JP4168523B2 - 印刷装置、印刷方法および記録媒体 - Google Patents

印刷装置、印刷方法および記録媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドットを形成して印刷媒体上に多階調の画像を印刷可能な印刷装置、印刷方法およびそのような印刷を実現するためのプログラムを記録した記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンピュータやディジタルカメラの出力装置として、種々のプリンタが使用されている。かかるプリンタには、インクを吐出してドットを形成し、画像を多色多階調で印刷するインクジェットプリンタがある。インクジェットプリンタは、各画素ごとにはドットのオン・オフの2値しか表現し得ない。従って、インクジェットプリンタにおいては、画像の階調値をドットの分布によって表現するハーフトーン処理を行い、各画素ごとのドットのオン・オフを決めている。
【0003】
近年では、インクの濃度やインク重量の異なるドットを用いることにより、各画素ごとに3値以上の濃度表現を可能としたプリンタも提案されている。かかる多値プリンタにおいても、印刷すべき画像の階調値に比較して各画素ごとに表現可能な階調値は非常に限られている。従って、多値プリンタにおいても、同様にハーフトーン処理を施した上で印刷が実行される。
【0004】
ドットの形成は、ヘッドを印刷用紙に対して一方向に往復動する主走査と、主走査と交差する方向に印刷用紙を搬送する副走査とを繰り返し実行することによって行われるものが一般的である。かかる方法によって印刷を行う場合、インクジェットプリンタでは、インクを吐出するドット形成要素の機械的製造誤差などに起因するドットの形成位置のずれによってバンディングと呼ばれる筋状の濃度ムラが生じ、画質が低下することがある。かかるずれを軽減して画質を向上するための技術としていわゆるオーバラップ方式による記録が提案されている。
【0005】
オーバラップ方式による記録とは、各ラスタを2本以上のドット形成要素で形成する方法をいう。図20はオーバラップ方式によって形成されるドットの様子を示す説明図である。図の左側に各主走査におけるドット形成要素の位置を示した。それぞれ番号を付したシンボルがドット形成要素を意味する。ここでは副走査方向に3ドットのドット形成要素ピッチで4つのドット形成要素が配列されたヘッドを用いた場合を例示した。各番号はドット形成要素番号を示す。
【0006】
図示する通り、各主走査を行う度に2ドットに相当する送り量で副走査を実行する。図中に印刷可能領域として示した範囲で各ラスタにドットを形成することができ、画像を印刷することができる。図から明らかな通り、印刷可能領域では各ラスタを2回の主走査で2本のドット形成要素が通過する。例えば、印刷可能領域の最上段のラスタr1は、4番のドット形成要素と2番のドット形成要素とによって形成される。つまり、1回目の主走査では4番ドット形成要素がラスタr1の奇数番目の画素にドットを形成する。4回目の主走査では2番ドット形成要素がラスタr1の偶数番目の画素にドットを形成する。図の右側に形成されるドットの様子を示した。「○」および「□」で示したのがドットを意味する。各シンボルの形状は、ドットを形成するドット形成要素のシンボルと対応している。図示する通り、印刷可能領域の各ラスタが2つのドット形成要素によって形成されることが分かる。
【0007】
このように各ラスタを複数のドット形成要素で形成する記憶方法をオーバラップ方式と呼ぶ。図20には、各ラスタを2本のドット形成要素で形成する場合を例示したが、更に多くのドット形成要素を用いて形成する場合もある。このように各ラスタを複数のドット形成要素で形成することにより、各ドット形成要素の特性に起因して生じる形成位置のずれを分散させることができる利点がある。例えば、4番ドット形成要素は、ドットの形成位置が副走査方向にずれる特性を有している場合を考える。4番ドット形成要素のみを用いてラスタを形成すれば、そのラスタ全体の位置が副走査方向にずれることになる。この結果、隣接するラスタとの間隔が不均一となり、バンディングと呼ばれる筋状の濃淡ムラを生じる。これに対し、ラスタを複数のドット形成要素で形成すれば、ラスタ全体が副走査方向にずれることを回避でき、バンディングの発生を抑制できる。従って、オーバラップ方式による記録を行うことにより、画質を向上することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、オーバラップ方式による記録は、印刷速度が低下するという課題があった。オーバラップ方式では、それぞれのドット形成要素を間欠的に駆動し、各ラスタを複数のドット形成要素で形成するため、各ドット形成要素の駆動率が低下する。各ラスタを複数のドット形成要素で形成する場合は、単一のドット形成要素で形成する場合に比較して、副走査の送り量も小さくなり、画像全体を印刷するのに要する副走査の回数が増大する。従来、オーバラップ方式による記録方法は、これらの原因によって印刷速度が低下していた。
【0009】
一般にプリンタの利便性は画質と印刷速度により影響を受ける。高画質での印刷を高速に実行することが望ましい。近年では、プリンタの画質を向上するために、高解像度化が図れており、画素数が増大する傾向にある。このため、画像の印刷に要する時間が増大する傾向にあった。かかる傾向下でオーバラップ方式を適用することによる印刷速度の低下は看過し得ないものとなっていた。その一方で、オーバラップ方式を適用しない場合に生じるバンディングによる画質の低下も許容されるものではない。
【0010】
かかる課題は、インクジェットプリンタに限られるものではなく、主走査を行いつつドットを形成して画像を印刷する印刷装置に共通の課題であった。本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、ドットを形成して印刷を行う印刷装置においてバンディングによる画質の低下を招くことなく、印刷速度を向上する技術を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上記課題の少なくとも一部を解決するために、本発明では以下の手段を採用した。
本発明の印刷装置は、
ヘッドを印刷媒体に相対的に往復動する主走査と、該印刷媒体を前記主走査方向と交差する方向に前記ヘッドに対して相対的に搬送する副走査とを行って、前記印刷媒体上の各画素にドットを形成することにより画像を印刷する印刷装置であって、
前記ヘッドはドットを形成するドット形成要素を前記副走査方向に複数備えたヘッドであり、
前記画像の画像データを入力する入力手段と、
該画像データをハーフトーン処理するハーフトーン手段と、
前記ヘッドを駆動しながら主走査を行うとともに、所定の送り量で副走査を行って、前記主走査方向の各ドット列たるラスタを複数のドット形成要素で形成するドット形成制御手段とを備え、
前記ハーフトーン手段は、前記ラスタを形成する複数のドット形成要素のうち、一部のドット形成要素に対応した特定画素に優先的にドットが形成される条件でハーフトーン処理する手段であることを要旨とする。
【0012】
かかる印刷装置は、各ラスタを複数のドット形成要素で形成するオーバラップ方式により画像を印刷する。前記ハーフトーン手段は、前記特定画素に優先してドットが形成されるようにハーフトーン処理を行う。従って、比較的ドットの形成密度が低い階調範囲においては、特定画素にのみドットが形成される。特定画素は一部のドット形成要素によって形成される画素である。従って、かかる階調範囲においては、オーバラップ方式での記録において各ラスタの形成に必要となるドット形成要素のうち一部のみを使用して各ラスタを形成することが可能となる。一般にバンディングは記録密度が高い領域において顕著であるため、特定画素にのみドットが形成されるような記録密度が比較的低い階調範囲においては、一部のドット形成要素を使用して各ラスタを形成しても顕著なバンディングは生じない。本発明の印刷装置は、上述の作用により、上記階調範囲における画像の形成効率を向上することができ、高画質な印刷を高速で実現することが可能となる。
【0013】
本発明の作用について、図20に示したオーバラップ方式の記録を例にとってより具体的に説明する。図20に示したオーバラップ方式の記録では、各ラスタを2本のドット形成要素で形成し、第1のドット形成要素が奇数番目の画素、第2のドット形成要素が偶数番目の画素を形成する。かかる場合において、第1のドット形成要素により形成される奇数番目の画素を特定画素とする。ハーフトーン手段が奇数番目の画素に優先してドットが形成されるように各画素のドットのオン・オフを設定する。比較的低階調の領域では、奇数番目の画素にのみドットが形成されるようになる。従って、かかる階調においては、第1のドット形成要素による主走査のみでラスタを形成することが可能となり、印刷速度を向上することができる。先に述べた通り、かかる階調においては、第1のドット形成要素による主走査のみでラスタを形成しても顕著なバンディングを生じない。
【0014】
本発明において、一部のドット形成要素は必ずしも単一のドット形成要素である必要はない。各ラスタを3本以上のドット形成要素で形成するオーバラップ方式を行う場合には、一部のノズルを2本以上のドット形成要素としてもよい。また、かかる場合には、ドットが形成される優先度を段階的に設定するものとしてもよい。例えば、各ラスタを3つのドット形成要素で形成する場合において、第1のドット形成要素により形成される画素、第2のドット形成要素により形成される画素という順序でドットが形成される優先度を低くしてもよい。こうすれば、低階調の領域においては、第1のドット形成要素のみでドットを形成することができ、中間階調の領域においては、第1のドット形成要素および第2のドット形成要素のみを使用してドットを形成することができる。
【0015】
図20の例に即して説明すれば、奇数番目の画素を特定画素としてハーフトーン処理を実行した場合、3番および4番のドット形成要素で形成される画素が特定画素に対応し、1番および2番のドット形成要素で形成される画素がその他の画素に対応する。つまり、一主走査において、ヘッドには、特定画素を形成するドット形成要素と、その他の画素を形成するドット形成要素とが混在することになる。かかる場合、特定画素を優先してドットを形成することにより、ハーフトーン結果として前記ヘッドに転送されるデータ量を低減することができ、印刷速度を向上することができる。近年ではヘッドに備えられるドット形成要素の数が増大し、各ラスタを構成する画素数が増大する傾向にあるため、このようにデータの転送を一部省略することによる印刷速度の向上効果は大きい。
【0016】
本発明の印刷装置において、
前記ハーフトーン手段は、
前記送り量に応じて各主走査とラスタとの対応関係を記憶する記憶手段と、各主走査で形成される複数のラスタについて、該主走査で形成される画素の優先度が共通するように前記特定画素を設定する設定手段とを備える手段であるものとすることが好ましい。
【0017】
こうすれば、各画素の優先度を各主走査ごとに統一することができる。つまり、一主走査で形成対象となる画素を特定画素またはその他の画素に統一することができる。この結果、ドットの形成効率を向上するための制御を各主走査ごとに行うことができ、印刷速度をより向上することが可能となる。なお、上記記憶手段は、各主走査とラスタとの対応関係を直接記憶するもののみならず、該対応関係を特定可能な情報を記憶するものであればよい。
【0018】
かかる制御として、例えば、
前記ドット形成制御手段は、
各主走査ごとにドットを形成すべき画素が存在するか否かを判定する判定手段と、
ドットを形成すべき画素が存在しないと判定された場合には該主走査の実行を省略する主走査省略手段とを備える手段であるものとすることができる。
【0019】
こうすれば、特定画素にのみドットが形成される階調範囲においては、主走査の回数を減らすことが可能となる。つまり、特定画素の形成に対応した主走査では各画素にドットを形成し、その他の画素に対応した主走査は実行を省略することができる。この結果、上記制御を実行すれば、印刷速度をより向上することが可能となる。
【0020】
本発明において、
前記ハーフトーン手段は、ディザ法によるハーフトーンを行う手段であるものとすることができる。
【0021】
ディザ法とは、予め設定されたディザマトリックスによって各画素ごとに与えられる閾値と画像データの階調値との大小関係に応じて書く画素のドットのオン・オフを判定するハーフトーン処理方法である。ディザ法では、ディザマトリックスの閾値の設定により、ドットがオンになりやすい画素を比較的容易に制御することができる。従って、特定画素を優先したハーフトーン処理を比較的容易に実現することができる。
【0022】
なお、本発明においてハーフトーン手段は必ずしもディザ法に限られるものではない。その他のハーフトーン手段、例えば誤差拡散法を適用するものとしてもよい。誤差拡散法においては、例えば、ドットのオン・オフを判定する基準となる閾値として、特定画素とその他の画素とで異なる値を用いることにより、特定画素を優先したハーフトーン処理を実現することができる。
【0023】
本発明は、単一種類のドットを形成可能なヘッドを備える印刷装置に適用することも可能であるが、
前記ヘッドは濃度の評価値が異なる複数のドットを形成可能なヘッドであり、
前記ハーフトーン手段は、
各ドットについて予め設定された記録率を記憶する手段であって、濃度の評価値が最大のドットを前記特定画素に形成した際に表現される階調値よりも低い所定の階調値においては、前記各ドットの記録率の総和が特定画素の密度以下となる範囲で設定された記録率を記憶する録率記憶手段と、
該記憶された記録率に基づいてハーフトーン処理を行う手段とを有する手段であるものとすることもできる。
【0024】
濃度の評価値が異なる複数のドットを用いれば、画像データの階調に応じて各ドットの記録密度を変えることで、滑らかな階調表現を実現することができる。かかる場合においては、各ドットの記録率と階調値との関係を種々設定することが可能である。上記構成の印刷装置では、所定の低階調領域においては、ドットの記録率の総和が特定画素の密度以下になるように各記録率が設定される。従って、このような低階調の領域では、特定画素にのみドットを形成して階調を表現することができる。従って、上記印刷装置によれば、先に説明した作用に基づく印刷速度向上の効果を上述の低階調領域で得ることができる。この結果、上記印刷装置は、滑らかな階調表現による高画質な印刷を高速で実現することができる。
【0025】
なお、上記所定の階調値は、濃度の評価値が最大のドットを前記特定画素に形成した際に表現される階調値以下の範囲で任意に設定することができる。濃度の評価値が最大のドットを前記特定画素に形成した際に表現される階調値は、特定画素にのみドットを形成することにより表現可能な最大の濃度に対応する階調値である。かかる階調値以下のすべての範囲において特定画素の密度を超えないようにドットの記録率を設定すれば、広い範囲で印刷速度向上の効果を得ることができる点で望ましい。
【0026】
本発明は以下に示す印刷方法として構成することもできる。
即ち、本発明の印刷方法は、
ドットを形成するドット形成要素を複数備えたヘッドを印刷媒体に相対的に往復動する主走査と、該印刷媒体を前記主走査方向と交差する方向に前記ヘッドに対して相対的に搬送する副走査とを行って、前記印刷媒体上の各画素にドットを形成することにより画像を印刷する印刷方法であって、
(a) 前記画像の画像データを入力する工程と、
(b) 前記主走査方向のドット列たるラスタごとに複数のドット形成要素が対応するように予め設定された副走査の送り量に基づいて、各ラスタと複数のドット形成要素との対応関係を特定する工程と、
(c) 各ラスタを形成する複数のドット形成要素のうち、一部のドット形成要素に対応した特定画素に優先的にドットが形成される条件で、前記画像データのハーフトーン処理を行う工程と、
(d) 該ハーフトーン処理された結果に基づいて、前記主走査および副走査を行ってドットを形成する工程と
を備える印刷方法である。
【0027】
かかる印刷方法によれば、先に印刷装置で説明したのと同様の作用により、高画質な印刷を高速で実行することができる。なお、印刷方法の発明においても、先に印刷装置で説明した種々の付加的要素を備えることが可能であることはいうまでもない。
【0028】
本発明は以下に示す記録媒体として構成することもできる。
即ち、本発明の第1の記録媒体は、
ドットを形成するドット形成要素を複数備えたヘッドの主走査および副走査を繰り返し実行して画像を印刷する印刷装置を駆動するためのプログラムをコンピュータ読みとり可能に記録した記録媒体であって、
予め設定された副走査の送り量に基づいて、各ラスタと該ラスタの形成に対応する複数のドット形成要素との対応関係を特定する機能と、
各ラスタを形成する複数のドット形成要素のうち、一部のドット形成要素に対応した特定画素に優先的にドットが形成される条件で、前記画像データのハーフトーン処理を行う機能とを実現するプログラムを記録した記録媒体である。
【0029】
本発明の第2の記録媒体は、
ヘッドの主走査および副走査を繰り返し実行して画像を印刷する印刷装置を駆動するためのプログラムをコンピュータ読みとり可能に記録した記録媒体であって、
各主走査ごとにドットを形成すべき画素が存在するか否かを判定する機能と、
ドットを形成すべき画素が存在しないと判定された場合には該主走査の実行を省略する機能とを実現するプログラムを記録した記録媒体である。
【0030】
上記記録媒体に記録されたプログラムがコンピュータにより実行されると、先に印刷装置で説明した通り、高画質な印刷を高速で行うことができる。なお、上記プログラムは、上記機能を実現する単独のプログラムとして構成してもよいし、印刷装置を駆動するためのプログラムの一部として構成してもよい。また、先に印刷装置で説明した種々の付加的要素を実現するプログラムとして構成することも可能である。
【0031】
上述の記憶媒体としては、フレキシブルディスクやCD−ROM、光磁気ディスク、ICカード、ROMカートリッジ、パンチカード、バーコードなどの符号が印刷された印刷物、コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ)および外部記憶装置などコンピュータが読取り可能な種々の媒体を利用できる。また、上記機能を実現させるプログラムを通信経路を介して供給するプログラム供給装置としての態様も含む。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、実施例に基づき説明する。
(1)装置の構成:
以下、本発明の実施の形態について、実施例に基づき説明する。図1は実施例としての印刷装置の概略構成を示す説明図である。本実施例の印刷装置は、プリンタPRTをコンピュータPCにケーブルCBにより接続して構成される。コンピュータPCはプリンタPRTに印刷用のデータを転送するとともに、プリンタPRTの動作を制御する役割を果たす。これらの処理は、プリンタドライバと呼ばれるプログラムに基づいて行われる。
【0033】
コンピュータPCは、フレキシブルディスクドライブFDDやCD−ROMドライブCDDを介して、それぞれフレキシブルディスクやCD−ROMといった記録媒体からプログラムをロードし実行することができる。また、コンピュータPCは外部のネットワークTNに接続されており、特定のサーバーSVにアクセスして、プログラムをダウンロードすることも可能である。当然、これらのプログラムは、印刷に必要なプログラム全体をまとめてロードする態様を採ることもできるし、一部のモジュールのみをロードする態様を採ることもできる。
【0034】
図2は印刷装置の機能ブロックを示す説明図である。コンピュータPCでは、所定のオペレーティングシステムの下で、アプリケーションプログラム95が動作している。オペレーティングシステムにはプリンタドライバ96が組み込まれている。アプリケーションプログラム95は、画像データの生成などの処理を行う。プリンタドライバ96には、入力部100,色補正処理部101および色補正テーブルLUT、ハーフトーン処理部102および記録率テーブルRT、ラスタライズ部103、出力部104の各機能部が用意されている。
【0035】
アプリケーションプログラム95から印刷命令が出されると、入力部100が画像データを受け取る。色補正処理部101は画像データの色成分をプリンタPRTのインクに応じた色成分に補正する色補正処理を行う。色補正処理は、画像データの色成分をプリンタPRTのインクで表現可能な色成分との対応関係を予め記憶する色補正テーブルLUTを参照して行われる。ハーフトーン処理部102は、こうして色補正処理されたデータに対し、それぞれ各画素の階調値をドットの記録密度で表現するためのハーフトーン処理を行う。後述する通り、プリンタPRTは濃度評価値の異なる3種類のドットを形成可能である。階調値と各ドットの記録率との関係は予め記録率テーブルRTとして設定されている。ハーフトーン処理部102は、記録率テーブルRTに記憶された記録率に従って、ハーフトーン処理を実行する。ラスタライズ部103は、ハーフトーン処理されたデータをプリンタPRTに転送する順序に配列する。こうして生成された印刷データは、出力部104によりプリンタPRTに出力される。
【0036】
プリンタPRTは、プリンタドライバ96から転送された印刷データを入力部110が受け取り、バッファ115に一旦記憶する。そして、バッファ115に記憶されたデータに従って、主走査部111および副走査部112がヘッドの主走査および印刷用紙の搬送を行い、ヘッド駆動部113がヘッドを駆動して画像を印刷する。
【0037】
図3はプリンタPRTの概略構成を示す説明図である。図示するように、プリンタPRTは、紙送りモータ23によって用紙Pを搬送する回路と、キャリッジモータ24によってキャリッジ31をプラテン26の軸方向に往復動させる回路と、キャリッジ31に搭載された印字ヘッド28を駆動してインクの吐出およびドット形成を行う回路と、これらの紙送りモータ23,キャリッジモータ24,印字ヘッド28および操作パネル32との信号のやり取りを司る制御回路40とから構成されている。
【0038】
キャリッジ31をプラテン26の軸方向に往復動させる回路は、プラテン26の軸と並行に架設されキャリッジ31を摺動可能に保持する摺動軸34と、キャリッジモータ24との間に無端の駆動ベルト36を張設するプーリ38と、キャリッジ31の原点位置を検出する位置検出センサ39等から構成されている。
【0039】
このプリンタPRTのキャリッジ31には、黒インク(K)用のカートリッジ71とシアン(C),ライトシアン(LC)、マゼンタ(M),ライトマゼンタ(LM)、イエロ(Y)の5色のインクを収納したカラーインク用カートリッジ72が搭載可能である。キャリッジ31の下部の印字ヘッド28には計6個のインク吐出用ヘッド61〜66が形成されている。
【0040】
図4は、インク吐出用ヘッド61〜66におけるノズルNzの配列を示す説明図である。これらのノズルの配置は、各色ごとにインクを吐出する6組のノズルアレイから成っている。各ノズルアレイには48個のノズルNzが一定のノズルピッチkで千鳥状に配列されている。
【0041】
図5はヘッド28においてインクを吐出する原理を示す説明図である。図示の都合上、K,C,LCのヘッドについて内部構造を示した。図示する通り、各ノズルには、インクカートリッジ71,72からのインクを供給するためのインク通路68が設けられている。また、このインク通路68に隣接してピエゾ素子PEが配設されている。制御回路40がピエゾ素子PEに所定の駆動電圧を印加すると、ピエゾ素子PEの歪みによって図中の矢印で示す方向にインク通路68が変形し、インク滴Ipが吐出される。
【0042】
プリンタPRTは、インク重量の異なる3種類のドットを形成することができる。最大のインク量のドットを大ドット、中間のインク量のドットを中ドット、最小のインク量のドットを小ドットと呼ぶ。これらの3種類のドットを形成する原理について説明する。図6は、インクが吐出される際のノズルNzの駆動波形と吐出されるインクIpとの関係を示した説明図である。図6において破線で示した駆動波形が通常のドットを吐出する際の波形である。区間d2において一旦、ピエゾ素子PEの電位を低電位にすると、インク通路68の断面積を増大する方向にピエゾ素子PEが変形する。この変形はインク通路68からのインクの供給速度よりも高速に行われるため、メニスカスと呼ばれるインク界面Meは、図6の状態Aに示した通りノズルNzの内側にへこんだ状態となる。図6の実線で示す駆動波形を用い、区間d1に示すように電位を急激に低下させると、インク通路68の変形速度は更に高速になるから、メニスカスは状態Aに比べて大きく内側にへこんだ状態となる(状態a)。次に、ピエゾ素子PEへの印加電圧を正にすると(区間d3)、インクが吐出される。このとき、メニスカスがあまり内側にへこんでいない状態(状態A)からは状態Bおよび状態Cに示すごとく大きなインク滴が吐出され、メニスカスが大きく内側にへこんだ状態(状態a)からは状態bおよび状態cに示すごとく小さなインク滴が吐出される。
【0043】
かかる原理に基づいて、ピエゾ素子PEの電位を低くする際(区間d1,d2)の変化率、つまりノズルを駆動する駆動波形に応じて、吐出されるインク重量を変化させることができる。本実施例では、小ドットIPsを形成するための駆動波形と、中ドットIPmを形成するための駆動波形の2種類を用意している。図7に本実施例で用いている駆動波形を示す。駆動波形W1が小ドットIPsを形成するための波形であり、駆動波形W2が中ドットIPmを形成するための波形である。図7に示す通り、インク重量が大きくなる程、飛翔速度が大きい。これらの駆動波形を使い分けることにより、一定のノズル径からなるノズルNzからドット径が小中の2種類のドットを形成することができる。本実施例のプリンタPRTでは、これらの駆動波形をキャリッジ31の移動とともにW1,W2の順で連続的かつ周期的に出力している。
【0044】
また、図7の駆動波形W1,W2の双方を使ってドットを形成することにより、大ドットを形成することができる。この様子を図7の下段に示した。図7下段の図は、ノズルから吐出された小ドットおよび中ドットのインク滴IPs、IPmが吐出されてから用紙Pに至るまでの様子を示している。図7の駆動波形を用いて小中2種類のドットを形成する場合、中ドットの方がインク滴IPmが勢いよく吐出される。このようなインクの飛翔速度差およびキャリッジ31の主走査方向への移動速度に応じて、小ドットのインク滴IPsと中ドットのインク滴IPmを連続して吐出するタイミングを調節すれば、両インク滴をほぼ同じタイミングで用紙Pに到達させることができる。本実施例では、このようにして図7上段の2種類の駆動波形から大ドットを形成している。
【0045】
プリンタPRTの各機能を制御する制御回路40は、CPU,PROM,RAMを備えるマイクロコンピュータとして構成されている。制御回路40には、ヘッド61〜66のそれぞれにピエゾ素子を駆動するための駆動波形を出力するための発信器や駆動波形を各ノズルに分配して出力するための分配出力器が設けられている。制御回路40が、ヘッド61〜66の各ノズルについてドットのオン・オフを指定するデータに基づいて、駆動波形を出力すると、先に説明した原理に基づいて、オンに設定されたノズルからインクが吐出される。
【0046】
以上説明したハードウェア構成を有するプリンタPRTは、紙送りモータ23により用紙Pを搬送する副走査と、キャリッジ31をキャリッジモータ24により往復動させつつ各ヘッド61〜66のピエゾ素子PEを駆動してドットを形成する主走査とを繰り返し行って用紙P上に画像を形成する。
【0047】
なお、本実施例では、上述の通りピエゾ素子PEを用いてインクを吐出するヘッドを備えたプリンタPRTを用いているが、他の方法によりインクを吐出するプリンタを用いるものとしてもよい。例えば、インク通路に配置したヒータに通電し、インク通路内に発生する泡(バブル)によりインクを吐出するタイプのプリンタに適用するものとしてもよい。また、インクを吐出するタイプのプリンタのみならず、いわゆる熱転写型、昇華型などのプリンタに適用することも可能である。
【0048】
(2)ドット形成制御処理ルーチン:
次に、本実施例におけるドット形成制御処理ルーチンについて説明する。図8はドット形成制御処理ルーチンのフローチャートである。このルーチンはプリンタドライバ96による処理であり、本実施例においてはコンピュータPCのCPUにより実行されるルーチンである。
【0049】
この処理が開始されると、CPUは、画像データを入力する(ステップS100)。この画像データは、図2に示したアプリケーションプログラム95から受け渡されるデータであり、画像を構成する各画素ごとにR,G,Bそれぞれの色について、値0〜255の256段階の階調値を有するデータである。
【0050】
CPUは、入力された画像データの解像度をプリンタPRTが印刷するための解像度に変換する(ステップS105)。また、CPUは色補正処理を行う(ステップS110)。色補正処理とはR,G,Bの階調値からなる画像データをプリンタPRTで使用するC,LC,M,LM,Y,Kの各色の階調値に変換する処理である。この処理は、R,G,Bのそれぞれの組み合わせからなる色をプリンタPRTで使用する各色の組み合わせで表すためのデータを予め記憶した色補正テーブルLUTを用いて行われる。色補正テーブルLUTを用いて色補正する処理自体については、公知の種々の技術が適用可能であり、例えば補間演算による処理が適用できる。この処理により画像データは、C,LC,M,LM,Y,Kの各色ごとに256階調を有するデータに変換される。この処理は、図2における色補正処理部101の処理に相当する。
【0051】
こうして色補正された画像データに対して、CPUは多値化処理を行う(ステップS200)。多値化とは、原画像データの階調値(本実施例では256階調)をプリンタPRTが各画素ごとに表現可能な階調値に変換することをいう。本実施例では「ドットの形成なし」「小ドットの形成」「中ドットの形成」「大ドットの形成」の4階調への多値化を行っている。もちろん、プリンタPRTが形成可能なドットの種類に応じて更に多くの階調への多値化を行うものとしてもよい。この処理は図2のハーフトーン処理部102の処理に相当する。
【0052】
図9は多値化処理ルーチンのフローチャートである。多値化処理はいわゆる誤差拡散法など種々の方法により行うことができる。本実施例ではディザ法により多値化処理を行っている。また、予め設定された大ドット、中ドット、小ドットの記録率に基づく多値化処理を行う。図10は大ドット、中ドット、小ドットの記録率を与えるテーブルを示す説明図である。
【0053】
図示する通り、階調値が値0から増大するにつれて小ドットの記録率が徐々に増大する。小ドットの記録率が50%相当に達して以降は、小ドットの記録率が低減しつつ、中ドットの記録率が徐々に増加する。中ドットの記録率が50%相当に達して以降は、中ドットの記録率が低減しつつ、大ドットの記録率が50%に至るまで徐々に増加する。大ドットの記録率が50%に至る階調値よりも低階調側の領域D1においては、各ドットの記録率の総和は50%以下に設定されている。
【0054】
大ドットの記録率が50%に達して以降は、大ドットの記録率を維持しつつ、小ドットの記録率が徐々に増加する。小ドットの記録率が50%に達し、大ドットと合わせた記録率が100%に至って以降は、小ドットの記録率を低減しつつ、中ドットの記録率を増大する。大ドットの記録率は50%を維持する。従って、各ドットの記録率の総和は100%のままである。中ドットの記録率が50%に達して以降は、中ドットの記録率が低減しつつ、大ドットの記録率が100%まで増大する。このように設定された記録率は、各階調値ごとにレベルデータとしてテーブルに記憶されている。レベルデータとは、図10の右側に示す通り、記録率を0〜255(8ビット)のデータで表したデータをいう。
【0055】
図9に戻り、多値化処理ルーチンの内容について説明する。この処理が開始されると、CPUは大ドットのレベルデータLDを読み取る(ステップS202)。そして、このレベルデータLDと閾値thとの大小関係に基づいて、濃大ドットのオン・オフを判定する(ステップS204)。
【0056】
閾値thは、いわゆるディザマトリックスにより各画素ごとに異なる値が設定される。図11はディザ法によるドットのオン・オフ判定の考え方を示す説明図である。図示の都合上、一部の画素についてのみ示す。図11(a)に示す通り、各画素ごとに大ドットのレベルデータLDとディザマトリックスの対応画素に記憶されている閾値との大小を比較する。レベルデータLDの方がディザテーブルに示された閾値よりも大きい場合にはドットをオンにし、レベルデータLDの方が小さい場合にはドットをオフとする。図11中でハッチングを付した画素がドットをオンにする画素を意味している。なお、図11(a)は考え方を示す説明図であり、レベルデータおよびディザマトリックスの閾値自体は必ずしも現実のデータに対応してはいない。
【0057】
図12は本実施例におけるディザマトリックスの例について示す説明図である。図示の都合上、4×4の画素に対応したサイズに値1〜16までの閾値が対応したディザマトリックスを示した。実際の処理では、64×64画素に対応したサイズのディザマトリックスが使用される。本実施例のディザマトリックスは、主走査方向の奇数番目の画素に優先してドットを生成可能な設定となっている。図示する通り、主走査方向の奇数列c1,c3に含まれる画素(図中のハッチングの部分)は、偶数列c2,c4に含まれる画素に比べて閾値が小さい。奇数列c1,c3内の8つの画素には、値1〜8までの閾値が対応する。偶数列c2,c4内の8つの画素には、値9〜16までの閾値が対応する。閾値が小さいことはドットが生成されやすいことを意味する。実施例のディザマトリックスは、
かかる条件下でドットが分散して発生するように設定されている。ここでは、4×4のマトリックスを例示したが、64×64のマトリックスでも、同様に奇数列に優先的にドットが形成されるように各閾値が設定されている。かかる設定のマトリックスを用いる理由については後述する。
【0058】
ステップS204において、レベルデータLDが閾値th以上の場合には、大ドットをオンにすべきと判定して、大ドットの形成を示す結果値Rdに2進数で「11」のデータを代入する。結果値Rdの各ビットはそれぞれ、図7に示した駆動波形W1,W2のオン・オフに対応している。結果値REが値11が駆動用バッファに転送されると、駆動波形W1,W2の双方でインクを吐出するため大ドットが形成される。この場合には、中ドットおよび小ドットのオン・オフの判定を行わない。
【0059】
ステップS204において、レベルデータLDが閾値よりも小さい場合には、大ドットをオンにすべきでないと判断して、中ドットのオン・オフの判定に移行する。CPUは、図10に示したテーブルに基づき、中ドットのレベルデータLdmを読みとる(ステップS208)。そして、このレベルデータを大のレベルデータLDに加えて、レベルデータLDを修正する(ステップS210)。こうして修正されたレベルデータLDと閾値thとの大小を比較する(ステップS212)。閾値thは大ドットと同じディザマトリックスによって与えられる。修正したレベルデータLDが閾値th以上の場合には、濃中ドットをオンにすべきと判定して、そのことを意味する2進数の値「01」を結果値Rdに代入する。この結果値RdがプリンタPRTに送られると、中ドットを形成する駆動波形W2のみが有効になり、中ドットが形成される。中ドットを形成すべきと判定した場合には、小ドットのオン・オフの判定は行わない。
【0060】
本実施例において、中ドットのオン・オフを判定する様子を図11(b)に示した。図11(b)中の下段に示したのが中ドットのレベルデータLdmである。本実施例では、このレベルデータと、先に読みとられた大ドットのレベルデータLDとの和を修正後のレベルデータLDとする。修正後のレベルデータを図11(b)の上段に示した。この修正後のレベルデータLDがディザテーブルによって与えられる閾値以上の画素では中ドットをオンにすべきと判定する。図11(b)中のハッチングを示した画素がオンと判定された画素である。図11(a)と対比すれば、大ドットと重ならない画素で中ドットがオンになっていることが分かる。
【0061】
このように修正したレベルデータLDを用いて中ドットのオン・オフを判定する理由について説明する。極端な例として、予め設定された記録率の設定のうち、階調データが値255付近の領域、つまり中ドットのレベルデータが大ドットのレベルデータよりも小さくなる領域を考える。かかる領域について、修正したレベルデータLDではなく、中ドットのレベルデータLdm自体を用いてドットのオン・オフを判定した場合、大ドットがオフとなる画素(大ドットのレベルデータLD<thのとき)では、必ず中ドットのレベルデータLdm<thとなるため、中ドットもオフとなってしまう。この結果、中ドットの記録率は0%となり、予め設定された記録率が実現されなくなる。中ドットのレベルデータが大ドットのレベルデータよりも大きい領域においても、同様の原因によって中ドットの記録率は予め設定された記録率よりも低くなる。本実施例では、中ドットのレベルデータLdmと大ドットのレベルデータLDとの和に基づいて中ドットのオン・オフを判定することにより、大ドットと中ドットとを別の画素に形成しつつ、予め設定された記録率を確保しているのである。
【0062】
ステップS212において、レベルデータLDが閾値thよりも小さい場合には、中ドットをオンにすべきでないと判断して、次に小ドットのオン・オフの判定に移行する。CPUは、小ドットのレベルデータLdsを読みとる(ステップS216)。このレベルデータLdsをレベルデータLDに加えて修正する(ステップS218)。修正前のレベルデータLDには、大ドットのレベルデータと中ドットのレベルデータとの和が記憶されているから、この時点では、大ドット、中ドット、小ドットのレベルデータの総和が修正後のレベルデータLDに記憶される。そして、修正したレベルデータLDと閾値thとの大小を比較する(ステップS220)。小ドットのオン・オフの判定に、修正したレベルデータLDを用いるのは、中ドットの場合と同じ理由に基づくものである。かかるデータを用いてドットのオン・オフの判定を行うことにより、大ドット、中ドットとの重なりを回避しつつ、予め設定された記録率で小ドットを形成することができる。
【0063】
閾値thは大ドットと同じディザマトリックスによって与えられる。修正したレベルデータLDが閾値th以上である場合には、小ドットをオンにすべきと判定して、そのことを意味する2進数の値「10」を結果値Rdに代入する(ステップS222)。この結果値RdがプリンタPRTに送られると、小ドットを形成する駆動波形W1のみが有効になり、小ドットが形成される。レベルデータLDが閾値thよりも小さい場合には、小ドットを形成すべきでないと判定し、結果値Rdに2進数で「00」を代入する(ステップS224)。こうして、CPUは多値化処理ーチンを終了する。
【0064】
以上の処理により、一つの画素についていずれのドットを形成すべきかの判定がなされた。CPUは、全画素について処理が終了するまで(ステップS226)、上記処理を繰り返す。全画素について処理が終了すると、多値化処理ルーチンを終了してドット形成制御処理ルーチンに戻る。
【0065】
次に、CPUは多値化されたデータのラスタライズを行う(ステップS300)。これは、1ラスタ分のデータをプリンタPRTのヘッドに転送する順序に並べ替えることをいう。本実施例では、オーバラップ方式の記録を行う。1回目の主走査では各ラスタの奇数番目の画素にドットを形成し、2回目の主走査では偶数番目の画素にドットを形成する。つまり、各ラスタを2回の主走査で形成することになる。CPUは、ラスタライズとして、各ラスタのドットを1つおきにピックアップしたデータをヘッドに転送する。こうしてプリンタPRTが印刷可能なデータが生成されると、CPUは該データをプリンタPRTに転送する(ステップS310)。
【0066】
プリンタPRTは、このデータを受け取って印刷を実行する。プリンタPRTが印刷を実行するための処理について説明する。図13はドット形成ルーチンのフローチャートである。このルーチンはプリンタPRTの制御回路40内のCPUが実行する処理である。
【0067】
ドット形成ルーチンが開始されると、CPUは印刷データを入力する(ステップS402)。印刷データはコンピュータPCから受け取るデータであり、各画素ごとに大ドット、中ドット、小ドットのオン・オフを特定するデータである。プリンタPRTのヘッドには各インクごとに48本のノズルが備えられているから、ステップS402では、48ラスタ分のデータが入力される。こうして入力されたデータに基づき、CPUは次に実行する主走査でドットをオンにすべき画素が有るか否かを判定する(ステップS404)。次の主走査に対応するラスタの印刷データとして、ドットの非形成を意味する値「00」のみが入力された場合には、オンにすべき画素が存在しないものと判定される。値「00」以外の画素が一つでも存在すれば、オンにすべき画素が存在するものと判定される。
【0068】
オンにすべき画素が存在するものと判定された場合には、CPUは主走査用のデータの設定を行う(ステップS404)。各ノズルを駆動するため、駆動回路への印刷データの出力を行うのである。こうして主走査用データが設定されると、CPUは主走査を実行する(ステップS406)。各ノズルからは印刷データに従ってインクが吐出され、それぞれの画素にドットが形成される。プリンタPRTは各ラスタを2回の主走査で形成するオーバラップ方式による記録を実行するため、それぞれの主走査では各ラスタの奇数番目の画素、または偶数番目の画素のいずれか一方にドットが形成される。
【0069】
こうして主走査が終了すると、CPUは副走査として用紙の搬送を行う(ステップS410)。副走査の送り量は予め設定されている。一方、ステップS404において、オンにすべき画素が存在しないと判定された場合には、CPUは主走査の実行を省略し、副走査を実行する。
【0070】
CPUは以上の処理を画像の印刷が終了するまで(ステップS412)、繰り返し実行する。印刷データによっては主走査が実行される場合もあれば、主走査が省略される場合もある。
【0071】
図14はドットの記録例を示す説明図である。ここでは、図の左側にはヘッドの各主走査における副走査方向の位置、図の右側には形成されるドットの様子を示した。それぞれシンボル内の数字は、ノズル番号を意味する。図示の都合上、ここでは3ドットピッチで4つのノズルを備えるヘッドを例示した。
【0072】
図14において、「○」は奇数番目の主走査に対応するノズルおよびドットを示し、「□」は偶数番目の主走査に対応するノズルおよびドットを示している。図示する通り、2ドット相当の送り量で副走査を実行すると、図中の印刷可能領域として示した範囲でラスタr1,r2…を形成することができ、画像を印刷することができる。1回目の主走査で1〜3番ノズルによる印刷を実行しないのは、以降の主走査で隣接するラスタを形成し得ないからである。2回目以降の主走査においてドットを形成しないノズルが存在するのも同様の理由による。
【0073】
図15は低階調領域において形成されるドットの様子を示す説明図である。ここでは4×4の画素を例にとり、階調値の変化に応じて形成されるドットの様子を示した。図12に示したディザマトリックスを用いて多値化を行った場合を例示した。図中の左側から右側に向けて徐々に階調値が高くなった場合を示している。先に図10で示した通り、低階調領域では小ドットが主として形成される。従って、階調値の増加とともに形成される小ドットの数が増大する。ドットは図12のディザマトリックスにおいて閾値が小さい画素から順に形成される。先に説明した通り、ディザマトリックスは主走査方向の奇数列に優先してドットが形成されるように設定されている。従って、図15に示す通り、ドットは奇数列に優先して形成される。
【0074】
図15の右側には小ドットの記録率が50%になる場合を示した。図10中の階調値T1に相当する。この階調値以下の範囲では、奇数列目にのみドットが形成される。図14に示した通り、本実施例では奇数番目の主走査において奇数列目の画素にドットを形成し、偶数番目の主走査において偶数列目の画素にドットを形成するオーバラップ方式の記録を行う。図15に示した階調範囲では奇数番目の画素にのみドットが形成されるため、偶数番目の主走査は省略されることになる(図13のステップS404参照)。
【0075】
図16は中間階調において形成されるドットの様子を示す説明図である。図15と同様、階調値の変化に応じて形成されるドットの様子を示した。図10中の階調値T1以上の範囲に相当する。かかる階調値では中ドットの記録が開始される。図13のフローチャートで示した通り、中ドットは小ドットに先だってオン・オフの判定が実行される。従って、中ドットはディザマトリックスの閾値が小さい画素から順に発生する。中ドットと小ドットの記録率の和は50%に設定されているため、小ドットが中ドットに順次置換された状態となる。図の右側には中ドットの記録率が50%になる場合を示した。図10中の階調値T2に相当する。この階調値以下の範囲では、図示する通り、奇数番目の画素にのみドットが形成される。従って、図15で説明したのと同様、偶数番目の主走査は省略されることになる。
【0076】
値T2以上の階調値では、図16に示したのと同様の態様により、中ドットが大ドットに順次置換される。大ドットの記録率が50%となる階調値よりも低階調の領域、即ち図10中の領域D1においては、全体の記録率が50%以下に維持されている。従って、かかる範囲では、偶数番目の主走査は省略される。
【0077】
図17は高階調領域において形成されるドットの様子を示す説明図である。階調値の変化に応じて形成さえるドットの様子を示した。図10中の領域D1よりも高い階調値では、大ドットを50%記録した上で、偶数番目の画素に小ドットが形成される。小ドットの数は階調値とともに増大する。ドット全体の記録率も50%を超えて徐々に増大する。図17の右側には大ドットが50%、小ドットが50%の記録率で記録された場合を示した。図10中の階調値T3に相当する。
【0078】
図17に示したように全体の記録率が50%を超えると、偶数番目の画素にドットが形成されるようになる。従って、偶数番目の主走査は必ずしも省略されない。但し、例えば、図17中の左端に示した状態のように上端のラスタにおいてのみ偶数番目の画素にドットが形成されているような場合には、偶数番目の主走査のうち、このラスタの形成に対応するもののみが実行されることになる。その他の主走査は省略可能である。ドット全体の記録率が向上するにつれて、省略可能な主走査は徐々に減少する。図17の右端に示した状態、即ち記録率が100%に達すると、全ての主走査の実行が必要となる。
【0079】
図18は更に高階調の領域において形成されるドットの様子を示す説明図である。図10中の値T3の階調値では、階調値の増大につれて中ドットが形成されるようになる。大ドットの記録率は50%に維持され、全体の記録率は100%に維持される。図示する通り、小ドットが中ドットに順次置換される状態となる。図18の右側には大ドットが50%、中ドットが50%の記録率で形成された場合を示した。
【0080】
これらの階調範囲では、記録率が100%であるため、階調値に関わらず全ての主走査が実行される。図18に示した範囲以上の階調値では、同様の態様で中ドットが大ドットに順次置換される。これらの階調値でも記録率が100%であるため、階調値に関わらず全ての主走査が実行される。
【0081】
以上で説明した通り、本実施例の印刷装置によれば、オーバラップ方式による記録を行うことにより、ドットの形成位置のずれによるバンディングを抑制した高画質な印刷を実現する。この際に、図10中の領域D1に含まれる比較的低い階調領域では偶数番目の主走査を省略して印刷を行うことができる。このため、主走査数を減らすことができ、印刷速度を向上することができる。このように本実施例の印刷装置によれば、高画質な印刷を高速で実行することが可能となる。
【0082】
本実施例では、図10(a)に示す記録率に基づいて多値化処理を実行した。このように低階調の領域で記録率の総和が50%以下となるように設定されたテーブルを使用して多値化を行うことにより、幅広い階調範囲で主走査の回数を減らすことができる。比較例としての記録率を図10(b)に示す。ず10(b)のテーブルでは、小ドットを記録率が100%に至るまで徐々に増大する設定となっている。このように設定された記録率では、小ドットの記録率が100%に至った後は、常に記録率が100%で維持される。かかる設定のテーブルを用いた場合、奇数列の画素にのみドットが形成されるのは、図中の区間D2の階調範囲のみである。従って、主走査の回数を減らすことによる印刷速度の向上効果を得られる範囲が狭くなる。
【0083】
もちろん、ドットの記録率は階調値を適切に表現可能な範囲で任意に設定可能であり、本発明はいかなる記録率に対しても適用可能である。但し、図10(a)に示すように広い範囲で総記録率を抑制した設定とすることが、印刷速度の向上という観点からは好ましい。なお、本実施例では、各ラスタを2回の主走査で形成する場合を例にとって説明した。従って、50%以下に抑制するよう設定された記録率を適用した。これに対し、各ラスタを3回以上の主走査で形成することも可能である。かかる場合には、各主走査で形成される画素と各ラスタを構成する画素の比率に応じた値以下に、各ドットの記録率を抑制することが好ましい。
【0084】
上記実施例では、奇数列に優先してドットを形成する場合を例にとって説明した。優先してドットを形成する画素(以下、特定画素という)の設定は種々の変形例が考えられる。第1の変形例について説明する。図19は第1の変形例におけるディザマトリックスの例である。実施例と同様、4×4の画素に対応するマトリックスを例示した。このマトリックスでは、ハッチングを施した画素に優先的にドットが形成される。上半分では偶数番目の画素に優先的にドットが形成され、下半分では奇数番目の画素に優先的にドットが形成される。
【0085】
図20は第1の変形例におけるドットの形成の様子を示す説明図である。記号の意味は図14と同様である。実施例では、奇数番目の主走査で奇数列の画素にドットを形成し、偶数番目の主走査で偶数列の画素にドットを形成した。これに対し、変形例では、ノズルの上半分と下半分で形成する画素を変えて主走査を実行する。つまり、1番ノズル、2番ノズルで偶数列の画素を形成し、3番ノズル、4番ノズルで奇数列の画素を形成する。
【0086】
かかる方法によりドットの記録を行うと、図示する通り、奇数回目の主走査で形成されるドット(図中の「○」で表されるドット)と、偶数回目の主走査で形成されるドット(図中の「□」で表されるドット)とが2ラスタを単位として市松状に配列される。一方、図19に示したディザマトリックスから明らかな通り、優先的にドットが発生する画素も市松状に配列されている。従って、変形例によれば、低階調の領域においては、奇数番目の主走査を省略することができる。
【0087】
実施例では、ドットの記録率が50%となる階調値において、ドットが副走査方向に並んで形成された(図15参照)。これに対し、変形例では、記録率が50%となる階調値において、図20中の「□」で示す画素に市松状に形成される。従って、かかる記録率においていわゆる疑似輪郭の発生を抑制することが可能となる。
【0088】
このように本発明は所定の列の画素を特定画素とする場合にのみ適用されるものではなく、主走査および副走査の態様に応じて種々の画素を特定画素として設定することができる。かかる場合において、各主走査で形成対象となる画素が特定画素または非特定画素で統一されていることが望ましい。本実施例においては、奇数番目の主走査で形成される画素が特定画素に対応し、偶数番目の主走査で形成される画素が非特定画素に対応する。変形例では、逆に偶数番目の主走査で形成される画素が特定画素に対応し、奇数番目の主走査で形成される画素が非特定画素に対応する。かかる設定により、低階調の領域では、主走査の回数を減らすことができ、印刷速度を向上することができる。
【0089】
もっとも、本発明は、各主走査で形成対象となる画素が特定画素または非特定画素で統一されているものには限られない。例えば、変形例(図20)の主走査および副走査と、図12のディザマトリックスを用いた多値化処理とを組み合わせて適用してもよい。既に説明した通り、図12のディザマトリックスを用いた場合、低階調の領域では、奇数列の画素に優先してドットが形成される。図20に示した態様で主走査および副走査を実行すれば、かかる領域では3番ノズルおよび4番ノズルのみを使用してドットが形成されることになる。
【0090】
この場合には、各主走査でドットを形成する必要が生じるため、主走査の回数を減らすことはできない。但し、低階調の領域では、各主走査において1番ノズルおよび2番ノズルにはデータの設定が不要となり、その分、印刷速度を向上することが可能となる。近年では、ヘッドに備えられているノズル数が増大する傾向にあり、また、各ラスタを形成する画素数が増大する傾向にある。従って、一部のノズルに転送するデータが不要になることにより、印刷時の処理負担が大きく軽減される。
【0091】
本実施例においては、プリンタPRT側で主走査を実行するか否かの判定を行うものとして説明した(図13のステップS404)。この判断をコンピュータPC側で行うものとしてもよい。ドット形成制御処理ルーチン(図8)のラスタライズ(ステップS300)においては、各ラスタとノズルとの対応関係を考慮してデータの配列が行われる。この際に、それぞれの主走査で形成されるドットが存在するか否かの判定を同時に行うものとしてもよい。各主走査における印刷データとともに副走査の送り量をプリンタPRTに転送するものとし、主走査を行うか否かの判定結果に応じて副走査の送り量を変更すれば、本実施例の図13で示したと同様の制御を実現することができる。
【0092】
図14に示した主走査および副走査の態様に即して説明する。コンピュータPC側で主走査を行うべきと判定された場合には、2ドット相当の送りを行う旨のデータと共に印刷データを出力する。プリンタPRTはこのデータを受け取り、2ドット相当の副走査を実行した後、主走査を実行する。コンピュータPC側で主走査を省略すべきと判定された場合には、2回分の副走査に相当する値、即ち4ドット相当の送りを行う旨のデータと共に、省略すべきと判定された次の主走査に対応する印刷データを出力する。プリンタPRTはこのデータを受け取り4ドット相当の副走査を実行した後、主走査を実行する。結果として、主走査を1回省略したのと同様の動作が実現される。かかる態様で制御するものとすれば、主走査の回数を減らすことができると共に、コンピュータPCからプリンタPRTに転送するデータの量を減らすこともでき、更に印刷速度を向上することが可能となる。
【0093】
以上で説明した実施例および変形例では4つのノズルを備え、2回の主走査で各ラスタを形成する場合を例示した。本発明は、さらに多くのノズルを備える場合や、多くの主走査で各ラスタを形成する場合にも同様に適用することができる。また、以上の説明では、大中小の3種類のドットを形成可能なプリンタを例示したが、単一種類のドットしか形成し得ない2値プリンタに適用することも可能である。
【0094】
第2の変形例として各ラスタを3回の主走査で形成する場合について説明する。図21は第2の変形例における画素と主走査との対応関係を示す説明図である。図中のマスがそれぞれ画素を意味する。ここでは、主走査方向にc1〜c9の9列の画素を示した。図21において、ハッチングを付した列の画素は3n+1(n=0以上の整数)で表される回数の主走査、即ち、1回目、4回目、…の主走査で形成される画素を意味する。空白の画素は3n+2(n=0以上の整数)で表される回数の主走査、即ち、2回目、5回目、…の主走査で形成される画素を意味する。塗りつぶした画素は、3n(n=1以上の整数)で表される回数の主走査、即ち、3回目、6回目、…の主走査で形成される画素を意味する。
【0095】
図22は第2の変形例におけるディザマトリックスの例である。ここでは6×6のディザマトリックスの例を示した。第2の変形例では、図21においてハッチングを付した列に優先的に画素を生成するものとする。従って、図22に示す通り、列c1,c4に対応する画素に値1〜12の小さい閾値が設定されている。こうすることにより、低階調の領域では、3n+1回目の主走査のみでラスタを形成することができる。
【0096】
第2の変形例では、ハッチングを付した画素の次に空白の画素を優先してドットを生成するものとする。従って、図22に示すディザマトリックスでは、列c2、c5に対応する画素に値13〜24の中間の閾値が設定されている。こうすることにより、ハッチングを付した画素だけでは表現できない中間の階調領域において、3n+1回目および3n+2回目の主走査のみでラスタを形成することができる。更に高階調の領域においては全ての主走査でラスタを形成することになる。
【0097】
第2の変形例のように3回の主走査で各ラスタを形成する場合には、各主走査に対応する画素の優先度を段階的に変えてハーフトーン処理することができる。こうすれば、階調範囲に応じて主走査を効率的に省略することができ、印刷速度を向上することができる。もっとも、優先度を必ずしも段階的に変化させる必要はない。図21のハッチングを付した画素のみを優先してドットを形成し、空白の画素および塗りつぶした画素は同等の優先度で扱うものとしてもよい。逆に、ハッチングを付した画素と空白の画素に優先的にドットを形成するものとしてもよい。
【0098】
第2の変形例において大中小の3種類のドットを使用する場合には、記録率の設定も変更することが好ましい。図10(a)では低階調の領域においてドットの総記録率を50%以下に抑制して各ドットの記録率を設定した例を示した。各主走査を3回のラスタで形成する場合、例えばハッチングを付した画素の密度は1/3に相当する。従って、低階調領域におけるドットの総記録率は1/3以下、例えば30%程度に抑制して各ドットの記録率を設定することが好ましい。こうすれば、幅広い階調領域において、3n+1回目の主走査のみで画像を印刷することができる。同様にして、記録率が1/3を超える階調領域においては、ドットの総記録率を2/3、例えば65%程度に抑制して各ドットの記録率を設定することが望ましい。
【0099】
以上、本発明の種々の実施例について説明してきたが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の形態による実施が可能である。例えば、以上で説明した種々の処理は、コンピュータPCおよびプリンタPRTのいずれで実行するものとしてもよい。また、ソフトウェアおよびハードウェアのいずれで実現するものとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例としての印刷装置の概略構成を示す説明図である。
【図2】印刷装置の機能ブロックを示す説明図である。
【図3】プリンタPRTの概略構成を示す説明図である。
【図4】インク吐出用ヘッド61〜66におけるノズルNzの配列を示す説明図である。
【図5】ヘッド28においてインクを吐出する原理を示す説明図である。
【図6】インクが吐出される際のノズルNzの駆動波形と吐出されるインクIpとの関係を示した説明図である。
【図7】本実施例で用いている駆動波形およびドットの形成タイミングを示す説明図である。
【図8】ドット形成制御処理ルーチンのフローチャートである。
【図9】多値化処理ルーチンのフローチャートである。
【図10】大ドット、中ドット、小ドットの記録率を与えるテーブルを示す説明図である。
【図11】ディザ法によるドットのオン・オフ判定の考え方を示す説明図である。
【図12】本実施例におけるディザマトリックスの例について示す説明図である。
【図13】ドット形成ルーチンのフローチャートである。
【図14】ドットの記録例を示す説明図である。
【図15】低階調領域において形成されるドットの様子を示す説明図である。
【図16】中間階調において形成されるドットの様子を示す説明図である。
【図17】高階調領域において形成されるドットの様子を示す説明図である。
【図18】更に高階調の領域において形成されるドットの様子を示す説明図である。
【図19】第1の変形例におけるディザマトリックスの説明図である。
【図20】オーバラップ方式によって形成されるドットの様子を示す説明図である。
【図21】第2の変形例における画素と主走査との対応関係を示す説明図である。
【図22】第2の変形例におけるディザマトリックスの説明図である。
【符号の説明】
23…紙送りモータ
24…キャリッジモータ
26…プラテン
28…印字ヘッド
31…キャリッジ
32…操作パネル
34…摺動軸
36…駆動ベルト
38…プーリ
39…位置検出センサ
40…制御回路
61…インク吐出用ヘッド
68…インク通路
71,72…インクカートリッジ
95…アプリケーションプログラム
96…プリンタドライバ
100…入力部
101…色補正処理部
102…ハーフトーン処理部
103…ラスタライズ部
104…出力部
110…入力部
111…主走査部
112…副走査部
113…ヘッド駆動部
115…バッファ

Claims (5)

  1. ヘッドを印刷媒体に相対的に往復動する主走査と、該印刷媒体を前記主走査方向と交差する方向に前記ヘッドに対して相対的に搬送する副走査とを行って、前記印刷媒体上の各画素にドットを形成することにより画像を印刷する印刷装置であって、
    前記ヘッドはドットを形成するノズルを前記副走査方向に複数備えたヘッドであり、
    前記画像の画像データを入力する入力手段と、
    該画像データをハーフトーン処理するハーフトーン手段と、
    前記ヘッドを駆動しながら主走査を行うとともに、所定の送り量で副走査を行って、前記主走査方向の各ドット列たるラスタを複数回の主走査によって形成するドット形成制御手段とを備え、
    前記ハーフトーン手段は、ドットの記録率が所定の値よりも小さい階調値の範囲では、前記ラスタの複数の画素の内の、前記複数回の主走査の内の一部の主走査に対応する一部の画素に、優先的にドットが形成される条件でハーフトーン処理する手段であり、
    前記ドット形成制御手段は、
    各主走査ごとにドットを形成すべき画素が存在するか否かを判定する判定手段と、
    ドットを形成すべき画素が存在しないと判定された場合には該主走査の実行を省略する主走査省略手段とを備える手段である印刷装置。
  2. 請求項1記載の印刷装置であって、
    前記ハーフトーン手段は、ディザ法によるハーフトーンを行う手段である印刷装置。
  3. 請求項1記載の印刷装置であって、
    前記ヘッドは濃度の評価値が異なる複数のドットを形成可能なヘッドであり、
    前記ハーフトーン手段は、
    各ドットについて予め設定された記録率を記憶する手段であって、濃度の評価値が最大のドットを前記特定画素に形成した際に表現される階調値よりも低い所定の階調値においては、前記各ドットの記録率の総和が特定画素の密度以下となる範囲で設定された記録率を記憶する録率記憶手段と、
    該記憶された記録率に基づいてハーフトーン処理を行う手段とを有する手段である印刷装置。
  4. ドットを形成するノズルを複数備えたヘッドを印刷媒体に相対的に往復動する主走査と、該印刷媒体を前記主走査方向と交差する方向に前記ヘッドに対して相対的に搬送する副走査とを行って、前記印刷媒体上の各画素にドットを形成することにより画像を印刷する印刷方法であって、
    (a) 前記画像の画像データを入力する工程と、
    (b) 前記主走査方向のドット列たるラスタを複数回の主走査によって形成するように予め設定された副走査の送り量に基づいて、各ラスタと複数のノズルとの対応関係を特定する工程と、
    (c) ドットの記録率が所定の値よりも小さい階調値の範囲では、前記ラスタの複数の画素の内の、前記複数回の主走査の内の一部の主走査に対応する一部の画素に、優先的にドットが形成される条件で、前記画像データのハーフトーン処理を行う工程と、
    (d) 該ハーフトーン処理された結果に基づいて、前記主走査および副走査を行ってドットを形成する工程と
    を備え
    前記工程(d)は、
    各主走査ごとにドットを形成すべき画素が存在するか否かを判定する工程と、
    ドットを形成すべき画素が存在しないと判定された場合には該主走査の実行を省略する工程と、
    を含む、
    印刷方法。
  5. ドットを形成するノズルを複数備えたヘッドの主走査および副走査を繰り返し実行して画像を印刷する印刷装置を駆動するためのプログラムをコンピュータ読みとり可能に記録した記録媒体であって、
    前記主走査方向のドット列たるラスタを複数回の主走査によって形成するように予め設定された副走査の送り量に基づいて、各ラスタと該ラスタの形成に対応する複数のノズルとの対応関係を特定する機能と、
    ドットの記録率が所定の値よりも小さい階調値の範囲では、前記ラスタの複数の画素の内の、前記複数回の主走査の内の一部の主走査に対応する一部の画素に、優先的にドットが形成される条件で、前記画像データのハーフトーン処理を行う機能と
    該ハーフトーン処理された結果に基づいて、前記印刷装置に、前記主走査および副走査を行ってドットを形成させる機能と、
    を実現するプログラムを記録した記録媒体であって、
    前記ドットを形成させる機能は、
    各主走査ごとにドットを形成すべき画素が存在するか否かを判定する機能と、
    ドットを形成すべき画素が存在しないと判定された場合には該主走査の実行を省略する機能と、
    を含む、記録媒体
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