JP4170750B2 - スライドレール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロアレールと、該ロアレールの内部に配置された転動体と、該転動体に当接し、前記ロアレールにその長手方向に移動可能に係合したアッパレールとからなるスライドレールに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、図6に示すように、車両にあっては、スライドレール1を用いて、シート3を前後方向に移動可能とするようにしたものがある。
【0003】
このスライドレール1の断面形状としては、図7に示すものがある。図において、スライドレール1は、フロア側に取り付けられるロアレール5と、ロアレール5の長手方向に移動可能係合し、シート3側に取り付けられるアッパレール7とからなっている。
【0004】
ロアレール5は、水平に配置された底板部51、底板部51におけるロアレール5の横幅方向の両端から立ち上がった一対の起立部52a、起立部52bと、起立部52a、起立部52bの上端からロアレール5の中央に向けて水平に延びた一対のつば部53a、つば部53bと、つば部53a、つば部53bの先端から下方に延びた一対の垂下部54a、垂下部54bとからなっている。
【0005】
アッパレール7は、ロアレール5のつば部53aと、つば部53bよりも上方の位置に水平に配置され、ロアレール5の垂下部54a、垂下部54bの間隔よりも横幅が短い上板部71と、上板部71におけるアッパレール7の横幅方向の両端から、ロアレール5の垂下部54a、垂下部54b間の空間内に垂下部54a、垂下部54bと平行に立ち下がった一対の側板部72a、側板部72bと、側板部72a、側板部72bの下端からアッパレール7の横幅方向に広がるように斜め下方に延出した一対の拡幅下降傾斜部73a、拡幅下降傾斜部73bと、拡幅下降傾斜部73a、拡幅下降傾斜部73bの下端からアッパレール7の横幅方向に広がるように斜め上方に延出した一対の拡幅上昇傾斜部74a、拡幅上昇傾斜部74bと、拡幅上昇傾斜部74a、拡幅上昇傾斜部74bの上端からアッパレール7の中央に近づくように斜め上方に延出した一対の縮幅上昇傾斜部75a、縮幅上昇傾斜部75bとからなっている。
【0006】
ロアレール5の起立部52a、起立部52b内側における上下の角部空間には、転動体として、ボール61a、ボール61b、ボール62a、ボール62bが配置されている。
【0007】
そして、上側角部空間のボール61a、ボール61bにアッパレール7の縮幅上昇傾斜部75a、縮幅上昇傾斜部75bの外側面を当接させ、下側角部空間のボール62a、ボール62bにアッパレール7の拡幅上昇傾斜部74a、拡幅上昇傾斜部74bの外側面を当接させている(例えば、特許文献1参照。)。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−334848号公報(第3頁、第4頁、図1)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記構成のスライドレール1において、ロアレール5のフロア側への取付精度、アッパレール7のシート3側への取付精度のバラツキにより、ロアレール5とアッパレール7との間にねじれが生じ、例えば、アッパレール7に矢印I方向にモーメントが発生した場合、アッパレール7はボール61bを中心として回転し、ボール61aに当接するアッパレール7の縮幅上昇傾斜部75aが矢印II方向に弾性変形する。
【0010】
この縮幅上昇傾斜部75aの弾性反発力により、ボール61aが押され、ロアレール5とアッパレール7との摺動抵抗が増加し、スムーズなアッパレール7の移動が得られない問題点がある。
【0011】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、その課題は、摺動抵抗が小さなスライドレールを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する請求項1記載の発明は、ロアレールと、該ロアレールの内部に配置された転動体と、該転動体に当接し、前記ロアレールにその長手方向に移動可能に係合したアッパレールとからなるスライドレールにおいて、前記ロアレールは、略水平に配置された底板部と、該底板部における前記ロアレールの横幅方向の一方の端から略垂直に立ち上がった第1起立部と、該第1起立部の上端から前記ロアレールの横幅方向の中央に向けて略水平に延びたつば部と、前記底板部における前記ロアレールの横幅方向の他方の端から前記ロアレールの横幅方向に広がる方向に斜め上方に立ち上がり、上端が前記第1起立部の上端より低い位置まで延出する第1拡幅上昇傾斜部、該第1拡幅傾斜部の上端から前記ロアレールの横幅方向に狭まる方向に斜め上方に立ち上がる第1縮幅上昇傾斜部からなる第2起立部とを有し、前記転動体は、前記底板部の内面、前記第1起立部の内面で形成される角部に配置された第1転動体と、前記第1起立部の内面、前記つば部の内面で形成される角部に配置された第2転動体と、前記第2起立部の拡幅上昇傾斜部の内面、縮幅上昇傾斜部の内面で形成される角部に配置される第3転動体とからなり、前記アッパレールは、前記ロアレールの内部で、アッパレールの横幅方向に広がる方向に斜め上方に立ち上がり、前記第1転動体に当接する第2拡幅上昇傾斜部と、該第2拡幅上昇傾斜部の上端から前記アッパレールの横幅方向に狭まる方向に斜め上方に立ち上がり、前記第2転動体に当接する第2縮幅傾斜部と、前記ロアレールの内部で、アッパレールの横幅方向に狭まる方向に斜め上方に立ち上がり、前記第3転動体に当接する第3縮幅上昇傾斜部と、該第3縮幅上昇傾斜部の上端から前記アッパレールの横幅方向に広がる方向に斜め上方に立ち上がり、前記第3転動体に当接する第3拡幅傾斜部とを有することを特徴とするスライドレールである。
【0013】
第3転動体は第2起立部の拡幅上昇傾斜部の内面、縮幅上昇傾斜部の内面で形成される角部に配置される。
【0014】
一方、第2起立部の拡幅上昇傾斜部の上端は、第1起立部の上端より低い位置まで延出していることにより、第3転動体は、高さ方向において、第1転動体と、第2転動体との間に位置している(図1参照)。
【0015】
第3転動体を中心にアッパレールが回転しようとする際に、第2縮幅上昇傾斜部と第2転動体との当たり角(アッパレールの第2縮幅上昇傾斜部の第2転動体303との接点から第3転動体の中心を結んだ線分の垂線と、第2縮幅上昇傾斜部とのなす角δ)が、従来例を示す図7における当たり角(γ)より小さくなる。従って、第2縮幅上昇傾斜部の第2転動体を押す力(弾性反発力)が、従来より小さくなり、摺動抵抗が小さくなる。
【0016】
また、転動体の数が3つですむので、コストダウンが図れる。
【0017】
更に、アッパレールが上方に持ち上がる力が作用した場合は、その力はアッパレールの第2縮幅上昇傾斜部→第2転動体→ロアレールの第1起立部、ロアレールのつば部、及び、アッパレールの第3縮幅上昇傾斜部→第3転動体ロアレールの第2起立部の第1縮幅上昇傾斜部、の順で伝達される。
【0018】
一方、アッパレールが下方に押し下げる力が作用した場合は、その力はアッパレールの第2拡幅上昇傾斜部→第1転動体→ロアレールの底板部、ロアレールの第1起立部、及びアッパレールの第3拡幅上昇傾斜部→第3転動体→ロアレールの第2起立部の第1拡幅上昇傾斜部、の順で伝達される。第1転動体とアッパレールの第2拡幅傾斜部とのなす角、第2転動体とアッパレールの縮幅上昇傾斜部とのなす角、第3転動体とアッパレールの第3縮幅上昇傾斜部とのなす角、第3転動体と第3拡幅上昇傾斜部とのなす角を設定することで、摺動抵抗が少なく、しかも、アッパレールに上方向または下方向の力が作用してもアッパレールが変形してアッパレールがロアレールより離脱することがない。
【0019】
尚、転動体としては球状のボール、円柱状のローラがあるが限定するものではない。
【0020】
更に、前記各傾斜部は、転動体がボールの場合は点接触、ローラの場合は線接触するような面であれば、平面以外の面、例えば、円周面等であっても良い。
【0021】
【発明の実施の形態】
次に図面を用いて本発明の実施の形態例を説明する。図1は本発明の実施の形態例のスライドレールの断面形状を示す図である。
【0022】
図において、スライドレール100は、フロア側に取り付けられるロアレール101と、ロアレール101の長手方向に移動可能係合し、シート側に取り付けられるアッパレール201とからなっている。
【0023】
ロアレール101は、略水平に配置された底板部103と、底板部103におけるロアレール101の横幅方向の一方の端から略垂直に立ち上がった第1起立部105と、第1起立部105の上端からロアレール101の横幅方向の中央に向けて略水平に延びたつば部107と、つば部107の先端から下方に延びた第1垂下部109と、底板部103におけるロアレール101の横幅方向の他方の端からロアレール101の横幅方向に広がる方向に斜め上方に立ち上がり、上端が第1起立部105の上端より低い位置、本実施の形態例では、第1起立部105の高さ方向で略中間の位置まで延出する第1拡幅上昇傾斜部111、第1拡幅上昇傾斜部111の上端からロアレール101の横幅方向に狭まる方向に斜め上方に立ち上がる第1縮幅上昇傾斜部113からなる第2起立部115と、第2起立部115の先端より下方に延びる逆J字形の第2垂下部117とからなっている。
【0024】
そして、ロアレール101の底板部103の内面、第1起立部105の内面で形成される角部には転動体としての第1ボール301が、第1起立部105の内面、つば部107の内面で形成される角部には転動体としての第2ボール303が、第2起立部115の第1拡幅上昇傾斜部111の内面、第1縮幅上昇傾斜部113の内面で形成される角部には転動体としての第3ボール305がそれぞれ配置されている。
【0025】
アッパレール201は、ロアレール101のつば部107、第2垂下部117の上部よりも上方の位置に水平に配置され、ロアレール101の第1垂下部109、第2垂下部117間の間隔よりも横幅が短い上板部203と、上板部203におけるアッパレール201の横幅方向の両端から、ロアレール101の第1垂下部109、第2垂下部117間の空間内に第1垂下部109、第2垂下部117と平行に立ち下がった一対の側板部205、側板部207と、側板部205の下端からアッパレール201の横幅方向に広がるように斜め上方に延出し、第1ボール301に当接する第2拡幅上昇傾斜部209と、第2拡幅上昇傾斜部209の上端からアッパレール201の横幅方向に狭まる方向に斜め上方に立ち上がり、第2ボール303に当接する第2縮幅上昇傾斜部211と、側板部207の下端からアッパレール201の横幅方向に狭まる方向に斜め上方に立ち上がり、第3ボール305に当接する第3縮幅上昇傾斜部213と、第3縮幅上昇傾斜部213の上端からアッパレール201の横幅方向に広がる方向に斜め上方に立ち上がり、第3ボール305に当接する第3拡幅上昇傾斜部215とからなっている。
【0026】
次に、図2〜図4を用いて、本実施の形態例の効果を説明する。図2、図3は図1に示すスライドレールのボールと傾斜部との関係を説明する図、図4は従来例である図7に示すスライドレールのボールと傾斜部との関係を説明する図である。
【0027】
従来例である図4に示すように、アッパレール7の上下方向の力を受けるために、ボール61a、ボール61bと縮幅上昇傾斜部75a、縮幅上昇傾斜部75bとのなす角がα、ボール62a、ボール62bと縮幅上昇傾斜部74a、縮幅上昇傾斜部74bとのなす角がβとなっている。
【0028】
本実施の形態例でも、図2に示すように、第2ボール303と第2縮幅上昇傾斜部211とのなす角がα、第1ボール301と第2拡幅上昇傾斜部209とのなす角がβとなっている。
【0029】
ここで、ロアレールのフロア側への取付精度、アッパレールのシート側への取付精度のバラツキにより、ロアレールとアッパレールとの間にねじれが生じ、図2、図4のアッパレールに矢印I方向にモーメントが発生した場合を考える。
【0030】
図4においては、アッパレールはボール61bを中心として回転し、ボール61aとアッパレール7の縮幅上昇傾斜部75aとの当たり角はγとなる。
【0031】
一方、本実施の形態例である図2においては、アッパレール201は第3ボール305を中心に回転し、第2ボール303とアッパレール201の第2縮幅上昇傾斜部211との当たり角はδとなる。
【0032】
ここで、高さ方向において、第3ボール305は第2ボール303と第1ボール301との間に位置しているので、γ>δである。
【0033】
従って、第2縮幅上昇傾斜部211の第2ボール303を押す力(弾性反発力)が、従来より小さくなり、スライドレール100の摺動抵抗が小さくなる。
【0034】
次に、ロアレールのフロア側への取付精度、アッパレールのシート側への取付精度のバラツキにより、ロアレールとアッパレールとの間にねじれが生じ、図3のアッパレールに矢印III方向にモーメントが発生した場合を考える。
【0035】
従来例では、左右対称な形状であるので、ボール61bと縮幅上昇傾斜部75bとの当たり角はγである。
【0036】
一方、本実施の形態例のスライドレールでは、図3に示す第3ボール305と第3縮幅上昇傾斜部213との当たり角はδ′となる。
【0037】
ここで、γ>δ′となるように、又、アッパレール201の上下方向の力を十分受けられるように、第3ボール305と第3拡幅上昇傾斜部215とのなす角α′、第3ボール305と第3縮幅上昇傾斜部213とのなす角β′を設定することで、第3縮幅上昇傾斜部213の第3ボール305を押す力が、従来より小さくなり、スライドレール100の摺動抵抗が小さくなる。
【0038】
尚、角度α′、角度β′を小さくしすぎるとアッパレール201とロアレール101との摺動抵抗が増加し、角度α′、角度β′を大きくしすぎるとアッパレールに作用する上方向の力、下方向の力を充分受けられなくなる。
【0039】
また、ボールの数が3つですむので、コストダウンが図れる。
【0040】
尚、本発明は、上記実施の形態例に限定するものではない。上記実施の形態例では、転動体としてボールを用いた例で説明を行ったが、図5に示すような断面形状のスライドレールであってもよい。尚、図5において、図1と同一部分には、同一符号を付し、重複する説明は省略する。この図において、底辺部103と第1起立部105との角部に傾斜部403を形成し、第1ボール301の代わりにローラ401を用いている。
【0041】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、第3転動体は第2起立部の拡幅上昇傾斜部の内面、縮幅上昇傾斜部の内面で形成される角部に配置される。
【0042】
一方、第2起立部の拡幅上昇傾斜部の上端は、第1起立部の上端より低い位置まで延出していることにより、第3転動体は、高さ方向において、第1転動体と、第2転動体との間に位置している。
【0043】
よって、第3転動体を中心にアッパレールが回転しようとする際に、第2縮幅上昇傾斜部と第2転動体との当たり角が、小さくなる。従って、第2縮幅上昇傾斜部の第2転動体を押す力(弾性反発力)が、小さくなり、摺動抵抗が小さくなる。
【0044】
また、転動体の数が3つですむので、コストダウンが図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態例のスライドレールの断面形状を示す図である。
【図2】図1に示すスライドレールのボールと傾斜部との関係を説明する図である。
【図3】図1に示すスライドレールのボールと傾斜部との関係を説明する図である。
【図4】従来例である図7に示すスライドレールのボールと傾斜部との関係を説明する図である。
【図5】他の実施の形態例のスライドレールの断面図である。
【図6】スライドレールの説明図である。
【図7】図6のスライドレールの断面形状を示す図である。
【符号の説明】
100 スライドレール
101 ロアレール
201 アッパレール
211 第2縮幅上昇傾斜部
301、303、305 ボール
Claims (1)
- ロアレールと、該ロアレールの内部に配置された転動体と、該転動体に当接し、前記ロアレールにその長手方向に移動可能に係合したアッパレールとからなるスライドレールにおいて、
前記ロアレールは、略水平に配置された底板部と、
該底板部における前記ロアレールの横幅方向の一方の端から略垂直に立ち上がった第1起立部と、
該第1起立部の上端から前記ロアレールの横幅方向の中央に向けて略水平に延びたつば部と、
前記底板部における前記ロアレールの横幅方向の他方の端から前記ロアレールの横幅方向に広がる方向に斜め上方に立ち上がり、上端が前記第1起立部の上端より低い位置まで延出する第1拡幅上昇傾斜部、該第1拡幅傾斜部の上端から前記ロアレールの横幅方向に狭まる方向に斜め上方に立ち上がる第1縮幅上昇傾斜部からなる第2起立部とを有し、
前記転動体は、
前記底板部の内面、前記第1起立部の内面で形成される角部に配置された第1転動体と、
前記第1起立部の内面、前記つば部の内面で形成される角部に配置された第2転動体と、
前記第2起立部の拡幅上昇傾斜部の内面、縮幅上昇傾斜部の内面で形成される角部に配置される第3転動体とからなり、
前記アッパレールは、前記ロアレールの内部で、アッパレールの横幅方向に広がる方向に斜め上方に立ち上がり、前記第1転動体に当接する第2拡幅上昇傾斜部と、
該第2拡幅上昇傾斜部の上端から前記アッパレールの横幅方向に狭まる方向に斜め上方に立ち上がり、前記第2転動体に当接する第2縮幅傾斜部と、
前記ロアレールの内部で、アッパレールの横幅方向に狭まる方向に斜め上方に立ち上がり、前記第3転動体に当接する第3縮幅上昇傾斜部と、
該第3縮幅上昇傾斜部の上端から前記アッパレールの横幅方向に広がる方向に斜め上方に立ち上がり、前記第3転動体に当接する第3拡幅傾斜部とを有することを特徴とするスライドレール。
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