JP4171190B2 - 保存性に優れた生非加熱穀粉半製品の製造方法 - Google Patents

保存性に優れた生非加熱穀粉半製品の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、保存性に優れた生麺や乾麺、春巻きや餃子の皮など、非加熱穀粉半製品の改良された製造方法に関するものである。また本発明は、非加熱穀粉半製品用の新規な穀粉に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ウドン、ソバなど在来の麺類は、非加熱穀粉半製品の最たるものであり、現在では極く一部で手打ちも行われているが、殆どが機械打ちのものである。そして後者では、製麺したものを茹でた「茹麺」、製麺したものそのまま或いは幾分乾燥した「生麺」、或いは吊るして十分に乾燥した「乾麺」の形で市販されている。尚、半分程度乾燥した半乾燥麺もあるが、本発明ではこれも生麺の範疇に入れる。尚、本発明で言う非加熱穀粉半製品とは、製造時に小麦粉などの穀粉に水を加えて混練りした後非加熱状態で成形(澱粉はβ状態のまま)するものを言う。そして、茹でたり蒸したり焼いたりする加熱工程を経て澱粉をα状態にして食するものである。
【0003】
この内、乾麺は水分が少ないため1年以上は保存できる。しかし、茹麺や生麺は水分が多く特に茹麺はそのままではすぐに腐敗する。そこで現在生麺については、製麺時に酸(酸味料とかpH調整剤と表示されている)を加えて菌が増殖しにくい低いpHに調整したり、保湿や品質保持のためにポリプロピレングリコール(PG)を加えたり、静菌・殺菌の為にアルコールを添加・混合するなどしている。中華生麺の場合には、グリシンなどを加えることもある。PGの場合は苦みがあるので、その苦みを緩和したり保水のためにソルビットをも添加する。また最近では、わさびの揮発成分が静菌・殺菌の働きすることが知られてきており、特に生麺の場合、品質低下や腐敗の防止のために、わさび成分であるイソチオシアン酸アリルガスを活性炭に担支させた製剤(特開平11−151079号)を小袋にいれて包装内部封入したり、イソチオシアン酸アリルガスを直接包装内部に封入する技術(特許第2750656号)も開発されている。尚、茹麺については酸やアルコールが茹でる時に失われるのでこれらの添加は通常行われず、当日又は翌日までに消費されることになっている。
【0004】
ところで、ソバ麺はソバ粉に雑菌が多く付着しまた栄養分に富むので、ウドン麺に比べて非常に雑菌が繁殖し易く、品質低下や腐敗が甚だしい。そのため、機械製麺業者はできるだけソバ粉の含量を少なくしたがる。しかし、日本生麺類公正取引協議会がソバ粉を30%以上含有するものをソバ麺と言うと規定しているので、それ以下のものは製造し難い。30%もソバ粉を混ぜれば、ウドン麺に比べてかなり腐敗し易い。ただ、乾麺(乾燥ソバ麺)の場合は、ソバ粉が多いとネバリが少なくまた吊るして乾燥している間にも腐敗が進むため、麺線切れ(落麺)が起こって商品にならないので、ソバ粉の含量についての規制はない。従って、かなり低品位の乾燥ソバ麺も存在する。
【0005】
ウドン麺の場合は、ソバ麺よりは品質低下や腐敗が起こり難い。しかし、腰(弾力)があって歯ごたえのあるウドン麺を作るには、生地を或る程度の時間(数時間〜1日程度)にねかせてグルテンに十分に水分を吸収させる必要があるが、その間に雑菌が繁殖して品質低下が起こり、黄色味を帯びたりすることがある。機械製麺の場合、このねかせはあまり行なわれないが、生麺ではやはり保存中に品質低下や腐敗が起こる。そのため、ねかせ中の品質低下、及び生麺の日持ちを良くするために、ソバの場合ほどではないがやはり酸やアルコールの添加が行われる。尚、生麺には、賞味期限が3カ月程度と言われる半乾燥した半生麺もある。この半生麺は含水量が20%程度であるが、これだけ長期の保存に耐えるには、かなりの量の酸やアルコールの添加を行なう必要がある。そして、ウドン麺、ソバ麺の何れにおいても、雑菌が繁殖して品質が低下すると、腐敗にまでは至らなくても、調理した場合に麺が切れやすくなったり歯ごたえや食味が悪くなり、異臭がしてくる。
【0006】
一方、手打ちソバ麺(生麺の状態)の場合は、少なくとも当日中には調理されるべきものであるため、本来は酸やアルコールなどの添加はなされない。しかし手打ちソバ麺の場合は、ソバ粉が50%以上中には100%近い生(キ)そばと言われるものもあるし卵や山芋などを加えることもあり、また手で捏ねるため加水量が40%〜55%前後と、機械打ちの25%〜30%程度に比べて倍程度用いられる。そのため、季節帯や保存状態によっては数時間で雑菌が増殖して異臭を発生する。特に、支店が多くて工場で手打ち製造して配達するような場合とか、まとめて作り置きするような場合に雑菌の増殖が促進される。しかし、手打ちソバの場合には、本来は酸やアルコールなどの添加はなされないのが普通である。尚、加水量とは、粉体100に対する水の添加割合を言うが、粉体自体が約15%前後の水分を含むので、麺の含水率は加水量よりは多くなる。
【0007】
また手打ちウドン麺の場合は、特に腰や歯ごたえが命であり、機械製麺の場合よりも混練後のねかせが重要になる。即ち、ねかせた後に十分捏ねることによりグルテンの絡みが多くなり、このグルテンの絡みの多い麺を茹でることにより強い弾力が生じることになる。従って、手打ちウドン麺の場合には、ねかせと捏ねが特に重要になる。そのため、ねかせている間に、雑菌が増殖し品質の低下を招き易い。従って、手打ちソバの場合と同様、本来酸やアルコールなどの添加はなされないのが普通であるが、夏期などに一晩ねかせて翌早朝に麺切りするような場合には食酢を混入することもある。しかし、その場合には酸味が残り、折角の手打ちの味を殺すことになる。
【0008】
次に、乾麺について述べる。乾麺は、前述したように機械製麺したものを数日間吊るして含水率10%程度に乾燥させたものである。従って、乾燥後の変質は少なく1年以上の長期保存に耐えるが、乾燥の最中において雑菌が繁殖し、品質を低下させることがある。特にソバ麺の場合、ソバ粉の割合が多いと雑菌の繁殖が著しく、吊るして干している間に腐敗が進んで麺線が切れ、大量の落麺が発生する。そのため、乾燥ソバ麺ではソバ粉の割合を多くすることが困難である。
【0009】
ところで、非加熱穀粉半製品にはうどん、そば、ラーメンなどのめん類以外に、春巻きや餃子の皮などがある。後者は、機械打ちのうどんに似ており、小麦粉に水(加水率20〜25%程度)を加えて混練りし、ローラーを通して薄く延ばし適宜大きさに裁断するものである。従って、ソバ麺や手打ちのウドン麺に比べれば雑菌の繁殖による品質低下は少ないが、長期保存のためにはやはり酸やアルコールの添加が行われている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
以上述べたように、(主に)機械打ちの生麺や、春巻き・餃子の皮の場合には、保存料や殺菌剤などとして、酸やアルコールなどが添加されている。そのため、調理時に十分に茹でないと、酸っぱい味や臭いがしたりアルコールなどの薬品臭がして食味を損じることは、多くの人が経験するところである。これは、酸やアルコールが熱で分解し難いことによる。
【0011】
尚、前述したように、ウドン麺やソバ麺その他の麺類でも、乾麺であれば添加物も殆ど用いられておらず、しかも長期の保存に耐える。しかし、乾麺は茹でる時間が長くかかるし、食味が生麺に比べて落ちる。これは、以下のような理由による。即ち、ウドン、ソバ、ラーメンなどの麺類は、美味しく食べるためには茹で方が非常に難しい。麺類は、麺線の外部と内部が同時に煮えてアルファ化したものが、味、食感ともに良い。水は熱の良導体であり、麺の中の水分が多いほど平均に早く煮える。従って、含水率が少ないと麺が水分を吸収した後に熱が伝わって煮え茹で上がるので、麺線の外側は煮え過ぎて伸びると言うか柔らかくなり過ぎるのに対し、中心部は茹だりが悪い生煮えの状態となり、食味が悪くなる。但し、茹麺のように水分が230%(粉100に対して水が130前後)と多すぎると、腐敗が極めて早いうえにグルテンの絡みが切れて、麺の腰が弱くなり、歯ごたえが無くなる。加えて、茹麺の場合はデンプンがα化しているので、デンプンの老化が早いことも食感や食味を悪くする。また、乾燥ソバ麺では落麺を避けるためにソバ粉の割合を高くできないのも、乾麺の欠点の一つである。尚、そのために乾燥ソバの場合にはソバ粉の混入割合についての規定もない。
【0012】
この観点から、乾麺よりは生麺が好ましく、また生麺でも含水率の多い方が好まれる。しかし、機械打ちでは製麺時に麺や麺材料が機械にくっついたり、麺同士がくっつく。また、水分が多いと雑菌の増殖が速いので、加水率が25〜30%前後と製麺可能な範囲で出来るだけ少なくする。これに対し、手打ちの場合は加水率が少ないと手で捏ねることができないので、40〜55%とかなり多くする。この観点からも、手打ちのほうが機械打ちのものより、味が勝り、麺の腰が強くなる。
【0013】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者は上記問題に鑑み鋭意研究した結果本発明を完成させたものであり、その特徴とするところは、麺を製造するに際し、防腐剤として粉わさび或いは粉芥子を添加・混合するものである。以下、主として粉わさびについて説明する。その結果、味を悪くする酸やアルコールなどの添加を必要とせずに、ソバ麺の場合はソバ粉の含有量を増やせるし、ウドン麺の場合はねかせが十分にでき、しかも加水量が多い食味の優れたソバ麺やウドン麺を、手打ち、機械打ちに限らず製造することが可能になる。きしめん、ほうとうなど他のうどん類や中華ソバ麺など、他の生麺や乾麺の形で市販されているものの場合も同じである。また、春巻きや餃子の皮などの場合も同じである。
【0014】
尚、最近では搬送手段が発達したため、パン生地や蒸す前の生の豚まんなどを工場で大量生産し、これを遠隔地にある店舗等に搬送し、該店舗等で焼成したり蒸し上げたりすることが行われている。このような場合には冷凍搬送が一般に行なわれるが、本発明の粉わさびや粉芥子を混入した穀粉を用いれば冷凍車などを必要とせず、常温搬送が可能になり、コストの低減が図れる。また、パン生地の場合には、冷凍搬送に備えて低温に強い酵母を用いるが、このようなことも必要でなくなる利点がある。
【0015】
粉わさびを麺など非加熱穀粉半製品に添加・混合する方法としては、通常、必要量の粉わさびを少量の水で溶き、これに所定量の水を加えて充分に混合したのち、小麦粉やそば粉などの粉体原料、或いはこれに卵や山芋などの副原料を混ぜたものに加えて攪拌混合するものである。或いは、所定量の粉わさびを少量の粉体主原料に混ぜ、次第に粉体主原料を増やして出来るだけ均一に混合するようにしてもよい。製粉工場などでは、少量割合の粉体でも効率よく混合する装置があるので、所定割合の粉わさびを、一気にそば粉や小麦粉に混合することもできる。
【0016】
もっとも、わさびに関しては前述したように、その殺菌・制菌成分であるイソチオシアン酸アリルガスを利用した技術が公知である。このイソチオシアン酸アリル(アリルイソチオシアネート)は、わさびや芥子(ヨーロッパ種の黒芥子)に多く含まれる配糖体成分のシニグリンが、細胞内に存在するミロシナーゼという酵素の作用によって加水分解されて生成するもので抗菌作用を有するものとして知られている。しかし、これは揮発性の高い物質であり、袋の中に充満しても、麺体内部へ浸透して防腐作用をするほど強力ではない。その証拠に本発明者がガスを活性炭に担支させたものを使用しても余り効果がなかったことにより明白である。
【0017】
これに対し本発明では、麺などの非加熱穀粉半製品自体に粉わさびを練り混むので、麺体内部での静菌や殺菌作用・防腐作用が確実に担保される。また、麺体から揮発したイソチオシアン酸アリルガスが袋内雰囲気中の雑菌を静菌・殺菌する。ここに、粉わさびとは一般に市販されているもので、山葵大根の乾燥粉末のことを言う。薄緑色の色素で着色したものもあるが、無着色のものも同様に用いられらる。ウドン麺の場合は、無着色のものの方が好ましい。この粉わさびはソバ粉の数倍程度の価格で入手でき、コスト的にも従来使用されている酸やアルコールなどと殆ど変わらないものである。粉わさびの代わりに、本山葵をすりおろして使用することもできるが、コスト的にひきあわない。尚、イソチオシアン酸アリルガスを麺素材中に混練することも考えられるが、ガスが高価であるしガスの混練は機構的に無理がある。
【0018】
尚、前述のようにイソチオシアン酸アリルは、わさび以外にも芥子(特に黒芥子)にも多く含まれている。従って、黒芥子の粉末でも同様に効果がある。但し、現在上市されている芥子粉は、黒芥子粉と白芥子粉を混合したものであるが、白芥子の辛味成分の母体はシナルビンという配糖体であり、黒芥子よりも辛味が幾分弱い。一方、本発明で使用する粉わさびは、わさび大根(西洋わさび)を粉末にしたもので本山葵とは直接の縁はないが、水で練るとイソチオシアン酸アリルを生じ、安価で取扱い易いため家庭や寿司業界で広く用いられているものである。
【0019】
ただ本発明者は、粉わさびの辛味成分が麺などの食味を悪くすることを心配した。しかし、茹でる(加熱)ことによって辛味成分やイソチオシアン酸アリルが分解するためか、茹でたあとではわさび味は全く感じられなかった。また、経時変化により辛味成分が変質・変色することも無い。尚、粉わさびの添加量は、小麦粉やそば粉などの粉体原料に対し、手打ちか機械打ちかにより、また季節やソバ粉等の量、加水量等を勘案して、0.05〜3重量%程度とする。少なすぎると効果がなく、多すぎるとコスト高になる。より好ましくは0.1〜1重量%である。ウドン麺の場合は、ソバ麺の約半分で充分な抗菌効果を発揮する。餃子や春巻きの皮の場合も、調理時に加熱(焼く、油で揚げる)するので、同様にわさびの味や辛さは全く感じられなかった。
【0020】
この殺菌・静菌成分であるイソチオシアン酸アリルガスは、極めて揮発性に富む。従って、保存効果を長らく持たすためには、生麺をガスバリヤー性に優れた包装材料、例えばポリプロピレンやポリエチレンフイルムとナイロンフイルムをラミネートした積層フイルムなどで包装することが好ましい。
【0021】
粉わさびを麺に添加・混合する方法としては、前記のように水に溶いて加えるなど製麺に際して添加・混合する以外に、小麦粉やソバ粉のメーカーが粉わさびを予め添加して均一に混合した製品を使用することもできる。この場合、ウドン麺や餃子・春巻きの皮など穀粉として小麦粉のみを使用する場合には、穀粉に対して0.05〜3重量%程度の粉わさびを添加する。より好ましくは0.1〜1重量%である。
【0022】
ソバ麺のように粉体原料として小麦粉、ソバ粉の2種類を混合して使用する場合、或いはウドン麺や餃子の皮などでも、複数種類の小麦粉を混合して使用する場合など、粉体原料として2種類以上を混合して使用する場合において、その内の何れか1種類例えばある特定種の小麦粉のみに、粉わさびを添加混合しておくことも考えられる。その場合の添加割合は、粉体原料の使用割合に応じて重量比で0.1〜10%程度のものを添加・混合する。より好ましくは、0.2〜5%である。尚、1種類の粉体原料の単独使用の場合でも、粉わさびを多量に混合しておき、粉わさび無混合の粉体で希釈して用いるようにしてもよい。
【0023】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。
(実施例 1)
副原料は何も用いず、ソバ粉2とつなぎとしての小麦粉1の割合のものに対して、重量比で0.6%の粉わさびを水に溶いたものを加え、十分に捏ねた後、機械打ちで製麺した。このソバ粉と小麦粉の割合は、標準的な手打ちのものであるが、ソバ粉が多いため品質低下が早いものである。また、加水量は手打ちと機械打ちの中間の33%とした。次いで製麺後、200gずつポリエチレン−ナイロン積層フイルム製の袋に収納し、更に脱酸素剤を封入して密封した。
【0024】
この袋詰めのソバ麺は、1月経っても品質の低下が見られず、茹でてみても、ブツブツ細切れになったり、味の低下は全く無かった。普通、ソバ麺の場合は多少品質が悪くなっても食べられるが、茹でると3〜4cm位に細切れになるので、品質の低下は直ぐに分かるものである。このように、本発明のソバ麺の品質低下や腐敗が長期間抑えられたのは、わさびの辛味成分であるイソチオシアン酸アリルガスが、袋中に充満して雑菌の繁殖を抑えるとともに、麺中のイソチオシアン酸アリルが麺中に存在する雑菌を静菌・殺菌したものによると思われる。尚、このソバ麺を茹でた場合、わさびの辛味と匂いは全く感じられなかった。
【0025】
(比較例 1)
粉わさびを添加せずに、実施例1と同様にして製麺したソバ麺を、実施例1と同じ袋に収納して密封したものは1日で膨れだし、2日後にはバルーンのようにパンパンに膨れてきた。そして、このソバ麺を茹でてみると、3〜4cm位に細切れになった。また、幾分食味も低下していた。
【0026】
(比較例 2)
比較例1と同様にして製麺したソバ麺200gを、イソチオシアン酸アリルガスを活性炭に担支させた小袋入り(1袋2g)の殺菌剤1袋及び脱酸素剤1袋とともに、実施例1と同じ袋に収納して密封した。その結果、比較例1のものよりは保存状態は良かったが、やはり2日後から膨れ始め、4日後には比較例1と同様にパンパンに膨れ上がった。
【0027】
(実施例 2)
小麦粉に、食塩、及び小麦粉に対して0.3重量%の粉わさびを溶かした水(加水量35%)を加えて混合し、充分に捏ねる。この捏ねたものを1晩ねかせた後、機械打ちで製麺した。次いで製麺後、200gずつポリエチレン−ナイロン積層フイルム製の袋に収納し、更に脱酸素剤を封入して密封した。
【0028】
その結果、ねかせ中の黄変は全く見られず、しかも、製麺から1カ月(4月20日〜5月20日)経過しても袋の膨れは全く見られなかった。この期間は年間の平均気温に当たるので、寒冷時や高温多湿時には、粉わさびの添加量を増減するとよい。しかも、麺の含水量が多いために、袋内での保存期間中にもグルテンの搦みがかなり進行し、茹でた場合に歯ごたえのあるものとなった。
【0029】
(比較例 3)
実施例2と同じで、粉わさびのみを除いたもので製麺し、同様に袋に密封収納した。その結果、5日経過後から袋が膨らみ始め、7〜8日経過後にはに膨れあがった。その麺を取り出して茹でてみると、腐敗臭がしていた。このように同じ無処理(粉わさびむ添加)でも、ウドンの生麺がソバの生麺よりも日持ちが良いのは、小麦粉がソバ粉に比べて雑菌が少ないうえ、添加する食塩の防腐効果によるものと思われる。
【0030】
(実施例 3)
小麦粉に、小麦粉に対して0.3重量%の粉わさびを溶かした水(加水量25%)を加えて混合し、充分に混練し、ローラーで薄帯状に成形する。続いて、直径5cm程度に型打ちして餃子の皮を得た。これを100gずつポリエチレン−ナイロン積層フイルム製の袋に収納し、更に脱酸素剤を封入して密封した。その結果、室温で1カ月放置しておいても、袋の膨れは全く見られなかった。
【0031】
(実施例 4)
予め、粉わさびを1%混合して1カ月経過したソバ粉2に対し、つなぎとして普通の小麦粉1の割合で使用し、加水量33%で十分に捏ねた後、機械打ちで製麺した。このソバ粉と小麦粉の割合は、実施例1と同じく標準的な手打ちのものである。次いで製麺後、200gずつポリエチレン−ナイロン積層フイルム製の袋に収納し、更に脱酸素剤を封入して密封した。その結果、実施例1の場合と同じく、1カ月経っても品質の低下は見られなかった。
【0032】
(実施例 5)
実施例1において、粉わさびの代わりに芥子粉末を用いて生のソバ麺を製麺してみた。即ち、副原料は何も用いず、ソバ粉3とつなぎとしての小麦粉1の割合のものに対して、重量比で1.1%の粉芥子(黒芥子粉と白芥子粉の混合物)を水に溶いたものを加え、十分に捏ねた後、機械打ちで製麺した。加水量は、43%とした。このソバ麺は、実施例1のものよりも更にソバ粉の割合が多く、品質低下はより早くなるはずである。
【0033】
しかし、結果は実施例1と同じく、1月経っても品質の低下が見られず、茹でてみても、ブツブツ細切れになったり味の低下は全く無かった。ただ、湯で上げた麺を5人で試食した結果、2人が芥子の辛味を幾分感じる結果となった。粉芥子の割合を減らすとか、餃子の皮に使用するなどの工夫をすれば、粉芥子も十分にその目的を達するものと思われる。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は麺類の品質保持剤として、小麦粉やソバ粉に粉わさび或いは粉芥子を添加混合して使用するものである。従って、
(1) 手打ちソバの場合は、前述の通り加水量が多く、またソバ粉の多いソバ麺ほど品質低下が早いが、粉わさびや粉がらしを入れることにより長期間の品質保持が可能になる。しかも、調理に際して茹でることにより、辛味成分の主成分たるイソチオシアン酸アリルが皆無に近いほど消え、手打ち本来の良いところばかりが残る画期的な効果が見られた。
(2) 手打ち又はそれに近い多加水のウドン麺やソバ麺や、ソバ粉の多いソバ麺でも品質低下が全く無いので、品質の良い麺が一か所で大量に集中製造でき、コスト低減が図れるとともに多店舗化が容易に行われ、事業の拡大が図れる。
(3) 消費者は好むが品質低下が早いソバ粉の多いソバ麺、水分の多い手打ち又は手打ちに近いソバ麺も、安全に流通させることができる。
(4) 味や健康を損なうような面倒なものは一切添加せず、粉わさび或いは粉がらしだけの添加で品質の保持ができることは、製麺上極めて簡単であり、健康にも良い。
(5) ソバとは異なり、ウドン類を作る際に、捏ねた後長時間或いは1晩くらいねかせる工程の間に、細菌の繁殖による品質の低下による黄色味を帯びてきたりする。粉わさびなどの添加により、細菌の繁殖を抑えながら長時間の養生ができ、グルテンの絡みが大変良くなり、一層腰(弾力)の強い麺となる。このことは、機械打ちのウドン麺の場合も同じである。
(6) ウドン麺の場合、長期間雑菌の繁殖が見られないことは勿論のこと、製麺したままで水分を減じない多加水麺の状態で袋に収納しておくことによりねかせの状態が続き、グルテンの絡みが増えることはあっても減少することは無く、腰の強さが続く利点がある。
(7) 乾麺、特に乾燥ソバ麺の場合、ソバ粉の割合が多いと乾燥初期の水分が多い時期に、雑菌の繁殖により麺線が切れて落麺が発生する。そのため、歩留りを考えてソバ粉の混入割合を控えめにする傾向にある。しかし本発明では、粉わさび等の静菌効果により乾燥時の落麺が防止されるので、ソバ粉の含量が多い食味に優れた乾燥ソバを得ることができる。
(8) 本発明方法は、ウドン麺やソバ麺にかぎらず、餃子の皮やパン生地などの非加熱穀粉半製品の場合にも広く応用でき、従来の防腐剤や冷凍設備の使用が省かれ、品質向上と低コスト化が可能になる。
(9) また、本発明の非加熱穀粉半製品用穀粉は、工場での大量生産が可能であり、製麺工場等では面倒な粉わさびの混合作業が不要になる利点がある。

Claims (4)

  1. うどん、そば、ラーメンなどのめん類や、春巻きや餃子の皮など、水を加えて成形した非加熱穀粉半製品を生の状態で出荷するものにおいて、小麦粉やそば粉などの穀粉原料に粉わさびを0. 1〜1重量%添加・混合し、水その他必要な添加物を加えて練捏した後に成形するとともに、ガスバリヤー性に優れた包装材料で包装することを特徴とする、保存性に優れた生非加熱穀粉半製品の製造方法。
  2. 生非加熱穀粉半製品は、50%以上100%未満のそば粉につなぎとして小麦粉を混合した穀粉原料に、重量比で0. 1〜1%の粉わさびと、加水量が40〜55%となるような量の水を加えて手打ちした生そばめんである、請求項1記載の保存性に優れた生非加熱穀粉半製品の製造方法。
  3. 生非加熱穀粉半製品は、30〜67%のそば粉につなぎとして33〜70%の小麦粉を混合した穀粉原料に、重量比で0. 1〜1%の粉わさびと、加水量が25〜33%となるような量の水を加えて機械打ちした生そばめんである、請求項1記載の保存性に優れた生非加熱穀粉半製品の製造方法。
  4. 粉わさびは、穀粉原料に直接添加・混合するか、或いは水に溶かした状態で添加・混合するものである、請求項1、請求項2又は請求項3記載の保存性に優れた生非加熱穀粉半製品の製造方法。
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