JP5425563B2 - エアバッグ用織物およびエアバッグ - Google Patents
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Description
(1)相対粘度が2.7〜4.7、単糸繊度が0.8〜8.0dtex、総繊度が100〜800dtex、引張強力が5.0〜11.0cN/dtex、破断伸度が15〜35%および沸水収縮率が−4.5〜5.0%のポリアミド6・6繊維からなる織物であって、該ポリアミド6・6織物中の下記化学式(1)で示される環状ユニマー成分比が0.1〜3.0%であることを特徴とするエアバッグ用織物。
(3)沸水収縮率が3.0%以下である上記1または2項に記載のエアバッグ用織物。
(4)ポリアミド6・6繊維が環状ユニマーを含むオリゴマーを添加し、溶融紡糸されて得られたものであることを特徴とする上記1〜3項のいずれかに記載のエアバッグ用織物。
(5)上記1〜4項のいずれかに記載のエアバッグ用織物からなるエアバッグ。
(6)上記5項に記載のエアバッグからなるエアバッグモジュール。
すなわち、本発明によれば、エアバッグとしての機械的特性ならびに難燃特性を維持し、かつ低通気性および収納性に優れたもので、厳しい環境条件下で破袋耐久性に優れ、展開遅延がない信頼性の高いエアバッグを提供することができるという優れた特徴を達成することができる。
本発明のポリアミド6・6繊維は、主としてポリヘキサメチレンアジパミド繊維からなる。ポリヘキサメチレンアジパミド繊維とはヘキサメチレンジアミンとアジピン酸のみから構成される融点が250℃以上のポリアミド繊維を指すが、本発明のポリアミド6・6繊維は融点が250℃未満とならない範囲で、ポリアミド6、ポリアミド6I、ポリアミド610、ポリアミド6Tなどを共重合あるいはブレンドしてもよい。なお、かかる繊維には、原糸の製造工程や加工工程での生産性あるいは特性改善のために通常使用される各種添加剤を含んでいても良い。例えば熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、平滑剤、帯電防止剤、可塑剤、増粘剤、顔料、難燃剤などを含有せしめることができる。
このような銅化合物の添加量は、通常、ナイロン6・6繊維に対して、銅元素で10〜500ppmの範囲とすることが好ましく、さらに好ましくは15〜100ppmの範囲とするのがよい。添加量が500ppm以下であれば、重合過程での銅成分の析出が回避され、添加量が10ppm以上であれば、長期耐熱性の向上が期待できる。
相対粘度ηrが2.7以上で、エアバッグ用織物として十分な強伸度特性に寄与する高強度糸を織物構成糸とすることができる。また4.7以下であれば、弱糸および細糸の混入が無く、毛羽による織物欠陥が著しいという悪影響をこうむることも無く、エアバッグ用織物として高品位の織物としやすい。なお、ここで言う相対粘度ηrとは、試料2.5gを濃硫酸(98%)25ccに溶解し、恒温槽(25℃)の一定温度下においてオストワルド粘度計を用いて測定し求めたものである。
ポリアミド6・6ポリマーは溶融押出し機によってポリアミド6・6繊維に紡糸する。また、連続重合工程から直接紡糸することもできる。溶融押出し過程では、ポリマー中の水分率を制御することで本発明の織物を構成するポリアミド6・6繊維の相対粘度ηrを制御できる。特に低水分率で高ηrが得られる。ポリマー中の水分率は、溶融前のポリマーを乾燥、吸湿させたり、溶融中のポリマーを真空に吸引することで制御できる。
紡糸工程では、さらに熱延伸を行い、延伸糸とする。よく知られるように、熱延伸条件により、ポリアミド6・6繊維の収縮率を制御することができる。
製織にあたって、経糸などに集束性向上のための油剤成分を付与してもよい。ここで付与された油剤成分は、最終的にエアバッグ用織物に含有されてもよい。
また、乾燥し、あるいはまた熱セット工程後にエラストマーコーティングしてコーティングエアバッグ用基布とすることもできる。
カバーファクターは1800から2500が好ましい。ここで、カバーファクターとは経糸総繊度をD1dtex、経糸密度をN1本/2.54cm とし、緯糸総繊度をD2dtex、緯糸密度をN2本/2.54cm とすると、(D1)1/2×N1+(D2)1/2×N2で表され、低通気性の面から、1800以上が好ましく、より好ましくは2000以上である。幾何学的に織糸が充填配列する上での現実的な上限からカバーファクターは2500以下となる。
さらには、流体(空気)を200kPaの圧力に調整し、その時通過する空気流量を測定した時に500cc/cm2/sec以下であることが好ましい。より好ましくは300cc/cm2/sec以下であり、一層好ましくは200cc/cm2/sec以下である。エアバッグの展開初期において、最も高圧な状況下でガスリークが抑制されることで高速展開が達成される。通気量が観測されないほどに遮蔽されていることが最も好ましい。
このアミド化合物中の環状ユニマー成分比は織物をNMR溶媒に溶解して13C−NMRスペクトル解析から求めた。スペクトル解析は基本的にデイヴィスの提案(R.D.Davis,et al,Macromolecules 2000,33,7088−7092)に従った。ポリアミド6・6ポリマー中のヘキサメチレンジアミン骨格のアミド窒素結合位からβ位にある炭素は、3種のケミカルシフトを示す。すなわち、(1)環状ユニマーの炭素、(2)鎖状ポリアミド中でトランス型コンフォメーションの炭素および環状ユニマーを除く環状ポリアミド中の炭素、(3)鎖状ポリアミド中でシス型コンフォメーションの炭素である。(1)のNMRピーク強度について、(2)と(3)のピーク強度合計を基準にした百分率(%)で求めたものをポリアミド化合物中の環状ユニマー成分比とした。
NMRスペクトルで織物中の繊維の油剤成分などのスペクトルが重なって邪魔になる場合は、油剤成分を有機溶媒にて抽出して除いてスペクトル比較解析すればよい。
油剤成分の含有量が2.0重量%以下であれば、織物基布が燃焼性試験において不合格になることが無い。
これら油剤成分は、繊維製造工程、製織加工工程で付与された工程油剤に由来して残存するものでもよい。
また、本発明の織物は、袋織物として織製され、接結部の外周を裁断されてエアバッグとして使用することができる。
エアバッグにはインフレータが結合され、エアバッグ部は折畳まれて所定の容器に収納されてエアバッグモジュールとして自動車などの車両に取り付けられる。
相対粘度:織物試料2.5gを濃硫酸(98%)25ccに溶解し、恒温槽(25℃)の一定温度下においてオストワルド粘度計を用いて測定し求めた。
織物油剤成分量:織物試料10gを300mlのn−ヘキサンで8時間ソックスレー抽出した。n−ヘキサン抽出分の乾固重量から試料中の油剤成分量を求めた。
織物をNMR溶媒に溶解し13C−NMRにより測定した。溶液は完溶し、pH調整をせず測定した。13C−NMRスペクトルはBRUKER社製のAVANCE(II)400型NMR装置を使用し、以下の条件にて測定した。
NMR条件
試料濃度:100mg/NMR溶媒0.8ミリリットル
NMR溶媒:ヘキサフルオロイソプロパノール−d2
測定温度:25℃
パルス繰り返し間隔:2秒
積算回数:18000回
化学シフト基準:ヘキサフルオロイソプロパノール−d2のメチン炭素のピークトップとなる分岐中心ピークを71.28ppmとした。
得られたポリアミド6・6および含有される環状ユニマーについて、窒素結合β位炭素(C2)のピーク帰属とピーク強度の積算を実施した計算範囲を表1に示す。
総繊度:JIS L1096付属書14に従った。ただし、試料長を25cmとした。
沸騰収縮率 :総繊度サンプリングによる分解糸を98℃で30分間処理した後、収縮率(%)を求めた。
4)織物機械物性
引張強力 :JIS L1096(ストリップ法)により求めた。
破断伸度 :JIS L1096(ストリップ法)により求めた。
引裂強力 :JIS L1096(シングルタング法)により求めた。
フラジール通気度:JIS L1096(フラジール法)による。空気を125Paの圧力に調整して流し、その時通過する空気流量(cc/cm2/sec) を測定した。
高圧通気度:Capillary Flow Porometer CFP−1200AEX(Porous Metrials,Inc.製)を用い、GalWick浸漬液にて空気圧0から200kPaまでウェットアップ/ドライアップ通気量カーブを描いたときの200kPaでの通気度を求めた。
難燃性 :FMVSS−302法(水平法)に基づいて、燃焼速度(mm/min)を求めた。60秒以下または50mm以下で燃焼停止するものは自己消火(合格)とした。燃焼速度102mm/分以内は難燃合格で、燃焼速度102mm/分を超えて燃焼するものは難燃不合格とした。
国際公開第99/28164号パンフレットに記載のエアバッグを縫製した。ただし、外周縫製で、縫糸は上糸下糸とも235dtex/2×3、運針数は5.0針/cmの二重環縫い2列とした。インフレータはタンク圧200kPa容量のものを装着して常温で展開試験を行った。高速VTR観察から正面展開面積が最大展開面積の98%に達したときを展開時間とした。140℃下で500時間処理した前後で展開時間変化率(%)を求めた。
140℃下で500時間処理した前後で上記縫製バッグの外周径を比較し、5%以上変化したものを不合格と判定した。
8)寒冷下での展開特性:寒冷下展開時間比
140℃下で500時間処理した後に、エアバッグモジュールをマイナス35℃の槽に一晩入れた後、手早く着火装置に接続して展開し、熱処理前の常温での展開時間との変化率(%)を求めた。
ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の中和塩を含む水溶液に、重合触媒の次亜燐酸ナトリウムを加え、連続重合装置にて縮重合し、熱安定剤の沃化銅/沃化カリウム水溶液を添加して後期重合した後に樹脂チップとした。引き続いて固相重合にて相対粘度ηrが3.1のポリアミド6・6ポリマーを得た。
このエアバッグ用織物の銅元素の含有量は50ppmで沃素の含有量は1500ppmであった。環状ユニマーの含有量は表2に示すようなものであった。また、このエアバッグ用織物を構成するフィラメント糸(分解糸)の引張強力、破断伸度、沸水収縮率を表2に示す。またエアバッグ用織物の織密度、通気度も同様に表2に示す。
得られた平織物をメタノールにて50℃5時間の洗浄精練をした後、熱風乾燥した以外は実施例1と同様に実施した。表2に結果を併せて示す。環状ユニマー成分比、織物油剤成分比ともに激減し、熱処理後に引裂き強度が低下してエアバッグの耐圧性が低下するとともに、熱処理後の摩擦係数の上昇で熱経時後のエアバッグ破袋となってしまった。
製織、乾燥後に熱セットを行わずに基布とした以外は実施例1と同様に実施した。表2に結果を併せて示す。基布を構成する繊維の沸水収縮率が高い。熱処理によってバッグ容量が小さくなり見掛けの展開時間は短縮されるが、所定の形状にならないため不合格となった。
実施例1と同様に重合、紡糸し、相対粘度ηrが3.1であるポリアミド6・6繊維の延伸糸からなる、単糸繊度2.4dtex、総繊度350dtex、フィラメント数144本、引張強度8.7cN/dtex、破断伸度21.5%、沸水収縮率7.5%のフィラメント糸を得た。このフィラメント糸を用いて、ウォータージェットルームにて経糸と緯糸の織密度がともに63本/インチの平織物を得た。次いで、該織物を乾燥した後、180℃で1分間熱セットし、エアバッグ用基布を得た。結果を表2に併せて示す。
製織後に紡糸油剤成分と同じ組成の油剤成分を浸漬付与した後、乾燥、熱セットしたことを除いて、実施例3と同様に実施した。なお、熱セット後の油剤成分の含有量は1.2重量%であった。結果を表2に併せて示す。燃焼試験がやや延焼の評価となるが合格であり、バッグ展開性は非常によい。
Claims (5)
- 沸水収縮率が3.0%以下である請求項1に記載のエアバッグ用織物。
- ポリアミド6・6繊維が、環状ユニマーを含むオリゴマーを添加し、溶融紡糸されて得られたものであることを特徴とする請求項1または2に記載のエアバッグ用織物。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載のエアバッグ用織物からなるエアバッグ。
- 請求項4に記載のエアバッグからなるエアバッグモジュール。
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