成分（Ｃ）を０．１〜２０重量％含有するものである請求項１又は２記載の洗浄剤組成物。
更に成分（Ｄ）カチオン化ポリマーを含有する請求項１〜３のいずれか１項記載の洗浄剤組成物。
成分（Ａ）、（Ｂ）及び（Ｃ）を混合し、又は成分（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）及び（Ｄ）を混合し、４０〜８０℃で加熱撹拌する工程を有する請求項１〜４のいずれか１項記載の洗浄剤組成物の製造法。