JP4172951B2 - ターボ過給機の潤滑構造 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用エンジンに複数配設されたターボ過給機を潤滑する潤滑構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用エンジンに配設されるターボ過給機は、例えば図7に断面図を示すように、タービン室11とコンプレッサ室12がセンターハウジング13を介して一体結合され、タービン室11内のタービンホイール14とコンプレッサ室12内のコンプレッサホイール15とが、センターハウジング13内にてコンプレッサホイール側軸受16b及びタービンホイール側軸受16aで回転自在に支持された軸17によって連結している。このターボ過給機10は、エンジンの排気によってタービンホイール14を回転させることにより軸17を介してコンプレッサホイール15を回転させ、回転するコンプレッサホイール15によって吸気を圧縮してエンジンに過給するように構成されている。
【0003】
このターボ過給機10の軸17は、高速で回転して高温になるためタービンホイール側軸受16aとコンプレッサホイール側軸受16bを十分に潤滑及び冷却をする必要がある。このため、潤滑用のオイルOLをセンターハウジング13の上部に開口するオイル入口18aから供給し、センターハウジング13に設けた給油通路19を経てタービンホイール側軸受16a及びコンプレッサホイール側軸受16bに給油する。各軸受部16a、16bを潤滑及び冷却したオイルOL、及びコンプレッサ室12側から或いはタービン室11側からセンターハウジング13と軸17との間に配設されたシール部の隙間を介してセンターハウジング13内に漏れ出した漏れガス、いわゆるターボブローバイガスと共にセンターハウジング13に開口するオイル出口18bから排出して回収するように構成されている。
【0004】
このようなターボ式過給機10を水平対向式エンジンに複数搭載する場合には、各ターボ過給機10を左右の各バンクに互いに離間して配置することがある。また、エンジン本体のクランクケースの左右のバンク及びシリンダヘッドには、動弁装置にオイルOLを供給するためのオイルギャラリが形成されている。このため各バンクに配置されるターボ過給機の潤滑用のオイル通路構造は、例えば実開平7−25251号公報に開示されるように各バンクに配設されるオイルギャラリを利用することによって構造の簡素化を図っている。
【0005】
一方、各バンクに配設されるターボ過給機は、排気ガス浄化装置の活性化を図るために排気ガスの温度を確保すると共に、車体重心位置を低下させて走行安定性の向上を図り、更に各バンクとターボ過給機との間に介在する中間排気パイプの省略、及びターボ過給機のタイムラグを減少させてレスポンスを向上させるために、排気ポート直下、即ち左右のバンク下面にターボ過給機を直結配置することが望まれる。
【0006】
左右のバンク下面にターボ過給機を配設した水平対向式エンジンの概要を図8及び図9を参照して説明する。図8はターボ過給機が装備された水平対向式エンジンの概要を示す正面図であって、図9はオイル系統図である。エンジン本体111の内部にオイルポンプ112が配置され、このオイルポンプ112によってクランクケース113の直下に取り付けられたオイルパン114内のオイルOLが吸い上げられる。このオイルOLは、オイルクーラ121によって油温が適正化され、クランクケース113側の左右のメインギャラリ123L及び123Rに導かれる。
【0007】
左側のメインギャラリ123Lは左バンク115Lのシリンダヘッド116L内のギャラリ124Lにより動弁機構125Lに給油される。また、、右側のメインギャラリ123Rは、右バンク115Rのシリンダヘッド116R内のギャラリ124Rにより動弁機構125Rに供給される。
【0008】
一方、ギャラリ124Lから分岐したオイル通路126Lを介して左バンク115Lの下面に配設されたターボ過給機10Lに供給して、ターボ過給機10Lを潤滑する。同様にギャラリ124Rから分岐したオイル通路126Rを介して左バンク115Rの下面に配設されたターボ過給機10Rに供給して潤滑する。
【0009】
ターボ過給機10Lの潤滑に使用されたオイルOL及びターボブローバイガスは、ターボ過給機10Lがオイルパン114内のオイルOLの油面Laより下方となることから、ターボ過給機10Lの下方に配設されたキャッチタンク127Lに回収された後、キャッチタンク127Lからオイル還流ポンプ129Lによってオイルパン114に送出される。同様にターボ過給機10Rの潤滑に使用されたオイルOL及びターボブローバイガスは、ターボ過給機10Rの下方に配設されたキャッチタンク127Rに回収され、オイル還流ポンプ129Rによってオイルパン114に送出される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記図8及び図9に示す構造によると、各ターボ過給機10L、10RからオイルOL及びターボブローバイガスを回収するキャッチタンク127L、127Rを設け、かつ各オイル還流ポンプ129L、129Rによって汲み上げてオイルパン114に送出することによって、オイルパン114の油面Laより低位置にターボ過給機10L、10Rの潤滑経路を配置することができ、各左右のバンク115L、115Rの下面に各々ターボ過給機10L、10Rを配置することが可能になる。また、各バンク115L、115Rの下面にターボ過給機10L、10Rを配置することによって、上記排気ガス浄化装置の活性化、車体重心位置の低下、中間排気パイプの省略、及び各ターボ過給機10L、10Rのレスポンスの向上が得られると共に、車体前方からの衝撃荷重に対する車体のクラッシュストロークの確保が容易になる。
【0011】
しかし、各キャッチタンク127L、127R内に回収されたオイルOLをオイルパン114に送出するために左右のオイル還流ポンプ129L及び129Rの2つのオイル還流ポンプを要することから構造が複雑で、かつ2つのオイル還流ポンプ129L、129Rを配設するための占有空間が大きくエンジン房内の設計自由度に影響すると共に製造コストの増大が懸念される。
【0012】
この対策として、図10に図8と対応する部分に同一符号を付すことで詳細な説明は省略するが、左右のキャッチタンク127Lと127Rを連通通路130で連通し、両キャッチタンク127L、127R内に回収されたオイルOLを単一のオイルポンプ129によってオイルパン114に送出することもできる。
【0013】
しかし、旋回走行時に発生する横加速度、いわゆる横Gにより旋回内側のキャッチタンクに回収されて残存するオイルOLが連通通路130を介して旋回外側のキャッチタンク側に移動するオイルOLの偏りが発生し、旋回外側のキャッチタンク内のオイルOLが過剰に増えて円滑なターボ過給機からのオイルOL及びターボブローバイガスの排出に影響を及ぼし、ターボ過給機の潤滑不良等を招くおそれがある。例えば、右旋回走行時には、右側のキャッチタンク127R内のオイルOLが連通通路130を介して左側のキャッチタンク127L側に移動してキャッチタンク127L内のオイルOLが過剰に増加すると、その増加したオイルOLによってターボ過給機10LからのオイルOL及びターボブローバイガスの排出が妨げられて、ターボ過給機10Lの潤滑不良やターボブローバイの排出不良を誘発する要因となり、ターボ過給機の機能に影響を及したり、排気白煙の発生につながることが懸念される。
【0014】
従って、かかる点に鑑みなされた本発明の目的は、単一のオイル還流ポンプによる簡単な構成で複数のキャッチタンクを備えたターボ過給機の安定した機能が確保できるターボ過給機の潤滑構造を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する請求項1に記載のターボ過給機の潤滑構造の発明は、車両用エンジンに複数配設された各ターボ過給機にオイル貯留部からのオイルを供給して潤滑するターボ過給機の潤滑構造において、上記各ターボ過給機の下方に各々配置されて各ターボ過給機から排出されるオイル及びターボブローバイガスが供給される複数のキャッチタンクと、該複数の各キャッチタンク間を連通する連通通路と、上記複数のキャッチタンクのうちのいずれか特定のキャッチタンクと上記各ターボ過給機から上記各キャッチタンクに各々排出するターボブローバイガスの圧力より低圧の潤滑経路部分とを連通するブローバイ通路と、上記特定のキャッチタンク内のオイルを上記オイル貯留部に送出するオイル還流ポンプとを備えたことを特徴とする。
【0016】
請求項1の発明によると、各ターボ過給機から排出されるターボブローバイガスによってキャッチタンク内が加圧される一方、特定のキャッチタンク内はブローバイ通路を介して減圧されて特定のキャッチタンク内が他のキャッチタンク内に対して低圧となる。この圧力差によって他のキャッチタンク内のオイル及びターボブローバイガスが連通通路を介して特定のキャッチタンク側に圧送されて集められ、特定のキャッチタンク内のターボブローバイガスがブローバイ通路から排出されると共にオイルがオイル還流ポンプによってオイル貯留部に送出され各キャッチタンク内に残存するオイルが極めて少なくなり、旋回走行等によって横Gが発生しても旋回外側のキャッチタンク内のオイルが過剰に増加することが回避或いは抑制されて潤滑不良やターボブローバイガスの排出不良の発生が抑制され、ターボ過給機の機能に及ぼす影響や、排気白煙の発生が抑制できる。
【0017】
従って、各キャッチタンクを連通通路によって連通し、かつ特定のキャッチタンクにブローバイ通路及びオイル還流ポンプを配設する簡単な構成で、しかも単一のオイル還流ポンプにより各ターボ過給機の安定した機能が確保できる。また、製造コストの増大が回避でき、かつオイル還流ポンプの設置による占有空間が少なくなり、エンジン房内の設計自由度が確保できる。
【0018】
請求項2に記載の発明は、請求項1のターボ過給機の潤滑構造において、上記連通通路を介して上記特定のキャッチタンク側から他のキャッチタンク側へのオイルの移動を阻止する逆止弁を有することを特徴とする。
【0019】
請求項2の発明によると、旋回走行等による大きな横Gが発生した際にも、特定のキャッチタンク内に残存するオイルが他のキャッチタンク側への移動が逆止弁によって阻止されて、他のキャッチタンク内のオイルの増加が抑制できる。
【0020】
上記目的を達成する請求項3に記載のターボ過給機の潤滑構造の発明は、車両用水平対向式エンジン或いはV字型エンジンの左右のバンク下面に各々配置された各ターボ過給機にオイル貯留部からのオイルを供給して潤滑するターボ過給機の潤滑構造において、上記各ターボ過給機の下方に各々配置されて各ターボ過給機から排出されるオイル及びターボブローバイガスが供給されるキャッチタンクと、上記各キャッチタンク間を連通する連通通路と、上記両キャッチタンクのいずれか一方のキャッチタンクと上記各ターボ過給機から上記各々のキャッチタンクに排出するターボブローバイガスの圧力より低圧の潤滑経路部分とを連通するブローバイ通路と、上記一方のキャッチタンク内のオイルを上記オイル貯留部に送出するオイル還流ポンプとを備えたことを特徴とする。
【0021】
請求項3の発明によると、水平対向式エンジン或いはV字型エンジンの左右のバンクに配設された各ターボ過給機から排出されるターボブローバイガスによって左右のキャッチタンク内が加圧されると共に、一方のキャッチタンク内がブローバイ通路を介して減圧されて一方のキャッチタンク内が他方のキャッチタンク内に対して低圧となる。この圧力差によって他のキャッチタンク内のオイル及びターボブローバイガスが連通通路を介して一方のキャッチタンク側に圧送されて集められ、このキャッチタンクに集められたターボブローバイガスがブローバイ通路から排出されると共にオイルがオイル還流ポンプによって送出されて各キャッチタンク内に残存するオイルが極めて少なくなり、旋回走行等によって横Gが発生しても旋回外側のキャッチタンク内のオイルが過剰に増加することが回避或いは抑制されて潤滑不要やターボブローバイガスの排出不良が抑制されてターボ過給機の機能が確保できる。
【0022】
従って、左右のキャッチタンクを連通通路によって連通し、かつ一方のキャッチタンクにブローバイ通路及びオイル還流ポンプを配設する簡単な構成で、しかも単一のオイル還流ポンプにより左右のターボ過給機の安定した機能が確保でき、また、製造コストの増大が回避でき、かつオイル還流ポンプの設置による占有空間が抑制できてエンジン房内の設計自由度が確保できる。
【0023】
請求項4に記載のターボ過給機の潤滑構造の発明は、請求項3のターボ過給機の潤滑構造において、上記連通通路を介して上記一方のキャッチタンク側から他方のキャッチタンク側へのオイルの移動を阻止する逆止弁を有することを特徴とする。
【0024】
請求項4の発明によると、急激な旋回走行等による大きな横Gが発生した際にも、一方のキャッチタンク内に残存するオイルが他方のキャッチタンク側への移動が逆止弁によって阻止されて、ターボ過給機の機能への影響が抑制できる。
【0025】
請求項5に記載の発明は、請求項3または4に記載のターボ過給機の潤滑構造において、上記連通通路は、上記一方のキャッチタンクの上部と他方のキャッチタンクの下部との間に配設したことを特徴とする。
【0026】
請求項5の発明によると、旋回走行等によって横Gが発生した際に、一方のキャッチタンク内に残存するオイルが、そのキャッチタンクの側面によって他方のキャッチタンク側への移動が抑制される。
【0027】
請求項6に記載の発明は、請求項3〜5のいずれかのターボ過給機の潤滑構造において、上記一方のキャッチタンクは、車体中央側に対して車体外側が降下するように傾斜して配置され、上記他方のキャッチタンクは、車体外側に対して車体中央側が降下するように傾斜して配置されことを特徴とする。
【0028】
請求項6の発明によると、各キャッチタンクを傾斜して配置されることによってオイルがキャッチタンクの下部隅部に誘導されて集積され、他方のキャッチタンクから一方のキャッチタンクに連通通路を介して効率的に圧送でき、かつ一方のキャッチタンクの下部隅部に集積されたオイルがオイル還流ポンプによって効率的に送出でき、左右のキャッチタンク内に残存するオイルが極めて少なくできると共に、旋回走行等による大きな横Gが作用した際にも、一方のキャッチタンク側から他方のキャッチタンク側へ残存するオイルの移動が抑制できる。
【0029】
請求項7に記載の発明は、請求項3〜6のいずれかのターボ過給機の潤滑構造において、上記キャッチタンクは、車幅方向に長い横長形状であって、該キャッチタンクの中央部にターボ過給機が接続されたことを特徴とする。
【0030】
請求項7の発明によると、キャッチタンク内に残存するオイルがある場合でも、横Gの作用によりオイルがターボ過給機の接続部より車体外方側或いは車体中央側に偏りターボ過給機からのオイル及びターボブローバイガスの排出に影響を及ぼすことが抑制できる。
【0031】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のターボ過給機の潤滑構造において、上記潤滑経路部分は、クランクケースであることを特徴とする。
【0032】
請求項8の発明は、潤滑経路部分をクランクケースに特定したものであって、容易にキャッチタンクに排出するターボブローバイガスの圧力より低圧の潤滑経路部分を確保することができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明によるターボ過給機の潤滑構造の実施の形態を、一対のターボ過給機を備えた水平対向式エンジンを例に図を参照して説明する。なお、各実施の形態においてターボ過給機は、上記図7に示すターボ過給機と実質同一構成であり、その詳細な説明は省略する。
【0034】
(第1実施の形態)
図1乃至図3によって本発明によるターボ過給機の潤滑構造の第1実施の形態について説明する。
【0035】
図1は、ターボ過給機が装備された水平対向式エンジン20の概要を示す正面図であって、図2は模式的に示す説明図、図3はオイル系統図である。
【0036】
エンジン本体21の中央のクランクケース22の左右のバンク23L、23Rの下面に各々ターボ過給機10L、10Rが互いに離間して配置され、クランクケース22の直下にオイル貯留部となるオイルパン25が取り付けられている。
【0037】
各ターボ過給機10L、10Rの下方には各々オイルドレーン連通路26L、26Rを介してキャッチタンク27L及び27Rが互いに離間して配設されている。各左右のキャッチタンク27L及び27Rは比較的車幅方向に長い、いわゆる横長形状に形成されると共に、ターボ過給機10L、10Rはオイルドレーン連通路26L、26Rを介して各キャッチタンク27L、27Rの車幅方向中央部に接続される。
【0038】
これらキャッチタンク27L及び27Rはオイルパン25内に貯留されるオイルOLの油面Laより下方に位置し、互いのキャッチタンク27Lと27Rの各車体幅方向中央側の側面27Laと27Raの下部間が連通通路28によって連通している。
【0039】
キャッチタンク27L或いは27Rの一方、本実施の形態ではキャッチタンク27Lの上部がブローバイ通路となるブローバイホース29によって、ターボ過給機10L、10Rからキャッチタンク27L、27Rに排出するターボブローバイガスの圧力より低圧の潤滑経路部分であるクランクケース22内に連通されている。また、このキャッチタンク27Lの下部はオイル還流ポンプ30が介在するオイル通路31を介してオイルパン25に連通している。潤滑経路部分となるクランクケース22内は、ターボ過給機10L、10Rからキャッチタンク27R、27Lに排出するターボブローバイガスの圧力より低圧であり、キャッチタンク27Lの減圧に適した良好な潤滑経路部分である。
【0040】
そして、エンジン本体21の内部に配置されたオイルポンプ33によってオイルパン25のオイルOLが吸引される。このオイルポンプ33によって吸い込まれたオイルOLは、オイルクーラ34に圧送されて油温が適正化されてクランクケース22側の左右のメインギャラリ35L及び35Rに導かれる。
【0041】
左側のメインギャラリ35Lに供給されたオイルOLは、左バンク23Lのシリンダヘッド24Lに配置されたギャラリ36Lを介して動弁機構37Lに供給されると共に、ギャラリ36Lから分岐したオイル通路38Lを介して左側のターボ過給機10Lに供給され、ターボ過給機10Lを潤滑する。ターボ過給機10Lを潤滑したオイルOLは、ターボブローバイガスと共にオイルドレーン連通路26Lを経て左側のキャッチタンク27Lに回収される。
【0042】
一方、右側のメインギャラリ35Rに供給されたオイルOLは右バンク23Rのシリンダヘッド24R内に配置されたギャラリ36Rを介して動弁機構37Rに供給されると共に、ギャラリ36Rから分岐したオイル通路38Rを介して右側のターボ過給機10Rに供給して潤滑する。ターボ過給機10Rを潤滑したオイルOLは、ターボ過給機10R内のターボブローバイガスと共にオイルドレーン連通路26Rを経て右側のキャッチタンク27Rに回収される。
【0043】
ここで、各ターボ過給機10L、10Rにおいて、各タービン室内でタービンによって加圧された空気及びコンプレッサ室内でブロアによって加圧された空気がシール部の隙間からセンターハウジング内に漏れ出したターボブローバイガスは高圧であり、各オイルドレーン連通路26L、26Rから高圧で左右のキャッチタンク27L、27R内に排出され、各キャッチタンク27L及び27R内を加圧する。一方、左側のキャッチタンク27L内はオイルドレーン連通路26L、27Rからキャッチタンク27L、27Rに排出されるターボブローバイガスの排出圧力より低圧のクランクケース22内にブローバイホース29によって連通されて減圧され、右側のキャッチタンク27R内に対して左側のキャッチタンク27L内が低圧となる。
【0044】
この右側のキャッチタンク27Rの内圧力と左側のキャッチタンク27Lの内圧力の圧力差によって右側のキャッチタンク27R内のオイルOL及びターボブローバイガスが連通通路28を介して左側のキャッチタンク27L側に逐次圧送される。
【0045】
この右側のキャッチタンク27Rから左側のキャッチタンク27Lに圧送されたオイルOL及びターボブローバイガスと、ターボ過給機10Lからキャッチタンク27L内に供給されたオイルOL及びターボブローバイガスは各々一方のキャッチタンク27L内に集まり、キャッチタンク27Lの上部よりターボブローバイがブローバイホース29を介してクランクケース22内に圧送される。またキャッチタンク27Lの下部からオイルOLがオイル還流ポンプ30によってオイル通路31を介してオイルパン25に送出される。これにより右側のキャッチタンク27R内に残存するオイルOLが極めて少なく、或いは残存するオイルOLがなくなると共に、左側のキャッチタンク27L内のオイルOLがオイル還流ポンプ30によってオイルパン25に送出されてキャッチタンク27L内に残存するオイルOLが極めて少なく、或いは残存するオイルOLがなくなる。
【0046】
従って、旋回走行等による横Gが発生しても連通通路28を介して旋回内側のキャッチタンクから旋回外側のキャッチタンクに移動するオイルOLが大幅に減少或いはなくなり、旋回外側のキャッチタンク内のオイルOLが過剰に増加することが回避或いは抑制されてターボ過給機の機能に及ぼす影響が抑制でき、かつ排気白煙の発生も抑制できる。
【0047】
即ち、例えば、左旋回走行時において、右側方向の横Gが発生した状況下においても、右側のキャッチタンク27R内のオイルOLは、キャッチタンク27Rの内圧力とキャッチタンク27Lの内圧力の圧力差によって左側のキャッチタンク27L側に送出されて残存量が極めて少なく、或いはオイルOLがない状態となる結果、残存するオイルOLに起因するターボ過給機10LからのオイルOL及びターボブローバイガスの排出等の妨げが回避されてターボ過給機10Rへの影響が抑制できる。
【0048】
特に、キャッチタンク27L、27R内に残存するオイルOLがある場合でも、キャッチタンク27L、27Rを比較的車幅方向に長く形成して、その中央部にターボ過給機10L、10Rとオイルドレーン連通路26L、26Rを介して接続することから、横Gの作用により図2にオイルOLを仮想線で示すようにオイルドレーン連通路26L、26Rの接続部より車体外方側或いは車体中央側に偏りオイルドレーン26L、26Rから排出されるターボ過給機10L、10RからのオイルOL及びターボブローバイガスの排出に影響を及ぼすことが抑制できる。
【0049】
一方、右旋回走行時において、左側方向の横Gが発生した状況においても、左側のキャッチタンク27L内のオイルOLは、オイル還流ポンプ30によって送出されて残存するオイルOLが極めて少なく、或いはオイルOLがなくなる状況下が維持されて、残存するオイルOLに起因するターボ過給機10LからのオイルOL及びターボブローバイガスの排出等の妨げが回避されてターボ過給機10Lの機能への影響は抑制でき、かつ排気白煙の発生が抑制できる。
【0050】
従って、左右のキャッチタンク27Lと27Rを連通通路28によって連通し、かつキャッチタンク27Lとクランクケース22を連通するブローバイホース29及びキャッチタンク27Lとオイルパン25との間にオイル還流ポンプ30を配設する簡単な構成でターボ過給機10L、10Rの潤滑不良やターボブローバイの排出不良の発生を抑制することができてターボ過給機27L、27Rの安定した機能が確保できる。また、単一のオイル還流ポンプ30によって構成されることから、製造コストの増大が回避でき、かつ従来の2つのオイル還流ポンプを配置する場合に比べオイル還流ポンプの設置による占有空間が少なくエンジン房内の設計自由度が確保できる。
【0051】
また、オイルOLの移動による影響が抑制されることから、各キャッチタンク27R、27Lの容量を小さくしてコンパクト化を図ることも期待できる。
【0052】
なお、本実施の形態では左側のキャッチタンク27Lにクランクケース22に連通するブローバイホース29及びオイル環流ポンプ30を介在するオイル通路31を配置したが、これらを右側のキャッチタンク27R側に配置することもできる。
【0053】
(第2実施の形態)
図4によって、本発明によるターボ過給機の潤滑構造の第2実施の形態について説明する。
【0054】
図4は上記図2に対応する模式的に示す説明図であって、図2と対応する部分に同一符号を付することで該部の詳細な説明を省略するが、左右のキャッチタンク27Rと27Rを連通する連通通路28に、キャッチタンク27L側からキャッチタンク27R側へのオイルOLの移動を阻止する一方、キャッチタンク27R側からキャッチタンク27L側へのオイルOLの移動を許容する逆止弁40を配設したことを特徴とする。
【0055】
本実施の形態によると、上記第1実施の形態と同様に各ターボ過給機10L、10RからのオイルOL及びターボブローバイガスが左右のキャッチタンク27L、27Rに排出されてキャッチタンク27L及び27R内が加圧される一方、左側のキャッチタンク27L内はブローバイホース29によってクランクケース22に連通されて右側のキャッチタンク27Rに対して低圧となる。
【0056】
従って、キャッチタンク27R内と27L内の圧力差によって右側のキャッチタンク27Rから連通通路28及び逆止弁40を介して左側のキャッチタンク27L側に送出されたオイルOL及びターボブローバイガスと、ターボ過給機10Lから排出されたオイルOL及びターボブローバイガスはキャッチタンク27L内に集まり、ターボブローバイガスがキャッチタンク27Lの上部よりブローバイホース29を介してクランクケース22内に圧送される。またキャッチタンク27Lの下部からオイルOLがオイル還流ポンプ30によって吸い上げられてオイルパン25に送出されて、左右のキャッチタンク27L及び27R内に残存するオイルOLが極めて少なく、或いは残存するオイルOLがなくなる。
【0057】
ここで、仮にキャッチタンク27L内に残存するオイルOLがある場合に、急激な左旋回走行等によって、上記キャッチタンク27Rとキャッチタンク27Lの圧力差によるキャッチタンク27R側からキャッチタンク27Lに連通通路28を介して圧送する圧送力より大きな横Gが発生した際にも、左側のキャッチタンク27L内に残存するオイルOLが右側のキャッチタンク27R側への移動するのが逆止弁40によって阻止されて、ターボ過給機10RからのオイルOL及びターボブローバイガスの排出等の妨げが回避されてターボ過給機10Rの機能への影響が抑制できる。一方、急激な右旋回走行によって、過大な左側方向の横Gが発生した際にも、左側のキャッチタンク27L内のオイルOLがオイル還流ポンプ30によって吸い上げられて送出されることから、ターボ過給機10LからのオイルOL及びターボブローバイガスの排出等の妨げが回避されてターボ過給機10Lの機能への影響が抑制できる。従って、第1実施の形態に加え、より大きな横Gが作用した際にも確実なターボ過給機10L、10Rの機能が確保できる。
【0058】
また、キャッチタンク27L、27R内に残存するオイルOLがある場合でも、キャッチタンク27L、27Rを比較的車幅方向に長く形成して、その中央部にターボ過給機10L、10Rをオイルドレーン連通路26L、26Rを介して接続することから、横Gの作用により仮想線で示すようにオイルOLがオイルドレーン連通路26L、26Rの接続部より車体外方側或いは車体中央側に偏りターボブローバイ連通路26L、26Rから排出されるターボ過給機10L、10RからのオイルOL及びターボブローバイガスの排出に影響を及ぼすことが抑制できる。
【0059】
更に、オイルOLの移動による影響が抑制されることから、左右のキャッチタンク27R、27Lの容量を小さくしてコンパクト化を図ることも期待できる。
【0060】
なお、本実施の形態では左側のキャッチタンク27Lにクランクケース22に連通するブローバイホース29及びオイル還流ポンプ30を介在するオイル通路31を配置したが、これらを右側のキャッチタンク27R側に配置することもできる。この場合、通路28に配置される逆止弁40は、キャッチタンク27R側からキャッチタンク27L側へのオイルOLの移動を阻止するように配設する。
【0061】
(第3実施の形態)
図5によって本発明によるターボ過給機の潤滑構造の第3実施の形態について説明する。
【0062】
図5は上記図2に対応する模式的に示す説明図であって、図2と対応する部分に同一符号を付することで該部の詳細な説明を省略するが、右側のキャッチタンク27Rの車体中央側の側面27Raの底部近傍と、キャッチタンク27Lの車体中央側の側面27Laの上部近傍とを連通する連通通路28を設け、この通路28にキャッチタンク27L側からキャッチタンク27R側へのオイルOLの移動を阻止すると共にキャッチタンク27R側からキャッチタンク27L側へのオイルOLの移動を許容する逆止弁40を配設する。
【0063】
このように構成した本実施の形態によると、各ターボ過給機10L、10RからのオイルOL及びターボブローバイガスが各々左右のキャッチタンク27L、27Rに排出されてキャッチタンク27L及び27R内が加圧される一方、左側のキャッチタンク27L内はブローバイホース28によってクランクケース22に連通されて右側のキャッチタンク27Rに対して低圧となる。
【0064】
従って、キャッチタンク27Rと27Lの圧力差によって右側のキャッチタンク27Rから連通通路28及び逆止弁40を介して左側のキャッチタンク27L側に送出されたオイルOL及びターボブローバイガスと、ターボ過給機10Lから排出されたオイルOL及びターボブローバイガスはキャッチタンク27L内に集まり、ターボブローバイガスがキャッチタンク27Lの上部よりブローバイホース28を介してクランクケース22内に圧送される。またキャッチタンク27Lの下部からオイルOLがオイル還流ポンプ30によってオイルパン25に送出されて、左右のキャッチタンク27L、27R内に残存するオイルOLが極めて少なく、或いはオイルOLがなくなる。
【0065】
また、キャッチタンク27L、27R内に残存するオイルOLがある場合において、例えば、急激な左旋回走行等によって横Gが発生した際に、左側のキャッチタンク27L内に残存するオイルOLは、側面27Laによって右側のキャッチタンク27R側への移動が阻止され、更にキャッチタンク27L内に残存するオイルOLが多い場合でも連通通路28を介して右側のキャッチタンク27R側への移動が逆止弁40によって阻止されて、ターボ過給機10RからのオイルOL及びターボブローバイガスの排出等の妨げが回避されてターボ過給機10Rの機能への影響が抑制できる。
【0066】
また、キャッチタンク27L、27R内に残存するオイルOLは、キャッチタンク27l、27Rを比較的車幅方向に長く形成して、その中央部にターボ過給機10L、10Rをターボブローバイ連通路26L、26Rを介して接続することから、横Gの作用によりオイルOLがターボブローバイ連通路26L、26Rとの接続部より車体外方側或いは車体中央側に偏りオイルドレーン連通路26L、26Rから排出されるターボ過給機10L、10RからのオイルOL及びターボブローバイガスの排出に影響を及ぼすことが抑制できる。
【0067】
一方、急激な右旋回走行によって、過大な左側方向の横Gが発生した状況においても、左側のキャッチタンク27L内のオイルOLがオイル還流ポンプ30によって吸い上げられて送出されることから、ターボ過給機10LからのオイルOL及びターボブローバイガスの排出等の妨げが回避されてターボ過給機10Lの機能への影響がより確実に抑制できる。従って、第1及び第2実施の形態に加え、より大きな横Gが作用した際にもより確実にターボ過給機10L、10Rの機能が確保できる。
【0068】
なお、本実施の形態では左側のキャッチタンク27Lにクランクケース22に連通するブローバイホース29及びオイル還流ポンプ30を介在するオイル通路31を配置したが、これらを右側のキャッチタンク27R側に配置することもできる。この場合、通路28に配置される逆止弁40は、キャッチタンク27R側からキャッチタンク27L側へのオイルOLの移動を阻止するように配設すると共に、左側のキャッチタンク27Lの車体中央側の側面27Laの底部近傍とキャッチタンク27Rの車体中央側の側面27Raの上部近傍との間に連通通路28を配置する。
【0069】
(第4実施の形態)
図6によって本発明によるターボ過給機の潤滑構造の第4実施の形態について説明する。
【0070】
図6は上記図2に対応する模式的に示す説明図であって、図2と対応する部分に同一符号を付することで該部の詳細な説明を省略するが、右側のキャッチタンク27Rは、その車体中央側の側面27Raが車体外側の側面27Rbに対して低位置となり、底面27Rcが車体中央側に移行するに従って降下するように傾斜して配置されている。一方、左側のキャッチタンク27Lは、車体中央側の側面27Laが車体外側の側面27Lbに対して高位置となるように底面27Lcが車体外側に移行するに従って降下するように傾斜して配置されている。
【0071】
右側のキャッチタンク27Rの側面27Raの底部近傍と、キャッチタンク27Lの側面27Laの上部近傍とを連通する連通通路28を設け、この通路28にキャッチタンク27L側からキャッチタンク27R側へのオイルOLの移動を阻止すると共にキャッチタンク27R側からキャッチタンク27L側へのオイルOLの移動を許容する逆止弁40が配設される。
【0072】
本実施の形態によると、上記第1実施の形態と同様に各ターボ過給機10L、10RからのオイルOL及びターボブローバイガスが各々のキャッチタンク27L、27Rに排出されてキャッチタンク27L及び27R内が加圧される一方、左側のキャッチタンク27L内はブローバイホース29によってクランクケース22に連通されて右側のキャッチタンク27Rに対して低圧となる。
【0073】
ターボ過給機10Rから右側のキャッチタンク27Rに送出されたオイルOLが、キャッチタンク27Rの傾斜によって車体中央側下部に誘導されて集積され、このキャッチタンク27Rの下部隅部に集積されたオイルOL及びターボブローバイガスがキャッチタンク27Rと27Lの圧力差によって右側のキャッチタンク27Rから連通通路28及び逆止弁40を介して左側のキャッチタンク27L側に効率的に送出される。この右側のキャッチタンク27Rから連通通路28及び逆止弁40を介して左側のキャッチタンク27L側に送出されたオイルOL、及びターボ過給機10Lから排出されたオイルOLがキャッチタンク27Lの傾斜によって車体外側下部に集積されて、キャッチタンク27Lの下部隅部に集積されたオイルOLがオイル還流ポンプ30によって効率的に吸い上げられてオイルパン25に送出されて、左右のキャッチタンク27L、27R内に残存するオイルOLが極めて少なく、或いはオイルOLがなくなる。また、ターボブローバイガスがキャッチタンク27Lの上部よりブローバイホース29を介してクランクケース22内に圧送される。
【0074】
また、例えば、図示のように急激な左旋回走行等によって横Gが発生した際に、左側のキャッチタンク27L内の下部隅部に残存するオイルOLは、傾斜する底面27Lc及び側面27Laによって右側のキャッチタンク27R側への移動が阻止されと共に、キャッチタンク27L内に残存するオイルOLが多い場合でも連通通路28を介して右側のキャッチタンク27R側への移動が逆止弁40によって阻止されて、ターボ過給機10RからのオイルOL及びターボブローバイガスの排出等の妨げが回避されてターボ過給機10Rの機能への影響が抑制できる。一方、急激な右旋回走行によって、過大な左側方向の横Gが発生した状況においても、左側のキャッチタンク27L内の下部隅部からオイルOLがオイル還流ポンプ30によって吸い上げられて送出されることから、ターボ過給機10LからのオイルOL及びターボブローバイガスの排出等の妨げが回避されてターボ過給機10Lの機能への影響がより確実に抑制できる。
【0075】
従って、第3の実施の形態に加え、右側のキャッチタンク27Rが傾斜して配置されることによって右側のターボ過給機10RからのオイルOLがキャッチタンク27Rの下部隅部に誘導されて集積され、この集積されたオイルOLを連通通路28を介して左側のキャッチタンク27L側へ効率的に圧送できて、右側のキャッチタンク27Rに残存するオイルOLが極めて少なくなる。また、この右側のキャッチタンク27Rから送出されたオイルOL、及びターボ過給機10Lから排出されたオイルOLが、キャッチタンク27Lの底面27Lcの傾斜によって車体外側下部に集積されて、下部隅部に集積されたオイルOLがオイル還流ポンプ30によって効率的に吸い上げられ、左側のキャッチタンク27L内に残存するオイルOLも極めて少なく維持され、旋回走行等による大きな横Gが作用した際にもより確実なターボ過給機10L、10Rの機能が確保でき、かつ排気白煙の発生も回避できる。
【0076】
なお、本実施の形態では左側のキャッチタンク27Lにクランクケース22に連通するブローバイホース29及びオイル還流ポンプ30を介在するオイル通路31を配置したが、これらを右側のキャッチタンク27R側に配置することもできる。この場合、左側のキャッチタンク27Lを車体中央側に移行するに従って降下するように傾斜して配置し、右側のキャッチタンク27Rを車体外側に移行するに従って降下するように傾斜して配置されていると共に、連通通路28に配置される逆止弁40は、キャッチタンク27R側からキャッチタンク27L側へのオイルOLの移動を阻止するように配設し、かつ左側のキャッチタンク27Lの車体中央側の側面27Laの底部近傍とキャッチタンク27Rの車体中央側の側面27Raの上部近傍との間に連通通路28を配置する。
【0077】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるこなく発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば上記各実施の形態では、水平対向式エンジンの場合を例に説明したが、左右のバンクを有するV字型のエンジンに適用することもできる。また、上記実施の形態では一端がキャッチタンクに連通するブローバイホース29の他端をクランクケース22に接続したが、ターボ過給機10L、10Rからキャッチタンク27L、27Rに排出されるターボブローバイガスの圧力より低圧のシリンダヘッド等の潤滑経路部分またはクランクケースのブローバイガス排出系統に接続することもできる。
【0078】
【発明の効果】
以上説明したターボ過給機の潤滑構造の発明によると、車両用エンジンに複数配設された各ターボ過給機にオイルを供給して潤滑するターボ過給機の潤滑構造において、各ターボ過給機から排出されるターボブローバイガスによって各キャッチタンク内が加圧される一方、特定のキャッチタンク内はブローバイ通路を介して減圧されて特定のキャッチタンク内が他のキャッチタンク内に対して低圧となる。この圧力差によって他のキャッチタンク内のオイル及びターボブローバイガスが連通通路を介して特定のキャッチタンク側に圧送されて集められ、特定のキャッチタンクからターボブローバイガスがブローバイ通路から排出されると共にオイルがオイル還流ポンプによって送出され各キャッチタンク内に残存するオイルが極めて少なくなり、旋回走行等によって横Gが発生しても旋回外側のキャッチタンク内のオイルが過剰に増加することが有効的に回避或いは抑制されてターボ過給機の機能に及ぼす影響が抑制できる。
【0079】
従って、各キャッチタンクを連通通路によって連通し、かつ特定のキャッチタンクにブローバイ通路及びオイル還流ポンプを配設する簡単な構成で各ターボ過給機の安定した機能が確保できる。また、単一のオイル還流ポンプによりターボ過給機の安定した機能が確保でき、かつ製造コストの増大が回避できると共に、オイル還流ポンプの占有空間による影響が抑制できてエンジン房内の設計自由度が確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるターボ過給機の潤滑構造の第1実施の形態の概要を示すターボ過給機が装備された水平対向式エンジンの正面図である。
【図2】同じく、模式的に示す説明図である。
【図3】同じく、オイル系統図である。
【図4】本発明によるエンジン用ターボ過給機の潤滑構造の第2実施の形態の概要を示すターボ過給機が装備された水平対向式エンジンを模式的に示す説明図である。
【図5】本発明によるエンジン用ターボ過給機の潤滑構造の第3実施の形態の概要を示すターボ過給機が装備された水平対向式エンジンを模式的に示す説明図である。
【図6】本発明によるエンジン用ターボ過給機の潤滑構造の第4実施の形態の概要を示すターボ過給機が装備された水平対向式エンジンを模式的に示す説明図である。
【図7】ターボ過給機の概要を示す断面図である。
【図8】従来のターボ過給機が装備された水平対向式エンジンの概要を示す正面図である。
【図9】同じく、オイル系統図である。
【図10】ターボ過給機が装備された水平対向式エンジンの概要を示す参考図である。
【符号の説明】
10L、10R ターボ過給機
20 水平対向式エンジン
21 エンジン本体
22 クランクケース(潤滑経路部分)
23L、23R バンク
24L、24R シリンダヘッド
25 オイルパン(オイル貯留部)
26L、26R オイルドレーン連通路
27L キャッチタンク(特定のキャッチタンク、一方のキャッチタンク)
27R キャッチタンク(他方のキャッチタンク)
28 連通通路
29 ブローバイホース(ブローバイ通路)
30 オイル還流ポンプ
31 オイル通路
33 オイルポンプ
40 逆止弁
OL オイル
La 油面

Claims (8)

  1. 車両用エンジンに複数配設された各ターボ過給機にオイル貯留部からのオイルを供給して潤滑するターボ過給機の潤滑構造において、
    上記各ターボ過給機の下方に各々配置されて各ターボ過給機から排出されるオイル及びターボブローバイガスが供給される複数のキャッチタンクと、
    該複数の各キャッチタンク間を連通する連通通路と、
    上記複数のキャッチタンクのうちのいずれか特定のキャッチタンクと上記各ターボ過給機から上記各キャッチタンクに各々排出するターボブローバイガスの圧力より低圧の潤滑経路部分とを連通するブローバイ通路と、
    上記特定のキャッチタンク内のオイルを上記オイル貯留部に送出するオイル還流ポンプと、
    を備えたことを特徴とするターボ過給機の潤滑構造。
  2. 上記連通通路を介して上記特定のキャッチタンク側から他のキャッチタンク側へのオイルの移動を阻止する逆止弁を有することを特徴とする請求項1に記載のターボ過給機の潤滑構造。
  3. 車両用水平対向式エンジン或いはV字型エンジンの左右のバンク下面に各々配置された各ターボ過給機にオイル貯留部からのオイルを供給して潤滑するターボ過給機の潤滑構造において、
    上記各ターボ過給機の下方に各々配置されて各ターボ過給機から排出されるオイル及びターボブローバイガスが供給されるキャッチタンクと、
    上記各キャッチタンク間を連通する連通通路と、
    上記両キャッチタンクのいずれか一方のキャッチタンクと上記各ターボ過給機から上記各々のキャッチタンクに排出するターボブローバイガスの圧力より低圧の潤滑経路部分とを連通するブローバイ通路と、
    上記一方のキャッチタンク内のオイルを上記オイル貯留部に送出するオイル還流ポンプと、
    を備えたことを特徴とするターボ過給機の潤滑構造。
  4. 上記連通通路を介して上記一方のキャッチタンク側から他方のキャッチタンク側へのオイルの移動を阻止する逆止弁を有することを特徴とする請求項3に記載のターボ過給機の潤滑構造。
  5. 上記連通通路は、
    上記一方のキャッチタンクの上部と他方のキャッチタンクの下部との間に配設したことを特徴とする請求項3または4に記載のターボ過給機の潤滑構造。
  6. 上記一方のキャッチタンクは、
    車体中央側に対して車体外側が降下するように傾斜して配置され、
    上記他方のキャッチタンクは、
    車体外側に対して車体中央側が降下するように傾斜して配置されことを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載のターボ過給機の潤滑構造。
  7. 上記キャッチタンクは、
    車幅方向に長い横長形状であって、該キャッチタンクの中央部にターボ過給機が接続されたことを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載のターボ過給機の潤滑構造。
  8. 上記潤滑経路部分は、
    クランクケースであることを特徴とする請求項1〜7に記載のターボ過給機の潤滑構造。
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