JP4169839B2 - 真空処理装置、及び真空処理方法 - Google Patents

真空処理装置、及び真空処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は静電チャックプレートを有する真空処理装置にかかり、特に、RF電圧が印加される静電チャックプレートを有する真空処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、真空装置内には静電チャックプレートが配置されており、静電チャックプレート上に載置された基板を静電吸着し、真空雰囲気中でスパッタリングやCVD等の処理が行われている。
【0003】
図4の符号104は、上記のような真空装置の従来技術のものを示しており、真空槽130を有している。真空槽130の天井にはプラズマ電極131が配置されており、底壁上には台座133が設けられている。該台座133上には、内部には、2枚のチャック電極111a、111bが配置された双極型の静電チャックプレート110が配置されている。
【0004】
真空槽130の外部には、高周波電源132と、電流計134a、134bと、直流電源136a、136bとが配置されており、プラズマ電極131は高周波電源132に接続され、2枚のチャック電極111a、111bは、それぞれ電流計134a、134bを介して、直流電源136a、136bに接続されている。
【0005】
直流電源136a、136bは、互いに逆の極性でチャック電極111a、111bに接続されており、一方のチャック電極111aには正電圧が、他方のチャック電極111bには負電圧が印加されるように接続されている。真空槽30自体はグラウンド電位に置かれている。
【0006】
台座133及び静電チャックプレート110内には、基板昇降機構138が配置されており、真空槽110内の真空雰囲気を維持しながら基板昇降機構138を動作させると、図示しない基板搬送ロボットと基板の受け渡しができ、また、静電チャックプレート110上に基板を着脱できるように構成されている。
【0007】
この真空処理装置104を使用する際、先ず、真空槽130内に基板を搬入し、基板昇降機構138を動作させて基板を静電チャックプレート110上に載置する。
【0008】
図4の符号108はその状態の基板を示しており、次いで、チャック電極111a、111bに正負の電圧を印加すると、基板108は静電チャックプレート110上に静電吸着される。
【0009】
真空槽130内にスパッタリングガスやCVD反応の原料ガス等の所望のガスを導入した後、高周波電源132を起動し、電極131に高周波電圧を印加すると真空槽130内に導入したガスのプラズマが発生する。そのプラズマにより、基板108に対し、スパッタリングやCVD等の真空処理を行うことができる。
【0010】
真空処理が終了すると、高周波電源132と直流電源136a、136bを停止させ、静電チャックプレート110への電圧印加を停止した後、基板昇降機構138を動作させ、基板108を静電チャックプレート110上から持ち上げ、未処理の基板と交換し、真空処理を続行する。
【0011】
上記のように静電チャックプレート110への電圧印加により基板を吸着させると、静電チャックプレート110に残留電荷が発生する場合がある。残留電荷は静電吸着力を発生させるので、その静電吸着力の影響により、静電チャックプレート110上から基板108を着脱させるときにはチャック電極111a、111bに電圧が印加されていないのに、基板が静電チャックプレート110上で飛び跳ね、基板昇降機構138上から脱落したり、基板昇降機構138上で位置ズレしたりする場合がある。
【0012】
上記のように残留電荷が存在していると、静電チャックプレート110に基板を着脱する際に、残留電荷に起因する静電誘導によって、直流電源136a、136bに電流が流れることが知られている。また、基板載置後、直流電源136a、136bをON/OFFして基板を吸着、脱着する際にも過渡電流が流れることも知られている。
【0013】
図6(a)は、基板108が正常に着脱された場合に流れる電流の一例を電流計134a、134bで測定したグラフである。このグラフでは、時刻s1において静電チャックプレート110上に基板108が吸着されており、次いで、時刻s2において直流電源136a、136bがOFFにされ、基板108の吸着が終了している。時刻s1、s2における基板108の吸着がオン、オフする際に、それぞれ符号I0、I1で示した値の過渡電流が流れている。
【0014】
上記電流値I0、I1は、基板108の着脱が正常に行われた場合であるが、この電流曲線の形状を解析すると、基板と静電チャックプレート間に流入する電荷量が求まり、その値からチャック力を導出できることが知られている(特開平10−127072)。図6(a)の時刻s3において、基板108が静電チャックプレート110から持ち上げられている。その際上記で述べた残留電荷に起因するパルス電流(図では符号I2で示す電流)が流れている。残留電荷量が大きくなると、電流パルスの値(正確にはその積分値)も大きくなるため、リフトアップ時に残留吸着力により基板がずれてしまう危険性を予知することができる。また、リフトアップ時に基板がずれた場合には、電流パルスの波形が正常にシフトアップした時と異なるために、その状態を検知することができる(特願平9−150212)。
【0015】
従って、予め正常時の波形及び電流値を記録しておき、その電流と、実際に基板が吸着あるいは脱離したときに流れた電流とを比較すると、逆に、基板の吸着、脱離が正常に行われたか否かを知ることができる。
【0016】
ところが、プラズマを用いるドライエッチング装置等においては、エッチングの高速化や高アスペクト比化のために、基板に高周波電圧を印加する真空処理装置が用いられている。
【0017】
そのような真空処理装置では、一般に、静電チャックプレートを介して基板に直接高周波電圧が印加されたり、又は、台座と静電チャックプレートを介して基板に高周波電圧が印加されるように構成されている。
【0018】
図5の符号105は、そのような真空処理装置を示しており、真空槽140底壁上に、台座143と静電チャックプレート120とがこの順に配置されている。
【0019】
真空槽140外部には、高周波電源142と、直流電源146a、146bと、高周波除去フィルタ145a、145bとが配置されており、台座143は、高周波電源142に接続されている。
【0020】
静電チャックプレート120内には、2枚のチャック電極121a、121bが設けられており、各チャック電極121a、121bは、高周波除去フィルタ145a、145bを介して直流電源146a、146bに接続されている。
【0021】
静電チャックプレート120及び台座143内には、基板昇降機構148が配置されており、基板昇降機構148を用い、基板109を静電チャックプレート120上に載置し、直流電源146a、146bを起動し、チャック電極121a、121bに正負の電圧を印加し、基板109を静電チャックプレート120表面に吸着すると共に、真空槽140内に所望のガスを導入すると共に、高周波電源142を起動し、台座143に高周波電圧を印加すると、台座143及び静電チャックプレート120を介して、基板109に高周波電圧が印加され、導入ガスのプラズマが、基板109表面近傍に高密度に生成される。
【0022】
その際、チャック電極121a、121bにも高周波電圧が印加されるが、この真空処理装置104では、チャック電極121a、121bと直流電源146a、146bの間に、高周波除去フィルタ145a、145bが挿入されており、チャック電極121a、121bに印加された高周波電圧は高周波除去フィルタ145a、145b内のコイル151a、151b及びコンデンサ152a、152bによって除去され、直流電源146a、146b内に侵入しないようになっている。
【0023】
しかし、上記の真空処理装置105において、チャック電極121a、121bと直流電源146a、146bの間に電流計146a、146bを挿入し、基板109の吸着状態や残留電荷による吸着状態を検出しようとする場合には、先に記した電流が、高周波除去フィルタ145a、145bを通って流れる。
【0024】
高周波除去フィルタ145a、145b内には、コイル151a、151bが存在するため、電流がパルス状に流れる場合(時間変化して流れる場合)には、下記のような逆向きの起電力Vrが発生してしまう。
【0025】
Vr = −Ls・di/dt(Ls:コイルの自己インダクタンス値)
上記のような起電力Vrが発生すると、その影響による電流が流れ、その電流がまた起電力を発生させるため、図6(b)のグラフに示すように、基板が吸着及び脱離する際に流れる電流が振動してしまう。
【0026】
また、高周波除去フィルタ145a、145b内には、接地されたコンデンサ152a、152bが存在するため、直流電源146a、146bがONした時に流れる電流のピーク値が大きくなり、いずれにしろ、高周波除去フィルタ145a、145bが挿入されている場合には、挿入されていない場合とは異なる波形、電流値の電流が流れるため、吸着状態及び脱離状態の判断や、残留電荷の定量的な評価が行えなくなってしまう。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来技術の課題を解決するために創作されたものであり、その目的は、高周波除去フィルタを有する真空処理装置においても、基板の吸着状態や脱離状態を正確に判断できる技術を提供することにある。
【0028】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、静電チャックプレートと、フィルタ装置と、直流電源とを有し、前記静電チャックプレート内に設けられたチャック電極が、前記フィルタ装置を介して前記直流電源に接続され、前記直流電源によって前記チャック電極に電圧を印加すると、前記静電チャックプレート上に載置された基板を静電吸着できるように構成された真空処理装置であって、前記フィルタ装置は、高周波除去フィルタとバイパススイッチとを有し、前記高周波除去フィルタは、前記直流電源の出力と前記チャック電極の間に挿入され、前記バイパススイッチは、前記高周波除去フィルタに並列接続され、該バイパススイッチを閉成状態にすると、該バイパススイッチを介して、前記直流電源の電圧を前記チャック電極に印加できるように構成されたことを特徴とする。
【0029】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の真空処理装置であって、前記高周波除去フィルタには切断スイッチが設けられ、該切断スイッチを開放状態にすると、前記高周波除去フィルタを、前記直流電源又は前記静電チャックプレートのいずれか一方又は両方から切り離せるように構成されたことを特徴とする。
【0030】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2のいずれか1項記載の真空処理装置を用い、前記バイパススイッチを開放状態にし、前記直流電源によって前記チャック電極に直流電圧を印加し、基板を前記静電チャックプレート上に静電吸着しながら前記基板に高周波電圧を印加し、前記基板表面にプラズマを発生させ、前記基板の処理を行う真空処理方法であって、前記静電チャックプレート上に前記基板を載置する場合、又は前記静電チャックプレート上から前記基板を脱離させる場合のいずれか一方又は両方の場合において、前記バイパススイッチを閉成状態にし、前記直流電源に流出入する電流を測定し、前記基板の状態を判断することを特徴とする。
【0031】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の真空処理方法であって、前記直流電源に流出入する電流を測定する際に、前記切断スイッチを開放状態にすることを特徴とする。
【0032】
本発明は上記のように構成されており、静電チャックプレートと、フィルタ装置と、直流電源とを有しており、静電チャックプレート内に設けられたチャック電極が、フィルタ装置を介して直流電源に接続されている。
【0033】
フィルタ装置内には、直流電源の出力とチャック電極の間に挿入された高周波除去フィルタが設けられており、従って、静電チャックプレート上に基板を載置し、直流電源を起動すると、高周波除去フィルタを介してチャック電極に直流電圧が印加させることができる。
【0034】
その結果、基板を静電チャックプレート上に静電吸着した状態で、基板に高周波電圧を印加しても、その高周波電圧は高周波除去フィルタによって除去されるので、直流電源に高周波電圧が侵入しないようになっている。
【0035】
そして、フィルタ装置内には、高周波除去フィルタに対してバイパススイッチが並列接続されている。従って、基板に高周波電圧が印加されない場合には、バイパススイッチを閉成状態にすると、高周波除去フィルタの両端が短絡し、基板着脱の際の電流が、バイパススイッチを通って直流電源に流出入するので、高周波除去フィルタの影響がない状態で電流測定を行うことができる。その結果、着脱の際の電流を測定することで、基板が正常に載置又は脱離されたか否かを正確に判断することができる。
【0036】
高周波除去フィルタ内に、接地電位に接続されたコンデンサが設けられている場合には、高周波除去フィルタに切断スイッチを設けておき、着脱時の電流を測定する際には、高周波除去フィルタを電流が流れる経路から取り外しておくと、コンデンサの影響が無くなり、着脱の際に流れる電流を正確に測定することが可能になる。
【0037】
高周波除去フィルタを直流電源とチャック電極の間に挿入し、又は取り外す際には、バイパススイッチを閉成状態にしておくと、チャック電極には直流電圧が印加され続けるので、静電チャックプレート上に載置された基板が不安定になることはない。
【0038】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態を、図面を用いて説明する。
図1の符号2は、本発明の一例の真空処理装置を示している。この真空処理装置2は、接地電位に接続された真空槽40を有しており、該真空槽40の底壁上には、台座43が設けられている。その台座43上には、内部に2枚のチャック電極21a、21bを有する双極型の静電チャックプレート20が配置されている。
【0039】
この静電チャックプレート20及び台座43内には、基板昇降機構48が配置されており、真空槽40内の真空雰囲気を維持したまま、静電チャックプレート20上に、基板を着脱(載置及び離脱)させられるように構成されている。
【0040】
真空槽40の外部には、高周波電源42が配置されており、該高周波電源42は、台座43に接続されている。
【0041】
また、真空槽40の外部には、電流計44a、44bと、フィルタ装置10a、10bと、直流電源46a、46bが2台ずつ配置されている。
【0042】
各チャック電極21a、21bは、電流計44a、44bと、フィルタ装置10a、10bとを介して直流電源46a、46bに接続されている。
【0043】
各フィルタ装置10a、10b内には、高周波除去フィルタ45a、45bと、バイパススイッチ8a、8bが1個ずつと、また、切断スイッチ6a、7a、6b、7bが2個ずつ設けられている。
【0044】
各2個の切断スイッチ6a、7a、6b、7bのうち、一方の切断スイッチ6a、6bは高周波除去フィルタ45a、45bの一端に接続されており、また、高周波除去フィルタ45a、45bの他端は、他方の切断スイッチ7a、7bに接続されている。従って、切断スイッチ6a、7a、高周波除去フィルタ45a、45b、切断スイッチ6b、7bは、この順序で直列接続されており、各切断スイッチ6a、6b、7a、7bを閉成状態にすると、電流計44a、44bと直流電源46a、46bとの間が、高周波除去フィルタ45a、45bを介して接続されるように構成されている。
【0045】
この高周波除去フィルタ45a、45bの内部には、コイル51a、51bと、コンデンサ52a、52bとが設けられている。高周波除去フィルタ45a、45bの内部では、コイル51a、51bが、切断スイッチ6a、6b、7a、7b間を接続するように構成されており、また、コイル51a、51bと直流電源46a、46b側の切断スイッチ7a、7bとの接続部分には、接地されたコンデンサ52a、52bが接続されている。
【0046】
このような構成により、直流電源46a、46bが出力する直流電圧は、高周波除去フィルタ45a、45b内のコイル51a、51bを介してチャック電極21a、21bに印加され、他方、後記するように、チャック電極21a、21bに印加された高周波電圧は、コイル51a、51b及びコンデンサ52a、52bによって除去され、直流電源46a、46bには侵入しないようになっている。
【0047】
また、これら短絡スイッチ6a、6b、7a、7bと高周波除去フィルタ45a、45bとが構成する直列回路に対し、バイパススイッチ8a、8bが並列接続されており、バイパススイッチ8a、8bを閉成状態にすると、チャック電極21a、21b及び電流計44a、44bを、高周波除去フィルタ45a、45bを介さずに、直流電源46a、46bに直結できるように構成されている。
【0048】
以上のような真空処理装置2を用い、複数の基板を連続的に処理する場合を説明する。静電チャックプレート20上に処理が終了した基板が載置されている場合には、先ず、基板昇降機構48を動作させ、その基板を静電チャックプレート20上から脱離させ、図示しない基板搬送ロボットを用いて真空槽40外に搬出した後、未処理の基板8を搬入する。
【0049】
真空槽40外部には、各スイッチ6a、6b、7a、7b、8a、8bの開閉状態と、直流電源46a、46b、高周波電源42、及び基板昇降機構48の動作や真空槽40内へのガス導入を制御する制御装置4が配置されている。この制御装置4により、図2のタイミングチャートに沿って真空処理が自動的に進められる。
【0050】
真空槽40内に未処理の基板8が搬入されるときには、制御装置4によって、バイパススイッチ8a、8bが閉成状態にされており、切断スイッチ6a、6b、7a、7bは開放状態にされている(図2の時刻t1以前)。
【0051】
このとき、高周波除去フィルタ45a、45bの両端は開放されており、チャック電極21a、21bは、バイパススイッチ8a、8bを介して直流電源46a、46bに接続されている。
【0052】
その状態で基板昇降機構48が動作し、基板8が静電チャックプレート20上に載置された後、直流電源46a、46bが起動すると(図2の時刻t1)、静電チャックプレート20と基板8の吸着により過渡電流が、バイパススイッチ8a、8bと電流計44a、44bを通って流れる。
【0053】
その電流は、電流計44a、44bによって測定される。この場合、静電チャックに起因する電流は高周波除去フィルタ45a、45bを通らないため、波形が歪まず、コンデンサの影響を受けないため、電流値も正確に測定することができる。測定された電流は、制御装置4内に予め記憶されていた電流の波形及び電流値と比較され、その比較結果により、基板8の載置が正常に行われたか否かが判断される。異常と判断された場合には、警報が出力され、真空処理が中断される。
【0054】
正常と判断された場合には、切断スイッチ6a、6b、7a、7bが閉成状態にされ(図2の時刻t2)、次いで、バイパススイッチ8a、8bが開放状態にされ(図2の時刻t3)、チャック電極21a、21bが、高周波除去フィルタ45a、45bを介して、直流電源46a、46bに接続された状態になる。
【0055】
この状態では、チャック電極21a、21bには、高周波除去フィルタ45a、45bを介して直流電圧が印加されており、基板8は、静電チャックプレート20表面に静電吸着される。
【0056】
次いで、制御装置4により、真空槽40内にエッチングガス等の処理ガスが導入された後、高周波電源42が起動され、台座43に高周波電圧が印加される(図2の時刻t4)。すると、静電チャックプレート20を介して、基板8に高周波電圧が印加される。その結果、基板8表面近傍に処理ガスのプラズマが生成され、基板8表面が高密度のプラズマで処理される。
【0057】
このとき、基板8は静電チャックプレート20表面に静電吸着されているので、静電チャックプレート20との間の熱抵抗が小さく、台座43内のヒータや冷却装置によって精度よく温度制御することができる。
【0058】
また、チャック電極21a、21bと直流電源46a、46b間には、高周波除去フィルタ45a、45bが挿入されているので、チャック電極21a、21bに印加された高周波電圧は、高周波除去フィルタ45a、45bによって除去され、直流電源46a、46bに侵入しないようになっている。
【0059】
上記のような高周波電圧を用いた真空処理が終了すると、高周波電源42が停止され(図2の時刻t5)、次いで、バイパススイッチ8a、8bが閉成状態にされると(図2の時刻t6)、チャック電極21a、21bに、バイパススイッチ8a、8bを介して直流電圧が印加される。次いで、切断スイッチ6a、6b、7a、7bが開放状態にされると(図2の時刻t7)、高周波除去フィルタ45a、45bは、直流電圧が印加される経路から切り離される。
【0060】
以上により、真空処理が開始してから高周波除去フィルタ45a、45bが切り離されるまでの間、基板8は静電吸着された状態が維持される。
【0061】
最後に、直流電源46a、46bが停止され(停止状態では、直流電源46a、46bの両端は短絡している。)(時刻t8)、基板昇降機構48の動作によって、基板8を静電チャックプレート20上から持ち上げられる(脱離される)と、基板8及び静電チャックプレート20に残留電荷が存する場合には、直流電源46a、46bに電流が流出入する。
【0062】
この状態は、基板8が載置されたときと同様に、チャック電極21a、21bは、バイパススイッチ8a、8bを介して直流電源46a、46bに接続されており、残留電荷に起因する電流は高周波除去フィルタ45a、45bを通らない。従って、電流計44a、44bによって測定される電流の波形は歪んでおらず、また、電流値も正確である。
【0063】
制御装置4により、測定された電流の波形及び電流値は、予め記憶されていた電流と比較され、基板8の脱離が正常に行われたか否かが判断される。
【0064】
以上説明したように、本発明によれば、真空処理が行われるときには、チャック電極21a、21bと直流電源46a、46bとの間は、高周波除去フィルタ45a、45bを介して接続されるので、チャック電極21a、21bに高周波電圧が印加されても、その高周波電圧は直流電源46a、46bには侵入せず、直流電源46a、46bが破壊されたり劣化したりしないようになっている。
【0065】
他方、基板8が静電チャックプレート20表面に吸着される場合と、それが解除される場合、及び静電チャックプレートから着脱される際には、チャック電極21a、21bと直流電源46a、46bとは、バイパススイッチ8a、8bによって直結されるので、流れる電流の波形が歪まず、また、電流値を正確に測定できるので、基板8の吸着及び脱離状態を正確に検出できるようになっている。
【0066】
なお、図2のタイミングチャートでは、基板8が静電チャックプレート上に存しない場合、チャック電極21a、21bは、バイパススイッチ8a、8bを介して直流電源46a、46bに接続されていたが(このとき、直流電源46a、46bは停止している。)、図3のタイミングチャートに示すように、バイパススイッチ8a、8bを開放状態、切断スイッチ6a、6b、7a、7bを閉成状態にし、高周波除去フィルタ45a、45bによって、直流電源46a、46bに接続させてもよい。
【0067】
要するに、本発明は、チャック電極21a、21bに高周波電圧が印加されるときは、直流電源46a、46bとチャック電極21a、21bの間に高周波除去フィルタ45a、45bを挿入させ、基板が吸着する際や基板が脱離する際には、チャック電極21a、21bと直流電源46a、46bを直結させ、吸着、脱離時に流れる電流により、基板の状態を判断できる真空処理装置を広く含むものである。
【0068】
なお、以上は2個のチャック電極21a、21bを有する双極型の静電チャックプレート20を有する真空処理装置2について説明したが、チャック電極を1個しか有しない単極型の静電チャックプレートを用いた真空処理装置も本発明に含まれる。
【0069】
また、上記実施例では高周波電圧を台座43に印加する図で説明したが、本発明はフィルター装置10a、10bとチャック電極21a、21bとの間に接続し、チャック電極自身に高周波電圧を重畳する場合においても同様の効果を与える。
【0070】
【発明の効果】
高周波除去フィルタを用いた場合でも、基板着脱の状態を正確に知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の真空処理装置の一例を示す概略構成図
【図2】その真空処理装置の動作の一例を説明するためのタイミングチャート
【図3】その動作の他の例を説明するためのタイミングチャート
【図4】基板着脱状態を知ることができるが、基板に高周波電圧を印加できない従来技術の真空処理装置
【図5】基板に高周波電圧を印加できるが、基板着脱状態を正確に知ることができない従来技術の真空処理装置
【図6】(a):図4の真空処理装置の基板吸着時及び基板脱離時に流れる電流を示すグラフ
(b):図5の真空処理装置の基板吸着及び着脱時に流れる電流を示すグラフ
【符号の説明】
2……真空処理装置
4……制御装置
6a、6b、7a、7b……切断スイッチ
8a、8b……バイパススイッチ
10a、10b……フィルタ装置
20……静電チャックプレート
21a、21b……チャック電極
42……高周波電源
45a、45b……高周波除去フィルタ
46a、46b……直流電源

Claims (4)

  1. 静電チャックプレートと、フィルタ装置と、直流電源とを有し、
    前記静電チャックプレート内に設けられたチャック電極が、前記フィルタ装置を介して前記直流電源に接続され、
    前記直流電源によって前記チャック電極に電圧を印加すると、前記静電チャックプレート上に載置された基板を静電吸着できるように構成された真空処理装置であって、
    前記フィルタ装置は、高周波除去フィルタとバイパススイッチとを有し、
    前記高周波除去フィルタは、前記直流電源の出力と前記チャック電極の間に挿入され、
    前記バイパススイッチは、前記高周波除去フィルタに並列接続され、該バイパススイッチを閉成状態にすると、該バイパススイッチを介して、前記直流電源の電圧を前記チャック電極に印加できるように構成されたことを特徴とする真空処理装置。
  2. 前記高周波除去フィルタには切断スイッチが設けられ、該切断スイッチを開放状態にすると、前記高周波除去フィルタを、前記直流電源又は前記静電チャックプレートのいずれか一方又は両方から切り離せるように構成されたことを特徴とする請求項1記載の真空処理装置。
  3. 請求項1又は請求項2のいずれか1項記載の真空処理装置を用い、
    前記バイパススイッチを開放状態にし、前記直流電源によって前記チャック電極に直流電圧を印加し、基板を前記静電チャックプレート上に静電吸着しながら前記基板に高周波電圧を印加し、前記基板表面にプラズマを発生させ、前記基板の処理を行う真空処理方法であって、
    前記静電チャックプレート上に前記基板を載置する場合、又は前記静電チャックプレート上から前記基板を脱離させる場合のいずれか一方又は両方の場合において、前記バイパススイッチを閉成状態にし、前記直流電源に流出入する電流を測定し、前記基板の状態を判断することを特徴とする真空処理方法。
  4. 前記直流電源に流出入する電流を測定する際に、前記切断スイッチを開放状態にすることを特徴とする請求項3記載の真空処理方法。
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