JP4167480B2 - バンク巻線方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば、カメラ等の光学機器や小型電子機器等に使用されるトリガートランス等の巻き軸にコイルを巻装するバンク巻線方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
カメラ等の光学機器や小型電子機器等に使用されるトリガートランスは、光学機器、小型電子機器の限られた狭いスペースに格納されるために、小型化、薄型化が要求されている。
【0003】
トリガートランスは、巻き軸の両端に鍔部を有しており、巻き軸にコイルをバング巻きし、コイルの両端を鍔部から突出する端子にカラゲて半田付けしている。巻き軸にコイルをバンク巻きするには一方の鍔部の内側から巻き軸に螺旋状に巻線し、他方の鍔部の内側で折り返して1層目のコイルの上に重ね巻線することを繰り返して巻線している。
【0004】
しかし、トリガートランスでは、誘起起電力が巻き軸の最も近い1層のコイルに最も大きく作用し、2層、3層のように巻き軸から離れるにつれてこの誘起起電力の作用が徐々に減少し、巻線間、特に層間には電位差及び分布容量が発生する。
【0005】
そこで、前述のような電位差及び分布容量を減少させるために、例えば、巻き軸の両端に鍔部を有するボビンに巻線ピッチを往復させて鍔部の内側にコイルによって三角断面層を形成する区分巻きと、巻線ピッチを往復させて三角断面層の対角辺に沿うように傾斜させて巻線した区分巻きする方法が知られている(特許文献1及び2参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特公平3−34643号公報(特許請求の範囲及び第3図〜第5図)
【0007】
【特許文献2】
特公平4−15603号公報(特許請求の範囲及び第3図〜第5図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1及び2は、一方の鍔部の内側から巻き軸にコイルを巻き始めて鍔部から離れる方向に境界まで巻線して第1層を形成し、境界からコイルがはみ出ないように折り返して第2層を形成する手順を繰り返することにより、巻き数を順次減らして第3層、第4層…を形成して鍔部の内側に三角断面層を形成している。
【0009】
従って、コイルのピッチを正確に定めないと巻き崩れが生じやすく、トラバースの制御に正確さが要求され、ピッチを任意に設定できないという問題がある。
【0010】
この発明は、前記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、巻き軸に対してコイルを巻線する際に、巻き数及びピッチを任意に設定できるとともに、トラバースの制御が容易で、巻き崩れが発生することなく、容易に巻線できるバング巻線方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明は、前記目的を解決するために、請求項1は、一端に第1鍔部、他端に第2鍔部を有する巻き軸の第1鍔部から第2鍔部に向かってコイルを螺旋状に巻線するバンク巻線方法において、前記第1鍔部から離間した巻き軸の位置をコイル巻き始め点とし、前記巻き軸に第1鍔部に向かって往路巻きし、前記第1鍔部の内側で折り返して往路巻きされたコイル上に前記第2鍔部に向かって巻線するとともに、前記コイル巻き始め点を越えた前記巻き軸上の折り返し点まで復路巻きし、前記折り返し点から再び前記第1鍔部に向かって復路巻きされたコイル上に往路巻きし、前記第1鍔部の内側で折り返して往路巻きされたコイル上に前記第2鍔部に向かって巻線するとともに、前記折り返し点を越えた前記巻き軸上の折り返し点まで復路巻きすることを繰り返して巻線することを特徴とする。
【0012】
請求項2は、一端に第1鍔部、他端に第2鍔部を有する巻き軸の第1鍔部から第2鍔部に向かってコイルを螺旋状に巻線するバンク巻線方法において、前記第1鍔部から離間した巻き軸の位置をコイル巻き始め点とし、前記巻き軸に第1鍔部に向かって往路巻きし、前記第1鍔部の内側で折り返して往路巻きされたコイル上に前記第2鍔部に向かって巻線するとともに、前記コイル巻き始め点を越えた前記巻き軸上の折り返し点まで復路巻きし、前記折り返し点から再び前記第1鍔部に向かって復路巻きされたコイル上に往路巻きし、前記第1鍔部の内側で折り返して往路巻きされたコイル上に前記第2鍔部に向かって巻線するとともに、前記折り返し点を越えた前記巻き軸上の折り返し点まで復路巻きすることを繰り返してコイルの三角断面層を形成し、その後、該三角断面層の対角辺に沿って傾斜して巻線することを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1及び図2は第1の実施形態を示し、トリガートランスを示す縦断側面図、図2(a)〜(c)はバング巻線方法を示す工程図である。図1に示すように、コア鉄心を構成する巻き軸10の一端には第1鍔部11が、他端には第2鍔部12が設けられている。巻き軸10にはコイル13が螺旋状に巻回されており、このコイル13の両端は端子(図示しない)にカラゲて半田付けされている。
【0015】
次に、巻き軸10に対するコイル13のバンク巻線方法について説明する。図2(a)に示すように、第1鍔部11を貫通してコイル13を巻き軸10の軸方向に沿わせ、第1鍔部11から少し離間した巻き軸10の位置、本実施形態においては、コイル13の直径を1ピッチとすると、5ピッチ離間した位置をコイル巻き始め点14とし、巻き軸10に対してコイル13を螺旋状に第1鍔部11に向かって往路巻きして第1層15を形成する。
【0016】
往路巻きが第1鍔部11に到達すると、第1鍔部11の内側で折り返して往路巻きされた第1層15のコイル13上に第2鍔部12に向かって巻線する。この復路巻きによって形成される第2層16はコイル巻き始め点14を越えた巻き軸10に到達すると、ここで折り返す。
【0017】
そして、図2(b)に示すように、この折り返し点17から再び第1鍔部11に向かって往路巻きして復路巻きされた第2層16のコイル13上に第3層18を形成する。この第3層18の往路巻きが第1鍔部11に到達すると、第1鍔部11の内側で折り返して往路巻きされた第3層18のコイル13上に第2鍔部12に向かって巻線する。
【0018】
この復路巻きによって形成される第4層19は折り返し点17を越えた巻き軸10上の折り返し点20に到達すると、再び折り返して往路巻きする。
【0019】
この手順を繰り返することにより、図2(c)に示すように、巻き軸10の第1鍔部11側にコイル13によって三角断面層の一次コイル21が形成される。その後、一次コイル21の三角断面層の対角辺21aに沿って傾斜矢印a,b,cの順に往路巻きと復路巻きを繰り返すことにより、二次コイル22が形成され、トリガートランスが完成する。
【0020】
このように往路巻きと復路巻きは異なる巻き数であり、往路巻きより復路巻きの巻き数が多く、巻き軸10上で復路巻きから往路巻きに移る折り返し点を越えて折り返し点を包んでいるため、巻き崩れを防止できる。
【0021】
なお、前記実施形態においては、往路巻きと復路巻きを同一ピッチとしているが、異なるピッチにしてもよく、巻き数及びピッチは任意に設定可能である。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、巻き軸に対するコイルのバンク巻きが容易に行え、往路巻き、復路巻きの巻き数及びピッチを任意に設定できるとともに、巻き崩れを防止できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態を示し、トリガートランスを示す縦断側面図。
【図2】同実施形態を示し、(a)〜(c)はバング巻線方法を示す工程図。
【符号の説明】
10…巻き軸
11…第1鍔部
12…第2鍔部
13…コイル

Claims (2)

  1. 一端に第1鍔部、他端に第2鍔部を有する巻き軸の第1鍔部から第2鍔部に向かってコイルを螺旋状に巻線するバンク巻線方法において、
    前記第1鍔部から離間した巻き軸の位置をコイル巻き始め点とし、前記巻き軸に第1鍔部に向かって往路巻きし、
    前記第1鍔部の内側で折り返して往路巻きされたコイル上に前記第2鍔部に向かって巻線するとともに、前記コイル巻き始め点を越えた前記巻き軸上の折り返し点まで復路巻きし、
    前記折り返し点から再び前記第1鍔部に向かって復路巻きされたコイル上に往路巻きし、前記第1鍔部の内側で折り返して往路巻きされたコイル上に前記第2鍔部に向かって巻線するとともに、前記折り返し点を越えた前記巻き軸上の折り返し点まで復路巻きすることを繰り返して巻線することを特徴とするバンク巻線方法。
  2. 一端に第1鍔部、他端に第2鍔部を有する巻き軸の第1鍔部から第2鍔部に向かってコイルを螺旋状に巻線するバンク巻線方法において、
    前記第1鍔部から離間した巻き軸の位置をコイル巻き始め点とし、前記巻き軸に第1鍔部に向かって往路巻きし、
    前記第1鍔部の内側で折り返して往路巻きされたコイル上に前記第2鍔部に向かって巻線するとともに、前記コイル巻き始め点を越えた前記巻き軸上の折り返し点まで復路巻きし、
    前記折り返し点から再び前記第1鍔部に向かって復路巻きされたコイル上に往路巻きし、前記第1鍔部の内側で折り返して往路巻きされたコイル上に前記第2鍔部に向かって巻線するとともに、前記折り返し点を越えた前記巻き軸上の折り返し点まで復路巻きすることを繰り返してコイルの三角断面層を形成し、その後、該三角断面層の対角辺に沿って傾斜して巻線することを特徴とするバンク巻線方法。
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