JP4168481B2 - ナイロン樹脂の精製方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する分野】
本発明はナイロン樹脂に含まれるモノマー、オリゴマーを抽出・除去することによりナイロン樹脂を精製する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ラクタムの重合方法は、これまでに数多く提案されているが、工業的に幅広く利用されている方法は、水を触媒(開始剤ということもある)とする重合方法である。水を触媒とするラクタムの重合はε−カプロラクタム、ウンデカラクタム、ラウロラクタムなどの各種ラクタムに適用され、それぞれナイロン6、ナイロン11、ナイロン12が製造される。
【0003】
水を触媒とするラクタムの重合によりナイロン樹脂を製造する場合、重合平衡のために未反応モノマーが残存し、更に重合中に環状オリゴマーが副生する。例えば、ε−カプロラクタムを重合してナイロン6を製造する方法においては、重合平衡のためにモノマーであるε−カプロラクタムが約8重量%残留し、オリゴマーが約2重量%副生する。これらのモノマー、オリゴマーがポリマー中に残存していると、射出成形、押出成形、ブロー成形、溶融紡糸、溶融製膜など再溶融して製品を製造する際に製品品質を低下させる原因となる。例えば、溶融紡糸時の糸切れ、溶融製膜時のダイマークの発生、射出成形時のモールドデポジットなどである。従って、ナイロン6樹脂の工業的生産においては、これらのモノマー、オリゴマーの除去のために熱水による抽出工程と、熱水抽出後の乾燥工程が必須となっている。
【0004】
これら熱水抽出と乾燥の両工程はいずれも長時間を要し、多くのエネルギーを必要とする。また、抽出液中に含まれるモノマーの回収工程も必要となるが、抽出工程には多量の水を用いるため、回収には多量の水を蒸発させる必要があり、同様に多くのエネルギーを必要とする。
【0005】
また、ジアミンとジカルボン酸の脱水重縮合で得られるナイロン樹脂の製造工程においても環状オリゴマーが生成する。その生成量はナイロン6樹脂などラクタムから製造されるナイロン樹脂に比べれば少ないため、一般的にはオリゴマーの除去は特に行われていない。しかしオリゴマーが除去されれば、当然のことながら品質は大幅に向上するため、簡便なオリゴマーの除去方法が待ち望まれている。
【0006】
ナイロン樹脂からモノマーやオリゴマーを除去する方法としては、例えば、米国特許第3741939号明細書に溶融状態のポリアミドを高温度・高真空下で処理することによりモノマー及びオリゴマーを除去する方法が提案されている。また、超臨界状態の二酸化炭素または二酸化炭素とメタノールとの混合媒体を抽出媒体とするモノマーやオリゴマーの抽出に関する検討が行なわれている(Journal of High Resolution Chromatography、1993年、第16巻、522〜524頁)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記の米国特許第3741939号明細書に記載されている方法では、揮発性の低いオリゴマーの除去効率が低い上に、高温処理によるポリマーの熱劣化という問題点を有しており、未だ実用的レベルには達していない。また、前記 Journal of High Resolution Chromatography、1993年、第16巻、522〜524頁に記載されている方法のうち、二酸化炭素のみを抽出媒体とする場合にはオリゴマーの抽出効率が極めて低く実用的ではない。また、二酸化炭素とメタノールの混合媒体を用いると抽出効率は向上するが、メタノールの分離・回収が必要な上、可燃性の有機溶剤であるメタノールを使用することから安全面に問題があり、実用性は低いと言わざるを得ない。
【0008】
以上のように、ナイロン樹脂中に含まれるモノマー及び/又はオリゴマーを短時間で効率良く除去でき、しかも可燃性の有機溶剤を使わない安全な方法が求められていた。
【0009】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者らは、ナイロン樹脂からモノマー及び/又はオリゴマーを抽出・除去する方法について鋭意検討を重ねた結果、本発明を見出すに到った。
【0010】
すなわち本発明は、
1.ナイロン樹脂からモノマー及び/又はオリゴマーを抽出・除去する際、抽出媒体として、100重量部の二酸化炭素と0.5〜500重量部の水との混合物である混合媒体を用いることを特徴とするナイロン樹脂の精製方法、
2.混合媒体が100重量部の二酸化炭素と0.5〜11.2重量部の水との混合物である前記1記載のナイロン樹脂の精製方法、
3.モノマー及び/又はオリゴマーの抽出条件が圧力75kg/cm2以上、温度31℃以上である前記1又は2記載のナイロン樹脂の精製方法、
4.ナイロン樹脂の形態が粉体及び/又はペレットである前記1〜3のいずれかに記載のナイロン樹脂の精製方法、
5.ナイロン樹脂がナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、これらの共重合体、またはこれらの混合物である前記1〜4のいずれかに記載のナイロン樹脂の精製方法、
6.ナイロン樹脂がナイロン6、ナイロン66、これらの共重合体、またはこれらの混合物である前記5記載のナイロン樹脂の精製方法、
7.ナイロン樹脂がナイロン6樹脂またはナイロン6単位の含有率が60重量%以上のナイロン6系共重合体である前記7記載のナイロン樹脂の抽出方法、
を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。本発明において「重量」とは「質量」を意味する。
【0012】
本発明の抽出で用いられる媒体は二酸化炭素と水とからなる。二酸化炭素と水の組成に特に制限は無いが、二酸化炭素100重量部に対して、水0.5〜500重量部であり、好ましくは二酸化炭素100重量部に対して、水0.5〜11.2重量部、特に好ましくは二酸化炭素100重量部に対して、水2〜300重量部である。二酸化炭素に対し水が少すぎると抽出効率が低く、逆に、多すぎると抽出液からのモノマー回収効率が低下するので、好ましくない。
【0013】
本発明の抽出条件には特に制限は無いが、二酸化炭素が超臨界流体となっている条件が好ましく、圧力75kg/cm2 以上、温度31℃以上の条件であることが好ましい。この条件下では二酸化炭素は超臨界流体となり、水と均一に混合された抽出媒体となる(有機合成化学協会誌、第53巻、第5号、p33(1995) )。二酸化炭素が超臨界流体になっていない場合には抽出効率は低くなる。
【0014】
本発明において、より好ましい圧力は100kg/cm2 以上であり、特に好ましくは120kg/cm2 以上、とりわけ150kg/cm2 以上が好ましい。本発明において、より好ましい温度は40℃以上であり、特に好ましくは50℃以上、とりわけ60℃以上が好ましい。
【0015】
本発明で用いられるナイロン樹脂の種類には特に制限は無く、ラクタム、アミノカルボン酸、ジアミン/ジカルボン酸を重合して得られるナイロン樹脂、これらの共重合体あるいは混合物が用いられる。
【0016】
ラクタムとしては、バレロラクタム、カプロラクタム、エナントラクタム、カプリルラクタム、ウンデカラクタム、ラウロラクタムなどを挙げることができ、これらのうち、カプロラクタム、ウンデカラクタム、ラウロラクタムが好ましく、特にカプロラクタムが好ましい。なお、これらのラクタム類は2種以上の混合物として使用することもできる。
【0017】
アミノカルボン酸の具体例としては、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、8−アミノオクタン酸、9−アミノノナン酸、10−アミノデカン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などを挙げることができ、これらのうち、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸が好ましく、特に6−アミノカプロン酸が好ましい。なお、これらのアミノ酸は2種以上の混合物として使用することもできる。
【0018】
ジカルボン酸/ジアミンの組み合わせで用いられるジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、プラシリン酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、オクタデカン二酸のような脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸のような脂環式ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸のような芳香族ジカルボン酸などが挙げられ、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸が好ましく、特にアジピン酸が好ましい。なお、これらのジカルボン酸は2種以上の混合物として使用することもできる。
【0019】
ジカルボン酸/ジアミンの組み合わせで用いられるジアミンとしては、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、2−メチル−1,5−ジアミノペンタン(MDP)、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,13−ジアミノトリデカン、1,14−ジアミノテトラデカン、1,15−ジアミノペンタデカン、1,16−ジアミノヘキサデカン、1,17−ジアミノヘプタデカン、1,18−ジアミノオクタデカン、1,19−ジアミノノナデカン、1,20−ジアミノエイコサンなどの脂肪族ジアミン、シクロヘキサンジアミン、ビス−(4−アミノヘキシル)メタンのような脂環式ジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミンのような芳香族ジアミンなどが挙げられ、特に脂肪族ジアミンが好ましく、とりわけヘキサメチレンジアミンが好ましく用いられる。なお、これらのジアミンは2種以上の混合物として使用することもできる。
【0020】
これらのナイロン樹脂の中でもナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、これらの共重合体あるいは混合物が好ましく用いられ、特にナイロン6、ナイロン66、これらの共重合体あるいは混合物が好ましい。更に好ましくはナイロン6樹脂またはナイロン6単位の含有率が60重量%以上であるナイロン6系共重合体である。ナイロン6単位の以外のナイロン単位としては前記したようなナイロン6単位以外の単位である。以上のようなナイロン樹脂の中でもとりわけ好ましいナイロン樹脂はナイロン6樹脂である。
【0021】
本発明で用いられるナイロン樹脂の形態としては特に制限は無く、粉体、顆粒、塊状物、繊維状物、ストランド状物、板状物、ペレット状物などが挙げられるが、抽出効率や取り扱いの観点から粉体又はペレット状物が好ましい。
【0022】
本発明で用いられるナイロン樹脂は、本発明の目的を損なわない程度の範囲でモノカルボン酸、モノアミンによりその末端を封鎖されていても良い。モノカルボン酸の具体例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、ウンデカン酸、ラウリル酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキン酸のような脂肪族モノカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、メチルシクロヘキサンカルボン酸のような脂環式モノカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、エチル安息香酸、フェニル酢酸のような芳香族モノカルボン酸などが挙げられる。モノアミンの具体例としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、ノナデシルアミン、イコシルアミンの脂肪族モノアミン、シクロヘキシルアミン、メチルシクロヘキシルアミンのような脂環式モノアミン、ベンジルアミン、β−フェニルエチルアミンのような芳香族モノアミンなどが挙げられる。
【0023】
本発明で用いられる抽出容器に特に制限は無く、用いられる抽出圧力、抽出温度に耐えられる容器であれば何でもよい。通常はステンレス製のオートクレーブが用いられる。
【0024】
【実施例】
以下実施例に従って本発明をさらに具体的に説明する。
実施例中、ナイロン樹脂の相対粘度、モノマー量の測定、オリゴマー量の測定は次のようにして行った。
【0025】
(1)ナイロン樹脂の相対粘度
ナイロン樹脂を液体窒素で冷却した後、粉砕器で粉砕したのちメタノールを用いて6時間ソックスレー抽出を行った。メタノール不溶部を80℃/1mmHgで12時間真空乾燥したのち、0.01g/mLの98%硫酸溶液を調製し、オストワルド粘度計を用いて25℃で測定した。
【0026】
(2)モノマー量の測定
ナイロン樹脂を液体窒素で冷却した後、粉砕器で粉砕したのちメタノールを用いて6時間ソックスレー抽出を行った。メタノール可溶部中のモノマー量をナフタレンを内標としたガスクロマトグラフ測定にて求めた。測定条件を下記する。
ガスクロマトグラフ:島津GC−17A
カラム:J&W Scientific社製キャピラリーカラム DB−1
インジェクション温度:250℃
検出器温度:250℃
カラム温度:150〜210℃(昇温速度5℃/min )
【0027】
(3)オリゴマー量の測定
ナイロン樹脂を液体窒素で冷却した後、粉砕器で粉砕したのちメタノールを用いて6時間ソックスレー抽出を行った。メタノール可溶部からメタノールを留去した後、80℃/1mmHgで12時間乾燥することによりモノマーを揮発除去し、残った成分の重量をオリゴマー量とした。
【0028】
(4)抽出後のペレット中の水分量の測定
ソックスレー抽出前のナイロン樹脂重量より、ポリマー量、モノマー量、オリゴマー量を差し引いた値を水分量とした。
【0029】
(5) 引張特性
引張強度、引張破断伸度はASTM D638に従って測定した。
(6)アイゾット衝撃値
ASTM D256に従って測定した。
(7)曲げ特性
ASTM D790に従って測定した。
【0030】
(8)連続射出成形時のモールドデポジット発生状況
3.5オンスの射出成形機を用いて、厚さ3.2mm、長さ127mm、幅25mmの試験片を樹脂温度257℃(実施例1〜4、比較例1、3、5、7)又は292℃(実施例5、6、比較例2、4、6、8)、金型温度79℃で連続射出成形した。成形品表面または金型表面を目視にて観察し、曇りが顕著になってきたショット数を記録した。
【0031】
(9)成形品色調
目視にて観察した。
【0032】
(参考例1)
3Lのステンレス製オートクレーブにε−カプロラクタム1000g、水20g、末端封鎖剤としての安息香酸5.4gを仕込み、窒素置換後、密閉して最高温度255℃で15時間重合を行った。重合反応終了後、得られたナイロン6樹脂をストランド状に押出し、カッターを用いてペレット化した。このペレットを室温で一晩真空乾燥し、水分のみ除去した。このナイロン6樹脂に含まれる未反応ラクタム量、オリゴマー量は次のとおりであった。
未反応ラクタム量:8.10重量%
オリゴマー量 :2.09重量%
【0033】
(参考例2)
3Lのステンレス製オートクレーブにヘキサメチレンジアミン/アジピン酸の塩1000g、水20g、末端封鎖剤としての安息香酸5.4gを仕込み、窒素置換後、密閉して最高温度292℃、最高圧力17.5kg/cm2で3.5時間重合を行った。重合反応終了後、得られたナイロン66樹脂をストランド状に押出し、カッターを用いてペレット化した。このペレットを室温で一晩真空乾燥し、水分のみ除去した。このナイロン66樹脂に含まれる環状オリゴマー量は1.18重量%であった。
【0034】
[実施例1〜4]
参考例1で製造したナイロン6樹脂ペレットを用い、抽出媒体として二酸化炭素と水の混合物を用いて表1に示す条件で抽出を行った。抽出装置としては600ccのステンレス製オートクレーブを用いた。抽出・乾燥後のナイロン6樹脂ペレットに含まれる未反応ラクタム量、オリゴマー量、水分量、抽出・乾燥後のナイロン6樹脂の相対粘度ηr、特性値を合わせて表1に示す。
【0035】
[実施例5〜6]
参考例2で製造したナイロン66樹脂ペレットを用い、抽出媒体として二酸化炭素と水の混合物を用いて表1に示す条件で抽出を行った。抽出装置としては600ccのステンレス製オートクレーブを用いた。抽出・乾燥後のナイロン66樹脂ペレットに含まれるオリゴマー量、水分量、抽出・乾燥後のナイロン66樹脂の相対粘度ηr、特性値を合わせて表1に示す。
【0036】
[比較例1]
参考例1で製造したナイロン6樹脂ペレットを100℃の沸騰水で24時間抽出した後、80℃で一晩真空乾燥を行った。こうして得られたナイロン6樹脂ペレットに含まれる未反応ラクタム量、オリゴマー量、水分量、抽出・乾燥後のナイロン6樹脂の相対粘度ηr、特性値を表2に示す。
【0037】
[比較例2]
参考例2で製造したナイロン66樹脂ペレットを100℃の沸騰水で24時間抽出した後、80℃で一晩真空乾燥を行った。こうして得られたナイロン66樹脂ペレットに含まれるオリゴマー量、水分量、抽出・乾燥後のナイロン66樹脂の相対粘度ηr、特性値を表2に示す。
【0038】
[比較例3]
参考例1で製造したナイロン6樹脂ペレットを用い、抽出媒体として二酸化炭素とメタノールの混合物を用いて表2に示す条件で抽出を行った。抽出装置としては600ccのステンレス製オートクレーブを用いた。抽出・乾燥後のナイロン6樹脂ペレットに含まれる未反応ラクタム量、オリゴマー量、水分量、抽出・乾燥後のナイロン6樹脂の相対粘度ηr、特性値を合わせて表2に示す。
【0039】
[比較例4]
参考例2で製造したナイロン66樹脂ペレットを用い、抽出媒体として二酸化炭素とメタノールの混合物を用いて表2に示す条件で抽出を行った。抽出装置としては600ccのステンレス製オートクレーブを用いた。抽出・乾燥後のナイロン66樹脂ペレットに含まれるオリゴマー量、水分量、抽出・乾燥後のナイロン66樹脂の相対粘度ηr、特性値を合わせて表2に示す。
【0040】
[比較例5]
参考例1で製造したナイロン6樹脂ペレットを用い、抽出媒体として二酸化炭素のみを用いて表2に示す条件で抽出を行った。抽出装置としては600ccのステンレス製オートクレーブを用いた。抽出・乾燥後のナイロン6樹脂ペレットに含まれる未反応ラクタム量、オリゴマー量、水分量、抽出・乾燥後のナイロン6樹脂の相対粘度ηr、特性値を合わせて表2に示す。
【0041】
[比較例6]
参考例2で製造したナイロン66樹脂ペレットを用い、抽出媒体として二酸化炭素のみを用いて表2に示す条件で抽出を行った。抽出装置としては600ccのステンレス製オートクレーブを用いた。抽出・乾燥後のナイロン66樹脂ペレットに含まれるオリゴマー量、水分量、抽出・乾燥後のナイロン6樹脂の相対粘度ηr、特性値を合わせて表2に示す。
【0042】
[比較例7]
参考例1で製造したナイロン6樹脂を30mmφのベント付2軸押出機(L/D=45、同方向回転、深溝タイプスクリュー、バレル温度:供給側から160/240/250/260/260/260/250/250℃、第2、第4ゾーンから5mmHgで減圧脱気、スクリュー回転数:70rpm)を用いて溶融押出し、カッターによりペレット化した。得られたペレットに含まれる未反応ラクタム量、オリゴマー量、水分量、抽出・乾燥後のナイロン6樹脂の相対粘度ηr、特性値を測定した。その結果を表3に示す。
【0043】
[比較例8]
参考例2で製造したナイロン66樹脂を30mmφのベント付2軸押出機(L/D=45、同方向回転、深溝タイプスクリュー、バレル温度:供給側から2000/280/290/300/310/290/270/260℃、第2、第4ゾーンから5mmHgで減圧脱気、スクリュー回転数:65rpm)を用いて溶融押出し、カッターによりペレット化した。得られたペレットに含まれるオリゴマー量、水分量、抽出・乾燥後のナイロン66樹脂の相対粘度ηr、特性値を測定した。その結果を表3に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
実施例1と比較例1より、本発明の抽出方法を用いて得られたナイロン6樹脂は従来の沸騰水を用いた抽出方法で得られたナイロン6樹脂に匹敵するモノマー、オリゴマー含有量であり、抽出/乾燥後のポリマー特性でも同等の特性を示していることがわかる。また、抽出後の水分量を比較すると、本発明の抽出方法の方が従来の沸騰水を用いた場合に比べて低く、乾燥でのエネルギーコストが低くなることがわかる。
【0048】
実施例2〜4より、より低温で行っても(実施例2)、より高圧で行っても(実施例3)、混合媒体中の水分量を増加しても(実施例4)良好な結果が得られることがわかる。
【0049】
実施例5と比較例2より、本発明の抽出方法を用いて得られたナイロン66樹脂は沸騰水を用いる抽出方法で得られたナイロン66樹脂に匹敵するオリゴマー含有量であり、抽出/乾燥後のポリマー特性でも同等の特性を示していることがわかる。また、抽出後の水分量を比較すると、本発明の抽出方法の方が従来の沸騰水を用いた場合に比べて低く、乾燥でのエネルギーコストが低くなることがわかる。また、実施例6より、混合媒体中の水分量を増加しても(実施例4)良好な結果が得られることがわかる。
【0050】
比較例3、4より混合媒体として二酸化炭素とメタノール混合物を用いた場合にも良好な結果が得られるが、抽出後にメタノールを含有しており、メタノールを除去する必要があることがわかる。メタノールは高い揮発性を有する可燃性の有機溶剤であることから、メタノールを除去する際には火災や中毒を想定した安全対策が必要となる。
【0051】
比較例5〜6より混合媒体として二酸化炭素のみを用いた場合には、モノマーやオリゴマーの抽出効率が低く、その結果得られるナイロン樹脂の特性も低くなることがわかる。
【0052】
比較例7〜8より、ベント付き押出機を用いて溶融押出しながらモノマー、オリゴマーを除去する方法ではモノマーやオリゴマーの除去効率が低く、その結果得られるナイロン樹脂の特性も低くなることがわかる。
【0053】
【発明の効果】
本発明のモノマー、オリゴマー抽出方法を用いることにより、短時間でナイロン樹脂を精製することが可能となる。また、従来の熱水抽出に比べてモノマー、オリゴマーの除去率が高い上に、抽出時の含水率が低くなるため、抽出後の乾燥に要する時間及びエネルギーが大幅に減縮できる。
【0054】
また、二酸化炭素とメタノールによる抽出方法と同等レベルのモノマー、オリゴマー除去率を達成することができる上に可燃性有機溶剤であるメタノールを使用しないため、火災や有機溶剤による中毒などの危険が回避される。
Claims (8)
- ナイロン樹脂からモノマー及び/又はオリゴマーを抽出・除去する際、抽出媒体として、100重量部の二酸化炭素と0.5〜500重量部の水との混合物である混合媒体を用いることを特徴とするナイロン樹脂の精製方法。
- 混合媒体が100重量部の二酸化炭素と0.5〜11.2重量部の水との混合物である請求項1記載のナイロン樹脂の精製方法。
- モノマー及び/又はオリゴマーの抽出条件が圧力75kg/cm2以上、温度31℃以上である請求項1又は2記載のナイロン樹脂の精製方法。
- ナイロン樹脂の形態が粉体及び/又はペレットである請求項1〜3のいずれかに記載のナイロン樹脂の精製方法。
- ナイロン樹脂がナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、これらの共重合体、またはこれらの混合物である請求項1〜4のいずれかに記載のナイロン樹脂の精製方法。
- ナイロン樹脂がナイロン6、ナイロン66、これらの共重合体、またはこれらの混合物である請求項5記載のナイロン樹脂の精製方法。
- ナイロン樹脂がナイロン6樹脂またはナイロン6単位の含有率が60重量%以上のナイロン6系共重合体である請求項6記載のナイロン樹脂の精製方法。
- ナイロン樹脂がナイロン6樹脂である請求項7記載のナイロン樹脂の精製方法。
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1998
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