JPH11349681A - ナイロン樹脂の精製方法 - Google Patents

ナイロン樹脂の精製方法

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JPH11349681A
JPH11349681A JP10159776A JP15977698A JPH11349681A JP H11349681 A JPH11349681 A JP H11349681A JP 10159776 A JP10159776 A JP 10159776A JP 15977698 A JP15977698 A JP 15977698A JP H11349681 A JPH11349681 A JP H11349681A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 短時間でナイロン樹脂の精製が可能であっ
て、モノマー、オリゴマーの除去率が高く、抽出時の含
水率を低く抽出後の乾燥に要する時間及びエネルギーが
大幅に減縮できる、高効率なモノマー、オリゴマーの除
去方法を提供する。 【解決手段】 ナイロン樹脂からモノマー及び/又はオ
リゴマーを抽出・除去する際、抽出媒体として二酸化炭
素100重量部と水0.5〜1000重量部とからなる
混合媒体を用い、圧力75kg/cm2 以上、温度31℃以
上で抽出して、ナイロン樹脂を精製する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する分野】本発明はナイロン樹脂に含まれる
モノマー、オリゴマーを抽出・除去することによりナイ
ロン樹脂を精製する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ラクタムの重合方法は、これまでに数多
く提案されているが、工業的に幅広く利用されている方
法は、水を触媒(開始剤ということもある)とする重合
方法である。水を触媒とするラクタムの重合はε−カプ
ロラクタム、ウンデカラクタム、ラウロラクタムなどの
各種ラクタムに適用され、それぞれナイロン6、ナイロ
ン11、ナイロン12が製造される。
【0003】水を触媒とするラクタムの重合によりナイ
ロン樹脂を製造する場合、重合平衡のために未反応モノ
マーが残存し、更に重合中に環状オリゴマーが副生す
る。例えば、ε−カプロラクタムを重合してナイロン6
を製造する方法においては、重合平衡のためにモノマー
であるε−カプロラクタムが約8重量%残留し、オリゴ
マーが約2重量%副生する。これらのモノマー、オリゴ
マーがポリマー中に残存していると、射出成形、押出成
形、ブロー成形、溶融紡糸、溶融製膜など再溶融して製
品を製造する際に製品品質を低下させる原因となる。例
えば、溶融紡糸時の糸切れ、溶融製膜時のダイマークの
発生、射出成形時のモールドデポジットなどである。従
って、ナイロン6樹脂の工業的生産においては、これら
のモノマー、オリゴマーの除去のために熱水による抽出
工程と、熱水抽出後の乾燥工程が必須となっている。
【0004】これら熱水抽出と乾燥の両工程はいずれも
長時間を要し、多くのエネルギーを必要とする。また、
抽出液中に含まれるモノマーの回収工程も必要となる
が、抽出工程には多量の水を用いるため、回収には多量
の水を蒸発させる必要があり、同様に多くのエネルギー
を必要とする。
【0005】また、ジアミンとジカルボン酸の脱水重縮
合で得られるナイロン樹脂の製造工程においても環状オ
リゴマーが生成する。その生成量はナイロン6樹脂など
ラクタムから製造されるナイロン樹脂に比べれば少ない
ため、一般的にはオリゴマーの除去は特に行われていな
い。しかしオリゴマーが除去されれば、当然のことなが
ら品質は大幅に向上するため、簡便なオリゴマーの除去
方法が待ち望まれている。
【0006】ナイロン樹脂からモノマーやオリゴマーを
除去する方法としては、例えば、米国特許第37419
39号明細書に溶融状態のポリアミドを高温度・高真空
下で処理することによりモノマー及びオリゴマーを除去
する方法が提案されている。また、超臨界状態の二酸化
炭素または二酸化炭素とメタノールとの混合媒体を抽出
媒体とするモノマーやオリゴマーの抽出に関する検討が
行なわれている(Journal of High Resolution Chromat
ography、1993年、第16巻、522〜524頁)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記の
米国特許第3741939号明細書に記載されている方
法では、揮発性の低いオリゴマーの除去効率が低い上
に、高温処理によるポリマーの熱劣化という問題点を有
しており、未だ実用的レベルには達していない。また、
前記 Journal of High Resolution Chromatography、1
993年、第16巻、522〜524頁に記載されてい
る方法のうち、二酸化炭素のみを抽出媒体とする場合に
はオリゴマーの抽出効率が極めて低く実用的ではない。
また、二酸化炭素とメタノールの混合媒体を用いると抽
出効率は向上するが、メタノールの分離・回収が必要な
上、可燃性の有機溶剤であるメタノールを使用すること
から安全面に問題があり、実用性は低いと言わざるを得
ない。
【0008】以上のように、ナイロン樹脂中に含まれる
モノマー及び/又はオリゴマーを短時間で効率良く除去
でき、しかも可燃性の有機溶剤を使わない安全な方法が
求められていた。
【0009】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、ナ
イロン樹脂からモノマー及び/又はオリゴマーを抽出・
除去する方法について鋭意検討を重ねた結果、本発明を
見出すに到った。
【0010】すなわち本発明は、 1.ナイロン樹脂からモノマー及び/又はオリゴマーを
抽出・除去する際、抽出媒体として、二酸化炭素と水と
からなる混合媒体を用いることを特徴とするナイロン樹
脂の精製方法、 2.混合媒体が100重量部の二酸化炭素と0.5〜1
000重量部の水との混合物である前記1記載のナイロ
ン樹脂の精製方法、 3.モノマー及び/又はオリゴマーの抽出条件が圧力7
5kg/cm2 以上、温度31℃以上である前記1又は2記
載のナイロン樹脂の精製方法、 4.ナイロン樹脂の形態が粉体及び/又はペレットであ
る前記1〜3のいずれかに記載のナイロン樹脂の精製方
法、 5.ナイロン樹脂がナイロン6、ナイロン66、ナイロ
ン11、ナイロン12、これらの共重合体、またはこれ
らの混合物である前記1〜4のいずれかに記載のナイロ
ン樹脂の精製方法、 6.ナイロン樹脂がナイロン6、ナイロン66、これら
の共重合体、またはこれらの混合物である前記5記載の
ナイロン樹脂の精製方法、 7.ナイロン樹脂がナイロン6樹脂またはナイロン6単
位の含有率が60重量%以上のナイロン6系共重合体で
ある前記7記載のナイロン樹脂の抽出方法、を提供する
ものである。
【0011】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。本
発明において「重量」とは「質量」を意味する。
【0012】本発明の抽出で用いられる媒体は二酸化炭
素と水とからなる。二酸化炭素と水の組成に特に制限は
無いが、二酸化炭素100重量部に対して、水0.5〜
1000重量部が好ましく、より好ましくは二酸化炭素
100重量部に対して、水1〜500重量部、特に好ま
しくは二酸化炭素100重量部に対して、水2〜300
重量部である。二酸化炭素に対し水が少すぎると抽出効
率が低く、逆に、多すぎると抽出液からのモノマー回収
効率が低下するので、好ましくない。
【0013】本発明の抽出条件には特に制限は無いが、
二酸化炭素が超臨界流体となっている条件が好ましく、
圧力75kg/cm2 以上、温度31℃以上の条件であるこ
とが好ましい。この条件下では二酸化炭素は超臨界流体
となり、水と均一に混合された抽出媒体となる(有機合
成化学協会誌、第53巻、第5号、p33(1995) )。二酸
化炭素が超臨界流体になっていない場合には抽出効率は
低くなる。
【0014】本発明において、より好ましい圧力は10
0kg/cm2 以上であり、特に好ましくは120kg/cm2
以上、とりわけ150kg/cm2 以上が好ましい。本発明
において、より好ましい温度は40℃以上であり、特に
好ましくは50℃以上、とりわけ60℃以上が好まし
い。
【0015】本発明で用いられるナイロン樹脂の種類に
は特に制限は無く、ラクタム、アミノカルボン酸、ジア
ミン/ジカルボン酸を重合して得られるナイロン樹脂、
これらの共重合体あるいは混合物が用いられる。
【0016】ラクタムとしては、バレロラクタム、カプ
ロラクタム、エナントラクタム、カプリルラクタム、ウ
ンデカラクタム、ラウロラクタムなどを挙げることがで
き、これらのうち、カプロラクタム、ウンデカラクタ
ム、ラウロラクタムが好ましく、特にカプロラクタムが
好ましい。なお、これらのラクタム類は2種以上の混合
物として使用することもできる。
【0017】アミノカルボン酸の具体例としては、6−
アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、8−アミノ
オクタン酸、9−アミノノナン酸、10−アミノデカン
酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン
酸などを挙げることができ、これらのうち、6−アミノ
カプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノ
ドデカン酸が好ましく、特に6−アミノカプロン酸が好
ましい。なお、これらのアミノ酸は2種以上の混合物と
して使用することもできる。
【0018】ジカルボン酸/ジアミンの組み合わせで用
いられるジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、
コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベ
リン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、
ドデカン二酸、プラシリン酸、テトラデカン二酸、ペン
タデカン二酸、オクタデカン二酸のような脂肪族ジカル
ボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸のような脂環式ジ
カルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、
ナフタレンジカルボン酸のような芳香族ジカルボン酸な
どが挙げられ、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二
酸、テレフタル酸、イソフタル酸が好ましく、特にアジ
ピン酸が好ましい。なお、これらのジカルボン酸は2種
以上の混合物として使用することもできる。
【0019】ジカルボン酸/ジアミンの組み合わせで用
いられるジアミンとしては、1,4−ジアミノブタン、
1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサ
ン、2−メチル−1,5−ジアミノペンタン(MD
P)、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオ
クタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノ
デカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジ
アミノドデカン、1,13−ジアミノトリデカン、1,
14−ジアミノテトラデカン、1,15−ジアミノペン
タデカン、1,16−ジアミノヘキサデカン、1,17
−ジアミノヘプタデカン、1,18−ジアミノオクタデ
カン、1,19−ジアミノノナデカン、1,20−ジア
ミノエイコサンなどの脂肪族ジアミン、シクロヘキサン
ジアミン、ビス−(4−アミノヘキシル)メタンのよう
な脂環式ジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシ
リレンジアミンのような芳香族ジアミンなどが挙げら
れ、特に脂肪族ジアミンが好ましく、とりわけヘキサメ
チレンジアミンが好ましく用いられる。なお、これらの
ジアミンは2種以上の混合物として使用することもでき
る。
【0020】これらのナイロン樹脂の中でもナイロン
6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、これ
らの共重合体あるいは混合物が好ましく用いられ、特に
ナイロン6、ナイロン66、これらの共重合体あるいは
混合物が好ましい。更に好ましくはナイロン6樹脂また
はナイロン6単位の含有率が60重量%以上であるナイ
ロン6系共重合体である。ナイロン6単位の以外のナイ
ロン単位としては前記したようなナイロン6単位以外の
単位である。以上のようなナイロン樹脂の中でもとりわ
け好ましいナイロン樹脂はナイロン6樹脂である。
【0021】本発明で用いられるナイロン樹脂の形態と
しては特に制限は無く、粉体、顆粒、塊状物、繊維状
物、ストランド状物、板状物、ペレット状物などが挙げ
られるが、抽出効率や取り扱いの観点から粉体又はペレ
ット状物が好ましい。
【0022】本発明で用いられるナイロン樹脂は、本発
明の目的を損なわない程度の範囲でモノカルボン酸、モ
ノアミンによりその末端を封鎖されていても良い。モノ
カルボン酸の具体例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン
酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル
酸、ペラルゴン酸、ウンデカン酸、ラウリル酸、トリデ
カン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン
酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキン
酸のような脂肪族モノカルボン酸、シクロヘキサンカル
ボン酸、メチルシクロヘキサンカルボン酸のような脂環
式モノカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、エチル安息
香酸、フェニル酢酸のような芳香族モノカルボン酸など
が挙げられる。モノアミンの具体例としては、メチルア
ミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、
ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オ
クチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、ノニルアミ
ン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミ
ン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデ
シルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミ
ン、ノナデシルアミン、イコシルアミンの脂肪族モノア
ミン、シクロヘキシルアミン、メチルシクロヘキシルア
ミンのような脂環式モノアミン、ベンジルアミン、β−
フェニルエチルアミンのような芳香族モノアミンなどが
挙げられる。
【0023】本発明で用いられる抽出容器に特に制限は
無く、用いられる抽出圧力、抽出温度に耐えられる容器
であれば何でもよい。通常はステンレス製のオートクレ
ーブが用いられる。
【0024】
【実施例】以下実施例に従って本発明をさらに具体的に
説明する。実施例中、ナイロン樹脂の相対粘度、モノマ
ー量の測定、オリゴマー量の測定は次のようにして行っ
た。
【0025】(1)ナイロン樹脂の相対粘度 ナイロン樹脂を液体窒素で冷却した後、粉砕器で粉砕し
たのちメタノールを用いて6時間ソックスレー抽出を行
った。メタノール不溶部を80℃/1mmHgで12時
間真空乾燥したのち、0.01g/mLの98%硫酸溶
液を調製し、オストワルド粘度計を用いて25℃で測定
した。
【0026】(2)モノマー量の測定 ナイロン樹脂を液体窒素で冷却した後、粉砕器で粉砕し
たのちメタノールを用いて6時間ソックスレー抽出を行
った。メタノール可溶部中のモノマー量をナフタレンを
内標としたガスクロマトグラフ測定にて求めた。測定条
件を下記する。 ガスクロマトグラフ:島津GC−17A カラム:J&W Scientific社製キャピラリ
ーカラム DB−1 インジェクション温度:250℃ 検出器温度:250℃ カラム温度:150〜210℃(昇温速度5℃/min )
【0027】(3)オリゴマー量の測定 ナイロン樹脂を液体窒素で冷却した後、粉砕器で粉砕し
たのちメタノールを用いて6時間ソックスレー抽出を行
った。メタノール可溶部からメタノールを留去した後、
80℃/1mmHgで12時間乾燥することによりモノマ
ーを揮発除去し、残った成分の重量をオリゴマー量とし
た。
【0028】(4)抽出後のペレット中の水分量の測定 ソックスレー抽出前のナイロン樹脂重量より、ポリマー
量、モノマー量、オリゴマー量を差し引いた値を水分量
とした。
【0029】(5) 引張特性 引張強度、引張破断伸度はASTM D638に従って
測定した。 (6)アイゾット衝撃値 ASTM D256に従って測定した。 (7)曲げ特性 ASTM D790に従って測定した。
【0030】(8)連続射出成形時のモールドデポジッ
ト発生状況 3.5オンスの射出成形機を用いて、厚さ3.2mm、
長さ127mm、幅25mmの試験片を樹脂温度257
℃(実施例1〜4、比較例1、3、5、7)又は292
℃(実施例5、6、比較例2、4、6、8)、金型温度
79℃で連続射出成形した。成形品表面または金型表面
を目視にて観察し、曇りが顕著になってきたショット数
を記録した。
【0031】(9)成形品色調 目視にて観察した。
【0032】(参考例1)3Lのステンレス製オートク
レーブにε−カプロラクタム1000g、水20g、末
端封鎖剤としての安息香酸5.4gを仕込み、窒素置換
後、密閉して最高温度255℃で15時間重合を行っ
た。重合反応終了後、得られたナイロン6樹脂をストラ
ンド状に押出し、カッターを用いてペレット化した。こ
のペレットを室温で一晩真空乾燥し、水分のみ除去し
た。このナイロン6樹脂に含まれる未反応ラクタム量、
オリゴマー量は次のとおりであった。 未反応ラクタム量:8.10重量% オリゴマー量 :2.09重量%
【0033】(参考例2)3Lのステンレス製オートク
レーブにヘキサメチレンジアミン/アジピン酸の塩10
00g、水20g、末端封鎖剤としての安息香酸5.4
gを仕込み、窒素置換後、密閉して最高温度292℃、
最高圧力17.5kg/cm2で3.5時間重合を行っ
た。重合反応終了後、得られたナイロン66樹脂をスト
ランド状に押出し、カッターを用いてペレット化した。
このペレットを室温で一晩真空乾燥し、水分のみ除去し
た。このナイロン66樹脂に含まれる環状オリゴマー量
は1.18重量%であった。
【0034】[実施例1〜4]参考例1で製造したナイ
ロン6樹脂ペレットを用い、抽出媒体として二酸化炭素
と水の混合物を用いて表1に示す条件で抽出を行った。
抽出装置としては600ccのステンレス製オートクレ
ーブを用いた。抽出・乾燥後のナイロン6樹脂ペレット
に含まれる未反応ラクタム量、オリゴマー量、水分量、
抽出・乾燥後のナイロン6樹脂の相対粘度ηr、特性値
を合わせて表1に示す。
【0035】[実施例5〜6]参考例2で製造したナイ
ロン66樹脂ペレットを用い、抽出媒体として二酸化炭
素と水の混合物を用いて表1に示す条件で抽出を行っ
た。抽出装置としては600ccのステンレス製オート
クレーブを用いた。抽出・乾燥後のナイロン66樹脂ペ
レットに含まれるオリゴマー量、水分量、抽出・乾燥後
のナイロン66樹脂の相対粘度ηr、特性値を合わせて
表1に示す。
【0036】[比較例1]参考例1で製造したナイロン
6樹脂ペレットを100℃の沸騰水で24時間抽出した
後、80℃で一晩真空乾燥を行った。こうして得られた
ナイロン6樹脂ペレットに含まれる未反応ラクタム量、
オリゴマー量、水分量、抽出・乾燥後のナイロン6樹脂
の相対粘度ηr、特性値を表2に示す。
【0037】[比較例2]参考例2で製造したナイロン
66樹脂ペレットを100℃の沸騰水で24時間抽出し
た後、80℃で一晩真空乾燥を行った。こうして得られ
たナイロン66樹脂ペレットに含まれるオリゴマー量、
水分量、抽出・乾燥後のナイロン66樹脂の相対粘度η
r、特性値を表2に示す。
【0038】[比較例3]参考例1で製造したナイロン
6樹脂ペレットを用い、抽出媒体として二酸化炭素とメ
タノールの混合物を用いて表2に示す条件で抽出を行っ
た。抽出装置としては600ccのステンレス製オート
クレーブを用いた。抽出・乾燥後のナイロン6樹脂ペレ
ットに含まれる未反応ラクタム量、オリゴマー量、水分
量、抽出・乾燥後のナイロン6樹脂の相対粘度ηr、特
性値を合わせて表2に示す。
【0039】[比較例4]参考例2で製造したナイロン
66樹脂ペレットを用い、抽出媒体として二酸化炭素と
メタノールの混合物を用いて表2に示す条件で抽出を行
った。抽出装置としては600ccのステンレス製オー
トクレーブを用いた。抽出・乾燥後のナイロン66樹脂
ペレットに含まれるオリゴマー量、水分量、抽出・乾燥
後のナイロン66樹脂の相対粘度ηr、特性値を合わせ
て表2に示す。
【0040】[比較例5]参考例1で製造したナイロン
6樹脂ペレットを用い、抽出媒体として二酸化炭素のみ
を用いて表2に示す条件で抽出を行った。抽出装置とし
ては600ccのステンレス製オートクレーブを用い
た。抽出・乾燥後のナイロン6樹脂ペレットに含まれる
未反応ラクタム量、オリゴマー量、水分量、抽出・乾燥
後のナイロン6樹脂の相対粘度ηr、特性値を合わせて
表2に示す。
【0041】[比較例6]参考例2で製造したナイロン
66樹脂ペレットを用い、抽出媒体として二酸化炭素の
みを用いて表2に示す条件で抽出を行った。抽出装置と
しては600ccのステンレス製オートクレーブを用い
た。抽出・乾燥後のナイロン66樹脂ペレットに含まれ
るオリゴマー量、水分量、抽出・乾燥後のナイロン6樹
脂の相対粘度ηr、特性値を合わせて表2に示す。
【0042】[比較例7]参考例1で製造したナイロン
6樹脂を30mmφのベント付2軸押出機(L/D=4
5、同方向回転、深溝タイプスクリュー、バレル温度:
供給側から160/240/250/260/260/
260/250/250℃、第2、第4ゾーンから5m
mHgで減圧脱気、スクリュー回転数:70rpm)を
用いて溶融押出し、カッターによりペレット化した。得
られたペレットに含まれる未反応ラクタム量、オリゴマ
ー量、水分量、抽出・乾燥後のナイロン6樹脂の相対粘
度ηr、特性値を測定した。その結果を表3に示す。
【0043】[比較例8]参考例2で製造したナイロン
66樹脂を30mmφのベント付2軸押出機(L/D=
45、同方向回転、深溝タイプスクリュー、バレル温
度:供給側から2000/280/290/300/3
10/290/270/260℃、第2、第4ゾーンか
ら5mmHgで減圧脱気、スクリュー回転数:65rp
m)を用いて溶融押出し、カッターによりペレット化し
た。得られたペレットに含まれるオリゴマー量、水分
量、抽出・乾燥後のナイロン66樹脂の相対粘度ηr、
特性値を測定した。その結果を表3に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】実施例1と比較例1より、本発明の抽出方
法を用いて得られたナイロン6樹脂は従来の沸騰水を用
いた抽出方法で得られたナイロン6樹脂に匹敵するモノ
マー、オリゴマー含有量であり、抽出/乾燥後のポリマ
ー特性でも同等の特性を示していることがわかる。ま
た、抽出後の水分量を比較すると、本発明の抽出方法の
方が従来の沸騰水を用いた場合に比べて低く、乾燥での
エネルギーコストが低くなることがわかる。
【0048】実施例2〜4より、より低温で行っても
(実施例2)、より高圧で行っても(実施例3)、混合
媒体中の水分量を増加しても(実施例4)良好な結果が
得られることがわかる。
【0049】実施例5と比較例2より、本発明の抽出方
法を用いて得られたナイロン66樹脂は沸騰水を用いる
抽出方法で得られたナイロン66樹脂に匹敵するオリゴ
マー含有量であり、抽出/乾燥後のポリマー特性でも同
等の特性を示していることがわかる。また、抽出後の水
分量を比較すると、本発明の抽出方法の方が従来の沸騰
水を用いた場合に比べて低く、乾燥でのエネルギーコス
トが低くなることがわかる。また、実施例6より、混合
媒体中の水分量を増加しても(実施例4)良好な結果が
得られることがわかる。
【0050】比較例3、4より混合媒体として二酸化炭
素とメタノール混合物を用いた場合にも良好な結果が得
られるが、抽出後にメタノールを含有しており、メタノ
ールを除去する必要があることがわかる。メタノールは
高い揮発性を有する可燃性の有機溶剤であることから、
メタノールを除去する際には火災や中毒を想定した安全
対策が必要となる。
【0051】比較例5〜6より混合媒体として二酸化炭
素のみを用いた場合には、モノマーやオリゴマーの抽出
効率が低く、その結果得られるナイロン樹脂の特性も低
くなることがわかる。
【0052】比較例7〜8より、ベント付き押出機を用
いて溶融押出しながらモノマー、オリゴマーを除去する
方法ではモノマーやオリゴマーの除去効率が低く、その
結果得られるナイロン樹脂の特性も低くなることがわか
る。
【0053】
【発明の効果】本発明のモノマー、オリゴマー抽出方法
を用いることにより、短時間でナイロン樹脂を精製する
ことが可能となる。また、従来の熱水抽出に比べてモノ
マー、オリゴマーの除去率が高い上に、抽出時の含水率
が低くなるため、抽出後の乾燥に要する時間及びエネル
ギーが大幅に減縮できる。
【0054】また、二酸化炭素とメタノールによる抽出
方法と同等レベルのモノマー、オリゴマー除去率を達成
することができる上に可燃性有機溶剤であるメタノール
を使用しないため、火災や有機溶剤による中毒などの危
険が回避される。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ナイロン樹脂からモノマー及び/又はオ
    リゴマーを抽出・除去する際、抽出媒体として、二酸化
    炭素と水とからなる混合媒体を用いることを特徴とする
    ナイロン樹脂の精製方法。
  2. 【請求項2】 混合媒体が100重量部の二酸化炭素と
    0.5〜1000重量部の水との混合物である請求項1
    記載のナイロン樹脂の精製方法。
  3. 【請求項3】 モノマー及び/又はオリゴマーの抽出条
    件が圧力75kg/cm2以上、温度31℃以上である請求
    項1又は2記載のナイロン樹脂の精製方法。
  4. 【請求項4】 ナイロン樹脂の形態が粉体及び/又はペ
    レットである請求項1〜3のいずれかに記載のナイロン
    樹脂の精製方法。
  5. 【請求項5】 ナイロン樹脂がナイロン6、ナイロン6
    6、ナイロン11、ナイロン12、これらの共重合体、
    またはこれらの混合物である請求項1〜4のいずれかに
    記載のナイロン樹脂の精製方法。
  6. 【請求項6】 ナイロン樹脂がナイロン6、ナイロン6
    6、これらの共重合体、またはこれらの混合物である請
    求項5記載のナイロン樹脂の精製方法。
  7. 【請求項7】 ナイロン樹脂がナイロン6樹脂またはナ
    イロン6単位の含有率が60重量%以上のナイロン6系
    共重合体である請求項6記載のナイロン樹脂の精製方
    法。
  8. 【請求項8】 ナイロン樹脂がナイロン6樹脂である請
    求項7記載のナイロン樹脂の精製方法。
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