JP4165837B2 - 同期式変速機操作用ブースタ装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、車両等に用いられる変速機の操作力を軽減するための変速機操作用ブースタに関する。
【0002】
【従来の技術】
図5は従来の変速機操作機構の要部を示した概略斜視図である。図中、1はシフトアンドセレクト用シャフトで、A方向の作動によりセレクト動作、B方向の回動によりシフト動作を行うものである。このシフトアンドセレクト用シャフト1は、チェンジレバー2の操作に応じて軸方向Aに作動し得るようにリンク機構を介して接続されている。さらに、シフトアンドセレクト用シャフト1には、シフト部材3が固着されているとともに、そのシフト部材3に対して選択的に係合し得る係合部4及びそれぞれ所定速のギヤに対応したシフトフォーク5を備える複数組のシフトロッド6が配設されており、これらを選択的に係合することによりセレクト動作を行うように構成されている。
【0003】
また、チェンジレバー2は、後述の圧縮エア等の加圧流体を用いた増力用のブースタ装置7の入力軸側に連結され、該ブースタ装置7の出力軸8を介してシフト動作を行うように構成されている。すなわち、チェンジレバー2の操作に追随して出力軸8が軸方向Cに作動すると、シフトアンドセレクト用シャフト1がB方向に回動して既に選択されたシフトロッド6をD方向に作動することによりシフト動作が行われる。なお、ブースタ装置7の出力軸8は、シフトアンドセレクト用シャフト1と直交して配置され、該シフトアンドセレクト用シャフト1の端部と第1及び第2のコネクティングロッド9,10を介して連結ピン11を中心に互いに回動可能に連結することにより、シフトアンドセレクト用シャフト1にA方向の自由度を与えている。
【0004】
図6〜図8は本出願人が開示したブースタ装置の具体例を示したもので(特開平8−210500号公報)、図6は装置全体を示した縦断面図、図7はその要部を示した拡大縦断面図、図8は更にその一部を拡大して示した部分拡大縦断面図である。図中、12は入力軸で、ブースタ本体13に摺動自在に支持された出力軸14の中空部に同心的に相対移動可能に内設されており、連結ピン15、スライドブロック16及び連結部材17を介して前記チェンジレバー2に接続されている。この入力軸12は中空状に形成されており、その中空部は加圧流体の排気通路として用いられる。出力軸14の外周面には、間隔をあけて配設された2個のピストン部18,19を有するピストン体20が固定されており、その両側の圧力室21,22に供給される圧縮エア等の加圧流体によって入力軸12の動作に追随して増力作用を奏するように構成されている。また、前記ピストン部18,19間には、ブースタ本体13の内面とにより囲まれる空間部23が形成され、供給管24を介して加圧流体源25から接続部26に対して供給される加圧流体をその空間部23を介して、後述のように、弁機構部分へ供給するように構成されている。
【0005】
前記入力軸12と出力軸14との間には、圧力室21,22への加圧流体の供給を制御する弁機構が配設されている。この弁機構は、弁座とその弁座に対する当接部を形成する当接部材との組合わせを1組とする制御弁を対称的に配設した2組の制御弁から構成される。すなわち、図7及び一方の制御弁部分を拡大して示した図8のように、制御弁は、係止ピン27,28を介して出力軸14に対して一体的に固定され、弁座29,30を有する弁座ブロック31,32と、入力軸12の外周面と気密状態に固定された中間パイプ33を介して気密かつ摺動可能に嵌合され、前記弁座29,30に当接する当接部34,35を有するスライド弁体36,37とから構成されている。なお、このスライド弁体36,37どうしは、スプリング38により互いに弁座29,30を閉弁する方向に付勢されている。そして、これらの2組の制御弁の間には、連通路39を介して前記空間部23に連通する空間部40が形成され、その流出側の弁座29,30が開閉されることにより加圧流体の供給を制御することになる。さらに、入力軸12には弁座29,30を開弁するリフタ41,42が嵌合されており、入力軸12が図7において右方へシフトされた場合には、入力軸12の端部に設けられ係止部43によりリフタ41を介してスライド弁体36が右方へ押動され、弁座29側が開弁される。逆に、図7において入力軸12が左方へシフトされた場合には、スライドブロック16の端面によりリフタ42を介してスライド弁体37が左方へ押動され、弁座30側が開弁される。なお、リフタ41,42は、それぞれスプリング44,45により非開弁方向に付勢されている。
【0006】
つぎに、図8に基づいて加圧流体の流通経路に関して説明する。なお、ここでは一方の制御弁部分に関して説明するが、他方の制御弁部分においても同様である。上述したように、供給管24を介して加圧流体源25からブースタ本体13の接続部26に供給された圧縮エア等の加圧流体は、ピストン部18,19間の空間部23及び連通路39を介して2組の制御弁間に形成された空間部40に供給される。そして、その空間部40の流出側の弁座29の開閉により加圧流体の供給が制御されることになる。すなわち、チェンジレバー2により入力軸12が図中、右方へ作動され、リフタ41が右方へ移動して当接部34に当接しスライド弁体36を弁座29から離間して開弁すると、加圧流体はその間隙を流下し、更にリフタ41の外周面と弁座ブロック31の内周面との間隙、弁座ブロック31に形成された流路46、弁座ブロック31の外周面と出力軸14の内周面との間隙47及び出力軸14に形成された流路48を経て圧力室21へ流入する。この圧力室21への加圧流体の流入によりピストン体20は右方へ押圧され、チェンジレバー2の操作に追随した増力作用が付加されることになる。
【0007】
圧力室21に流入した加圧流体は、更に出力軸14に形成された絞り要素である絞り流路49を経て出力軸14の内周面と弁座ブロック31の外周面と間に形成されたアキュームチャンバ50に流入され、しかる後、弁座ブロック31に形成された流路51を経て、弁座ブロック31とリフタ41との間に形成された反力室52へ流入する。この反力室52への加圧流体の流入によりチェンジレバー2に前記出力軸8に付加された増力作用の反力が伝達され、運転者において操作の反応を感知し得るようになる。この場合、前述のように、前記絞り流路49の流路抵抗の大きさや、アキュームチャンバ50の容量を選定することによって反力室の昇圧の遅れを適度に調整することによりチェンジレバーのフィーリングを良好なものに設定することができる。
【0008】
なお、以上のように、一方の制御弁部分が開弁状態にある間あるいはチェンジレバー2が中立状態にある間は、他方の制御弁部分は閉弁状態にあることはいうまでもない。そして、その間、他方の制御弁においては、リフタ42の端部と当接部35とが離間状態にあり、間隙が形成される結果、他方の圧力室22に残存する加圧流体は、前述の加圧流体の供給経路を逆に流出して、前記リフタ42の端部と当接部35との間隙及び入力軸12に形成された開口部53を経て入力軸12の中空部へ流入し、図1に示した排気管54から排気されることになる。すなわち、入力軸12の中空部が加圧流体の排気通路として用いられることになるが、この場合には、前述のように、前記中空部内は実質的に大気圧に等しくなるため、入力軸12に押力を及すことはない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述の公知のブースタ装置においては、作動用の加圧流体を供給管24を介して加圧流体源25から直接的に供給する構成を採用していたので、チェンジレバー2により、例えば入力軸12が図中、右方へ作動されると、圧力室21の圧力特性は図9に示したようになる。すなわち、加圧流体源25の供給圧をPsとすると、圧力室21内の圧力は、その圧力室21に至るまでの、連通路39、弁座29と当接部34との間隙状態、リフタ41の外周面と弁座ブロック31の内周面との間隙、弁座ブロック31に形成された流路46、弁座ブロック31の外周面と出力軸14の内周面との間隙47及び出力軸14に形成された流路48等から構成される加圧流体の流路の流路抵抗に応じて図示のような特性曲線に沿って上昇する。この圧力室21の圧力上昇に応じてシフト動作が実行され、同期点Tにおいて変速機側の同期動作が完了する。この場合、同期が完了した以後の負荷荷重が急激に減少するため、圧力室21内に残存する圧力流体は急激に膨張し、ピストン体20をストローク端に向って急加速し、そのストローク端に衝突して停止する際に大きなショックと衝撃音を発生するという問題があった。また、同時に入力軸12に出力軸14が衝突するため、操作フィーリングを悪化させるという問題があった。
【0010】
本発明は、以上のような従来の技術的事情に鑑みてなされたもので、簡単な構成により同期完了後のピストン体20の移動速度を抑え、ストローク端に対するショックを緩和し、衝撃音の発生や操作フィーリングを改善することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するため、チェンジレバー側に連結される入力軸と、該入力軸の外側に相対移動可能に同心的に配設されるとともにシフトアンドセレクト用シャフト側に連結される出力軸とを備え、前記入力軸の動作に応じて開弁される弁機構を介して前記出力軸側に設けたピストン体の両側に形成される圧力室に圧縮エア等の圧縮性の加圧流体を供給することにより同期式変速機のシフト動作に関して増力する変速機操作用ブースタ装置において、前記弁機構は、弁座と該弁座に対する当接部材との組合わせを1組とする制御弁を2組備えており、前記加圧流体の経路には、加圧流体源と2組の前記制御弁間に形成された空間部を備え、その前記加圧流体源と前記空間部との間に、圧力制御弁と該圧力制御弁に並列に接続された絞りからなる圧力調整回路を接続して加圧流体を供給するという技術手段を採用した。なお、その場合の圧力制御弁としては、減圧弁型のものでも差圧弁型のものでもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明はピストン体作動用の加圧流体の供給技術に特徴を有するものであり、チェンジレバー側に連結される入力軸と、シフトアンドセレクト用シャフト側に連結される出力軸とを備え、前記入力軸の動作に応じて開弁される弁機構を介して前記出力軸側に設けたピストン体の両側に形成される圧力室に加圧流体を供給することにより増力するものであれば、種々のブースタ装置に適用が可能である。すなわち、前記ピストン体の具体的構造や、前記弁機構などの圧力室までの加圧流体の流路構成如何に関わらず、適用が可能である。また、圧力調整手段を構成する圧力制御弁や絞り機構は、使用に適した特性を有するものであれば、具体的な構造に拘束されることはない。
【0013】
【実施例】
以下、図面を用いて本発明の実施例に関して説明する。図1は本発明の一実施例として前述の従来例に本発明を適用した場合の装置全体を示した縦断面図であり、図2及び図3は圧力調整回路に関する実施例を示した回路図である。また、図4は本発明の圧力室に関する圧力特性図である。図1に示したように、本実施例におけるブースタ装置自体の基本的な構成は、前述の従来例と異なるところはなく、動作の仕方においても同様であるので、その説明に関しては前述の説明を援用し省略する。ただ、本発明においては、圧力調整手段を介して加圧流体の供給圧の調整をして圧力室21,22内の圧力を制御する関係から、その圧力室21,22に至るまでの、連通路39、弁座29,30部と当接部34,35との間隙状態、リフタ41,42の外周面と弁座ブロック31,32の内周面との間隙、弁座ブロック31,32に形成された流路46、弁座ブロック31,32の外周面と出力軸14の内周面との間隙47及び出力軸14に形成された流路48等から構成される流路抵抗が低く抑えられ、その間の流路面積が大きめに設定されている。
【0014】
図1に示すように、ブースタ装置の接続部26は、供給管55を介して加圧流体源56に接続され、その中間には本発明の特徴である圧力調整手段としての圧力調整回路57が接続されている。圧力調整回路57は、図2に例示した減圧弁型のものや、図3に例示した差圧弁型のものなどからなる公知の圧力制御弁58と該圧力制御弁58に対して並列に接続された絞り59とから構成される。そして、前述のように、圧力室21,22までの流路抵抗を低く設定してあることから、圧力室21,22内の圧力pは、図4の圧力特性図において特性曲線Aで示したように、圧力制御弁58の設定圧Paまで急速に上昇し、しかる後、絞り59の流路抵抗に応じて徐々に上昇し、本実施例では時点Tにおいて変速機側の同期動作が完了するように設定されている。この場合、変速機側の同期完了時における圧力室21,22内の圧力はPbとなり、従来の特性曲線B上のPcより低く抑えることが可能である。したがって、その分、変速機側の同期完了後に負荷荷重が急激に減少することにより起るピストン体の移動速度を従来より低減することができるので、ストローク端に衝突した際のショックによる衝突音や操作フィーリングを改善することができる。なお、圧力制御弁58の設定圧Paや絞り59の流路抵抗を選定することにより変速機側の同期完了時点の調整が可能である。また、圧力調整回路57はブースタ本体13に一体的に設けてもよい。
【0015】
【発明の効果】
本発明によれば、ピストン体作動用として圧力室に供給される圧力流体の圧力を前記圧力制御弁の設定圧まで速やかに上昇させ、しかる後、前記圧力制御弁に並列に接続された絞りを介して徐々に上昇させる構成を採用したので、速やかな同期動作、すなわち速やかな変速動作を保持しながら、しかも変速機側の同期完了後に負荷荷重が急激に減少することにより派生するピストン体の移動速度を従来より低減することができるので、ストローク端に衝突する際の衝突音や操作フィーリングを改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例のブースタ装置全体を示した縦断面図である。
【図2】 圧力調整回路に関する実施例を示した回路図である。
【図3】 圧力調整回路に関する他の実施例を示した回路図である。
【図4】 本発明の圧力室に関する圧力特性図である。
【図5】 従来の変速機操作機構の要部を示した概略斜視図である。
【図6】 従来例のブースタ装置全体を示した縦断面図である。
【図7】 従来例のブースタ装置の要部を示した拡大縦断面図である。
【図8】 図7の一部を更に拡大した部分拡大縦断面図である。
【図9】 従来例の圧力室に関する圧力特性図である。
【符号の説明】
1…シフトアンドセレクト用シャフト、2…チェンジレバー、5…シフトフォーク、6…シフトロッド、7…ブースタ装置、12…入力軸、13…ブースタ本体、14…出力軸、18,19…ピストン部、20…ピストン体、21,22…圧力室、23…空間部、24…供給管、25…加圧流体源、26…接続部、27,28…係止ピン、29,30…弁座、31,32…弁座ブロック、33…中間パイプ、34,35…当接部、36,37…スライド弁体、38…スプリング、39…連通路、40…空間部、41,42…リフタ、43…係止部、44,45…スプリング、46…流路、47…間隙、48…流路、49…絞り流路、50…アキュームチャンバ、51…流路、52…反力室、53…開口部、55…供給管、56…加圧流体源、57…圧力調整回路、58…圧力制御弁、59…絞り
Claims (3)
- チェンジレバー側に連結される入力軸と、該入力軸の外側に相対移動可能に同心的に配設されるとともにシフトアンドセレクト用シャフト側に連結される出力軸とを備え、前記入力軸の動作に応じて開弁される弁機構を介して前記出力軸側に設けたピストン体の両側に形成される圧力室に圧縮エア等の圧縮性の加圧流体を供給することにより同期式変速機のシフト動作を増力する同期式変速機操作用ブースタ装置において、前記弁機構は、弁座と該弁座に対する当接部材との組合わせを1組とする制御弁を2組備えており、前記加圧流体の経路には、加圧流体源と2組の前記制御弁間に形成された空間部を備え、その前記加圧流体源と前記空間部との間に、圧力制御弁と該圧力制御弁に並列に接続された絞りからなる圧力調整回路を接続したことを特徴とする同期式変速機操作用ブースタ装置。
- 前記圧力制御弁として減圧弁型の圧力制御弁を用いた請求項1記載の同期式変速機操作用ブースタ装置。
- 前記圧力制御弁として差圧弁型の圧力制御弁を用いた請求項1記載の同期式変速機操作用ブースタ装置。
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