JP4171365B2 - 蒸着装置 - Google Patents

蒸着装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4171365B2
JP4171365B2 JP2003197935A JP2003197935A JP4171365B2 JP 4171365 B2 JP4171365 B2 JP 4171365B2 JP 2003197935 A JP2003197935 A JP 2003197935A JP 2003197935 A JP2003197935 A JP 2003197935A JP 4171365 B2 JP4171365 B2 JP 4171365B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
container
metal material
substrate
thin film
vapor deposition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2003197935A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005038646A (ja
Inventor
雄二 柳
牧  修治
孝志 氏原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Tokki Corp
Original Assignee
Tokki Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokki Corp filed Critical Tokki Corp
Priority to JP2003197935A priority Critical patent/JP4171365B2/ja
Publication of JP2005038646A publication Critical patent/JP2005038646A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4171365B2 publication Critical patent/JP4171365B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Electroluminescent Light Sources (AREA)
  • Physical Vapour Deposition (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蒸着装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
有機EL素子は一般に、基板上に、ITOから成る透明電極(陽極),有機EL材料から成る有機EL層,Alから成る金属電極(陰極)の順に成膜することで作製される。
【0003】
ところで、有機EL層に成膜される金属電極は真空蒸着法、具体的には、抵抗加熱方式,E−B蒸着方式,高周波誘導加熱方式等の方法によって蒸着されるが、いずれの方式にも以下のような欠点がある。
【0004】
(1) 抵抗加熱方式
抵抗加熱方式は、金属電極材料を入れたボート状(フィラメント状でもバスケット状でも良い)の抵抗体に電流を流すことで前記金属電極材料を加熱・溶融・蒸発させるもので、構造が簡易でコスト安に成膜できるが、このボート内の金属電極材料を溶融させると、特にAlはボート材料に対する濡れ性が良く、その結果、濡れたボートの抵抗値を下げ、ボートの発熱を阻害するので、少量のAlしか蒸発しなくなり、蒸着が困難となる。また、ボートを大型化し、金属電極材料を多くすると電流の制御が極めて困難となり、一度に大量の材料を安定して蒸着することができない。
【0005】
また、前記金属電極材料として一般的に用いられるAlは、特開平10−158638号公報に開示されているように、難蒸着材料(他にAu,Fe,V,Pd等がある)と呼ばれ、前記抵抗体と反応してこの抵抗体の耐久性を大きく低下させる特性を持ち、そのため安定的に連続成膜を行うのは困難である。
【0006】
従って、この抵抗加熱方式は生産性に劣り、量産品の製作に際しては殆ど用いられていない。
【0007】
(2) E−B蒸着方式
E−B蒸着方式は、金属電極材料をるつぼに入れ、この金属電極材料を電子線で直接加熱・蒸発させるもので、この金属電極材料を直接加熱できるため、応答性が良好で難蒸着材料とるつぼとの濡れ性や反応も考慮する必要がないことから、安定して連続成膜を行うことが可能であるが、前記電子線が金属電極材料に照射されると、この金属電極材料から二次電子が放出され、この二次電子が前記有機EL層に衝突すると、この有機EL層を破壊して発光効率を低下させてしまう。
【0008】
従って、良好な有機EL素子を製作するためには、特開平2000−306665号公報に開示されているように、この二次電子が前記有機EL層に衝突しないように、二次電子を誘導するための磁界を発生させる等の対策を施す必要があり、コスト高となるのは避けられないし、また、X線も発生する。
【0009】
(3) 高周波誘導加熱方式
高周波誘導加熱方式は、金属電極材料を金属製のるつぼに入れ、このるつぼごと金属電極材料を高周波誘導コイルから生じる磁束により誘導加熱するもので、前記(1)と同様に難蒸着材料の影響は避けられないし、金属電極材料を加熱した際、この金属電極材料が著しく加熱され、この金属電極材料の発熱及びその輻射熱により、有機物である前記有機EL層が加熱され、(一般に100℃以上に加熱されることで)この有機EL層が劣化してしまう。
【0010】
従って、このような理由から、有機EL層を劣化させることなく長時間安定的且つコスト安に金属電極を蒸着することは、未だに実現できていないのが現状である。
【0011】
本発明は、上述のような現状に鑑み、一度に大量の材料を蒸着でき、二次電子対策の必要がなく且つX線が出ない高周波誘導加熱方式に着目し、高周波誘導加熱方式における欠点を簡易な構成で除去して、長時間安定的且つコスト安に金属薄膜を蒸着できる極めて実用性に秀れた蒸着装置を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するため手段】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0013】
真空槽7内部で金属材料1を高周波誘導加熱方式により加熱して蒸発させ、基板2上に付着させることでこの基板2上に金属薄膜を成膜する前記金属材料1を充填する容器5とこの容器5の周囲に配設される誘導コイル6とから成る金属材料用蒸発源を備えた蒸着装置であって、前記容器5を高周波誘導加熱されない材質で形成し、この容器5と前記誘導コイル6との間に筒状の保温材 11 を設け、この保温材 11 と前記容器5とを支承する支承体 12 を前記真空槽7の底部 13 に立設し、前記容器5と前記誘導コイル6と前記保温材 11 と前記支承体 12 とを所定間隔をおいて囲繞する管状の壁部8を前記真空槽7の底部 13 に立設し、この管状の壁部8の上端部に前記容器5の開口部よりやや径大でこの容器5の開口部を露出せしめる蒸着用孔を有する板体 16 を設け、前記真空槽7の底部 13 及び前記壁部8にこの真空槽7の底部 13 及び壁部8を冷却する冷却機構 14 を夫々設けたことを特徴とする蒸着装置に係るものである。
【0014】
また、前記金属材料用蒸発源と対向状態に設けられる前記基板2と、前記金属材料用蒸 発源と前記基板2との間に開閉自在に設けられ前記容器5から蒸発する金属材料1の前記基板2上への付着を開閉により制御するシャッター部9と、前記シャッター部9と前記真空槽7内壁との間に設けられ前記容器5から蒸発した金属材料1の前記基板2上への付着を阻止する防着板 10 とに前記基板2,前記シャッター部9及び前記防着板 10 を冷却する冷却機構 14 を夫々設けて、加熱される前記金属材料1から放出される熱若しくは蒸発した前記金属材料1の付着による前記基板2,前記シャッター部9及び前記防着板 10 の温度上昇を阻止し得るように構成したことを特徴とする請求項1記載の蒸着装置に係るものである。
【0015】
また、前記容器5として、セラミック製のものを採用したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の蒸着装置に係るものである。
【0016】
また、前記金属薄膜を、前記基板2上に成膜された有機薄膜3上に成膜するように設定したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の蒸着装置に係るものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
好適と考える本発明の実施の形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいてその作用効果を示して簡単に説明する。
【0018】
容器5に充填した金属材料1を加熱・蒸発させ、この蒸発した金属材料1を基板2上に付着させることでこの基板2上に金属薄膜を成膜する。
【0019】
この際、金属材料1が充填される容器5は高周波誘導加熱されない材質(例えば絶縁物であるセラミック)で形成したから、磁束により導電体の表面にうず電流を生じさせて加熱する高周波誘導加熱方式によっては加熱されずに、前記金属材料1が直接加熱される。
【0020】
即ち、従来のように、金属材料を金属製のるつぼごと加熱していた場合と異なり、容器5としてセラミック製のるつぼ等を採用してこの金属材料1を直接加熱することで、難蒸着材料と呼ばれるAl,Au,Fe,V,Pd等が容器5と反応することを阻止できる。
【0021】
従って、この難蒸着材料による容器5の耐久性の低下を考慮する必要なく、長時間連続して安定的に金属材料1を基板2上に成膜することができる。
【0022】
また、容器5は、高周波誘導によっては加熱されないが、前記金属材料1の加熱に応じて加熱されることになり、この金属材料1を一層良好に加熱することができる。
【0023】
この際、容器5と誘導コイル6との間に(例えば、前記容器5と同様にセラミック製の)保温材11を設けることで、この容器5及び金属材料1からの外部への放熱を阻止して、より一層効率良く金属材料1を加熱することができる。
【0024】
また、前記金属材料用蒸発源から放出される熱を遮断し得る壁部8を、この金属材料用蒸発源を囲繞するように設け、この壁部8に、前記冷却機構を設けることで、この金属材料用蒸発源から放出される熱が、真空槽7内の他の機器を加熱することを阻止でき、この他の機器の熱による劣化・故障等を確実に阻止することができる。
【0025】
また、上述のような金属材料用蒸発源を真空槽7内に配置した蒸着装置において、基板2上に成膜した有機薄膜3上に金属薄膜を成膜する際、例えば、前記金属材料用蒸発源から放出される熱により加熱される部位に、冷媒と、この冷媒が流通する管体とから成る冷却機構を設けることで、前記各部位の加熱が可及的に阻止されて、この各部位が加熱されることで生じる輻射熱による有機薄膜3の劣化、若しくは、直接この基板2上に成膜された有機薄膜3が加熱されることによるこの有機薄膜3の劣化を阻止できる。
【0026】
具体的には、例えば、前記基板2と容器5の間に開閉自在に設けられ、この容器5から蒸発する金属材料1の前記基板2上への付着を開閉により制御するシャッター部9と、このシャッター部9と前記真空槽7内壁との間に設けられ、容器5から蒸発する金属材料1の前記基板2上への付着を阻止する防着板10とに、夫々前記冷却機構を設けることで、加熱された金属材料1(及び容器5)から放出される熱及びこの熱により前記シャッター部9及び防着板10が加熱されることで生じる輻射熱によって、前記有機薄膜3が加熱されることを確実且つコスト安に阻止することができ、高周波誘導加熱方式を用いてこの有機薄膜3を劣化させることなく前記金属薄膜を成膜できる。
【0027】
更に、例えば、前記基板2に前記冷却機構を設けた場合には、この基板2の冷却に伴い有機薄膜3も冷却されるから、前記蒸発した(高温の)金属材料1が前記基板2上に成膜した有機薄膜3上に付着した際、この有機薄膜3の温度上昇を確実に抑制することができ、この有機薄膜3の劣化をより一層確実に阻止できる。
【0028】
従って、本発明は、高周波誘導加熱方式により長時間安定してコスト安に金属薄膜を成膜できる極めて実用性に秀れた蒸着装置となる。
【0029】
【実施例】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0030】
本実施例は、真空槽7内部で金属材料1を高周波誘導加熱方式により加熱して蒸発させ、基板2上に成膜した薄膜3上に付着させることでこの薄膜3上に金属薄膜を成膜する蒸着装置であって、前記金属材料1を充填する高周波誘導されない材質で形成した容器5と、この容器5の周囲に配設される誘導コイル6とから成る金属材料用蒸発源を設けたものである。
【0031】
具体的には、図1に図示したように、真空槽7の上部に基板2(例えばガラス基板2)を設けると共に膜厚センサー(図示省略)を設け、この膜厚センサーにより蒸着レートを測定しつつ、真空槽7の下部に設けた金属材料用蒸発源を昇温・降温制御して、前記金属材料1を基板2上、具体的にはこの基板2に成膜した有機薄膜3上に成膜する。本実施例においては、有機EL材料から成る有機EL薄膜上にAl電極を成膜する。
【0032】
金属材料用蒸発源について説明する。
【0033】
容器5としてはセラミック製のものを採用している。具体的には、石英,窒化アルミニュウム,窒化ホウ素,窒化ケイ素,炭化ケイ素若しくは酸化アルミニュウム製のものを採用すると良い。本実施例においては、容器5として酸化アルミニュウム製のるつぼを採用している。尚、容器5としてるつぼを採用しているが、ボート型等、他の形状のものを採用しても良い。
【0034】
即ち、本実施例においては、前記容器5は絶縁物であるセラミック製であるため、前記誘導コイル6から生ずる磁束によって表面にうず電流が生じない、即ち、高周波誘導加熱されないことになる。
【0035】
従って、前記金属材料1が容器5を介さずに直接加熱されると共に、この容器5は金属製でなくセラミック製であるから、難蒸着材料であるAl,Au,Fe,V,Pd等を蒸着する場合であっても、この難蒸着材料と容器5との反応は可及的に阻止され、従って、長時間連続して安定的に蒸着を行うことが可能となる。
【0036】
この容器5には、高周波電源(図示省略)と接続された誘導コイル6が巻回され、この誘導コイル6により発生する磁束が容器5全体、具体的にはこの容器5に充填される金属材料1全体に届くように構成している。尚、この誘導コイル6から発生する磁束が前記金属材料1の一部のみを透過するように設定しても良い。
【0037】
また、容器5は、高周波誘導によっては加熱されないが、前記金属材料1の加熱に応じて加熱されて保温作用を発揮し、この金属材料1を一層良好に加熱することができる。
【0038】
更に、容器5と誘導コイル6との間に、円筒形状のセラミック製の保温材11を設けている。従って、この容器5及び金属材料1から生じる熱をこの保温材11によっても保温することができ、この容器5及び金属材料1からの外部への放熱を一層少なくして、より一層効率良く金属材料1を加熱することができる。
【0039】
本蒸着装置は、上述の金属材料用蒸発源を真空槽7内部に一設けた構成であり、以下に説明する。尚、この金属材料用蒸発源を複数設けた構成としても良い。
【0040】
金属材料用蒸発源は、真空槽7の底部13に立設されたセラミック製の支承材12により、所定高さ位置で支承保持される。
【0041】
支承材12は、その先端部を前記容器5を載置するための載置用径大部12aに設定し、その基端部を真空槽7の底部13に当接してこの支承材12を安定的に設置するための設置用径大部12bに設定している。この支承材12(特に前記載置用径大部12a)によっても、前記容器5及び金属材料1の保温作用が発揮される。
【0042】
具体的には、載置用径大部12aは、上部を開口した円筒体に形成し、内部に前記容器5が載置されるように設定している。また、この円筒体の周壁部で前記保温材11を支承するように設定している。
【0043】
この支承材12を立設した真空槽7の底部13には、冷媒と、この冷媒が流通する管体とから成る冷却機構を設けている。
【0044】
具体的には、この冷却機構として、通水管14に水道水を流通させることで周囲を冷却する構成のものを採用している。尚、本実施例においては、冷媒として、最も入手が容易で安価な水道水を採用しているが、液体窒素等、より強い冷却作用を有する他の冷媒を採用しても良い。
【0045】
即ち、前記真空槽7の底部13の外面に複数の通水管14を付設し、この通水管14に水道水を流通させることにより、前記金属材料1が加熱されることで高温化する金属材料用蒸発源から放出される熱によって加熱される前記真空槽7の底部13を冷却し得るように構成している。
【0046】
また、この保温材11及び支承材12と前記金属材料用蒸発源とを囲繞するように設けた壁部8により、この金属材料用蒸発源から放出される熱を遮断するように構成している。この壁部8にも前記冷却機構を設けている。
【0047】
具体的には、この壁部8を、平面視O字状且つ断面視略長方形状で内部に空洞を有する壁管体15を真空槽7の底部13に立設することで形成し、この空洞を通水部としてこの空洞に水道水を流通させることで、この壁部8を冷却するように構成している。また、この壁管体15の上端部には前記容器5の径よりやや大きな径の蒸着用孔を中央部に有するセラミック製の円体16(板体 16 を設けている。この円体16は、壁管体15と接しているため、この壁管体15を流通する水道水により冷却される。
【0048】
尚、本実施例においては、この壁部8と冷却機構とを一体にした構成であるが、例えば、真空槽7の底部13に板状体を立設し、この板状体に通水管を付設する構成等、他の構成でも良い。また、円体16にも冷却機構を設けた構成としても良い。
【0049】
更に、前記壁部8として、前記金属材料用蒸発源を(金属材料用蒸発源からの放熱による外部への影響を阻止できる程度に)略囲繞する平面視略O字状若しくはC字状の壁部8を採用しても良い。
【0050】
即ち、本蒸着装置は、前記金属材料用蒸発源から放出される熱を可及的に内部に閉じ込めて効率的に蒸着を行うことができるようにすると共に、この熱による他の機器への影響を可及的に阻止できるように構成している。
【0051】
従って、本蒸着装置は、前記金属材料1を効率良く蒸着させてエネルギー効率に秀れるのは勿論、真空槽7内の他の機器への熱の影響を阻止することで、この他の機器の劣化や故障等を阻止することができ、メンテナンス性にも秀れたものとなる。
【0052】
また、前記基板2と容器5の間に開閉自在に設けられ、この容器5から蒸発する金属材料1の前記基板2上への付着を開閉により制御するシャッター部9と、このシャッター部9と前記真空槽7内壁との間に設けられ、容器5から蒸発した金属材料1の前記基板2上への付着を阻止する防着板10とに、夫々前記冷却機構を設けている。
【0053】
具体的には、このシャッター部9及び防着板10にして基板2側に付設した通水管14に水道水を流通させてこのシャッター部9及び防着板10を冷却することで、このシャッター部9及び防着板10の前記金属材料用蒸発源から放出される熱による温度上昇を確実に阻止できる。
【0054】
従って、前記金属材料1が加熱され、この金属材料1及び容器5が高温化しても、このシャッター部9及び防着板10が加熱されることが阻止され、基板2(に成膜した有機薄膜3)がこのシャッター部9及び防着板10からの輻射熱により加熱されることが確実に阻止される。
【0055】
更に、本蒸着装置においては、基板2にも前記冷却機構を設けた構成としている。具体的には、基板2にして金属薄膜が蒸着される蒸着面の裏面側に冷却用板4を付設し、この冷却用板4に前記通水管14を複数並設状態に付設している。尚、この通水管14を冷却用板4に付設した構成とせずに、この基板2に直接付設した構成としても良い。
【0056】
従って、前記輻射熱による前記有機薄膜3への影響が更に軽減されるのは勿論、シャッター部9を開放状態とした際、高温化した金属材料用蒸発源からの放熱による温度上昇及び前記金属材料1が薄膜3に付着した際の温度上昇が確実に阻止され、この基板2に成膜した有機薄膜3の劣化を確実に阻止できる。
【0057】
尚、前記冷却機構として、他の冷却機構を採用しても良いし、各部で同一の冷却機構を採用せずに、夫々異なる冷却機構を採用しても良い。また、前述の各部全てに冷却機構を設けずに、所定の部位にのみ冷却機構を設けた構成としても良い。
【0058】
本実施例は上述のように構成したから、容器5に充填した金属材料1を加熱・蒸発させ、この蒸発した金属材料1を基板2上に成膜した有機薄膜3上に付着させることでこの有機薄膜3上に金属薄膜を成膜する際、金属材料1が充填される容器5は高周波誘導加熱されないセラミックで形成したから、磁束により導電体の表面にうず電流を生じさせて加熱する高周波誘導加熱方式によっては加熱されずに、前記金属材料1が直接加熱される。
【0059】
即ち、従来のように、金属材料を金属製のるつぼごと加熱していた場合と異なり、容器5としてセラミック製のるつぼ等を採用してこの金属材料1を直接加熱することで、難蒸着材料と呼ばれるAl,Au,Fe,V,Pd等が容器5と反応することを阻止できる。
【0060】
従って、この難蒸着材料による容器5の耐久性の低下を考慮する必要なく、長時間連続して安定的に金属材料1を有機薄膜3上に成膜することができる。
【0061】
また、容器5は、高周波誘導によっては加熱されないが、前記金属材料1の加熱に応じて加熱されることになり、この金属材料1を内外から一層良好に加熱することができる。
【0062】
更に、容器5と誘導コイル6との間に前記容器5と同様にセラミック製の保温材11を設けているから、この容器5及び金属材料1からの外部への放熱を阻止して、より一層効率良く金属材料1を加熱することができる。
【0063】
また、真空槽7内にして前記金属材料用蒸発源から放出される熱により加熱される部位に、冷媒を流通する管体14を備えた冷却機構を設けているから、この加熱された金属材料用蒸発源による各部位の加熱が可及的に阻止されて、この各部位が加熱されることによる輻射熱による、若しくは、直接この基板2上に成膜された有機薄膜3が加熱されることによる有機薄膜3の劣化を阻止できる。
【0064】
具体的には、前記シャッター部9と、前記防着板10とに、夫々前記冷却機構を設けることで、加熱された金属材料1(及び容器5)から放出される熱及びこの熱により前記シャッター部9及び防着板10が加熱されることで生じる輻射熱によって、前記有機薄膜3が加熱されることを確実且つコスト安に阻止することができ、高周波誘導加熱方式を用いてこの有機薄膜3を劣化させることなく前記金属薄膜を成膜できる。
【0065】
更に、前記基板2に前記冷却機構を設けることで、前記蒸発した(高温の)金属材料1が前記基板2上に成膜した有機薄膜3上に付着した際、この基板2が冷却されているから、この有機薄膜3の温度上昇を確実に抑制することができ、この有機薄膜3の劣化をより一層確実に阻止できる。
【0066】
その上、前記金属材料用蒸発源を囲繞するように設けた壁部8に、前記冷却機構を設けているから、この金属材料用蒸発源から放出される熱により、真空槽7内の他の機器が加熱されることを阻止でき、この他の機器の熱による劣化・故障等を確実に阻止することができる。
【0067】
また、本高周波誘導装置におけるるつぼは、上部が開いていても良い、即ち、蒸発部分の面積が2次元的なので、電子ビーム蒸着に比べて、成膜レートを高く設定することが可能である。
【0068】
即ち、有機EL素子を製作するに際し、前記基板2上に成膜された有機EL薄膜を劣化させることなく、金属電極(Al)を長時間安定的に且つ高い成膜レートで成膜することができる。
【0069】
また、ワイヤ状若しくは粒状金属電極材料を連続的若しくは断続的に供給することにより、長時間連続蒸着も可能となる。
【0070】
従って、本実施例は、高周波誘導加熱方式により長時間安定してコスト安に金属薄膜を成膜できる極めて実用性に秀れた蒸着装置となる。
【0071】
以下、図2,3に図示した本実施例の実験例について説明する。
【0072】
図2は、高周波誘導加熱方式において、本実施例の冷却機構のような金属材料用蒸発源からの放熱対策を何ら施していない場合の基板温度及び蒸着レートを示しており、図3は、本実施例における冷却機構を基板2以外に設けた場合の基板温度及び蒸着レートを示している。
【0073】
両者を比較すると、図2においては、シャッター部を開放状態として蒸着を始める前(蒸着レートを安定化させるための予備加熱中)から既に基板温度が上昇しているのに対し、図3においては、基板温度の上昇は見られない。
【0074】
即ち、前記シャッター部9と防着板10とに設けた冷却機構により、前記金属材料用蒸発源から放出される熱により、このシャッター部9と防着板10とが加熱されることで生じる輻射熱による基板2(有機薄膜3)への影響を阻止できることが確認できた。
【0075】
また、図2においては蒸着中に基板温度が約150℃(一般に約100℃以上まで加熱されると有機EL薄膜は劣化することが確認されている。)に達してるが、図3においては約90℃と、有機EL薄膜を劣化させることなく蒸着できることが確認できた。
【0076】
従って、前記冷却機構を設けることにより、高周波誘導加熱方式における欠点である金属材料用蒸発源の高温化に伴う有機EL薄膜の劣化を確実に阻止できることが確認できた。
【0077】
尚、この実験例においては、前述したように基板2に冷却機構を設けた構成でないため、蒸着時に基板温度の上昇が見られるが、基板2に冷却機構を設けることで、この蒸着時の基板温度の上昇も抑えることができ、一層確実に前記基板2に蒸着した有機EL薄膜の劣化を阻止してより一層良好に金属電極を蒸着することができることは確認済みである。
【0078】
【発明の効果】
本発明は上述のように構成したから、高周波誘導加熱方式により基板に成膜された有機薄膜を劣化させることなく長時間連続安定的且つ高い成膜レートで金属薄膜を成膜でき、高周波誘導加熱方式における欠点を簡易な構成で除去できる極めて実用性に秀れた蒸着装置となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施例の真空槽内の概略説明図である。
【図2】 本実施例の実験例(冷却機構なし)の説明図である。
【図3】 本実施例の実験例(冷却機構あり)の説明図である。
【符号の説明】
1 金属材料
2 基板
3 有機薄膜
5 容器
6 誘導コイル
7 真空槽
8 壁部
9 シャッター部
10 防着板
11 保温材
12 支承材
13 底部
14 冷却機構,通水管,管体
16 板体,円板体

Claims (4)

  1. 真空槽内部で金属材料を高周波誘導加熱方式により加熱して蒸発させ、基板上に付着させることでこの基板上に金属薄膜を成膜する前記金属材料を充填する容器とこの容器の周囲に配設される誘導コイルとから成る金属材料用蒸発源を備えた蒸着装置であって、前記容器を高周波誘導加熱されない材質で形成し、この容器と前記誘導コイルとの間に筒状の保温材を設け、この保温材と前記容器とを支承する支承体を前記真空槽の底部に立設し、前記容器と前記誘導コイルと前記保温材と前記支承体とを所定間隔をおいて囲繞する管状の壁部を前記真空槽の底部に立設し、この管状の壁部の上端部に前記容器の開口部よりやや径大でこの容器の開口部を露出せしめる蒸着用孔を有する板体を設け、前記真空槽の底部及び前記壁部にこの真空槽の底部及び壁部を冷却する冷却機構を夫々設けたことを特徴とする蒸着装置
  2. 前記金属材料用蒸発源と対向状態に設けられる前記基板と、前記金属材料用蒸発源と前記基板との間に開閉自在に設けられ前記容器から蒸発する金属材料の前記基板上への付着を開閉により制御するシャッター部と、前記シャッター部と前記真空槽内壁との間に設けられ前記容器から蒸発した金属材料の前記基板上への付着を阻止する防着板とに前記基板,前記シャッター部及び前記防着板を冷却する冷却機構を夫々設けて、加熱される前記金属材料から放出される熱若しくは蒸発した前記金属材料の付着による前記基板,前記シャッター部及び前記防着板の温度上昇を阻止し得るように構成したことを特徴とする請求項1記載の蒸着装置。
  3. 前記容器として、セラミック製のものを採用したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の蒸着装置
  4. 前記金属薄膜を、前記基板上に成膜された有機薄膜上に成膜するように設定したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の蒸着装置。
JP2003197935A 2003-07-16 2003-07-16 蒸着装置 Expired - Lifetime JP4171365B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003197935A JP4171365B2 (ja) 2003-07-16 2003-07-16 蒸着装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003197935A JP4171365B2 (ja) 2003-07-16 2003-07-16 蒸着装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005038646A JP2005038646A (ja) 2005-02-10
JP4171365B2 true JP4171365B2 (ja) 2008-10-22

Family

ID=34207898

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003197935A Expired - Lifetime JP4171365B2 (ja) 2003-07-16 2003-07-16 蒸着装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4171365B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5384002B2 (ja) * 2007-10-31 2014-01-08 株式会社ライク 成膜装置及び成膜方法
JP7396928B2 (ja) 2020-02-28 2023-12-12 株式会社アルバック 真空蒸着装置
CN112981314B (zh) * 2021-02-03 2022-07-12 武汉华星光电半导体显示技术有限公司 一种蒸镀设备

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005038646A (ja) 2005-02-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI420721B (zh) 氣相沈積源及方法
US6101316A (en) Evaporation apparatus, organic material evaporation source, and method of manufacturing thin organic film
US6507698B2 (en) Evaporation apparatus, organic material evaporation source, and method of manufacturing thin organic film
KR101084333B1 (ko) 유기전계발광 디스플레이 패널 제조용 증발원 및 이를 포함하는 증착장치
TWI394854B (zh) 具最小化凝結效應之汽相沈積源
JP2002146516A (ja) 有機薄膜の蒸着方法
JP2013211138A (ja) 蒸発源、及びそれを用いた真空蒸着装置
KR20070025163A (ko) 무기 증착원 및 이의 가열원 제어방법
JP3929397B2 (ja) 有機el素子の製造方法及び装置
KR20140085092A (ko) 증발원 가열 장치
KR102002316B1 (ko) 박막증착장치의 증발원 및 그를 가지는 박막증착장치
JP4171365B2 (ja) 蒸着装置
US20100154710A1 (en) In-vacuum deposition of organic materials
JP4593008B2 (ja) 蒸着源並びにそれを用いた薄膜形成方法及び形成装置
JP5732531B2 (ja) 側面放出型線状蒸発源、その製造方法及び線状蒸発器
JP2005154903A (ja) 蒸着膜形成方法及び蒸着膜形成装置
KR101430660B1 (ko) 스퍼터 장치
KR100583044B1 (ko) 선형 증착물질 가열장치
KR100889760B1 (ko) 유기박막 형성장치의 가열용기
KR100583056B1 (ko) 증착물질 가열장치
KR20170048080A (ko) 단열벽을 갖는 증발원 및 증발원 단열벽 제조 방법
CN221028778U (zh) 坩埚、蒸发源炉和分子束外延设备
JP2005307354A (ja) 有機el素子の製造方法及び装置
EP1696049A1 (en) Vacuum evaporation apparatus
KR101909210B1 (ko) 박막증착장치의 증발원 및 그를 가지는 박막증착장치

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050603

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080206

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080214

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080414

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080717

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080808

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110815

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 4171365

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110815

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120815

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120815

Year of fee payment: 4

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120815

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130815

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term