JP4172852B2 - 細胞組織採取具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、肺等の実質臓器内の細胞組織等を採取するための細胞組織採取具に関する。
【0002】
【従来の技術】
肺等の実質臓器にできた腫瘍が悪性であるか良性であるかを診断するために、従来は、先端が注射針状に尖って形成された穿刺筒を臓器に穿刺して、さらに先端部分がスクレーパ状に形成された組織採取軸を穿刺筒の先端から突出させ、細胞組織を切り取って採取していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述のように穿刺筒の先端に面する部分から切り取って採取された細胞組織は極めて局部的なものなので、ほんの少し位置がずれた部位に悪性の組織があるような場合でもそれを採取することができず、正しい診断を行うことができない場合が少なくない。
【0004】
そこで本発明は、実質臓器内から高い確率で正しい診断を行うことができる細胞組織を採取することができる細胞組織採取具を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の細胞組織採取具は、先端が注射針状に尖って形成された筒状体からなる穿刺筒内に、先端が針状に尖って形成されてその近傍にブラシ毛が突設されたブラシ棒を挿脱自在に配置し、手元側からの操作によって上記ブラシ毛と先端針状部とを上記穿刺筒の先端内に出し入れできるようにしたことを特徴とする。
【0006】
なお、手元側からの操作によって、上記ブラシ棒を上記穿刺筒に対して軸線周りに回転させることができるとよく、上記ブラシ毛と先端針状部とが、手元側からの操作によって上記穿刺筒の先端から突出可能であるとよい。
【0007】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の実施の形態の細胞組織採取具を示している。
【0008】
図中、1は、先端が太い注射針状に尖って形成された筒状体からなる穿刺筒であり、例えばステンレス鋼製パイプ等によって形成されている。穿刺筒1の手元側端部には、術者の人指し指と中指を差し込んで係合させるための二つの孔が形成された第1の指掛け2が設けられている。
【0009】
穿刺筒1内には、先端が針状に尖って形成され、それに隣接してナイロン繊維等からなるブラシ毛が放射状に突設されたブラシ棒3が挿脱自在に配置されている。3aが先端針状部、3bがブラシ部である。
【0010】
図2は、ブラシ棒3の先端部分を拡大して示しており、ブラシ軸3cを構成する二本のワイヤの間にブラシ毛が挟み込まれ、ブラシ軸3cの撚りが戻ってブラシ毛が抜けることのないように、ブラシ部3bと先端針状部3aとの間に、固定パイプ3dがカシメ、スポット溶接又は銀ロー付け等によって固着されている。
【0011】
ただし、図3に示されるように、固定パイプ3dを省略して、その部分3d′においてブラシ軸3cを銀ロー付け、スポット溶接、プラズマ溶接、レーザー溶接等で溶接してもよい。
【0012】
図4はブラシ棒3を示しており、上述のようにしてブラシ部3bが形成されたブラシ軸3cの基端側の部分が、例えばステンレス鋼製のパイプ等からなる連結棒3eの先端に差し込まれ、そこにスポット溶接又は銀ロー付け等によって固着されている。連結棒3eの基端部には、術者の親指を差し込んで係合させるための孔が形成された第2の指掛け4が取り付けられている。
【0013】
図1に戻って、連結棒3eは穿刺筒1内に緩く嵌合する太さである。ブラシ部3bは穿刺筒1より太い外径寸法であるが、弾性変形することにより穿刺筒1内を通過することができる。
【0014】
したがって、第2の指掛け4部分を除いてブラシ棒3は穿刺筒1内に挿脱自在であり(ブラシ棒3の先端を穿刺筒1の基端側から差し込む)、且つ穿刺筒1内に挿通された状態で穿刺筒1に対して軸線周りに回転自在である。
【0015】
ブラシ棒3の連結棒3eは穿刺筒1より僅かに長く形成されている。したがって、図1に示されるように、第2の指掛け4部分が第1の指掛け2部分にぶつかるまでブラシ棒3を穿刺筒1に対して最大限に差し込むと、ブラシ部3bが穿刺筒1の先端から前方に完全に突出する。
【0016】
図5は、ブラシ部3bと先端針状部3aとが穿刺筒1の先端部分内に引き込まれた状態を示しており、その状態を保持するためのスペーサ5が、第1の指掛け2と第2の指掛け4との間に挟み込まれている。このスペーサ5は、軸線に垂直な断面の形状が馬蹄形に形成されており、連結棒3eに対して側方から自由に係脱させることができる。
【0017】
このように構成された細胞組織採取具を使用する際には、まず、図6に示されるように、スペーサ5を装着してブラシ部3bと先端針状部3aを穿刺筒1内に引っ込めた状態で、穿刺筒1を肺等の実質臓器100に突き刺す。
【0018】
そして、穿刺筒1の先端が腫瘍101の直前まで達したら、図7に示されるように、スペーサ5を取り外して、穿刺筒1を固定した状態でブラシ棒3を奥へ押し込む。
【0019】
すると、ブラシ棒3の先端針状部3aが実質臓器100から腫瘍101部分を突き通すようにして先へ押し進められ、ブラシ部3bが腫瘍101内に達する状態になる。この動作を容易に行うために、ブラシ棒3の先端に先端針状部3aが設けられていることが重要である。
【0020】
そこで、矢印Aに示されるように第1の指掛け2に対して第2の指掛け4を押し引きし、ブラシ部3bを矢印Bに示されるように腫瘍101内で前後動させてその付近の細胞をブラシ部3bに十分に付着させる。矢印Cに示されるようにブラシ棒3に回転操作を加えると、細胞の剥離採取がより効果的に行われる。
【0021】
ブラシ部3bへの細胞採取が十分に行われたら、図6に示されるブラシ部3bが穿刺筒1内に引き込まれた状態に戻してから、穿刺筒1を実質臓器100から引き抜く。このようにして細胞組織の採取を行うことにより、広い範囲から細胞を剥離させて採取することができる。
【0022】
細胞採取を複数回続けて行う必要がある場合には、穿刺筒1からブラシ棒3を抜き出し、新たなブラシ棒3を差し込んで同様の採取動作を繰り返せばよい。
なお、ブラシ棒3及び穿刺筒1の指かけ4,2は手指でつまんで保持操作できれば形状は特に限定されず、例えば図8に示されるように円柱状太径軸に形成されてもよい。
【0023】
【発明の効果】
本発明によれば、先端が注射針状に尖って形成された穿刺筒内に、先端が針状に尖って形成されてその近傍にブラシ毛が突設されたブラシ棒を挿脱自在に配置し、手元側からの操作によってブラシ毛と先端針状部とを穿刺筒内に先端側から出し入れすることにより、実質臓器内の広い範囲から細胞を剥離させて採取することができ、高い確率で正しい診断を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の細胞組織採取具の側面断面図である。
【図2】本発明の実施の形態のブラシ棒の先端部分の側面断面図である。
【図3】本発明の実施の形態のブラシ棒の先端部分の他の例の側面断面図である。
【図4】本発明の実施の形態のブラシ棒の側面断面図である。
【図5】本発明の実施の形態のブラシ棒の先端が穿刺筒内に引き込まれた状態の細胞組織採取具の側面断面図である。
【図6】本発明の実施の形態の細胞組織採取具の使用状態の側面断面図である。
【図7】本発明の実施の形態の細胞組織採取具の使用状態の側面断面図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態の細胞組織採取具の使用状態の側面断面図である。
【符号の説明】
1 穿刺筒
3 ブラシ棒
3a 先端針状部
3b ブラシ部
5 スペーサ
Claims (3)
- 先端が注射針状に尖って形成された筒状体からなる穿刺筒内に、先端が針状に尖って形成されてその近傍にブラシ毛が突設されたブラシ棒を挿脱自在に配置し、上記ブラシ毛と先端針状部とを上記穿刺筒の先端内に出し入れ操作するための手元側操作手段を上記穿刺筒の基端側に設けたことを特徴とする細胞組織採取具。
- 上記手元側操作手段によって、上記ブラシ棒を上記穿刺筒に対して軸線周りに回転させることができる請求項1記載の細胞組織採取具。
- 上記ブラシ毛と先端針状部とを、上記手元側操作手段によって上記穿刺筒の先端から突出させることができる請求項1又は2記載の細胞組織採取具。
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