JP4168704B2 - 電源回路 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電源回路に関し、特に、CMOSインバータ回路を用いた電源回路などにおいて、出力電圧の変化を監視して誤差信号を得、PWM信号を生成する際に、負荷の変化に対して高速に応答でき、安定した出力電圧を得ることができるようにした電源回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話などのモバイル機器が普及し、負荷となる回路を電池で駆動する機会が増えており、電源回路の消費電力が小さいことが必要不可欠となっている。また、電源回路は、負荷変動に対して高速に応答可能であることも必要不可欠となっている。
【0003】
特に、集積回路を使用した電子機器の普及に伴い、低電圧で低消費電力の安定化直流電源が必要となる。
【0004】
負荷及び入力の変動に合わせて、トランジスタをオン,オフさせてスイッチ作用で電源の安定化を図れば、無駄に消費される電力を少なくできるため、電源の効率が非常に良くなる。つまり、トランジスタのオン期間(或いはオンデューティ)を変化させることで電源の安定化を図ることができる。そのような効率的な電源回路として、CMOS集積回路を用いた同期整流型スイッチングレギュレータがある。
【0005】
CMOS集積回路は、Nチャンネルトランジスタ(以下、NMOSと略記する)とPチャンネルトランジスタ(以下、PMOSと略記する)の2種類のMOSトランジスタを組み合わせて構成され、その低消費電力特性ゆえに、LSI技術の主流となっている。
【0006】
図15に、CMOS集積回路を用いた同期整流型スイッチングレギュレータの構成を示している。
【0007】
図15において、電源回路は、ハイサイド(上位)トランジスタであるPMOS(QP1)とローサイド(下位)トランジスタであるNMOS(QN1)を有し、交互にオン,オフして直流電圧VOUTを出力する同期整流型のCMOSインバータ回路と、このCMOSインバータ回路の出力電圧を基準電圧Vrと比較し誤差信号を得るエラーアンプ40と、前記誤差信号に基づいてPWM信号のパルス幅を制御することで、前記CMOSインバータ回路の出力を一定となるよう制御するPWM回路30と、を有して構成されている。
【0008】
CMOSインバータ回路は、入力電圧である直流電圧VIN(=電源電圧VDD、例えば4V)が供給される端子1と基準電位VSS(=グランド電位GND、例えば0.3V)が与えられた端子2との間に、PMOS(QP1),NMOS(QN1)の各トランジスタがドレインDを共通にして直列に接続されている。PMOS(QP1)のソースSは端子1に接続し、NMOS(QN1)のソースSは端子2に接続している。
【0009】
PMOS(QP1),NMOS(QN1)の各ゲートには、PWM回路30からPWM信号として高周波パルスSH,SLが供給され、各トランジスタは該高周波パルスSH,SLにて交互にオン,オフされることにより、両トランジスタの接続点である中間ノードKに交流電圧VMAを発生する。
【0010】
中間ノードKと基準電位VSSを与える端子2との間には、整流用コイルL1と安定化容量C0が直列に接続し、その直列接続点に接続した出力端子4に安定化容量C0で平滑された直流電圧VOUTが出力される。そして、出力電圧VOUTはフィードバックラインを介してエラーアンプ40の−端子に帰還され、入力端子5の基準電圧Vrと比較される。エラーアンプ40の比較結果である誤差出力VbはPWM回路30に供給され、該誤差出力に応じてPWM回路30が生成するPWM信号のパルス幅が制御される。この帰還制御によって、図示しない負荷に供給される出力電圧VOUT(例えば3.0V)が常に一定となるように制御されるようになっている。
【0011】
ところで、従来、上記エラーアンプ40は、例えば図16に示すようにオペアンプOP1と抵抗R1とコンデンサC1を用いた1つの積分回路で構成されている。図16の積分回路では、入力端子6に入力する負荷側からの帰還電圧と端子5に与えられる基準電圧Vrとの差分を積分した電圧に比例する電圧が出力端子7に出力される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図16のような従来の1つの積分回路によるエラーアンプでは、急激な負荷側の変動に対して応答できず、外部の負荷(図示せず)及び安定化容量C0の違いにより負荷側が発振してしまうことがある。なお、負荷側の変動に対する応答遅れは、エラーアンプのほかにその後段のPWM回路においても生ずるものである。
【0013】
そこで、本発明は、上記の問題に鑑みて、急激な負荷変動に対しても高速に応答でき、安定した出力を得ることができ、しかも負荷等の外部回路の違いに対しても互換性を有する電源回路を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明による電源回路は、PWM回路と、電源電圧と第1の基準電位間に直列に接続されたPチャンネルトランジスタとNチャンネルトランジスタを有し、前記Pチャンネルトランジスタのゲートおよび前記Nチャンネルトランジスタのゲートに前記PWM回路の出力信号が入力されるCMOSインバータ回路と、前記CMOSインバータ回路の出力電圧と第2の基準電圧とが入力される積分回路と、前記CMOSインバータ回路の出力電圧と前記第2の基準電圧とが入力される微分回路と、前記積分回路の出力がゲート入力される第1のトランジスタと、前記微分回路の出力がゲート入力される第2のトランジスタと、前記第1のトランジスタと前記第2のトランジスタのソース電流またはドレイン電流の加算電流を出力し、前記PWM回路に入力する電流加算回路と、前記Pチャンネルトランジスタのオフ期間で前記Nチャンネルトランジスタがオンした時に、前記Pチャンネルトランジスタと前記Nチャンネルトランジスタの接続点の電位が、前記第1の基準電位より低いレベルにアンダーシュートした後前記接続点の電位が前記第1の基準電位に戻ったタイミング(以下、ゼロ点位置)を検出し、少なくともこのゼロ点位置を示すゼロ点検出信号を出力する検出回路と、前記ゼロ点検出信号に基づいて負荷電流の大小に応じた電流帰還信号を生成する電流帰還回路と、前記電流帰還信号がゲート入力される電流帰還制御トランジスタと、を具備し、前記電流加算回路は、前記電流帰還制御トランジスタのソース電流またはドレイン電流を前記加算電流に加算することを特徴とする
【0015】
本発明のこのような構成によれば、誤差検出手段として、積分回路のほかに微分回路を加えた構成とすることにより、負荷等の外部回路の違いによりCMOSインバータ回路の出力が発振するのを防止して、安定した出力を得ることができる。従って、広い負荷状況に対応可能である。特に、負荷電流の変化に対してより高速に応答することができる。
【0016】
また、本発明による電源回路は、PWM回路と、電源電圧と第1の基準電位間に直列に接続されたPチャンネルトランジスタとNチャンネルトランジスタを有し、前記Pチャンネルトランジスタのゲートおよび前記Nチャンネルトランジスタのゲートに前記PWM回路の出力信号が入力されるCMOSインバータ回路と、前記CMOSインバータ回路の出力電圧と第2の基準電圧とが入力される高速用積分回路と、前記CMOSインバータ回路の出力電圧と前記第2の基準電圧とが入力される低速用積分回路と、前記高速用積分回路の出力がゲート入力される第1のトランジスタと、前記低速用積分回路の出力がゲート入力され、前記第1のトランジスタとはゲート電圧に対するドレイン電流特性が異なる第2のトランジスタと、前記第1のトランジスタと前記第2のトランジスタのソース電流またはドレイン電流の加算電流を出力し、前記PWM回路に入力する電流加算回路と、前記Pチャンネルトランジスタのオフ期間で前記Nチャンネルトランジスタがオンした時に、前記Pチャンネルトランジスタと前記Nチャンネルトランジスタの接続点の電位が、前記第1の基準電位より低いレベルにアンダーシュートした後前記接続点の電位が前記第1の基準電位に戻ったタイミング(以下、ゼロ点位置)を検出し、少なくともこのゼロ点位置を示すゼロ点検出信号を出力する検出回路と、前記ゼロ点検出信号に基づいて負荷電流の大小に応じた電流帰還信号を生成する電流帰還回路と、前記電流帰還信号がゲート入力される電流帰還制御トランジスタと、を具備し、前記電流加算回路は、前記電流帰還制御トランジスタのソース電流またはドレイン電流を前記加算電流に加算することを特徴とする
【0017】
本発明のこのような構成によれば、誤差検出手段として、高速用積分回路及び低速用積分回路を用いた構成となり、負荷変動に対して高速に応答可能であるとともに、発振しずらく安定した出力を得ることができる。広い負荷状況に対応可能となる。特に、負荷電流の変化に対してより高速に応答することができる。
【0018】
また、本発明による電源回路は、PWM回路と、電源電圧と第1の基準電位間に直列に接続されたPチャンネルトランジスタとNチャンネルトランジスタを有し、前記Pチャンネルトランジスタのゲートおよび前記Nチャンネルトランジスタのゲートに前記PWM回路の出力信号が入力されるCMOSインバータ回路と、前記CMOSインバータ回路の出力電圧と第2の基準電圧とが入力される高速用積分回路と、前記CMOSインバータ回路の出力電圧と前記第2の基準電圧とが入力される低速用積分回路と、前記CMOSインバータ回路の出力電圧と前記第2の基準電圧とが入力される微分回路と、前記高速用積分回路の出力がゲート入力される第1のトランジスタと、前記低速用積分回路の出力がゲート入力され、前記第1のトランジスタとはゲート電圧に対するドレイン電流特性が異なる第2のトランジスタと、前記微分回路の出力がゲート入力される第3のトランジスタと、前記第1のトランジスタと前記第2のトランジスタと前記第3のトランジスタのソース電流またはドレイン電流の加算電流を出力し、前記PWM回路に入力する電流加算回路と、前記Pチャンネルトランジスタのオフ期間で前記Nチャンネルトランジスタがオンした時に、前記Pチャンネルトランジスタと前記Nチャンネルトランジスタの接続点の電位が、前記第1の基準電位より低いレベルにアンダーシュートした後前記接続点の電位が前記第1の基準電位に戻ったタイミング(以下、ゼロ点位置)を検出し、少なくともこのゼロ点位置を示すゼロ点検出信号を出力する検出回路と、前記ゼロ点検出信号に基づいて負荷電流の大小に応じた電流帰還信号を生成する電流帰還回路と、前記電流帰還信号がゲート入力される電流帰還制御トランジスタと、を具備し、前記電流加算回路は、前記電流帰還制御トランジスタのソース電流またはドレイン電流を前記加算電流に加算することを特徴とする
【0019】
本発明のこのような構成によれば、誤差検出手段として、高速用積分回路及び低速用積分回路並びに微分回路を用いた構成となり、負荷変動に対して高速に応答可能であるとともに、発振しずらく安定した出力を得ることが可能となる。しかも、より広い負荷状況に対応可能となる。特に、負荷電流の変化に対してより高速に応答することができる。
【0021】
らに、本発明による電源回路は、PWM回路と、電源電圧と第1の基準電位間に直列に接続されたハイサイド(上位)トランジスタとローサイド(下位)トランジスタを有し、前記ハイサイドトランジスタのゲートおよび前記ローサイドトランジスタのゲートに前記PWM回路の出力信号が入力される電圧生成回路と、前記電圧生成回路の出力電圧と第2の基準電圧とが入力される積分回路と、前記電圧生成回路の出力電圧と前記第2の基準電圧とが入力される微分回路と、前記積分回路の出力がゲート入力される第1のトランジスタと、前記微分回路の出力がゲート入力される第2のトランジスタと、前記第1のトランジスタと前記第2のトランジスタのソース電流またはドレイン電流の加算電流を出力し、前記PWM回路に入力する電流加算回路と、前記ハイサイドトランジスタのオフ期間で前記ローサイドトランジスタがオンした時に、前記ハイサイドトランジスタと前記ローサイドトランジスタの接続点の電位が、前記第1の基準電位より低いレベルにアンダーシュートした後前記接続点の電位が前記第1の基準電位に戻ったタイミング(以下、ゼロ点位置)を検出し、少なくともこのゼロ点位置を示すゼロ点検出信号を出力する検出回路と、前記ゼロ点検出信号に基づいて負荷電流の大小に応じた電流帰還信号を生成する電流帰還回路と、前記電流帰還信号がゲート入力される電流帰還制御トランジスタと、を具備し、前記電流加算回路は、前記電流帰還制御トランジスタのソース電流またはドレイン電流を前記加算電流に加算することを特徴とする
【0022】
本発明のこのような構成によれば、誤差検出手段として、積分回路のほかに微分回路を加えた構成とすることにより、負荷等の外部回路の違いにより電圧生成回路の出力が発振するのを防止して、安定した出力を得ることができる。従って、広い負荷状況に対応可能である。特に、負荷電流の変化に対してより高速に応答することができる。
【0023】
また、本発明による電源回路は、PWM回路と、電源電圧と第1の基準電位間に直列に接続されたハイサイド(上位)トランジスタとローサイド(下位)トランジスタを有し、前記ハイサイドトランジスタのゲートおよび前記ローサイドトランジスタのゲートに前記PWM回路の出力信号が入力される電圧生成回路と、前記電圧生成回路の出力電圧と第2の基準電圧とが入力される高速用積分回路と、前記電圧生成回路の出力電圧と前記第2の基準電圧とが入力される低速用積分回路と、前記高速用積分回路の出力がゲート入力される第1のトランジスタと、前記低速用積分回路の出力がゲート入力され、前記第1のトランジスタとはゲート電圧に対するドレイン電流特性が異なる第2のトランジスタと、前記第1のトランジスタと前記第2のトランジスタのソース電流またはドレイン電流の加算電流を出力し、前記PWM回路に入力する電流加算回路と、前記ハイサイドトランジスタのオフ期間で前記ローサイドトランジスタがオンした時に、前記ハイサイドトランジスタと前記ローサイドトランジスタの接続点の電位が、前記第1の基準電位より低いレベルにアンダーシュートした後前記接続点の電位が前記第1の基準電位に戻ったタイミング(以下、ゼロ点位置)を検出し、少なくともこのゼロ点位置を示すゼロ点検出信号を出力する検出回路と、前記ゼロ点検出信号に基づいて負荷電流の大小に応じた電流帰還信号を生成する電流帰還回路と、前記電流帰還信号がゲート入力される電流帰還制御トランジスタと、を具備し、前記電流加算回路は、前記電流帰還制御トランジスタのソース電流またはドレイン電流を前記加算電流に加算することを特徴とする
【0024】
本発明のこのような構成によれば、誤差検出手段として、高速用積分回路及び低速用積分回路を用いた構成となり、負荷変動に対して高速に応答可能であるとともに、発振しずらく安定した出力を得ることができる。広い負荷状況に対応可能となる。特に、負荷電流の変化に対してより高速に応答することができる。
【0025】
また、本発明による電源回路は、PWM回路と、電源電圧と第1の基準電位間に直列に接続されたハイサイド(上位)トランジスタとローサイド(下位)トランジスタを有し、前記ハイサイドトランジスタのゲートおよび前記ローサイドトランジスタのゲートに前記PWM回路の出力信号が入力される電圧生成回路と、前記電圧生成回路の出力電圧と第2の基準電圧とが入力される高速用積分回路と、前記電圧生成回路の出力電圧と前記第2の基準電圧とが入力される低速用積分回路と、前記電圧生成回路の出力電圧と前記第2の基準電圧とが入力される微分回路と、前記高速用積分回路の出力がゲート入力される第1のトランジスタと、前記低速用積分回路の出力がゲート入力され、前記第1のトランジスタとはゲート電圧に対するドレイン電流特性が異なる第2のトランジスタと、前記微分回路の出力がゲート入力される第3のトランジスタと、前記第1のトランジスタと前記第2のトランジスタと前記第3のトランジスタのソース電流またはドレイン電流の加算電流を出力し、前記PWM回路に入力する電流加算回路と、前記ハイサイドトランジスタのオフ期間で前記ローサイドトランジスタがオンした時に、前記ハイサイドトランジスタと前記ローサイドトランジスタの接続点の電位が、前記第1の基準電位より低いレベルにアンダーシュートした後前記接続点の電位が前記第1の基準電位に戻ったタイミング(以下、ゼロ点位置)を検出し、少なくともこのゼロ点位置を示すゼロ点検出信号を出力する検出回路と、前記ゼロ点検出信号に基づいて負荷電流の大小に応じた電流帰還信号を生成する電流帰還回路と、前記電流帰還信号がゲート入力される電流帰還制御トランジスタと、を具備し、前記電流加算回路は、前記電流帰還制御トランジスタのソース電流またはドレイン電流を前記加算電流に加算することを特徴とする
【0026】
本発明のこのような構成によれば、誤差検出手段として、高速用積分回路及び低速用積分回路並びに微分回路を用いた構成となり、負荷変動に対して高速に応答可能であるとともに、発振しずらく安定した出力を得ることが可能となる。しかも、より広い負荷状況に対応可能となる。特に、負荷電流の変化に対してより高速に応答することができる。
【0029】
また、本発明の電源回路において、前記電流加算回路はカレントミラーを用いて構成されることが好ましい。
【0030】
このような構成によれば、カレントミラーの一方の電流路にて電流加算し、その電流加算結果をカレントミラーのもう一方の電流路から信号値として次段回路へ出力することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る一実施の形態の電源回路の構成を示している。図15の従来回路と同一部分には同一符号を付して説明する。
【0032】
図1において、電源回路は、入力電圧VIN(=電源電圧VDD)と基準電位VSSとの間にハイサイド(上位)トランジスタとしてのPMOS(QP1)とローサイド(下位)トランジスタとしてのNMOS(QN1)を有し、これらのトランジスタをPWM信号を用いて交互にオン,オフして直流電圧VOUTを出力する同期整流型のCMOSインバータ回路と、このCMOSインバータ回路の出力電圧を基準電圧Vrと比較し誤差信号を得るもので、負荷変動に対して負荷側が発振するのを防止可能であったり及び/又は負荷変動に対して高速に応答可能な誤差信号が得られる誤差検出手段としてのエラーアンプ50と、この誤差信号に基づいてPWM信号のパルス幅を制御することで、前記CMOSインバータ回路の出力を一定となるよう制御するPWM回路30と、を有して構成されている。前記CMOSインバータ回路は、直流電圧VINを入力し、適宜な直流電圧VOUTに変換して出力する電圧生成回路としてのDC−DC変換回路を構成している。
【0033】
CMOSインバータ回路は、入力電圧である直流電圧VIN(=電源電圧VDD、例えば4V)が供給される端子1と基準電位VSS(=グランド電位GND、例えば0.3V)が与えられた端子2との間に、PMOS(QP1),NMOS(QN1)の各トランジスタがドレインDを共通にして直列に接続されている。PMOS(QP1)のソースSは端子1に接続し、NMOS(QN1)のソースSは端子2に接続している。
【0034】
PMOS(QP1),NMOS(QN1)の各ゲートには、PWM回路30からPWM信号として高周波パルスSH,SLが供給され、各トランジスタは該高周波パルスSH,SLにて交互にオン,オフされることにより、両トランジスタの接続点である中間ノードKに交流電圧VMAを発生する。
【0035】
なお、図2(a),(b)に示すようにNMOS(QN1)のゲートパルスSLは、PMOS(QP1)のゲートパルスSHとほぼ同期にしているが、ゲートパルスSLのハイレベルとなる期間は、ゲートパルスSHのハイレベルとなる期間より若干狭い幅となるように形成されており、PMOS及びNMOSが同時にオンしないようにすることによって電源VIN側から基準電位VSS側へ貫通電流が流れるのを防いでいる。また、NMOS(QN1)のソース・ドレイン間にはショットキーダイオードSDが接続され、NMOSのオフ時におけるローサイド側NMOSの過電圧保護および電力供給のバックアップを行う。
【0036】
交流電圧VMAが生成される中間ノードKと基準電位VSSが与えられる端子2との間には、整流用コイルL1と安定化容量C0が直列に接続し、その直列接続点に接続した出力端子27に安定化容量C0で平滑された直流電圧VOUT(例えば3.0V)が出力され、図示しない負荷に供給される。
【0037】
そして、出力の直流電圧VOUTはフィードバックラインを介してエラーアンプ50の−端子に帰還されており、基準電圧Vrと比較される。
【0038】
エラーアンプ50の比較結果である誤差(エラー)電圧VbはPWM回路30に供給され、該誤差電圧にてPWM回路30が生成するPWM信号のパルス幅が制御される。この帰還制御によって、図示しない負荷に供給される出力電圧VOUTが一定となるように制御されるようになっている。
【0039】
上記の構成においては、エラーアンプ50は、積分回路のほかに、後述するように、出力電圧VOUTの変動に対して負荷側が発振するのを防止するための微分回路や、出力電圧VOUTの変動に対して高速に応答できる高速用積分回路を備えたものである。PWM回路30は、互いにほぼ同期した適宜のパルス幅を有する高周波(例えば1MHz)パルスSH,SLをPWM信号として出力し、PMOS(QP1)とNMOS(QN1)の各ゲートに印加する。高周波パルスSH,SLは図2(a),(b)に示すようなパルスである。PMOS(QP1),NMOS(QN1)の各トランジスタが上記のほぼ同期した高周波パルスSH,SLにて交互にオン,オフすることにより、接続点である中間ノードKに図2(c)に示すような交流電圧VMAを発生する。この交流電圧VMAに基づいて電流がコイルL1を通り安定化容量C0に充電されることによって、出力端子4には出力電圧VOUTとしての直流電圧が得られる。
【0040】
図3は上記エラーアンプ50の第1の実施の形態を示す回路図である。本実施の形態におけるエラーアンプ50は、前記CMOSインバータ回路の直流出力電圧VOUT及び前記基準電圧Vrが入力される積分回路51と、前記CMOSインバータ回路の直流出力電圧VOUT及び前記基準電圧Vrが入力される微分回路54と、前記積分回路51及び前記微分回路54のそれぞれの出力に応じた各電流を得て加算し、PWM回路30への誤差信号として出力する電流加算回路55とで構成したものである。積分回路51は、オペアンプOP2と抵抗R2とコンデンサC2とで構成されており、微分回路54はオペアンプOP5とコンデンサC5と抵抗R5とで構成されている。
【0041】
CMOSインバータ回路の出力電圧VOUT(例えば3.0V)は電圧帰還信号VFBとしてエラーアンプ50の入力端子8に入力される。入力端子8と基準電位VSSを与える端子9との間には抵抗r1,r2を直列に接続した分圧回路が接続されており、その接続点(分圧点)aには例えば1.5Vの電圧が出力される。a点の分圧されたフィードバック電圧はそれぞれ積分回路51のオペアンプOP2及び微分回路54のオペアンプOP5の各−端子側の入力として積分回路51及び微分回路54に入力される。積分回路51のオペアンプOP2及び微分回路54のオペアンプOP5の各+端子には、端子10からの基準電圧Vrが入力される。
【0042】
積分回路51及び微分回路54の各出力は、MOS回路で構成される電流加算回路55のNMOS(QN2),(QN6)の各ゲートに入力される。
【0043】
電流加算回路55は、入力電圧VIN(=電源電圧VDD)が供給される電源入力端子11と基準電位VSSを与える端子12との間に、ドレイン・ゲートを共通に接続したPMOS(QP2)とNMOS(QN2)とが各ドレインを共通にして直列に接続され、また電源入力端子11と基準電位入力端子12との間に、PMOS(QP3)とドレイン・ゲートを共通に接続したNMOS(QN3)とが各ドレインを共通にして直列に接続され、前記PMOS(QP2),(QP3)の各ゲートは共通に接続されて定電流回路(カレントミラー)を構成しており、また前記NMOS(QN2)のドレイン・ソース間には並列にNMOS(QN6)が接続された構成となっている。そして、前記NMOS(QN2)のゲートには前記積分回路51の出力電圧が入力し、前記NMOS(QN6)のゲートには前記微分回路54の出力電圧が入力しており、前記NMOS(QN3)のドレインに接続した出力端子13からPWM回路30へ供給する誤差電圧Vbが出力されるようになっている。
【0044】
図3のエラーアンプ50においては、CMOSインバータ回路の出力電圧VOUTに基づいたa点の分圧電圧が積分回路51及び微分回路54に入力されると、前記積分回路51の出力に応じた電流が電源入力端子11からPMOS(QP2)のソース・ドレイン及びNMOS(QN2)のドレイン・ソースを通して基準電位入力端子12に流れると同時に、前記微分回路54の出力に応じた電流が電源入力端子11からPMOS(QP2)のソース・ドレイン及びNMOS(QN6)のドレイン・ソースを通して基準電位入力端子12に流れて、加算され、この加算電流がカレントミラーを構成する一方のPMOS(QP2)のドレインに流れるので、この電流と同じ電流が前記カレントミラーを構成するもう一方のPMOS(QP3)のドレインに流れる。結果として、前記加算電流がNMOS(QN3)のドレインに流れて、出力端子13から前記の積分出力及び微分出力を加算した形でのエラー出力Vbが得られることになる。
【0045】
図4は、図3において、負荷の電圧VOUTが上がった場合の、(a)出力電圧VOUT、及び(b) 微分回路54の出力をそれぞれ示すものである。負荷の電圧VOUTが図4(a)のように上がった場合には、これとほぼ同時に微分回路54の出力は図4(b)のように下がって、出力電圧VOUTを下げる方向に働く。
【0046】
図5は、図3において、負荷が発振した時の状態における、(a)出力電圧VOUT、及び(b) 微分回路54の出力をそれぞれ示している。負荷の電圧VOUTが図5(a)の実線のように発振した場合には、同時に微分回路54の出力は図5(b)のような波形となり、出力電圧VOUTを図5(a)の破線のように収束させる方向に働く。これにより、出力電圧VOUTの発振状態が収まって安定した出力電圧が得られることになる。
【0047】
図3の実施の形態によれば、従来の積分回路のみのエラーアンプ構成に対して、微分回路を加えた構成としたので、負荷の変化(出力電圧VOUTの過渡応答など)に対して、出力電圧VOUTの発振を防止し、安定した出力電圧を得ることができる。また、積分回路及び微分回路の各出力が、直接MOS回路に入力されるため、高速応答が可能である。
【0048】
図6は上記エラーアンプ50の第2の実施の形態を示す回路図である。本実施の形態のエラーアンプ50は、前記CMOSインバータ回路の直流出力電圧VOUT及び前記基準電圧Vrが入力される高速積分回路52と、前記CMOSインバータ回路の直流出力電圧VOUT及び前記基準電圧Vrが入力される低速積分回路53と、前記高速積分回路52及び前記低速積分回路53のそれぞれの出力に応じた各電流を得て加算し、PWM回路30への誤差信号として出力する電流加算回路55Aとで構成したものである。
【0049】
図6の構成で図3と異なる点は、図3における積分回路51と微分回路54に代えて図6では高速積分回路52と低速積分回路53を用い、図3におけるNMOS(QN2),(QN6)に代えて図6では互いにサイズ(能力)の異なるNMOS(QN4),(QN5)を用いたことである。ここで、サイズ(能力)の異なるとは、MOSトランジスタにおけるチャンネル幅などを異ならせることによってゲート電圧に対するドレイン電流特性を異ならせることを意味している。高速積分側のNMOS(QN4)の能力を、低速積分側のNMOS(QN5)の能力より小さく設定する。これにより、高速積分の出力が過度に変化してもその影響を受けることを少なくしている。
【0050】
上記高速積分回路52は、抵抗R3とコンデンサC3とオペアンプOP3とで構成され、負荷変動に対して、高速に応答させるための積分回路である。また、上記低速積分回路53は、抵抗R4とコンデンサC4とオペアンプOP4とで構成され、負荷電流に対してバイアスの中心を与えるもので、応答を遅くすることで出力の発振を防止することができる。上記2つの積分回路52,53は、抵抗と容量の設定により、高速/低速が設定されている。それ以外の構成は、図3と同様であるので説明を省略する。
【0051】
図7は、図6において、負荷の電圧VOUTが下がった場合の、(a)出力電圧VOUT、(b)高速積分回路52の出力、(c)低速積分回路53の出力、(d)エラーアンプ50の出力をそれぞれ示すものである。負荷の電圧VOUTが図7(a)のように下がった場合には、これとほぼ同時に高速積分回路52の出力が図7(b)のように立ち上がり、高速積分回路52の出力が収束し始めた頃に低速積分回路53の出力が図7(c)のように立ち上がっている。図7(b),(c)の各出力を加算したものが、図7(d)のエラーアンプ50の出力となる。
【0052】
図6の実施の形態によれば、高速積分と低速積分を組み合わせることで、発振しずらく安定した帰還系を実現できる。また、高速積分の出力を受けるNMOSのサイズを小さくすることにより能力を小さくすることで、高速積分の出力が過度に変化してもその過度変化による影響を少なくすることができる。
【0053】
図8は上記エラーアンプ50の第3の実施の形態を示す回路図である。本実施の形態のエラーアンプ50は、前記CMOSインバータ回路の直流出力電圧VOUT及び前記基準電圧Vrが入力される高速積分回路52と、前記CMOSインバータ回路の直流出力電圧VOUT及び前記基準電圧Vrが入力される低速積分回路53と、前記CMOSインバータ回路の直流出力電圧VOUT及び前記基準電圧Vrが入力される微分回路54と、前記高速積分回路52,前記低速積分回路53及び前記微分回路54のそれぞれの出力に応じた各電流を得て加算し、PWM回路30への誤差信号として出力する電流加算回路55Bとで構成したものである。
【0054】
図8の構成では、図6の構成に図3の微分回路54及びその出力を受けるNMOS(QN6)を加えたものである。電流加算回路55Bは、図6の電流加算回路55AにNMOS(QN6)を追加した構成となっている。前記高速積分回路52,前記低速積分回路53及び前記微分回路54の構成は、図3及び図6で説明したものと同様である。
【0055】
なお、高速積分回路52,低速積分回路53及び微分回路54の各回路の出力は、NMOS(QN4),NMOS(QN5),NMOS(QN6)の各ゲート電圧を制御するが、これらのNMOSのサイズ(能力)をそれぞれ異ならせ、或いはサイズを変更することにより、各アンプ回路52,53,54による影響を調整することができる。
【0056】
図8の実施の形態によれば、図3及び図6の両方の実施の形態で説明した効果を兼ね備えた優れた効果を得ることができる。
【0057】
ところで、図1の電源回路において、PMOS(QP1)のオフ期間でNMOS(QN1)がオンした時の中間ノードKの電圧VMAの変化の仕方は、出力端子4に接続される負荷(図示せず)の大小(即ち負荷電流の大小)に応じて相違し、負荷の大小に応じてVMAがVSSレベルと交差する点(以下、ゼロ点位置という)Pが右或いは左に移動する。即ち、図9(a)の3本の右上がりの線にて示されるようにVSSレベルと交差する電圧変化部分(期間T2)が、軽い負荷の場合は高いレベルの変化線(P1を含む一点鎖線)に、重い負荷の場合には低いレベルの変化線(P2を含む二点鎖線)になる。なお、P0を含む変化線(実線)は、軽負荷と重負荷の中間の負荷の場合を示している。
【0058】
従って、ゼロ点位置P(例えばP0,P1,P2)を検出して、そのゼロ点位置の検出信号NOFF’〔図9(b)参照〕に基づいて電流帰還信号を生成しエラーアンプ50に対して帰還をかければ、急激な負荷の変動に対しても速い応答でフィードバック制御を行うことが可能となる。或いは、ゼロ点位置P(VSSレベルとの交差点)を検出する代わりに、図9(a)に示したPMOS(QP1)のオフ期間における時間T11,T12の比を算出することで負荷の大小を検出することもできる。
【0059】
図10は本発明に係る他の実施の形態の電源回路の構成を示している。図1の回路と同一部分には同一符号を付して説明する。
【0060】
図10では、エラーアンプ50Aに対してCMOSインバータ回路の出力電圧VOUTを帰還信号VFBとして電圧帰還するとともに、負荷電流の大小を検出して負荷電流の大小に応じた帰還信号IDETを生成し、エラーアンプ50Aに対して電流帰還をかけるようにしたものである。
【0061】
図10で図1と異なる点は、PMOS(QP1)のオフ期間でNMOS(QN1)がオンした時に、中間ノード電位VMAが電源電圧VIN(=VDD)から降下し基準電位VSSを越えてより低い電位にアンダーシュートし、中間ノード電位VMAがそのアンダーシュートから基準電位VSSに戻ったタイミング(ゼロ点位置)を検出し〔或いは、前述したように図9(a)に示したPMOS(QP1)のオフ期間における時間T11とT12の時間比を検出してもよい〕、少なくともこのゼロ点位置検出信号NOFF’〔図9(b)参照〕を出力する検出回路31Aを設けたことと、このゼロ点位置検出信号NOFF’に基づいて負荷の大小に応じた電流帰還信号IDETを生成する電流帰還回路60を設けたことである。これにより、図10の電源回路は、負荷の大小に応じた電流帰還信号を生成してレギュレータ出力の変動を抑える機能を有したものとなる。
【0062】
図11は図10におけるエラーアンプ50Aの構成例を示すものである。
【0063】
図11の構成では、図8のエラーアンプ50Aの構成に対して、電流帰還回路60(後述する)からの電流帰還信号IDETを入力する電流帰還信号入力端子14及びその入力を受けるNMOS(QN7)を加えた構成となっている。図11における電流加算回路55Cは、図8における電流加算回路55BのNMOS(QN4),NMOS(QN5),NMOS(QN6)の共通ドレイン・共通ソースに対して並列に電流帰還制御トランジスタとしてのNMOS(QN7)のドレイン・ソースを接続した構成とし、NMOS(QN7)のゲートに前記電流帰還信号入力端子14からの電流帰還信号IDETを入力したものである。前記高速積分回路52,前記低速積分回路53及び前記微分回路54の構成は、図3及び図6で説明したものと同様である。
【0064】
このエラーアンプ50Aにより、電流帰還回路60からの電流帰還信号に応じた電流を生成してさらに加算することで、負荷電流の変化に対して高速に応答して安定した出力電圧VOUTを得ることが可能となる。
【0065】
次に、電流帰還回路60の構成について説明する。
【0066】
上記電流帰還回路60は、前記検出回路31Aからの前記ゼロ点位置検出信号NOFF’を用いてPSW/NSW信号〔図13(b),(c)参照〕を生成する図12に示すような第1の回路61と、そのPSW/NSW信号〔図13(b),(c)参照〕を用いて、負荷電流の変化(大小)を検出する図14に示すような第2の回路62とを備えて構成されている。
【0067】
図12に示す第1の回路61は、前記PWM回路30からのPWM信号(高周波パルスSHとほぼ同じ信号)を入力する入力端子15と、前記検出回路31Aからの前記ゼロ点位置検出信号NOFF’〔図9(b)参照〕を入力する入力端子16と、2つの2入力ノア(NOR)ゲート611,612と、2入力ナンドゲート613と、インバータ614と、インバータ615と、PMOS(QP1)のオフ期間の開始からゼロ点位置までの期間を示すPSW信号を出力する出力端子17と、ゼロ点位置からPMOS(QP1)のオフ期間の終了までの期間を示すNSW信号を出力する出力端子18と、を備えて構成されている。上記ノア(NOR)ゲート611,612は、互いにその出力を他のノアゲートの入力として帰還しており、R−S NORラッチを構成している。
【0068】
図13は、CMOSインバータ回路へ入力するPWM信号SHと、図12の第1の回路61にて作成されるPSW/NSW信号との関係を示すタイミングチャートである。図13(a)は図2(a)と同様の波形を示している。図12(b)はパルスSHの立ち上がり点からゼロ点位置Pまでの期間がローレベルで、その他の期間がハイレベルを有するPSW信号を示し、図12(c)はゼロ点位置PからパルスSHの立ち下がり点までの期間がハイレベルで、その他の期間がローレベルを有するNSW信号を示している。
【0069】
図14に示す第2の回路62は、直流電圧VIN(=電源電圧VDD)が供給される入力端子19と、図12の第1の回路61からのPSW信号〔図13(b)参照〕が入力する入力端子20と、図12の第1の回路61からのNSW信号〔図13(c)参照〕が入力する入力端子21と、基準電位VSSが供給される入力端子22と、定電流回路(カレントミラー)を構成するPMOS(QP4),PMOS(QP5)と、PMOS(QP4)と共に定電流回路(カレントミラー)を構成するPMOS(QP6)と、定電流源Q0と、定電流回路(カレントミラー)を構成するNMOS(QN8),NMOS(QN10)と、上記PMOS(QP6)と上記NMOS(QN10)との間に直列に接続されたPMOS(QP7)とNMOS(QN9)で形成されたCMOSインバータと、このCMOSインバータのPMOSとNMOSの直列接続点とVSSライン間に接続された抵抗R6,コンデンサC6から成る積分回路と、この積分回路の出力をゲート入力とし、VINラインとVSSライン間に直列に接続されたPMOS(QP8)とNMOS(QN11)で形成された出力段のCMOSインバータと、PMOS(QP8)とNMOS(QN11)の共通ドレインに接続され、負荷の大小に対応したパルス幅の電流帰還信号をエラーアンプ50Aに出力するための出力端子23と、を備えて構成されている。
【0070】
図14の回路では、負荷が重くなると図13(b)に示すPSW信号のローレベル期間の幅は大きくなり〔P点が右に移動する、図9(a)参照〕、従ってPMOS(QP7)がオンする時間が長くなり積分回路(R6,C6)のC6に充電される電圧は大きくなり、出力段のCMOSインバータ(QP8,QN11)のQN11のしきい値を越え、QN11をオンさせることで、出力端子23をローレベルLにする。逆に、負荷が軽くなると、PSW信号のローレベル期間の幅は小さくなり〔P点が左に移動する、図9(a)参照〕、従ってPMOS(QP7)のオン時間が短くなり積分回路(R6,C6)のC6に充電される電圧は小さくなり、出力段のCMOSインバータ(,QN11)のQP8がオンするしきい値内に留まるので、QP8をオンさせることで、出力端子23をハイレベルHにする。従って、負荷が軽い場合に、図11のエラーアンプ50AのNMOS(QN7)が導通することで、PWM回路30へのPWM信号に対して、軽負荷に対応した電流帰還がなされることになる。
【0071】
尚、以上述べた実施の形態では、ハイサイドトランジスタをPMOS、ローサイドトランジスタをNMOSとしたCMOS集積回路について説明したが、本発明はこれに限定されず、ハイサイド,ローサイドの両トランジスタともNMOSとしパルスSHを反転させる構成としても良く、またハイサイド,ローサイドの両トランジスタともPMOSとしパルスSLを反転させる構成としても良い。
【0072】
本発明は、以上述べた実施の形態に限るものではなく、本発明の要旨を変えない範囲で各実施の形態を適宜変更して実施することができる。
【0073】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、急激な負荷変動に対しても高速に応答でき、安定した出力を得ることができ、しかも負荷等の外部回路の違いに対しても互換性を有する電源回路を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る一実施の形態の電源回路の構成を示す図。
【図2】図1の電源回路のCMOSインバータ回路におけるPWM信号SH,SLと中間ノード電位VMAの関係を示すタイミングチャート。
【図3】図1におけるエラーアンプの第1の実施の形態を示す回路図。
【図4】図3において、負荷の電圧が上がった場合の、該電圧、及び微分回路出力をそれぞれ示すタイミングチャート。
【図5】図3において、負荷が発振した時の状態における、出力電圧、及び微分回路出力をそれぞれ示すタイミングチャート。
【図6】図1におけるエラーアンプの第2の実施の形態を示す回路図。
【図7】図6において、負荷の電圧が下がった場合の、該電圧、高速積分回路出力、低速積分回路出力、エラーアンプ出力をそれぞれ示すタイミングチャート。
【図8】図1におけるエラーアンプの第3の実施の形態を示す回路図。
【図9】中間ノード電圧VMAの変化と負荷の大小との関係、及びゼロ点位置検出信号を示す図。
【図10】本発明に係る他の実施の形態の電源回路の構成を示す図。
【図11】図10におけるエラーアンプの構成例を示す回路図。
【図12】図10における電流帰還回路を構成する第1の回路を示す回路図。
【図13】CMOSインバータ回路へ入力するPWM信号SHと、図12の回路にて作成されるPSW/NSW信号との関係を示すタイミングチャート。
【図14】図10における電流帰還回路を構成する第2の回路を示す回路図。
【図15】従来のCMOS集積回路を用いた同期整流型スイッチングレギュレータの構成を示す図。
【図16】図15のエラーアンプの構成例を示す回路図。
【符号の説明】
1…電源入力端子
2…基準電位入力端子
4…出力端子
5…基準電圧入力端子
30…PWM回路
50,50A…エラーアンプ(誤差検出手段)
QP1…PMOS(Pチャンネルトランジスタ)
QN1…NMOS(Nチャンネルトランジスタ)
L1…整流用コイル
C0…安定化容量

Claims (7)

  1. PWM回路と、
    電源電圧と第1の基準電位間に直列に接続されたPチャンネルトランジスタとNチャンネルトランジスタを有し、前記Pチャンネルトランジスタのゲートおよび前記Nチャンネルトランジスタのゲートに前記PWM回路の出力信号が入力されるCMOSインバータ回路と、
    前記CMOSインバータ回路の出力電圧と第2の基準電圧とが入力される積分回路と、
    前記CMOSインバータ回路の出力電圧と前記第2の基準電圧とが入力される微分回路と、
    前記積分回路の出力がゲート入力される第1のトランジスタと、
    前記微分回路の出力がゲート入力される第2のトランジスタと、
    前記第1のトランジスタと前記第2のトランジスタのソース電流またはドレイン電流の加算電流を出力し、前記PWM回路に入力する電流加算回路と、
    前記Pチャンネルトランジスタのオフ期間で前記Nチャンネルトランジスタがオンした時に、前記Pチャンネルトランジスタと前記Nチャンネルトランジスタの接続点の電位が、前記第1の基準電位より低いレベルにアンダーシュートした後前記接続点の電位が前記第1の基準電位に戻ったタイミング(以下、ゼロ点位置)を検出し、少なくともこのゼロ点位置を示すゼロ点検出信号を出力する検出回路と、
    前記ゼロ点検出信号に基づいて負荷電流の大小に応じた電流帰還信号を生成する電流帰還回路と、
    前記電流帰還信号がゲート入力される電流帰還制御トランジスタと、を具備し、
    前記電流加算回路は、前記電流帰還制御トランジスタのソース電流またはドレイン電流を前記加算電流に加算することを特徴とする電源回路。
  2. PWM回路と、
    電源電圧と第1の基準電位間に直列に接続されたPチャンネルトランジスタとNチャンネルトランジスタを有し、前記Pチャンネルトランジスタのゲートおよび前記Nチャンネルトランジスタのゲートに前記PWM回路の出力信号が入力されるCMOSインバータ回路と、
    前記CMOSインバータ回路の出力電圧と第2の基準電圧とが入力される高速用積分回路と、
    前記CMOSインバータ回路の出力電圧と前記第2の基準電圧とが入力される低速用積分回路と、
    前記高速用積分回路の出力がゲート入力される第1のトランジスタと、
    前記低速用積分回路の出力がゲート入力され、前記第1のトランジスタとはゲート電圧に対するドレイン電流特性が異なる第2のトランジスタと、
    前記第1のトランジスタと前記第2のトランジスタのソース電流またはドレイン電流の加算電流を出力し、前記PWM回路に入力する電流加算回路と、
    前記Pチャンネルトランジスタのオフ期間で前記Nチャンネルトランジスタがオンした時に、前記Pチャンネルトランジスタと前記Nチャンネルトランジスタの接続点の電位が、前記第1の基準電位より低いレベルにアンダーシュートした後前記接続点の電位が前記第1の基準電位に戻ったタイミング(以下、ゼロ点位置)を検出し、少なくともこのゼロ点位置を示すゼロ点検出信号を出力する検出回路と、
    前記ゼロ点検出信号に基づいて負荷電流の大小に応じた電流帰還信号を生成する電流帰還回路と、
    前記電流帰還信号がゲート入力される電流帰還制御トランジスタと、を具備し、
    前記電流加算回路は、前記電流帰還制御トランジスタのソース電流またはドレイン電流を前記加算電流に加算することを特徴とする電源回路。
  3. PWM回路と、
    電源電圧と第1の基準電位間に直列に接続されたPチャンネルトランジスタとNチャンネルトランジスタを有し、前記Pチャンネルトランジスタのゲートおよび前記Nチャンネルトランジスタのゲートに前記PWM回路の出力信号が入力されるCMOSインバータ回路と、
    前記CMOSインバータ回路の出力電圧と第2の基準電圧とが入力される高速用積分回路と、
    前記CMOSインバータ回路の出力電圧と前記第2の基準電圧とが入力される低速用積分回路と、
    前記CMOSインバータ回路の出力電圧と前記第2の基準電圧とが入力される微分回路と、
    前記高速用積分回路の出力がゲート入力される第1のトランジスタと、
    前記低速用積分回路の出力がゲート入力され、前記第1のトランジスタとはゲート電圧に対するドレイン電流特性が異なる第2のトランジスタと、
    前記微分回路の出力がゲート入力される第3のトランジスタと、
    前記第1のトランジスタと前記第2のトランジスタと前記第3のトランジスタのソース電流またはドレイン電流の加算電流を出力し、前記PWM回路に入力する電流加算回路と、
    前記Pチャンネルトランジスタのオフ期間で前記Nチャンネルトランジスタがオンした時に、前記Pチャンネルトランジスタと前記Nチャンネルトランジスタの接続点の電位が、前記第1の基準電位より低いレベルにアンダーシュートした後前記接続点の電位が前記第1の基準電位に戻ったタイミング(以下、ゼロ点位置)を検出し、少なくともこのゼロ点位置を示すゼロ点検出信号を出力する検出回路と、
    前記ゼロ点検出信号に基づいて負荷電流の大小に応じた電流帰還信号を生成する電流帰還回路と、
    前記電流帰還信号がゲート入力される電流帰還制御トランジスタと、を具備し、
    前記電流加算回路は、前記電流帰還制御トランジスタのソース電流またはドレイン電流を前記加算電流に加算することを特徴とする電源回路。
  4. PWM回路と、
    電源電圧と第1の基準電位間に直列に接続されたハイサイド(上位)トランジスタとローサイド(下位)トランジスタを有し、前記ハイサイドトランジスタのゲートおよび前記ローサイドトランジスタのゲートに前記PWM回路の出力信号が入力される電圧生成回路と、
    前記電圧生成回路の出力電圧と第2の基準電圧とが入力される積分回路と、
    前記電圧生成回路の出力電圧と前記第2の基準電圧とが入力される微分回路と、
    前記積分回路の出力がゲート入力される第1のトランジスタと、
    前記微分回路の出力がゲート入力される第2のトランジスタと、
    前記第1のトランジスタと前記第2のトランジスタのソース電流またはドレイン電流の加算電流を出力し、前記PWM回路に入力する電流加算回路と、
    前記ハイサイドトランジスタのオフ期間で前記ローサイドトランジスタがオンした時に、前記ハイサイドトランジスタと前記ローサイドトランジスタの接続点の電位が、前記第1の基準電位より低いレベルにアンダーシュートした後前記接続点の電位が前記第1の基準電位に戻ったタイミング(以下、ゼロ点位置)を検出し、少なくともこのゼロ点位置を示すゼロ点検出信号を出力する検出回路と、
    前記ゼロ点検出信号に基づいて負荷電流の大小に応じた電流帰還信号を生成する電流帰還回路と、
    前記電流帰還信号がゲート入力される電流帰還制御トランジスタと、を具備し、
    前記電流加算回路は、前記電流帰還制御トランジスタのソース電流またはドレイン電流を前記加算電流に加算することを特徴とする電源回路。
  5. PWM回路と、
    電源電圧と第1の基準電位間に直列に接続されたハイサイド(上位)トランジスタとローサイド(下位)トランジスタを有し、前記ハイサイドトランジスタのゲートおよび前記ローサイドトランジスタのゲートに前記PWM回路の出力信号が入力される電圧生成回路と、
    前記電圧生成回路の出力電圧と第2の基準電圧とが入力される高速用積分回路と、
    前記電圧生成回路の出力電圧と前記第2の基準電圧とが入力される低速用積分回路と、
    前記高速用積分回路の出力がゲート入力される第1のトランジスタと、
    前記低速用積分回路の出力がゲート入力され、前記第1のトランジスタとはゲート電圧に対するドレイン電流特性が異なる第2のトランジスタと、
    前記第1のトランジスタと前記第2のトランジスタのソース電流またはドレイン電流の加算電流を出力し、前記PWM回路に入力する電流加算回路と、
    前記ハイサイドトランジスタのオフ期間で前記ローサイドトランジスタがオンした時に、前記ハイサイドトランジスタと前記ローサイドトランジスタの接続点の電位が、前記第1の基準電位より低いレベルにアンダーシュートした後前記接続点の電位が前記第1の基準電位に戻ったタイミング(以下、ゼロ点位置)を検出し、少なくともこのゼロ点位置を示すゼロ点検出信号を出力する検出回路と、
    前記ゼロ点検出信号に基づいて負荷電流の大小に応じた電流帰還信号を生成する電流帰還回路と、
    前記電流帰還信号がゲート入力される電流帰還制御トランジスタと、を具備し、
    前記電流加算回路は、前記電流帰還制御トランジスタのソース電流またはドレイン電流を前記加算電流に加算することを特徴とする電源回路。
  6. PWM回路と、
    電源電圧と第1の基準電位間に直列に接続されたハイサイド(上位)トランジスタとローサイド(下位)トランジスタを有し、前記ハイサイドトランジスタのゲートおよび前記ローサイドトランジスタのゲートに前記PWM回路の出力信号が入力される電圧生成回路と、
    前記電圧生成回路の出力電圧と第2の基準電圧とが入力される高速用積分回路と、
    前記電圧生成回路の出力電圧と前記第2の基準電圧とが入力される低速用積分回路と、
    前記電圧生成回路の出力電圧と前記第2の基準電圧とが入力される微分回路と、
    前記高速用積分回路の出力がゲート入力される第1のトランジスタと、
    前記低速用積分回路の出力がゲート入力され、前記第1のトランジスタとはゲート電圧に対するドレイン電流特性が異なる第2のトランジスタと、
    前記微分回路の出力がゲート入力される第3のトランジスタと、
    前記第1のトランジスタと前記第2のトランジスタと前記第3のトランジスタのソース電流またはドレイン電流の加算電流を出力し、前記PWM回路に入力する電流加算回路と、
    前記ハイサイドトランジスタのオフ期間で前記ローサイドトランジスタがオンした時に、前記ハイサイドトランジスタと前記ローサイドトランジスタの接続点の電位が、前記第1の基準電位より低いレベルにアンダーシュートした後前記接続点の電位が前記第1の基準電位に戻ったタイミング(以下、ゼロ点位置)を検出し、少なくともこのゼロ点位置を示すゼロ点検出信号を出力する検出回路と、
    前記ゼロ点検出信号に基づいて負荷電流の大小に応じた電流帰還信号を生成する電流帰還回路と、
    前記電流帰還信号がゲート入力される電流帰還制御トランジスタと、を具備し、
    前記電流加算回路は、前記電流帰還制御トランジスタのソース電流またはドレイン電流を前記加算電流に加算することを特徴とする電源回路。
  7. 前記電流加算回路はカレントミラーを用いて構成されることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1つに記載の電源回路。
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