JP4168438B2 - 半導体記憶装置とその使用方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体記憶装置とその使用方法に関し、特に磁気抵抗素子をメモリセルとしてを用いた半導体記憶装置およびその使用方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
磁気抵抗素子の例として、トンネル絶縁膜を2つの磁性体間に挟み磁性体の磁化状態によって変化するトンネル絶縁膜の抵抗値により情報を記憶するトンネル磁気抵抗(Tunneling Magnetoresistance)素子(以下、TMRという)が知られている。図10は、に2000 IEEE International Solid-State Circuits Conference DIGEST OF TECHNICAL PAPERS (pp.128-129)で報告されたTMRの例である。図10ではFeMn(10nm)で形成された反強磁性体層101、CoFe(2.4nm)で形成された強磁性体ピン層102、Al2 O3 で形成されたトンネル絶縁層103、NiFe(5nm)で形成された強磁性体フリー層104が積層されている。反強磁性体層101と強磁性体フリー層102には電圧が印加できるよう、導体配線が接続されている。強磁性体ピン層102の磁化方向は、反強磁性体層101によりある方向に固定される。強磁性体フリー層104は、ある方向に磁化し易いように形成されており、その磁化方向は、外部から磁場を印加することにより変化させることができる。膜の水平方向のうち、磁化し易い方向を容易軸、容易軸に垂直で磁化し難い方向を困難軸と呼ぶ。フリー層104とピン層102との間に電圧を印加するとトンネル絶縁膜103を通して電流が流れる。このトンネル電流は、強磁性体フリー層104と強磁性体ピン層102の磁化方向の関係に基づく抵抗値の変化に伴い変化する。即ち磁化方向が同じ場合は、抵抗が低くなり、反対向きの場合は、抵抗が高くなる。
【0003】
次に、図11を用いてTMRを不揮発性メモリの記憶素子として用いた例を示す。これは、2000 IEEE International Solid-State Circuits Conference DIGEST OF TECHNICAL PAPERS (pp.130-131)で報告されたものである。この従来例ではアレイ状に配置されたTMR105の上下に交差する1対の配線が設置される。上部配線(B1、B2)106は、TMR105の強磁性体フリー層104と接続されており、TMR105の反強磁性体層101は、第3の配線107を介して下層に形成されたトランジスタ108のドレインに接続されている。第3の配線107は、上部配線106と交差する下部配線(D1、D2、D3)109に接続されている。2つの配線(B、D)106、109に電流を流すことによって交差部およびその近傍に合成磁場を発生させ、電流の方向により強磁性体フリー層104の磁化方向を設定する。これによりTMR105の抵抗値を変化させることができる。
【0004】
データの読み出しは、読み出すTMR105に接続されたトランジスタ108を配線W(読み出しワード線110)によりオン状態にして、上部配線106よりTMR105に電圧を印加した時、トランジスタ108から出力される電圧または電流を評価することによって行う。別の読み出し方法として、あるメモリセルの出力電圧または電流を得た後、そのメモリセルに既知のデータを書き込み、再度出力電圧または電流を得、両者の比較からデータを判別する方法(以下、2回読み出し型)、および、2つのメモリセルを用いて1つに書き込みたいデータを書き込み、もう一方に相補データを書き込み、それぞれの出力電圧(電流)の大小でデータを判別する方法(以下、相補型)もある。
【0005】
次に、図12を用いて従来の磁気抵抗素子を用いた不揮発性メモリの読み出し回路について説明する。これは、米国特許第6,111,781号明細書に記載されている回路の一部である。この従来例は、ワード線111、ビット線112、TMR113、参照線114、読み出しワード線115、ワード線制御回路116、選択トランジスタ117、判別器118、接地トランジスタ119、ビット線選択トランジスタ120、トランジスタ121、ビット線/参照線選択回路122とからなる。TMR113の一方の電極は、ビット線112または参照線114に接続され、もう一方は、選択トランジスタ117を介してアースに接続される。選択トランジスタ117のゲートは、読み出しワード線(WR1、WR2)115に接続され、ワード線制御回路116により制御される。ビット線112の片端は、ビット線/参照線選択回路122に接続され、もう一方は、ビット線選択トランジスタ120を介して判別器118の片方の入力端子に接続される。判別器118の入力部は、接地トランジスタ119を介してアースに接続される。参照線114の片端は、ビット線/参照線選択回路122に接続され、もう一方は、トランジスタ121を介して判別器118のもう一方の入力端子に接続される。ワード線111は、TMR113の近傍に配置され、その両端にはワード線制御回路116が接続される。
【0006】
TMRであるメモリセルC1へのデータを書き込みは、ワード線W1とビット線B1に電流を流し、合成磁場を発生させることにより行われる。メモリセルC1のデータを読み出す場合には、ビット線B1のビット線選択トランジスタ120とトランジスタ121をオン状態にして、さらに読み出しワード線(WR1)115によりメモリセルC1の選択トランジスタ117をオンにする。判別器118によりビット線(B1)112とメモリセルC1を流れる電流と、参照線(RF)114と参照セルR1を流れる電流とを比較して、判定結果、すなわち読み出しデータを出力する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の磁気抵抗素子をアレイ状に配置したメモリでは、あるメモリセルの書き込み特性に問題がある場合、そのメモリセルに書き込みを行わないように制御する必要がある。特に前述の2回読み出し型と相補型では、初期的にはデータを書き込むことができてもメモリセルが劣化し書き込みができなくなる可能性が高い。この現象について説明する。
【0008】
通常半導体記憶装置の良品、不良品の選別は、データを書き込み、そのデータが正常に読み出せるかどうかで行われる。磁気抵抗素子の抵抗値はばらつきを持つため、データが正常に読み書きでき良品と判断されても、内部に欠陥を持つ磁気抵抗素子が含まれる可能性がある。一般的に欠陥を持つ磁気抵抗素子は、抵抗値が平均的な抵抗値と大きく異なる値を示す。とくに2回読み出し型と相補型では比較する2つの抵抗値の差がデータ読み出しに問題なければ良品と判断されるため、欠陥を含む磁気抵抗素子が良品と見なされる可能性が高い。今1つのメモリセルが1kΩで、磁化状態による抵抗変化が10%の磁気抵抗素子があるとする。これを100等分したブロックの集まりと考えると、1つのブロックは100kΩとなる。このうちひとつのブロックが異常により低抵抗となり10kΩになったとする。このとき全体としての磁化状態による抵抗変化は9%となり、元の10%から1%しか変化しないため、異常なのかばらつきなのか判定することは困難である。このため欠陥を持つ磁気抵抗素子を含む半導体装置を良品と判断し、使用後の劣化によりデータが書き込めない、または読み出せなくなるという問題があった。
本発明の目的は、信頼性の高い磁性体素子を用いた半導体記憶装置およびその使用方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明によれば、複数の磁気抵抗素子をメモリセルとして用いる半導体記憶装置において、メモリセルの記憶データを判別する機能と、各メモリセルの抵抗値の絶対値に相関のある特性値と所望のしきい値とを比較しメモリセルの良否を判定する機能とを有し、さらに前記メモリセルの記憶データを判別する機能と前記メモリセルの良否を判定する機能との内いずれを機能させるかを選択する制御回路を有し、さらに参照電圧もしくは参照電流を発生させる回路を備え、その参照電圧もしくは参照電流が前記メモリセルの良否を判定する機能を有する判別器に入力され、該参照電圧もしくは参照電流が所望のメモリセル群の評価結果により決定され、その値を記憶する回路を有することを特徴とする半導体記憶装置、が提供される。
また、上記の目的を達成するため、本発明によれば、磁気抵抗素子をメモリセルとする半導体記憶装置を使用する方法において、予め所望のメモリセル群の評価を行う手順を含み、前記メモリセルの良、不良を判定する手順においては、予め求められた前記所望のメモリセル群の評価結果を参照し、各メモリセルの磁化状態を設定する手段と、各メモリセルの抵抗値を評価する手段と、評価結果に従いメモリセルの良、不良を判定する手順と、不良と判定されたメモリセルを記録する手段とを含むことを特徴とする半導体記憶装置の使用方法、が提供される。
また、上記の目的を達成するため、本発明によれば、磁気抵抗素子をメモリセルとする半導体記憶装置を使用する方法において、予め所望のメモリセル群の評価を行う手順を含み、前記メモリセルの良、不良を判定する手順においては、予め求められた前記所望のメモリセル群の評価結果を参照し、各メモリセルの磁化状態を設定する手順と、各メモリセルの抵抗値を評価する手段と、評価結果に従いメモリセルの良、不良を判定する手順と、不良と判定されたメモリセルを使用しないように内部に記憶する手順とを含むことを特徴とする半導体記憶装置の使用方法、が提供される。
【0010】
(作用)
将来不良となる要因を抱えたメモリセルは抵抗値が平均値からずれて形成されている場合が多い。しかし、抵抗値が異常で将来的に不良セルとなる可能性の高いセルであっても磁化状態による抵抗変化量の変化が小さいため、従来の、メモリセルに書き込み/読み出しを行い書き込まれた通りのデータが読み出せるか否かによって良否を判定する方式では、その検出が困難である。本発明の半導体記憶装置においては、磁化の状態が特定の状態にセットされた磁気抵抗素子の抵抗値の絶対値が評価できるようになされており、この評価に基づいてメモリセルの良否が判定される。この方式によれば、評価時点において正常に動作するが将来不良となる可能性の高いセルを検出することが可能であり、そのセルを予め使用しないようにすることができる。あるいはそのようなセルを一定個数以上含む半導体記憶装置を不良品としてリジェクトすることができる。したがって、本発明によれば、欠陥を含むメモリセルを使用してしまう可能性を低く抑えることができ、またメモリセルのうち使用するメモリセルの抵抗値を所望の範囲内に設定することが可能であり、信頼性の高い半導体記憶装置を提供することが可能になる。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を実施例に即し図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施例)
図1を参照しながら、本発明の第1の実施例を説明する。図1は、第1の実施例の半導体記憶装置の回路概要図である。本実施例の半導体記憶装置は、ワード線(W1、W2、W3)50、ビット線(B1、B2)51、TMR(C1)52、選択トランジスタ53、読み出しワード線(WR1、WR2、WR3)54、ワード線制御回路55、ワード線終端回路56、ビット線制御回路57、ビット線選択トランジスタ58、切り替えトランジスタ59、ビット線終端回路60、判別器61、参照電圧発生器62、アナログ/デジタル(A/D)変換器66、演算回路67とを有する。
【0012】
ワード線50とビット線51とは、互いに交差するように配置され、TMR52は、ワード線50とビット線51との交差部に配置される。各TMR52は、ビット線51の電流方向による磁場で磁化状態が決定される。TMR52の一方の電極は、ワード線50に接続され、もう一方の電極は、選択トランジスタ53のソース・ドレインを介してビット線51に接続される。選択トランジスタ53のゲートは、読み出しワード線54に接続され、読み出しワード線54は、ワード線制御回路55に接続される。
【0013】
ワード線50の一端はワード線制御回路55に接続され、その他端はワード線終端回路56に接続される。ワード線制御回路55は、所望の読み出しワード線54に電位を設定する機能と、書き込み電流、読み出し電圧を発生し、所望のワード線50に印加する機能とを持つ。ビット線51の一端は、書き込み電流を発生させ、所望のビット線に電流を流す機能と、ビット線を切り離す機能とを持つビット線制御回路57に、その他端はビット線選択トランジスタ58に接続される。ビット線選択トランジスタ58の出力端は、共通に接続されると共に二つの切り替えトランジスタ59に接続される。切り替えトランジスタ59の一方はビット線終端回路60に接続され、他方は判別器61の一方の入力端子とA/D変換器66とに接続される。判別器61のもう一方の入力端子には、参照電圧発生器62の出力端子が接続される。判別器61は、制御端子63の信号により2つの入力の比較を行い、大小の判別結果を出力する。参照電圧発生器62は、制御端子64の制御信号に従い読み出し用参照電圧と選別用参照電圧の2種類の参照電位を発生する機能をもつ。
制御端子64は、100kΩ抵抗を介して接地されている。接地状態では読み出し用参照電圧が出力され、電圧印加状態では選別用参照電圧が出力される。A/D変換器66の出力は、演算回路67に入力され、演算回路67の出力は、参照電圧発生器62に入力される。参照電圧発生器62は、この値を不揮発に記憶する機能を持つ。ビット線選択トランジスタ58と切り替えトランジスタ59をつなぐ配線は、接地トランジスタ65を介してアースに接続される。
【0014】
次に、この半導体記憶装置の使用方法について図2を用いて説明する。半導体記憶装置は、TMRを記憶素子とした不揮発性メモリを構成している。
ワード線W1とビット線B1の交差点のメモリセルC1にデータを書き込む場合について説明する。全てのトランジスタがオフ状態された状態から、ビット線B1のビット線選択トランジスタ58と、ビット線終端回路60に接続する切り替えトランジスタ59をオン状態にする。ワード線制御回路55によりワード線W1に電流を流し、ビット線制御回路57によりビット線B1にデータに相当する方向の電流を流すと、交差点にあるメモリセル、TMR52(C1)には合成磁場が印加され、ビット線の電流方向に従ってフリー層が磁化される。電流を止めた後も、フリー層が強磁性体であるため、磁化方向は、保持される。
【0015】
次に、データの読み出しについて、ビット線B1とワード線W1との交差部に配置されたTMR(C1)を例に挙げ、説明する。ビット線B1をビット線制御回路57により切断し、ビット線B1のビット線選択トランジスタ58と、判別器61に接続する切り替えトランジスタ59をオン状態にする(ビット線終端回路60に接続する切り替えトランジスタ59はオフ状態を維持)。接地トランジスタ65を一度オン状態にして配線を接地し、またオフ状態にする。ワード線W1に0.5V程度を印加する。100ns経過後、制御端子63に信号を与え判別器61を起動し、制御端子64がオープン状態の電圧発生器62から出力される読み出し用参照電圧と比較し、大小に応じて電源電圧または接地電位を出力することでデータを読み出す。読み出し時のビット線電位は、書き込んだデータにより抵抗が異なるため、データにより変化する。読み出し時の参照電圧は、2つのデータでのビット線電位の間となる値とする。
【0016】
次に、出荷前の検査時にこの半導体記憶装置の不良メモリセルを調査する方法について図3を用いて説明する。まず、ワード線W1の全てのメモリセルに“0”を書き込む。このとき、TMR52は、高抵抗状態とする。次に、各メモリセルのデータを読み出すが、このときのビット線電位をA/D変換器66でデジタル値に変換し、演算回路67に蓄える。最大、最小のデータを除いたデータで平均値を計算し、その値を参照電圧発生器62に送る。
参照電圧発生器62は、この値を専用に用意したメモリセルに記憶し、読み出し用参照電圧を出力する場合には、設計時に予定されるデータによる抵抗変化分の半分の電圧をこの値に加えた電圧を出力する。選別用参照電圧を出力する場合は、この値の105%の電圧を出力する。次に、全てのメモリセルにデータ“0”書き込み処理を行い、各メモリセルの磁化状態を同じにする。外部磁場を印加して磁化状態を設定してもよい。次に各メモリセルのデータを読み出す。このとき制御端子64に電位を与え、参照電圧発生器62から選別用参照電位を出力させる。判別器61により選別用参照電位より読み出し電圧が高いと判断された場合、不良セルとして判断することができる。
【0017】
この選別用参照電位は、TMRの設計抵抗値を元に値を決定しその値を出力するよう半導体装置設計時に回路を組んでもよいし、チップ内で演算処理する代わりにビット線電位を半導体記憶装置外部に出力させて別の装置で処理し、参照電圧の値を半導体記憶装置に指示してもよい。この場合、半導体記憶装置に指示電圧を発生させる機能が必要となる。磁気抵抗素子としてTMRをあげたが、磁性体自身の磁気抵抗効果を用いたり、数nm程度の導電体膜を2つの磁性体で挟んだGMRと呼ばれる素子を用いてもよい。パッケージング前に選別を行う場合、選別後は制御端子64を使用しないため、パッケージングの際には外部端子に接続しなくてよい。パッケージング後に選別を行う場合は外部端子に接続する場合もある。
この抵抗変化を評価する方法の効果について説明する。1つのメモリセルが1kΩで、磁化状態による抵抗変化が10%の磁気抵抗素子があるとする。100個のブロックで構成されるとすると1つのブロックは100kΩとなるが、このひとつのブロックが異常により低抵抗となり10kΩになったとする。このとき本実施例の方法で着目する抵抗値は、元の抵抗値に対して8%強変化することになる。このことより前述の磁化状態抵抗変化量の変化である1%より感度よく異常を検出することができることがわかる。
【0018】
この実施例の半導体記憶装置においては、抵抗値の低いメモリセルを容易に検出することができ、この結果をもとに危険なメモリセルにアクセスしないで使用することができる。また半導体記憶装置に不良セルと判別されたメモリセルの位置情報をメモリセルの一部の一部を利用して書き込むか、もしくはEEPROMを作りこんでおいて書き込み、自動的に他の代替メモリセルにアクセスする機能を持つ回路を内蔵させてもよい。
【0019】
(第参考例)
次に、図4を参照して本発明の第参考例を説明する。
図4は、この参考例の半導体記憶装置の回路概要図である。本参考例の半導体記憶装置は、ワード線50、ビット線51、TMR52、ワード線制御回路55、ワード線終端回路56、ビット線制御回路57、ビット線選択トランジスタ58、切り替えトランジスタ59、ビット線終端回路60、判別器61、参照電圧発生器62、参照電圧用トランジスタ70とを有する。ワード線50とビット線51は互いに交差するように敷設され、TMR52は、ワード線50とビット線51の交差部に配置される。各TMR52は、ビット線51の電流方向による磁場で磁化状態が決定される。TMR52の一方の電極は、ワード線50に接続され、もう一方の電極はビット線51に接続される。ワード線50の一端にはワード線制御回路55が接続され、その他端にはワード線終端回路56が接続される。ワード線制御回路55は、書き込み電流、読み出し電圧を発生し、所望のワード線50に印加する機能とを持つ。ビット線51の両端には書き込み電流を発生させ、所望のビット線に電流を流す機能と、ビット線を切り離す機能とを持つビット線制御回路57とビット線選択トランジスタ58がそれぞれ接続される。ビット線選択トランジスタ58の出力端は共通に接続されると共に、三つの切り替えトランジスタ59に接続される。ビット線選択トランジスタ58の出力は、切り替えトランジスタ59を介してビット線終端回路60と判別器61の2つの入力端子へ選択入力される。判別器61の片方の入力端子には参照電圧用トランジスタ70を介して参照電圧発生器62の出力が入力される。判別器61は、制御端子63の信号により2つの入力の比較を行い、大小の判別結果を出力する。参照電圧発生器62は、選別用参照電圧を発生する機能をもつ。ビット線選択トランジスタ58と切り替えトランジスタ59をつなぐ配線は、接地トランジスタ65を介してアースに接続される。
【0020】
この半導体記憶装置の使用方法について図5を用いて説明する。この半導体装置は、TMRを記憶素子とした不揮発性メモリを構成している。
まず、ワード線W1とビット線B1の交差点のメモリセルC1にデータを書き込む場合について説明する。全てのトランジスタがオフ状態にある状態からビット線B1のビット線選択トランジスタ58と、ビット線終端回路60に接続する切り替えトランジスタ59をオン状態にする。ワード線制御回路55によりワード線W1に電流を流し、ビット線制御回路57によりビット線B1にデータに相当する方向の電流を流すと、交差点にあるTMR52には合成磁場が印加され、ビット線B1の電流方向に従ってTMRのフリー層が磁化される。電流を止めた後も、フリー層は、強磁性体であるため磁化方向は保持される。
次に、データの読み出しについて説明する。ビット線B1をビット線制御回路57により切断し、ビット線B1のビット線選択トランジスタ58と、判別器61の第1の入力端子に接続する切り替えトランジスタ59をオン状態にし、ビット線終端回路60に接続する切り替えトランジスタ59をオフ状態にする。接地トランジスタ65を一度オン状態にして配線を接地し、またオフ状態にする。ワード線W1に0.5V程度を印加する。100ns経過後、切り替えトランジスタ59をオフ状態にする。
【0021】
次に,メモリセルC1(TMR)にデータ“0”を書き込む。ビット線B1をビット線制御回路57により切断し、ビット線B1のビット線選択トランジスタ58と、判別器61の第2の入力端子に接続する切り替えトランジスタ59をオン状態にし、ビット線終端回路60に接続する切り替えトランジスタ59をオフ状態にする。接地トランジスタ65を一度オン状態にして配線を接地し、またオフ状態にする。ワード線W1に0.5V程度を印加する。100ns経過後、制御端子63に信号を与え判別器61を起動し、検出電位に設計時に予定されるデータによる抵抗変化分の半分の電圧を加えた電圧と先に読み出された電位との比較を行い、大小に応じて電源電圧または接地電位を出力することでデータを読み出す。この参考例の方法では同じメモリセルから発生する電位を比較するため、特性にメモリセル間ばらつきがあってもマージンを持った読み出しが可能である。
【0022】
次に、出荷前の検査時に本半導体装置の不良メモリセルを調査する方法について図6を用いて説明する。まず、全てのメモリセルにデータ“0”書き込み処理を行い、各メモリセルの磁化状態を同じにする。外部磁場を印加して磁化状態を設定してもよい。次に、各メモリセルのデータを読み出す。この場合、前述の読み出し手順において判別器61の第1の入力端子に読み出しを行った時点で判別器61を起動する。このとき参照電圧用トランジスタ70をオン状態にして、参照電圧発生器62の選別用参照電位を判別器61の第2の入力端子に与えておく。判別器61により選別用参照電位より読み出し電圧が高いと判断された場合、不良メモリセルとして判断することができる。この選別用参照電位は、高抵抗状態TMRの設計抵抗値の95%の値に対応するよう回路設計する。
この半導体記憶装置においては、2回読み出し方法を用いたMRAMにおいて、抵抗値を用いた判別を行い異常なメモリセルを容易に検出することができる。また、この第参考例に第1の実施例で述べた手法を適用することも可能である。
【0023】
(第参考例)
次に、図7を参照して本発明の第参考例を説明する。
図7は、この参考例の半導体記憶装置の回路概要図である。この半導体記憶装置は、ワード線50、ビット線51、TMR52、ワード線制御回路55、ワード線終端回路56、ビット線制御回路57、ビット線選択トランジスタ58、切り替えトランジスタ59、ビット線終端回路60、判別器61、参照電圧発生器62、参照電圧用トランジスタ70とを有する。ワード線50とビット線51は互いに交差するように敷設され、TMR52は、ワード線50とビット線51の交差部に配置される。各TMR52は、ビット線51の電流方向による磁場で磁化状態が決定される。TMR52の一方の電極はワード線50に接続され、もう一方の電極は、ビット線51に接続される。ワード線50の一端はワード線制御回路55に接続され、その他端はワード線終端回路56に接続される。ワード線制御回路55は、書き込み電流、読み出し電圧を発生し、所望のワード線50に印加する機能を持つ。ビット線51の一端はビット線制御回路57に接続され、その他端はビット線選択トランジスタ58に接続される。ビット線制御回路57は、書き込み電流を発生させ、所望のビット線に電流を流す機能と、ビット線を切り離す機能とを持っている。
【0024】
ビット線選択トランジスタ58の出力端は、同一系統同士で共通に接続され、切り替えトランジスタ59を介してビット線終端回路60と判別器61の入力端子に接続される。ビット線には2つの系統(B1、B2系およびB1′、B2′系)があり、それぞれ判別器61の第1の入力端子、第2の入力端子に接続される。判別器61の2つ入力端子には参照電圧用トランジスタ70を介して参照電圧発生器62の出力が入力される。判別器61は、制御端子63の信号により2つの入力の比較を行い、大小の判別結果を出力する。参照電圧発生器62は、選別用参照電圧を発生する機能をもつ。ビット線選択トランジスタ58と切り替えトランジスタ59をつなぐ配線は、接地トランジスタ65を介してアースに接続される。
この半導体記憶装置の使用方法について図8を用いて説明する。半導体記憶装置は、TMRを記憶素子とした不揮発性メモリを構成している。この参考例は、2つのメモリセルを用いて1つのデータを記憶する相補型である。ワード線W1とビット線B1、B1′の交差点の1対のメモリセルC1、C1′に1つのデータを書き込む場合について説明する。全てのトランジスタがオフとなった状態からビット線B1、B1′のビット線選択トランジスタ58と、ビット線終端回路60に接続する切り替えトランジスタ59をオン状態にする。
【0025】
ワード線制御回路55によりワード線W1に電流を流し、ビット線制御回路57によりビット線B1にデータに相当する方向の電流を、ビット線B1′に逆方向の電流を流すと、交差点にあるTMR52には合成磁場が印加され、ビット線の電流方向に従ってTMRのフリー層が磁化される。このときTMR(C1)とTMR(C1′)の磁化方向が異なるため、抵抗値も異なる。電流を止めた後もフリー層が強磁性体であるため磁化方向は、保持される。
次に、データの読み出しについて説明する。ビット線B1、B1′をビット線制御回路57により切断し、ビット線B1、B1′のビット線選択トランジスタ58と、判別器61の2つの入力端子に接続する切り替えトランジスタ59をオン状態に、ビット線終端回路60に接続する切り替えトランジスタ59をオフ状態にする。トランジスタ65を一度オン状態にして配線を接地し、またオフ状態にする。ワード線W1に0.5V程度を印加する。100経過後、制御端子63に信号を与え判別器61を起動し、2つの読み出し電位の比較を行い、大小に応じて電源電圧または接地電位を出力することでデータを読み出す。
【0026】
次に、出荷前の検査時にこの半導体記憶装置の不良メモリセルを調査する方法について図9を用いて説明する。まず、全てのメモリセルにデータ“0”書き込み処理を行い、各メモリセルの磁化状態を同じにする。外部磁場を印加して磁化状態を設定してもよい。つぎに1つずつメモリセルのデータ読み出し処理を行う。この場合、ビット線B1、B2の系統のメモリセルを読み出す場合、ビット線B1、B2のビット線選択トランジスタ58をオン状態にし、判別器61の第2の入力端子の参照電圧用トランジスタ70をオン状態にして、参照電圧発生器62の選別用参照電位を判別器61の第2の入力端子に与える。ビット線B1′、B2′の系統のメモリセルを読み出す場合、ビット線B1′、B2′のビット線選択トランジスタ58をオン状態にし、判別器61の第1の入力端子の参照電圧用トランジスタ70をオン状態にする。判別器61により選別用参照電位より読み出し電圧が高いと判断された場合、不良メモリセルとして判断することができる。この選別用参照電位は、高抵抗状態TMRの設計抵抗値の95%の値に相当するよう回路設計する。
この半導体記憶装置の相補型読み出し方法を用いたMRAMにおいて、抵抗値を用いた判別を行い異常なメモリセルを容易に検出することができる。またこの第参考例に第1の実施例で述べた手法を適用することも可能である。
【0027】
以上好ましい実施例について説明したが、本発明はこ実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱することのない範囲内において適宜の変更が可能なものである。例えば、実施例ではデータの読み出しをビット線の電位を参照電圧発生器の電圧と比較することによって行っていたが、これに代えビット線を流れる電流と参照電流発生器の電流とを比較するようにしても良い。この場合、読み出し時には、所望のセルの接続されたワード線は接地され、判別器に用意された定電圧源から、選択されたビット線を介してTMR、ワード線へ電流が注入される。また、実施例では、検査時にTMRを“0”(高抵抗状態)に設定していたが、逆に低抵抗状態に設定することもできる。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、抵抗値を用いた良否の判別を行っているので、異常なメモリセル(磁気抵抗素子)を感度よく検出することができる。これにより信頼性の高い半導体装置を提供することができる。また、メモリセルを構成する磁気抵抗素子のうち使用する素子の抵抗値を所望の範囲内に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施例を示す回路概要図。
【図2】 本発明の第1の実施例の書き込み、読み出し動作方法を示すタイミングチャート。
【図3】 本発明の第1の実施例の検査時の動作方法を示すタイミングチャート。
【図4】 本発明の第参考例を示す回路概要図。
【図5】 本発明の第参考例の書き込み、読み出し動作方法を示すタイミングチャート。
【図6】 本発明の第参考例の検査時の動作方法を示すタイミングチャート。
【図7】 本発明の第参考例を示す回路概要図。
【図8】 本発明の第参考例の書き込み、読み出し動作方法を示すタイミングチャート。
【図9】 本発明の第参考例の検査時の動作方法を示すタイミングチャート。
【図10】 従来の技術例を示す断面図。
【図11】 従来の技術例を示す遮光層。
【図12】 従来の技術例を示す回路概要図。
【符号の説明】
50 ワード線
51 ビット線
52 TMR
53 選択トランジスタ
54 読み出しワード線
55 ワード線制御回路
56 ワード線終端回路
57 ビット線制御回路
58 ビット線選択トランジスタ
59 切り替えトランジスタ
60 ビット線終端回路
61 判別器
62 参照電圧発生器
63、64 制御端子
65 接地トランジスタ
66 A/D変換器
67 演算回路
70 参照電圧トランジスタ
101 反強磁性体層
102 強磁性体ピン層
103 トンネル絶縁層
104 強磁性体フリー層
105 TMR
106 上部配線
107 第3の配線
108 トランジスタ
109 下部配線
110 読み出しワード線
111 ワード線
112 ビット線
113 TMR
114 参照線
115 読み出しワード線
116 ワード線制御回路
117 選択トランジスタ
118 判別器
119 接地トランジスタ
120 ビット線選択トランジスタ
121 トランジスタ
122 ビット線/参照線選択回路

Claims (8)

  1. 複数の磁気抵抗素子をメモリセルとして用いる半導体記憶装置において、メモリセルの記憶データを判別する機能と、各メモリセルの抵抗値の絶対値に相関のある特性値と所望のしきい値とを比較しメモリセルの良否を判定する機能とを有し、さらに前記メモリセルの記憶データを判別する機能と前記メモリセルの良否を判定する機能との内いずれを機能させるかを選択する制御回路を有し、さらに参照電圧もしくは参照電流を発生させる回路を備え、その参照電圧もしくは参照電流が前記メモリセルの良否を判定する機能を有する判別器に入力され、該参照電圧もしくは参照電流が所望のメモリセル群の評価結果により決定され、その値を記憶する回路を有することを特徴とする半導体記憶装置。
  2. 前記メモリセルの記憶データを判別する機能と前記メモリセルの良否を判定する機能とが、同一の判別器を用いて達成されることを特徴とする請求項1に記載の半導体記憶装置。
  3. 前記参照電圧もしくは参照電流を発生させる回路は、参照電圧もしくは参照電流を2種類以上発生させることができ、かつ制御信号によりいずれを出力するかが切り替えられることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体記憶装置。
  4. メモリセルの良否の判定結果を記憶する機能を持つことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の半導体記憶装置。
  5. 前記記憶された判定結果に従いアクセスするメモリセルを制御する機能を有することを特徴とする請求項4に記載の半導体記憶装置。
  6. 磁気抵抗素子をメモリセルとする半導体記憶装置を使用する方法において、各メモリセルの磁化状態を設定する手段と、各メモリセルの抵抗値を評価する手段と、評価結果に従いメモリセルの良、不良を判定する手順と、不良と判定されたメモリセルを記録する手段とを含んでおり、さらに予め所望のメモリセル群の評価を行う手順を含み、前記メモリセルの良、不良を判定する手順においては、予め求められた前記所望のメモリセル群の評価結果を参照することを特徴とする半導体記憶装置の使用方法。
  7. 磁気抵抗素子をメモリセルとする半導体記憶装置を使用する方法において、各メモリセルの磁化状態を設定する手順と、各メモリセルの抵抗値を評価する手段と、評価結果に従いメモリセルの良、不良を判定する手順と、不良と判定されたメモリセルを使用しないように内部に記憶する手順とを含んでおり、さらに予め所望のメモリセル群の評価を行う手順を含み、前記メモリセルの良、不良を判定する手順においては、予め求められた前記所望のメモリセル群の評価結果を参照することを特徴とする半導体記憶装置の使用方法。
  8. 不良と判定されたメモリセルを、別に用意されたメモリセルにより代替させる手順をさらに含むことを特徴とする請求項6または7に記載の半導体記憶装置の使用方法。
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