JP4170390B2 - 受容体キメラによる細胞性免疫の再指示 - Google Patents

受容体キメラによる細胞性免疫の再指示 Download PDF

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Description

発明の分野
本発明は、免疫系の機能を再指示することが可能な機能的なT細胞受容体キメラ、Fc受容体キメラ、またはB細胞受容体キメラに関する。より詳細には、キメラによって認識される標的に細胞を反応させるキメラを該細胞中で発現させることによって、リンパ球、マクロファージ、ナチュラルキラー細胞、または顆粒球を制御することに関する。本発明はまた、特定の感染体に感染した細胞、感染体そのもの、腫瘍細胞、または自己免疫産生細胞のいずれかを特異的に認識および破壊するように、治療用細胞を指示することができる機能的なT細胞受容体キメラ、Fc受容体キメラ、またはB細胞受容体キメラにも関する。より詳細には、本発明は、HIVエンベロープ蛋白質を発現する細胞を特異的に認識および溶解するように細胞障害性Tリンパ球を指示することができるT細胞受容体キメラ、Fc受容体キメラ、またはB細胞受容体キメラの産生に関する。したがって、本発明は、HIVウイルスによって引き起こされるAIDS(後天性免疫不全症候群)などの疾患の治療法を提供する。
発明の背景
T細胞受容体によるT細胞の抗原認識は、一定の範囲における免疫学的現象の基礎になっている。T細胞は、いわゆる細胞性免疫を担う。これには免疫系細胞による外来組織又は感染細胞の破壊が含まれる。免疫応答を調節する「ヘルパー」細胞および「サプレッサー」細胞、および異常な細胞を直接破壊することができる細胞傷害性(または「キラー」)細胞などの多様なT細胞が存在する。
T細胞は、他の細胞の表面上に提示された固有の抗原を認識して結合すると活性化され、増殖できるようになる。そして、それが細胞傷害性細胞であれば、結合した細胞を破壊できるようになる。
自己免疫疾患は、宿主組織と反応する抗体または自己反応性の免疫エフェクターT細胞のいずれかの産生を特徴とする。いくつかの例では、異物または体組織における類似化合物と交叉反応する抗原を含む有機体によって活性化された正常なT細胞またはB細胞反応によって、自己抗体を生成しうる。臨床に関連した自己抗体の例は、重症筋無力症におけるアセチルコリン受容体に対する抗体;ならびに全身性エリテマトーデスにおける抗DNA抗体、抗赤血球抗体、および抗血小板抗体である。
HIVおよび免疫病理
1984年に、HIVがAIDSの病原体であることが明らかになった。それ以来、AIDSの診断基準に関する定義は何度も修正されている。しかし、診断学上のパラメーターの変動にも関わらず、AIDSの簡単な共通の特徴は、HIV感染、ならびにそれに続く持続性の全身症状、および、二次感染、腫瘍形成、神経性疾患などのAIDS特有症状の発生である。ハリソンの内科学原理(Harrison’s Principles of Internal Medicine)、第12版、マグロウヒル社(1991)。
HIVは、レンチウイルスグループに属するヒトレトロウイルスである。確認されている4種のヒトレトロウイルスは、2つの別々のグループに属している。すなわち、ヒトTリンパ栄養性(白血病)レトロウイルスのHTLV-1およびHTLV-2、ならびにヒト免疫不全ウイルスのHIV-1およびHIV-2である。前者のウイルスは形質転換ウイルスであり、一方後者は細胞傷害性ウイルスである。
HIV-1は、世界中で、AIDSのもっとも普通の原因であることが同定されている。HIV-1とHIV-2との配列の相同性は約40%で、HIV-2の方がサル免疫不全ウイルス(SIV)グループのいくつかのメンバーに密接に関連している(カラン(Curran)ら、Science, 329: 1357〜1359(1985)、およびウェイス(Weiss)ら、Nature, 324: 572〜575(1986)参照)。
HIVは、通常のレトロウイルスの遺伝子(env、gagおよびpol)、ならびにウイルスの複製その他の生物学的活性に関連した6個の特別の遺伝子を有する。先に述べたように、AIDSに共通の特徴は、主に細胞性免疫を、強度に免疫抑制することである。この免疫抑制により、特にある種の感染症または腫瘍形成などのさまざまな日和見疾患が引き起こされる。
AIDSにおける免疫不全の主要原因は、胸腺由来(T)リンパ球サブセットであるT4集団の、質的かつ量的な欠損であることが同定されている。この細胞サブセットは、HIVに対する細胞受容体であることが明らかになっているCD4表面分子の存在によって、表現形質的に定義される(ダルグレイッシュ(Dalgleish)ら、Nature 312:763(1984))。T4細胞が、HIV感染を受ける主な細胞型ではあるが、本質的には、CD4分子を細胞表面で発現するヒト細胞であれば、いかなる細胞もHIVによる結合を受け、感染する。
以前からCD4+T細胞にはヘルパー/インデューサーの役割があることが指摘されており、それは、B細胞へ活性化シグナルを供給する機能、または細胞傷害性/サプレッサー細胞になるための相互的なCD8マーカーを有するT型リンパ球を誘導する機能を意味する(レインヘルツ(Reinherz)およびシュロッスマン(Schlossman)、Cell 19:821〜827(1980);ゴールドスタイン(Goldstein)ら、Immunol. Rev. 68:5〜42(1982))。
HIVは、ウイルスエンベロープ(gp120)中のアミノ酸領域を通して、CD4分子のN末端近くに位置するV1領域の一部に、特異的にかつ高親和性で結合する。結合した後、ウイルスは、標的細胞膜と融合して、細胞内に入り込む。一旦入り込むと、ウイルスは、逆転写酵素を用いてそのゲノムRNAをDNAに転写して、細胞DNAに取り込ませ、「プロウイルス」として細胞が生きている間存在する。
プロウイルスは、潜伏したままか、mRNAおよびゲノムRNAを転写するために活性化されて、蛋白質合成、集合、新しいウイルス粒子形成、および細胞の表面からのウイルス出芽をもたらす。ウイルスが細胞死を誘導する正確なメカニズムは明らかになっていないが、ウイルスが大量に細胞表面から出芽するために、原形質膜が破壊されて、浸透圧が不均衡になることが主な機構と考えられている。
感染が起きている間、宿主生物は、主要エンベロープ糖蛋白質であるgp120およびgp41などのウイルス蛋白質に対する抗体を産生する。この体液性免疫が起きても、病気は進行して、致命的な免疫抑制をもたらす。この致命的な免疫抑制は、複数の日和見感染、寄生虫血症、痴呆、および死により特徴づけられる。宿主の抗ウイルス抗体が、病気の進行を阻止できないことが、この感染の最も深刻で憂慮すべき局面である。従って、従来の方法に基づくワクチン作成はほとんど期待できない。
二つの因子が、免疫不全ウイルスに対する体液性応答の効力に関与している。第一に、他のRNAウイルス同様(特にレトロウイルスと同様)、免疫不全ウイルスも、宿主の免疫監視機構に反応して高い突然変異率を示す。第二に、エンベロープ糖蛋白質そのものが、高親和性抗体が結合するのに適したいくつかのエピトープを提示する、多くの糖を付加された分子である。ウイルスエンベロープが提示する抗原性の低い標的は、特異的な抗体の産生によってウイルス感染を抑制するきっかけを与えない。
HIVウイルスが感染した細胞は、その表面にgp120糖蛋白質を発現する。gp120は、ウイルスが非感染細胞に入るときと同じ反応によって、CD4+細胞同士の融合を媒介して、短寿命の多核巨大細胞を形成させる。シンシチウム形成は、gp120エンベロープ糖蛋白質とCD4蛋白質との直接の相互作用に依存する(ダルグレイッシュ(Dalgleish)ら、前記;クラッツマン(Klatzman)ら、Nature 312:763(1984);マックダガル(McDougal)ら、Science 231: 382(1986);ソドゥロスキ(Sodroski)ら、Nature 322:470(1986);リフソン(Lifson)ら、Nature 323:725(1986);ソドゥロスキ(Sodroski)ら、Nature 321:412(1986))。
CD4-gp120結合が、CD4抗原を有する細胞へのウイルス感染に関与するという証拠の一つとして、gp120とCD4が特異的な複合体を形成することが発見された(マクダガル(McDougal)ら、上記)。別の研究者は、HIVが感染できない細胞系を、ヒトCD4 cDNA遺伝子で形質転換して、これを発現させると、感染細胞系に変わることを示した(マッドン(Maddon)ら、Cell 46:333〜348(1986))。
可溶性CD4を、ウイルスの吸着およびシンシチウム媒介性細胞伝達を阻害するための受動的薬剤として用いる治療計画が、提案され、インビトロでは成功することが、多くのグループによって示された(ディーン(Deen)ら、Nature 3321:82〜84(1988);フィッシャー(Fisher)ら、Nature 331:76〜78(1988);ハッシー(Hussey)ら、Nature 331:78〜81(1988);スミス(Smith)ら、Science 238:1704〜1707(1987);トゥラウネッカー(Traunecker)ら、Nature 331:84〜86(1988));そして、長い半減期と穏やかな生物活性をもったCD4イムノグロブリン融合蛋白質が続いて作製された(カポン(Capon)ら、Nature 337:525〜531(1989);トゥラウネッカー(Traunecker)ら、Nature 339, 68〜70(1989);ビルン(Byrn)ら、Nature 344:667〜670(1990);ツェトルマイスル(Zettlmeissl)ら、DNA Cell Biol. 9:347〜353(1990))。CD4イムノトキシン結合体または融合蛋白質は、インビボで感染細胞に対し強力な細胞毒性を示す(チャウダリー(Chaudhary)ら、Nature 335:369〜372(1988);ティル(Till)ら、Science 242:1166〜1168(1988))が、免疫不全症候群には潜伏性があるため、一回の投与による治療はウイルス負荷を除く上で有効とは考えられず、外来の融合蛋白質の抗原性によって反復投与が必要となる治療の受容度は制限されやすい。サルにSIVを感染させて調べたところ、可溶性CD4の動物への投与が、顕著なCD4性血球減少症を伴わない場合には、SIVの力価を減少させ、骨髄の能力の、インビトロでの測定値を向上させることができる(ワタナベ(Watanabe)ら、Nature 337:267〜270(1989))。しかし、治療を中断した後に、ウイルスが急速に再出現してくるのが観察されたため、免疫系の退化の進行を妨げるためには、生涯投与することが必要である可能性がある。
T細胞およびFcレセプター
最も多く存在する型のT細胞抗原レセプター(TCR)を細胞表面で発現させるには、少なくとも6種以上の別々のポリペプチド鎖の共発現が必要であり(ウェイス(Weiss)ら、J. Exp. Med. 160:1284〜1299(1984);オーロファシ(Orloffhashi)ら、Nature 316:606〜609(1985);バークハウト(Berkhout)ら、J. Biol. Chem. 263:8528〜8536(1988);サスマン(Sussman)ら、Cell 52:85〜95(1988))、それらはα/β抗原結合鎖、CD3複合体の3つのポリペプチド、およびζである。これらのポリペプチド鎖のいずれが欠けても、複合体の残りのメンバーは、安定的に発現することができない。ζは、完全な複合体の表面発現を制限するポリペプチドで(サスマン(Sussman)ら、Cell 52:85〜95(1988))、レセプターによるリガンド認識で始まる細胞活性化プログラムの、少なくとも一部を媒介すると考えられている(ウェイスマン(Weissman)ら、EMBO J.8:3651〜3656(1989);フランク(Frank)ら、Science 249:174〜177(1990))。32kDaのタイプI膜内蔵ホモ二量体、ζ(ゼータ)は、N-結合型糖付加部位を含まない9残基の細胞外ドメイン、および112残基(マウス)または113残基(ヒト)の細胞内ドメインを有する(ウェイスマン(Weissman)ら、Science 238:1018〜1020(1988);ウェイスマンら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:9709〜9713(1988))。ζのアイソフォームであるη(エータ)(バニヤッシュ(Baniyash)ら、J. Biol. Chem. 263:9874〜9878(1988);オルロフ(Orloff)ら、J. Biol. Chem. 264:14812〜14817(1989))は、選択的mRNAスプライシング経路によってでき(ジン(Jin)ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:3319〜3233(1990))、抗原レセプターを発現している細胞の中に少量存在する。ζ-ηヘテロ二量体は、イノシトールリン酸の形成を媒介し、アポトーシスと呼ばれる、レセプターによって開始されるプログラムされた細胞死を媒介すると考えられる(メルセプ(Mercep)ら、Science 242:571〜574(1988);メルセプら、Science 246:1162〜1165(1989))。
ζとηのように、Fcレセプター結合γ(ガンマ)鎖も、付加的なポリペプチドとともに細胞表面複合体として発現されるが、その一部はリガンド認識を媒介し、残りは未解明の機能を持っている。γは、ホモ二量体構造をもち、全体的な機構は、ζの機構によく似ており、また、肥満細胞/好塩基球の高親和性IgEレセプターでもある、少なくとも3つの異なったポリペプチド鎖からなるFcεRI(ブランク(Blank)ら、Nature 337:187〜189(1989);ラ(Ra)ら、Nature 241:752〜754(1989))の構成成分であり、IgGに対する低親和性レセプターの一つでもある、マウスでは、FCγRIIαに代表され(ラ(Ra)ら、J. Biol. Chem. 264:15323〜15327(1989))、ヒトでは、マクロファージおよびナチュラルキラー細胞によって発現されるCD16サブタイプであるCD16(登録商標)(CD16トランスメンブレン)(ラニヤー(Lanier)ら、Nature 342:803〜805(1989);アンダーソン(Anderson)ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2274〜2278(1990))と、機能が明らかでないポリペプチドに代表されるレセプターの構成成分でもある(アンダーソン(Anderson)ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2274〜2278(1990))。最近になって、γが、マウスのT細胞系であるCTLによって発現され、γ-ζおよびγ-ηヘテロ二量体だけでなくホモ二量体も形成することが報告されている(オルロフ(Orloff)ら、Nature 347:189〜191(1990))。
Fcレセプターは、免疫複合体の貧食作用、トランスサイトーシスおよび抗体依存的細胞傷害作用(ADCC)を媒介する(ラベッチ(Ravetch)およびキネット(Kinet), Annu. Rev. Immunol. 9:457〜492(1991);ウンケレス(Unkeless)ら、Annu. Rev. Immunol. 6:251〜281(1988);および、メルマン(Mellman), Curr. Opin. Immunol. 1:16〜25(1988))。最近になって、マウス低親和性FcレセプターのアイソフォームであるFcRγIIIB1の一つが、Igでコートされた標的を、クラスリンでコートされた窪みに取り込むのを媒介し、別の低親和性レセプターであるFcrγIIIAが、小ファミリー「トリガー分子」の1種以上のメンバーとの結合を通してADCCを媒介することが明らかにされた。(ミエッティネン(Miettinen)ら、Cell 58:317〜327(1989);ハンチカー(Hunziker)およびメルマン(Mellman), J. Cell Biol. 109:3291〜3302(1989))。T細胞レセプター(TCR)ζ鎖、TCRη鎖、およびFcレセプターγ鎖などのこれらのトリガー分子は、異なった免疫系のレセプターのリガンド認識ドメインと相互作用して、凝集後の細胞傷害までを含む細胞のエフェクタープログラムを自律的に開始する(サメルソン(Samelson)ら、Cell 43:223〜231(1985);ウェイスマン(Weissman)ら、Science 239:1018〜1020(1988);ジン(Jin)ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:3319〜3323(1990);ブランク(Blank)ら、Nature 337:187〜189(1989);ラニヤー(Lanier)ら、Nature 342:803〜805(1989);クロサキ(Kurosaki)およびラベッチ(Ravetch), Nature 342:805〜807(1989);ハイブス(Hibbs)ら、Science 246:1608〜1611(1989);アンダーソン(Anderson)ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2274〜2278(1990);アービング(Irving)およびウェイス(Weiss), Cell 64:891〜901(1991))。
ところが、マウスとヒトの低親和性Fcレセプターファミリーを比較したところ、ヒトのFcRγIIAとCアイソフォームに対応するものがマウスにはないことが明らかになった。これが理由の一つであるが、それらの機能は未だ明らかにされていない。
CD4のみに基づく体液性因子は、インビボでの有効性が限定されている可能性があるため、まずHIVに対する細胞性免疫が増加する可能性を調べた。CD4の細胞外ドメインを、T細胞レセプター、IgG Fcレセプター、またはB細胞レセプターなどのシグナル伝達因子の膜通過ドメインおよび/または細胞内ドメインに融合させた蛋白質キメラの調製物が同定されている(米国特許出願第07/847,566号および第07/665,961号、本明細書に参照として包含される)。細胞外CD4ドメインを含むキメラを発現している細胞傷害性T細胞は、HIVのエンベロープ蛋白質を発現している細胞性標的をMHC非依存的に強力に破壊することが分かった。この研究方法の極めて重要で新しい部分は、凝集するだけで細胞性応答を開始させることができる、単一のT細胞レセプター、FcレセプターおよびB細胞レセプターの鎖を同定してきたことである。
この方法を特に有用に応用したものの一つが、細胞傷害性T型リンパ球に、HIVのgp120を発現している細胞を認識し、それを破壊することを指示する、CD4とζ、η、またはγとの間のキメラの発明である(米国特許出願第07/847,566号および第07/665,961号、本明細書において参照として包含される)。
発明の概要
天然のT細胞、B細胞、およびFc受容体は、簡便な操作が加えにくい非常に複雑な多量体構造であるか、またはそのような構造をとることができるが、本発明により、標的認識という課題を果たすことのできるあらゆる多様な分子の細胞内ドメインとの間にキメラを作製する可能性が実証される。特に、適当に操作された抗体分子の細胞外部分に結合したT細胞/Fc受容体ゼータ、イータ、またはガンマ鎖の細胞内部分を含むキメラの形成により、免疫系細胞の標的認識能を、細胞外抗体部分によって認識される抗原に特異的に再指示することが可能である。このように、病原体表面上のいくつかの決定因子を認識することができる抗体部分によって、キメラを備えた免疫系細胞は、それらの系列に適したエフェクタープログラムで病原体の存在に反応する、例えばヘルパーTリンパ球は標的に対する細胞障害活性により反応し、Bリンパ球は活性化されて抗体を合成する。マクロファージおよび顆粒球は、サイトカインの放出、貧食、および反応性酸素産生を含むそのエフェクタープログラムを実行すると考えられる。同様に、腫瘍細胞を認識できる抗体部分によって、腫瘍に対する免疫系の反応は、有効に上昇すると思われる。自己決定因子との不適当な反応性を有する免疫細胞を認識できる抗体によって、自己反応性細胞は選択的に破壊の標的となりうる。
これらの例では、抗体キメラを便利な解釈ツールとして利用しているが、本発明は抗体キメラの範囲に限定されるものではなく、実際、特異的非抗体細胞外ドメインの利用も重要な利点となりうる。例えば、ウイルス、バクテリア、または寄生虫に対する受容体である細胞外部分を用いれば、キメラを備えた細胞は、ウイルス、バクテリア、または寄生虫の決定因子を発現する細胞を特異的に標的とすると考えられる。このアプローチが抗体の利用より優れている点は、病原体の本来の受容体はその病原体に対して極めて高い選択性または親和性を有する可能性があり、そのため得られた免疫反応の精度がより大きくなる点である。同様に、自己抗原と不適当に反応する免疫系細胞を削除するためには、抗原(B細胞涸渇療法の場合では完全な蛋白質として、またはT細胞涸渇療法の場合ではMHC複合体として)を細胞内ゼータ、イータ、またはガンマ鎖と結合させれば十分で、これによって自己決定因子に対して不適当に反応する細胞の特異的標的化に影響を及ぼしうる。
キメラの別の利用は、他の形態の遺伝子操作に続いて行われるインビボでの細胞集団の制御である。例えば、細胞障害性の素因となる細胞を腫瘍部位へ運ぶために、腫瘍浸潤リンパ球またはナチュラルキラー細胞の利用が提唱されている。本発明は、そのようなリンパ球および細胞をインビトロで増幅するために患者の体内から除去することなく、それらのリンパ球および細胞の数および活性を制御する便利な手段を提供する。このように、キメラ受容体の細胞内ドメインは細胞の増殖反応を媒介するため、細胞外ドメインに特異的な多様な凝集刺激(例えば、細胞外ドメインに対して特異的な抗体)による細胞外ドメインの協調の結果、キメラを有する細胞が増殖する。
本発明の特異的態様には、ゼータ、イータ、もしくはガンマ鎖、またはそれらの活性断片(例えば後述するもの)とのキメラが含まれるが、これらの分子と同様の機能を有する、例えば顆粒球またはBリンパ球中のいかなる受容体鎖も本明細書に開示した目的のために用いることができる。望ましい免疫細胞誘因分子の明確な特徴として、自律的に発現させる能力(すなわち一本鎖として)、得られたキメラが治療用細胞の表面に存在するように細胞外ドメインと融合させる能力、および凝集に基づいて細胞エフェクタープログラムを開始させ、二次的に標的リガンドと対抗させる能力が含まれる。
今のところ、キメラを免疫系細胞に輸送するための最も便利な方法は、遺伝子治療の何らかの形による。しかし、細胞を、適当に可溶化した精製キメラ蛋白質と混合することにより、キメラ受容体を有する免疫系細胞を再構築すると、HIV感染標的に応答することが可能な加工された細胞集団が形成される。例えば、治療目的でCD4分子を赤血球に導入するために、同様の方法が用いられている。この場合、加工された細胞集団は、自己再生できないこともある。
本発明は、免疫系機能を再指示することが可能な機能的な単純化されたT細胞受容体キメラ、B細胞受容体キメラ、およびFc受容体キメラに関する。より詳細には、それは、キメラによって認識される標的に細胞を反応させるキメラを該細胞中で発現させることによって、リンパ球、マクロファージ、ナチュラルキラー細胞、または顆粒球を制御することに関する。本発明はまた、感染体、腫瘍もしくは癌細胞、または自己免疫産生細胞に対する細胞反応を指示する方法にも関する。哺乳類において細胞反応を指示する方法には、治療用細胞の有効量を該哺乳類に投与することが含まれ、該細胞は、該感染体、腫瘍、癌細胞、または自己免疫産生細胞を認識および破壊することが可能である。細胞反応は単一の受容体キメラによって媒介されてもよく、または多数のキメラの共同作用の結果であってもよい(例えば、その各々がCD28細胞内ドメインを含む2個以上のキメラの組み合わせ)。したがって、本発明には、疾患の治療薬の作製におけるこれらのキメラ受容体発現細胞の(本明細書に記載のような)利用が含まれる。
もう一つの態様において、細胞反応を感染体に指示する方法には、該感染体を認識および破壊できる治療用細胞の投与が含まれ、ここでその感染体は特異的ウイルス、バクテリア、プロトゾア、または真菌である。さらにより特異的には、方法は、HIVおよびカリニ原虫(Pheumocystis carinii)などの感染体に向けられる。
特に、本発明はHIV-感染細胞に対する細胞反応を指向させる方法を提供する。該方法は、循環中のウイルスと共にHIVに感染した細胞を特異的に認識し溶解することが可能な、細胞障害性Tリンパ球の有効量を患者に投与することを含む。
このように、一つの態様において、HIV感染細胞を特異的に認識および溶解することが可能な細胞障害性Tリンパ球の有効量を患者に投与することを含む、細胞反応をHIV感染細胞に指示する方法が本発明により提供される。
さらにもう一つの態様において、HIV-感染細胞を認識および溶解するように細胞障害性Tリンパ球を指示するキメラ受容体蛋白質が提供される。本発明のさらにもう一つの態様には、キメラ受容体を含むベクターで形質転換した宿主細胞が含まれる。
さらにもう一つの態様において、本発明は、本発明のキメラ受容体に対する抗体を提供する。
したがって、HIVに感染した細胞に特異的に結合して溶解する細胞障害性Tリンパ球を得るため、本発明者らは、受容体キメラを試み本明細書に提供する。これらのキメラ受容体は、機能的に活性で、gp120を発現している細胞に特異的に結合して溶解することが可能な特別な能力を有する。
それ故、HIV感染者に対する治療法を提供することが本発明の目的である。このように、本発明によりAIDSの治療法における数多くの重要な進歩が提供される。
本発明の、これらおよびその他の無制限の態様は、以下の本発明に関する詳細な説明を読めば、当業者には明らかであると思われる。
以下の詳細な説明において、分子生物学および免疫学の分野における当業者に知られたさまざまな方法論が参照されると思われる。参照された既知の方法論を示した出版物その他は、本明細書に、すべてが示されているものとして参照として包含される。
組み換えDNA技術の一般原理を述べた標準的な参照文献には、「ワトソン(Watson)ら、遺伝子の分子生物学(Molecular Biology of the Gene)、第1巻および第2巻、ベンジャミン/カミングス出版社刊、カリフォルニア州メンロパーク(1987)」、「ダーネル(Darnell)ら、分子細胞生物学(Molecular Cell Biology)、サイエンティフィックアメリカン出版社刊、ニューヨーク州ニューヨーク(1986)」、「レウイン(Lewin)、遺伝子II(Genes II)、ジョン・ウイリー・アンド・サンズ社刊、ニューヨーク州ニューヨーク(1985)」、「オールド(Old)ら、遺伝子操作の原理:遺伝子工学への手引き(Principles of Gene Manipulation: An Introduction to Genetic Engineering)、第二版、カリフォルニア大学出版部刊、カリフォルニア州バークレー(1981)」、「マニアティス(Maniatis)ら、分子クローニング:実験手引き(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)、第二版、コールドスプリングハーバー研究所刊、ニューヨーク州コールドスプリングハーバー(1989)」、および「オースベル(Ausubel)ら、分子生物学最新プロトコール(Current Protocolos in Molecular Biblogy)、ウイリー出版刊、ニューヨーク州ニューヨーク(1989)」などがある。
定義
「クローニング」という語は、特定の遺伝子またはその他のDNA配列をベクター分子に挿入するためのインビトロ組換え技術の利用を意味する。望ましい遺伝子をうまくクローニングするためには、断片をベクター分子と結合させるために、その中で複製することができる宿主細胞に複合DNA分子を導入するために、およびレシピエント宿主細胞の中から標的遺伝子を有するクローンを選択するために、DNA断片を生成する方法を用いる必要がある。
「cDNA」とは、RNA依存性DNAポリメラーゼ(逆転写酵素)の作用によって、RNAを鋳型にして作出された相補的DNAまたは複製DNAを意味する。したがって、「cDNAクローン」とは、クローニングベクターにより運搬される、目的とするRNA分子に相補的な二重鎖DNA配列を意味する。
「cDNAライブラリー」とは、cDNAライブラリー作製時に細胞によって発現されているmRNAのDNAコピーを含むcDNA挿入物を含む組換えDNA分子の集合を意味する。このようなcDNAライブラリーは、当業者に既知の、例えば、オースベル(Ausubel)ら(前記)およびマニアティス(Maniatis)ら(前記)で開示されている方法にしたがって調製される。一般的に、まずRNAは、クローニングしようとしている特定の遺伝子が含まれているゲノムを有する生物の細胞から分離される。本発明の目的にとって好ましいのは、哺乳動物、特にヒトのリンパ球細胞系である。この目的にとって好ましいベクターは、今のところワクシニアウイルスのWR株である。
「ベクター」とは、DNA断片を挿入またはクローニングすることができる、例えばプラスミド、バクテリオファージ、または哺乳類もしくは昆虫のウイルスに由来するDNA分子を意味する。ベクターは、一つ以上の独自の制限酵素部位をもち、クローニングした配列を一定の宿主または媒介生物の中で自律複製できる。したがって、「DNA発現ベクター」とは、組換えペプチドの合成を行わせることができるいかなる自律的要素をも意味する。このようなDNA発現ベクターには、細菌のプラスミド、ファージ、ならびに哺乳類および昆虫のプラスミドおよびウイルスが含まれる。
「実質的に純粋な」とは、例えば、蛋白質、ポリペプチド、または抗体などの化合物が、本来それに付随している化合物を実質的に含まないことを意味する。一般的には、目的の化合物が試料中の全物質量の、少なくとも60%、好ましくは75%以上、最も好ましくは90%以上である場合、実質的に純粋であるという。純度は、カラムクロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、またはHPLC分析などの適当な方法で測定できる。核酸に関して、「実質的に純粋な」とは、本発明のDNAが由来する生物の本来のゲノム中では、両方のコード配列に直接(すなわち、一方が5’末端ともう一方が3’末端と)連結しているが、どちらのコード配列とも直接には連結(すなわち、共有結合)していない核酸の配列、分節、または断片を意味する。
「機能的誘導体」とは、分子の「断片」、「変異体」、「類似体」または「化学的誘導体」を意味する。本発明のcDNA配列のような分子の「断片」は、分子のいかなるヌクレオチドサブセットも指すことを意味する。そのような分子の「変異体」とは、分子全体、またはその断片のいずれかと実質的に同様な天然の分子を指すことを意味する。分子の「類似体」とは、分子全体またはその断片のいずれかと実質的に同様な非天然分子を指すことを意味する。両分子のアミノ酸配列が実質的に同じである場合、分子は、もう一つの分子と「実質的に同様」であると言う。特に、「実質的に同様な」アミノ酸配列は、少なくとも50%、好ましくは85%、および最も好ましくは95%のアミノ酸配列が天然または参照配列と同一であることを示す配列、および/または天然または参照アミノ酸配列と異なる部分が保存的アミノ酸置換による部分に限られる配列である。実質的に同様なアミノ酸分子は、同様の生物学的活性を有すると思われる。したがって、2つの分子が同様の活性を有すると仮定すれば、たとえ分子の1つがもう一方に見いだされない別のアミノ酸残基、もしくはより少ないアミノ酸残基を含有する場合であっても、またはアミノ酸残基の配列が同一でなくとも、この語が本明細書に用いられているように、これらの分子は変異体と見なされる。本明細書に用いられているように、通常は分子の一部でない別の化学的部分をある分子が含有する場合、その分子を別の分子の「化学的誘導体」であると言う。そのような部分により、分子の可溶性、吸収、生物学的半減期等が改善されうる。または、その部分により、分子の毒性を減少させ、分子の望ましくない副作用等を消失または減弱させうる。そのような効果を媒介することができる部分は、例えば、「レミントン製薬科学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)、第16版、Mack Publishing Co.,Easton, PA(1980)」に開示されている。
同様に、本発明の受容体キメラ遺伝子の「機能的誘導体」とは、ヌクレオチド配列が「実質的に類似」しており、例えばT細胞、B細胞、またはFc受容体キメラに対して類似の活性を有する分子をコードする遺伝子の「断片」、「変異体」または「類似体」を含むことを意味する。「実質的に類似」している核酸は、実質的に類似したアミノ酸配列をコードしており、適当なハイブリダイゼーション条件下で野生型核酸配列とハイブリダイズできる核酸配列を含んでいてもよい(適当なハイブリダイゼーション厳密度については例えば、オースベル(Ausubel)ら、分子生物学の最新プロトコール(Current Protocols in Molecular Biology)、ウィリー出版社(Wiley Press)、ニューヨーク州ニューヨーク(1989)参照のこと)。
このように、本明細書で用いられる、T細胞、B細胞、またはFc受容体キメラ蛋白質はまた、「野生型」キメラと実質的に同様であってもよく、および同様の活性(すなわち、最も好ましくは90%、より好ましくは70%、好ましくは40%、または少なくとも10%の野生型受容体キメラ活性)を有する機能的誘導体、断片、変異体、類似体、または化学的誘導体を含むことを意味する。機能的キメラ受容体誘導体の活性には、標的体または細胞に対する(その細胞外部分との)特異的結合、およびその標的体または細胞の結果的な破壊(その細胞内部分または膜通過部分によって指示された)が含まれ;そのような活性は、例えば、本明細書に記載のアッセイのいずれかを用いて試験してもよい。
本発明のT細胞、B細胞、またはFc受容体キメラをコードするDNA配列、またはその機能的誘導体を、通常の技術にしたがって、ベクターDNAに組み込ませてもよい。これらの技術には、ライゲーションのための平滑末端もしくは付着末端、適当な末端を提供するための制限酵素消化、適当な付着末端にするための補填、不要な結合を防ぐためのアルカリホスファターゼ処理、および適当なリガーゼによるライゲーションが含まれる。このような操作のための技術は、マニアティス(Maniatis)ら(前記)によって開示されており、当業者に周知である。
DNAのような核酸分子は、転写および翻訳を制御する情報を含む塩基配列を含み、この配列がポリペプチドをコードするヌクレオチド配列と「機能的に連結」していれば、ポリペプチドを「発現することができる」といわれる。機能的な連結とは、制御のためのDNA配列と、発現させようとするDNA配列とを、遺伝子発現できるような方法で結びつけた連結をいう。遺伝子発現に必要とされる制御領域の厳密な性質は、生物によってさまざまであろうが、一般的には、プロモーター領域を含み、原核生物においては、プロモーター(RNA転写開始を促す)、ならびにRNAに転写されてから蛋白質合成の開始のシグナルとなるDNA配列の両方が含まれる。このような領域には通常、TATAボックス、キャッピング配列、CAAT配列など、転写および翻訳の開始に関わる5’非翻訳配列が含まれうる。
必要であれば、蛋白質をコードする遺伝子配列の3’側非翻訳領域を、上述の方法によって得ることができる。この領域は、転写終結およびポリアデニル化などの転写終結の制御配列として保持されているのかもしれない。したがって、蛋白質をコードするDNA配列に本来隣接している3’領域を保持することで、転写終結シグナルが提供されるかもしれない。発現宿主細胞で、転写終結シグナルが十分に機能しないときは、宿主細胞中で機能する3’領域に置き換えてもよい。
二つのDNA配列(プロモーター領域の配列およびT細胞受容体、B細胞受容体、またはFc受容体キメラをコードする配列)は、二つのDNA配列の間の結合の性質が、(1)フレームシフト突然変異を誘導しない、(2)プロモーター領域の配列の、受容体のキメラ遺伝子配列を転写を促す能力を阻害しない、または(3)受容体のキメラ遺伝子配列の、プロモーター領域配列によって転写される可能性を阻害しないならば、機能的に結合しているといわれる。プロモーター領域は、プロモーターがDNA配列の転写に効果をもたらすようであれば、そのDNA配列に機能的に連結されたことになる。したがって、蛋白質を発現させるためには、転写および翻訳シグナルが適当な宿主によって認識されることが必要である。
本発明には、T細胞受容体、B細胞受容体、またはFc受容体キメラ蛋白質(またはその機能的誘導体)の、原核細胞または真核細胞における発現も含まれる。しかし、真核細胞(特にヒトリンパ球)で発現するものが好ましい。
本発明による抗体は、さまざまな方法のうちの何れによって調製してもよい。例えば、CD4受容体キメラ蛋白質またはその機能的誘導体を発現している細胞を動物に投与すれば、キメラに結合できるポリクローナル抗体を含んだ血清の産生を誘導することができる。
好ましい方法において、本発明による抗体はモノクローナル抗体である。このようなモノクローナル抗体は、ハイブリドーマの技術を用いて調製することができる(コフラー(Kohler)ら、Nature 256:495(1975);コフラーら、Eur. J. Immunol. 6:511(1976);コフラーら、Eur. J. Immunol. 6:292(1976);ハマーリング(Hammerling)ら、モノクローナル抗体とT細胞ハイブリドーマ,ニューヨーク州エルスヴィアー(Elsevier)、563〜684頁(1981))。一般的に、このような処理過程には、T細胞受容体、B細胞受容体、またはFc受容体キメラ抗原で動物を免疫することが含まれる。この動物の脾細胞を抽出して、適当なミエローマ細胞系と融合させる。適当なミエローマ細胞系であればいかなるものも、本発明にしたがって用いることができる。融合させた後、得られたハイブリドーマ細胞は、選択的にHAT培地中で維持され、次にワンズら(Gastroenterology 80:225〜232(1981))が述べているように、限られた希釈度でクローニングされる。それから、このような選択によって得たハイブリドーマ細胞を、キメラに結合できる抗体を分泌するクローンを同定するために調べる。
また、本発明による抗体はポリクローナル抗体、または好ましくは領域特異的ポリクローナル抗体であってもよい。
本発明によるT細胞受容体、B細胞受容体、またはFc受容体キメラに対する抗体は、患者におけるキメラ受容体(またはキメラ受容体を有する細胞)の量を測定するために用いられうる。このような抗体は、フォワードサンドイッチアッセイ、リバースサンドイッチアッセイ、および同時サンドイッチアッセイなどのイムノメトリックまたは「サンドイッチ」アッセイを含む、当業者に知られている標準的な免疫診断アッセイに用いるのに非常に適している。この抗体は、適当な特異性、感度、および精度を有する免疫解析方法を作成するための不必要な実験を行わずに、当業者によって決められた、いくつもの組み合わせにおいて用いることができる。
免疫学の一般原理について述べられた標準的な参照文献には、「ロイト(Roitt)、免疫学要論(Essential Immunology)、第6版、ブラックウエル科学出版社刊、オクスフォード(1988)」、「キンボール(Kimball)、免疫学への手引き(Introduction to Immunology)、第2版、マクミラン出版社刊、ニューヨーク(1986)」、「ロイト(Roitt)ら、免疫学(Immunology)、ゴワー医学出版社刊、ロンドン(1985)」、「キャンベル(Campbell)、「モノクローナル抗体の技術(Monoclonal Antibody Technology)」、バードン(Burdon)ら編による「生化学および分子生物学における実験技術(Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology)」、第13巻、エルスビア社刊、アムステルダム(1984)」、「クライン(Klein)、「免疫学:自己-非自己認識の科学(Immunology:The Science of Self-Nonself Discrimination)」、ジョンウイリー・アンド・サン社刊、ニューヨーク(1982)」、および「ケネット(Kennett)ら編、「モノクローナル抗体、ハイブリドーマ:生物学的解析の新次元(Monoclonal Antibodies, Hybridoma: A New Dimention In Biological Analyses)」、プレナムプレス社刊、ニューヨーク(1980)」が含まれる。
「検出」とは、ある物質の存在の有無を判定またはその量を定量することを含むものとする。したがって、この用語は、定性的および定量的な測定を行うために、本発明の物質、組成物、および方法を利用することに関連する。
本明細書に記載のものと同じ特異性を有するモノクローナル抗体を分泌するその他のハイブリドーマの単離は、抗イディオタイプスクリーニング技術(ポトムジャック(Potocmjak)ら、Science 215:1637(1982))によって達成することができる。簡潔に述べると、抗イディオタイプ抗体は、関係クローンによって産生される抗体上に存在する独自の決定因子を認識する抗体である。抗イディオタイプ抗体は、モノクローナル抗体源として用いられる動物と同じ系統の動物を、関係モノクローナル抗体で免疫することによって調製する。免疫した動物は、これらのイディオタイプ決定因子に対する抗体(抗イディオタイプ抗体)を産生することによって、免疫抗体のイディオタイプ決定因子を認識しこれに反応すると考えられる。
複製のために、ハイブリッド細胞をインビトロおよびインビボの双方において培養してもよい。インビボでの産生が多ければ、これを現在は好ましい培養法とする。簡潔に述べると、個々のハイブリッド株から得た細胞をプリスタンでプライミングしたBALB/cマウスに腹腔内注射し、高濃度の望ましいモノクローナル抗体を含有する腹水を生成させる。アイソタイプIgMまたはIgGのモノクローナル抗体は、当業者に周知のカラムクロマトグラフィー法を用いて培養上清から精製してもよい。
本発明に係る抗体は、液相で利用、または固相キャリアに結合させて利用してしてもよい免疫アッセイでの利用に特に適している。さらに、これらの免疫アッセイでは、抗体は様々な方法で検出可能に標識することができる。
当技術分野で既知の多くの異なる標識および標識法がある。本発明において用いることができる標識のタイプの例として、酵素、放射性同位元素、蛍光化合物、化学発光化合物、生物発光化合物、および金属キレートが含まれるが、これに限定されない。当業者は抗体との結合に適したその他の標識を知っており、または日常的な実験を利用して同じものを確認できると思われる。さらに、抗体へのこれら標識の結合は、当業者によって一般的に既知の標準的な方法を用いて達成することができる。
本発明に係る抗体を検出可能に標識することができる方法の一つは、抗体を酵素にリンクさせることである。この酵素は逆に、後にその基質に暴露されると、例えば、分光測光手段または蛍光測光手段によって検出できる化学的部分を生成するような方法で基質と反応する。検出可能に抗体を標識するために用いることができる酵素の例として、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、ブドウ球菌ヌクレアーゼ、δ-V-ステロイドイソメラーゼ、酵母アルコールデヒドロゲナーゼ、α-グリセロリン酸デヒドロゲナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、ビオチンアビジンペルオキシダーゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、アスパラギナーゼ、グルコースオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、リボヌクレアーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコース-VI-リン酸デヒドロゲナーゼ、グルコアミラーゼ、およびアセチルコリンエステラーゼが含まれる。
検出可能に標識された抗体の存在はまた、抗体を放射活性同位元素で標識し、次にγカウンターまたはシンチレーションカウンターなどの手段を用いて決定することによって検出することができる。本発明の目的に特に有用な同位元素は、3H、125I、32P、35S、14C、51Cr、36Cl、57Co、58Co、59Fe、および75Seである。
蛍光化合物で抗体を標識することによって、検出可能に標識した抗体の結合を検出することもまた可能である。蛍光標識した抗体を適当な波長の光に露出すると、色素の蛍光によってその存在が検出できる。最も一般的に用いられる蛍光標識化合物は、フルオレセイン、イソチオシアネート、ローダミン、フィコエリスリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o-フタルデヒド、およびフルオレスカミンである。
本発明の抗体も同様に、152Euまたはランタニド系列のその他の金属のように蛍光発光金属を用いて検出可能に標識することができる。これらの金属は、ジエチルエンテリアミンペンタ酢酸(DTPA)またはエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)などの金属キレート群を用いて抗体分子に結合させることができる。
抗体はまた、化学発光化合物にそれらをカップリングさせることにより検出可能に標識することができる。次に、化学反応の過程で生じる発光の存在を検出することによって、化学発光標識抗体の存在を決定する。特に有用な化学発光標識化合物の例は、ルミナール、イソルミナール、テロマティックアクリジニウムエステル、イミダゾール、アクリジニウム塩、シュウ酸エステル、およびジオキセタンである。
同様に、本発明に係る抗体を標識するために生物発光化合物を用いてもよい。生物発光物質は、生体系に存在するタイプの化学発光物質であり、その中で触媒的蛋白質が化学発光反応の効率を増加させる。生物発光抗体の存在は、発光の存在を検出することによって決定される。標識の目的にかなう重要な生物発光化合物には、ルシフェリンおよびルシフェラーゼアクオリンが含まれる。
本発明の抗体および実質的に精製された抗原は、理想的にはキットの調製に適したものである。そのようなキットには、バイアルおよびチューブなどの一個以上の容器に密封された形で受け取るために区画化された輸送手段が含まれる。ただし、該容器にはそれぞれ、用いられる解析方法に必要な成分が別々に含まれている。
キットという形に包含されうる解析方法のタイプはさまざまで、例えば、競合アッセイや非競合アッセイが含まれる。本発明の抗体を利用できる典型的なアッセイの例は、放射性免疫アッセイ(RIA)、酵素免疫アッセイ(EIA)、固相酵素免疫アッセイ(ELISA)、およびイムノメトリックもしくはサンドイッチ免疫アッセイである。
「イムノメトリックアッセイ」または「サンドイッチ免疫アッセイ」とは、同時サンドイッチ、フォワードサンドイッチ、およびリバースサンドイッチ免疫アッセイを含むものとする。これらの用語は、当業者に十分理解されている。また、当業者には、本発明による抗体が、現在知られているアッセイ、または将来開発されるアッセイの他の形式においても有用であることが理解されると思われる。これらも本発明の範囲に含まれるものとする。
アッセイを行うための好ましい様式において、特定の「遮断剤」が培養培地に存在することが重要である(通常、標識した可溶性抗体と共に加える)。「遮断剤」は、実験試料中に存在する非特異的蛋白質、プロテアーゼ、またはマウス免疫グロブリンに対するヒト抗体が、固相支持体上の抗体または放射標識インジケータ抗体とクロスリンクしてまたはこれらを破壊して、疑陽性または疑陰性結果を生じることがないようにするために加える。したがって、「遮断剤」の選択は、本発明に記載するアッセイの特異性に実質的に加えられる。
アッセイで用いられる抗体のように(例えば、IgG1、IgG2a、IgM、等)、同じクラスまたはサブクラス(アイソタイプ)の多くの無関係な(すなわち非特異的な)抗体を「遮断剤」として用いることができることがわかっている。「遮断剤」の濃度(通常1〜100μg/μl)は、ヒト血清中の相互に発生する交叉反応性蛋白質によって望ましくない妨害を阻害するが適度の感受性を維持するために重要である。さらに、「遮断剤」を含む緩衝液系を最適にする必要がある。好ましい緩衝液は、イミダゾール、HEPPS、MOPS、TES、ADA、ACES、HEPES、PIPES、TRIS等のような、生理学的pH範囲での弱酸性有機酸に基づく緩衝液である。幾分好ましくない緩衝液は、リン酸、ホウ酸、または炭酸などの無機緩衝液である。最後に、既知のプロテアーゼ阻害剤を、好ましくは「遮断剤」を含む緩衝液に加える(通常、0.01〜10μg/ml)。
これまでにも用いられ、本発明においても用いることができる多くの固相免疫吸着物がある。周知の免疫吸着物には、ガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、デキストラン、ナイロン、およびその他の物質が含まれ、これらはそのような物質で形成またはコーティングされたチューブ、ビーズ、およびマクロタイタープレート等の形で用いられる。固定化抗体は、アミドまたはエステル結合を通じての共有結合などの技法によって、固相免疫吸着物に共有結合的にまたは物理学的に結合させることができる。当業者は、抗体をそれに固定化させるのに適した他の多くの固相免疫吸着物および方法を知っていると思われ、またそれらを、単なる慣習的な実験を用いて確認することができると思われる。
インビボ、インビトロ、またはインサイチュー診断のために、放射性核種などの標識を直接または中間官能基を用いることによって、本発明に係る抗体に結合させてもよい。金属カチオンとして存在する放射性同位体を抗体に結合するためにしばしば用いられる中間基は、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)である。このようにして結合する金属性カチオンの典型的な例は:99mTc、123I、111IN、131I、97Ru、67Cu、67Ga、および68Gaである。本発明の抗体はまた、診断目的のために非放射活性同位元素で標識することもできる。この場合特に有用な元素は157Gd、55Mn、162Dy、52Cr、および56Feである。
本発明の抗原は、本発明に係る抗体を用いて、実質的に純粋な形で単離してもよい。このように、本発明の態様により、該抗原が本発明に係る抗体によって認識され結合されることを特徴とする、実質的に純粋なT細胞受容体、B細胞受容体、またはFc受容体キメラが提供される。もう一つの態様において、本発明は、受容体キメラに対する1つ以上の抗体と該抗原との複合体を形成することによって、キメラ受容体抗原を単離または精製する方法を提供する。
実質的に純粋な本発明のT細胞受容体、B細胞受容体、またはFc受容体キメラ抗原を、血清または尿などの試料中のキメラに対する抗体を逆に検出または測定するために用いてもよい。このように、本発明の一つの態様には、キメラ抗原に対する抗体を含む試料を、検出可能に標識した受容体キメラと接触させ、該標識を検出することを含む、試料中の蛋白質チロシンキナーゼ抗原に対する抗体の有無または抗体量を検出する方法が含まれる。キメラの免疫反応性画分および免疫反応性類似体も同様に用いられることが認識されると思われる。「免疫反応性画分」という語は、受容体キメラに対する抗体に対して同等の免疫反応を示すキメラ抗原のいかなる部分をも意図する。「免疫反応性類似体」という語は、受容体キメラ蛋白質と1つ以上のアミノ酸が異なるが、本発明の抗体と同等の免疫反応を示す蛋白質を意図する。
「特異的に認識し結合する」とは、抗体が、キメラ受容体ポリペプチドを認識して結合し、例えば生物試料などの、試料中の他の無関係な分子を実質的には認識したり結合したりしないことを意味する。
「自己免疫産生細胞」とは、宿主組織または自己反応性の免疫エフェクターT細胞と反応する抗体を産生する細胞を意味する;そのような細胞には、アセチルコリン受容体に対する抗体(例えば、重症筋無力症に至る)、または抗DNA抗体、抗赤血球抗体、および抗血小板自己抗体(例えば、エリテマトーデスに至る)が含まれる。
「治療用細胞」とは、HIV感染細胞を認識して破壊するために、本発明のCD4受容体キメラで形質転換された細胞を意味するが、好ましくはそのような治療用細胞は、造血系の細胞である。
「標的感染体」とは、キメラ受容体産生治療用細胞によって認識することができるあらゆる感染体(例えば、ウイルス、バクテリア、プロトゾア、または真菌)を意味する。「標的細胞」とは、キメラ受容体産生治療用細胞によって認識することができるあらゆる宿主細胞を意味する;標的細胞には、腫瘍または癌細胞および自己免疫産生細胞と同様に、ウイルス、バクテリア、プロトゾア、または真菌に感染した宿主細胞が含まれるが、これらに限定されない。
「細胞外」とは、少なくとも分子の一部を細胞表面に露出させていることを意味する。「細胞内」とは、少なくとも分子の一部を治療用細胞の細胞質に露出させていることを意味する。「膜通過」とは、少なくとも分子の一部が原形質膜に広がっていることを意味する。本明細書において用いられる、「細胞外部分」、「細胞内部分」および「膜通過部分」とは、隣接する細胞区画の中に続く、アミノ酸ブランキング配列も含むものとする。
「重合」とは、二量体、三量体、四量体、またはそれ以上の多量体を形成するために、他の蛋白質と複合体を作ることを意味する。このような多量体は、ホモ多量体またはヘテロ多量体であると思われる。「重合部位」とは、複合体(すなわち、多量体)を形成させる、分子の領域のことである。
「細胞傷害性の」とは、細胞(例えば、病原体に感染した細胞、腫瘍もしくは癌細胞、または自己免疫産生細胞)を破壊できること、または感染因子(例えば、HIVウイルス)を破壊できることを意味する。
「免疫不全ウイルス」とは、野生型において、宿主霊長類のT4細胞に感染することができ、ウイルス形態形成を行い、レンチウイルス亜科の形態的特徴を有するレトロウイルスを意味する。この用語には、HIVおよびSIVのあらゆる変異体、例えば、HIV-1、HIV-2、SIVmac、SIVagm、SIVmnd、SIVsmm、SIVman、SIVmand、SIVcpzなどが無制限に含まれる。
「MHC非依存的」とは、細胞傷害応答に、標的細胞の表面に位置するMHCクラスII抗原が存在しなくてもよいことを意味する。
「機能的な細胞傷害シグナル伝達誘導体」とは、野生型分子の生物学的活性の少なくとも40%、より好ましくは70%、最も好ましくは90%以上を発揮できる機能的な誘導体(既に定義されている)を意味する。本明細書において用いられるように、「機能的な細胞傷害シグナル伝達誘導体」は、受容体に結合した病原体または細胞を破壊するよう治療用細胞へ直接シグナルを送ることによって作用をすることもあり(細胞内にキメラ受容体部位がある場合)、または治療用細胞の細胞傷害シグナル伝達蛋白質による重合を促進することによって間接的に作用することもある(例えば、膜通過ドメインの場合)。そのような誘導体は、例えば本明細書に記載のインビトロ測定法などを用いて、その有効性を調べてもよい。
「機能的HIVエンベロープ結合誘導体」とは、HIVのいかなるエンベロープ蛋白質にも結合できる機能的な誘導体(既に定義されている)を意味する。機能的な誘導体は、例えば、本明細書に記載のインビトロ測定法を用いて同定されうる。
治療用投与
本発明の形質転換細胞は、免疫不全ウイルスの治療に用いられる。このような形質転換細胞を投与する最近の方法は、養子免疫治療法または細胞移入治療法を含む。これらの方法においては、形質転換された免疫系細胞を血流の中に戻す。ローゼンバーグ(Rosenberg)、Sci.Am.62(1990年5月);ローゼンバーグら、N.Engl.J.Med.323:570(1990年)。
本発明の薬学的組成物は、本発明の組成物がもたらす有益な効果を受けるであろう動物に投与される。そのような動物の中でもとりわけヒトが重要であるが、本発明はそれに限定するものではない。
詳細な説明
まず、図面について説明する。
【図面の簡単な説明】
図1Aは、CD4(1〜369残基目)と異なったレセプター鎖との間の融合部位付近のアミノ酸配列を示す(配列番号:38〜41)。下線部の配列は、融合蛋白質を構築するのに用いたBamHI部位がコードするアミノ酸の位置を示している。膜通過ドメインが開始するところを縦線で示した。η配列は、アミノ末端でゼータ配列と一致しているが、カルボキシ末端では異なっている(Jinら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:3319〜3323(1990))。図1Bは、CV1細胞中のCD4、CD4:ζ、CD4:γ、およびCD4:ηの表面発現をフローサイトメトリー分析した結果を示す。CD4キメラまたはCD16PIを発現するウイルスで細胞を感染させ、37℃で9時間インキュベートして、フィコエリスリンを結合した抗CD4モノクローナル抗体Leu3Aで染色した。
図2は、CD16(登録商標)の表面発現を、CD16(登録商標)のみ感染させた場合(詰まった点線)、またはCD4:γを発現するウイルスと同時感染させた場合(鎖線)、またはCD4:ζを発現するウイルスと同時感染させた場合(実線)について示している。間隔が開いた点線は、CD4:ζのみを感染させた細胞を3G8で染色したものを示している(フロイト(Fleit)ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 79:3275〜3279(1982))(抗CD16 MAb)。
図3は、CD16(登録商標)を発現するウイルスと以下のζキメラとを同時感染させた細胞におけるCD16(登録商標)の表面発現を示す。CD4:ζ(太線)、CD4:ζC11G(実線)、CD4:ζ(鎖線)、CD4:ζC11G/D15G(濃い点線)、同時感染なし(CD16(登録商標)のみ、薄い点線)。細胞を抗CD16モノクローナル抗体3G8と、フィコエリスリンを結合した、マウスIgGに対するFab’2ヤギ抗体とでインキュベートした。ζキメラの発現レベルは、解析に用いられた異なった変異体について、実質的に同じだった。また、CD16(登録商標)とζキメラを発現するウイルスを細胞に同時感染させても、キメラの表面発現は、認めうるほどには変化しなかった。
図4A〜Dは、T細胞系のζキメラ変異体を架橋させた後の、遊離カルシウムイオンの細胞内での増加を示している。ジャーカット(Jurkat)E6細胞(ウェイス(Weiss)ら、J. Immunol. 133:123〜128(1984))を組換えワクシニアウイルスに感染させ、フローサイトメトリーで解析した。CD4+集団をまとめたものについての結果を示す。そのため、関連のキメラ蛋白質を発現している細胞のみを解析している。紫から青のIndo-1蛍光の平均比は、集団全体における細胞内の遊離カルシウム濃度を表す。また、反応細胞の割合は、予め決められた閾値率(無処理細胞の10%が陽性になるよう設定した)を上回る細胞の割合を表す。図4Aおよび図4Bは、CD4:ζ(実線)またはCD16:ζ(鎖線)を発現しているジャーカット(Jurkat)細胞を抗CD4モノクローナル抗体Leu3a(フィコエリスリン結合体)に曝してから、マウスIgGに対するヤギ抗体と架橋させた。点線は、非感染細胞の抗CD3モノクローナル抗体OKT3に対する反応を示す。図4Cおよび4Dは、図4Aおよび図4Bと同じように処理して解析された、CD4:ζD15G(実線)、CD4:ζC11G/D15G(鎖線)、またはCD4:ζC11G(点線)を発現しているジャーカット(Jurkat)細胞を表している。
図5A〜Cは、CD4:ζ、CD4:ηおよびCD4:γレセプターが、細胞傷害性T型リンパ球(CTL)にHIV-1のgp120/41を発現している標的を破壊させることを示している。図5A:黒丸は、CD4:ζを発現しているCTLを、gp120/41を発現しているHela細胞とインキュベートしたもの、白丸は、CD4:ζを発現しているCTLを、未感染Hela細胞とインキュベートしたもの、黒四角は、非感染のCTLだけを、gp120/41を発現しているHela細胞とインキュベートしたもの、白四角は、非感染のCTLだけを、未感染のHela細胞とインキュベートしたものである。図5B:黒丸は、CD4:ηを発現しているCTLを、gp120/41を発現しているHela細胞とインキュベートしたもの、白丸は、CD4:γを発現しているCTLを、gp120/41を発現しているHela細胞とインキュベートしたもの、白四角は、C11G/D15G二重変異体のCD4:ζキメラを発現しているCTLを、gp120/41を発現しているHela細胞とインキュベートしたものである。図5C:図5Bで用いられたCTLを使ったCD4発現のフローサイトメトリー解析である。標的のエフェクターに対する比率を補正するために、ヒストグラムに上乗せされる部分から見積もられた負の(非感染)集団を引き算して、CD4キメラを発現している細胞の百分率を決定したが、この図では、比較し易くするために、非感染細胞に適当な閾値を与えて、ヒストグラムの引き算をしたときのように、ほぼ同じ画分が他の細胞集団でも対応するようにした。
図6A〜Bは、CD4が左右する細胞傷害の特異性を示す。図6A:黒丸は、CD16PIを発現しているHela細胞とともにインキュベートした、CD4:ζを発現しているCTLで、白丸は、gp120を発現しているHela細胞とともにインキュベートした、CD4を発現しているCTL、黒四角は、gp120/41を発現しているHela細胞とともにインキュベートした、CD16:ζを発現しているCTL、白四角は、gp120/41を発現しているHela細胞とともにインキュベートした、CD16PIを発現しているCTLである。図6B:黒丸はRaji(MHCクラスII+)細胞とともにインキュベートした、CD4:ζを発現しているCTLで、白丸は、RJ2.2.5(MHCクラスII-Raji変異体)細胞とともにインキュベートした未感染のCTL、黒四角は、Raji(MHCクラスII+)細胞とともにインキュベートした未感染のCTL、白四角は、RJ2.2.5(MHCクラスII-)細胞とともにインキュベートした、CD4:ζを発現しているCTLである。縦座標の目盛りは拡大されている。
図7A〜Bは、CD16:ζキメラレセプターの特徴を示す。図7Aは、CD16:ζ融合蛋白質の略図解である。ホスファチジルイノシトールに結合した形のCD16単量体の細胞外部位を、ζ二量体と膜通過ドメインのすぐ外側に連結した。融合部の蛋白質の配列が一番下に示されている(配列番号:42、43)。図7Bは、CD16:ζキメラをTCRをもつ細胞系またはTCRをもたない細胞系の何れかと架橋させた後の、カルシウム流動のフローサイトメトリー分析を示す。抗体処理した0秒後からの、細胞集団の紫色光と青色光の平均比(相対的なカルシウムイオン濃度の測定値)が示されている。黒四角、抗CD3モノクローナル抗体OKT3に対するジャーカット(Jurkat)細胞の反応;黒三角、REX33A TCR-変異体中で架橋したときの、抗CD16モノクローナル抗体3G8に対するCD16:ζの反応;白四角、ジャーカット(Jurkat)TCR-変異系統JRT3.T3.5中のCD16:ζ架橋に対する反応;白三角、ジャーカット(Jurkat)細胞中でのCD16:ζ架橋に対する反応;十字、ジャーカット(Jurkat)細胞のキメラでないCD16に対する反応;および点線、REX33A TCR-細胞系中のキメラでないCD16に対する反応。
図8A〜Bは、細胞傷害能力のデリーション分析を示している。図8Aにζ欠失の終点の位置を示す。他と同じように、ここでも、ζにおける突然変異を元の残基-位置-変異残基で表す慣例法によって示した。つまり、例えば、D66*というのは66番目のアスパラギン酸を終止コドンで置き換えたことを意味する。図8Bに、欠失させてないCD16:ζおよび顕著なζ欠失変異体の細胞破壊測定結果を示す。CD16に対する表面抗体を発現しているハイブリドーマ細胞に51Crを結合させて、CD16:ζキメラを発現する組換えワクシニアウイルスを感染させたヒト細胞傷害性リンパ球(CTL)の数を増やしながらインキュベートした。遊離した51Crの割合を、エフェクター(CTL)の標的(ハイブリドーマ)細胞に対する比(e/t)の関数としてプロットする。黒丸、CD16:ζ(mfi 18.7)を発現している細胞によって媒介される細胞傷害;黒四角、CD16:ζAsp66*(mfi 940.2)を発現している細胞によって媒介される細胞傷害;白四角、CD16:ζGlu60*(mfi 16.0)を発現している細胞によって媒介される細胞傷害;白丸、CD16:ζTyr51*(mfi 17.4)を発現している細胞によって媒介される細胞傷害;黒三角、CD16:ζPhe34*(mfi 17.8)を発現している細胞によって媒介される細胞傷害;白三角、キメラでないCD16(mfi 591)を発現している細胞によって媒介される細胞傷害。この実験では、CD16:ζAsp66*の発現が、他の融合蛋白質の発現と異なっていたが、同じ実験で、同程度にCD16:ζを発現している細胞による細胞傷害における結果と、CD16:ζAsp66を発現している細胞による細胞傷害とが本質的に同じであった。
図9A〜Dは、膜通過相互作用をする能力を取り除くと、ζの短い断片でも細胞傷害を媒介できることを明らかにしている。図9Aは、2つの部分からなる単量体キメラおよび3つの部分からなる単量体キメラの概略図である。一番上は、65残基目までを有する欠失体で、膜通過残基のシステインおよびアスパラギン酸残基を欠失しているCD16:ζ構築物である。その下は、CD16:CD5:ζおよびCD16:CD7:ζ構築物およびそれに関連する対照である。細胞内ドメインのペプチド配列を下に示した(配列番号:35〜37)。図9Bは、単量体キメラ欠失変異体の細胞傷害活性を示す。CD16:ζを発現する細胞の細胞傷害活性(黒丸;mfi 495)を、CD16:ζAsp66*を発現する細胞の細胞障害活性(黒四角;mfi 527)もしくはCD16:ζCys11Gly/Asp15Gly/Asp66*変異体の細胞障害活性(白四角;mfi 338)、およびCD16:ζCys11Gly/Asp15Gly/Glu60*変異体の細胞障害活性(黒三角;mfi 259)と比較した。図9Cは、3つの蛋白質を融合した蛋白質に媒介される細胞傷害活性を示す。黒三角、CD16:ζAsp66*;白四角、CD16:5:ζ(48〜65);黒四角、CD16:7:ζ(48〜65);白三角、CD16:7:ζ(48〜59);白丸、CD16:5;黒丸、CD16:7。図9Dは、TCRをもたないジャーカット(Jurkat)JRT3.T3.5変異細胞系における、変異体および3部分からなるキメラによるカルシウム流動を示したものである。白丸、二量体CD16:ζAsp66*を発現している細胞の反応;黒四角、CD16:ζCys11Gly/Asp15Gly/Asp66*を発現している細胞の反応;白四角、CD16:ζCys11Gly/Asp15Gly/Glu60*を発現している細胞の反応;黒三角、CD16:7:ζ(48〜65)を発現している細胞の反応;白三角、CD16:ζ(48〜59)を発現している細胞の反応。
図10A〜Fは、18残基の細胞障害シグナル伝達モチーフ活性に対する各アミノ酸の寄与を示している。図10Aおよび10Bは、細胞傷害活性を、図10Cは、カルボキシ末端のチロシン(Y62)付近に点突然変異を有するキメラによって媒介されるカルシウムイオンの移動を示したものである。図10Aおよび10Bは、CD16:ζ融合蛋白質をそれぞれ少量または多量に発現する細胞について集めたデータである。カルシウム流動測定と、細胞傷害測定とは同じ記号が用いられており、右側に一文字コードが示されている。黒丸、CD16:ζを発現している細胞(mfi Aでは21;Bでは376);黒四角、CD16:7:ζ(48〜65)を発現している細胞(mfi A、31;B、82);白四角、CD16:7:ζ(48〜65)Glu60Gln(mfi A、33;B、92);十字、CD16:7:ζ(48〜65)Asp63Asn(mfi A、30;B、74);黒三角、CD16:7:ζ(48〜65)Tyr62Phe(mfi A、24;B、88);白丸、CD16:7:ζ(48〜65)Glu61Gln(mfi A、20;B、62);白三角、CD16:7:ζ(48〜65)Tyr62Ser(mfi B、64)。図10Dおよび10Eは、細胞傷害活性を、図10Fは、アミノ末端のチロシン(Y51)付近に点突然変異を有するキメラによるカルシウムイオンの移動を示したものである。カルシウム流動測定と細胞傷害測定とは同じ記号が用いられており、右側に示されている。黒丸、CD16:ζを発現している細胞(mfi Dでは21.2;Eでは672);黒四角、CD16:7:ζ(48〜65)を発現している細胞(mfi D、31.3;E、179);黒三角、CD16:7:ζ(48〜65)Asn48Ser(mfi D、22.4;E、209);白四角CD16:7:ζ(48〜65)Leu50Ser(mfi D、25.0;E、142);白三角、CD16:7:ζ(48〜65)Tyr51Phe(mfi D、32.3;E、294)。
図11A〜Bは、ζの内部反復配列、および細胞傷害を補助する能力の比較を示す。図11Aは、ζの細胞内ドメインを3つに分けて、それらにCD16:7キメラの膜通過ドメインをつけ加えて作り上げたキメラの略解図である。細胞内ドメインの配列を下に示している(配列番号:48〜50)が、共通の残基は線で囲み、関連するアミノ酸残基は星印を付けてある。図11Bは、ζの3つの分割したドメインの細胞傷害能力を示している。黒丸、CD16:ζを発現している細胞(mfi 476);黒四角、CD16:7:ζ(33〜65)(mfi 68);白四角、CD16:7:ζ(71〜104)(mfi 114);黒三角、CD16:7:ζ(104-138)(mfi 104)。
図12は、CD16:FcRγIIキメラの略解図である。
図13A〜Bは、CD4:FcRγIIキメラ、およびCD16:FcRγIIキメラを架橋した後の、カルシウムの移動を示したものである。図13Aは、カルシウムを識別する蛍光体Indo-1を含んだ細胞が放つ紫色光の青色光に対する比を、CD16の細胞外ドメインに抗体を架橋してからの時間の関数として表してある。図13Bも、同じように、抗体を架橋した後の、CD4:FcRγIIキメラを有する細胞の紫色光の青色光に対する比の増加を解析したものである。
図14A〜Bは、CD4:FcRγIIキメラおよびCD16:FcRγIIキメラの細胞傷害測定を示している。図14Aは、抗CD16ハイブリドーマ(標的)細胞に、CD16:FcRγIIキメラ(エフェクター細胞)を発現している細胞傷害性T型リンパ球を増加させながら接触させたとき、ハイブリドーマ細胞から遊離する51Crの割合を示している。図14Bは、同様に、HIVエンベロープ糖蛋白質を発現している標的細胞に対する、CD4:FcRγIIキメラによって媒介される細胞傷害の解析結果を示している。
図15A〜Eは、細胞傷害にとって重要なFcRγII Aテール中の残基を同定したものを示す。図15Aは、欠失構造体の概略図である。図15Bおよび15Cは、CD16:FcRγII Aのカルボキシ末端側欠失変異体によるカルシウム流動および細胞傷害を示す。図15Dおよび15Eは、アミノ末端から次第に削っていったために、CD16:FcRγII Aの細胞内のテール部分が短くなった、3つの部分からなるキメラによるカルシウム流動および細胞傷害を示す。
図16(配列番号:24)は、CD3デルタレセプター蛋白質のアミノ酸配列を示す。線で囲った配列は、好ましい細胞傷害シグナル伝達部位を表している。
図17(配列番号:25)は、T3ガンマレセプター蛋白質のアミノ酸配列を示す。線で囲った配列は、好ましい細胞傷害シグナル伝達部位を表している。
図18(配列番号:26)は、mb1レセプター蛋白質のアミノ酸配列を示す。線で囲った配列は、好ましい細胞傷害シグナル伝達部位を表している。
図19(配列番号:27)は、B29レセプター蛋白質のアミノ酸配列を示す。線で囲った配列は、好ましい細胞傷害シグナル伝達部位を表している。
実施例I
ヒトIgG1:レセプターキメラの構築
CH3ドメイン中の配列を、膜通過型の抗体mRNAの3’末端からとったcDNA断片に結合させて、ヒトIgG1のH鎖配列を調製した。3’末端断片は、扁桃cDNAライブラリーを基質にして、目的のDNA断片の5’末端、3’末端それぞれに対応する次の配列を有するオリゴヌクレオチドを用いたポリメラーゼ連鎖反応によって得た。CGC GGG GTG ACC GTG CCC TCC AGC AGC TTG GGC(配列番号:7)およびCGC GGG GAT CCG TCG TCC AGA GCC CGT CCA GCT CCC CGT CCT GGG CCT CA(配列番号:8)。5’側オリゴは、ヒトIgG1のCH1ドメインの部位に相補的で、3’側オリゴは膜内ドメインをコードする配列の5’端と相補的である。PCR産物をBstXIとBamHIで消化して、可変領域と定常領域を有する半合成IgG1抗体遺伝子のBstXIとBamHI部位の間に結合させた。BstXIからBamHIまでの断片を挿入した後、構築物の増幅された部分のCH3のSmaI部位までを制限酵素断片と入れ換えて、SmaI部位と3’側オリゴの間の部分だけがPCR反応に由来するようにした。
ヒトIgGl:ζキメラレセプターを作出するために、H鎖遺伝子のBamHI部位で終わる部分を、以下に説明するζキメラのBamHI部位に結合させて、抗体配列が細胞外部分を作るようにした。フローサイトメトリーによって、L鎖cDNAをコードする発現プラスミドを共感染させると、キメラをコードするプラスミドを感染させたCOS細胞が抗体決定基を高レベルで発現し、この発現プラスミドを共感染させないと、抗体決定基の発現が少なくなることが分かった。
ヒトIgG1にηもしくはγを融合させたもの(下記参照)、またはT細胞レセプターもしくはFcレセプター蛋白質のシグナル伝達部位を有するような同様のキメラは、一般的に、上述したように分子生物学の標準的な技術を用いて構築することができる。
L鎖とH鎖の両鎖を一つのプロモーターから発現させる単一の転写ユニットを作出するために、H鎖とL鎖をコードする配列と、grp78またはBipとして知られる78KDのグルコース制御蛋白質をコードするmRNAの5’非翻訳領域部分から2つのシストロンを有するmRNAをコードするプラスミドを作成した。grp78の配列は、以下の配列を有するプライマーを用いて、ヒトのゲノムDNAのPCRによって得られた。5’端のCGC GGG CGG CCG CGA CGC CGG CCA AGA CAG CAC(配列番号:9)、および3’端のCGC GTT GAC GAG CAG CCA GTT GGG CAG CAG CAG(配列番号:10)。これらのオリゴを用いたポリメラーゼチェーン反応は、10%ジメチルスルホキシド存在下で行なった。PCRによって得た断片をNotIとHincIIで制限酵素処理して、ヒトIgG1をコードする配列の下流にあるNotIとHpaI部位の間に挿入した。次に、ヒトIgGカッパL鎖cDNAをコードする配列を、HincIIとベクター中の別の部位を用いて、grp78のリーダー配列の下流部分に挿入した。これらの操作によってできた発現プラスミドは、半合成のH鎖遺伝子の後ろにgrp78のリーダー配列があり、その後ろにカッパL鎖cDNA配列があり、その後ろにSV40 DNA断片に由来するポリアデニル化シグナルがある。この発現プラスミドでCOS細胞を形質転換すると、H鎖決定基だけをコードするプラスミドで形質転換したものに較べて、H鎖決定基の発現が著しく促進された。
H鎖/レセプターキメラおよびL鎖を含む、2シストロン性の遺伝子を作製するために、H鎖の上流域配列を、本明細書に記載のいかなるキメラH鎖/レセプター遺伝子と置き換えることもできる。
実施例II
CD4レセプターキメラの構築
ヒトζ(ウェイスマン(Weissman)ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:9709〜9713(1988b))およびγ(クスター(Kuster)ら、J. Biol. Chem. 265:6448〜6452(1990))cDNAを、HPB-ALL腫瘍細胞系(アルフォ(Aruffo)ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:8573〜8577(1987b))、またはヒトのナチュラルキラー細胞から調製されるライブラリーからポリメラーゼチェーン反応によって分離した。また、ηのcDNA(ジン(Jin)ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:3319〜3323(1990))は、マウス胸腺細胞ライブラリーから分離した。ζ、ηおよびγcDNAを、膜内ドメインのすぐ上流にBamHI部位を有するように加工されたCD4(アルフォ(Aruffo)ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:8573〜8577(1987b);ツェトルマイスル(Zettlmeissl)ら、DNA Cell Biol. 9347〜353(1990))の細胞外ドメインに結合させた。このドメインは、膜内ドメインの数塩基上流の近い位置にあるζおよびηcDNAに本来存在するBamHI部位に連結させたものである(配列番号:1、3、4および6)。γを有する融合蛋白質を作るために、ほぼ同じ位置にBamHI部位を加工して配列の中に導入した(図1;配列番号:2および5)。遺伝子融合物を、大腸菌のgpt遺伝子を選択マーカーとして有するワクシニアウイルス発現プラスミドに導入し、相同的組み換え、およびマイコフェノール酸中での増殖の選択によりワクシニアのWR株のゲノムに挿入した(フォークナー(Falkner)ら、J. Virol. 62:1849〜1854(1988);ボイル(Boyle)ら、Gene 65:123〜128(1988))。フローサイトメトリー分析によると、ワクシニア組換え体はCD4:ζとCD4:γ融合蛋白質を細胞表面に大量に産生させたが、CD4:ηの発現は、実質的に弱くなった(図1B)。後者の発見は、ηcDNA発現プラスミドでマウスのハイブリドーマ細胞系を形質転換したものが、ζ発現プラスミドで同様に形質転換したものに較べて実質的に低い発現を示したという最近の報告(クレイトン(Clayton)ら、J. Exp. Med. 172:1243〜1253(1990))と矛盾しない。ワクシニアの組換え体を感染させた細胞の免疫沈降によって、融合蛋白質が共有結合して二量体を形成することが明らかになったが、これは天然のCD4抗原では異なる。CD4:ζとCD4:γ融合蛋白質の単量体と本来のCD4の分子量は、それぞれ63、55および53KDであることが分かった。融合蛋白質の分子量が大きいのは、細胞内の部分が長くなっているせいで、それぞれ、本来のCD4よりも75残基(CD4:ζ)または5残基(CD4:γ)長くなっている。
実施例III
CD4キメラは、他のレセプター鎖と結合できる
形質転換体における、ヒトFcγRIII(CD16(登録商標))のマクロファージ/ナチュラルキラー細胞形態の細胞表面での発現は、マウスγ(クロサキ(Kurosaki)ら、Nature 342:805〜807(1989))またはヒトγ(ヒッブズ(Hibbs)ら、Science 246:1608〜1611(1989))との同時感染により、およびヒトζ(ラニヤー(Lanier)ら、Nature 342:803〜805(1989))により促進される。
これらの報告と合致して、CD16(登録商標)を組換えワクシニアウイルスとともに標的細胞に同時形質転換または同時感染して送り込むと、キメラ発現とともにCD16(登録商標)も細胞表面で発現した(図2)。調べられた細胞系においては、ζによってCD16(登録商標)の表面発現が促進される程度の方が、γによって促進される程度より著しかった(図2)が、CD4自体は、CD16(登録商標)の表面発現を促進しなかった。
実施例IV
Aspζ変異体は、Fcレセプターと共結合しない
現存する抗原またはFcレセプターと結合しないキメラを作出するために、膜内のAspまたはCys残基のいずれか、またはその両方を欠失した変異体ζ融合蛋白質を調製した。フローサイトメトリーにより、異なる変異体キメラによる細胞表面発現の強さと、変異していない前駆体の強さとの違いは観察できなかった。また、免疫沈殿実験によって、キメラの全発現量はほぼ同じであることが分かった。予想通り、膜通過部分のシステイン残基を欠失した変異体キメラは、ジスルフィド結合による二量体を形成しないことが分かった。Aspを欠失した2つの変異体キメラは、CD16(登録商標)の表面発現を維持できなかったが、一方、AspをもちCysを欠失した単量体キメラは、元の二量体より効率は低かったが、CD16(登録商標)を発現させた(図3)。
実施例V
変異体レセプターはカルシウム応答を開始する能力を保持している
融合蛋白質の架橋によって、T細胞抗原レセプターによって起きることが知られているような、細胞内の遊離カルシウムの蓄積が起きるか否かを判定するために、ヒトT細胞白血病系細胞のジャーカットE6(ATCC寄託番号TIB 152、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション、メリーランド州ロックビル)に、ワクシニア組換え体を感染させて、細胞外ドメインと抗体との架橋後の細胞質のカルシウムの相対濃度を測定した。カルシウム識別用染料Indo-1を含む細胞を用いて、フローサイトメトリー測定を行なった(グリンキーウィックツ(Grynkiewicz)ら、J. Biol. Chem. 260:3340〜3450(1985);ラビノビッチ(Rabinovitch)ら、J. Immunol. 137:952〜961(1986))。図4A〜Dは、CD4:ζおよびζのAsp-、Cys-変異体を感染させた細胞を用いたカルシウム流動実験結果を示している。キメラの架橋によって、細胞内カルシウムが再現的に増加した。CD4:ηおよびCD4:γを感染させた細胞では、同じように細胞内のカルシウムが蓄積した。ジャーカット細胞は、細胞表面でCD4を低レベルに発現するが、本来のCD4の架橋は、CD16:ζがあってもなくても細胞内のカルシウム量を変化させない(図4A〜B)。
実施例VI
CD4:ζ、η、およびγキメラは、HIVのgp120/41を発現している標的の細胞傷害を媒介する
キメラレセプターが細胞傷害エフェクタープログラムを開始するかを調べるために、CD4がHIVエンベロープgp120/gp41複合体を認識することに基づく標的:エフェクター系のモデルを作製した。gp120/gp41を発現する組換えワクシニアウイルスをHela細胞に感染させ(チャクラバーティ(Chakrabarti)ら、Nature 320:535〜537(1986);アール(Earl)ら、J. Virol. 64:2448〜2451(1990))、51Crで標識した。標識した細胞は、CD4:ζ、CD4:η、もしくはγキメラを発現するか、またはCD4:ζCys11Gly:Asp15Gly二重変異体キメラを発現するワクシニア組換え体を感染させた同種異系特異的(CD8+、CD4-)細胞傷害性T型リンパ細胞系の細胞とインキュベートした。図5A〜Cは、gp120/41を発現しているHela細胞が、CD4キメラを発現している細胞傷害性Tリンパ細胞(CTL)によって特異的に破壊されることを示している。非感染のHela細胞は、CD4:ζキメラを有するCTLの標的にはならなかった。また、非感染のCTLは、gp120/41を発現しているHela細胞を認識しなかった。さまざまなキメラの効率を較べるためエフェクター対標的比を、CD4キメラを発現しているCTL画分、およびgp120/41を発現しているHela細胞画分に関して補正した。これらの画分はフローサイトメトリーで測定した。図5Cは、図5Aおよび図5Bで示した細胞傷害実験で用いたCTLによるCD4発現のサイトメトリー分析結果を示している。表面CD4:ζの平均密度は、CD4:ηの平均密度を大きく上回るが、どちらのキメラを発現している細胞も、細胞傷害効率はほぼ同じであった。gp120を発現している標的細胞画分に関する補正を行うと、CD4:ζ蛋白質とCD4:η蛋白質によって媒介される細胞傷害効率は、特異的T細胞レセプター標的:エフェクターの組み合わせについて報告された最も高い効率に匹敵した(CD4:ζを発現するT細胞が50%遊離する場合のエフェクター:標的の平均比は、1.9±0.99、n=10)。CD4:γ融合蛋白質は、膜通過部のAspとCysを欠いたCD4:ζと同じように活性が低かったが、どちらの場合にも、有意な細胞傷害が観察された(図5B〜C)。
ワクシニア感染によってCTLによる認識が人為的に促進される可能性に関する対照をとるために、ホスファチジルイノシトールに結合したCD16(CD16PI)を発現するワクシニア組換え体を感染させ51Crで標識した標的細胞と、CD16PIまたはCD16:ζを発現する対照用組換え体を感染させたCTLを用いて、同様の細胞傷害実験を行なった。図6Aは、CD4以外のキメラを発現するT細胞は、本来のHela細胞もgp120/41を発現しているHela細胞も認識せず、同様に、CD4キメラを発現しているT細胞は、他のワクシニアにコードされる表面蛋白質を発現しているHela細胞を認識しないことを示している。さらに、CD4以外のキメラを発現するCTLは、gp120/41を発現するHela細胞をほとんど破壊しない(図6A)。
実施例VII
MHCクラスIIを有する細胞は、キメラの標的にはならない
CD4は、MHCクラスII抗原が発現する多形性のない配列と相互作用すると考えられている(ゲイ(Gay)ら、Nature 328:626〜629(1987);スレックマン(Sleckman)ら、Nature 328:351〜353(1987))。CD4とMHCクラスII抗原との特異的な相互作用は、精製蛋白質を用いて証明されてはいないが、一定の条件の下では、CD4を発現する細胞とクラスII分子を発現する細胞とが接着することを示すことができる(ドイル(Doyle)ら、Nature 330:256〜259(1987);クレイトン(Clayton)ら、J. Exp. Med. 172:1243〜1253(1990);ラマール(Lamarre)ら、Science 245:743〜746(1989))。次に、クラスII抗原を有する細胞に対する傷害を検出できるかを調べた。図6Bは、大量にクラスIIを発現しているRajiB細胞系に対してCD4:ζが特異的な細胞傷害を行わないことを示している。わずかな(約5%)細胞傷害は観察されたが、Raji細胞のクラスIIをもたない変異体であるRJ2.2.5(アッコラ(Accolla), J. Exp. Med. 157:1053〜1058(1983))は、Raji細胞を非感染のT細胞とともにインキュベートしたときに示すのと同程度の感受性を示す。
実施例VIII
T細胞抗原/Fcレセプターゼータ鎖による細胞傷害の誘導に必要な配列
CD4とζとのキメラによって、細胞傷害性T型リンパ細胞(CTL)は、HIVのgp120を発現する標的細胞を破壊できるようになるが、ヒトT細胞系に導入されるゼータキメラの性質を明確に比較するために、CD4に代わるものを探した。そのような細胞系はCD4を発現することができるが、そのことによりカルシウム流動の型または程度と、異なるキメラの細胞傷害能力との間の相関関係を特に明確にするのを困難にする。これを回避するために、CD16の細胞外ドメインをζの膜通過配列と細胞内配列に連結させて、ζとCD16のキメラを作出した(図7A)。融合遺伝子は、大腸菌のgpt遺伝子を選択マーカーとして有する、ワクシニアウイルスの発現プラスミドに導入し、相同的組み換えによってワクシニアWR株のゲノムに挿入して、マイコフェノール酸中での増殖によって選択した(フォークナー(Falkner)およびモス(Moss), J. Virol. 62:1849(1988);ボイル(Boyle)およびクーパー(Coupar), Gene 65:123(1988))。
T細胞系に、ワクシニア組換え体を感染させ、細胞外ドメインを抗体で架橋した後、細胞質内の遊離カルシウムイオン相対的濃度を測定した。分光蛍光度計(集団全体)およびフローサイトメトリー(一個ずつの細胞)測定を、Indo-1染色した細胞を用いて行なった(グリンキーウィックツ(Grynkiewicz)ら、J. Biol. Chem. 260:3440(1985);ラビノビッチ(Rabinovitch)ら、J. Immunol. 137:952(1986))。図7Bに、CD16ζ融合蛋白質を発現するワクシニア組換え体を感染させたジャーカットヒトT細胞白血病系の細胞から集めたデータの解析結果を示す。キメラの結合は、細胞内のカルシウムを再現的に増加させたが、キメラでないCD16を発現している細胞を同様に処理しても、ほとんど効果は見られなかった。REX33A(ブライトマイヤー(Breitmeyer)ら、J. Immunol. 138:726(1987);サンチョ(Sancho)ら、J. Biol. Chem. 264:20760(1989))か、ジャーカット変異体JRT3.T3.5(ウェイス(Weiss)ら、J. Immunol. 135:123(1984))何れかの、抗原レセプターを欠いた変異体細胞系でキメラを発現させると、CD16抗体結合に対する強い反応が見られた。同様のデータが、REX20A(ブライトマイヤー(Breitmeyer)ら、前記,1987;ブラムバーグ(Blumberg)ら、J. Biol. Chem. 265:14036(1990))変異細胞系と、本発明者らの実験室において確立されたCD3/Tiをもたない変異体についても集められた。CD16:ζを発現する組換え体を感染させても、抗CD3抗体に対する応答は回復しなかった。このことは、この融合蛋白質が細胞内のCD3複合鎖を回復させるように作用しなかったことを示している。
キメラの細胞性免疫を再指向する能力を評価するために、CD16キメラを発現するワクシニア組換え体をCTLに感染させて、膜結合性抗CD16抗体を発現しているハイブリドーマ細胞を特異的に破壊するために用いた。このアッセイ法は、元来は、Fcレセプターを有する細胞のエフェクター機構を解析するために作出されたハイブリドーマ細胞傷害測定法を敷衍したものである(グライツィアーノ(Graziano)およびファンガー(Fanger), J. Immunol. 138:945,1987;グライツィアーノ(Graziano)およびファンガー(Fanger), J. Immunol. 139:35〜36, 1987;シェン(Shen)ら、Mol. Immunol. 26:959, 1989;ファンガーら、Immunol. Today 10:92, 1989)。図8Bは、細胞傷害性T型リンパ細胞においてCD16:ζを発現させると、CTLが3G8(抗CD16;フライト(Fleit)ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 79:3275, 1982)ハイブリドーマ細胞を破壊できるようになるが、ホスファチジルイノシトールに結合したCD16を発現させてもCTLは不活性であることを示している。また、CD16:ζを有するCTLは、無関係の抗体を発現するハイブリドーマ細胞は破壊しない。細胞傷害に必要最小限のζ配列を同定するために、ζのカルボキシ末端から細胞内ドメイン(配列番号:44)を連続的に削って、一連の欠失変異体を調製した(図8A)。ゼータの細胞内ドメインをほとんど削っても、細胞傷害能力にはほとんど影響しなかった。全長のキメラCD16:ζも、65残基目まで欠失したキメラCD16:ζAsp66*もほぼ同じ効果を示した(図8B)。ζの59残基目まで削ったとき(キメラCD16:ζGlu60*)、細胞傷害性が実質的に減少し、さらに50残基目まで削ると、僅かに活性が落ちた。しかし、細胞内ドメインを3残基の膜通過アンカーまで削っても、活性は完全にはなくならなかった(図8B)。
ζはジスルフィド結合する二量体であるため、内生ζが欠失キメラζとヘテロ二量体を形成して活性を回復するということで、細胞傷害活性の保持を説明することもできる。この説明を確かめるために、ζの11残基目と15残基目のAspとCysをGlyに変え(Cys11Gly/Asp15Gly)、免疫沈降を以下のようにして行なった。およそ2×106個のCV1細胞に、組換え体ワクシニアを、無血清DME培地中で1時間、感染多重度(moi)10以上で感染させた。感染後、6時間から8時間に、PBS/1mM EDTAで細胞をプレートから剥離し、クラークおよびアインフィールドの方法(白血球タイピングII, pp 155〜167, Springer-Verlag社, NY, 1986)によって、ラクトペルオキシダーゼとH2O2を用いて、2×106細胞当たり0.2mCi 125Iで表面標識した。標識された細胞を遠心によって集め、1% NP-40、0.1% SDS、0.15M NaCl、0.05M Tris PH8.0、5mM MgCl2、5mM KCl、0.2Mヨードアセトアミド、1mM PMSFに溶解した。遠心分離で核を取り除き、CD16蛋白質を抗体3G8(フライト(Fleit)ら、前記,1982;Medarex社)、抗マウスIgGアガロース(Cappe1社,Durham, NC)で免疫沈降させた。試料を、非還元条件下、8%ポリアクリルアミドゲル/SDSゲル、または還元的条件下、10%ゲルで電気泳動した。これらの免疫沈殿の結果、CD16:ζCys11Gly/Asp15Glyキメラは、ジスルフィド結合の二量体構造をとらないことが確認された。
変異体レセプターの細胞傷害活性も調べた。65残基目まで削った変異キメラ(CD16:ζCys11Gly/Asp15Gly/Asp66*)は、実験の条件にもよるが、変異を起こしていないキメラ(CD16:ζAsp66*)に較べて、細胞傷害実験で2倍から8倍活性が低かった。ただし、CD16:ζAsp66*は、通常CD16:ζの因子の一つ、または活性で区別することができないキメラである(図9B)。変異体キメラの活性の低下は、同様の構造をとるCD4キメラ(前記参照)で見られる低下と同程度であったが、これは、ζ単量体が、二量体に較べて効率が低いことに原因する可能性が最も高い。これに対して、59残基目まで欠失したAsp-Cys-変異キメラは、細胞傷害活性を示さなかった(図9B)が、このことは膜通過部のCysおよび/またはAsp残基によって媒介される他のペプチド鎖との結合が65残基目よりもアミノ末端側の欠失が細胞傷害活性の持続性を弱めることに関係があるという仮説の根拠になる。
フローサイトメトリー実験によって、膜通過部分のAsp残基およびCys残基を欠く欠失変異体でも、TCR-変異ジャーカット細胞系において、抗体結合に応答する細胞内の遊離カルシウムイオンの増加を促進できることが分かった(図9D)。同様の結果が、親株のジャーカット細胞系で発現されたキメラについても得られた。CD16:ζCys11Gly/Asp15Gly/Glu60*の場合の、これらに関するデータから、カルシウム応答性を媒介する能力と細胞傷害を補強する能力とは、突然変異によって分離できることが示された。
ζの膜通過部分の残基が関与する可能性を明確に排除するために、ζの膜通過部と細胞質側の最初の17残基を、CD5またはCD7抗原の膜内部分と細胞質側のそれぞれ最初の14または17残基をコードする配列に置き換えた(図9A)。その結果できた3つの部分からなる融合蛋白質CD16:5:ζ(48〜65)およびCD16:7:ζ(48〜65)は、膜通過ドメインにシステイン残基がないため、より単純なCD16:ζキメラのようにジスルフィド結合して二量体を形成しない。3つの部分からなるキメラはどちらも、ジャーカットのTCRをもたない細胞系でカルシウムを動員することができ(図9D)、CTLで細胞傷害応答を開始できる(図9Cと本明細書に示していないデータ)。CD16:7:ζ(48〜59)キメラのζの部分を59残基目まで削ると、3つの部分からなる融合蛋白質は、TCRを有するジャーカット細胞においても、TCRをもたないジャーカット細胞においてもカルシウム応答をさせられなくなり、成熟CTLにおける細胞傷害も指示できなくなる(図9Cおよび9Dと本明細書に示していないデータ)。
18残基モチーフ内の各残基の寄与を調べるため、部位特異的突然変異誘発によって、いくつかの変異体を調製して、キメラレセプターを少量発現する条件下(図10Aと10D)、または多量に発現する条件下(図10Bおよび10E)で、レセプター特異的細胞傷害を媒介する能力を評価した。図10A〜Fは、59残基から63残基の間でいくつか比較的に保存された置換(すなわち、酸性残基を同族のアミドで置き換えたり、またはチロシンをフェニルアラニンで置き換える)を行うと、細胞傷害効率は少し落ちたが、一般的にカルシウムを動員する能力は維持されたことを示している。しかし、まとめてみれば、これらの残基は、欠失すれば細胞傷害活性が失われる程度には重要な副モチーフを含む。Tyr62をPheまたはSerに変えると、細胞傷害応答もカルシウム応答もなくなった。18残基分節のアミノ末端で、Tyr51をPheに変えると、カルシウム流動も細胞傷害活性もなくなった。一方、50番目のLeuをSerに変えると、カルシウム応答はなくなったが、細胞傷害活性は僅かばかり残った。特定の仮説にこだわらなければ、Leu50Ser変異体が短時間のフローサイトメトリー分析でカルシウムを移動できなかったことは、より長い時間がかかる細胞傷害実験の期間中、細胞内の遊離カルシウムイオンの実質的増加を媒介する能力を必ずしも表すものではないと考えられる。しかし、カルシウム非感受性の細胞傷害活性がいくつかの細胞傷害性T細胞系について報告されており、同様の現象が、ここで述べた結果の基にある可能性を排除できなかった。Asn48をSerで置き換えると、実験によっては細胞傷害性が部分的に低くなったが、ほとんど影響ないものもあった。
重複した配列要素が果たしうる役割を調べるために、ζの細胞内ドメインを、残基33から65、残基71から104、および残基104から138の範囲の3つの部分に分けた。これらの部分をそれぞれ、CD7の細胞内ドメインの塩基性膜アンカー配列の末端にMluI部位を導入して、CD16:CD7キメラに接続した(下記参照;図11A)。この3つの要素の細胞傷害効力を比較すると、実質的には同等であった(図11B)。配列を比較すると(図11A)、2番目のモチーフでは2つのチロシンの間が11残基であるのに、1番目と3番目のモチーフでは10残基であった。
T細胞活性化プロセスの正確な説明はなされていないが、抗原レセプターの凝集、またはζの細胞内配列を有するレセプターキメラの凝集により、カルシウムの移動、サイトカインと顆粒の放出、および活性化を示す細胞表面マーカーの出現が開始することは明らかである。ζの活性部位は、短い一本のペプチド鎖で、固有の酵素活性を持つにはおそらく短すぎるので、細胞の活性化を媒介する一個か多くとも数個の蛋白質と相互作用すると考えられる。また、突然変異によって細胞傷害を媒介する能力とカルシウム蓄積を媒介する能力とを分離することができることから、遊離カルシウムの動員だけでは細胞の活性化に不十分であることも明らかである。
本明細書に示されているように、ζの細胞内ドメインの18残基を、2つの別の蛋白質の膜通過ドメインおよび細胞内ドメインに付加すると、その結果できたキメラは、融合蛋白質の細胞外部位に結合する標的細胞に対する細胞傷害活性を再指向することができる。18残基モチーフを有するキメラは、全長ζを有するキメラに較べて約8倍活性が落ちるが、この活性低下は、正常ならば野生型ζにジスルフィド結合二量体を形成させる膜通過部分の相互作用を失ったことに帰因しうる。すなわち、モチーフと同じカルボキシ末端を有し、膜通過部分のCys残基およびAsp残基を欠くζ欠失構造体は、典型的には、18残基モチーフのみを有するキメラに較べて僅かに低い活性を示す。
本発明者らが注目した、細胞傷害反応能がある要素は、2個のチロシンを有するが、セリンもスレオニンももたず、リン酸化によって活性に寄与する可能性が制限されている。どちらのチロシンに変異を加えても、活性は損なわれる。ただし、予備実験では、18残基モチーフを有するキメラ表面抗原との結合の後、実際にチロシンのリン酸化が起きることは示されていないが、このようなリン酸化による関与が、低い水準でありうることは排除できない。2つのチロシン残基について言及された効果以外にも、モチーフのアミノ末端およびカルボキシ末端のいくつかのアミノ酸を置き換えると、レセプター密度が低い条件下では活性が弱まる。
ζの活性モチーフと同じ配列が、CD3δおよびγ分子、表面IgM結合蛋白質のmb1およびB29、ならびに高親和性IgEレセプターのβ鎖およびγ鎖、FcεRIなど、いくつかの膜通過蛋白質の細胞質ドメインに見出されている(レス(Reth), Nature 338:383, 1989)。これらの配列の機能は明らかではないが、十分に発現されれば、それぞれは自律的にT細胞を活性化できるので、この活性によって、ゼータをもたない変異細胞系に見られる残留TCR応答性を説明しうる(サスマン(Sussman)ら、Cell 52:85, 1988)。
ζ自体はこのような配列をほぼ等間隔で3つ有し、細胞内ドメインをおおまかに3等分した切片はそれぞれ、細胞傷害応答を開始することができる。選択的スプライシングによるζのアイソフォームであるη(ジン(Jin)ら、前記,1990;クレイトン(Clayton)ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:5202, 1991)は、3番目のモチーフのカルボキシル側の半分をもたない。1番目のモチーフのカルボキシル側半分を除くと活性が失われるので、ηの生物学的効果のほとんどは、最初の2つのモチーフによると思われる。異なった測定をすれば、抗原媒介性のサイトカイン放出を促進する点(バウアー(Bauer)ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:3842, 1991)や、細胞傷害の対象変更(上記参照)を促進する点では、ζと同等の活性があるが、レセプター刺激に応答してリン酸化されることはない(バウアー(Bauer)ら、前記,1991)。したがって、3つのモチーフすべての存在がリン酸化のために必要であるか、または3番目のモチーフがまだ同定されていないチロシンキナーゼのための好ましい基質になっている。
実施例IX
ヒトFcレセプターによる細胞傷害シグナル伝達
異なるヒトFcレセプターサブタイプの作用を評価するために、ヒトCD4、CD5またはCD16抗原に、FcRIIγA、B1、B2およびCサブタイプ(ラベッチ(Ravetch)およびキネット(Kinet)の命名法,Ann. Rev. Immunol. 9:457, 1991)の膜通過および細胞内ドメインを連結させたキメラ分子を作出した。特に、既に述べたFcRIIA、B1およびB2アイソフォームの膜通過および細胞内ドメインに相当するcDNA配列を、既にあるクローンPC23、またはヒトの扁桃cDNAライブラリー(標準的な技術によって作製したもの)から、以下の合成オリゴヌクレオチドプライマーを用いて増幅した。CCC GGA TCC CAG CAT GGG CAG CTC TT(配列番号:18;FcRIIA順方向);CGC GGG GCG GCC GCT TTA GTT ATT ACT GTT GAC ATG GTC GTT(配列番号:19;FcRIIA逆方向);GCG GGG GGA TCC CAC TGT CCA AGC TCC CAG CTC TTC ACC G(配列番号:20;FcRII B1およびFcRII B2順方向);およびGCG GGG GCG GCC GCC TAA ATA CGG TTC TGG TC(配列番号:21;FcRII B1およびFcRII B2逆方向)。これらのプライマーは、それぞれ5’末端から6塩基が一方の鎖だけ欠けたBamHIとNotI酵素による切断部位を含んでいる。NotI部位のすぐ後は、アンチセンスがCTAまたはTTAという停止コドンになっている。すべてのプライマーは、目的の断片の5’および3’端に相補的な18個以上の塩基を含んでいる。FcRIIγAアイソフォームと1アミノ酸残基しか違わない(268残基目のPがLに変わっている)FcRIIγCの細胞内ドメインに相当するcDNA断片は、以下のプライマーを用いたオーバーラップPCRによる部位特異的突然変異誘発によって作製した。TCA GAA AGA GAC AAC CTG AAG AAA CCA ACA A(配列番号:22)およびTTG TTG GTT TCT TCA GGT TGT GTC TTT CTG A(配列番号:23)。PCR断片を、それぞれCD16またはCD4の細胞外ドメインを含むワクシニアウイルス発現ベクターに挿入し、続いて、目的の組換え体の同定を効果的に行うため大腸菌のgptを一緒に取り込ませる選択法を用いて、チミジンキナーゼ遺伝子座での組み換えによって野生型ワクシニアに挿入した。すべてのアイソフォーム(図12に示す)の内容を、ジデオキシ配列決定法によって確認した。
キメラレセプター蛋白質の産生は、さらに、免疫沈降実験によって確認した。約107個のJRT3.T3.5細胞に、組換え体ワクシニアを、無血清IMDM培地中で1時間、感染多重度10以上で感染させた。感染12時間後に、細胞を回収して、ラクトペルオキシダーゼ/グルコースオキシダーゼ法を用いて、107細胞あたり0.5mCi 125Iで表面標識した(クラーク(Clark)およびアインフェルド(Einfeld)、前記)。標識された細胞を遠心によって集め、1% NP-40、0.1mM MgCl2、5mM KCl、0.2Mヨードアセトアミド、1mM PMSFに溶解した。遠心分離で核を取り除き、CD16融合蛋白質を抗体4G8と抗マウスIgGアガロースで免疫沈殿させた。試料を、非還元条件下で電気泳動した。免疫沈降したキメラレセプター分子の分子量は、全て予想通りのものであった。
キメラレセプターが細胞質の遊離カルシウムイオンの増加を媒介できるかを調べるために、組換えウイルスを用いて、TCR-変異体ジャーカット細胞系JRT3.T3.5に感染させ(本明細書で既に説明した)、レセプターの細胞外ドメインにモノクローナル抗体3G8またはLeu-3Aを結合させて(本明細書で既に説明した)から、細胞の細胞質遊離カルシウムを測定した(本明細書で既に説明した)。これらの実験から、FcRγIIAおよびCの細胞内ドメインは、細胞外ドメインで架橋が起きた後細胞質の遊離カルシウムイオンの増加を媒介できるが、FcRγIIB1およびB2は、同じ条件では不活性であることが明らかになった(図13Aおよび13B)。FcRγIIAのCD4、CD5およびCD16とのハイブリッドは、カルシウム応答を促進する点で実質的に同等の能力をもっていた(図13A〜B)。単球およびリンパ球系統のその他の細胞系も、細胞外ドメインの架橋によって開始されるシグナルに応答することができた。
細胞傷害における、異なるFcRγIIの細胞内ドメインの関与を調べるために、CD16:FcRγIIA、B1、B2およびCキメラを発現する組換え体ワクシニアを、ヒト細胞傷害性Tリンパ球(CTL)に感染させた。そして、感染細胞を、CD16に対する細胞表面抗体を発現しているハイブリドーマ細胞(すなわち、3G8 10-2細胞)に51Crを含ませた細胞とともに培養した。この実験において、CD16キメラの細胞外ドメインにリンパ球のエフェクター作用を活性化できる細胞内分節が結合してるとき、CD16キメラを有するCTLはハイブリドーマ標的細胞を破壊した(遊離51Crを放出した)。この細胞傷害実験については、後に詳述する。図14Aは、CD16:FcRγIIAおよびCを有するCTLは、細胞表面に抗CD16抗体を発現している標的細胞を傷害できるが、CD16:FcRγIIB1またはB2はできないことを示している。
特異的な細胞傷害がCD16の一部との相互作用による何らかの方法で起こるかもしれないという可能性を排除するために、CD4の細胞外ドメインにFcRIIの細胞内ドメインを結合させて、細胞傷害実験を行なった。この場合、標的細胞は、HIVエンベロープgp120/41蛋白質を発現しているHela細胞(特に、ワクシニアベクターvPE16(国立アレルギーおよび感染症研究所AIDS保管所、メリーランド州ベセスダより入手可能)を感染させたHela細胞)であった。CD16システムと同じように、HIVエンベロープを発現している標的細胞は、CD4:FcRγIIAキメラを発現するT細胞による細胞傷害に対して感受性であったが、CD4:FcRγIIB1またはB2には感受性ではなかった(図14B)。
FcRγIIAおよびCの細胞内ドメインは、拡大されたFcRγ/TCRζ科に属するものを含む何れの蛋白質とも一定の配列相同性をもたない。細胞傷害誘導に関与する配列要素を明らかにするために、細胞内ドメインをコードする配列(後述、また図15Aに示す)の5’側と3’側の欠失体を調製して、カルシウム動員と細胞傷害測定(本明細書で説明されている)における効果を評価した。細胞内ドメインのアミノ末端側を除いた実験において、FcRγIIの膜通過ドメインを、無関係のCD7抗原の膜通過ドメインに置き換えて、膜通過ドメインによって相互作用が媒介される可能性を排除した。
図15Bおよび15Cは、チロシン298を含む、カルボキシ末端側14残基を除去すると、細胞傷害能が全く失われ、カルシウム流動能力もかなり低減することを示している。さらに、チロシン282の直前まで欠失させても同一の表現型を生じた(図15Bおよび15C)。細胞内ドメインのN末端側から268残基目までを欠失させても、カルシウムプロフィールにも細胞傷害能力にも影響を与えなかったが、275残基目まで欠失させると、遊離カルシウムの放出が著しく減少したが、細胞傷害にはほとんど影響しなかった(図15Dおよび15E)。さらに、282残基まで欠失させると、FcRγIIテールは、カルシウムを動員することも、細胞傷害の引き金を引くこともできなくなった(図15Dおよび15E)。これらの大まかな測定によって定義された「活性要素」は、比較的大きな(36アミノ酸)もので、16残基離れた2つのチロシンを含んでいる。
実施例X
さらなるT細胞レセプターおよびB細胞レセプター刺激タンパク質
本発明によるその他の細胞内シグナル伝達ドメインおよび膜通過シグナル伝達ドメインは、T細胞レセプタータンパク質であるCD3デルタおよびT3ガンマ、ならびにB細胞レセプタータンパク質であるmb1およびB29に由来してもよい。これらのタンパク質のアミノ酸配列を図16(CD3デルタ;配列番号:24)、図17(T3ガンマ;配列番号:25)、図18(mb1;配列番号:26)、および図19(B29;配列番号:27)に示す。細胞溶解シグナル伝達に十分な部分配列(そして、それゆえにおそらく本発明のキメラレセプターに含まれる)を枠内に示す。これらのタンパク質ドメインを含むキメラレセプターは、一般的に前述のように構築され、本発明の治療法において使用される。
実施例XI
CD28キメラ受容体
T細胞活性化は、CD28の関与によって増強されることが知られているため、本発明は同様に、キメラ受容体対を発現する治療用細胞を含む:第一のキメラはCD28の細胞内ドメインを含み、第二のキメラは本明細書に記載のいかなる細胞内または膜通過シグナル伝達ドメインを含む。所定のキメラ受容体対では、細胞外ドメインは同一であってもよく(例えば、両者ともにCD4蛋白質由来であり、したがっていずれもがHIVまたはHIV-感染細胞を認識してもよい)、またはそれぞれが細胞または病原体の表面上の異なる標的分子を認識するよう設計してもよい。
一つの特殊な例において、各々が標的腫瘍の明確な抗原特徴を認識する、異なる2つの細胞外ドメインが一対のキメラに含まれていてもよい。腫瘍抗原の例として、無制限に、多くの炭水化物(例えば、LeY、シアル酸-LeY、LeX、およびシアル酸LeX)、癌胎児抗原、CD40、修飾CD44、α-フェトプロテイン、TおよびTn抗原、テナシン、ならびに増殖因子受容体(例えば、HER2/neu)が含まれる。強力な破壊的反応を誘発するために認識しなければならない腫瘍表面マーカーの数を増加させることによって、非癌細胞の破壊の可能性および頻度を低下させることによりこの手段は治療的特異性を増加させる。
この組み合わせ調節法は、いかなる数の協同作用するキメラ受容体にも拡張することができ、本発明のいかなる治療法をも制御するために用いてもよい。
CD28キメラは、本明細書に記載の方法に従って構築し発現される。CD28配列は、アルフォ(Aruffo)およびシード(Seed)(Proc.Natl.Acad.Sci. USA 84:8573〜8577(1987)))によって提供されている。この参考文献には、CD28細胞内および膜通過ドメインに関する記述も含まれている。細胞内CD28ドメインを有するキメラの例は、ロメオ(Romeo)ら(Cold Spring Harbor Symp. on Quant Biol.LVII:117〜125(1992))によって開示されている。
実施例XII
実験方法
ワクシニア感染および放射免疫沈降法
約5x106のCV1細胞を無血清DME培地中で1時間、少なくとも10(CV1細胞上で測定された力価)の感染多重度(moi)で、組換えワクシニアに感染させた。細胞は感染後、新鮮な培地に移し換え、メチオニンおよびシステインを含まないDMEM(Gibco;Grand Island,NY)中で6時間、200μCi/mlの35S−メチオニンおよびシステイン(Tran35S標識,ICN;Costo Mesa,CA)で代謝標識した。標識した細胞は、1mM EDTAを含むPBSで分離し、遠心により集め、1% NP-40, 0.1% SDS, 0.15M NaCl, 0.05M Tris(pH8.0), 5mM EDTA,および1mM PMSFで溶解した。核を遠心により除去し、CD4タンパク質は、OKT4抗体および抗マウスIgGアガロース(Cappel, Durham, NC)で免疫沈降した。試料は、非還元(NR)条件および還元(R)条件下で、8%ポリアクリルアミド/SDSゲルを通じて電気泳動した。35S標識試料を含むゲルは、オートラジオグラフィー前に、「En3Hance(New England Nuclear, Boston, MA)」で飽和した。膜通過型CD16であるCD16(登録商標)の促進された発現は、CD16(登録商標)でのみ感染したCV1細胞における発現とCD16(登録商標)およびζキメラ又はCD16(登録商標)およびγキメラをコードするウイルスで共感染した細胞における発現とを比較することにより測定した。感染および6時間以上のインキュベーションの後、細胞は、PBS、1mM EDTAでプレートから剥離し、CD16(登録商標)又はキメラの発現は、間接蛍光抗体およびフローサイトメトリーにより測定した。
カルシウム流動解析
「ジャーカットサブ系統(Jurkat subline)E6(ウェイス(Weiss)ら、J. Immunol. 133:123〜128(1984))」細胞は、無血清IMDM培地中で1時間、10のmoiで、組換えワクシニアに感染させ、10% FBS含有IMDM中で3から9時間インキュベートした。細胞を遠心により集め、1mM Indo-1アセトメトキシエステル(グリンキウィックツ(Grynkiewicz)ら、J.Biol.Chem.260:3340〜3450(1985)、分子プローブ(Molecular probes)を含む完全培地中で3x106細胞/mlで再懸濁し、37℃で45分間インキュベートした。Indo-1を加えた細胞を沈殿させ、無血清IMDM中に1x106で再懸濁し、暗所で室温にて保存した。細胞は、フローサイトメトリーによる紫および青の蛍光放射の同時測定による遊離カルシウムイオンの解析を行った(ラビノビッチ(Rabinovitch)ら、J. Immunol.137:952〜961(1986))。カルシウム流動を開始するために、1μg/mlのフィコエリトリン(PE)結合Leu-3A(抗CD4)(Becton Dickinson, Lincoln Park, NJ)を細胞懸濁に加え、次いで10μg/mlの非結合ヤギ抗マウスIgGを時間0に加えるか、又は1μg/mlの非結合3G8(抗CD16)モノクロナール抗体を細胞懸濁に加え、次いで10μg/mlのPE結合Fab2’ヤギ抗マウスIgGを時間0に加えるかした。紫/青放射比のヒストグラムは、PE陽性(感染)細胞群から収集した。この細胞群は、概して全細胞の40〜80%に相当した。非感染細胞におけるT細胞抗原レセプター反応は、架橋なしで、抗体OKT3により刺激された。CD16キメラレセプターに関する実験では、(抗体なしで)低細胞内カルシウムの方へ移動する基線を示す試料は、解析から除外した。ヒストグラムデータは、続いて、「ライトバンドマン(Write Hand Man)(Cooper City, FL)」ソフトウェアを用いて、2つのデータをASCIIへ変換することにより解析し、さらに「フォートラン(FORTRAN)」プログラムの収集で解析した。二次抗体試薬の添加前の紫/青放射比は、統一した標準初期値と残余群の10%が臨界を越えるようにした残余臨界比を確立するために用いた。
細胞溶解アッセイ
ヒトT細胞株WH3、CD8+CD4-HLA B44制限細胞溶解株をIMDM、100U/mlのIL-2を含む10%ヒト血清中で継代し、放射線照射した(3000rad)HLA-不適合末梢血リンパ球および1μg/mlのフィトヘマグルチニンで非特異的に、または放射線照射したB44を有する単核細胞で特異的に、周期的に刺激した。非特異的刺激の1日後、新鮮培地を添加することによりPHAを0.5μg/mlにまで希釈し、さらに3日後に培地を交換した。細胞は、刺激後、細胞傷害アッセイで使用するまで少なくとも10日間培養した。細胞を、無血清培地中で1時間、少なくとも10の感染多重度で組換えワクニシアで感染させ、次に3時間完全培地中でインキュベーションした。細胞を遠心分離により回収し、1×107細胞/mlの濃度で再懸濁させた。100μl/ウェルの完全培地を含むU底マイクロタイタープレートの各ウェルに、100μlを添加した。細胞を二段階希釈した。各試料のうち2ウェルには、自発的なクロム放出および全クロム取り込みを測定するため、リンパ球を加えなかった。HeLa細胞亜株S3からの標的細胞を、6.0または10.0cmのプレートで、無血清培地中で、1時間およそ10のmoiで感染させ、続いて完全培地で3時間インキュベーションした。それらを、PBS、1mM EDTAを用いてシャーレから分離し、計数した。106個の標的細胞(CD4キメラレセプター実験では、HeLa、Raji、またはRJ2.2.5細胞、CD16キメラレセプター実験では、3G8 10-2細胞;シェン(Shen)ら、Mol.Immunol.26:959(1989))を等分したものを遠心し、37℃で1時間、断続的に攪拌しながら50μlの無菌51Crナトリウムクロム酸(1mCi/ml,Dupont,wilmington,DE)中に再懸濁させ、それからPBSで3回洗浄した。105細胞/mlで培地中に再懸濁した標識細胞100μlを、各ウェルに添加した。Raji標的細胞およびRJ2.2.5標的細胞を、HeLa細胞と同様に標識した。マイクロタイタープレートを750×gで1分間遠心し、37℃で4時間インキュベーションした。インキュベーション時間の最後に、静かにピペッティングすることにより、各ウェルの細胞を再懸濁させ、総取り込み量を決定するために試料を取り出し、マイクロタイタープレートを750×gで1分間遠心した。100μlに等分した上清を取り出し、ガンマ線シンチレーション計数器で計数した。破壊率を、フローサイトメトリーにより測定した感染標的細胞の画分(通常50〜90%)に対して補正した。感染エフェクター細胞について、エフェクター:標的比を、感染した細胞の割合(通常、CD4キメラレセプター実験では20〜50%、CD16キメラレセプター実験では>70%)に対して補正した。
ζ配列のインビトロ突然変異誘発
ζ配列のアミノ酸残基11およびまたは15に点突然変異を生じさせるため、ζ膜通過ドメインの上流のBamHI部位から延びる合成オリゴヌクレオチドプライマーで、天然ζの残基11をCysからGlyに変換したもの(C11G)、残基15をAspからGlyに変換したもの(D15G)、またはその両方を変換したもの(C11G/D15G)を調製し、変異断片を生成するためのPCR反応に用いて、その断片を野生型CD4:ζ構築物へと再び挿入した。
ζ欠失を作製するため、ζcDNA配列を、残基50、59、または65の後に停止コドン(UAG)を生じるように設計された合成オリゴヌクレオチドプライマーを用いたPCRにより増幅した。プライマーは、通常、CGC GGG CGG CCG CTA(配列番号:11)の配列中に5’末端から5または6残基一方の鎖が欠けた、酵素NotIの切断部位を含んでいた。該配列の最後の3残基は、停止アンチコドンに相当する。NotIおよび停止アンチコドン配列には、断片の望ましい3’末端に相補的な18以上の残基が続いていた。得られたキメラを、それぞれCD16:ζY51*、CD16:ζE60*、およびCD16:ζD66*と名付けた。膜通過ドメインの上流のBamHI部位、およびNotI部位を断片を生成するために用い、その断片を野生型CD16:ζ構築物へと再挿入した。前述のAsp-およびCys-CD4:ζ構築物をBamHIおよびSacIで消化して、ζ膜通過配列および膜に近接する細胞内配列を作製し、断片をそれぞれCD16:ζE60*およびCD16:ζD66*構築物中に挿入することにより、単量体ζキメラを作製した。
三部からなるCD16:7:ζ(48〜65)キメラおよびCD16:7:ζ(48〜59)キメラの構築
CD16:ζD66*構築物を調製するため、膜通過ドメインに相当するζcDNA配列およびそれに続く細胞質ドメインの17残基を、CD5およびCD7cDNAから得た膜通過ドメインおよび細胞質ドメインの相当部分と置換した。CD5断片およびCD7断片は、PCR反応により作製した。PCRには、BamHI制限切断部位を含み、それぞれCD5、CD7の膜通過ドメインのすぐ上流の領域に相当する順方向オリゴヌクレオチドならびにそれぞれCD5、CD7配列、およびSacI制限切断部位を含むζ配列に部分的に重複する以下の逆方向オリゴヌクレオチドを用いた。
Figure 0004170390
CD5およびCD7のPCR産物をBamHIおよびSacIで消化し、BamHIおよびSacIで消化したCD16:ζE60*とライゲーションし、BamHIからSacIまでのζ配列をCD7断片と置換した。構築物CD16:CD5およびCD16:CD7を作製するため、CD5断片およびCD7断片をPCRにより得た。PCRには、NotI制限切断部位を含み、それぞれCD5、CD7のGln416、Ala193残基の後に停止コドン(UAA)をコードするオリゴヌクレオチドを用いた。CD5およびCD7のPCR断片をBamHIおよびNotIで消化し、CD16:ζAsp66*構築物中に挿入した。
ζ細胞溶解シグナル伝達モチーフ内のN末端残基のインビトロ突然変異誘発
ζモチーフ内のSacI部位から延びる合成オリゴヌクレオチドプライマーであり、本来の残基48がAsnからSerに変換したもの(N48S)、残基50がLeuからSerに変換したもの(L50S)、および残基51がTyrからPheに変換したもの(Y51F)を合成し、PCR反応に用いて断片を生成し、その断片を野生型CD16:7:ζ(48〜65)構築物へと再び挿入した。
ζ細胞溶解シグナル伝達モチーフ内のC末端残基のインビトロ突然変異誘発NotI部位の3’から停止コドンまで延びる合成オリゴヌクレオチドプライマーであり、本来の残基60がGluからGlnに変換したもの(E60Q)、残基61がGluからGlnに変換したもの(E61Q)、残基62がTyrからPheまたはSerに変換したもの(Y62FまたはY62S)、および残基63がAspからAsnに変換したもの(D63N)を合成し、PCRに用いて断片を生成し、その断片を野生型CD16:ζD66*構築物のBamHI部位からNotI部位までにサブクローニングした。
CD16:7:ζ(33〜65)キメラ、CD16:7:ζ(71〜104)キメラ、CD16:7:ζ(104〜137)キメラの構築
膜通過ドメインと細胞内ドメインとの結合部にMluI部位とNotI部位を有するCD7膜通過断片を、以下の配列を有するオリゴヌクレオチドを用いてPCRにより得た。CGC GGG GCG GCC ACG CGT CCT CGC CAG CAC ACA(配列番号:14)。得られたPCR断片をBamHIおよびNotIで消化し、CD16:7:ζ(48〜65)構築物へと再び挿入した。残基33から65、71から104、および104から137をコードするζ断片を、PCR反応により得た。用いたプライマー対は、順方向プライマーの5’末端にMluI部位、および停止コドン、それに続く逆方向プライマーの5’末端にNotI部位を含む。各々の場合において制限酵素切断を確実にするため、制限部位はプライマーの5’末端から6残基一方の鎖が欠けていた。
Figure 0004170390
FcRγIIA欠失変異体の構築
全長構築物と同様な方法でPCRにより、カルボキシ末端FcRIIA欠失変異体を構築し、282位および298位のチロシンをコードする配列を停止コドン(TAA)に変換した。N末端欠失は、すでに構築されている発現プラスミドのMluI制限部位とNotI制限部位の間に得られた断片が挿入されるようにすることができるオリゴヌクレオチドを用いて、PCRを行うことにより、連続的に短縮した細胞内ドメインをコードする断片を増幅することにより作製した。該発現プラスミドは、CD7膜通過ドメインに融合したCD16細胞外ドメインをコードし、CD7膜通過ドメインはMluI部位、膜通過ドメインと細胞内ドメインとの結合部で終了する。
その他の態様
前述の実施例により、ζ、η、またはγキメラの凝集が、T細胞における細胞溶解エフェクター細胞反応を開始するために十分であることが示された。Tリンパ球、ナチュラルキラー細胞、好塩基性顆粒球、マクロファージ、および肥満細胞を含む既知の範囲のζ、η、およびγの発現により、保存された配列モチーフが、造血系に由来する細胞に共通の知覚装置と相互作用するのかもしれないということ、および免疫系における宿主防御の重要な成分がレセプター凝集過程により媒介されるかもしれないということが示された。
細胞溶解反応を起こすことができ、MHCクラスIIレセプターを有する標的細胞に対する反応を起こさないということは、ζ、η、またはγに基づいたキメラが、養子免疫治療によりAIDSを遺伝学的に防止するための基礎となることを示している。内因性ζおよびγは広範に分布し、γと相互作用したFcレセプターは異なる細胞型において細胞毒性を媒介するという証拠により(ファンガー(Fanger)ら、Immunol.Today 10:92〜99(1989))、様々な細胞をこの目的の対象とすることができる。例えば、循環系における寿命が非常に短い(約4時間)好中性顆粒球は非常に強い細胞溶解性で、キメラ発現のための都合のよい標的細胞である。好中球にHIVが感染してもウイルス放出が起こる可能性は低く、これらの細胞は豊富である(白血球の中で最も多く存在する)ため、宿主の防御が促進される。宿主細胞として都合のよいもう一つの可能性は、現在レトロウイルスを用いた遺伝子工学により入手可能な細胞群、即ち成熟T細胞である(ローゼンバーグ(Rosenberg),S.A.Sci.Am.262:62〜69(1990))。組換えIL-2の助けを借りることにより、T細胞群は、比較的容易に培地中で増殖させることができ、増殖した群は典型的に、再注入した際に限られた寿命を有する(ローゼンバーグ(Rosenberg)ら、N.Engl.J.Med.323:570〜578(1990))。
適当な条件の下で、CD4キメラを発現する細胞によるHIV認識はまた、分裂促進刺激をも提供し、それにより武装細胞群はウイルス負荷に対して劇的に反応することができる可能性がある。本発明者らは、本明細書において、細胞溶解性Tリンパ球における融合タンパク質の作用に焦点を当ててきたが、ヘルパーリンパ球におけるキメラの発現は、AIDSにおけるヘルパー細胞サブセットの破壊に対抗するHIV動員性の(HIV-mobilized)サイトカイン源を提供しうる。ウイルス侵入以外の段階における感染に対して、遺伝子工学的に抵抗するためのいくつかの手段が最近開示されているが(フリードマン(Friedman)ら、Nature 335:452〜454(1988);グリーン(Green)ら、Cell 58:215〜223(1989);マリム(Malim)ら、Cell 58:205〜214(1989);トゥロノ(Trono)ら、Cell 59:113〜120(1989);ボーノコア(Buonocore)ら、Nature 345:625〜628(1990))、それらは、CD4キメラを有する細胞が、細胞内の作用部位を有する適当な物質の発現により、ウイルス産生を妨害するために設計されうるということを示している。
自律的なキメラによりTリンパ球へシグナルを伝達することができるため、レトロウイルス遺伝子工学により作製したリンパ球をインビボで調節することもできる。例えば、補体結合ドメインを除去する操作を受けた特異的IgM抗体により媒介されるような架橋刺激により、このようなリンパ球をインサイチューで増加させることができ、同様な(例えば、キメラ鎖中に挿入されたアミノ酸変異を認識する)特異的IgG抗体で処理することにより、変異を受けた群を選択的に減少させることができる。さらに、抗CD4 IgM抗体は、CD4:ζキメラを発現するジャーカット細胞において、カルシウムを動員するためにさらなる架橋を必要としない。反復体外増幅に頼らずに細胞群を調節できるということは、現在提唱されている遺伝子工学によるT細胞の使用の範囲および効率を実質的に拡大しうる。
ζ、ηまたはγの細胞内配列を含むその他のキメラを作出するために、受容体の細胞外ドメインをコードするcDNAまたはゲノム配列に、選択される膜通過ドメインの直後の位置に導入される制限酵素切断部位を付与することができる。その後、制限酵素切断部位内部で終結するような細胞外ドメイン断片を、ζ、ηまたはγ配列に連結することができる。典型的な細胞外ドメインは、補体、糖鎖、ウイルス蛋白質、細菌、原生動物もしくは後生動物寄生体、またはそれらによって誘発される蛋白質を認識する受容体に由来し得る。同様に、病原体または腫瘍細胞により発現されるリガンドまたは受容体は、こうしたリガンドを認識する受容体を有する細胞に対する免疫応答を指令するζ、ηまたはγ配列に連結され得る。
本発明をその特定の態様との関連において開示してきたが、さらに修飾を加えることが可能であり、本願は、本発明の修飾、使用、または適用を含むものであり、また本発明が属する分野において本開示から行われ、本明細書または添付の請求の範囲に記載された本質的な特徴に適用される改良も含むということを理解すべきである。
配列表
(1)一般情報:
(i)出願人:Seed, Brian et al.
(ii)発明の名称:受容体キメラによる細胞性免疫の再指示
(iii)配列数:40
(iv)文書通信情報:
(A)宛名:Fish & Richardson P.C.
(B)街路名:225 Franklin Street
(C)市名:Boston
(D)州名:MA
(E)国名:USA
(F)郵便番号:02110-2804
(v)コンピューター読み取りフォーム:
(A)メディア形式:3.5”Diskette, 1.44Mb
(B)コンピューター:IBM PS/2 Model 50Z or 55SX
(C)運転システム:IBM P.C. DOS(Version 3.30)
(D)ソフトウェア:Wordperfect(Version 5.0)
(vi)現出願データ:
(A)出願番号:PCT/US96/-----
(B)出願日:Herewith
(vii)親出願データ:
(A)出願番号:08/394,176
(B)出願日:24 February 1995
(viii)弁理士/代理人情報:
(A)氏名:Karen F. Lech, Ph.D
(B)登録番号:35,238
(C)参照/明細書番号:00786/270001
(ix)電気通信情報:
(A)電話:(617)542-5070
(B)ファックス:(617)542-8906
(C)テレックス:200154
(2)配列番号:1の情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ:1728塩基対
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:二本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:DNA(genomic)
(xi)配列の記載:配列番号:1:
Figure 0004170390
Figure 0004170390
(2)配列番号:2の情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ:1389塩基対
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:二本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:DNA(genomic)
(xi)配列の記載:配列番号:2:
Figure 0004170390
(2)配列番号:3の情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ:1599塩基対
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:二本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:DNA(genomic)
(xi)配列の記載:配列番号:3:
Figure 0004170390
Figure 0004170390
(2)配列番号:4の情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ:575アミノ酸
(B)配列の型:アミノ酸
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:タンパク質
(xi)配列の記載:配列番号:4:
Figure 0004170390
Figure 0004170390
Figure 0004170390
(2)配列番号:5の情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ:462アミノ酸
(B)配列の型:アミノ酸
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:タンパク質
(xi)配列の記載:配列番号:5:
Figure 0004170390
Figure 0004170390
Figure 0004170390
(2)配列番号:6の情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ:532アミノ酸
(B)配列の型:アミノ酸
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:タンパク質
(xi)配列の記載:配列番号:6:
Figure 0004170390
Figure 0004170390
Figure 0004170390
(2)配列番号:7の情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ:33塩基
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:核酸
(xi)配列の記載:配列番号:7:
Figure 0004170390
(2)配列番号:8の情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ:50塩基
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:核酸
(xi)配列の記載:配列番号:8:
Figure 0004170390
(2)配列番号:9の情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ:33塩基
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:核酸
(xi)配列の記載:配列番号:9:
Figure 0004170390
(2)配列番号:10の情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ:33塩基
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:核酸
(xi)配列の記載:配列番号:10:
Figure 0004170390
(2)配列番号:11の情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ:15塩基
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:核酸
(xi)配列の記載:配列番号:11:
Figure 0004170390
(2)配列番号:12の情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ:42塩基
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:核酸
(xi)配列の記載:配列番号:12:
Figure 0004170390
(2)配列番号:13の情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ:48塩基
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:核酸
(xi)配列の記載:配列番号:13:
Figure 0004170390
(2)配列番号:14の情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ:33塩基
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:核酸
(xi)配列の記載:配列番号:14:
Figure 0004170390
(2)配列番号:15の情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ:36塩基
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:核酸
(xi)配列の記載:配列番号:15:
Figure 0004170390
(2)配列番号:16の情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ:33塩基
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:核酸
(xi)配列の記載:配列番号:16:
Figure 0004170390
(2)配列番号:17の情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ:33塩基
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:核酸
(xi)配列の記載:配列番号:17:
Figure 0004170390
(2)配列番号:18の情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ:26塩基
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:核酸
(xi)配列の記載:配列番号:18:
Figure 0004170390
(2)配列番号:19の情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ:42塩基
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:核酸
(xi)配列の記載:配列番号:19:
Figure 0004170390
(2)配列番号:20:の情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ:40塩基
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:核酸
(xi)配列の記載:配列番号:20:
Figure 0004170390
(2)配列番号:21の情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ:32塩基
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:核酸
(xi)配列の記載:配列番号:21:
Figure 0004170390
(2)配列番号:22の情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ:31塩基
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:核酸
(xi)配列の記載:配列番号:22:
Figure 0004170390
(2)配列番号:23の情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ:31塩基
(B)配列の型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:核酸
(xi)配列の記載:配列番号:23:
Figure 0004170390
(2)配列番号:24の情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ:171アミノ酸
(B)配列の型:アミノ酸
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:アミノ酸
(xi)配列の記載:配列番号:24:
Figure 0004170390
(2)配列番号:25の情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ:182アミノ酸
(B)配列の型:アミノ酸
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:アミノ酸
(xi)配列の記載:配列番号:25:
Figure 0004170390
(2)配列番号:26の情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ:220アミノ酸
(B)配列の型:アミノ酸
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:アミノ酸
(xi)配列の記載:配列番号:26:
Figure 0004170390
(2)配列番号:27の情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ:228アミノ酸
(B)配列の型:アミノ酸
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:アミノ酸
(xi)配列の記載:配列番号:27:
Figure 0004170390
(2)配列番号:28の情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ:16アミノ酸
(B)配列の型:アミノ酸
(C)鎖の数:不明
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:タンパク質
(xi)配列の記載:配列番号:28:
Figure 0004170390
(2)配列番号:29の情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ:19アミノ酸
(B)配列の型:アミノ酸
(C)鎖の数:不明
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:タンパク質
(xi)配列の記載:配列番号:29:
Figure 0004170390
(2)配列番号:30の情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ:12アミノ酸
(B)配列の型:アミノ酸
(C)鎖の数:不明
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:タンパク質
(xi)配列の記載:配列番号:30:
Figure 0004170390
(2)配列番号:31の情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ:19アミノ酸
(B)配列の型:アミノ酸
(C)鎖の数:不明
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:タンパク質
(xi)配列の記載:配列番号:31:
Figure 0004170390
(2)配列番号:32の情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ:16アミノ酸
(B)配列の型:アミノ酸
(C)鎖の数:不明
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:タンパク質
(xi)配列の記載:配列番号:32:
Figure 0004170390
(2)配列番号:33の情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ:16アミノ酸
(B)配列の型:アミノ酸
(C)鎖の数:不明
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:タンパク質
(xi)配列の記載:配列番号:33:
Figure 0004170390
(2)配列番号:34の情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ:142アミノ酸
(B)配列の型:アミノ酸
(C)鎖の数:不明
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:タンパク質
(xi)配列の記載:配列番号:34:
Figure 0004170390
(2)配列番号:35の情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ:35アミノ酸
(B)配列の型:アミノ酸
(C)鎖の数:不明
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:タンパク質
(xi)配列の記載:配列番号:35:
Figure 0004170390
(2)配列番号:36の情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ:32アミノ酸
(B)配列の型:アミノ酸
(C)鎖の数:不明
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:タンパク質
(xi)配列の記載:配列番号:36:
Figure 0004170390
(2)配列番号:37の情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ:35アミノ酸
(B)配列の型:アミノ酸
(C)鎖の数:不明
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:タンパク質
(xi)配列の記載:配列番号:37:
Figure 0004170390
(2)配列番号:38の情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ:35アミノ酸
(B)配列の型:アミノ酸
(C)鎖の数:不明
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:タンパク質
(xi)配列の記載:配列番号:38:
Figure 0004170390
(2)配列番号:39の情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ:36アミノ酸
(B)配列の型:アミノ酸
(C)鎖の数:不明
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:タンパク質
(xi)配列の記載:配列番号:39:
Figure 0004170390
(2)配列番号:40の情報:
(i)配列の特性:
(A)配列の長さ:38アミノ酸
(B)配列の型:アミノ酸
(C)鎖の数:不明
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:タンパク質
(xi)配列の記載:配列番号:40:
Figure 0004170390

Claims (22)

  1. 有効量が投与された場合に、哺乳類において細胞性免疫反応を指示することができる薬剤を製造するための治療用細胞の使用方法であって、該治療用細胞は少なくとも二つの膜結合性蛋白様キメラ受容体を発現しており、
    該受容体の一つが、(a)標的細胞または標的感染体を特異的に認識し結合することが可能な細胞外部分、および(b)受容体結合標的細胞または受容体結合標的感染体を破壊するよう該治療用細胞へシグナルを送ることが可能なT細胞受容体ζ、T細胞受容体η、Fc受容体γIIA、またはFc受容体γIICの細胞内または膜通過部分を含み、かつ
    該受容体のもう一つが、(a)標的細胞または標的感染体を特異的に認識し結合することが可能な細胞外部分、および(b)CD28細胞内部分を含む、
    使用方法。
  2. 標的細胞が、感染体に感染した宿主細胞、腫瘍もしくは癌細胞、または自己免疫産生細胞である、請求項1記載の方法。
  3. 細胞性反応がMHC-非依存的である、請求項1記載の方法。
  4. 標的感染体または標的細胞に対する細胞外部分の結合後に、膜通過部分が治療用細胞の細胞溶解性シグナル伝達蛋白質と重合し、その結果該受容体結合標的細胞または標的感染体の破壊が起こる、請求項1記載の方法。
  5. キメラ受容体が以下のいずれかを含む、請求項記載の方法:
    (a)配列番号:6のアミノ酸421〜532;
    (b)配列番号:6のアミノ酸(a)423〜455;(b)438〜455;(c)461〜494;もしくは(d)494〜528;
    (c)配列番号:6のアミノ酸400〜420;
    (d)配列番号:4のアミノ酸421〜575;
    (e)配列番号:4のアミノ酸(a)423〜455;(b)438〜455;(c)461〜494;もしくは(d)494〜528;
    (f)配列番号:4のアミノ酸400〜420;
    (g)配列番号:5のアミノ酸421〜462;
    (h)配列番号:5のアミノ酸402〜419;または
    (i)アミノ酸配列Tyr Met Thr Leu Asn Pro Arg Ala Pro Thr Asp Asp Asp Lys Asn Ile Tyr
  6. 治療用細胞が細胞障害性Tリンパ球である、請求項記載の方法。
  7. 標的感染体が免疫不全ウイルスである、請求項記載の方法。
  8. 細胞外部分に、CD4のHIVエンベロープ結合部分が含まれる、請求項記載の方法。
  9. CD4のHIV-エンベロープ結合部分に、配列番号:1のヌクレオチド1〜369にコードされるペプチドが含まれる、請求項記載の方法。
  10. 治療用細胞が受容体結合標的細胞または標的感染体を細胞溶解によって破壊する、請求項記載の方法。
  11. 受容体の一つが、(a)標的細胞または標的感染体を特異的に認識し結合することが可能な細胞外部分、および(b)受容体結合標的細胞または受容体結合標的感染体を破壊するよう治療用T細胞へシグナルを送ることが可能な、T細胞受容体ζ、T細胞受容体η、Fc受容体γIIA、またはFc受容体γIICの細胞内または膜通過部分を含み、かつ
    受容体のもう一つが、(a)標的細胞または標的感染体を特異的に認識し結合することが可能な細胞外部分、および(b)CD28細胞内部分を含む、
    少なくとも二つの蛋白様膜結合性キメラ受容体を発現する治療用T細胞。
  12. 標的細胞が、感染体に感染した宿主細胞、腫瘍もしくは癌細胞、または自己免疫産生細胞である、請求項11記載の細胞。
  13. 結合がMHC-非依存的である、請求項11記載の細胞。
  14. キメラ受容体が以下のいずれかを含む、請求項11記載の細胞:
    (a)配列番号:6のアミノ酸421〜532;
    (b)配列番号:6のアミノ酸(a)423〜455;(b)438〜455;(c)461〜494;もしくは(d)494〜528;
    (c)配列番号:6のアミノ酸400〜420;
    (d)配列番号:4のアミノ酸421〜575;
    (c)配列番号:4のアミノ酸(a)423〜455;(b)438〜455;(c)461〜494;もしくは(d)494〜528;
    (f)配列番号:4のアミノ酸400〜420;
    (g)配列番号:5のアミノ酸421〜462;
    (h)配列番号:5のアミノ酸402〜419;または
    (i)アミノ酸配列Tyr Met Thr Leu Asn Pro Arg Ala Pro Thr Asp Asp Asp Lys Asn Ile Tyr
  15. 細胞外部分に、受容体のリガンド結合部分、リガンドの受容体結合部分、または抗体の抗原結合部分が含まれる、請求項11記載の細胞。
  16. 標的感染体が免疫不全ウイルスである、または標的細胞が免疫不全ウイルスに感染した宿主細胞である、請求項11記載の細胞。
  17. 細胞外部分に、CD4のHIVエンベロープ結合部分が含まれる、請求項16記載の細胞。
  18. CD4のHIV-エンベロープ結合部分に、配列番号:1のヌクレオチド1〜369にコードされるペプチドが含まれる、請求項17記載の細胞。
  19. 治療用T細胞が、受容体結合標的細胞または標的感染体を細胞溶解によって破壊する、請求項11記載の細胞。
  20. キメラ受容体が以下のいずれかを含む、請求項11記載の細胞
    (a)CD16、CD7、もしくはCD5の細胞外部分;
    (b)CD5、もしくはCD7の膜通過部分;または
    (c)CD5細胞内部分。
  21. 受容体の一つが、(a)標的細胞または標的感染体を特異的に認識し結合することが可能な細胞外部分、および(b)受容体結合標的細胞または受容体結合標的感染体を破壊するよう治療用T細胞へシグナルを送ることが可能な、T細胞受容体ζ、T細胞受容体η、Fc受容体γIIA、またはFc受容体γIICの細胞内または膜通過部分を含み、かつ
    受容体のもう一つが、(a)標的細胞または標的感染体を特異的に認識し結合することが可能な細胞外部分、および(b)CD28細胞内部分を含む、
    一対の蛋白様膜結合性キメラ受容体。
  22. 受容体の一つが、(a)標的細胞または標的感染体を特異的に認識し結合することが可能な細胞外部分、および(b)受容体結合標的細胞または受容体結合標的感染体を破壊するよう治療用T細胞へシグナルを送ることが可能な、T細胞受容体ζ、T細胞受容体η、Fc受容体γIIA、またはFc受容体γIICの細胞内または膜通過部分を含み、かつ
    受容体のもう一つが、(a)標的細胞または標的感染体を特異的に認識し結合することが可能な細胞外部分、および(b)CD28細胞内部分を含む、
    各々が蛋白様膜結合性キメラ受容体をコードする、一対のDNA分子。
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