JP5702095B2 - 精製ポリカプロアミドの製造方法 - Google Patents
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Description
後に残留する熱水可溶成分について、特定の溶融条件に設定した二軸押出機を用いて、溶
融押出することで前記の課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)1段以上の減圧ベントを有した二軸押出機にポリカプロアミド原料を投入し、前記ポリカプロアミド100質量部に対して、0.1〜5質量部の水を二軸押出機内に添加し、前記減圧ベント部分の真空圧を20kPa以下、滞留時間を20〜80秒として、下記式(1)を満足する条件で溶融押出することを特徴とする精製ポリカプロアミドの製造方法。
(式1) 50 ≦ Q/Ns/S ≦ 200
Q:吐出(kg/h)
Ns:スクリュー回転数(rpm)
S:スクリュー断面積(m2)
(2)精製後のポリカプロアミド中の熱水可溶成分総量が1.5質量%以下であることを特徴とする(1)記載の精製ポリカプロアミドの製造方法。(3)二軸押出機内のポリカプロアミドの樹脂温度差が100℃以内であることを特徴とする(1)または(2)記載の精製ポリカプロアミドの製造方法。
(4)二軸押出機に設置された減圧ベントと真空ポンプの間にトラップを設け、前記トラップに主として反応中間体を捕捉し、前記真空ポンプに主として未反応原料を補捉する精製ポリカプロアミドの製造方法であって、前記真空ポンプとしてドライ式真空ポンプを用いることを特徴とする(1)〜(3)いずれかに記載の精製ポリカプロアミドの製造方法。
本発明においては、ポリカプロアミドの性能を損なわない程度に、アミノカルボン酸、ラクタム、ジアミンおよびジカルボン酸(それら一対の塩も含まれる)を添加して重合したものも使用できる。アミノカルボン酸としては、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸などがあり、ラクタムとしては、ウンデカノラクタム、ラウロラクタムなどがある。また、ジアミンとしてはテトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、2,4−ジメチルオクタメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,3−ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジン等があり、ジカルボン酸としては、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等がある。またこれらジアミンとジカルボン酸は一対の塩として用いることもできる。
(式1) 50 ≦ Q/Ns/S ≦ 200
Q:吐出(kg/h)
Ns:スクリュー回転数(rpm)
S:スクリュー断面積(m2)
本発明におけるQ/Ns/S値は、二軸押出機でのポリカプロアミドの吐出量をスクリュー回転数及びスクリュー断面積で除した値であり、二軸押出機中のポリカプロアミドに与えられる単位当たりのエネルギー量の逆数を表わした値である。
ここで、Q/Ns/S値が50未満であると、二軸押出機からポリカプロアミドに与えられる単位当たりのエネルギー量が大きすぎるため、二軸押出機中で発生するせん断発熱が高くなり、得られるポリカプロアミドの分子量が低下し機械的強度が低下するか又は黄色してしまうため、好ましくない。Q/Ns/S値が200を超える場合には、二軸押出機からポリカプロアミドに与えられるエネルギー量が不十分となるため、せん断発熱が小さくなり熱水可溶成分(未反応原料及び反応中間体)が昇華するほどの熱を得ることができず好ましくない。
なお、実施例ならびに比較例での使用材料および評価方法料は次の通りである。
a)ポリカプロアミドの初期水分率
ポリカプロアミド0.5〜0.9gをガラス容器に精量し、気化装置(平沼産業社製EV−6)にセットし、カールフィッシャー法を用いる水分測定装置(平沼産業社製AQ−7)にて水分検出を行った。
96質量%濃硫酸中に、乾燥ペレットの濃度が1g/dlになるように溶解させ、G−3ガラスフィルターにより無機成分を濾別した後測定に供した。測定はウベローデ型粘度計を用い、25℃でおこなった。実施例、比較例では、ポリカプロアミド(A)を脱揮押出したものと、精練乾燥したポリカプロアミド(B)の相対粘度が±0.03であるものを合格とした。
30〜50gの試料をウィレー粉砕機で粒径0.1〜1mmに粉砕し、前もって重量測定(a)しておいた#1000の網カゴに粉砕された試料約15gを採取した。試料の入った網カゴを熱風乾燥機で1時間予備乾燥させ、デシケーター中で吸湿を抑制しながら室温まで十分に冷却後、秤量(b)を行った。次に試料の入った網カゴを沸騰した熱水の入った恒温槽に3時間浸漬させ、恒温槽から取り出し、純水で試料を十分に洗浄後、150℃の熱風乾燥機にて2時間後乾燥させ、デシケーター中で吸湿を抑制しながら室温まで十分に冷却後、秤量(c)を行い、下式にて算出した。
Mo = (b−c)/(b−a) x 100
Mo:未反応物及び反応中間体の総量(質量%)
a:網カゴの質量
b:網カゴ+試料の予備乾燥後の質量
c:網カゴ+試料の後乾燥後の質量
実施例、比較例において、二軸押出機を用いて脱揮押出生産した際の、ストランドの状況を目視にて確認した。操業時にストランドがまったく切れないものを”○”、1度でも切れたものを”×”、ストランドは切れないが、ストランドが泡を内包しており不安定なものを“△”としてランク付けした。ランク”○”および“△”を操業性が良好と判断し、合格とした。
ファナック製射出成形機(α−100iA)にて、樹脂温度260℃、金型温度80℃で1点ゲートで短冊状の試験片を成形し、ASTM D790に準じて引張強度を測定した。ポリカプロアミド(A)を脱揮押出したものと精練乾燥したポリカプロアミド(B)の引張強度差が5%未満であるものを合格とした。なお、精錬乾燥したポリカプロアミド(B)の引張強度は、(B−1)、(B−2)、(B−3)、(B−4)がそれぞれ78MPa、78MPa、95MPa、110MPaであった。
直径30mm、高さ30mmの円筒状のガラス容器にペレットを満タンに入れ、色差計(日本電色社製SpectorophotometerSE6000)にてイエローインデックス(Y313)を測定し、1以下を合格とした。
脱揮物試料又はトラップ回収試料0.01gを秤量し、10mLヘッドスペース瓶に入れ、超純水10mLを添加し、ブチルゴム製栓、アルミキャップで密封し、60℃恒温水槽にて試料を純粋に溶解させた。試料が溶解した溶液を0.45μmディスクフィルターでろ過し、測定用試料溶液を作成した。液体クロマトグラフィー(ヒューレットパッカード社製HP1100HPLC、カラム:Waters Puresil5μC18)に該測定用試料溶液1μLを注入し、210nmの波長によりピークを観測し、得られたピーク強度から未反応物(モノマー)比率、を算出した。なお、未反応原料(モノマー)、反応中間体の標準品として、以下のものを用いた。
標準品 未反応原料(モノマー):ナカライテスク社製 「ε−カプロラクタム」
反応中間体(ダイマー):ナイロン重合時に生成するオリゴマーを60℃のメタノールにて2回再結晶を行うことにより精製された2量体の無色の結晶を得た。NMR,GC−MSの常法にて反応中間体及びその純度を確認後、各分析の標品として使用した。
(A)(B)ポリカプロアミド樹脂
ε-カプロラクタム10kg、水400gを仕込み、内容積30リットルのオートクレーブに投入し、撹拌しながら260℃に加熱し、圧力0.7MPaまで昇圧した。その後、徐々に水蒸気を放出しつつ温度260℃、圧力0.7MPaを1時間維持し、さらに1時間かけて常圧まで放圧し、窒素を流通させながら20分間重合した。重合が終了した時点で、前記反応生成物をストランド状に払い出し、冷却、固化後、切断してポリカプロアミド(A−1)ペレットを得た。得られたポリカプロアミド(A−1)の水分500ppm、灰分0.1質量%未満、熱水可溶成分量は9.8質量%(モノマー:9.2質量%、その他:0.6質量%)であった。
ポリカプロアミド(A−1)のペレットを、95℃の熱水で8時間精練した後、乾燥し、ポリカプロアミド(B−1)を得た。得られたポリカプロアミド(B−1)の水分700ppm、相対粘度2.5、灰分0.1質量%未満、熱水可溶成分量は0.8質量%(モノマー:0.6質量%、その他:0.2質量%)であった。
窒素を流通させながら40分間重合した以外は、 ポリカプロアミド樹脂(A−1)と同様に重合し、ポリカプロアミド(A−2)ペレットを得た。得られたポリカプロアミド(A−2)の水分は500ppm、灰分0.1質量%未満、熱水可溶成分量は9.8質量%(モノマー:9.2質量%、その他:0.6質量%)であった。
ポリカプロアミド(A−2)のペレットを、95℃の熱水で8時間精練した後、乾燥し、ポリカプロアミド(B−2)を得た。得られたポリカプロアミド(B−2)の水分700ppm、相対粘度3.5、灰分0.1質量%未満、熱水可溶成分量は0.8質量%(モノマー:0.6質量%、その他:0.2質量%)であった。
ボールミルにより平均粒子径が4.0μmとなるように粉砕したタルクに対し、平均粒子径が10μmの珪フッ化ナトリウムを全量の15質量%となるように混合し、これを磁性ルツボに入れ、電気炉にて850℃で1時間反応させることにより、平均粒径4.0μmの膨潤性フッ素雲母を得た。この膨潤性フッ素雲母の組成は、Na0.60Mg2.63Si4O10F1.77、日本ベントナイト工業会標準試験方法によるベントナイト(粉状)の陽イオン交換容量測定方法(JBAS-106-77)に基づいて求めた陽イオン交換容量は110ミリ当量/100gであった。
膨潤性フッ素雲母300gをε-カプロラクタム1kgおよび水500gを混合して得た溶液中に加え、室温下、ホモミキサーを用いて1.5時間攪拌した。この分散液の全量を、予めε-カプロラクタム9kgを仕込み、95℃で溶融させておいた内容積30リットルのオートクレーブに投入し、撹拌しながら260℃に加熱し、圧力0.7MPaまで昇圧した。その後、徐々に水蒸気を放出しつつ温度260℃、圧力0.7MPaを1時間維持し、さらに1時間かけて常圧まで放圧し、窒素を流通させながら30分間重合した。重合が終了した時点で、前記反応生成物をストランド状に払い出し、冷却、固化後、切断してポリカプロアミド(A−3)ペレットを得た。得られたポリカプロアミド(A−3)の水分500ppm、灰分3.0質量%、熱水可溶成分量は10.1質量%(モノマー:9.5質量%、その他:0.6質量%)であった。
ポリカプロアミド(A−3)のペレットを、95℃の熱水で8時間精練した後、乾燥し、ポリカプロアミド(B−3)を得た。得られたポリカプロアミド(B−3)の水分700ppm、相対粘度3.0、灰分3.2質量%、熱水可溶成分量は0.9質量%(モノマー:0.7質量%、その他:0.2質量%)であった。
膨潤性フッ素雲母600g、窒素を流通させながら20分間重合した以外はポリカプロアミド樹脂(A−3)と同様に重合し、ポリカプロアミド(A−4)ペレットを得た。得られたポリカプロアミド(A−4)の水分は500ppm、灰分6.0質量%、熱水可溶成分量は9.9質量%(モノマー:9.3質量%、その他:0.6質量%)であった。
ポリカプロアミド(A−4)のペレットを、95℃の熱水で8時間精練した後、乾燥し、ポリカプロアミド(B−4)を得た。得られたポリカプロアミド(B−4)の水分700ppm、相対粘度2.5、灰分6.5質量%、熱水可溶成分量は0.9質量%(モノマー:0.7質量%、その他:0.2質量%)であった。
・二軸押出機(C−1):スクリュー径26mm、L/D=48.5(東芝機械社製TEM26SS)
なお、用いたスクリュウ構成としては、二条ねじを用い、図1の第4、7、10ゾーンにニーディングディスクを配した。
・二軸押出機(C−2):スクリュー径58mm、L/D=41.4(東芝機械社製TEM58SS)
なお、用いたスクリュウ構成としては、二条ねじを用い、図2の第3、5、8ゾーンにニーディングディスクを配した。
・二軸押出機(C−3):スクリュー径69.5mm、L/D=60.6(日本製鋼所社製TEX65α)
なお、用いたスクリュウ構成としては、二条ねじを用い、図3の第6、9、12ゾーンにニーディングディスクを配した。
図1に示す二軸押出機(東芝機械社製TEM26SS スクリュウ径26mmφ)のシリンダー温度320℃、スクリュー回転数500rpm、吐出20kg/h、滞留時間43秒でポリカプロアミド樹脂(A−1)を溶融押出し、3段の減圧ベントの各減圧ベントの真空圧がそれぞれ9kPaになるようにドライ式真空ポンプを作動させた条件下で混練し、得られるポリカプロアミドをストランド状に取り出し、冷却後カッターで造粒し、ポリカプロアミドペレットを得た。得られたペレットを前記した測定方法にて諸特性を調べた。
操業条件を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてペレットを得て、諸特性を調べた。
二軸押出機への注水を行なった以外は、実施例1と同様にしてペレットを得て、諸特性を調べた。
操業条件を表3に示すようにし、実施例1と同様にしてペレットを得て、諸特性を調べた。比較例1〜8での操業条件及び得られたペレットの諸特性結果を表3に示した。
特に、減圧ベント数が3個、減圧ベント部分の真空圧が10kPa以下、二軸押出機内のポリカプロアミドの滞留時間が30〜70秒及び二軸押出機内のポリカプロアミドの樹脂温度差が70℃以内に制御した実施例においては、未反応原料及び反応中間体(熱水可溶成分)の総量が1.3質量%以下に低く抑えられ、さらにその相対粘度等の諸物性についても精錬方法により熱水可溶成分量を低減させる方法により得られたポリカプロアミドと同等以上のものが得られた。
b:トラップ
c:脱揮物回収容器
d:減圧ベント
e:原料ホッパー
f:原料フィーダー
g:二軸押出機
h:注水ポンプ
i:冷却水槽
j:ペレタイザー
Claims (4)
- 1段以上の減圧ベントを有した二軸押出機にポリカプロアミド原料を投入し、前記ポリカプロアミド100質量部に対して、0.1〜5質量部の水を二軸押出機内に添加し、前記減圧ベント部分の真空圧を20kPa以下、滞留時間を20〜80秒として、下記式(1)を満足する条件で溶融押出することを特徴とする精製ポリカプロアミドの製造方法。
(式1) 50 ≦ Q/Ns/S ≦ 200
Q:吐出(kg/h)
Ns:スクリュー回転数(rpm)
S:スクリュー断面積(m2)
- 精製後のポリカプロアミド中の熱水可溶成分総量が1.5質量%以下であることを特徴
とする請求項1記載の精製ポリカプロアミドの製造方法。 - 二軸押出機内のポリカプロアミドの樹脂温度差が100℃以内であることを特徴とする
請求項1または2記載の精製ポリカプロアミドの製造方法。 - 二軸押出機に設置された減圧ベントと真空ポンプの間にトラップを設け、前記トラップ
に主として反応中間体を捕捉し、前記真空ポンプに主として未反応原料を補捉する精製ポ
リカプロアミドの製造方法であって、前記真空ポンプとしてドライ式真空ポンプを用いる
ことを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の精製ポリカプロアミドの製造方法。
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