JP4166349B2 - 建物の換気構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物の換気構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近の住宅では、省エネルギーの観点から気密性能を向上させていく傾向にあり、気密性能を向上させた結果、従来の自然換気だけでは必要換気量を確保できない場合が多く、水蒸気の滞留を原因とする結露や、建材から発生する有害物質などが滞るなどの課題が生じ、何らかの機械換気が必要になっている。
【0003】
そこで、機械換気として台所や浴室などの局所排気換気扇を利用して、住宅内を負圧に保ち、各居室の給気口から外気を導入し、室内の空気を台所や浴室などの局所排気口へ流し、住宅全体の空気流動を形成する。このような排気による換気方法が、特開平9−4082号公報に記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
屋外に比べて建物内の空気温度が高い冬期の暖房時においては、屋外と建物内の空気の浮力差により、図7に示すように下層階の外壁部分では屋外から建物内へ外気が流入する矢印102の方向に力が作用し、上層階の外壁部分では建物内から屋外へ室内空気が流出する矢印101の方向に力が作用する温度差換気が生じる。しかしながら、上記従来の排気による建物の換気構造の場合、図8に示すように換気扇106の機械換気による排気108を行なうことで建物外壁全体に屋外から建物内へ外気が流入する方向に力が作用し、上層階の外壁部分において温度差換気力と機械換気力の両者が打ち消し合い、上層階の部屋においては矢印107の空気流出と109の空気流入があり換気量が少なく十分不可欠な換気が得られない。また下層階の外壁部分において温度差換気力と機械換気力の両者の力が加算され、下層階の部屋においては矢印102に示される多大な空気流入があり必要以上に外気が導入され、建物内の居住者が寒さを訴えるという課題がある。
【0005】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、建物内外の温度差による影響を受けずに、継続的に各部屋毎の換気を行なえる建物の換気構造を提供する事を目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の建物の換気構造は上記目的を達成するために、冬期の暖房時に、上層階居室と下層階居室を空間的につなぐ建物内の吹き抜けの上層階部分に屋外から外気を導入するための給気送風装置に連通した給気吹出口と、前記吹き抜けの下層階部分に屋外へ室内空気を排出するための排気送風装置に連通した排気吸込口とを備えた換気構造であって、前記上層階居室と前記下層階居室において平均的に換気量が満たされるように、前記排気送風装置の運転と、前記給気送風装置の運転を交互に繰り返すようにしたものである。
【0007】
本発明によれば、建物内外の温度差による影響を受けずに、継続的に各部屋毎の換気を行なえる建物の換気構造が得られる。
【0008】
また他の手段は、建物内の温度を検出する室内温度検出手段と、屋外の温度を検出する屋外温度検出手段と、これらの温度検出手段が検出した温度の大小を比較しその差から給気送風装置の風量と排気送風装置の風量を制御する制御手段を備えたものである。
【0009】
本発明によれば、必要以上の過大な換気を抑制でき、室内の換気負荷や機械換気駆動力の削減ができる建物の換気構造が得られる。
【0010】
また他の手段は、屋外へ室内空気を排出するための排気送風装置として、浴室や台所やトイレの局所排気扇を利用したものである。
【0011】
本発明によれば、新たに別途局所排気送風装置を設ける必要がなくなり、換気構造を設置するときの費用を削減することができる建物の換気構造が得られる。
【0012】
また他の手段は、建物内の温度を検出する室内温度検出手段を、階段ホール空間内に設けたものである。
【0013】
本発明によれば、排気送風装置中の排気空気で代表させることが困難であった建物内温度を、比較的正確に検出できる建物の換気構造が得られる。
【0014】
また他の手段は、外気を導入するための給気送風装置に導入空気を加熱するための加熱手段を備えたものである。
【0015】
本発明によれば、冬期の暖房時において給気送風装置で室内に取り入れられた給気によるコールドドラフトを防止できる建物の換気構造が得られる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明は、冬期の暖房時に、上層階居室と下層階居室を空間的につなぐ建物内の吹き抜けの上層階部分に屋外から外気を導入するための給気送風装置に連通した給気吹出口と、前記吹き抜けの下層階部分に屋外へ室内空気を排出するための排気送風装置に連通した排気吸込口とを備えた換気構造であって、前記上層階居室と前記下層階居室において平均的に換気量が満たされるように、前記排気送風装置の運転と、前記給気送風装置の運転を交互に繰り返すようにしたものであり、冬期の暖房時の温度差換気力が生じる場合において、給気送風装置の運転時には吹き抜け部分を通して上層階居室に新鮮空気が供給され、排気送風装置の運転時には下層階の外壁の隙間から下層階居室に新鮮空気が供給される。これらの動作を交互に繰り返すことで建物内のすべての居室において確実に新鮮空気が供給されるという作用を有する。
【0017】
また、建物内と屋外の温度を検出する温度検出手段と、この温度検出手段が検出した温度の大小を比較しその差から給気送風装置の風量と排気送風装置の風量とを制御する制御手段を備えたものであり、建物内外の温度差により浮力を居室換気に有効利用でき、建物全体の換気量を一定量に維持することにより、必要以上の過大な換気を抑制でき、室内の換気負荷や機械換気駆動力の削減となる。
【0018】
また、屋外へ室内空気を排出するための排気送風装置として、浴室や台所や洗面室やトイレに設置された局所排気扇を利用したものであり、新たに別途局所排気送風装置を設ける必要がなくなり、換気構造を設置するときの費用を削減することができる。
【0019】
また、建物内の温度を検出する室内温度検出手段を、階段ホール空間内に設けたものであり、排気送風装置として浴室や台所やトイレ用の局所排気扇を利用した場合には、排気送風装置中の排気空気で代表させることが困難であった建物内温度を、比較的正確に検出することが可能となる。
【0020】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【0021】
【実施例】
(実施例1)
図1および図2および図3を参照しながら説明する。
【0022】
図1に示すように、1は本発明換気構造が適用される建物の断面図を示すものであり、この建物1内の室内空間は一階の居室2aおよび二階の居室2b、一階の居室2aおよび二階の居室2bを空間的につなぐ吹き抜け部分としての階段ホール3で構成されており、外壁4a、4bは一階の居室2aや二階の居室2bと屋外との境界部に設けられており、外壁4a、4bには自然給排気口7a、7bが設けられている。内壁5a、5bは一階の居室2aや二階の居室2bと階段ホール3との境界部に設けられており、内壁5a、5bには通気口6a、6bが設けられている。
【0023】
また、階段ホール3の上層階部分には給気吹出口11が設けられ、この給気吹出口11には給気送風装置8が給気ダクト10で連通され、給気ダクト9で屋外に連通されている。また、階段ホール3の下層階部分には排気吸込口15が設けられ、この排気吸込口15には排気送風装置12が排気ダクト14で連通され、排気ダクト13で屋外に連通されている。
【0024】
以下本発明の動作を説明する。
図2は排気送風装置12と給気送風装置8の運転動作を模式的に示したものであり、一定の時間間隔でa排気とb給気が繰り返されている。
【0025】
図3は上記構成における換気構造の、動作中の室内空気流動変化を示す。
図3の(a)(b)は、図2のa、b各動作と対応している。(a)では、給気送風装置8が停止し、排気送風装置12が動作している排気の状態を示している。(b)では給気送風装置8が動作し、排気送風装置12が停止している給気の状態を示している。矢印16は給気送風装置8による給気量で、矢印18は建物の隙間からの排気量を示し、矢印21は建物の隙間からの給気量で、矢印19は排気送風装置12による排気量を示し、矢印17および20は建物内の空気流動を示す。22は外壁4aや4bに生じる建物内外の差圧分布を示す。23は建物内外の差圧が0となる中性帯である。
【0026】
上記構成における換気構造の各動作中における室内空気流動を、浮力差による温度差換気が生じている冬期の暖房時について説明する。
【0027】
(a)排気運転状態
排気送風装置12の作用により建物内で負圧方向に力が加わり、中性帯23が二階部分に位置する。一階居室2aにおいては、排気送風装置12による負圧と建物内外温度による浮力差で生じる負圧が加算され、隙間からの給気量21が多く流入し、十分な新鮮空気の供給が行われる。一方、二階居室2bにおいては、排気送風装置12による負圧と建物内外温度による浮力差で生じる正圧が打ち消し合い、中性帯23が位置していることからも明らかなように、新鮮空気の供給が少なく換気不足となっている。
【0028】
(b)給気運転状態
給気送風装置8の作用により建物内で正圧方向に力が加わり、中性帯23が一階部分に位置する。給気送風装置8から送られてきた屋外の新鮮空気が、給気吹出口11を通って階段ホール3に入る。二階居室2bにおいては、給気送風装置8による正圧と建物内外温度による浮力差で生じる正圧が加わり、通気口6bを介して二階居室2bに流入し、十分な新鮮空気の供給が行なわれる。一方、一階居室2aにおいては、給気送風装置8による正圧と建物内外温度による浮力差で生じる負圧が打ち消し合い、中性帯23が一階部分に位置していることからも明らかなように、新鮮空気の供給が少なく換気不足となっている。
【0029】
以上(a)と(b)を交互に動作させることにより、一階居室においては、(a)の状態にて換気量過大・(b)の状態にて換気量不足が繰り返され、平均的に換気量が満たされる。また二階居室においては、(a)の状態にて換気量不足・(b)の状態にて換気量過大が繰り返され、同じく平均的に換気量が満たされることとなり、建物内外の温度差による影響を受けずに、継続的に各部屋毎の換気を行なえる建物の換気構造が得られる。
【0030】
(実施例2)
本発明の第2実施例について図4を参照しながら説明する。
【0031】
なお、第1実施例と同一構成要素には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0032】
図4に示すように、給気送風装置8は給気装置ハウジング26内に屋外空気を建物内に圧送するための給気ファン24と、加熱手段としての電気ヒータ25と、屋外温度検出手段としての給気温度センサ27が設けられ、給気ダクト9により屋外に連通され、給気ダクト10で給気吹出口に連通されている。排気送風装置12は排気装置ハウジング29内に室内空気を屋外に圧送するための排気ファン28と室内温度検出手段としての排気温度センサ30が設けられる構成となっており、排気ダクト13で屋外に連通され、排気ダクト14で排気吸込口に連通されている。
【0033】
また、制御手段としての制御装置31には、給気温度センサ27と、排気温度センサ30と、電気ヒータ25と、給気ファン24および排気ファン28が接続線32、33、34、35および36で接続されている。そして制御装置31は、給気温度センサ27および排気温度センサ30が検知した両者の温度差によって、電気ヒータ25の発熱量を制御するとともに、給気ファン24の動作とその回転数および排気ファン28の動作とその回転数を制御するものである。
【0034】
給気温度センサ27および排気温度センサ30が検知した両者の温度差の大小に応じて、給気ファン24および排気ファン28の回転数を制御することにより、浮力による給気量21および浮力による排気量18が大きくなった場合、給気送風装置8による給気量16および排気送風装置12による排気量19を小さくし、その反対に浮力による給気量21および浮力による排気量18が小さくなった場合、給気送風装置8による給気量16および排気送風装置12による排気量19を大きくし、建物全体の換気量を一定量に維持することにより、必要以上の過大な換気を抑制でき、室内の換気負荷や機械換気駆動力の削減となる。
【0035】
(実施例3)
本発明の第3実施例について図5を参照しながら説明する。
【0036】
なお、第1実施例と同一構成要素には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0037】
図5に示すように、屋外へ室内空気を排出するための排気送風装置として、台所37に設置する局所排気扇39Aや浴室38に設置する局所排気扇39Bや、図示しないトイレや洗面室に設置する局所排気扇を利用する。これにより、新たに別途局所排気送風装置を設ける必要がなくなり、換気構造を設置するときの費用を削減することができる。
【0038】
(実施例4)
本発明の第4実施例について図6を参照しながら説明する。
【0039】
なお、第2実施例および第3実施例と同一構成要素には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0040】
図6に示すように、制御装置31内に室内温度検出手段として室内温度センサ40を組み込み、階段ホール3空間内の壁面に設置し室内温度を測定する。ところで、第2実施例では室内温度検出手段として、排気送風装置12内に備えた排気温度センサ30を用いたが、第3実施例に示すように排気送風装置として台所37の局所排気扇39Aや浴室38の局所排気扇39Bや図示しないトイレや洗面室の局所排気扇を用いた場合には、例えば台所37や浴室38の使用時においては実際の室内温度より高い温度を検出したり、階段ホール3からトイレや洗面室へ空気が流動する間に温度上昇や下降が生じるなど排気温度センサ30では正しい室内温度を検出しない場合があり、これによって正確な制御をすることができなくなる。
【0041】
このように本実施例によれば、制御装置31内に室内温度検出手段として室内温度センサ40を組み込み、階段ホール3内の壁面に設置し室内温度を測定することにより、生活行為に関わりなく正確に室内温度を検出することができ、正確な制御をすることができる。
【0042】
なお、これら実施例1〜実施例4では、屋外に比べて建物内の空気温度が高い冬期に関しての説明であったが、中間期や夏期などのように屋外と建物内の温度差が小さい期間は温度差換気力がほとんど作用しないので、給気ファン24を停止させ排気ファン28もしくは台所37に設置する局所排気扇39Aや浴室38に設置する局所排気扇39Bを運転させることにより、外壁4aや4bに生じる建物内外の差圧が一様に負圧となり、下層階の居室2aおよび上層階の居室2bへ新鮮外気が安定して供給でき、季節を問わず安定した換気が行なえる。
【0043】
【発明の効果】
以上の実施例から明らかなように、本発明によれば、上層階居室と下層階居室において、平均的に換気量が満たされることとなり、建物内外の温度差による影響を受けずに、継続的に各部屋毎の換気を行なえるという効果のある建物換気構造を提供できる。
【0044】
また、必要以上の過大な換気を抑制でき、室内の換気負荷や機械換気駆動力の削減ができる建物の換気構造が得られるという効果のある建物換気構造を提供できる。
【0045】
また、新たに別途局所排気送風装置を設ける必要がなくなり、換気構造を設置するときの費用を削減することができる建物の換気構造が得られるという効果のある建物換気構造を提供できる。
【0046】
また、排気送風装置中の排気空気で代表させることが困難であった建物内温度を、比較的正確に検出できる建物の換気構造が得られるという効果のある建物換気構造を提供できる。
【0047】
また、冬期の暖房時において給気送風装置で室内に取り入れられた給気によるコールドドラフトを防止できる建物の換気構造が得られるという効果のある建物換気構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例による建物の換気構造が適用された住宅の概略図
【図2】同建物の換気構造の動作概略図
【図3】同建物の換気構造が適用された住宅における空気流動の概略図
【図4】同第2実施例による換気構造の構成を示す構成図
【図5】同第3実施例による建物の換気構造が適用された住宅の概略図
【図6】同第4実施例による換気構造の構成を示す構成図
【図7】従来住宅において冬期暖房時に温度差換気が作用した場合の空気流動の概略図
【図8】同冬期暖房時に換気構造が適用された住宅における空気流動の概略図
【符号の説明】
1 建物
3 階段ホール
8 給気送風装置
11 給気吹出口
12 排気送風装置
15 排気吸込口
25 電気ヒータ
27 給気温度センサ
30 排気温度センサ
31 制御装置
39A 局所排気扇
39B 局所排気扇
40 室内温度センサ
Claims (5)
- 冬期の暖房時に、上層階居室と下層階居室を空間的につなぐ建物内の吹き抜けの上層階部分に屋外から外気を導入するための給気送風装置に連通した給気吹出口と、前記吹き抜けの下層階部分に屋外へ室内空気を排出するための排気送風装置に連通した排気吸込口とを備えた換気構造であって、前記上層階居室と前記下層階居室において平均的に換気量が満たされるように、前記排気送風装置の運転と、前記給気送風装置の運転を交互に繰り返すことを特徴とする建物の換気構造。
- 建物内の温度を検出する室内温度検出手段と、屋外の温度を検出する屋外温度検出手段と、これらの温度検出手段が検出した温度の大小を比較しその差から給気送風装置の風量と排気送風装置の風量を制御する制御手段を備えた、請求項1記載の建物の換気構造。
- 屋外へ室内空気を排出するための排気送風装置として、浴室や台所やトイレの局所排気扇を利用したことを特徴とする、請求項1または2記載の建物の換気構造。
- 建物内の温度を検出する室内温度検出手段を、階段ホール空間内に設けたことを特徴とする、請求項2または3記載の建物の換気構造。
- 外気を導入するための給気送風装置に導入空気を加熱するための加熱手段を備えたことを特徴とする、請求項1、2、3または4記載の建物の換気構造。
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